特許第5654196号(P5654196)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654196
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】DLL回路ユニット及び半導体メモリ
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/407 20060101AFI20141218BHJP
   G11C 11/4076 20060101ALI20141218BHJP
   H03K 23/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   G11C11/34 362S
   G11C11/34 354C
   H03K23/00 D
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2008-133923(P2008-133923)
(22)【出願日】2008年5月22日
(65)【公開番号】特開2009-283065(P2009-283065A)
(43)【公開日】2009年12月3日
【審査請求日】2011年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100082924
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】水兼 良雄
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 宏樹
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−228426(JP,A)
【文献】 特開2000−021165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/407
G11C 11/4076
H03K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される入力クロック信号に基づき内部クロック信号を生成するDLL回路と、
前記入力クロック信号に基づき第1のクロック信号を生成するクロック生成回路と、
前記DLL回路が不動作状態から動作状態となるまでの始動期間を得るために、前記クロック生成回路から供給される前記第1のクロック信号をカウントし、前記始動期間中は前記内部クロック信号を非活性化するDLL出力制御信号を出力するカウンタ回路と、
を有し、
前記第1のクロック信号の活性化及び非活性化が前記カウンタ回路から出力されるクロック生成制御信号を用いて制御されることを特徴とするDLL回路ユニット。
【請求項2】
前記第1のクロック信号が前記クロック生成制御信号に基づき間欠的に活性化されることを特徴とする請求項1に記載のDLL回路ユニット。
【請求項3】
前記第1のクロック信号が、前記始動期間と前記始動期間に連続する所定の期間のみ活性化することを特徴とする請求項1又は2に記載のDLL回路ユニット。
【請求項4】
前記所定の期間は、前記DLL出力制御信号が前記内部クロック信号の非活性化を示す論理レベルから前記内部クロック信号の活性化を示す論理レベルへ遷移した後、前記クロック生成制御信号が前記第1のクロック信号の活性化を示す論理レベルから前記第1のクロック信号の非活性化を示す論理レベルへ遷移するまでの期間であることを特徴とする請求項3に記載のDLL回路ユニット。
【請求項5】
前記カウンタ回路が、縦続接続された複数のフリップフロップ回路を有し、
前記DLL出力制御信号が前記縦続接続された複数のフリップフロップ回路の中間段のフリップフロップ回路から出力され、
前記クロック生成制御信号が前記縦続接続された複数のフリップフロップ回路の最終段のフリップフロップ回路から出力されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のDLL回路ユニット。
【請求項6】
外部から入力される第1の制御信号と前記カウンタ回路が搭載された半導体記憶装置の状態を示す半導体記憶装置状態信号とを受けて前記DLL回路の前記不動作状態又は前記動作状態を判定し、該判定の結果を示すDLL状態信号を前記クロック生成回路に出力する判定回路を有し、
前記第1のクロック信号の活性化が前記クロック生成制御信号と前記DLL状態信号とを用いて制御されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のDLL回路ユニット。
【請求項7】
前記第1の制御信号が、前記半導体記憶装置のパワーダウンモードを制御する信号であり、
前記半導体記憶装置状態信号が、前記半導体記憶装置のIdle状態を示すIDLE信号又はリフレッシュ動作状態を示すREF信号であることを特徴とする請求項6に記載のDLL回路ユニット。
【請求項8】
前記判定回路は、前記第1の制御信号が前記パワーダウンモードを示す論理レベルであり、且つ、前記半導体記憶装置状態信号が前記Idle状態又は前記リフレッシュ状態を示す論理レベルである場合に、前記DLL回路を前記不動作状態と判定することを特徴とする請求項7に記載のDLL回路ユニット。
【請求項9】
前記DLL状態信号は、前記DLL回路の不動作状態を第1の論理レベルで示し前記DLL回路の動作状態を第2の論理レベルで示し、
前記判定回路は、前記半導体記憶装置について予め規定されたパワーダウンエントリーからパワーダウンイグジットまでの期間よりも長く、前記DLL状態信号を前記第1の論理レベルに保持するように構成されることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載のDLL回路ユニット。
【請求項10】
前記第1の制御信号から第1の内部制御信号を生成し、前記判定回路が、前記第1の内部制御信号と前記第1の内部制御信号を所定量遅延させた第2の内部制御信号との否定論理和をとるNOR回路を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のDLL回路ユニット。
【請求項11】
前記クロック生成回路は、前記クロック生成制御信号と特定のコマンドとを受けて論理演算を行う論理回路を備え、前記論理回路の演算結果を参照して前記第1のクロック信号を間欠的に前記カウンタ回路に供給することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のDLL回路ユニット。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のDLL回路ユニットを有することを特徴とする半導体チップ。
【請求項13】
請求項12記載の半導体チップを有することを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項14】
請求項12記載の半導体チップを有することを特徴とする半導体メモリ。
【請求項15】
請求項14記載の半導体メモリを有することを特徴とするコンピュータ。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれかの記載のDLL回路ユニットを用い、前記第1のクロック信号を前記クロック生成制御信号に基づき間欠的に活性化させることを特徴とするカウンタ回路の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DLL回路を実装したDRAMチップのような半導体メモリに用いられるカウンタ回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
DDR−SDRAM(Double Data Rate − Synchronous Dynamic Random Access Memory)では、メモリ内部の動作遅延を最小限に抑えるため、外部クロック信号に同期した内部クロック信号を生成するDLL(Delay Locked Loop)が用いられている。
【0003】
DLL回路は、オンしてから安定した内部クロック信号を出力できるようになるまで所定の期間(以下「始動期間」という)を要する。
【0004】
即ち、DLL回路は、不動作状態から動作状態となるまで、始動期間を要する。
【0005】
例えば、特許文献1には、DLL回路が安定動作するまでの期間、例えばtXPDLL(Slow Precharge Power Down ExitからRead若しくは同期モードODTコマンドが入力可能となる期間)をカウントするカウンタ回路を有し、当該期間中はDLL回路をマスクするカウンタ回路を有する半導体装置が記載されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−115366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような回路ではカウンタ回路を常時動作させていたため、回路の省電力化という観点からはさらなる改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は正常動作まで、始動期間を要するDLL回路等を制御するクロック回路ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明の態様によれば、外部から入力される入力クロック信号に基づき内部クロック信号を生成するDLL回路と、前記入力クロック信号に基づき第1のクロック信号を生成するクロック生成回路と、前記DLL回路が不動作状態から動作状態となるまでの始動期間を得るために、前記クロック生成回路から供給される前記第1のクロック信号をカウントし、前記始動期間中は前記内部クロック信号を非活性化するDLL出力制御信号を出力するカウンタ回路と、を有し、前記第1のクロック信号の活性化及び非活性化が前記カウンタ回路から出力されるクロック生成制御信号を用いて制御されることを特徴とするカウンタ回路ユニットが得られる。
【0010】
具体的には、DLL回路を有する半導体チップにおいて、前記DLL回路が始動するまでの所定の期間、前記DLL回路をマスクするカウンタ回路であって、前記所定の期間をカウントする始動期間カウンタ回路と、前記始動期間カウンタ回路に接続され、前記カウンタ回路用のクロックを生成するクロック生成回路と、を有し、前記クロック生成回路を前記始動期間カウンタ回路の出力信号を用いて制御するように構成したことを特徴とするカウンタ回路を含む半導体チップが得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、DLL回路制御用カウンタ回路をクロック生成回路により間欠的に動作させることにより、省電力化が図れるカウンタ回路ユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施例を詳細に説明する。
【0013】
まず、図1を参照して、本発明のカウンタ回路ユニット1とDLL回路5を含むDLL回路ユニット3の概略構成を説明する。
【0014】
図1に示すように、DLL回路ユニット3は、クロックイネーブル信号CKEがアサートされているときにクロック信号CK(入力クロック信号)に対応する内部クロック信号LoCLKを生成するDLL回路5と、DLL回路5に接続され、DLL回路5が不動作状態(即ち第1の論理レベル、ここではLレベル)から始動(即ち第2の論理レベル、ここではHレベル)するまでの所定の期間、この例の場合、tXPDLL(Slow Precharge Power Down ExitからRead若しくは同期モードODTコマンドが入力可能となる期間(以下では、始動期間と呼ぶ))、DLL回路5をマスク(つまり、内部クロック信号LoCLKを非活性化)するカウンタ回路ユニット1を有している。
【0015】
カウンタ回路ユニット1はtXPDLLをカウントするtXPDLLカウンタ回路9と、tXPDLLカウンタ回路9に接続され、tXPDLLカウンタ回路9用のクロックを生成するクロック生成回路11と、DLL回路5、tXPDLLカウンタ回路9、クロック生成回路11に接続され、CKE(クロックイネーブル)信号が、予め定められたコマンド信号、例えば、Slow Precharge Power Downを指示する信号か否かを判断する判定回路(ここでは、Slow Precharge Power Down判定回路)13を備えている。また、図示されたDLL回路ユニット3は、更に、DLL回路5およびDLLカウンタ回路9に接続されたMUX(Multiplexer)回路14を有している。なお、MUX(Multiplexer)回路14はセレクタとして動作する。
【0016】
次に、図2を参照して、図1に示されたカウンタ回路ユニット1を構成する各回路の詳細について説明する。
【0017】
まず、Slow Precharge Power Down判定回路13の構成について説明する。
【0018】
図2に示すように、Slow Precharge Power Down判定回路13はREAD信号、CKE信号(第1の制御信号)が入力され、更に、IDLE信号(半導体記憶装置状態信号)の反転信号が入力されるNOR回路21を有している。
【0019】
次に、tXPDLLカウンタ回路9の構成について説明する。
【0020】
tXPDLLカウンタ回路9は、初段から最終段まで縦続接続された複数のフリップフロップ回路23a、23b、23c、23dを有しており、最終段のフリップフロップ回路23dはクロック生成回路11に接続され、初段と最終段の間の中間フリップフロップ回路(ここでは、23b)からtXPDLLカウンタ回路出力信号c(DLL出力制御信号)がMUX回路14(図1)に出力されている。
【0021】
この構成では、最終段のフリップフロップ回路23dの出力信号d(クロック生成制御信号)がクロック生成回路11に入力されている。
【0022】
ここで、本実施例におけるtXPDLLカウンタ回路では、MUX回路14へのtXPDLLカウンタ出力信号cをクロック生成回路へのカウンタ出力信号dが出力されるフリップフロップ回路よりも前段のフリップフロップ回路から出力されるように構成している。このように構成し、内部クロック信号LoCLKの活性化とtXPDLLカウンタクロック信号bの非活性化との間にタイミングマージンを設けることで、内部クロック信号LoCLKが活性化する前にtXPDLLカウンタクロック信号bが非活性化するという誤動作を防止するこができる。
【0023】
一方、初段のフリップフロップ回路23aには、Slow Precharge Power Down判定回路13からの出力信号(DLL状態信号)を反転した入力信号aが入力され、他方、各フリップフロップ回路23a、23b、23c、23dには、Slow Precharge Power Down判定回路13の出力信号が与えられている。
【0024】
更に、フリップフロップ回路23a、23b、23c、23dには、クロック生成回路11からのtXPDLLカウンタクロック信号bが入力され、当該カウンタクロック信号bをカウントする。
【0025】
次に、クロック生成回路11の構成について説明する。
【0026】
クロック生成回路11はクロック信号CKとODT信号が入力されるNAND回路25を有し、NAND回路25はフリップフロップ回路26に接続されている。
【0027】
また、クロック生成回路11はODT信号の反転信号、最終段のフリップフロップ回路23dからの出力信号d、およびSlow Precharge Power Down判定回路13の出力信号が入力されるNOR回路27が設けられている。
【0028】
更に、クロック生成回路11はフリップフロップ回路26の出力信号およびクロック信号CKが入力されるAND回路29が設けられている。
【0029】
AND回路29はフリップフロップ回路23a、23b、23c、23dに対してtXPDLLカウンタクロック信号b(第1のクロック信号)を出力する。
【0030】
次に、図3を参照して、図1に示されたDLL回路ユニット3の動作について説明する。
【0031】
図3に示すように、第1の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1は、外部から入力されるCKE信号がHからLに遷移することで、入力信号a及びtXPDLLカウンタ回路出力信号c、出力信号dが共にHからLに遷移し、パワーダウンモードとなる(T1)。
【0032】
CKE信号のLからHへ遷移し、パワーダウンモードが解除され(即ち、Power down exitになり)、且つ、入力信号aがLからHに遷移すると、tXPDLLカウンタクロック信号bが活性化されて、tXPDLLカウンタ回路9のカウント動作が開始される。
【0033】
上記パワーダウンモードの解除から、tXPDLLカウンタ回路9によるtXPDLLカウンタクロック信号bのカウント値が所定の値に達すると(Tm+2)、出力信号dがLからHに遷移し、tXPDLLカウンタクロック信号bが再び非活性状態となる。
【0034】
即ち、カウンタ回路ユニット1では、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dがLで、Slow Precharge Power Down判定回路13からの入力信号aがHの期間のみ、tXPDLLカウンタクロック信号bを活性化させることで、所定の期間(tXPDLL期間又はtXPDLL期間及びtXPDLL期間に連続する所定のタイミングマージン期間)以外は、tXPDLLカウンタ回路9を停止させることができる。
【0035】
そのため、tXPDLLカウンタ回路9を常時動作させていた従来の場合(例えば、特許文献2)よりも、tXPDLLカウンタ回路9の動作による消費電力を低減した半導体装置を提供することが可能となる。
【0036】
このように、第1の実施形態によれば、カウンタ回路ユニット1が、tXPDLLカウンタ回路9と、クロック生成回路11と、Slow Precharge Power Down判定回路13を有し、クロック生成回路11には、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dが入力されるように構成されている。
【0037】
この構成によれば、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dがHの場合、即ち、DLL回路5の始動期間のみクロック生成回路11を動作させることができ、従来よりも、tXPDLLカウンタ回路9の動作による消費電力を低減することができる。
【0038】
以上説明したように、第1の実施形態では、tXPDLLカウンタ回路9に、特定のクロック周波数を有するクロック信号bを出力するクロック生成回路11を接続すると共に、当該クロック生成回路11をtXPDLLカウンタ回路9の出力信号dによって制御することにより、tXPDLLカウンタ回路9を間欠的に動作させることができ、これによって、消費電力を軽減できる。
【0039】
次に、第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aについて図4図11を参照して説明する。
【0040】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一
の番号を付し、説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aは、図2に示された第1の実施形態におけるSlow Precharge Power Down判定回路13を若干修正した構成を有しているため、図4では、第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aのSlow Precharge Power Down判定回路だけを13aで示している。即ち、図4に示されたSlow Precharge Power Down判定回路は、図2に示された構成に加えて、CKE信号を遅延させる遅延素子DLY、IDLE信号とREF信号が入力されるOR回路35、及び、出力部に設けられたNAND回路31を備えている。
【0042】
具体的に云えば、図4に示されたPrecharge Power Down判定回路13aは、NOR回路33、OR回路35、NOR回路37に接続されたNAND回路31を有し、当該NAND回路31には、これらの出力信号が入力される。
【0043】
また、NAND回路31の出力信号は出力信号aとして、DLL回路5、tXPDLLカウンタ回路9、クロック生成回路11に出力されることは第1の実施形態と同様である。
【0044】
NOR回路33には、遅延されないCKE0(第1の内部制御信号)と、CKE0を遅延素子DLYで遅延させた信号(第2の内部制御信号)が入力されている。
【0045】
また、OR回路35にはIDLE信号とREF信号が入力されている。この結果、NAND回路31にはIDLE信号とREF信号の論理和出力が半導体記憶装置状態信号として入力される。
【0046】
NOR回路37にはREAD信号及びSExit信号の反転信号が入力され、当該NOR回路37の出力はNAND回路31に与えられている。
【0047】
図6から図11を参照して、上記構成を採用した理由について説明する。
【0048】
なお、以下の説明は本発明をDRAMに適用した場合を前提としている。
【0049】
DRAMのパワーダウンモードには、Idle状態からの遷移であるプリチャージパワーダウンモードと、Active状態からの遷移であるアクティブパワーダウンモードの2種類のパワーダウンモードが存在する。
【0050】
従来のDRAMでは、どちらのパワーダウンモードにおいてもDLL回路5の動作は停止するように制御されていた。この場合、例えば、特許文献2では、DLL回路5の動作停止中においてもカウンタ回路はクロックをカウントし続けている。
【0051】
しかし、近年、プリチャージパワーダウンモードとアクティブパワーダウンモードで、DLL回路5の動作が異なるような制御方法が用いられるようになってきた。
【0052】
例えば、プリチャージパワーダウンモード時にはDLL回路5の動作を停止し、アクティブパワーダウンモード時にはDLL回路5の動作を停止しないような場合がある。
【0053】
このように、DRAMの遷移前の状態(ステート)とコマンドとの両方に依存するようにDLL回路5の動作/停止を制御する方法では、アクティブ(ACT)コマンドやリフレッシュ(REF)コマンドが入力された後に、パワーダウンモードにエントリする際に内部の状態遷移が遅れることに起因するハザードによって、DLL回路5が誤動作する恐れが生じる。
【0054】
より具体的に、本発明におけるハザードを説明すると、本発明におけるハザードとは、例えば、図5の下段に示すように、第1の実施形態において、tCK<1.0nsの場合の波形に記載されているように、入力信号aにshort pulseが発生した状態を意味する。
【0055】
入力信号aにハザード(short pulse)が発生すると、tXPDLLカウンタ回路9内のフリップ・フロップでリセット(RST)が不十分なものが現れ、本来は一定期間経過後にHになるべきtXPDLLカウンタ回路9の出力信号dが、一定期間経過前にHになる事態が生じることになる。
【0056】
出力信号dがHになると、tXPDLLカウンタ回路9のtXPDLLカウンタクロック信号bが非活性化するが、出力信号dが一定期間経過前にHになると、本来、tXPDLLカウンタクロック信号bが活性化しているべき期間でもtXPDLLカウンタクロック信号bが非活性となり、tXPDLLカウンタ回路9内のフリップ・フロップで本来伝わってくるべきHの信号が、tXPDLLカウンタ回路出力信号cまで伝わらない。
【0057】
よって、上述のハザードが発生すると、DLL出力信号fを活性化するtXPDLLカウンタ回路出力信号cがHにならず、その結果、DLL出力信号fが常に非活性となるという誤動作(スタック)が起こるという問題を生じる恐れがある。
【0058】
このような問題は、特に動作周波数が高周波数になるほど、その生じる確率が高くなると考えられる(例えば図5のtCK<1.0nsの場合)。
【0059】
上述のような問題を生じる場合として、例えば、以下の3通りの場合が考えられる。
【0060】
不良モードA:ACT to Powerdown(図6
Idle状態においてACTコマンドが入力され、その後パワーダウンモードにエントリする場合、本来は内部状態がBank Active状態に遷移した後にパワーダウンモードに入るため、直接アクティブパワーダウンモードとなり、この際、DLL回路5が停止することはない。
【0061】
しかし、図6に示すように、第1の実施形態において、Idle状態からBank Active状態への遷移に時間がかかりActivating中(Bank Activeと認識される前)にパワーダウンモードにエントリしてしまうと、プリチャージパワーダウンモードを経由してしまう場合がある(表1参照)。
【0062】
【表1】
【0063】
このような場合、プリチャージパワーダウンモードに入ることによって、入力信号aにDLL回路5の動作停止を示すハザードが生じる。
【0064】
不良モードB:Refresh to Powerdown(図7
Idle状態においてREFコマンドが入力されその後パワーダウンモードにエントリする場合、本来は内部状態がRefreshing状態に遷移した後にパワーダウンモードに入る。そのため、本来は直接アクティブパワーダウンモードとなり、REFコマンドが入力されてからパワーダウンモードに入る間に、DLL回路5が停止することはない(状態遷移3)。
【0065】
しかし、図7に示すように、第1の実施形態においてIdle状態からRefreshing状態への遷移に時間がかかり、Refreshingと認識される前にパワーダウンモードにエントリしてしまうと(状態遷移1)、プリチャージパワーダウンモードを経由してしまう場合(状態遷移2)がある(表2参照)。
【0066】
【表2】
【0067】
このような場合、プリチャージパワーダウンモードに入ることによって、入力信号aにDLL回路5の動作停止を示すハザードが生じる。
【0068】
不良モードC:(図10
Refreshing状態においてパワーダウンモードにエントリした場合、Refreshing動作中はアクティブパワーダウンモードであり、その後所定の時間(tRFC)を経過するとRefreshing動作が終了し、自動的にプリチャージパワーダウンモードに遷移する。
【0069】
このRefreshing動作の終了と略同一のタイミングでパワーダウンモードを解除する際、本来はDLL回路5は動作し続けていなければならない。
【0070】
しかし、上述のとおり、第1の実施形態においては、自動的にプリチャージパワーダウンモードに遷移(REF信号が自動的にHからLに遷移)することで、プリチャージパワーダウンモードを経由してしまう場合がある(表3参照)。
【0071】
このように、Refreshing動作の終了と略同一のタイミングでパワーダウンモードを解除する場合、短期間の間プリチャージパワーダウンモードとなってからパワーダウンモードを解除することで、a信号にハザードが生じる。
【0072】
このような場合、プリチャージパワーダウンモードに入ることによって、入力信号aにDLL回路5の動作停止を示すハザード信号が生じる。
【0073】
第2の実施形態に係るSlow Precharge Power Down判定回路13aでは、上述のような問題が生じることを回避するために、ACTコマンドやREFコマンドが入力された後に、パワーダウンモードにエントリする際にハザードが生じることを防止する構成とした。
【0074】
具体的には、前述のようにSlow Precharge Power Down判定回路13aの構成を図4のように変更し、図11に示すように、パワーダウンモードにエントリするための内部クロックイネーブル信号CKE0の立下りを、内部状態を表す信号であるIDLE信号がLowとなるまでの期間遅延させる構成とした。
【0075】
このような構成とすることで、ACTコマンドやREFコマンドが入力された後にパワーダウンモードにエントリする際に内部の状態遷移が遅れることに起因するハザードによって、tXPDLLカウンタクロック信号bが誤ったタイミングで非活性化することを防ぐことができる(表1参照)。
【0076】
さらに、図4に示すように、IDLE信号とREF信号とのOR論理(OR回路35)を3入力のNAND回路31の1入力とすることで、Refresh動作時は常にプリチャージパワーダウンモードとすることができる。これによって、上記不良モードCのタイプのハザード発生も防止することが可能となった(表3参照)。
【0077】
【表3】
【0078】
従って、第2の実施形態では、2種類のパワーダウンモードを備えたDRAMに適用した場合にも、DLL出力信号fが常に非活性となるという問題は生じる恐れはない。よって、DLL回路5をスタックすることなく、tXPDLLカウンタ回路9を停止させることが可能であり、tXPDLLカウンタを常時動作させていた従来の場合よりも、tXPDLLカウンタ回路9の動作による消費電力を低減した半導体装置を提供することが可能となる。
【0079】
このように、第2の実施形態によれば、カウンタ回路ユニット1が、tXPDLLカウンタ回路9と、クロック生成回路11と、Slow Precharge Power Down判定回路13aを有し、クロック生成回路11は、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dが入力されるように構成されている。
【0080】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0081】
また、第2の実施形態によれば、Slow Precharge Power Down判定回路13aはCKEを遅延させる遅延素子DLYを有している。
【0082】
そのため、ACTコマンドやREFコマンドが入力された後にパワーダウンモードにエントリする際に内部の状態遷移が遅れることに起因するハザードによって、tXPDLLカウンタクロック信号bが誤ったタイミングで非活性化することを防ぐことができる。
【0083】
更に、第2の実施形態によれば、Slow Precharge Power Down判定回路13aはIDLE信号とREF信号が入力されるOR回路35を有している。
【0084】
そのため、Refresh動作時は常にプリチャージパワーダウンモードとすることで、上記不良モードCのタイプのハザード発生も防止することが可能である。
【0085】
次に、図12および図13を参照して、本発明の第3の実施形態に係るDLL回路ユニット3bについて、説明する。
【0086】
第3の実施形態に係るDLL回路ユニット3bは、クロック生成回路11aを、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dと次のReadコマンドのBurst End信号とのAND論理でtXPDLLカウンタクロック信号bを非活性化する構造としたものである。
【0087】
即ち、この実施形態では、Power Down EntryからPower Down Exitまでの期間tPDが決められた規格より短い場合(つまり、Power Down Exitコマンドがillegalなタイミングで入力された場合)に、第2の実施形態と同様に入力信号aにハザード(short pulse)が生じても、DLL出力信号fが常に非活性となることを防止することを目的とするものである。
【0088】
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0089】
図12に示すように、クロック生成回路11aは論理回路51を有している。
【0090】
論理回路51はtXPDLLカウンタ回路9の出力信号d、READコマンド信号(具体的には次のReadコマンドのBurst End信号)、及び、Slow Precharge Power Down判定回路13aの出力を論理演算することによって、フリップフロップを制御する制御信号を生成し、この結果、tXPDLLカウンタクロック信号bを非活性化する構造を有している。
【0091】
また、クロック生成回路11aには、前記tXPDLLカウンタの出力信号dが与えられていることは、他の実施形態と同様である。
【0092】
このように、出力信号dと次のReadコマンドのBurst End信号とを論理演算し、これによって、tXPDLLカウンタクロック信号bを非活性化する構成とすることにより、図13に示すように、Slow Precharge Power Down判定回路13にillegalコマンド等(第3の実施形態ではPower Down EntryからPower Down Exitまでの期間tPDが決められた規格より短い場合の例である)により入力信号aにハザードが出力された場合でも、tXPDLLカウンタクロック信号bが誤動作することが無く、DLL出力信号fが常に非活性となるという問題は生じる恐れはない。
【0093】
また、論理回路51は、Power Down Exit後に、1回もReadコマンドが入力されないまま、Power Down Entryした場合は、強制的にtXPDLLカウンタ回路9のクロックを停止することで、Power Down時の電流を低減する。実使用上においては、Power Down Exit後に、Readが入力されないままになると、Power Down Entryされるようになっているので、電流の低減が可能である。
【0094】
従って、DLL回路5をスタックすることなく、tXPDLLカウンタ回路9を停止させることが可能であり、tXPDLLカウンタを常時動作させていた従来の場合よりも、tXPDLLカウンタ回路9の動作による消費電力を低減した半導体装置を提供することが可能となる。
【0095】
ここで、論理回路51において、ReadコマンドのBurst End信号を使用している理由について簡単に説明する。
【0096】
DLL回路5が安定動作するようになってから、入力可能になるとスペックで定義されているコマンドは、Readコマンドもしくは同期モードODTコマンドである。
【0097】
ただし、ODTコマンドは同期モードODTコマンドの他に非同期モードODTコマンドがあるので、ODTコマンドを利用するのは困難である。
【0098】
また、Burst End信号ではなくReadコマンド入力時を使用すると、tXPDLLカウンタ回路9が動作未完了時に停止させてしまう可能性がある。
【0099】
そこで、第3の実施形態では、論理回路51がReadコマンドのBurst End信号を使用することで、安定化するまでのマージンを確保している。
【0100】
このように、第3の実施形態によれば、カウンタ回路ユニット1が、tXPDLLカウンタ回路9と、クロック生成回路11と、Slow Precharge Power Down判定回路13を有し、クロック生成回路11は、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dが入力されるように構成されている。
【0101】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0102】
また、第3の実施形態に係るクロック生成回路11aは、tXPDLLカウンタ回路9の出力信号dと次のReadコマンドのBurst End信号との論理演算を施し、tXPDLLカウンタクロック信号bを非活性化する構成を有している。
【0103】
そのため、Slow Precharge Power Down判定回路13にillegalコマンド等によりハザードが出力され意図しないタイミングで入力信号aがL(DLL回路5を停止)となっても、tXPDLLカウンタクロック信号b が非活性化することが無く、DLL回路5がスタックすることは無い。
【産業上の利用可能性】
【0104】
上記した実施形態では、本発明をDRAMに適用した場合について説明したが、本発明は、何等、これに限定されることなく、ODT非同期信号からODT同期信号への切替をDLL回路を用いて行う必要があるすべての回路に適用することができる。更に云えば、ODTに用いられるDLL回路を制御するカウンタ回路ユニットについてのみ説明したが、本発明は、正常な動作を行なうまで時間が係る各種DLL及びPLLにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1】本発明の第1の実施形態に係るDLL回路ユニット3を示すブロック図である。
図2図1のカウンタ回路ユニット1を示す回路図である。
図3】カウンタ回路ユニット1の動作波形を示す図である。
図4】第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aのSlow Precharge Power Down判定回路13aを示す回路図である。
図5図1に示されたカウンタ回路ユニット1に不良モードが発生する場合を説明するタイミングチャートである。
図6】不良モードAの状態遷移を示す図である。
図7】不良モードBの状態遷移を示す図である。
図8】第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aの動作を説明するタイミングチャートである。
図9図1のカウンタ回路ユニット1を示すタイミングチャートである。
図10】不良モードCの状態遷移を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1aの動作を説明するタイミングチャートである。
図12】本発明の第3の実施形態に係るカウンタ回路ユニット1bを示す回路図である。
図13】カウンタ回路ユニット1bの動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0106】
1…………カウンタ回路
3…………DLL回路ユニット
5…………DLL回路
9…………tXPDLLカウンタ回路
11………クロック生成回路
13………Slow Precharge Power Down判定回路
14………MUX(Multiplexer)回路
21………NOR回路
23a……フリップフロップ回路
25………NAND回路
27………NOR回路
29………AND回路
31………NAND回路
33………NOR回路
35………OR回路
37………NOR回路
51………論理回路
図1
図2
図3
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