【実施例】
【0070】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特にことわりがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。また、以下の実施例において使用された測定方法および評価方法を下記に示す。
【0071】
(測定方法および評価方法)
(1)モジュラスの測定と破断強度の測定
i)10%モジュラス
仮支持体付きのままの状態で、基材層および粘着剤層からなる粘着シート、あるいは、基材層、粘着剤層およびアプリケーションシートからなる粘着シートを、幅1cm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去し、引張試験機として「オートグラフASG−50D型」(島津製作所製)を用い、引張速度200mm/min、チャック間距離50mm、室温(20℃)で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求めた。粘着シートの10%伸張時における単位面積当たりの応力を20℃における10%モジュラス(RT−10%モジュラス)とした。なお、念のため言及しておくと、アプリケーションシートを含む粘着シートではアプリケーションシートを付けたままの状態で測定を行っている。
また、5℃における10%モジュラスは、上記のように切断した粘着シートを5℃の条件下で1時間放置した後、仮支持体を除去し、上記引張試験を温度5℃で行って応力−歪み曲線を求めた。粘着シートの10%伸張時における単位面積当たりの応力を5℃における10%モジュラス(5℃−10%モジュラス)とした。
【0072】
ii)100%モジュラス
仮支持体付きのままの状態で、基材層および粘着剤層からなる粘着シートを、幅1cm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去し、引張試験機として「オートグラフASG−50D型」(島津製作所製)を用い、引張速度200mm/min、チャック間距離50mm、室温(20℃)で引張試験を行い、応力−歪み曲線を求めた。粘着シートの100%伸張時における単位面積当たりの応力を20℃における100%モジュラス(RT−100%モジュラス)とした。
【0073】
iii)破断強度
仮支持体付きのままの状態で、基材層および粘着剤層からなる粘着シートを、幅1cm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去し、引張試験機として「オートグラフASG−50D型」(島津製作所製)を用い、引張速度200mm/min、チャック間距離50mm、室温(20℃)で引張試験を行い、粘着シートが破断したときの力を測定した。
【0074】
(2)接着強度
仮支持体付きのままの状態で、基材層および粘着剤層からなる粘着シートを、幅1cm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去した。イソプロピルアルコールで洗浄したメタクリル板(三菱レイヨン(株)製のアクリライト)に、粘着シートの粘着剤層面を重ねて、2kgの圧力で1往復させて圧着した。これを1時間放置した後、300mm/minの引張速度で180°方向に引き剥がした際の応力を求めて接着強度とした。
【0075】
(3)塩化ビニルゾルへの接着性の評価
仮支持体付きのままの状態で、基材層および粘着剤層からなる粘着シート、あるいは、基材層、粘着剤層およびアプリケーションシートからなる粘着シートを、幅1cm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去し、塩化ビニルゾルのパネル(表面粗さ=11.4μm)に、ハンドローラを用いて貼着した。その接着状態を目視で観察して下記評価基準に基づき評価を行った。但し、評価は室温(20℃)および5℃の2種類で行った。上記貼着作業を室温(20℃)で行った場合を20℃(RT)における塩化ビニルゾル接着性とし、切断後、5℃で1時間放置した後、5℃の条件下で貼着作業を行った場合を5℃における塩化ビニルゾル接着性とした。
評価基準:
A 粘着シートの浮きが確認できないもの
B 粘着シートの一部に浮きが確認されたもの
C 粘着シートの大半にわたって浮きが発生したもの
【0076】
(4)貼り付け易さの評価
上記「(3)塩化ビニルゾルへの接着性の評価」において、粘着シートが塩化ビニルゾルのパネルへ、きれいに直線で貼着できた場合には記号「○」で示し、曲がって貼り付いてしまった場合には記号「×」で示した。
【0077】
(5)アプリケーションシートの接着力の測定
仮支持体付きのままの状態で、基材層、粘着剤層およびアプリケーションシートからなる粘着シートを、幅25mm×長さ13cmに切断した後、仮支持体1および仮支持体2を除去し、イソプロピルアルコールで洗浄したメタクリル板(三菱レイヨン(株)製のアクリライト)に、粘着シートの粘着剤層面を重ねて、ハンドローラを用いて圧着した。これを常温(20℃)で1時間放置した後、300mm/minの引張速度で180°方向にアプリケーションシートを引き剥がし、この際の応力を求めてアプリケーションシート接着力とした。
【0078】
(6)アプリケーションシートの剥がし易さ
上記「(5)アプリケーションシートの接着力の測定」と同様にして、粘着シートをイソプロピルアルコールで洗浄したメタクリル板(三菱レイヨン(株)製のアクリライト)に圧着した。これを常温(20℃)で1分間保持した後、アプリケーションシートを手で剥がした。この際、アプリケーションシートを容易に剥離することができた場合には記号「○」、重たくて剥がし難かった場合には記号「×」で表示した。
【0079】
(実施例1)
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を35.5部、アクリル酸n−ブチル(BA)を9.5部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を36.4部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の13.6部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、4−ヒドロキシブチルアクリレートを2部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0080】
その後、架橋剤として、トリメチロールプロパントリアクリレートを3部添加し、光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.15部、紫外線吸収剤として、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシラン[(C10〜C16、主としてC12〜C13のアルキルオキシ)メチルオキシラン]との反応生成物と、1−メトキシ−2−プロパノールとからなる紫外線吸収剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤として、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0081】
《表面コート層用塗布液の作製》
フルオロエチレンビニルエーテルのキシレンおよびトルエンによる溶解液(旭硝子(株)製の「LF600」、固形分50重量%含有)の100部に、硬化剤として、10.15部のイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン(株)製の「コロネートHX」)と、触媒として、3.5部のジブチル錫ラウリン酸のキシレン希釈液(固形分濃度が0.01%)と、希釈溶媒として、101部のトルエンとを添加して、表面コート層用塗布液(固形分率28%)を作製した。
【0082】
《基材層の作製》
得られた表面コート層用塗布液を、仮支持体1として剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ75μm)の上に塗布し、温度140℃で3分間乾燥および硬化させてフルオロエチレンビニルエーテル層を形成した。なお、乾燥後の表面コート層の厚みは10μmであった。
【0083】
得られた表面コート層の上に、作製した複合フィルム用塗布液を、硬化後の厚みが290μm(表面コート層の厚みも含めると300μm)と成るように塗布し、この上にセパレータとして剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを重ねた。このPETフィルム面に、メタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm
2、光量4,600mJ/cm
2)を照射して硬化させて、仮支持体1の上に複合フィルム(表面コート層を備えている)を形成した。その後、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータ)を剥がした後、140℃で3分間乾燥させて、未反応の残存アクリル系モノマーを乾燥させ、基材層を得た。
【0084】
《粘着剤層の作製》
モノマー成分として、2−エチルヘキシルアクリレート90部およびアクリル酸10部を混合した混合物に、光重合開始剤として、商品名「イルガキュア 651」(チバ・ジャパン社製)を0.05部と、商品名「イルガキュア 184」(チバ・ジャパン社製)を0.05部とを配合した後、粘度が約15Pa・s(BH粘度計No.5ローター、10rpm、測定温度30℃)になるまで紫外線を照射して、一部が重合したアクリル組成物(UVシロップ)を作製した。
【0085】
得られたUVシロップの100部に対して、ヘキサンジオールジアクリレートを0.08部、ヒンダードフェノール型酸化防止剤(チバ・ジャパン社製の商品名「イルガノックス1010」)を1部添加して粘着剤組成物を作製した。
【0086】
この粘着剤組成物を、仮支持体2として厚み38μmのポリエステルフィルムの剥離処理面に、最終製品としての厚みが50μmになるように塗布した。
この上に、セパレータとして剥離処理したPETフィルムを重ねて被覆し、次いで、PETフィルム面にメタルハライドランプを用いて紫外線(照度290mW/cm
2、光量4,600mJ/cm
2)を照射して硬化させて、仮支持体2の上に粘着剤層を形成した。その後、剥離処理したPETフィルムを剥がした後、140℃で3分間乾燥させて、未反応の残存アクリル系モノマーを乾燥させ、粘着剤層を作製した。
【0087】
《粘着シートの作製》
得られた基材層の表面コート層と反対の面に、粘着剤層が重なるように貼り合わせて粘着シート(仮支持体1/表面コート層/複合フィルム/粘着剤層/仮支持体2の層構成)を作製した。
【0088】
《測定および評価》
得られた粘着シートについて、上記に示す測定方法および評価方法に従い、モジュラス(20℃における10%モジュラス、20℃における100%モジュラス、20℃における破断強度、5℃における10%モジュラス)、接着強度、塩化ビニルゾルへの接着性、貼り付け易さの測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0089】
(実施例2)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0090】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を8.8部、およびイソボルニルアクリレート(IBXA)を31.2部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を43.7部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の16.3部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを2重量部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0091】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.12部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0092】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0093】
(実施例3)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0094】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を6.5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を28.3部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を8.7部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を32.5部、および1,4−ブタンジオールを1.5部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の22.5部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.7部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0095】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.13部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。この複合フィルム用塗布液を使用して粘着シートを作製した。
【0096】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0097】
(実施例4)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0098】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を10部、アクリロイルモルホリン(ACMO)を20部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を20部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を36.4部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の13.6部を滴下し、65℃で10時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0099】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.13部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0100】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0101】
(実施例5)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0102】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を7.5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を32.5部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を10部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を26.5部、および1,4−ブタンジオールを3.7部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の19.8部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを2.4部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0103】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.15部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0104】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0105】
(実施例6)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0106】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を6.3部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を27.5部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を8.4部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を26.7部、1,4−ブタンジオールを3.6部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の27.5部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.3部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0107】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.13部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0108】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0109】
(実施例7)
表面コート層として、フルオロエチレンビニルエーテル層の替わりに、ウレタン基材(エスマーURS−PXN、日本マタイ社製)(30μm)を使用し、基材層の厚みが300μmとなるように複合フィルムの厚みを変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0110】
(実施例8)
表面コート層を設けずに、剥離処理したPETフィルム上に複合フィルム用塗布液を塗布して、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0111】
(比較例1)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0112】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を6.3部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を27.1部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を8.4部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を25.9部、および1,4−ブタンジオールを3.5部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の28.8部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを4.5部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0113】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.12部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤として、デカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0114】
得られた粘着シートについて実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0115】
(比較例2)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0116】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を7.5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を19.8部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を17.7部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を37.1部、および1,4−ブタンジオールを1.7部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の16.2部を滴下し、65℃で10時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0117】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.14部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0118】
得られた粘着シートについて、実施例1と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0119】
【表1】
【0120】
表1から明らかなように、10%モジュラスが35N/cm以下、かつ、100%モジュラスが8N/cm以上である、基材および粘着剤層からなる実施例1〜8の粘着シートは、優れた柔軟性を有しており、曲面に対する柔軟性や塩化ビニルゾルの塗装部分の凹凸に対する柔軟性に優れており、貼り付け作業時に貼り付け易いものであることが分かった。なお、実施例1〜4、7〜8の粘着シートは、低温での塩化ビニルゾルへの接着性にも優れていることが分かった。また、優れた破断強度も有することが分かった。また、これらの粘着シートは接着強度が3N/cm以上であった。
【0121】
一方、10%モジュラスが35N/cm以上である、基材および粘着剤層からなる比較例1の粘着シートは、室温でも低温でもいずれの場合においても塩化ビニルゾルへの接着性に非常に劣っていることが分かった。また、100%モジュラスが8N/cm未満である比較例2の粘着シートは、破断強度が小さくて実用不可能なレベルのものであり、しかも20℃における貼り付け易さの評価では劣っているものであることが分かった。
【0122】
(実施例9)
実施例1にて得られた粘着シートの表面コート層の上に、アプリケーションシート(日東電工(株)製の「SPV−214」)を貼り合わせて粘着シートを作製した。
【0123】
すなわち、実施例1と同様にして作製した表面コート層用塗布液を、仮支持体1の上に塗布し、温度140℃で3分間乾燥および硬化させてフルオロエチレンビニルエーテル層を形成した。なお、乾燥後の表面コート層の厚みは10μmであった。得られた表面コート層の上に、実施例1と同様にして作製した複合フィルム用塗布液を、実施例1と同様にして塗布して複合フィルムを作製して基材層(表面コート層を備えている)を得た。また、この複合フィルムの上に実施例1と同様にして作製した粘着剤層を積層した。
次に、基材層に仮貼付されている仮支持体1を剥離除去し、表面コート層の面にアプリケーションシート(日東電工(株)製の「SPV−214」)を貼り合わせて、粘着シート(アプリケーションシート/表面コート層/複合フィルム/粘着剤層/仮支持体2の層構成)を作製した。
【0124】
《測定および評価》
得られた粘着シートについて、上記に示す測定方法および評価方法に従い、モジュラス(20℃における10%モジュラス、5℃における10%モジュラス)、塩化ビニルゾルへの接着性、貼り付け易さ、アプリケーションシートの接着力、アプリケーションシートの剥がし易さの測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0125】
(実施例10)
粘着シートを実施例2において作製した粘着シートに変更した以外は実施例9と同様にして、アプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0126】
(実施例11)
粘着シートを実施例3において作製した粘着シートに変更した以外は実施例9と同様にして、アプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0127】
(実施例12)
粘着シートを実施例4において作製した粘着シートに変更した以外は実施例9と同様にして、アプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0128】
(実施例13)
粘着シートを実施例5において作製した粘着シートに変更した以外は実施例9と同様にして、アプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0129】
(実施例14)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例13と同様にしてアプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
【0130】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を7.5部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を19.8部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を17.7部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を37.1部、および1,4−ブタンジオールを1.7部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の16.2部を滴下し、65℃で10時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0131】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.14部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0132】
得られた粘着シートについて実施例13と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0133】
(実施例15)
実施例8と同様にして得られた粘着シートの非粘着剤層側に、アプリケーションシート(日東電工(株)製の「SPV−214」)を貼り合わせて粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて実施例13と同様の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0134】
(比較例3)
複合フィルム用塗布液を下記に示すものに変更した以外は実施例9と同様にしてアプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。
【0135】
《複合フィルム用塗布液の作製》
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸(AA)を6.3部、イソボルニルアクリレート(IBXA)を27.5部、およびアクリル酸n−ブチル(BA)を8.4部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)(数平均分子量650、三菱化学(株)製)を26.7部、および1,4−ブタンジオールを3.6部とを投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI)の27.5部を滴下し、65℃で10時間反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレートを3.3部滴下した後、65℃で1時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。
【0136】
その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(チバ・ジャパン社製の「IRGACURE819」)を0.13部、紫外線吸収剤として2,5−ヒドロキシフェニルとオキシラン1−メトキシ−2−プロパノール(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 400」)を1.25部、および光安定剤としてデカン二酸ビスエステル、1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドとオクタンのヒンダードアミン光安定剤(チバ・ジャパン社製の「TINUVIN 123」)を1.25部添加して、ウレタンポリマーとアクリル系モノマーの混合物(複合フィルム用塗布液)を得た。
【0137】
得られた粘着シートについて実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0138】
(比較例4)
アプリケーションシートの種類を「SPV−3620」(日東電工(株)製)に変更した以外は比較例3と同様にしてアプリケーションシートを有する粘着シートを作製した。得られた粘着シートについて、実施例9と同様の測定および評価を行った。その結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
表2から明らかなように、20℃における10%モジュラスが35N/cm以下である、基材、粘着剤層およびアプリケーションシートからなる実施例9〜15の粘着シートは、アプリケーションシートの接着性が6N/25mm以下であり、位置決め作業等の終了後に容易に剥離除去することができた。また、20℃における塩化ビニルゾル接着性が良好であることが分かった。さらにまた、塩化ビニルゾルへの貼り付け易さおよびアプリケーションシートの剥がし易さの評価において優れた結果が得られることが分かった。
【0141】
一方、20℃における10%モジュラスが35N/25mmを超えている比較例3および比較例4の粘着シートは、室温および低温のいずれの場合でも塩化ビニルゾル接着性に劣っており、また、比較例4では、アプリケーションテープ接着力が6N/25mmを超えるものであり、アプリケーションテープの剥離が容易ではないことが分かった。
【0142】
本発明によれば、柔軟性に優れた塗膜保護用粘着シートを提供することができた。また、本発明によれば、曲面に対する柔軟性および塩化ビニルゾルの塗装による凹凸に対する柔軟性に優れた粘着シートを提供することができた。