(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
損傷又は罹患した心臓に対して調整可能な受動的サポート、能動的補助、又は能動的補助及び受動的サポートの併用を提供するように設計されたコンポーネントをさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載のデバイス。
心臓の表面にさまざまな又は均一な圧力を加える拡張期リコイルデバイスが、心臓の収縮終期構造及び心臓の拡張終期構造、又は両方を変化させる、請求項1〜6のいずれかに記載のデバイス。
左胸部小切開(mini left thoracic incision)により低侵襲移植されるように適合された拡張期リコイルデバイスを含む、請求項1〜11のいずれかに記載のデバイス。
【背景技術】
【0002】
鬱血性心不全(CHF)は、先進国及び発展途上国世界における主要な公衆衛生問題である。米国では、CHFは570万人を超える人々に影響を及ぼし、毎年550,000人の新規症例が診断されている。入院の約20%が急性CHFに起因し、372億ドルの医療制度費用が発生している(AHA統計、2009年)。心不全は2つの主要な形態、すなわち収縮機能障害及び拡張機能障害を有する。心不全を有する人々のなかには両方のタイプの機能障害を有する人もいる。収縮機能障害では、心臓はあまり強く収縮せず、心臓に通常戻ってくるほどの血液を送り出すことができない。この結果、より多くの血液が心臓の下の室(心室)に残る。拡張機能障害では、心臓は硬直しており、収縮後正常に弛緩せず、血液で充満する能力を損なう。心臓は正常に収縮するが、充満が準最適だったため心室から正常な割合の血液を送り出すことができない。しばしば、心不全の両方の形態(収縮期及び拡張期)は一緒に起こる。収縮期心不全はより多く言及されるが、拡張機能の顕著な異常(すなわち、拡張期心不全)によって生じる鬱血性心不全(CHF)は一般的であり、且つ著しい罹患率及び死亡率の原因になっているという認識が広がりつつある。
【0003】
拡張期心不全は、単独で、又は収縮期心不全との組合せで起こり得る。孤立性拡張期心不全(isolated diastolic heart failure)を有する患者では、拡張期容積が正常で拡張期圧が上昇する場合、圧−容積関係の異常のみが拡張期に起こる。拡張期圧が著しく上昇する場合、患者は安静時又は最小労作により症状を示す(NYHAクラスIII〜IV)。治療により、拡張期容積及び圧は低下し得、患者はあまり症状を示さなくなる(NYHAクラスII)が、拡張期圧−容積関係は異常なままである。
【0004】
収縮期心不全患者では、駆出率(EF)、1回拍出量、及び1回仕事量の低下を含む、収縮期の圧−容積関係の異常がある。さらに、圧−容積関係の拡張期部分の変化がある。これらの変化は、症候性患者において拡張期圧の上昇をもたらし、収縮期及び拡張期心不全の組合せの存在を示す。拡張期圧−容積関係がよりコンプライアントな室を反映し得る一方で、拡張期圧の上昇及び異常な弛緩は異常な拡張機能の存在を反映する。故に、収縮期心不全及び拡張期圧の上昇を有する患者は全て、収縮期及び拡張期心不全の組合せを有する可能性がある。
【0005】
収縮期及び拡張期心不全の組合せの別の形態も起こり得る。患者は、EFのわずかな低下及び拡張終期容積のわずかな増加のみであるが、拡張終期圧の著しい増加及び心室コンプライアンスの低下を反映する拡張期圧−容積関係を有する場合がある。したがって、症候性心不全患者は全て、拡張機能の異常を有する可能性がある。EFが正常である者は孤立性拡張期心不全を有し、EFが低下した者は収縮期及び拡張期心不全の組合せを有する。
【0006】
心不全は、典型的には、「指標イベント」が心臓のポンピング能力の最初の低下をもたらす後に始まる。心臓のポンピング能力のこの最初の低下後、アドレナリン作動神経系、レニンアンジオテンシン系及びサイトカイン系を含むさまざまな代償機構が活性化される。短期的にはこれらの系は、正常なホメオスタシス範囲に心血管機能を回復させることができ、この結果、患者は無症候性のままである。しかし、時間とともにこれらの系の持続的活性化は、左心室(LV)リモデリングの悪化及びこの後の心代償不全を有する、心室内の2次的末端器官損傷をもたらす可能性がある。結果として起こるLVリモデリングの悪化及び心代償不全の結果、患者は無症候性から症候性心不全に移行する(Heart Failure Reviews, 10, 95-100, 2005)。
【0007】
収縮期心不全では、LVは、扁長楕円からLVの経線方向壁応力(meridional wall stress)の増加をもたらすより球形に変形し、今度は、心不全にとって幾つかの新規の機械的負担を生む。このLVリモデリングは機械的環境を劇的に変化させ、今度は、成長及びリモデリング過程に影響を与える。正のフィードバックループが現れ、急性機能障害心臓ポンピング(acute dysfunctional cardiac pumping)、病的神経ホルモン活性化、及び代償機構に適切に応答するリモデリングされたLVの能力の欠如をもたらす。
【0008】
進行性LV拡張及びこの後のリモデリングは、LV壁応力及び心筋伸展をもたらす機構の1つである。LV壁応力の増加は、伸展活性化遺伝子(アンジオテンシンII、エンドセリン及び腫瘍壊死因子)の持続発現をもたらし得、並びに/又は伸展が、肥大の開始及び維持に重要である液性因子の放出を誘導することにより、並びにシグナル伝達経路の直接活性化によっても筋細胞応答を誘発することから、肥大シグナル伝達経路の伸展活性化をもたらす可能性がある。
【0009】
LV拡張、及びLV球形度の増加は、不良な長期転帰の感受性指標でもある。故に、心室壁の心壁応力(「断面積単位あたりの力」として定義することができる)は、心室と心室径の圧力の差に直接相関し、且つ心室壁厚に逆相関する。そのためLVリモデリング、心室容積の増加及びこの後の心室径の増加により、心室における十分な圧力を生じるのに大きな力が個々の筋細胞から求められる。壁張力は、内圧及び血管径の両方の関数として見られる。また、心室リモデリングにより、心室壁厚が増加する可能性があり、これに対応して心筋重量が増加する可能性がある。壁厚のこのような増加はいずれも、筋細胞肥大、細胞のずれ、及び間質成長を含む幾つかの過程により細胞/細胞外マトリックスレベルでのリモデリングに起因するであろう。しかし、壁厚のこのような増加は、代謝負荷が増加する心腔拡張に起因する壁応力の増加を適切に代償しない。故に、心室壁厚のいずれの漸増増加にもかかわらず、心室リモデリングは不適応である。ラプラスの方程式は、心室リモデリングを軽減する手段を定義する枠組みを提供する。心室壁応力は、(1)経壁圧の低下、(2)心腔径の減少、及び/又は(3)心室壁厚の増大の促進により減少され得る。拡張期サポートデバイスは、拡張期壁応力の減少をもたらし拡張終期容積を調節することができる有効な経壁圧に重大な影響を与え得る。
【0010】
心不全に罹患している米国の570万人及び世界の2500万人のうち、これらの患者の30〜55%が拡張期心不全(DHF)に罹患しており、有効な治療が行われていない。用語、拡張期心不全(DHF)は一般に、主要な弁膜疾患の非存在下、左心室EFの維持を伴う心不全の臨床的症候群を指す。CHF発症例の40パーセント及びCHF有病例の50〜60%は、収縮機能が維持された状況で起こる。DHF患者の死亡率は、収縮期心不全より低いと考えられる。DHF患者の自然経過が、収縮期心不全患者のものとは異ならない可能性があることを示すこの概念に異議を唱える者もいる。罹患率及び入院率は、収縮期心不全患者のものと類似している。高齢者人口におけるより高い有病率のため、DHFの発症率は、西欧諸国の人口の高齢化が増加するにつれて上昇することが予測されている。拡張期心不全における根本的問題は、正常な充満圧で拡張期に血液量を供給する左心室の能力の欠如である。
【0011】
拡張期異常の2つの基本的なタイプ、すなわち、拡張早期に主に影響を及ぼす心室弛緩の障害、及び拡張後期に主に影響を及ぼす心筋硬直の増加が存在する可能性がある。能動的弛緩の速度及び程度は、充満早期の左心室吸引に影響する可能性がある。両方の異常は、拡張期圧の上昇をもたらす。DHF患者では、中心血液量の比較的小さな増加又は静脈緊張、動脈硬直、若しくは両方の増加は、左心房圧及び肺静脈圧の大幅な増加を引き起こし得、運動不耐性及び急性肺水腫をもたらす可能性がある。拡張機能の異常の根底にある機構は、心筋自体に内在する要因及び心筋に外在する要因に分けることができる。心筋要因は、細胞性及び細胞外性にさらに分けることができる。細胞要因には、能動的弛緩及び受動的硬直の両方の異常をもたらすカルシウムホメオスタシスの障害、タイチンなどのサルコメアタンパク質アイソタイプの変化が含まれる。タイチンは、収縮期に電位エネルギーを得る、また拡張期に静止長まで心筋を回復させるリコイル力を提供する粘弾性バネとして働く。弛緩はエネルギー消費過程であるため、細胞エネルギー供給及び利用のいずれの異常も、弛緩の障害をもたらす可能性がある。細胞外要因には、細胞外マトリックスの構造及び量の変化、すなわち心筋硬直の増加をもたらす繊維化が含まれる。ナトリウム利尿ペプチド(NP)以外のDHF患者における神経液性マーカーに関するデータは限られている。これは恐らく、DHFが最近ようやく重要な臨床問題として認識されたという事実を反映している。本研究は、拡張期心不全患者を管理するための新規な拡張期リコイルデバイスの開発を目指している。
【0012】
収縮期心不全を治療するには、幾つかのクラス、例えば医薬品、幹細胞、電気的デバイス、機械的デバイス、及び外科的再建、の解決策がある。これらの各々は、ある限られた標的作用(すなわち、ベータ遮断、ACE阻害、電気的ペーシング、心臓補助等)に対して設計されており、結果として、心不全は依然として膨大な罹患率及び医療負担の原因になっている。従来のアプローチは、機械的刺激が、成長及びリモデリングを駆動する重要なパラメーターであり、最終的に人工臓器の回復を促進し得る過程であるという可能性に対処していない。機械的心臓補助デバイスクラスIIIA及びIIIBは、ポンピングエネルギーを提供する能動デバイス、及び心臓の形を調節する受動デバイスに分類される。能動デバイスは、血液ポンプ、カウンターパルセイション補助デバイス(大動脈バルーンポンプ)、及び直接心臓圧迫デバイス(DCCD,direct cardiac compression device)に細分される。受動的な、「サポート」デバイスは、心臓と直接相互作用して形を変化させ又は成長を制限する。
【0013】
拡張期心不全治療は、現在ほとんどが医薬製品を含み、利用可能なデバイスはあったとしてもわずかである。現在、DHF症状の治療用に承認されたデバイスはない。しかし、2つの前臨床段階リコイルデバイス概念、LEVRAM及びImcardiaは、DHF患者の治療において潜在的な役割を有する。これら及び他のデバイスは、米国特許出願公開第20080071134号明細書、拡張期心室機能を補助及び改善するインビボデバイス;米国特許出願公開第20060276683号明細書、左室の拡張機能を改善するインビボ方法及びデバイス;並びに米国特許出願公開第20060241334号明細書、拡張期心室機能を改善するインビボデバイスに見られる。
【0014】
心臓歪みパターン(cardiac strain pattern)は、機能的心筋細胞への心臓幹細胞分化の主要なコントローラーであるように思われる。心臓の正確正常な又は生理学的な歪みパターンは、現在知られていない。放射線不透過マーカーの2方向X線データを用いて8匹の健常ヒツジの心臓における正常な歪みパターンを判定するための試験は、8つの明らかに異なるパターンを生じた。心臓の収縮は歩調に類似しているように思われる。個人間で全体的に類似している(例えば、爪先離地及び腰のひねり)が、細部は明らかに異なり得る(例えば、爪先離地時の脚の角度、腰のひねりの量及びタイミング)。事実、人はしばしば歩調から認識され得る。正常な歩調を記載することは困難であるが、異常な歩調を分類することは極めて容易である。同様に、正常な心臓歪みパターンは定義及び規定することが困難であるが、運動障害及び運動低下などの異常な心臓歪みパターンを特定することは極めて容易である。
【0015】
機械的刺激(例えば、応力又は歪み)が心血管の発達、適応、及び疾患における重要なエピジェネティック因子であることは十分に確立されている。血管系では、例えば、乱れた負荷状況は、変化した構造における細胞(増殖及びアポトーシス)及びマトリックス(合成及び分解)の代謝回転を高め、故に幾何学的形状、特性、及び生物学的機能の変化をもたらすように思われる。類似の機構が、高血圧、動脈瘤、及び微小重力誘導変化において作用していると思われるのと同様に、これらは心臓疾患で作用している可能性がある。
【0016】
攣縮時の心筋の運動障害又は異常な運動は、心筋のリモデリングを伴う心臓の全疾患において重要である可能性がある。明らかに、境界領域の心筋は生存可能であるが、該心筋が運動障害をきたす、すなわち、縮むべき時に伸びる程度まで過負荷がかけられる。負荷軽減が、カルシウムハンドリング、腫瘍壊死因子及び細胞骨格タンパク質を調節する遺伝子の正常化;線維化及び細胞肥大の退縮、並びにインビトロ収縮機能の改善をもたらすことから、過負荷は、異常なリモデリングをもたらす可能性がある。過度の負荷軽減は心臓萎縮をもたらす疑いがあり、デバイスからの漸次離脱は、クレンブテロールなどとの併用療法と共に試みられるべきである。
【0017】
細胞レベルでは、筋原線維組織、サルコメアのアライメント及び細胞移動は全て、機械的因子に媒介されることが知られている。機械的因子は、幹細胞の挙動において重要な役割を果たすことも知られており、機械的環境の理解及び制御が幹細胞療法の可能性の実現化に不可欠であると考えられることを示唆している。
【0018】
細胞及び細胞下研究は、血行力学的負荷の変化が筋細胞及び細胞外マトリックスの成長及びリモデリングをもたらすこと、筋細胞は歪みの乱れに極めて感受性であり、遺伝子発現の変化により応答することを立証した。異常な心臓運動は、実際にこれが異常な成長及びリモデリングの主な原因であり得る場合、しばしば心不全の症状と見なされる。他のCHF機構又は共寄与因子(co-contributor)は、特に、筋細胞短縮能力の喪失、カルシウム調節異常及び不特定な筋細胞アポトーシスである。
【0019】
幹細胞を取り込む再生療法は可能性を示したが、まだ十分に開発されていない。幹細胞研究で観察された利点は論議を呼んでおり、例えば移植幹細胞が機能的心筋細胞として天然組織に実際に組み込まれている証拠が全般的に不足している。幹細胞は典型的には、線維のアライメントが線維性組織により高度に乱され及び破壊されている罹患した心筋に移植される。運動障害心筋では、移植細胞のアライメント及び移動を案内するのに必要とされる機械的及び環境的要因が、重度に損なわれる。本明細書に記載されたデバイスは、幹細胞移植療法の最適化に必要とされる適切な生理学的機械的環境の確立に不可欠であると考えられる運動を回復する手段を提供する。
【0020】
さまざまな機械的補助療法(すなわち、薬剤、両心室ペーシング、血液接触補助デバイス、外科的処置、又は受動的ステント及び拘束等)は、典型的には心臓を負荷軽減し、故に間接的に(例えば、駆出率の増大により)歪みパターンを調節するのみである。直接心臓圧迫デバイス(DCCD)のみが、特定の歪みパターンを直接誘導することができる。しかし、ほとんどの従来のDCCDは、歪みの調節よりむしろ駆出率の増大又は移植の容易さのために開発されてきた。ほとんどが攣縮時に異常な歪みパターンを誘導する。
【0021】
以下は、従来技術の短所の論議である。
図1A〜1Dは、心臓の尖端から基底へ、ラジアル平面(長軸)での正常な、空の、及び反転した湾曲を示す。
図1Aは、曲線の内側が心室に面した正常な又は正の曲線を示し、上端が基底を示し、下端が尖端を示す。
図1Bは空の湾曲を示す。
図1Cは、反転した又は負の湾曲を示し、曲線の内側が心室から離れている。
図1Dは、Anstadt特許(米国特許第5,119,804号明細書)の
図9に示されているようなAnstadtカップの湾曲反転を示す図である。DCCDは、良好な血行力学及び移植の容易さにより最も有望であると特徴付けられている。幾つかのDCCDが開発中である。Anstadtカップは
図1Dに示されている。Cardio Technologies Inc.社製のCardioSupport Systemは、Anstadtカップに類似している。取り付けは尖端端部での真空により、補助は硬いシェルと右心室(RV)及び左心室(LV)の心外膜面の間にある膜の膨張による。Parraviciniのデバイス及びAbiomed Inc.社製のAbioBoosterは心室間溝に縫合され、シェルと心外膜面の間の弾性袋は収縮期に膨張される。Heart Assist Tech Pty Ltd社製のDCC Patchは、AbioBoosterに類似している。DCC Patchは、「…心臓の側面に適するように成形された2つのパッチが…心臓に同調して膨張及び収縮され…」と記載されている。心臓ブースターは、フープ方向に楕円の長軸を有する楕円形断面を有する縦管からなる。
【0022】
これらのDCCDの全てが異常な歪みパターンをどのように誘導するかを理解するには、攣縮歪みが拡張終期構造(参照構造)及び収縮終期構造(現在の構造)の両方に依存することに注目することが重要である。歪み領域は、参照構造から現在の構造までの質点のマッピングの(参照位置に対する)勾配の関数である。故に、従来のDCCDの収縮終期構造は著しく異常であるため、従来のDCCDが拡張期構造にフィットするという事実は、適切な攣縮歪みパターンを達成するのに重要ではない。ねじれのような運動により誘導される歪みが、心臓の幾何学的形状を乱すことはできないが、全体の幾何学的形状が異常な場合、歪みは異常なはずである。非生理学的な幾何学的形状が
図1A〜1Dに示されている。
【0023】
一般に、湾曲は曲率半径に反比例し、曲率半径の起点が側を変える場合、この湾曲は符号(sign)を変える。
図1Dから明らかなように、湾曲反転はEFを大幅に増加させることができる。しかし、正常な心臓における心室の湾曲は収縮期に反転せず、故にこのような運動を著しく異常にする。さらに、健康な心臓は、湾曲を反転させることに抵抗し、心臓機能は「不均一な直接心臓圧迫」の効果が顕著になる前に30%低下する必要がある。要するに、DCCDが異常な歪みを誘導する時、心臓は補助に抵抗する。上述されたDCCDデバイスは、著しく異常な運動を誘導する。Vinebergデバイスは、長軸面及び短軸面での湾曲を反転させる。Anstadtカップ及びCardio-Support Systemは、長軸面での湾曲を反転させるが、短軸面での湾曲は維持する。AbioBooster、DCC Patch、Hewsonデバイス、及びParraviciniデバイスは、湾曲が溝で増加し自由壁で減少するように心室間溝で引っ張り、自由壁で押す。Heart Boosterは、短軸面での湾曲を反転させるが、長軸面での湾曲は維持する。これらは異常な運動を排除するように設計されなかったため、上述されたこれらの既存のDCCDが異常な歪みパターンを誘導することは驚くべきことではない。
【0024】
さらに、上述された既存のDCCDはいずれも、低侵襲様式では移植されず、及びこのような移植方法は極めて望ましく、臨床的に有用であり、且つ商業的に有利である。歪みは心筋成長及びリモデリングの主な刺激であることから、心臓における運動障害性又は運動低下性の運動を排除するDCCDが必要である。
【0025】
本明細書に参照により組み込まれる、2004年6月17日に出願された米国特許出願第10/870619号明細書(‘619出願)に記載された本デバイスは、攣縮時に歪みパターンを積極的に調節する初めての移植可能なデバイスである。‘619出願で請求されたデバイスのクラスは、拡張終期及び収縮終期構造が正常な心臓の湾曲を有する生理的であるような方法で直接心臓圧迫を加えるもの、すなわち心臓リキネシス(rekinesis)療法を達成する直接心臓圧迫デバイスのクラスである。‘619出願で開示されたデバイスは、心臓の弁面に取り付けされなければならない。ベンチトップ試験で開発された取り付けは、心膜横洞(前方ステント)及び心膜斜洞(後方ステント)を通ってデバイスのシェルから弁面の中心に至るステントと一緒に右及び左の自由壁に沿って走る縫合からなる。デバイス内に心臓を保つことに加えて、ステントは、心室間溝の冠動脈付近で縫合する必要性を排除する。心外膜面の高度に弾性の膜は、硬いシェルでしっかり密閉されて空気駆動流体(例えば、空気)を含有する。典型的な膜は、心臓の充満を妨げないためには約1kPa(10cm H20)の真空が必要である。これは、充満するのに約9cm H20の経壁圧(例えば、6cm H20の静脈圧から−3cm H20の胸腔内圧を引く)を典型的には必要とする天然の心臓の膜に類似している。圧波形(収縮期については圧迫及び拡張期については張力を有する)は、心血管研究のためVivitro Systems Inc.社製のSuperpump Systemにより生成された。同期出力信号は増幅され、二極になり、及び右心房(RA)リード線を通じて心臓をペーシングするのに使用された。
【0026】
ハードシェル型(hard shelled)DCCDの幾つかの負の影響(例えば、大開胸の必要性)を克服する1つの方法は、ソフトシェル型(soft shelled)デバイスを使用することである。ソフトシェル型デバイスには、高度に変形可能な材料から構築される主要コンポーネントを備えたDCCDが含まれる。このようなDCCDは、折り畳むことができ、及び剣状突起下(例えば、剣状突起の下方)である可能性がある小切開又は左開胸により場合により移植することができる。Abiobooster及びHeart Boosterは、現在既存のソフトシェル型デバイスである。しかし、上述されたように、これらのデバイスの両方とも、心臓で異常な歪みパターンを誘導する。さらに、これらのデバイスの移植方法は、心臓又は心膜にデバイスを縫合する必要が依然としてある。
【0027】
上述された直接心臓圧迫デバイスは、電源、及び心拍出量を増加させるための電力の送達方法を有する能動デバイス又は補助デバイスである。心臓の外面に接触する他のデバイスは、心臓サポートデバイス及び拡張期リコイルデバイスである。心臓サポートデバイスは、心臓サイズを制限するのに有用であるが、該デバイスは心臓を収縮させ、故に充満を妨害する(良くて、該デバイスは、心臓のサイズが制限されるある極限点まで充満を妨害しない)。動的に調整可能なサポートデバイスは、肥大した心臓のサイズをさらに減少させるために極限点を制御することができるため、さらに有用である。拡張期リコイルデバイスは、心臓のリコイル又は充満を増加させるのに有用であるが、該デバイスは心臓サイズを必ずしも制限するわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のさまざまな実施形態の作製及び使用が以下に詳細に論じられているが、本発明は、多種多様な特定の文脈で具体化することができる多くの適用可能な発明の概念を提供することを理解するべきである。本明細書に論じられた特定の実施形態は、本発明を作製及び使用するための特定の方法を単に示すに過ぎず、本発明の範囲を定めるものではない。
【0041】
本発明の理解を促すため、幾つかの用語が以下に定義される。本明細書に定義された用語は、本発明に関連する分野の当業者により一般に理解されるような意味を有する。「ある(a)」、「ある(an)」及び「その(the)」などの用語は、単数形の存在物(singular entity)のみを指すことを意図するものではなく、特定の例が例示のために使用され得る一般的クラスを含む。本明細書の専門用語は、本発明の特定の実施形態を記載するのに使用されるが、特許請求の範囲に概説されている場合を除いて、この使用は本発明の範囲を定めるものではない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「心臓リキネシス療法」は、心臓に対する生理学的若しくは有益な運動の回復、又は換言すれば、循環補助療法とは対照的に、異常な若しくは病態生理学的な運動若しくは歪みを排除することである。
【0043】
本明細書で使用される場合、「医用材料」は、拒絶反応又は他の負の炎症応答を回避するため生理学的に不活性な材料である。
【0044】
本発明は、これより、好ましい本発明の実施形態が示される添付図面を参照してより十分に説明される。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるように構築するべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全及び完璧となるように、並びに当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように提供されている。
【0045】
本発明は、損傷又は罹患した心臓の拡張期リコイルを増強する、外形に沿った拡張期リコイルデバイスを含む。拡張期リコイルデバイスは、心臓に縫合される又は直接取り付けられる必要がない。それどころか、拡張期リコイルデバイスは、空気圧ロックにより心臓に内因的に取り付けられる。作動中、デバイスと心臓の間の胸部に自由空気がないため、心臓がより小さくなる(血液の駆出により)と、デバイスは内側に引っ張られる。同様に、デバイスが外側に押し出す時、デバイスは吸引様の牽引力を心臓に加える。もし自由空気が通常は存在しない胸部に存在するならば、吸引様牽引力はデバイスと心臓の間の空気を吸い込むであろう。しかし、自由空気がなければ、吸引牽引力は心臓表面に直接加えられる。この空気圧ロック、すなわち内因的空気取り付けは、空気が抜かれた(すなわち、閉胸のような)袋の内側に水風船が入れられている場合、水風船をカップから引っ張り出すことは極めて難しい、という例えにより示される。縦隔の空気が除去された後、心臓及びデバイスは同軸構造において空気圧によりロックされる。
【0046】
本発明の拡張期リコイルデバイスは、内因的空気取り付け及び該デバイスの弾性特性を使用して心臓の拡張期リコイルを増強する。収縮終期及び拡張早期に、本発明の拡張期リコイルデバイスは負荷されたスプリングのように作動し、心臓の外側の心外膜面に陰圧を加え、心臓の心室が充満するのを助ける。
【0047】
本発明は、単一のデバイス設計で収縮期及び拡張期心不全の両方に対処することができることから、心臓デバイス業界における重大な革新である。本発明は、収縮期又は拡張期心不全のどちらかを有する患者により使用され得るが、収縮期及び拡張期不全の組合せを有する者によっても使用され得る。収縮期心不全を治療するための従来の受動デバイスは、肥大した心筋の機械的拘束及びサポートを提供するように設計されるが、本発明と違って移植後に調整することができない。さらに、このような従来のデバイスは、左心室の大きさの減少を維持する能力を欠く。さらに、従来のデバイスは、デバイスと心臓の相互作用を安定化させるために心臓表面にフィブロース(fibrose)するように設計される。本発明は、移植後に調整することができる。移植後に本発明のデバイスを調整する能力は、罹患した心臓における肥大を抑制及び徐々に減少させる予防的な手段を提供する。したがって、本発明は、拡張期リコイル設計により、拡張期心不全の問題にも対処する。本発明は、十分な心臓リハビリテーションに向けた回復となる条件下で心臓リモデリング事象を刺激する手段を提供する。
【0048】
本発明は、心不全の機構を調節するため心臓周囲の心膜腔に配置される低侵襲デバイスを含む。調整可能な受動的サポート及び拡張期リコイル技術は、収縮期及び拡張期心不全患者の両方において心室サイズの減少、及び同様に心室充満の増強を達成する。
【0049】
中/長期サポートに特異的に適応する種々のデバイスが今日存在するが、本発明の低侵襲移植可能デバイスは、同じデバイス設計に統合された調整可能な受動的サポート及び拡張期リコイル技術を提供する初めてのデバイスである。
【0050】
デバイスの調整機能は、心臓専門医が心不全に積極的に介入できるようにし、それによって回復及び/又は自然にリハビリとなる成長及びリモデリング事象を命令するのに特異的な機械的状態を作成及び使用することができる。特に、本発明は、拡張終期圧容積関係(EDPVR)を左に、すなわち、より低い容積及び減少したLVサイズに向かって直接移動させることができる。
【0051】
本発明は、侵襲性、感染、及び凝固を最低限に抑える。心臓置換は高度に侵襲的であり、且つ患者に大きな外傷及び拒絶反応抑制薬からの合併症を引き起こす。現在の、血液接触補助技術は、血液損傷、凝固活性化、及び敗血症のリスクがより大きい。血液接触補助技術は、血栓形成のため開始及び停止されることができない。本発明は、機械的、電気的、薬物、及び/又は幹細胞療法を組み合わせる併用療法で使用することができる。
【0052】
本発明は、心室機能障害の1つ又は収縮期及び拡張期機能障害の組合せのどちらかを有する患者における収縮期及び拡張期心不全の両方を修正する統合研究アプローチを可能にする。
【0053】
本発明は、運動障害及び運動低下を減少させる、外形に沿った拡張期リコイルデバイスを含む。本発明のデバイスは、加圧された時に心臓の正しい形状に類似した湾曲を提供するため心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを備える選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダ、並びに加圧及び除圧のため選択的に膨張可能な収縮終期心臓形状ブラダと連通する1又は2以上の流体接続部を含む。
【0054】
1又は2以上の、外形に沿ったサポートは、心臓の正しい収縮終期形状に概ねフィットするように最適化された拡張された湾曲を有する、1又は2以上の膨張可能なコンパートメントを形成する。選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、除圧された時に少なくとも部分的に折り畳まれ、また加圧された時に少なくとも部分的に開く内膜を含む。
【0055】
1又は2以上の、外形に沿ったサポートは、心臓の正しい収縮終期形状に概ね適した形状を形成するため、個々に類似した若しくは異なる材料の1若しくは2以上の仕切り(divider)、個々に類似した若しくは異なる材料の1若しくは2以上のワイヤ、又はこの組み合わせを含むことができる。選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、実質的に生体適合性、流体不透過性及び実質的に弾性である材料を含む。例えば、少なくともデバイスの一部は、弾性ポリウレタン、ラテックス、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、シリコーン、ポリシロキサンウレタン、水素化ポリスチレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン及びジシクロペンタジエンターポリマー、水素化ポリ(スチレン−ブタジエン)コポリマー、ポリ(テトラメチレン−エーテルグリコール)ウレタン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート−エチレンカーボネートグリコール)ウレタン、並びにこれらの組み合わせから作製することができる。
【0056】
選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、除圧された時に一般に折り畳め、また加圧中の放射状の外側への拡張に抵抗するように強化される。本発明のデバイスは、特定の治療に応じて多くの構造を取ることができる。例えば、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、心臓の正しい収縮終期形状に類似した拡張された湾曲を提供するため、1又は2以上の、外形に沿ったサポートにより形成された12の膨張可能な先細コンパートメントを含むことができる。しかし、他の実施形態は、1又は2以上の膨張可能な先細コンパートメントを有してもよい。さらに、膨張可能な先細コンパートメントの配分は、RV側に4つのチャンバー、及びほとんどがLV上にあるが心室間溝とも重なっている8つのチャンバーの設計とは異なってもよい。例えば、デバイスは、RV側に1〜12又は13以上のチャンバー、並びにほとんどがLV上にあり且つ心室間溝と重なっている1〜24又は25以上のチャンバーを有してもよい。
【0057】
膨張可能な先細コンパートメントは、入口ポート及び出口ポートを通じて流体圧力源に接続される。デバイスは、収縮期に陽圧により膨張され、拡張期に吸引により収縮される。特定の適用及び構造に応じて、他の構造及び複数の接続も可能である。
【0058】
本発明は、心臓の外側の、心外膜境界に力を加えて流入を制限し心臓を通る右フロー対左フローを調節する、外形に沿った拡張期リコイルデバイスをさらに含む。デバイスは、心臓を解放可能に従事させるように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを有する、選択的に膨張可能な拡張終期の外形に沿ったブラダを含む。1又は2以上の、外形に沿ったサポートは、拡張期に右心室の拡張終期容積を減少させるため、右心室に面して内側に突き出ている。デバイスは、選択的に膨張可能な拡張終期の外形に沿ったブラダを加圧及び除圧するため、選択的に膨張可能な拡張終期の外形に沿ったブラダに連通する入口接続部及び出口接続部も有する。残留圧力は、拡張期に完全には低下しないように右心室周囲に加えられる。一般に、インレットラインは、選択的に膨張可能な拡張終期の外形に沿ったブラダを動作可能に拡張させるため、入口接続部に連通しており、アウトレットラインは、選択的に膨張可能な拡張終期の外形に沿ったブラダから流体を動作可能に引き出すため、出口接続部に連通している。これは、圧力を加える及び除去する従来のデバイス又は本発明専用のカスタムデバイスへの接続を可能にする。
【0059】
患者の心臓へのアクセスがひとたび提供されれば、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダである本発明は、心臓の周辺の少なくとも一部の周囲に配置することができる。選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダを収縮期に陽圧により膨張させ、また選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダを拡張期に収縮させるため、次いで流体源に接続される。或いは、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダを収縮及び膨張させるため、配置及びこの後のアクティブ化の前に流体源に接続される。
【0060】
本発明は、心臓の正しい収縮終期形状に類似した湾曲を提供するため心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを備える収縮終期の心臓の外形に沿ったブラダを有する、運動障害及び運動低下を減少させる、外形に沿った拡張期リコイルデバイスをさらに含む。
【0061】
本発明は、心臓幹細胞の増殖及び機能的心筋細胞への分化をもたらす生理学的機械的環境を促進する方法をさらに含む。本方法は、患者の心臓へのアクセスを提供すること、及び選択的に膨張可能な拡張終期の心臓形状をしたブラダを心臓の周辺の少なくとも一部の周囲に配置することを含む。選択的に膨張可能な拡張終期心臓形状ブラダは、収縮期に陽圧により膨張させ、且つ選択的に膨張可能なブラダを拡張期に収縮させるため、選択的に膨張可能な拡張終期心臓形状ブラダへの流体源に接続される。残留圧力は、拡張期に完全には低下しないように右心室周囲に加えられる。
【0062】
本発明は、内膜及び外膜により形成された加圧可能なチャンバー、並びに加圧可能なチャンバーが加圧された時に心臓の正しい拡張終期形状に類似した湾曲を提供するための、加圧可能なチャンバー内に置かれた1又は2以上の、外形に沿ったサポートを含む、選択的に膨張可能な拡張終期心臓形状ブラダをさらに含む。1又は2以上の拡張終期の外形に沿ったサポートは、心臓の正しい拡張終期形状に類似した心臓の幾何学的形状にフィットするように最適化された拡張された湾曲を有する、1又は2以上の膨張可能なコンパートメントを形成する。
【0063】
収縮終期形状をした心臓の幾何学的形状にフィットするように最適化される、心臓の外側の、心外膜境界に力を加える拡張期リコイルデバイスが、本発明により提供される。拡張期リコイルデバイスは、心臓の周辺の少なくとも一部を取り囲み、且つ加圧可能なチャンバーが加圧された時に心臓の正しい収縮終期形状に類似した湾曲を提供するように構成された、1又は2以上の収縮終期の外形に沿ったサポートを有する選択的に膨張可能なブラダ、並びに選択的に膨張可能なブラダを加圧及び除圧するため選択的に膨張可能なブラダと連通する1又は2以上の流体接続部を含む。
【0064】
本発明は、心臓の収縮終期及び拡張終期構造を別々に調節することができる拡張期リコイルデバイスをさらに含む。選択的に膨張可能なコンパートメント又はブラダのうち、幾つかは収縮期の膨張のみをさせるように特異的に設計され得るのに対し、他は収縮期及び拡張期に膨張されたままであるように設計される。拡張期に膨張することで、拡張期リコイルデバイスは拡張終期の容積及び心臓の形状を調節することができ、収縮期に選択的に膨張することで、拡張期リコイルデバイスは収縮終期の容積及び心臓の形状を調節することができる。
【0065】
本発明は、運動障害性及び/又は運動低下性の運動を減少させる罹患又は損傷した心臓での攣縮歪みパターンを促す拡張期リコイルデバイスをさらに含む。デバイスは、加圧された時に心臓の正しい形状に類似した湾曲を提供するため心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを備える、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダを含む。デバイスは、加圧及び除圧のため選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダと連通する1又は2以上の流体接続部も含む。
【0066】
本発明は、患者の心臓へのアクセスがひとたび行われれば、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状ブラダを心臓の周辺の少なくとも一部の周囲に配置して、心臓の湾曲を反転させる又は著しく乱すことなく攣縮時に心臓を圧迫する拡張期リコイルデバイスを提供することを含む、罹患又は損傷した心臓を補助する方法をさらに含む。次のステップは、収縮期に陽圧により膨張させ、且つ選択的に膨張可能なブラダを拡張期に収縮させるため、選択的に膨張可能な収縮終期心臓形状ブラダへの流体源のアクティブ化である。
【0067】
本発明は、収縮終期形状をした心臓の幾何学的形状にフィットするように最適化される、心臓の外側の、心外膜境界に力を加える拡張期リコイルデバイスをさらに含む。デバイスは、2又は3以上の、外形に沿ったコンパートメント、入口接続部及び出口接続部を含む。2又は3以上の、外形に沿ったコンパートメントは、心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成され、及び加圧された時に心臓の正しい収縮終期形状に類似した湾曲を提供するように個々に外形に沿っている。入口接続部は、2又は3以上の膨張可能な外形に沿ったコンパートメントに連通し、出口接続部は、2又は3以上の膨張可能な外形に沿ったコンパートメントに連通する。
【0068】
本発明は、外形に沿った心臓補助デバイス及び加圧装置を含む運動障害及び運動低下減少システムをさらに含む。外形に沿った心臓補助デバイスは、加圧された時に心臓の正しい形状に類似した湾曲を提供するため心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを備える選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダ、並びに加圧及び除圧のため選択的に膨張可能な収縮終期心臓形状ブラダと連通する1又は2以上の流体接続部を含む。外形に沿った心臓補助デバイスの1又は2以上の流体接続部と連通する加圧装置、並びに加圧機構及び除圧機構を含む。加圧装置は、外形に沿った心臓補助デバイスに圧力を加え、外形に沿った心臓補助デバイスから圧力を除去することができる。加圧装置は、加圧状態と除圧状態の間の異なる循環率を可能にするように制御可能である。
【0069】
本発明は、拡張期リコイルデバイス、特にソフトシェル型直接心臓圧迫デバイス、及びこれを移植する方法をさらに含む。特にこれは、心筋におけるアポトーシスを減少させ、並びに/又は心筋の有益な成長及びリモデリング及び/若しくは心臓幹細胞再生をもたらす有益な機械的環境を誘導するように、攣縮期に心臓における歪みパターンを積極的に調節するソフトシェル型直接心臓圧迫デバイスに関する。特に、本発明のデバイスは、攣縮時に心臓の湾曲を反転させない又は著しく乱すことがない。
【0070】
本発明の特定の実施形態では、歪みパターンは、生理学的歪みパターンに近い、生理学的歪みパターン又は異常ではない歪みパターンである。生理学的歪みパターンは、本発明の目的のため、収縮期に心臓の湾曲を反転させない又は著しく変えないものである。本発明はまた、拡張期の正常な湾曲若しくは歪みパターン、又は心臓の弛緩も維持する。
【0071】
本発明の特定の実施形態は、患者に移植された場合(例えば境界領域での運動障害を排除するために)、心筋を維持し、梗塞拡大を最低限に抑え心臓幹細胞の増殖及び機能的心筋細胞への分化を促す。
【0072】
ほとんどのケースでは、本発明のデバイスは、小切開により挿入することができる。本発明のデバイスは、心電図(ECG)にデバイスを同調させる、又はデバイスアクティブ化に対して心臓をペーシングするのに使用することもできるクランプにより心耳に取り付けることもできる。
【0073】
本発明の特定の実施形態は、心臓幹細胞療法と併せて使用することができる。心臓再生療法に使用される幹細胞には、胚性幹細胞由来の幹細胞、骨髄から採取された体性幹細胞、心臓組織由来の前駆細胞、筋肉細胞由来の自家骨格筋芽細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、及び内皮前駆細胞が含まれるが、これらに限定されない。本発明は、自然発生の心臓幹細胞と併用することもできる。移植幹細胞は、梗塞領域、心臓瘢痕組織、境界領域、又は健康な心臓組織を含む心臓組織に直接注入されてもよい。移植幹細胞は、心臓組織の全身供給領域に注入されてもよく、損傷又は罹患した心臓の領域に移動し、損傷又は罹患した心臓の領域に生着することができる。移植幹細胞は、損傷又は罹患した心臓の領域に拡散性生成物を提供することもできる。
【0074】
作動中、本発明は、幹細胞を機械的に刺激して機能的心筋細胞へ分化させ罹患した心臓に生着させるために、心臓の外側の、心外膜面に力を加えて生理学的機械的環境を促進する。以下の記載は、このような力を加えるように設計された拡張期リコイルデバイスのさまざまな実施形態についてである。
【0075】
本発明は、移植幹細胞が正常な心臓力学に一般的に関連した歪みパターンを受けるように、心臓の外側の、心外膜境界に力を加える拡張期リコイルデバイスを含む。拡張期リコイルデバイスは、幹細胞が刺激されて機械的因子により成長し、再増殖し、機能的心筋細胞へ分化するように、心臓周囲の機械的環境を操作することができる。拡張期リコイルデバイスは、心臓の湾曲を反転させる又は著しく乱すことなく攣縮時に心臓を圧迫する直接心臓圧迫を罹患又は損傷した心臓に提供して、運動障害性及び/又は運動低下性の運動を減少させる罹患又は損傷した心臓での攣縮歪みパターンを促すことができる。
【0076】
本発明の実施形態の治療パラダイムをモデル化し、どれほどの駆動圧が必要とされるかを全体的に推定するには、平均半径(「R」)、厚さ(「H」)及び壁内外圧差(P
in−P
out)(式中、P
inは心室における圧力、P
outは心室の外側の圧力である)に基づき平均壁応力(「σ」)を与える球形容器に対するラプラスの法則を使用することができる。特に、以下の通りである。
σ=(P
in−P
out)H/2R
【0077】
血液はほとんど圧縮できないため、血流は圧力勾配により(又はあまり正確ではないが圧力差により)支配される。一般の損失なしで、血圧を気圧との差として定義することができる。ラリフィケーション(rarification)及び緻密化(densification)のため、圧縮性流体における血流は圧力勾配及び絶対圧力の両方に媒介される。P
outは賢明にもゼロとして選ばれる場合が多いが、本発明の選択されたデバイスは心臓の心外膜面に圧力を加えてP
outを調節していることから、本計算にはP
outは重要なパラメーターである。本発明の特定の実施形態の焦点は故に、P
outを増加させてより低いσを得、故により高い運動又は駆出を得ることである。大きな、薄い、及び運動低下性の心臓については、σを正常な心臓と少なくとも同じぐらい低くすることが必要である場合がある。
【0078】
P
inを一般的な平均収縮期圧力(例えば、7.5kPa又は約100mmHg)とする。正常な成体ヒツジに関する拡張終期での一般的な厚さ対半径比が、1対2.5であるのに対し、過負荷がかけられた、リモデリングされた心筋(Guccione et al.、2001の心尖部瘤モデルのような)に関する厚さ対半径比は、約1対4である。
【0079】
上記の方程式を用いて、同じP
inによりσを正規化するには、2.8kPaのP
outが必要とされる。これは、実施例2でさらに記載されるインビトロ試験に使用された最大駆動圧(約3kPa)に類似している。心室の回復のため、外部圧力は、肺動脈圧とほぼ同じ又は肺動脈圧よりわずかに高い位数(order)であることが必要である可能性がある。故に、右心室(「RV」)駆出率はほぼ100%であることが予想される。外部圧力が、RVチャンバーにおける圧縮できないRV心筋及び圧縮できない血液を通じて伝えられる一方、RV流出は加速される。心外膜面全体に加えられた均一な圧力は、収縮性の全レベルで心臓を補助するであろうことが示されている。
【0080】
本発明の特定の実施形態は、RV流入を減少させてRV流出の予想される増加を代償することができる。この能力が無ければ、RV及びLVの健康な領域は、過剰な負荷軽減により萎縮する可能性がある。しかし、本発明の特定の実施形態は、P
outの離脱又は漸次減少、及び萎縮を防止して心室の回復を達成するのに有用であることが示されているクレンブテロールの使用には理想的である。
【0081】
本発明の1つの実施形態は、収縮された時に折り畳め、低侵襲移植を可能にする、膨張可能な、長手方向に配向されたチャンバーを有する、ソフトシェル型DCCDである。さらに、収縮されたチャンバーは、典型的な拡張期構造を可能にする構造を形成するように成形され、隣接される。加圧された時、チャンバーは、正常な湾曲を有する収縮期構造を誘導するようなやり方で心臓の外側を押す。
【0082】
図2A及び2Bは、
図2Aに見られるような収縮状態、及び
図2Bの膨張状態での本発明のデバイス1の1つの実施形態の水平断面を示す。デバイス1は、RV側に4つのチャンバー、及びほとんどがLV上にあるが心室間溝とも重なっている8つのチャンバーが並べられた12のチャンバー2〜13を含む。チャンバー2〜13は、1つの実施形態ではポリエチレンフィルムから構築される。しかし、他の材料が使用されてもよい。外側境界にあるチャンバー2〜13の側面は、心臓の拡張終期形状に類似した形状を形成する。内側表面14は、膨張された時にチャンバー2〜13が大部分は内側に拡張するように折り目及び小円鋸歯を有する。
【0083】
図3A及び3Bは、
図3Aに見られるような収縮状態、及び
図3Bの膨張状態での本発明のデバイス1の1つの実施形態の垂直断面を示す。デバイス1は、膨張及び収縮状態でのチャンバー5及び12を含む。外側境界にあるチャンバー2〜13の内側表面14は、心臓の拡張終期形状に類似した形状を形成する。内側表面14は、膨張された時にチャンバー2〜13が大部分は内側に拡張して心臓15の心外膜16に接触するように折り目及び小円鋸歯を有する。
【0084】
図4A及び4Bは、心臓15にフィットされた本発明のデバイス1の1つの実施形態の水平断面を示す。
図4Aは収縮状態であり、
図4Bは膨張状態である。デバイス1は、RV側に4つのチャンバー、及びほとんどがLV上にあるが心室間溝とも重なっている8つのチャンバーが並べられた12のチャンバー2〜13を含む。チャンバー2〜13は、心臓15の心外膜16に接触する内側表面14を含む。外側境界にあるチャンバー2〜13の側面は、心臓の拡張終期形状に類似した形状を形成する。内側表面14は、膨張された時にチャンバー2〜13が大部分は内側に拡張するように折り目及び小円鋸歯を有する。心臓17及び18の内側領域の形状は、
図4Bに見られるような膨張状態及び
図4Aの収縮状態で比較することができる。
【0085】
図5A及び5Bは、
図5Aに見られるような収縮状態、及び
図5Bに見られるような膨張状態で心臓15にフィットされたデバイス1の1つの実施形態の垂直断面を示す。デバイス1は、膨張及び収縮状態でのチャンバー5及び12を含む。外側境界にあるチャンバー2〜13の内側表面14は、心臓の拡張終期形状に類似した形状を形成する。内側表面14は、膨張された時にチャンバー2〜13が大部分は内側に拡張して心臓15の心外膜16に接触するように折り目及び小円鋸歯を有する。内側領域17及び18の形状は、
図5Bに見られるような膨張状態及び
図5Aに見られるような収縮状態で比較することができる。
【0086】
内側に心臓がない十分に加圧された形状は、本発明の1つの実施形態を示すのに役立つが、デバイスが
図2B及び4Bに見られるような圧力下で血液を含有する心臓を取り囲む場合、形状は著しく異なるであろう。内側に心臓があれば、デバイスの内腔の圧力は膨張可能なチャンバー中の圧力より高い。チャンバーは十分に拡張できないため、チャンバーの内側フィルムはピンと引っ張られない。フィルム上の張力によりサポートされる(例えば、
図2B)よりも、長手方向チャンバーの内腔側の圧力は、心外膜面の接触力によりサポートされる(例えば、
図4B)。内側フィルム上の張力がなければ、取り付けポイントは内側に引き寄せられない(例えば、
図2B)。代わりに、チャンバーの外側の形状は円形となってチャンバー内の圧力をサポートする(例えば、
図4B)。内膜がどの程度小円鋸歯状であり、故に張力下にないかに留意されたい。結果として、デバイスチャンバー中の圧力は、心臓表面に直接圧力を加える。同様の方法で、血圧測定用カフは患者の腕の表面に直接圧力を加える。
【0087】
膨張可能なチャンバーは、
図3Bに見られるように天然の心臓の湾曲に似た形で基底から尖端へ行くにつれて先細になるため、心臓の尖端は生理学的湾曲を有するであろう。さらに、デバイスは加圧された時は硬いため、尖端端部の湾曲された形状は、心臓がデバイスから放り出されるのを防止するように働くであろう。基本的に、心臓がデバイスを離れるには、尖端形状がすぼまらなければならないことになる、又は真空がデバイスの尖端端部に生じる必要があることになり、これらは両方とも起こりそうにない。
【0088】
図3及び5は、移植、及び心臓とデバイスの間に蓄積し得る流体の除去に有用である、尖端のアクセスポート(すなわち、デバイスの底部の孔)を示す。さらに、生体適合性の潤滑剤、抗凝固剤、抗線維化剤、医薬品、又は抗生剤が、心臓とデバイスの空間に注入されてもよい。デバイスが離脱後容易に除去され得るように、デバイスは、Surgiwrap(登録商標)などの、線維性癒着を遅延するフィルムで被覆されてもよい。
【0089】
上述されたように、RVはより低圧で機能し、薄い壁を有するため、本発明の特定の拡張期リコイルデバイスは、LV駆出よりもRV駆出を増強するであろう。試作品の移植で観察されたように、肺動脈圧に等しい又は肺動脈圧より大きい駆動圧が生じる可能性があり、100%RV駆出率をもたらすことが予想される。RV流出がLV流出と比較して連続的に増加されるならば、肺鬱血が結果として生じ得る。自己調節機構は、LV駆出を超えるRV駆出のこの増強を緩和することができる。そうでない場合、拡張期リコイルデバイスにおけるRV及びLVチャンバーの分離が有用になり得る。特に、拡張期に4つのRVチャンバーの残留加圧によりRV充満を妨害することが可能になり得る。RVへの流入を制御することで、RV流出対LV流出の比を調節することができる。
【0090】
図6は、残留RV心外膜圧力(RRVEP)の適用によりどのようにRV流入(すなわち、充満)が調節され得るかを示す。拡張期に、心筋は弛緩され、心臓形状は乱され易い。RV自由壁は極めて薄いため、これは特にRV自由壁に当てはまる。故に、RV自由壁に隣接している4つのチャンバー中の残留ガスは、RVが充満するのを防止する可能性がある一方で、LVを乱されないままにしておく。本質的に、駆出を調節するよりも充満を別個に調節するほうが容易である。
【0091】
図6A及び6Bは、心臓15にフィットされた本発明のデバイス1の1つの実施形態の水平断面を示す。
図6Aは収縮状態であり、
図6Bは膨張状態である。デバイス1は、RV側に4つのチャンバー、及びほとんどがLV上にあるが心室間溝とも重なっている8つのチャンバーが並べられた12のチャンバー2〜13を含む。チャンバー2〜13は、心臓15の心外膜16に接触する内側表面14を含む。外側境界にあるチャンバー2〜13の側面は、心臓の拡張終期形状に類似した形状を形成する。内側表面14は、膨張された時にチャンバー2〜13が大部分は内側に拡張するように折り目及び小円鋸歯を有する。内側領域17及び18の形状は、
図6Bに見られるような膨張状態及び
図6Aに見られるような収縮状態で比較することができる。
【0092】
本発明は、RV容積が慢性的に減少し、天然のRV1回仕事量が減少する結果としての潜在的なRV自由壁萎縮の短所を克服する。有利には、本発明は歪みパターンを積極的に調節する。これは、補助を等級付けすることができるためデバイスから心臓を離脱させるのに理想的である。従来のDCCDは、心臓が著しく変形するほどに弱った場合に補助するのみである。
【0093】
心臓周期の収縮終期に、本発明は、正しい心臓の収縮終期形状に類似した湾曲を有する形状を有する。本発明は、エネルギーが消費されて収縮期に形状変化を達成し、エネルギーが解放されて拡張期に形状変化を達成するという意味で能動的である。エネルギー源は、空気圧源からである。収縮期に(すなわち、拡張終期から収縮終期までの形状変化)デバイスは陽圧により膨張される。拡張期に(すなわち、収縮終期から拡張終期までの形状変化)本発明のデバイスは吸引により収縮される。RV血流制限が可能である場合、幾らかの残留圧力が右心室に隣接するチャンバーに加えられるため、本発明のデバイスは拡張期に完全には収縮されない。
【0094】
本発明は、収縮された時に柔らかい又は折り畳める。さらに本発明は、血液との接触がないことから、血栓症及び感染のリスクを最小限に抑える。加圧された時の当技術分野におけるデバイスの多く、又は従来のデバイスの収縮終期形状は著しく異常であり、これは、心臓にDCCDを取り付けるのに使用されるさまざまなスキーム(例えば、心室への縫合、基底のドローストリング(basal drawstring)、尖端吸引カップ等)により証明される。
【0095】
心臓は加圧又はアクティブ化されたデバイスに自然に引き込まれるため、本発明を心臓に取り付ける必要はない。具体的には、心臓がデバイスから離れる(すなわち、拡張期リコイルデバイスから押し出される)には、デバイス湾曲は反転する必要があることになるが、デバイス剛性(加圧された時)は湾曲反転に抵抗する。これは極めて有用である。なぜなら、この特徴が存在する場合、−すなわち、デバイス空洞(すなわち、心臓の心外膜又は外側境界に接触する拡張期リコイルデバイスの内壁)のアクティブ化形状がほぼ収縮終期形状である場合、取り付けによる移植時間及び合併症が最小限に抑えられるためである。これは、運動障害(異常な心臓運動として定義される)を排除することができる。現在の証拠は、心臓幹細胞の機能的心筋細胞への分化は心臓攣縮時の運動などの機械的刺激により影響され、これにより運動障害の排除が最重要であることを示している。デバイスは、循環系を活性化又は加圧するのに心臓の必要とされるポンプ能力の一部を提供する。異常な心臓はしばしば、「負荷軽減される」又は身体の循環需要を満たすことを補助される必要がある。
【0096】
本発明は、
図9に示されたような二相性及び動的サポートデバイスを含む。本発明は、標的拡張終期容積(TEDV)としても知られる調整可能な「相転移点」に関して二相性である。
図10は、心臓容積がTEDV未満の場合は、本発明のデバイスが充満を増強し(すなわち、「充満増強」相)、心臓容積がTEDVを超える場合は、本発明のデバイスが充満を妨害する(すなわち、「充満妨害」相)関係を示すPVプロットである。本発明のデバイスの二相コンポーネントの充満妨害は、全治療サイクルを通じて受動的サポートを調整するのに使用することができる。調整可能な受動的サポートコンポーネントは、心臓の心外膜面に連続してサポートを加え、これにより逆リモデリングを促すであろう。罹患した心臓がより小さくなることでサポートに応答し始めるにつれて、TEDVは
図11に見られるように初期治療介入と同じ量のサポートを提供するように調整することができる。本発明の二相コンポーネントの充満増強は、拡張期リコイルを増強するように働く。本発明のデバイスは、心室充満を促す陰圧を発生させて心臓圧力がTEDVより低い場合に利用される弾性記憶コンポーネントを有する。拡張期リコイル増強は、有効な治療に不可欠である。
図10は故に、本発明のデバイスの二相補助コンポーネントを立証している。心臓圧力が転移点未満、すなわち、TEDV未満である場合、本発明のデバイスは充満を増強し、心臓容積を増加させるが、心臓圧力が転移点を超える場合、本発明のデバイスは充満及び心臓容積を抑制する。本発明は、収縮された時に柔らかい又は折り畳める。
【0097】
サポートに対する特異的適応を有する従来のデバイスとは異なり、本発明の二相性及び動的サポートデバイスは、能動的補助及び調整可能な受動的サポートの二重コンポーネントを有する。本発明の調整可能な受動的サポートは、6〜8ヵ月の期間にわたって肥大した心臓のサイズを減少させる。受動的サポートは長期間役に立つが、静脈圧の増加を急激に引き起こし得る。本発明の動的サポートコンポーネントにより、この合併症は緩和することができる。本発明の動的サポートコンポーネントは、正常な心臓運動を回復させる能動的心臓補助を適用する。本発明の動的サポートコンポーネントは、能動的補助が利用される場合、心臓の心外膜面に圧力を加え、故に生理学的運動を促進し、心拍出量を維持するのに必要とされる1回仕事量を増加させるように構成される。本発明は、個体の必要性に応じて動的補助の量を調節し、及び心原性ショックを管理する手段を提供することができる。
【0098】
本発明の二相性及び動的サポートデバイスは、フィルム層間に流体充満ブラダを備える多層の生体適合フィルムをさらに含む。この構造は、心臓の心外膜面と胸壁の間の術後の心膜癒着を防止する及び/又は減少させる。抗心膜癒着デバイスの内層が心臓の心外膜面への接着を形成する一方、デバイスの外層は胸腔への接着を形成する。二層間の流体充満ブラダは、心臓の心外膜面と胸壁の間の癒着を防止するバリアとして働く。これは、この後に手術が必要とされる場合、心臓へのより容易なアクセスを可能にし、正常な心臓機能の間は心臓が胸腔の内側で自由に動くことも可能にする。
【0099】
本発明は、(1)肥大した罹患した心臓のサイズの漸次減少を促進し、拡張期リコイルを増強し、ポンピング効率を改善するようにTEDVを制御することによる調整可能な受動的心臓サポート及び拘束、並びに(2)最適な心機能(すなわち1回拍出量、心拍出量、駆出率、1回仕事量等)及び回復リモデリング過程をもたらす運動学を維持する能動的同期心臓補助を提供する。本発明は、さらに、心臓と胸壁の間に流体充満バリアを作って心膜癒着を防止し、心臓運動を改善する。本発明は、血液と接触しないため、血栓症及び感染のリスクは最低限に抑えられる。
【0100】
加圧された時に、心臓にDCCDを取り付けるのに使用されるさまざまなスキーム(例えば、心室への縫合、基底のドローストリング、尖端吸引カップ等)により証明されるような著しく異常な収縮終期形状を有する従来のデバイスとは異なり、心臓は加圧又はアクティブ化されたデバイスに自然に引き込まれるため、本発明を心臓に取り付ける必要はない。具体的には、心臓がデバイスから離れる(すなわち、拡張期リコイルデバイスから押し出される)には、本発明のデバイスの湾曲は反転しなければならないことになる。これは、加圧された時に湾曲反転に抵抗するデバイスの剛性のため起こらない。これは有利である。なぜなら、デバイス空洞(すなわち、心臓の心外膜又は外側境界に接触する拡張期リコイルデバイスの内壁)のアクティブ化形状がほぼ収縮終期形状である場合、取り付けによる移植時間及び合併症が最小限に抑えられるためである。故に、これは、運動障害(異常な心臓運動として定義される)を排除することができる。
【0101】
現在の研究は、心臓幹細胞の機能的心筋細胞への分化は心臓攣縮時の運動などの機械的刺激により影響され、これにより運動障害の排除が最重要であることを示している。本発明の利点は、循環系を活性化又は加圧するのに心臓の必要とされるポンプ能力の一部を提供することである。異常な心臓はしばしば、「負荷軽減される」又は身体の循環需要を満たすことを補助される必要がある。
【0102】
本発明のデバイスの別の利点は、フェイルセーフ機構を提供することである。特に、デバイスは、デバイスが収縮又は非アクティブ化された時に心機能を妨げない。本明細書に記載されたさまざまな実施形態では、デバイスを柔らかく、折り畳めるようにするため、デバイスは完全に収縮され(真空に初期設定され)てもよい。
【0103】
一般に材料が身体に移植される場合、身体は異物の存在を認識し、免疫防御系を誘発して異物を排出し破壊する。これは、浮腫、周囲組織の炎症、及び移植された材料の生分解をもたらす。結果として、本発明は少なくとも部分的に、医用の移植可能な材料からなる。本発明を製造するのに使用される、適切な、生体適合性の、生体安定性の、移植可能な材料の例には、ポリエーテルウレタン、ポリカーボネートウレタン、シリコーン、ポリシロキサンウレタン、水素化ポリスチレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン及びジシクロペンタジエンターポリマー、並びに/又は水素化ポリ(スチレン−ブタジエン)コポリマー、ポリ(テトラメチレン−エーテルグリコール)ウレタン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート−エチレンカーボネートグリコール)ウレタン、並びにこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明は、生体適合性の、生体安定性の、移植可能なポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリプロピレン、及び/又はポリウレタンでできているフィラメントで強化されてもよい。
【0104】
本発明の構築に使用される材料は、腸球菌、シュードモナス・エルジノーサ(pseudomonas auerignosa)、ブドウ球菌及びスタフィロコッカス・エピデルミス(staphylococcus epidermis)感染などの医療デバイス移植に関連した感染の発生を最低限に抑える。本発明の実施形態は、感染を防止する又は減少させる生体活性層又は被覆を含む。例えば、生物活性剤が本発明に移植、被覆又は播種されてもよく、抗菌剤、抗生剤、抗有糸分裂剤、抗増殖剤、抗分泌剤、非ステロイド系抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ポリメラーゼ剤(antipolymerase)、抗ウィルス剤、抗体標的治療剤、プロドラッグ、フリーラジカルスカベンジャー、酸化防止剤、生物剤、又はこれらの組み合わせが含まれる。抗菌剤には、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン二塩酸塩、塩化ドデカルボニウム及びスルファジアジン銀が含まれるが、これらに限定されない。一般に、必要とされる抗菌剤の量は剤に依存する。しかし、濃度は0.0001%〜5.0%の範囲である。
【0105】
さらに、本発明の特定の実施形態は、デバイスに組み込まれたリード線、電極又は電気接続を有してもよい。存在する場合、これらは、貴金属(例えば、金、プラチナ、ロジウム及びこれらの合金)又はステンレス鋼から作られてもよい。さらに、心臓のペーシング又は除細動を提供するため、通常のペースメーカーリード線及び除細動リード線が本発明に組み込まれてもよい。
【0106】
1又は2以上の、外形に沿ったサポートは、心臓の正しい収縮終期形状に概ねフィットするように最適化された拡張された湾曲を有する、1又は2以上の膨張可能なコンパートメントを形成する。選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、除圧された時に少なくとも部分的に折り畳まれ、加圧された時に少なくとも部分的に開く内膜を含む。
【0107】
選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、除圧された時に一般に折り畳め、且つ加圧中は放射状の外側への拡張に抵抗するように強化される。本発明のデバイスは、特定の治療に応じて多くの構造を取ることができる。例えば、選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダは、心臓の正しい収縮終期形状に類似した拡張された湾曲を提供するため、1又は2以上の、外形に沿ったサポートにより形成された12の膨張可能な先細コンパートメントを含むことができる。しかし、他の実施形態は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又は31以上の膨張可能な先細コンパートメントを有してもよい。さらに、膨張可能な先細コンパートメントの配分は、RV側に4つのチャンバー、及びほとんどがLV上にあるが心室間溝とも重なっている8つのチャンバーの設計とは異なってもよい。例えば、デバイスは、RV側に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13以上のチャンバー、並びにほとんどがLV上にあり心室間溝と重なっている1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25以上のチャンバーを有してもよい。特定の適用及び治療のためのこのチャンバー配分決定は、当業者の範囲内である。
【0108】
本発明はまた、運動障害性又は運動低下性の運動を減少させる罹患又は損傷した心臓での攣縮歪みパターンを促す直接心臓圧迫デバイスも提供する。デバイスは、加圧された時に心臓の正しい形状に類似した湾曲を提供するため心臓の少なくとも一部を取り囲むように構成された1又は2以上の、外形に沿ったサポートを備える選択的に膨張可能な収縮終期の心臓形状をしたブラダを含む。デバイスはまた、加圧及び除圧のため選択的に膨張可能な収縮終期心臓形状ブラダと連通する1又は2以上の流体接続部も含む。
【0109】
本明細書に論じられたいずれの実施形態も、本発明の任意の方法、キット、試薬、又は組成物に関して実施でき、その逆もまた同様であることが企図される。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するのに使用することができる。
【0110】
本明細書に記載された特定の実施形態は、例示の方法により示されており、本発明の限界として示されるものではないことが理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなくさまざまな実施形態で使用することができる。当業者は、本明細書に記載された特定の手順に対する多数の均等物を認識し又は単なる通常の実験を用いて確認することができるであろう。このような均等物は、本発明の範囲内であると見なされ、特許請求の範囲により含まれる。
【0111】
本明細書に述べられた全ての出版物及び特許出願は、本発明が関連する当業者のレベルを示している。全ての出版物及び特許出願は、各出版物又は特許出願が参照により組み込まれることを具体的に及び個別に示される場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0112】
単語「ある(a)」又は「ある(an)」の使用は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において用語「含む(comprising)」と併せて使用される場合、「1つ(one)」を意味し得るが、「1又は2以上(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、及び「1又は1を超える(one or more than one)」の意味とも一致する。特許請求の範囲における用語「又は(or)」の使用は、代替物のみを指すことが明確に示されない、又は代替物が相互に排他的でない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するように使用されるが、開示は、代替物のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。本出願を通して、用語「約(about)」は、値が、デバイスに関する誤差の固有の変形形態、値を決定するのに使用される方法の固有の変形形態、又は試験対象間に存在する変形形態を含むことを示すのに使用される。
【0113】
本明細書及び請求項(特許請求の範囲)で使用されるように、単語「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」などの、含む(including)の任意の形態)又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの、含有する(containing)の任意の形態)は、包含的又は可変的であり、別の、列挙されていない要素又は方法ステップを除外しない。
【0114】
本明細書で使用されているような用語「又はこれらの組合せ(or combinations thereof)」は、用語に先行する列挙されたアイテムの全ての順列及び組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つ、及び特定の文脈において順番が重要である場合は、同様にBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABの少なくとも1つを含むことが意図される。この例に続いて、明示的に含まれるのは、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等などの1又は2以上のアイテム又は用語の反復を含有する組合せである。当業者は、文脈から特に明白でない限り、いずれの組合せでも典型的にはアイテム又は用語の数に制限はないことを理解するであろう。
【0115】
本明細書に開示及び請求された組成物及び/又は方法の全ては、本開示に照らして過度な実験をすることなく作製し実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態の観点から記載されたが、変形形態が、本発明の概念、趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された組成物及び/若しくは方法、並びに方法のステップ又は方法のステップの順序に適用され得ることが、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなこのような類似の置換及び変更は全て、添付の特許請求の範囲により定義されるような本発明の趣旨、範囲及び概念の範囲内であると見なされる。