(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、炭素性の乾燥ゲルを利用している。このような乾燥ゲルは、液体成分が取り除かれ、気体に置き換えられ、熱分解/炭素化されたゲルまたはソルゲルから得られる多孔性の固体状態の材料である。これら材料は、乾燥方法によって分類され、カーボンキセロゲル、エアロゲルおよび冷却ゲルを含む。このような種類の材料は、それ自体よく知られている。
【0014】
キセロゲルは、通常、周囲圧力条件下で蒸発乾燥工程を利用して形成される。キセロゲルは、一般的には例えば60−90容量%の空気を含む硬質で低密度の泡に似た一体内部構造を有する。他方エアロゲルは、臨界乾燥などの他の方法を用いて製造することができる。これらは、乾燥工程においてキセロゲルより収縮せず、よって均一な低密度(例えば90−99容量%の空気)を有する傾向にある。冷却ゲルは、フリーズドライを利用して製造される。
【0015】
好ましくは本発明の乾燥ゲルは、カーボンキセロゲルまたはカーボンエアロゲルであり、カーボンキセロゲルであることが好ましい。
【0016】
本発明で使用する乾燥ゲルは、あらゆるソースから得ることができる。またいくつかの異なる方法をゲルを乾燥させるために利用可能である。1つの実施態様においてゲルは、芳香族アルコール(好ましくはレゾルシノール)をアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)で水性重縮合することによって得られる。1つの実施態様において触媒は、炭酸ナトリウムが使用される。この方法の例が、「Chem. Mater.」(2004)16、5676−5681に記載されている。
【0017】
本発明で使用される乾燥した炭素性ゲルは、アルデヒドと芳香族アルコールを重縮合することによって重縮合物を製する第1の工程によって得られる。入手可能であれば、市販の重縮合物を使用してもよい。
【0018】
重縮合物を得るための出発材料は、フェノール、レゾルシノール、カテキン、ヒドロキノンおよびフロログルシノールなどの芳香族アルコールおよびホルムアルデヒド、グリオキサル、グルタアルデヒドまたはフルフラールなどのアルデヒドである。一般に使用される好ましい反応混合物は、レゾルシノール(1,3−ジヒドロキシベンゾール)とホルムアルデヒドを含み、これらはアルカリ条件下で互いに反応し、ゲル状の重縮合物を形成する。重縮合工程は、通常、水性条件下で行われる。好適な触媒としては、炭酸ナトリウムなどの(水溶性)アルカリ塩およびトリフルオロ酢酸などの無機酸などがある。重縮合物を製するために反応混合物を温めてもよい。通常、重縮合反応は、室温より高い温度、好ましくは40乃至90°Cの温度で行われる。
【0019】
重縮合反応の速度並びに得られるゲルの架橋度は、例えばアルコールと触媒の相対量によって影響を与えることができる。当業者であれば所望の結果を得るために使用するこれらの成分の量の調節の仕方を知っているはずである。
【0020】
得られた重縮合物は、最初に乾燥させずにさらに処理することができる。1つの可能な実施態様では重縮合物を乾燥させてすべてまたはある程度の水分を除去してもよい。しかしながら完全に水分を除去しない方が有利であることが証明されている。
【0021】
所望の大きさの粒子を得るために重縮合物の大きさをそれがさらに処理される前に小さくすると有利であることが証明されている。重縮合物を小さくすることは、従来の機械的に大きさを減少させる技法またはグラインドを使用して行ってもよい。小さくする工程によって所望の粒径分布を有する粒状物が形成され、粉状のものが形成されるのが妨げられる。
【0022】
重縮合物(任意に粒径を小さくした)は、次に熱分解を受ける。熱分解は、炭化としても説明される。熱分解の間、重縮合物は、300乃至1500°C、好ましくは700乃至1000°Cの温度に加熱される。熱分解は、多孔性の低密度カーボンキセロゲルを形成する。
【0023】
カーボンキセロゲルの特性、例えば孔容積、表面積および/または孔径分布に影響を与える1つの方法は、熱分解の前、間または後にスチーム、空気、二酸化炭素、酸素または気体の混合物で処理することであり、これらは窒素または別の不活性ガスで希釈してもよい。窒素およびスチームの混合物を使用するのが特に好ましい。
【0024】
本発明の乾燥ゲルは、極めて固く、頑丈であり、よってその摩耗率は低く、孔構造をその崩壊を気にせずにより容易に操作することができる。さらに従来のカーボンは、黒色であるが、本発明の乾燥ゲルは、ガラスのように光沢がある、例えばガラス状で黒色である。
【0025】
本発明の乾燥ゲルの形体は、あらゆる好適な形状であり、例えば粒状、繊維性または単一の頑丈な構造体であってもよい。しかしながら、本発明の乾燥ゲルは、粒状であることが好ましい。好適な粒径は、100乃至1500μmまたは150乃至1400μmである。
【0026】
炭化工程は、好ましくは窒素、水および/または二酸化炭素を含む気体雰囲気内で行われる。言い換えれば本発明で使用される乾燥ゲルは、非活性化のものであってもよく、またある実施態様ではスチームまたは二酸化炭素で活性化してもよい。活性化は、孔構造を向上させる上で好ましい。
【0027】
乾燥ゲルは、煙フィルターまたは喫煙品に従来の方法で組み入れられる。本明細書中で使用する「喫煙品」なる用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているかは関係なく紙巻きタバコ、シガーおよびシガリロ並びに熱せられるが燃焼しない製品などの喫煙可能な製品を含む。本発明の好ましい喫煙品は、紙巻きタバコである。喫煙品には好ましくは喫煙者によって吸引される気体流のためのフィルターが設けられ、乾燥ゲルは、好ましくはこのフィルター内に組み込まれるが、これとは別にまたは加えて喫煙品の別の部分、例えばシガレットペーパー上または内に、または喫煙品内に含まれる。
【0028】
本発明の煙フィルターは、喫煙品に組み込むためにフィルターチップとして製造してもよく、あらゆる好適な構造のものであればよい。例えば
図1を参照すると、紙巻きタバコ(1)のフィルター(2)は、セルロースアセテートなどの繊維性のろ過材全体に均一に分布された炭素性乾燥ゲル(3)を含んでもよい。このフィルターは、これとは別に紙巻きタバコに組み込んだ際にタバコロッド端となるフィルターの一端のトウセクション全体に乾燥ゲルが分布される「ダルメシアン」フィルターの形状であってもよい。
【0029】
図2に示す別の選択肢は、複数のセクションを含む「キャビティー(凹部)」フィルター形状にフィルターを作製するものであり、乾燥ゲル(3)を1つの凹部(4)内に閉じ込める。例えば乾燥ゲルを含む凹部は、繊維性のフィルター材からなる2つのセクションの間に位置してもよい。
【0030】
これとは別に
図3では乾燥ゲル(3)がフィルターのプラグラッパー(5)上、好ましくはその内面で放射状に位置してもよい。これは、例えば接着剤からなるパッチをプラグラッパーに塗布し、この接着剤上に乾燥ゲルを撒くなどの従来の方法(例えば英国特許第2260477号、英国特許第2261152号および国際公開第WO/2007/104908号参照)で行ってもよい。
【0031】
別の選択肢は、知られている方法でフィルターを長手方向に延びる糸(例えば綿糸)に接着させた形体の乾燥ゲルを供することである。
【0032】
その他の可能性も当業者には知られている。
【0033】
あらゆる好適な量の乾燥ゲルを使用してもよい。しかしながら好ましくは少なくとも10mg、15mg、好ましくは25mgまたは好ましくは少なくとも30mgの乾燥ゲルをフィルターまたは喫煙品に組み込む。タバコ煙をろ過する際、一連の異なる粒径を有する多孔性の炭素材を使用して煙中の一連の異なる化合物を吸着するようにすると有利である。炭素材に見られる異なる粒径は、IUPACに従って次のように分類される。ミクロ孔は、2nmの径を有するもの、メソ孔は、2乃至50nmの径を有するもの、マクロ孔は、50nm以上の径を有するもの。ミクロ孔、メソ孔およびマクロ孔の相対容量は、よく知られている窒素吸着法および水銀ポロシメトリー法などのよく知られている方法で見積もることができ、前者はミクロ孔およびメソ孔向きであり、後者はメソ孔およびマクロ孔に向いている。しかしながらこの見積もりの理論的根拠は、異なるので、これら2つの方法で得られる値は、互いに直接比較することができない。
【0034】
本発明者らは特定のグループの炭素性乾燥ゲルがヤシ系炭素に対して蒸気相煙の分析物の減少という点でさらなる利点を奏することを発見した。特にメソ孔に入る少なくとも0.5cm
3、少なくとも0.1cm
3の総孔容積を有する炭素性乾燥ゲルは、ヤシ系炭素より良好な性能を示す。高いBET表面積は、この点に関しては重要ではない。
【0035】
好ましくは総孔容積(窒素吸着法によって測定される)は、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.80、0.85、0.87、0.89、0.95、0.98、1.00、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0または3.1cm
3/gである。
【0036】
好ましくは総孔容積の少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3または2.4cm
3/gがメソ孔の範囲である(窒素等温線の脱着分岐(desorption branch)のBJH分析を使用して窒素吸着法によって測定される)。
【0037】
好ましくは総孔容積の少なくとも0.05、0.10、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6または0.7cm
3/gがミクロ孔の範囲に入る(窒素吸着法で測定される)。1つの実施態様において総孔容積の少なくとも0.4cm
3/gがミクロ孔である。
【0038】
メソ孔の総孔容積は、ミクロ孔の総容積より大きいことが好ましい。
【0039】
1つの実施態様において乾燥ゲルは、15乃至45nm、好ましくは20乃至40nmの範囲のモードを含む孔径分布(窒素吸着法で測定される)を有する。
【0040】
本発明の1つの実施態様において本発明の乾燥ゲルは、ミクロ孔と比較的大きいメソ孔、即ち少なくとも10nm、好ましくは少なくとも20nmの孔径(直径)のメソ孔(即ちメソ孔は20乃至50nmの孔径を有する)を有する。
【0041】
メソ孔に対するミクロ孔の比は、少なくとも1:2、好ましくは少なくとも1:3であることが好ましい。
【0042】
ある1つの実施態様においてBET表面積は、少なくとも500、550、600、650、700、750、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800または1900m
2/gである。
【0043】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【0044】
実施例1−キセロゲル合成
カーボンキセロゲルサンプルを「Chem. Mater. (2004) 16, 5676-5681」(これは誤って得られる材料をエアロゲルとしている)に記載された一般的な方法に従って周囲圧力下でレゾルシノール/ホルムアルデヒドポリマーを乾燥させることによって調製した。
【0045】
レゾルシノール(Fluka(登録商標)、puriss.(純度98.5%))、ホルムアルデヒド(Fluka(登録商標)、水中に37%、メタノールで安定化された)および触媒としての炭酸ナトリウム(Fluka(登録商標)、無水、99.5%)をマグネティック撹拌子で撹拌しながら脱イオン水に溶かし、均一な溶液を得た。室温で一日、50度で1日、90°Cで3日間熱硬化させた後、ぬれたゲルをアセトンに入れて(未使用のアセトンを毎日使用する)、孔の中の水と交換するために室温で3日間放置した。サンプルを周囲圧力下、室温で乾燥させ、アルゴン雰囲気下で最大で800°Cの温度(4度/分、800°Cで10分)で熱分解し、カーボンキセロゲルに変えた。
【0046】
下記の表に示すように触媒の濃度および反応物の量を変えて異なるサンプル得た。レゾルシノールとホルムアルデヒドは、1:2のモル比で使用した(反応の化学量論に相当する)。
【0047】
【表1】
これらすべてのキセロゲルは、ガラス状の黒色の粒状物形状であった。
【0048】
実施例2−キセロゲルの特性
実施例1の各カーボンの77Kでの窒素吸着等温線を得て、分岐線のBJH分析を行って孔径および孔径分布を算出した。サンプルの表面積も測定した。ミクロ孔のスチーム活性されたヤシカーボン(Jacobi Carbonsから入手したEsocorb(登録商標)CX)を対照としてテストした。結果を下記表に示す。
【0049】
【表2】
*表面積は、通風管を使用して0.2の相対圧力P/Poで測定した。
**0.98の相対圧力P/Poで吸着した窒素の量から予測した。
【0050】
実施例3−フィルター性能
標準的な構造の紙巻きタバコ(56mmのタバコロッド、24.6mmの円周、変性されたヴァージニアブレンド、27mmのフィルター)を設け、フィルターは、両端がセルロースアセテートセクションで区切られた凹部を有する。実施例1で得られたキセロゲル1を60mg秤量し、フィルター凹部内に入れた。さらに同じように紙巻きタバコを調製し、他のキセロゲルサンプルまたはヤシカーボンをそれぞれ含有させた。同じ寸法の空の凹部を有する紙巻きタバコを対照として使用した。調製したあと、喫煙する前に22°C、相対湿度60%で約3週間、熟成させた。
【0051】
紙巻きタバコをISO条件、即ち毎分35mlのパフを2秒間で喫煙し、煙のタール、ニコチン、水および一酸化炭素の総出量を測定した。結果を下記の表に示す。
【0052】
【表3】
これらの結果はキセロゲルは基本的な煙送出に悪い影響を与えないことを示している。また生じた違いは、僅かであり、これは紙巻きタバコおよび分析上の偏差によるものである。フィルターにカーボンを含まない紙巻きタバコに対する蒸気相煙分析物の減少率を以下に示す。
【0053】
【表4】
結果は、すべての試験したキセロゲルが煙のろ過に効果的であったことを示している。
キセロゲル2、4、5および6は、すべてヤシカーボンに対して改善されたことを示している。
しかしながらキセロゲル1は、ヤシカーボンほど効果を示さなかった、これはおそらくメソ孔容積が小さくおよび/またはメソ孔が小さいことによるものだと推定される。
【0054】
実施例4−別のキセロゲルの合成
ミクロ孔およびメソ孔を有するさらに5つのカーボンキセロゲルサンプル(1つのサンプルでは、メソ孔を小さくした)を以下のように調製した。
【0055】
レゾルシノール(Riedel-de Haen(登録商標)、puriss.(純度98.5−100.5%))300.0gを1375gの脱イオン水、442.25gのホルムアルデヒド(Fluka(登録商標)、水中に37%)および0.415gの炭酸ナトリウム(Fluka(登録商標)、無水)と混合し、透明な液を形成した。この液を室温で20時間熟成させ、その後50°Cで24時間、さらに90°Cで72時間熟成させた。重縮合物を粉砕し、1500mlのアセトンに入れ、毎日液を変えながら室温で3時間放置した。生成物を3日間、50℃で乾燥させ、赤茶色の脆弱な固形物を製し、石目やすりで粒状にし、1乃至2mmの粒径を有する粒状物Xを形成した。
【0056】
30.4gの粒状物Xを石英管に入れ、それを回転炉に入れた。固形物を窒素流下で4K/分の加熱速度で250°Cまで加熱し、1時間250°Cに維持した。固形物をさらに4K/分で800°Cまで加熱した。管は、加熱している間は動かさず、固形物が800°Cに達した後、ローターのスイッチを入れ、固形物を窒素下で30分間この温度に維持した。その後保護ガス下で室温まで冷却した。得られた非活性カーボンキセロゲル(186−02)を空気下で梱包した。
【0057】
38.74gの粒状物Xを石英管に入れ、それを回転炉に入れた。固形物を窒素流下で4K/分の加熱速度で250°Cまで加熱し、1時間250°Cに維持した。固形物をさらに4K/分で800°Cまで加熱した。管は、加熱している間は動かさず、固形物が880°Cに達した後、ローターのスイッチを入れた。窒素流を水を沸騰させた泡によるスチームで飽和させ、管の前端を加熱し、スチームの縮合を防ぎ、固形物を1.5l/分の飽和した窒素流下で880°Cで60分間維持した。その後、純粋な窒素下で室温まで冷却した。得られたスチーム活性されたカーボンキセロゲル(186−04)を空気下で梱包した。
【0058】
粒状物Xをそれぞれ48.35gおよび62.87gで開始し、スチーム活性の時間を150分間、180分間にそれぞれ伸ばした以外は、キセロゲル186−04と同じ方法でキセロゲル186−08および186−09を作製した。
【0059】
キセロゲル008−10を次のように条件を単純化して作製した。レゾルシノール(Riedel-de Haen(登録商標)、puriss.(純度98.5−100.5%))120.75gを553gの脱イオン水、178.0gのホルムアルデヒド(Fluka(登録商標)、水中に37%)および0.167gの炭酸ナトリウム(Fluka(登録商標)、無水)と混合し、透明な液を形成した。この液を密閉したPE瓶に入れてオーブンに入れ、50°Cで2時間維持し、さらに90°Cで14時間維持した。室温まで冷却した後、生成物を粉状にし、50°Cで4時間乾燥させた。得られた赤茶色の固形物をやすりで細かくし、最大粒径が3mmの粒状物Yを得た。
【0060】
300gの粒状物Yを大きな石英管に入れ、それを回転炉に入れた。固形物を窒素流下で4K/分の加熱速度で880°Cまで加熱し、ローターのスイッチを入れた。窒素流を水を沸騰させた泡によるスチームで飽和させ、管の前端を加熱し、スチームの縮合を防ぎ、固形物を飽和した窒素流下で880°Cで80分間維持した。その後、純粋な窒素下で室温まで冷却した。得られたスチーム活性されたカーボンキセロゲル(008−10)を空気下で梱包した。
【0061】
キセロゲル186−02、−04、−08、−09および008−10は、すべてガラス状の黒色の粒子であった。
【0062】
実施例5−キセロゲルの特性
77Kでの窒素吸着等温線を得て、分岐線のBJH分析を行った。カーボンの特性は、以下の通りであった。
【0063】
【表5】
*表面積は、通風管を使用して0.2の相対圧力P/Poで測定した。
**0.98の相対圧力P/Poで吸着した窒素の量から予測した。
【0064】
キセロゲル008−10のメソ孔およびマクロ孔構造も水銀ポロシメトリーで調べた。6乃至100nmの範囲にある孔の容積は、窒素吸着結果と良好に一致する2.2cm
3/gであった。言い換えれば大きなマクロ孔は存在しない(窒素吸着でも検出されないはずである)。
【0065】
例としてキセロゲル008−10の等温線プロットを
図4に示す。
【0066】
実施例6−フィルター性能
紙巻きタバコを実施例3の方法で調製し、喫煙したが、ここでは実施例4のキセロゲル186−02、−04、−08および−09および実施例2の対照ヤシカーボンを使用した。結果を下記の表に示す。
【0068】
このデータから明らかなようにこれらキセロゲルは、ヤシカーボンおよび実施例1のキセロゲルと比較して極めて顕著な煙ろ過性能を示した。この系内において、総孔容積、ミクロ孔容積、メソ孔容積および表面積は、煙ろ過性能の向上と相関する。
【0069】
実施例7−異なる喫煙形態でのフィルター性能
60mgのキセロゲル008−10または60mgのEcosorb(登録商標)CXを含む紙巻きタバコを実施例3の方法で調製した。これら紙巻きタバコを2つの異なる喫煙形態で喫煙した。最初は、35mlのパフを2秒間60秒(35/2/60)ごとに行う標準的な喫煙形態である。次は55mlのパフを2秒間30秒(55/2/30)ごとに行う集中喫煙形態である。本発明のキセロゲルは、以下の表に示すようにヤシカーボンより良好な性能を示した。
【0071】
実施例8−キセロゲルの特性の変化
キセロゲル(puriss.(98.5−100.5%(Riedel-de Haen(登録商標)、カタログ番号RdH 16101-1KG))を60.0g=545mmolをポリエチレンの瓶に入れ、脱イオン水275g、ホルムアルデヒド溶液(Fluka(登録商標)、37%)88.45g=1090mmolおよび無水炭酸カルシウム(Fluka(登録商標))83mg=0.87mmolと混合し、透明な液を得た。
【0072】
その瓶を密閉し、600mlのビーカーに入れ、90°Cで16時間対流オーブンに入れた。その後瓶をオーブンから出した。室温まで冷却したら、赤茶色の重縮合物を瓶から取り除いた。この柔らかい生成物をへらで粗い片に粉砕し、平坦なアルミニウム製のパン(直径16cm)に入れ、対流オーブン中で高速空気流によって50°Cで4時間乾燥させた。
【0073】
これによりまだ水分を含む脆弱な材料267.9gが得られた。冷却したこの材料をドラムミル内で粉砕し、赤茶色の粒状物(最大粒径3mm)を得て、粒状物Zとした。
【0074】
実施例8a
12.4gの粒状物Zを石英管に入れ、それを回転炉に入れた。加熱中は、管を動かさなかった。
【0075】
管を窒素でフラッシュし、一定の窒素流下で室温から4K/分の速度で250°Cまで加熱し、この温度で1時間、維持した。その後4K/分の速度で800°Cまで加熱し、この温度に到達した時点で、炉のローターのスイッチを入れた。石英管を窒素流下で800°Cで30分間、回した、その後保護ガス下で室温まで冷却した。得られたカーボンキセロゲルを空気下で梱包した。生成物:1.88g(1kgのレゾルシノールから677gのカーボンキセロゲルが得られる)
【0076】
窒素物理吸着分析
BET表面積:659m
2/g
単一点総孔容積:1.19cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:4.89
メソ孔径(BJH脱着により測定):32nmで最大
【0077】
実施例8b
47.24gの粒状物Zを石英管に入れ、それを回転炉に入れた。加熱中は、管を動かさなかった。
【0078】
管を窒素でフラッシュし、一定の窒素流下で室温から4K/分の速度で880°Cまで加熱し、この温度で1時間、維持した。この温度に到達した時点で、炉のローターのスイッチを入れた。保護窒素ガスをそれが炉に到達する前に水を煮立てることで泡立てた。石英管に入るガスの部分を加熱し、水がそこで縮合されるのを防いだ。石英管を飽和窒素流下(1.5l/分)で880°Cで15分間、回した、その後乾燥窒素下で室温まで冷却した。得られたカーボンキセロゲルを空気下で梱包した。この工程は、ポリマー溶液を混合してからカーボンキセロゲルを得るまで1.5日要した。生成物:5.73g(1kgのレゾルシノールから542gのカーボンキセロゲルが得られる)
【0079】
窒素物理吸着分析
BET表面積:922m
2/g
単一点総孔容積:1.65cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:3.80
メソ孔径(BJH脱着により測定):33nmで最大
【0080】
実施例8c
材料を飽和窒素下で880°Cで30分間(15分ではなく)活性化させた以外は、実施例1bと同様に51.1gの粒状物Zを処理した。生成物:5.38g(1kgのレゾルシノールから470gのカーボンキセロゲルが得られる)
【0081】
窒素物理吸着分析
BET表面積:1254m
2/g
単一点総孔容積:1.93cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:3.55
メソ孔径(BJH脱着により測定):33nmで最大
【0082】
実施例8d
材料を飽和窒素下で880°Cで60分間(15分ではなく)活性化させた以外は、実施例8bと同様に51.04gの粒状物Zを処理した。生成物:3.62g(1kgのレゾルシノールから317gのカーボンキセロゲルが得られる)
【0083】
窒素物理吸着分析
BET表面積:1720m
2/g
単一点総孔容積:2.53cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:3.49
メソ孔径(BJH脱着により測定):24nmで最大
【0084】
実施例8e
材料を飽和窒素下で880°Cで105分間(15分ではなく)活性化させた以外は、実施例8bと同様に粒状物Zを処理した。生成物:2.11g(1kgのレゾルシノールから180gのカーボンキセロゲルが得られる)
【0085】
窒素物理吸着分析
BET表面積:2254m
2/g
単一点総孔容積:3.23cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:4.19
メソ孔径(BJH脱着により測定):25nmで最大
【0086】
実施例9−キセロゲルの特性の変化
レゾルシノール(純度98%)を25.85g=230mmolをポリエチレンの瓶内で脱イオン水118.5g、ホルムアルデヒド溶液(Fluka(登録商標)、37%)37.40g=461mmolおよび無水炭酸カルシウム(Fluka(登録商標))36mg=0.34mmolと混合し、透明な液を得た。
【0087】
その瓶を密閉し、ビーカーに入れ、90°Cで16時間対流オーブンに入れた。その後瓶をオーブンから出した。室温まで冷却したら、赤茶色の重縮合物を瓶から取り除いた。この柔らかい生成物をへらで粗い片に粉砕し、平坦なアルミニウム製のパン(直径16cm)に入れ、対流オーブン中で高速空気流によって50°Cで4時間乾燥させた。
【0088】
得られた材料は、99.4gであった。冷却したこの材料をドラムミル内で粉砕し、赤茶色の粒状物(最大粒径3mm)を得た。
【0089】
39.05gの粒状物を石英管に入れ、それを回転炉に入れた。加熱中は、管を動かさなかった。
【0090】
管を窒素でフラッシュし、一定の窒素流下で室温から4K/分の速度で880°Cまで加熱した。この温度に到達した時点で、炉のローターのスイッチを入れた。保護窒素ガスをそれが炉に到達する前に水を煮立てることで泡立てた。石英管に入るガスの部分を加熱し、水がそこで縮合されるのを防いだ。石英管を飽和窒素流下(1.5l/分)で880°Cで60分間、回した、その後乾燥窒素下で室温まで冷却した。得られたカーボンキセロゲルを空気下で梱包した。得られた生成物は、3.12gの黒色の粒状物であった。
【0091】
窒素物理吸着分析
BET表面積:1843m
2/g
単一点総孔容積:2.72cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:3.64
メソ孔径(BJH脱着により測定):24nmで最大
【0092】
実施例10−キセロゲルの特性の変化
レゾルシノール(puriss.(Riedel-de Haen(登録商標)、カタログ番号RdH 16101))を35.0g=318mmolをポリエチレンの瓶(250ml)に入れ、脱イオン水24.5g、ホルムアルデヒド溶液(Fluka(登録商標)、37%)51.65g=636mmolおよび無水炭酸カルシウム(Fluka(登録商標))66.5mg=0.63mmolと混合し、透明な液を得た。
【0093】
その瓶を密閉し、600mlのビーカーに入れ、90°Cで16時間対流オーブンに入れた。その後瓶をオーブンから出した。室温まで冷却したら、赤茶色の重縮合物を瓶から取り除いた。この硬いガラス状の塊をハンマーで粗い片に粉砕し、平坦なアルミニウム製のパン(直径16cm)に入れ、対流オーブン中で高速空気流によって50°Cで4時間乾燥させた。
【0094】
これにより59.23gの生成物が得られた。冷却したこの材料をドラムミル内で粉砕し、赤茶色の粒状物(最大粒径3mm)を得た。
【0095】
この粒状物を18.54gを石英管に入れ、それを回転炉に入れた。加熱中は、管を動かさなかった。
【0096】
管を窒素でフラッシュし、一定の窒素流下で室温から4K/分の速度で880°Cまで加熱した。この温度に到達した時点で、炉のローターのスイッチを入れた。保護窒素ガスをそれが炉に到達する前に水を煮立てることで泡立てた。石英管に入るガスの部分を加熱し、水がそこで縮合されるのを防いだ。石英管を飽和窒素流下(1.5l/分)で880°Cで60分間、回した、その後乾燥窒素下で室温まで冷却した。得られたカーボンキセロゲルを空気下で梱包した。得られた生成物は、3.62gの黒色の粒状物であった(1kgのレゾルシノールから330gのカーボンキセロゲルが得られる)。
【0097】
窒素物理吸着分析
BET表面積:1628m
2/g
単一点総孔容積:1.56cm
3/g
ミクロ孔容積:メソ孔容積比(窒素物理吸着で測定):1:1.83
メソ孔径(BJH脱着により測定):8nmで最大