(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の釣り用リールは、ドラグ機構に作用するトルクを検出するトルクセンサを設けることによって、釣り糸に作用する張力を検出している。一般に、ドラグ機構は、複数のドラグ板を接触させたときに生じる接触摩擦によりスプールの回転を制動しているが、たとえば、ドラグ機構が作用している状態で魚の引きが非常に強い場合には、ドラグ板の接触摩擦が増大し、ドラグ板が発熱してしまうことがある。このようにドラグ機構が発熱すると、ドラグ機構の近傍に配置されるトルクセンサの温度が上昇し、トルクセンサにより検出される検出トルクが正しくなくなるおそれが生じる。このように検出トルクが正しくなくなると、検出トルクに基づいて算出される算出張力が大きくずれてしまうことになり、このため、釣り糸に作用する張力を正しく把握できないおそれが生じる。
【0005】
本発明の課題は、釣り用リールにおいて、釣り糸に作用する張力を正しく把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る釣り用リールは、釣竿に装着され、釣り糸を巻き取り及び繰り出す釣り用リールであって、リール本体と、スプールと、ハンドルと、張力検出手段と、温度検出手段と、検出張力補正手段と、補正張力出力手段とを備えている。リール本体は、釣竿に装着される。スプールは、リール本体に回転自在に装着され、釣り糸を巻き付ける。ハンドルは、リール本体に設けられ、スプールを回転させる。張力検出手段は、釣り糸に作用する張力を電気信号に変換して検出する手段である。温度検出手段は、張力検出手段の近傍に配置され、張力検出手段の温度を検出する手段である。検出張力補正手段は、張力検出手段により検出された検出張力を、温度検出手段により検出された張力検出手段の温度に応じて補正する手段である。補正張力出力手段は、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力可能な手段である。
【0007】
この釣り用リールでは、釣り糸に作用する張力を電気信号に変換して検出する張力検出手段と、張力検出手段の近傍に配置され張力検出手段の温度を検出する温度検出手段と、張力検出手段により検出された検出張力を温度検出手段により検出された張力検出手段の温度に応じて補正する検出張力補正手段と、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力する補正張力出力手段とを主に備えている。ここでは、検出張力補正手段によって、張力検出手段により検出された検出張力を、温度検出手段により検出された張力検出手段の温度に応じて正しく補正し、補正張力出力手段によって、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力することができるので、たとえば、張力補正手段の温度が上昇したとしても、釣り糸に作用する張力を正しく把握することができる。
【0008】
発明2に係る釣り用リールは、発明1の釣り用リールにおいて、張力検出手段は、スプールに作用するトルクを検出するトルクセンサを有する。この場合、たとえばスプールの回転に連動するスプール軸にトルクセンサを設け、スプールに作用するトルクを検出することにより、スプールに作用するトルクに対応する釣り糸に作用する張力を容易に検出できる。
【0009】
発明3に係る釣り用リールは、発明2の釣り用リールにおいて、張力検出手段は、スプールに作用するトルクにより透磁率が変化する磁歪素子と、磁歪素子の周囲に設けられ透磁率の変化を電気的に検出する検出コイルとを有している。この場合、スプール軸やハンドル軸に薄膜などで構成可能な磁歪素子を設け、その周囲に検出コイルを設けるだけでトルクを検出できるので、回転部分に電気素子を設ける必要がなくなり、非接触でトルクを検出できる。このため、トルクセンサへの電気配線が容易にな
るとともに、トルクセンサの構成がコンパクトになる。
【0010】
発明4に係る釣り用リールは、発明3の釣り用リールにおいて、温度検出手段は、検出コイルの両側に配置されている。この場合、たとえば、温度検出手段のセンサ部を張力検出手段の検出コイルの両側に配置することにより、トルクセンサの温度を細かく検出できるので、釣り糸に作用する張力をさらに正確に補正できる。
【0011】
発明5に係る釣り用リールは、発明2から4のいずれかの釣り用リールにおいて、スプールの回転を制動するドラグ機構をさらに備えている。張力検出手段は、ドラグ機構に作用するトルクを検出する。この場合、たとえばハンドル軸に装着されるスタードラグや、スプール軸に装着されるレバードラグ等のドラグ機構に作用するトルクを検出することにより、ドラグ機構に作用するトルクに対応する釣り糸に作用する張力を正確に検出できる。さらに、ここでは、ドラグ機構の発熱によってドラグ機構の近傍に配置されるトルクセンサの温度が上昇した場合でも、張力補正手段によって、釣り糸に作用する張力をより正確に把握することができる。
【0012】
発明6に係る釣り用リールは、発明5の釣り用リールにおいて、スプールの糸繰り出し方向の逆転を禁止可能なワンウェイクラッチをさらに備えている。張力検出手段は、ワンウェイクラッチとドラグ機構との間に装着されている。この場合、たとえば、ワンウェイクラッチとドラグ機構との間のスプール軸やハンドル軸にトルクセンサを装着することにより、ドラグ機構に作用するトルクを容易に検出できる。
【0013】
発明7に係る釣り用リールは、発明2から6のいずれかの釣り用リールにおいて、スプールに巻かれた釣り糸の糸巻径を算出する糸巻径算出手段と、糸巻径算出手段により算出された糸巻径と張力検出手段により検出された検出トルクとに基づいて算出張力を算出する算出張力算出手段とをさらに備える。この場合、制御部によりスプールに巻かれた釣り糸の糸巻径と張力検出手段により検出された検出トルクとにより、算出張力を算出して表示部に表示することによって、釣り糸に作用する張力を容易に把握できる。
【0014】
発明8に係る釣り用リールは、発明7の釣り用リールにおいて、スプールに巻かれた釣り糸の糸巻径とスプールの回転数との関係を表す所定の関係テーブルを読み出す関係テーブル読
出手段と、スプールの回転数を検出する回転数検出手段とをさらに備えている。糸巻径算出手段は、関係テーブル読出手段により読み出された所定の関係テーブルと、回転数検出手段により検出されたスプールの回転数とに基づいて、スプールに巻かれた釣り糸の糸巻径を算出する。この場合、記憶部に予め記憶されたスプールに巻かれた釣り糸の糸巻径とスプールの回転数との関係を表す所定の関係テーブルによって、スプールに巻かれた釣り糸の糸巻径を容易に算出できる。
【0015】
発明9に係る釣り用リールは、発明1から8のいずれかの釣り用リールにおいて、リール本体に取り付けられ張力検出手段が電気的に接続される基板と、基板上に配置され基板の温度を検出する基板温度検出手段とをさらに備えている。検出張力補正手段は、張力検出手段により検出された検出張力を、温度検出手段により検出された張力検出手段の温度及び基板温度検出手段により検出された基板の温度に応じて補正する手段である。この場合、温度検出手段により張力検出手段の温度を検出するだけでなく、基板温度検出手段により基板の温度も検出する構成になっているので、検出張力補正手段によって、張力検出手段により検出された検出張力を、温度検出手段により検出された張力検出手段の温度及び基板温度検出手段により検出された基板の温度に応じてより正しく補正できる。ここでは、補正張力出力手段によって、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力することができるので、たとえば、張力補正手段や基板の温度が上昇したとしても、釣り糸に作用する張力を正しく把握することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、釣り用リールにおいて、釣り糸に作用する張力を電気信号に変換して検出する張力検出手段と、張力検出手段の近傍に配置され張力検出手段の温度を検出する温度検出手段と、張力検出手段により検出された検出張力を温度検出手段により検出された張力検出手段の温度に応じて補正する検出張力補正手段と、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力する補正張力出力手段とを備えているので、検出張力補正手段によって、張力検出手段により検出された検出張力を、温度検出手段により検出された張力検出手段の温度に応じて正しく補正し、補正張力出力手段によって、検出張力補正手段により補正された補正張力を出力することができるので、釣り糸に作用する張力を正しく把握できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態を採用した釣り用リール100は、
図1及び
図2に示すように、トローリングに用いられる大型の両軸受リールである。釣り用リール100は、筒状のリール本体1と、リール本体1の中心部に回転自在に装着されたスプール軸2と、スプール軸2に回転自在かつ軸方向移動不能に支持されたスプール3と、リール本体1の側方に配置されたハンドル4とを備えている。また、釣り用リール100は、ハンドル4の回転をスプール3に伝達する回転伝達機構6と、スプール3の糸繰り出し方向の回転を制動するレバードラグ機構7と、スプール3の糸繰り出し方向の回転を規制する逆転防止機構9とをリール本体1の内部に備えている。
【0019】
リール本体1は、金属製の左右1対の有底筒状の第1側板10及び第2側板11と、第1側板10及び第2側板11が両端に印籠結合により同芯に結合され、複数本の固定ねじにより固定された金属製の孔あき筒状のリールボディ12とを有している。第1側板10及び第2側板11は、その略中心部で回動自在にスプール軸2の両端を支持する。
【0020】
リールボディ12と第1側板10及び第2側板11との間の上部にはリールハーネスに装着するためのハーネスラグ13が間隔を隔てて装着されている。リールボディ12の下部にはリールを釣竿に装着するための竿取付部14が設けられている。
【0021】
リール本体1の第1側板10の上部には、
図1から
図3に示すように、箱型形状のカウンタケース70が配置されている。カウンタケース70の上面には、仕掛けの水深情報(糸長)や釣り糸に作用する張力(補正トルク)や仕掛けの繰り出し速度等を表示する表示部79と、表示部79の前側に配置され表示部79の表示を切り替える操作を行うための操作部77とが設けられている。
【0022】
リール本体1の第1側板10の内部には、
図2及び
図3に示すように、略円板状の取付基板10aが装着固定されている。取付基板10aには、各種の制御を行う制御部73(
図7参照)や、各種の情報を記憶する記憶部78(
図7参照)や、後述するスプールセンサ71(
図7参照)、スプールカウンタ72(
図7参照)を構成するリードスイッチや、後述する取付基板10aのセンサ基板の温度を検出する基板温度センサ69(
図7参照)や、バックアップ用のバッテリ等が配置されている。さらに、取付基板10aには、
図2から
図4に示すように、後述するトルクセンサ75の検出コイル75bや、温度センサ76を保持するための保持ケース75cが装着されている。保持ケース75cは、
図4に示すように、スプール軸2を貫通する略円筒状のケース部材であって、取付基板10aに形成されたねじ孔10bに取付ねじ10cを螺合することによって装着固定されている。
【0023】
スプール軸2は、
図2に示すように、両端に配置された左右1対の軸受31a、軸受31bによりリール本体1の第1側板10及び第2側板11に回転自在に支持されている。また、その内側で軸方向に間隔を隔ててスプール3の両端に配置された2つの軸受32a、軸受32bによりスプール3を回転自在に支持する。スプール軸2の左端の軸受31aの内輪の右側には、
図2及び
図3に示すように、逆転防止機構9の後述するラチェットホイール50が当接している。スプール3を支持する左側の軸受32aの内輪の左側には、レバードラグ機構7の後述する摩擦ディスク26が当接している。スプール軸2の逆転防止機構9のラチェットホイール50とレバードラグ機構7の摩擦ディスク26との間の外周には、
図3及び
図4に示すように、筒状の筒状部材2aが装着されており、筒状部材2aの外周には、トルクセンサ75の磁歪素子75aが取り付けられている。磁歪素子75aが取り付けられた筒状部材2aの外周側には、取付基板10aに装着固定された保持ケース75cに保持されたトルクセンサ75の検出コイル75bや、温度センサ76が配置されている。筒状部材2aの両端部には、有底筒状のキャップ部材2b、キャップ部材2cが介装されている。キャップ部材2bの左端は、逆転防止機構9のラチェットホイール50の右端に接触するように装着され、筒状部材2aの左端が逆転防止機構9のラチェットホイール50の右端に直接接触しないようにするための介装部材である。キャップ部材2cの右端は、レバードラグ機構7の摩擦ディスク26の左端に接触するように装着されており、筒状部材2aの右端がレバードラグ機構7の摩擦ディスク26の左端に直接接触しないようにするための介装部材である。
【0024】
スプール3は、
図2に示すように、糸巻胴部3aと、糸巻胴部3aの両端に一体形成されたフランジ部3bとを有している。
【0025】
ハンドル4は、
図2に示すように、スプール軸2の下方にスプール軸2と平行に配置された筒状のハンドル軸5の突出端に固定されている。ハンドル軸5は、ボス部11aの下方に軸方向に間隔を隔てて配置された2つの軸受33a、軸受33bによりリール本体1に回転自在に支持されている。
【0026】
回転伝達機構6は、
図2に示すように、高低二速に切換可能な変速機構を備えている。回転伝達機構6は、
図2に示すように、ハンドル4のハンドル軸5に回転自在に支持された高速巻き取り用の第1ギア16及び低速巻き取り用の第2ギア17と、第1ギア16及び第2ギア17にそれぞれ噛み合う状態でスプール軸2に回転不能に装着された第3ギア18及び第4ギア19と、第1ギア16及び第2ギア17のいずれか一方とハンドル軸5とを結合し、回転を伝達する係合片20と、係合片20の両側で係合片20を位置決めする2つの圧縮ばね21a、圧縮ばね21bと、係合片20の位置を設定する操作軸22とを有している。操作軸22は、ハンドル軸5内部にハンドル軸5を貫通して外部に突出している。外部に突出した操作軸22の右側の端部には、スライド型のストッパ23がハンドル4に設けられている。
【0027】
このような構成の回転伝達機構6では、操作軸22を
図2左側に押し込むと、第2ギア17に係合片20が配置されハンドル4の回転が第2ギア17を介して第4ギア19に伝達されスプール軸2及びスプール3が低速回転する。一方、スライド型のストッパ23をスライドさせて操作軸22を
図2右側に引き出すと、第1ギア16に係合片20が配置されハンドル4の回転が第1ギア16を介して第3ギア18に伝達されスプール軸2及びスプール3が高速回転する。
【0028】
レバードラグ機構7は、
図2に示すように、スプール3の左側に装着された制動ディスク25と、制動ディスク25の左側に対向するように配置された摩擦ディスク26と、スプール3及び制動ディスク25をスプール軸2の軸方向に往復移動させるための移動機構29とを有している。
【0029】
制動ディスク25は、
図2及び
図3に示すように、たとえばステンレス製のワッシャ状の円板部材であり、周方向に間隔を隔てて配置された複数本の取付ピンにより、スプール3の左側のフランジ部3bの端面にスプール3と接離する方向に所定距離移動自在かつスプール3に対して回転不能に装着されている。
【0030】
摩擦ディスク26は、
図2及び
図3に示すように、制動ディスク25に対向して配置され、スプール軸2の軸方向に移動可能にスプール軸2に装着されている。摩擦ディスク26の制動ディスク25に対向する面には、たとえばカーボングラファイトや繊維強化樹脂等の耐摩耗性素材製のリング状の摩擦板26aがねじ止めされている。摩擦ディスク26内周部の右端面は、移動機構29のコイルばね47を介してスプール3内周部の軸受32aの内輪が当接している。摩擦ディスク26内周部の左端面は、キャップ部材2c、筒状部材2a及びキャップ部材2bを介して逆転防止機構9のラチェットホイール50が当接している。ラチェットホイール50は、キャップ部材2bの外周面に回転不能に装着されている。ラチェットホイール50は、軸受31aの内輪に当接している。軸受31aの外輪は第1側板10に当接している。この結果、摩擦ディスク26は、スプール軸2の軸方向外方(
図2左方)へ移動不能であるとともに、ラチェットホイール50により糸繰り出し方向の回転が禁止される。また、逆転防止機構9は、外周面に鋸歯が形成されたラチェットホイール50と、ラチェットホイール50の外周側に配置され先端が鋸歯を係止するラチェット爪51とを有する爪式のものである。ラチェット爪51は、第1側板10の内側面に揺動自在に装着されており、引張ばねにより鋸歯を係止する側に付勢されている。
【0031】
摩擦ディスク26の外側は、
図2及び
図3に示すように、ドラグカバー41により覆われている。ドラグカバー41は、たとえば放熱性能を考慮したアルミニウム合金製であり、中心に円形の開口を有する皿状のカバー本体41aと、カバー本体41aの外周面に一体形成されたリング状の取付部41bとを有している。カバー本体41aは、内部に摩擦ディスク26や制動ディスク25を収納可能な空間を有している。カバー本体41aの左側面には、スプールセンサ71(
図7参照)、スプールカウンタ72(
図7参照)を構成するリードスイッチに対向する位置に、スプールセンサ71(
図7参照)、スプールカウンタ72(
図7参照)を構成する複数の磁石が装着されている。取付部41bは、複数本のビスなどの適宜の固定手段によりスプール3のフランジ部3bの端面に固定されており、ドラグカバー41はスプール3と一体回転するようになっている。
【0032】
移動機構29は、
図2に示すように、リール本体1に揺動自在に設けられた制動操作レバー45と、制動操作レバー45の時計回りの揺動に応じてスプール3及び制動ディスク25を押圧して
図2左方に移動させる押圧機構46と、摩擦ディスク26を付勢して制動操作レバー45の反時計回りの移動に応じてスプール3及び制動ディスク25を
図2右方に移動させるためのコイルばね47とを有している。コイルばね47は、摩擦ディスク26とスプール3内周部の軸受32aとの間においてスプール軸2の外周側に圧縮状態で装着され、摩擦ディスク26とスプール3とを離反する方向に付勢している。
【0033】
制動操作レバー45は、
図2に示すように、時計回りに揺動させた制動解除位置と、反時計回りに揺動させた最大制動位置との間でリール本体1に揺動自在に装着されている。制動操作レバー45は、ボス部11aに揺動自在に装着されるレバー部45aと、レバー部45aの先端に固定されたつまみ部45bとを有している。レバー部45aの基端部は、押圧機構46を構成する第1カム部材60に回転不能に係止されている。
【0034】
押圧機構46は、ボス部11aの内周面に回転自在かつ軸方向移動不能に装着された第1カム部材60と、第1カム部材60の回動により軸方向に移動する第2カム部材61と、第2カム部材61に連動して軸方向に移動する押圧部材62とを備えている。第1カム部材60は、制動操作レバー45の揺動に連動して回動する大小2段の筒状部材である。大径の基端側の端面には傾斜カムが形成されている。第2カム部材61は、筒状の部材であり、ボス部11aの内周面に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されている。第2カム部材61の第1カム部材60に対向する外周側の端面には、第1カム部材60の傾斜カムに係合する傾斜カムが形成されている。この2つの傾斜カムの相対回動により第1カム部材60の回動運動が第2カム部材61の軸方向の直線運動に変換され第2カム部材61が軸方向に移動する。第2カム部材61の内周面は、押圧部材62に螺合している。これにより第2カム部材61と押圧部材62との軸方向の相対位置関係を調整でき、制動操作レバー45の所定位置でのドラグ力を調整できる。
【0035】
リール本体1の第1側板10の内部には、
図2及び
図3に示すように、各種の制御を行う制御部73(
図7参照)が取り付けられる取付基板10aが装着固定されている。制御部73は、
図7に示すように、スプールセンサ71、スプールカウンタ72、トルクセンサ75、温度センサ76、通信部74、操作部77、記憶部78、表示部79、基板温度センサ69及び他の入出力部が電気的に接続されている。
【0036】
制御部73は、取付基板10aに配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。制御部73は、記憶部78に予め記憶された制御プログラムにしたがって、通信部74の通信制御処理や、表示部79の表示制御処理や、スプールセンサ71、スプールカウンタ72から検出されたデータに基づいて仕掛けの水深情報(糸長)、仕掛けの繰り出し速度を算出する制御処理や、トルクセンサ75から検出されたトルクデータと温度センサ76及び基板温度センサ69から検出された温度データとに基づいて検出トルクを補正して補正トルクを算出する制御処理等の各種の制御動作を実行する。記憶部78は、たとえばEEPROM等の不揮発メモリからなり、糸長算出時に使用するマップデータ等の各種のデータが記憶されている。
【0037】
スプールセンサ71は、前後に並べて配置された2つのリードスイッチから構成されている。リードスイッチは、磁石ホイールに装着された2個の磁石を検出する。この検出パルスをスプールカウンタ72で計数することでリールの回転数を検出できる。また、いずれのリードスイッチが先に検出パルスを発したかによりスプール3の回転方向を検出できる。
【0038】
スプールカウンタ72は、スプールセンサ71のオン、オフ回数を計数するカウンタであり、この計数値によりスプール回転数に関する回転位置データが得られる。スプールカウンタ72は、スプール3が正転(糸繰り出し方向の回転)すると計数値が減少し、逆転すると増加する。
【0039】
トルクセンサ75は、
図2から
図4に示すように、磁歪式のセンサであって、逆転防止機構9のラチェットホイール50とレバードラグ機構7の摩擦ディスク26との間のスプール軸2の外周に装着された筒状部材2aに装着された磁歪素子75aと、磁歪素子75aの周囲に配置され取付基板10aに装着固定された保持ケース75cに保持された検出コイル75bとを有している。磁歪素子75aは、たとえばアモルファス合金箔からなる軟磁性体で構成されており、間隔を隔ててスプール軸2に巻き付け固定されている。磁歪素子75aの表面には、磁気異方性を付与するために異なる角度に傾斜した凹溝が形成されている。検出コイル75bは、磁歪素子75aを囲むように円筒状に形成されており、スプール軸2の捩れによる磁歪素子75aの透磁率の変化に応じて自己インダクタンスが変化する。この検出コイル75bは、制御部73(
図7参照)に接続されており、検出コイル75bにより検出された検出トルクが制御部73に送られる。また、検出コイル75bの両側には、検出コイル75bの温度を検出する2つのセンサからなる温度センサ76が配置されている。
【0040】
温度センサ76は、
図3及び
図4に示すように、検出コイル75bに接触可能に装着されるサーミスタであって、検出コイル75bの左側に配置された第1温度センサ76aと、検出コイル75bの右側に配置された第2温度センサ76bとを有している。第1温度センサ76a及び第2温度センサ76bは、検出コイル75bとともに、取付基板10aに装着固定された保持ケース75cに保持されている。これらの第1温度センサ76a及び第2温度センサ76bは、制御部73(
図7参照)に接続されており、第1温度センサ76a及び第2温度センサ76bにより検出された検出コイル75bの温度が制御部73に送られる。
【0041】
基板温度センサ69(
図7参照)は、トルクセンサ75や温度センサ76が接続されるセンサ回路が取り付けられるセンサ基板の温度を検出するセンサであって、取付基板10aのセンサ基板上に配置されている。基板温度センサ69は、制御部73(
図7参照)に接続されており、基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度が制御部73に送られる。
【0042】
制御部73は、表示部79や通信部74等の各種の制御を行うとともに、仕掛けの水深情報を演算する水深演算処理を行う。水深演算処理は、スプールカウンタ72により計数されたスプール3の回転数と、記憶部78に保持されたマップデータとを対応させることにより、スプール3の回転数を仕掛けの水深情報に変換する。このようにして得られた仕掛けの水深情報は、数値情報として表示部79や通信部74に送られる。
【0043】
また、制御部73は、スプール3の回転速度を演算する回転速度演算処理を行う。回転速度演算処理は、スプールカウンタ72により計数されたスプール3の回転数と、制御部73の内部クロックから得られる時間情報とに基づいて、スプール3の単位時間当たりの回転速度を算出する。このようにして得られたスプール3の回転速度情報は、数値情報として表示部79や通信部74に送られる。
【0044】
さらに、制御部73は、トルクセンサ75から検出されたスプール軸2の検出トルクを算出張力に変換し、温度センサ76から検出された検出コイル75bの温度及び基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度に応じて補正することによって補正張力を演算し出力する検出張力補正演算出力処理を行う。検出張力補正演算出力処理は、スプール軸2の検出トルクをスプール3やレバードラグ機構7の径や摩擦等に基づいて算出トルクに換算し、さらに糸巻き径に応じて算出トルクを補正して補正張力を算出する。具体的には、
図8に示す検出張力補正演算出力処理に関する制御フローチャートにしたがって説明する。
【0045】
まず、操作部77を所定時間の間長押しすると、電源がオン状態となり、ステップS1において初期設定が行われる。ステップS1の初期設定では、各種の変数やフラグをリセットしたり、表示部79に初期画面を表示する。
【0046】
次に、ステップS2において、スプール軸2のトルクを検出する。ステップS2では、トルクセンサ75により検出された検出トルクを記憶部78に記憶し、ステップS3に移行する。
【0047】
ステップS3では、温度センサ76により検出コイル75bの温度を検出する。ステップS3では、温度センサ76により検出された検出コイル75bの温度を記憶部78に記憶し、ステップS4に移行する。
【0048】
ステップS4では、基板温度センサ69によりセンサ基板の温度を検出する。ステップS
4では、基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度を記憶部78に記憶し、ステップS5に移行する。
【0049】
ステップS5では、トルクセンサ75から検出されたスプール軸2の検出トルクを算出張力に変換し、温度センサ76から検出された検出コイル75bの温度及び基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度に応じて補正することによって補正張力を演算する。具体的には、まず、記憶部78に予め記憶されたスプール3に巻かれた釣り糸の糸巻径とスプール3の回転数との関係を表す所定の関係テーブルと、スプールカウンタ72により検出されたスプール3の回転数とに基づいて、スプール3に巻かれた釣り糸の糸巻径を算出する。次に、トルクセンサ75により検出された検出トルクを、記憶部78に予め記憶された温度センサ76から検出された検出コイル75bの温度及び基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度とトルクセンサ75により検出された補正トルクとの関係を表す所定の関係テーブルを読み出すことによって、補正トルクに変換する。そして、算出されたスプール3に巻かれた釣り糸の糸巻径と、変換された補正トルクとに基づいて補正張力を算出する。ステップS5で算出された補正張力を記憶部78に記憶し、ステップS6に移行する。
【0050】
ステップS6では、記憶部78に記憶された補正張力を読み出し、数値情報として表示部79や通信部74に出力され、表示部79や通信部74及び釣り情報表示装置80の通信部86を介して釣り情報表示装置80の表示部85に補正張力が表示される。
【0051】
表示部79は、
図5に拡大して示すように、前側から後側の順に、仕掛けの水深情報(糸長)を表示する糸長表示領域79aと、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するトルク表示領域79bと、仕掛けの繰り出し速度等を表示する速度表示領域79cとを有するセグメント液晶である。糸長表示領域79aは、仕掛けの水深情報(糸長)を表示するための領域であって、たとえば糸長が120.0mであることを示す「120.0」が表示されている。トルク表示領域79bは、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するための領域であって、張力(Tension)を意味する「T」の文字と、たとえば補正トルクが15.0kgであることを示す「15.0」とが表示されている。速度表示領域79cは、仕掛けの繰り出し速度(スプール3の回転速度)を表示するための領域であって、速度(Speed)を意味する「S」の文字と、たとえば速度が10.0km/hであることを示す「10.0」とが表示されている。
【0052】
操作部77は、略長円形の押圧式のボタンであって、表示部79の表示設定を切り替えたり、表示内容をリセットしたりするためのボタンである。また、表示部79の表示設定は、釣り用リール100の外部に設けられた後述する釣り情報表示装置80(
図6及び
図7参照)に設けられた操作部84によっても切替可能であって、釣り用リール100に設けられた通信部74(
図7参照)と釣り情報表示装置80に設けられた通信部86(
図7参照)とが無線通信することによって電気的に接続されている。釣り情報表示装置80の通信部86は、
図7に示すように、釣り用リール100から得られる仕掛けの水深情報や、魚群探知機90から得られる魚群情報を受信して表示部85に表示するようになっている。
【0053】
通信部74は、
図7に示すように、釣り用リール100の外部に設けられた釣り情報表示装置80の通信部86と各種の情報を送受信可能である。通信部74は、仕掛けの水深情報や、スプール3の回転速度情報や、釣り糸に作用する張力情報を釣り情報表示装置80の通信部86に送信可能である。
【0054】
釣り情報表示装置80は、
図7に示すように、後述する魚群探知機90から得られる漁場の底の水深や魚群の位置を示す棚位置をエコー表示可能であるとともに、釣り用リール100から得られる仕掛けの水深情報をエコー表示された底の水深や棚位置とともに表示するためのものである。
【0055】
釣り情報表示装置80は、
図6及び
図7に示すように、略直方体形状の縦型の本体部材81と、本体部材81の内部に配置された通信部86と、本体部材81に装着された液晶ディスプレイからなる表示部85と、表示部85の下側に配置された複数の操作ボタンからなる操作部84とを有している。
【0056】
釣り情報表示装置80の内部には、
図7に示すように、各種の制御を行う制御部83が配置されている。制御部83は、本体部材81内に配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを含んでいる。制御部83は、制御プログラムにしたがって、釣り用リール100及び魚群探知機90からの情報を表示部85に表示させる表示制御や、釣り用リール100へ各種の指令情報を送信するといった通信部86の各種の制御動作を実行する。また、制御部83には、図
7に示すように、操作部84の各種のスイッチと、表示部85と、通信部86と、他の入出力部とが接続されている。
【0057】
操作部84は、表示部85の表示制御等の各種の制御を行うスイッチである。操作部84は、
図6に示すように、表示部85の下側に4個のボタンが横方向に並べて配置されており、左側から右側に向かって、「決定」、「キャンセル(戻る)」、「上」、「下」の機能を有するスイッチである。これらの操作部84を操作することによって、各種の設定が行われる。操作部84は、釣り情報表示装置80側の制御だけでなく、釣り用リール100側の制御を行うことができる。
【0058】
表示部85は、ドットマトリックス方式の液晶ディスプレイであって、たとえばカラーTFT方式の液晶ディスプレイである。表示部85は、釣り用リール100の表示部79で表示可能な水深情報、釣り糸に作用する張力、仕掛けの繰り出し速度等を表示可能であるとともに、魚群探知機90から得られる各種情報も表示可能である。表示部85は、
図6に示すように、上側から下側の順に、仕掛けの水深情報(糸長)を表示する糸長表示領域85aと、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するトルク表示領域85bと、仕掛けの繰り出し速度等を表示する速度表示領域85cとを有するドットマトリックス液晶である。糸長表示領域85aは、仕掛けの水深情報(糸長)を表示するための領域であって、たとえば糸長が120.0mであることを示す「120.0」が表示されている。トルク表示領域85bは、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するための領域であって、張力(Tension)を意味する「T」の文字と、たとえば補正トルクが15.0kgであることを示す「15.0」とが表示されている。速度表示領域85cは、仕掛けの繰り出し速度(スプール3の回転速度)を表示するための領域であって、速度(Speed)を意味する「S」の文字と、たとえば速度が10.0km/hであることを示す「10.0」とが表示されている。
【0059】
通信部86は、
図7に示すように、釣り用リール100の通信部74と、魚群探知機90の通信部と各種の情報を無線にて送受信可能である。通信部86は、釣り用リール100の通信部74から仕掛けの水深データや、スプール3の回転速度情報や、釣り糸に作用する張力情報等の情報を受信し、釣り用リール100の通信部74へ各種の指令情報を送信する。また、通信部86は、魚群探知機90の通信部と通信可能であり、底の水深や魚群の位置等の情報を受信する。
【0060】
魚群探知機90は、魚の棚位置、群の状況及び群の移動方向を示す情報を収集する装置であって、図
7に示すように、釣り情報表示装置80の通信部86へ魚群情報を無線通信する通信部を有している。なお、魚群探知機90の他の構成は一般的なものと同一であるので、魚群探知機90の他の構成の詳細な説明は省略する。
【0061】
このような釣り用リール100では、トルクセンサ75により検出された検出トルクを、温度センサ76により検出された検出コイル75bの温度及び基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度に応じて補正トルクに補正するようになっているので、検出コイル75bやセンサ基板の温度が上昇したとしても、釣り糸に作用する張力を正しく把握することができる。
【0062】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、釣り用リール100の外部に釣り情報表示装置80を設け、釣り情報表示装置80の表示部85に釣り糸に作用する張力を表示させていたが、釣り用リール100の表示部79のみに釣り糸に作用する張力を表示させる構成にしてもよい。この場合には、釣り情報表示装置80や魚群探知機90を設けることなく、釣り用リール100単体の構成においても、釣り糸に作用する張力を把握できる。
【0063】
(b) 前記実施形態では、トルクセンサ75は、逆転防止機構9のラチェットホイール50とレバードラグ機構7の摩擦ディスク26との間のスプール軸2の外周に装着された筒状部材2aに装着された磁歪素子75aと、磁歪素子75aの周囲に配置され取付基板10aに装着固定された保持ケース75cに保持された検出コイル75bとを有していたが、トルクセンサ75の配置はこれに限定されるものではない。
【0064】
(c) 前記実施形態では、温度センサ76は、検出コイル75bの左側に配置された第1温度センサ76aと、検出コイル75bの右側に配置された第2温度センサ76bとを有していたが、温度センサ76の配置や個数はこれに限定されるものではない。
【0065】
(d) 前記実施形態では、1つの釣り用リール100に関する仕掛けの水深情報(糸長)、釣り糸に作用する張力(補正トルク)、仕掛けの繰り出し速度を1つの釣り情報表示装置80の表示部85に表示させるようにしていたが、
図9及び
図10に示すように、複数の釣り用リール100から得られた複数の仕掛けの水深情報(糸長)、複数の釣り糸に作用する張力(補正トルク)、複数の仕掛けの繰り出し速度を1つの釣り情報表示装置80の表示部85に表示させるようにしてもよい。
【0066】
釣り情報表示装置80は、
図9に示すように、略直方体形状の横型の本体部材81と、本体部材81の内部に配置された通信部86と、本体部材81の表面中央部に配置されたタッチパネル式の液晶ディスプレイからなる表示部85と、表示部85の表面に配置されたタッチパネル84aと表示部85の側部に配置された押圧式の電源スイッチ84bとからなる操作部84とを有している。タッチパネル84aは、複数の釣り用リール100の表示部79の表示設定を切り替える操作を行うことが可能である。電源スイッチ84bは表示部85の表示をオンオフ操作することが可能である。釣り情報表示装置80は、図示しない全地球測位システム(GPS)モジュールが内蔵されており、タッチパネル84aの切替操作によって、表示部85にGPSからの各種情報を表示することが可能である。釣り情報表示装置80は、本体部材81の両側部に揺動自在かつ着脱可能に取り付けられるアーム状の取付台87に装着されており、本体部材81を前後方向に揺動させることにより、表示部85の角度を任意に設定できる。また、釣り情報表示装置80は、図示しないパーソナルコンピュータの情報入出力端子に接続可能な情報入出力端子(たとえば、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)入出力端子)を有しており、たとえば、釣り情報表示装置80の記憶部に記憶された釣り用リール100に関する仕掛けの水深情報(糸長)、釣り糸に作用する張力(補正トルク)、仕掛けの繰り出し速度の各種ログ情報を、USBメモリを介してパーソナルコンピュータのUSB入出力端子からパーソナルコンピュータの記憶部に入力し、パーソナルコンピュータの表示部に釣り用リール100に関する仕掛けの水深情報(糸長)、釣り糸に作用する張力(補正トルク)、仕掛けの繰り出し速度の各種ログ情報を表示させることが可能である。
【0067】
表示部85は、
図10に示すように、2行3列の各領域に6つの釣り用リール100に関する6つの仕掛けの水深情報(糸長)、6つの釣り糸に作用する張力(補正トルク)、6つの仕掛けの繰り出し速度を1つの釣り情報表示装置80の表示部85に表示させるようになっており、
図10では、3つの釣り用リール100が1つの釣り情報表示装置80に接続されており、3つの釣り用リール100に関する3つの仕掛けの水深情報(糸長)、3つの釣り糸に作用する張力(補正トルク)、複数の仕掛けの繰り出し速度を1つの釣り情報表示装置80の表示部85に表示させるようになっている。
【0068】
表示部85の2行3列の各領域(左上から第1領域、右下に向かって第6領域)は、
図10に示すように、上側から下側の順に、仕掛けの水深情報(糸長)を表示する糸長表示領域85aと、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するトルク表示領域85bと、仕掛けの繰り出し速度等を表示する速度表示領域85cとを有するドットマトリックス液晶である。第1領域の糸長表示領域85aは、仕掛けの水深情報(糸長)を表示するための領域であって、「DISTANCE」の文字と、たとえば糸長が120.0mであることを示す「120.0m」とが表示されている。第1領域のトルク表示領域85bは、釣り糸に作用する張力(補正トルク)を表示するための領域であって、「LINE TENSION」の文字と、たとえば補正トルクが15.0kgであることを示す「15.0kg」とが表示されている。第1領域の速度表示領域85cは、仕掛けの繰り出し速度(スプール3の回転速度)を表示するための領域であって、「LINE SPEED」の文字と、たとえば速度が10.0km/hであることを示す「10.0km/h」とが表示されている。
【0069】
ここでは、複数の釣り用リール100から得られた複数の仕掛けの水深情報(糸長)、複数の釣り糸に作用する張力(補正トルク)、複数の仕掛けの繰り出し速度を1つの釣り情報表示装置80の表示部85に表示させることができるので、釣人は複数の釣り用リール100の情報を1つの釣り情報表示装置80の表示部85を見るだけで、魚がヒットしたか否かの情報や魚の引き具合等の現在の釣り状況をリアルタイムに把握することができる。
【0070】
(e) 前記実施形態では、取付基板10aのセンサ基板の温度を検出する基板温度センサ69を設け、トルクセンサ75により検出された検出トルクを、温度センサ76により検出された検出コイル75bの温度及び基板温度センサ69により検出されたセンサ基板の温度に応じて補正トルクに補正していたが、基板温度センサ69を設けずに、トルクセンサ75により検出された検出トルクを、温度センサ76により検出された検出コイル75bの温度のみに応じて補正トルクに補正する構成にしてもよい。