(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
止水栓のステム上端への取付け用嵌合穴を有するキャップ本体を開栓器で操作して止水栓を開閉する止水栓用キャップであって、前記キャップ本体は、開栓器に形成された多角穴部に係合するための上部側の係合多角面とこの係合多角面よりも下部側の外側方向に向けて傾斜する係合傾斜面とで構成され、前記係合多角面の下端に拡大傾斜面を介して係合傾斜面を形成し、この拡大傾斜面の横幅を前記係合多角面の横幅よりも大とし、前記係合多角面を四角錐部の角錐面として、前記係合傾斜面を角錐部の角錐面とすると共に、前記係合多角面の四角錐部の角錐面または前記拡大傾斜面或は前記係合傾斜面の角錐部の角錐面をそれぞれ前記開栓器の前記多角穴部で線接触状態に係合可能としたことを特徴とする止水栓用キャップ。
【背景技術】
【0002】
従来より、宅地内に設置される水道用メータボックスへの引き込み用の給水管に接続される一次側止水栓は、例えば80〜120cm程度の深さの公道下に設置され、この止水栓は、通常、手動で開閉操作される。この種の止水栓は、手で直接把持して開閉操作するハンドル形式ではなく、バルブ開栓器(開栓キー)と呼ばれる専用の長尺状の器具により地上から開閉操作される形式になっていることが多い。この止水栓は、いわゆるキー式止水栓と呼ばれ、この止水栓の栓棒又はこの栓棒に取付けられたキャップの先端部位は、四角形状や三角形状に形成されている。一方、開栓器の先端側には止水栓の先端形状に嵌合可能な嵌合凹部が形成され、この嵌合凹部に止水栓先端側を嵌め込んで、開栓器を回転させることにより止水栓内の弁体を開閉することが可能になっている。
【0003】
この場合、キー式止水栓の栓棒やキャップの先端部位は基準となる形状が定められておらず、その形状は止水栓を扱う各事業体ごとに異なっている。このような止水栓として、例えば、
図9〜
図11に示した四角錐部を有するキャップが多く用いられている。
図9のキャップ体1は、上部側から四角錐体2とこの四角錐体2の底辺3よりも長い直径を有する円柱体とが組み合わされた形状になっている。
図10、
図11のキャップ体5、6は、全体が一つの四角錐体7、8を有する形状になっており、
図10のキャップ体5は呼び径の小さい止水栓に用いられる。
図11のキャップ体6はこのキャップ体5よりも大きい呼び径の止水栓に用いられ、例えば、このキャップ体6の四角錐体8の頂部形状は一辺約7.5mmの正四角形、円柱部位の外径Tは約φ18mm、四角錐体8の図示しない傾斜角度は約8°になっている。
図9〜
図11の何れのキャップ体1、5、6も、四角錐体2、7、8に対応する開栓器9、10の嵌合凹部11、12が嵌め込まれて開閉操作可能となる。
この場合、止水栓の異なる呼び径に対応して、一辺の長さや深さなどが異なる四角錐体を有するキャップ体が用いられるのが通常であり、各キャップ体に対応させるためには嵌合凹部の寸法が異なる開栓器が必要になる。
【0004】
一方、特許文献1の多用途開栓器は、頭部本体にバルブ軸への嵌合穴が設けられ、この嵌合穴は、角錐台状の嵌合穴と、三角錐台状の嵌合穴とから構成されている。そして、各嵌合穴の下方部分、中間部分、上方部分は、それぞれ大寸法、中寸法、小寸法のバルブ軸に嵌合する形状に設けられている。同文献1の開栓器は、これらの嵌合穴により異なる形状や寸法のバルブ軸を有する止水栓を開閉操作しようとするものである。
同文献2の止水栓開閉棒は、角棒の両端にソケットが設けられ、このソケットに異なる大きさの四角穴が形成されている。この開閉棒は、各四角穴にキャップの四角部を接続し、呼び径の異なる止水栓を開閉しようとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、止水栓の栓棒の先端形状や寸法が異なる場合には、この止水栓を開閉するために複数の開栓器が必要になり、その先端形状や寸法に合わせて開栓器を新規に製作することもあった。更に、設置現場等においては、異なる呼び径の止水栓が設置されている場合に備えて、予め異なる呼び径用の開栓器を準備する必要もあった。このため、開栓器の数が増え、新規に製作する場合には経済的にも無駄が生じていた。
しかも、止水栓を開閉操作する際には、対応する開栓器をその都度選択しなければならないため、作業に手間がかかっていた。
【0007】
更に、
図9のキャップ体1においては、円柱体4の頂面4aに先端部13が当接するサイズの大きい開栓器9を用いた場合には、四角錐体2が適切な状態で嵌合凹部11に嵌合されずにこの嵌合凹部11の先端側と四角錐体2との間に隙間G
1が生じることがある。この場合、開栓器9を操作したときにこの開栓器9が四角錐体2に対して空転して止水栓を開閉できなかったり、開栓器9とキャップ体1との間にガタが生じて四角錐体2、或は開栓器9がなめられて欠けたりする等の損傷が生じることがあった。そして、四角錐体2が損傷すると、別の開栓器を用いたとしても開閉操作することが難しくなり、開栓器9が損傷すると、この開栓器9を使用できなくなる可能性がある。
図10のキャップ体5においては、大きい呼び径用の開栓器10を用いて操作したときには、図に示すように嵌合凹部12と四角錐体7との間に大きな隙間G
2が生じるため、四角錐体7が嵌合凹部12に嵌合せずにこの四角錐体7の頂面7aと嵌合凹部12の奥側面12aとが当接した状態となり、開栓器10が四角錐体8に対して空転して止水栓を開閉できなくなっていた。
図11のキャップ体6においては、小さい呼び径用の開栓器の嵌合凹部に嵌合できないため、この開栓器を用いて開閉操作することができない。このように、
図10、
図11のキャップ体5、6に対して一つの開栓器を共用することは難しくなっている。
【0008】
ここで、
図11のキャップ体6の四角錐体8を高く形成してこの四角錐体8の頂部付近を細く形成し、この四角錐体8を大小の呼び径の開栓器に共用させることも考えられる。しかし、この場合、一つの傾斜角度のテーパを大小の嵌合凹部に嵌合可能に形成するために必要以上に四角錐体が高くなり、止水栓全体が大型化するという問題が生じる。しかも、キャップ体6を止水栓の栓棒に強固に取付けるためには栓棒を覆う部分を長く形成しなければならず、この場合、更に止水栓全体が大型化することになる。
【0009】
特許文献1においては、上記の四角錐部と嵌合凹部との問題に加えて、頭部本体内に角錐台、三角錐台の嵌合穴が形成され、各嵌合穴を大、中、小の3つの寸法のバルブ軸が嵌合可能な形状に設ける必要があるため構造が複雑化し、加工も面倒になっていた。この開栓器では、異なる形状の四角穴を角棒の両端に形成しているため、加工工数が増加することにより経済性も悪くなっていた。
また、同文献2においては、上記の四角錐部と嵌合凹部との問題に加えて、異なる大きさの四角穴が形成されたソケットが角棒の両端に設けられているため加工工数が倍加して経済性が悪くなっていた。
【0010】
本発明は、上記の課題点を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、止水栓のステムに装着することで既存の開栓器を用いて開閉操作できる止水栓用キャップであり、開栓器を共用可能にして呼び径の異なる止水栓を開閉操作でき、開栓器によりガタの無い状態で強固に把持して止水栓や開栓器を損傷させることなく確実に止水栓を開閉操作できる簡単な構造のコンパクトな止水栓用キャップと止水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、止水栓のステム上端への取付け用嵌合穴を有するキャップ本体を開栓器で操作して止水栓を開閉する止水栓用キャップであって、前記キャップ本体は、開栓器に形成された多角穴部に係合するための上部側の係合多角面とこの係合多角面よりも下部側の外側方向に向けて傾斜する係合傾斜面とで構成され、前記係合多角面の下端に拡大傾斜面を介して係合傾斜面を形成し、この拡大傾斜面の横幅を前記係合多角面の横幅よりも大とし、前記係合多角面を四角錐部の角錐面として、前記係合傾斜面を角錐部の角錐面とすると共に、前記係合多角
面の四角錐部の角錐面または前記拡大傾斜面或は前記係合傾斜面の角錐部の角錐面をそれぞれ前記開栓器の前記多角穴部で線接触状態に係合可能とした止水栓用キャップである。
【0014】
請求項
2に係る発明は、止水栓本体に設けたステムの上端に止水栓用キャップを固着した止水栓である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によると、取付け用嵌合穴を介してキャップ本体をステムに取付けることにより、キャップ本体を介して既存の開栓器を用いて止水栓を開閉操作でき、キャップ本体に設けた上部側の係合多角面、下部側の係合傾斜面を開栓器の多角穴部に係止させて、キャップ本体と多角穴部とを線接触状態で係合させているので、多角穴部の大きさや形状の異なる開栓器であってもこの開栓器を共用可能として、開栓器の使用できるサイズの範囲を拡大しつつ、呼び径の異なる止水栓を開閉操作できる。この場合、係合線を介してキャップ本体と開栓器とを係合させていることにより寸法誤差等を吸収し、これらの間にガタが発生することを防ぎ、開栓器やキャップ本体の損傷を防止しつつ安定した操作性を発揮して確実に止水栓を開閉操作できる。しかも、全体が単純な構造であるため、市販の中空角鋼材等を利用して鍛造成形等の加工手段で容易に大量生産により製作できる。多角穴部への係合部位を係合多角面と係合傾斜面とに分けて構成しているため、傾斜部位が一つである場合に比較してキャップ本体の高さ方向の寸法を抑えることができ、全体のコンパクト化が可能になる。
【0016】
しかも、係合多角面の下端に拡大傾斜面を設けていることにより、係合多角面に係合可能な多角穴部を有する開栓器よりも、多角穴部が大きい開栓器を使用したときにもこの拡大傾斜面に開栓器の多角穴部を係合させることができるため、異なる呼び径の止水栓用の開栓器を用いて一つのキャップ本体を共用して止水栓を開閉操作することが可能になる。この場合、係合線を長くできるため、開栓器との間のガタをより抑えつつ開栓器を係合でき、この開栓器により止水栓をスムーズに開閉操作できる。
【0017】
さらには、四角錐部と多角形状の角錐部とを設けることにより係合多角面と係合傾斜面とを構成できるため、複雑な加工を施すことなく棒材を材料として鍛造成形などにより容易に形成加工できる。しかも、丸鋼以外の六角棒材や八角棒材を材料として使用して角錐部を任意の多角形状とし、何れの形状の材料であっても係合多角面、係合傾斜面を形成できる。この場合、多角形状の材料に対する係合多角面の向きによって係合傾斜面の形状が一致しない場合があるが、この係合傾斜面に対しても開栓器の多角穴部を、係合線を介して係合させることでキャップ本体と開栓器との係合部分の隙間を吸収してキャップ本体に開栓器をガタの無い状態で係合できる。
【0018】
請求項
2に係る発明によると、多角穴部の大きさや形状の異なる開栓器を用いて、直ちに開閉操作することができる。これにより、既存の開栓器を共用でき、止水栓の開閉操作時には、止水栓用キャップの上方側から開栓器を係合し、この開栓器を回転することでガタの発生や損傷などを防ぎつつ容易に止水栓を開閉操作できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明における止水栓用キャップと止水栓の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1においては、止水栓用キャップを用いて止水栓を開閉操作する状態を示しており、
図2ないし
図6においては、本発明の止水栓用キャップの第1実施形態を示している。
【0021】
本発明の止水栓用キャップ本体(以下、キャップ本体という)20は、
図1に示すように、止水栓本体21のステム22の上端に着脱可能に取付けられ、このキャップ本体20を開栓器26(又は開栓器27)で操作することにより止水栓本体21を開閉可能になっている。この実施形態におけるキャップ本体20は、呼び径サイズが、例えば、13A〜25Aまでの止水栓本体21に取付け可能に設けられ、13A〜20Aまでの小型の止水栓用の開栓器26、25A〜50Aまでの中型の止水栓用の開栓器27により操作可能になっている。
【0022】
図2(a)、
図2(b)において、キャップ本体20は、例えば、市販の円柱棒などの中実鋼材等を材料として鍛造成形等の加工手段によりキャップ状に形成され、後述する開栓器26、27のボックス部24に形成された多角穴部25に係合するための上部側の係合多角面30とこの係合多角面30よりも下部側の係合傾斜面31とで構成されている。係合多角面30は、キャップ本体20の上部側に設けられている四角錐部32の角錐面よりなっており、係合傾斜面31は、キャップ本体20の下部側に設けられている角錐部33の角錐面よりなっている。
【0023】
係合多角面30は、台形状の係合四角面よりなり外側方向に向けて傾斜している。係合傾斜面31は、係合多角面30の下端に設けられる拡大傾斜面34を介して係合多角面30から連続するように四つの面が外側方向に向けて傾斜して形成されている。係合傾斜面31の下部側は、キャップ本体20の材料である棒材の外形となっている。
【0024】
図2(b)において、拡大傾斜面34は、係合多角面30の底角部30aの対角長さをM
1、キャップ本体20の外径をD
1としたときに、対角長さM
1<外径D
1の関係を満たすことで構成され、これにより、拡大傾斜面34の縁部34aが形成される。
【0025】
上記の関係によって、
図4に示すように拡大傾斜面34は、係合多角面30の下端から係合傾斜面31まで外側方向に向けて傾斜して形成され、この拡大傾斜面34の横幅W
2は、係合多角面30の横幅W
1よりも大となっている。拡大傾斜面3
4の勾配は、係合傾斜面31の勾配と同じであり、この係合傾斜面31の勾配は、係合多角面30の勾配よりも緩やかになっている。なお、係合多角面30は、必ずしも傾斜状でなくてもよく、この場合、図示しない係合多角面はそれぞれ長方形状となり、この係合多角面により四角柱状の四角錐部が形成される。
【0026】
図示しない係合多角面30の傾斜角度としては、例えば、3〜5°、係合傾斜面31の傾斜角度としては、例えば、15〜30°に設定することが好ましい。この場合、係合傾斜面31の傾斜角度が15°を下回ると、キャップ本体20の下部に形成されている円筒部20aが薄肉となり、ステム22に対する装着強度が低下するおそれがある。一方、係合傾斜面31の傾斜角度が30°を上回ると、開栓器26の後述のボックス部24を係合する際の調芯作用が低下する。
本実施形態においては、対角長さM
1=約15.5mm、外径D
1=約φ18mm、係合多角面30の傾斜角度=約3°、係合傾斜面31の傾斜角度=約18°とした。
【0027】
キャップ本体20と開栓器26、27の多角穴部25とを係合させた場合には、その接触部分に形成される係合線L
1、L
2を介して、キャップ本体20の係合多角面30又は係合傾斜面31の何れかと多角穴部25とを線接触状態で係合することが可能になっている。
【0028】
図3、
図4において、キャップ本体20の内側には取付け用嵌合穴40と貫通穴41とが形成され、キャップ本体20は、嵌合穴40を介してステム22上端に取付け可能になっている。嵌合穴40は、ステム22上端に嵌合可能なテーパ状に形成され、貫通穴41の上部には取付け用長ねじ42の頭部43を係止可能な係止部44が設けられている。
【0029】
キャップ本体20の材料となる図示しない棒材は、黄銅などの金属製等の丸材や角材であればよく、且つ、中実材料または中空材料でも良い。更に、この棒材を四角形よりも大きい多角形状としてもよい。この場合には、上記の係合多角面30の頂角部位と係合傾斜面31の頂角部位とが一致する場合とは異なり、四角錐部からなる係合多角面の下部側が四角形よりも大きい多角形となることで頂角部位が必ずしも一致しなくなり、係合傾斜面同士が異なる形状に形成される場合がある。しかし、この場合にも、頂角部位同士が一致する場合と同様に、後述する係合傾斜面による機能が発揮される。
【0030】
図1における止水栓本体21は、地中に埋設されてその両端側には給水管50が接続されている。図示しないが、止水栓本体21のボデー51内にはステム22に接続された弁体が配設され、止水栓本体21は、この弁体がステム22を介して上下動可能なグローブバルブの態様からなっている。更に、ボデー51内には弁座が形成され、この弁座に弁体が離接可能になっている。止水栓本体21の周囲には弁筐52が配設されこの弁筐52は地上まで延設されている。この弁筐52と弁筐52に設けられた蓋体53とにより止水栓本体21が保護される。
【0031】
上述したキャップ本体20は、ステム22上端に嵌合穴40を介して嵌合装着された状態で、このキャップ本体20の上からステム22に形成されためねじ54に長ねじ42を螺着することでステム22と固着される。長ねじ42は、係止部44に頭部43が係止するまで螺入可能になっており、長ねじ42の締付け後には、頭部43がキャップ本体20内に納まって上方側に突出することがない。
【0032】
キャップ本体20を開栓器26、27で回動操作したときには、このキャップ本体20とステム22とが一体に回転し、このステム22の回転により弁体が上下動して弁座に離接されて止水栓本体21を開閉する。図示しないが、長ねじ42は、キャップ本体20の上部側から取付ける以外にも、キャップ本体20の側面側からピンの圧入等によりステム22と一体化するようにしてもよい。
【0033】
開栓器26、27は、一般的な構造であればよく既存のものを用いることができる。本実施形態における開栓器26、27は、適宜の長さの棒状部55を有し、この棒状部55の下端側に略筒状のボックス部24が設けられている。ボックス部24の内側には適宜の大きさの内周四角面からなる多角穴部25が形成され、この多角穴部25に止水栓本体21に取付けられたキャップ本体20が係合可能になっている。棒状部55の上部側にはハンドル56が設けられ、このハンドル56を回転操作することで多角穴部25に係合されたキャップ本体20を回転させることが可能になる。
【0034】
弁筐52は、止水栓本体21を上方側から被覆可能な形状に形成され、この弁筐52を止水栓本体21の上部側から地中に埋設することで止水栓本体21の上方側に開栓器26、27挿入用の空間Cが確保される。蓋体53は弁筐52の上端に回転可能な状態で取付けられて弁筐52内部を被蓋可能に設けられている。蓋体53を開状態にしたときには、開栓器26、27により止水栓本体21の開閉操作が可能になり、閉状態にしたときには弁筐52内に土やゴミなどが入ることが防がれる。
【0035】
次いで、上述したキャップ本体20を介して開栓器で止水栓本体21を開閉操作する場合を述べる。
図1において、開栓器をキャップ本体20に装着する場合には、蓋体53を開状態に回転させ、弁筐52の開口部位から空間Cに開栓器26を挿入し、ボックス部24の多角穴部25とキャップ本体20と係合させる。この状態でハンドル56を回動することで、止水栓本体21の開閉操作が可能になる。
【0036】
この場合、
図4に示すように、(例えば、止水栓の呼び径13A〜20A用の)小型の開栓器26であるときには、キャップ本体20の係合多角面30にこの開栓器26の多角穴部25の縁部57が係合し、この係合状態で開栓器26を回動させることでキャップ本体20を介してステム22を操作できる。このとき、縁部57と係合多角面30とは係合線L
1を介して線接触状態で係合しているため、開栓器26とキャップ本体20との間にガタが生じることがなく、開栓器26がキャップ本体20に対して空転したり、開栓器26やキャップ本体20が損傷したりすることが防がれる。
【0037】
しかも、本実施形態においては、係合多角面30を四角錐部32の角錐面としているため、開栓器26の多角穴部25の大きさに差がある場合でも、この開栓器26の縁部57が四角錐部32の適宜位置に係合可能になっている。このため、多角穴部25に寸法差のある小型開栓器26を用いた場合でも止水栓本体21を操作することが可能になる。
【0038】
一方、
図5に示すように、(例えば、止水栓の呼び径20A〜50A用の)中型の開栓器27であるときには、係合傾斜面31にこの開栓器27の縁部57が係合して縁部57と係合傾斜面31とが係合線L
2を介して線接触状態で係合することで、係合多角面30と縁部57とが線接触する場合と同様にガタの発生や開栓器27の空転、開栓器37、キャップ本体20の損傷などを防ぎつつこの開栓器27を回動させてステム22を操作できる。
【0039】
この場合、拡大傾斜面34を介して係合傾斜面31を設け、この拡大傾斜面31の横幅W
2を係合多角面30の横幅W
1よりも大としているので、小型開栓器26よりも多角穴部25が大きい中型開栓器27を確実に拡大傾斜面34に係合させることができる。しかも、このときの拡大傾斜面34における係合線L
2の横幅W
2を、
図11のキャップにおいて開栓器が係合されたときの係合線の当接幅dと比較すると、キャップ上端側からの距離Hと距離sとが同じであるときに横幅W
2>当接幅dとなり、キャップ本体20と多角穴部25との当接部分がより大きくなる。このため、
図11の従来の場合に比較して、線接触による長い接触部位を形成することができ、開栓器27とキャップ本体20との係合を強固にしてこの開栓器27による回転操作が安定する。
【0040】
更に、例えば、開栓器26の使用により多角穴部25が拡径した場合であっても、係合多角面30とこの係合多角面の下方側の係合傾斜面31とが多角穴部25の縁部57と線接触し、係合傾斜面31の下部位置においてもこの線接触が確実に成されるため、止水栓本体21の開閉操作が可能になる。
【0041】
上記のように、本発明の止水栓用キャップは、キャップ本体20に係合多角面30と係合傾斜面31とを形成しているので、既存の小型開栓器26と中型開栓器27とを共用化してそのまま用いることができ、何れかの開栓器を用いて止水栓を操作できるため、多角穴部25の大きさの異なる複数の開栓器を準備したり、多角穴部を対応させるために新規に開栓器を製作したりする必要もない。このため、経済的な無駄を抑えることもでき、多角穴部25の寸法差を許容しながら既存の開栓器26、27をキャップ本体20に係合させて優れた操作性を発揮できる。しかも、係合多角面30と係合傾斜面31とをキャップ本体20に分割して形成しているため、キャップ本体20の高さを低くして全体をコンパクト化できる。
【0042】
また、
図6において、テーパ部60が設けられた多角穴部61を有する開栓器62を用いた場合には、係合多角面30の上端縁30aが多角穴部61の適宜の位置に係合して係合線L
3が形成され、この係合線L
3を介して両者が線接触状態になる。これにより、
図4の場合と同様に、開栓器62とキャップ本体20との間のガタの発生等を防いだ状態でステム22を開閉操作できる。
【0043】
図7(a)、
図7(b)においては、本発明における止水栓用キャップの第2実施形態を示している。この実施形態以降において、上記実施形態と同一部分は同一符号によって表し、その説明を省略する。
この実施形態におけるキャップ本体70は、
図2のキャップ本体20よりも呼び径の大きい図示しない止水栓に取付け可能に設けたものである。この場合、例えば、呼び径サイズが、30A〜50Aまでの止水栓に取付け可能に設けられ、
図5に示した25A〜50Aまでの中型の止水栓用の開栓器27により操作可能としたものである。このキャップ本体70には、係合多角面71の下端に拡大傾斜面を有していない係合傾斜面72が形成されている。
【0044】
図7(b)において、係合多角面71の底角部71aの対角長さをM
2、キャップ本体70の外径をD
2とすると、対角長さM
2≧外径D
2の構成としているため、この実施形態では拡大傾斜面が形成されることはない。
この実施形態においては、対角長さM
2=約20.5mm、外径D
2=約φ20mm、係合多角面71の傾斜角度=約3°、係合傾斜面72の傾斜角度=約22°とした。
【0045】
キャップ本体70は、
図5の中型の開栓器27を、係合多角面71或は係合傾斜面72に係合させて回転可能になっており、その際、開栓器27の多角穴部25の大きさに応じて、この多角穴部25の縁部57と係合多角面71、又は、多角穴部25の縁部57と係合傾斜面72とが図示しない係合線を介して線接触状態で係合することで、
図2の場合と同様にこのキャップ本体70と開栓器27とが強固に係合される。この場合にも図示しない係合線が長く形成されるため安定した回転操作が可能となる。
【0046】
図8(a)、
図8(b)においては、本発明における止水栓キャップの第3実施形態を示している。
この実施形態におけるキャップ本体80は、係合多角面81と係合傾斜面82とを有し、この係合多角面81を四角錐部82の多角面とし、係合傾斜面82を六角錐部84よりなる角錐部の角錐面としたものである。この場合、キャップ本体80を成す素材を断面正六角形の棒材とし、この棒材を鍛造成形することで図の形状に形成している。
【0047】
このキャップ本体80では、係合多角面81を形成する四角錐部83の一対の頂角83aが、キャップ本体80下部の六角部位の一対の頂角80aと対向して配置されていると共に、係合多角面81の底角部分の対角長さM
3をキャップ本体80の対辺長さD
3よりも短く設定することにより、拡大傾斜面85を介して係合傾斜面82を形成したものである。この場合、中型開栓器27を用いたときに、
図8(b)の破線で示した係合線L
4の位置において、このキャップ本体80と開栓器27の多角穴部25の縁部57とが線接触するため安定した回転操作が可能になる。更に、多角穴部25が拡径した場合にも、係合線L
4より下部側の係合傾斜面82に縁部57を線接触させて止水栓本体21を操作できる。
キャップ本体を成す素材が正六角形以外の正多角形の場合においても、正六角形の場合と同様に係合線を形成でき、開栓器とキャップ本体とを強固に係合させて開栓器を操作できる。
【0048】
更に、上記以外の多角穴部を有する既存の開栓器に対応させるために、係合多角面を四角錐部以外の角錐面とすることもでき、例えば、開栓器の多角穴部が略三角形状である場合、この多角穴部用として三角錐の角錐面を係合傾斜面として設けることもできる。
【0049】
また、図示しないが、係合多角面と係合傾斜面は、平坦面状以外にも、アール面状に設けられていてもよい。この場合、係合多角面と係合傾斜面とをアール面によって滑らかに結ぶように形成することで、開栓器とによる係合線がより長くなるため、操作を更に安定させることもできる。
【0050】
上述した実施形態において、止水栓のサイズが小型、中型である場合を説明したが、この「小型」、「中型」は、止水栓のサイズを区別するために便宜上表したものであり、止水栓のサイズを限定するものではない。そのため、本発明の止水栓用キャップをより大型に形成して前述した呼び径サイズよりも大型の止水栓に取付けることもでき、この場合にも、対応する開栓器を用いて止水栓を開閉操作できる。
【0051】
上記実施形態においては、止水栓がグローブバルブである場合を説明したが、回転操作によって弁体を開閉できる機構を有していれば、例えば、ボール止水栓やこま式止水栓などのグローブバルブ以外の態様の止水栓であってもよく、これらの各種の止水栓に対して本発明の止水栓用キャップを固着することができる。
更に、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。