(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような方法では、打ち抜かれて除かれる接着部材は廃棄物として処理されるため、大量の廃棄物が発生してしまう。例えば、1辺が200mmの正方形の接着部材を用いて、外径が200mm、内径が190mmの円環状の接着部材を形成する場合には、外径が190mmの円形部分及び200mmの孔の開いた外側部分を廃棄することになり、用意した接着部材の90%以上の部分が廃棄されてしまう。
【0005】
本発明の目的は、廃棄物の発生量を低減できるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、被着体の一方の面に両面接着部材を介して所定形状の基材シートを貼付するシート貼付装置であって、前記両面接着部材は、前記一方の面に環状に貼付された際に、前記貼付された領域が重ならないような幅を有する帯状に形成され、前記両面接着部材を繰り出して、前記被着体の一方の面に前記両面接着部材を環状に貼付する第1貼付手段と、前記被着体に貼付された両面接着部材に前記環状の内縁形状よりも大きい前記基材シートを貼付する第2貼付手段とを備え
、前記第1貼付手段は、前記被着体に対する前記両面接着部材の貼付開始端縁と貼付終了端縁とを当該両面接着部材の長さ方向のずれを吸収可能であって、相互に繋ぎ合せ可能な切口に切断する切断手段を備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記被着体を支持する支持手段と、前記支持手段と前記第1貼付手段とを前記環状に対応させて相対移動させる移動手段とを備え
、前記第1貼付手段は、前記両面接着部材を外縁形状が前記基材シートの外縁形状と等しい環状に貼付可能に設けられている、ことが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、
前記切断手段は、前記被着体に対する前記両面接着部材の貼付開始端縁と貼付終了端縁とを凹凸形状または当該両面接着部材の幅方向に対して斜めに切断可能に設けられている、ことが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記両面接着部材における前記基材シートが貼付される接着面には、基材側剥離部材が仮着され、前記第1貼付手段は、前記両面接着部材に前記基材シートが貼付される前に前記基材側剥離部材を剥離する基材側剥離手段を備える、ことが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、被着体の一方の面に両面接着部材を介して所定形状の基材シートを貼付するシート貼付方法であって、前記両面接着部材は、前記一方の面に環状に貼付された際に、前記貼付された領域が重ならないような幅を有する帯状に形成され、
前記被着体に対する前記両面接着部材の貼付開始端縁と貼付終了端縁とを当該両面接着部材の長さ方向のずれを吸収可能であって、相互に繋ぎ合せ可能な切口に切断し、前記両面接着部材を繰り出して、前記被着体の一方の面に前記両面接着部材を環状に貼付し、前記被着体に貼付された両面接着部材に前記環状の内縁形状よりも大きい前記基材シートを貼付する、という構成を採用している。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、被着体に貼付された際に、貼付された領域が重ならないような幅を有する帯状の両面接着部材を、被着体の一方の面に環状に貼付するので、両面接着部材を被着体の例えば回路形成領域を囲むように打ち抜いて製造しなくてよい。このため、帯状の両面接着部材から打ち抜かれて廃棄される部分が発生しないので、廃棄物量を低減することができ、無駄に両面接着部材を消費することを抑制することができる。
【0010】
また、第1貼付手段と被着体を支持する支持手段とを相対移動させる移動手段を備えていれば、両面接着部材の繰出方向を変化させることなく、両面接着部材を被着体に環状に貼付することができる。
そして、繰り出された両面接着部材を、環状に貼付可能な長さに切断手段で切断して、被着体に貼付する構成にすれば、被着体に貼付する両面接着部材の長さが異なる場合でも、1種類の両面接着部材で対応することができる。
また、両面接着部材における基材シートが貼付される接着面に基材側剥離部材を仮着させておき、両面接着部材に基材シートを貼付する前に、基材側剥離部材を基材側剥離手段で剥離する構成とすれば、両面接着部材の接着面に異物が付着して接着力が低下するなどの不具合を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
また、実施形態では、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」といった方位を示す用語は、
図1を基準として用いる。
図1において、シート貼付装置1は、被着体としてのウェハWの一方の面の外縁に沿って環状に両面接着部材としての帯状の両面接着テープSを貼付して、貼付された両面接着テープSに基材シートBSを貼付するものである。なお、ウェハWは、例えば円板状に形成されており(本実施形態の場合、300mmの直径)、その一方の面における外縁部分W1を除く内側領域W2には、複数のバンプW3が所定間隔ごとに設けられている(
図2(A)参照)。また、両面接着テープSは、ウェハWの半径よりも小さい所定幅、すなわちウェハWに環状に貼付された際に、貼付された領域が重ならないような所定幅(本実施形態の場合、3mmの幅)を有し、一方の接着面に第1剥離シートRL1が仮着され、他方の接着面に基材側剥離部材としての第2剥離シートRL2が仮着された接着原反R1として予め準備されている。さらに、基材シートBSは、ウェハWの外形形状と略等しい大きさを有する形状に予め切断されており、第3剥離シートRL3に所定間隔で仮着された基材原反R2として予め準備されている。なお、基材シートBSは、所謂擬似接着によって第3剥離シートRL3に仮着されたものを使用することができる。
【0013】
シート貼付装置1は、ウェハWに両面接着テープSを貼付する第1貼付手段2と、ウェハWに貼付された両面接着テープSに基材シートBSを貼付する第2貼付手段3と、ウェハWを支持する支持手段としての支持テーブル4と、支持テーブル4を第1,第2貼付手段2,3に対して相対移動させる移動手段5とを備えている。
【0014】
第1貼付手段2は、接着原反R1を繰り出す第1繰出手段21と、繰り出される接着原反R1から第2剥離シートRL2を剥離する基材側剥離手段22と、両面接着テープSから第1剥離シートRL1を剥離する第1剥離板23と、第2剥離シートRL2の剥離後、両面接着テープSを切断する切断手段24と、両面接着テープSをウェハWに押圧して貼付する第1押圧ローラ25とを備えている。なお、第1貼付手段2の各構成は、図示しないベースプレートに支持されている。
【0015】
第1繰出手段21は、接着原反R1を巻回して支持する支持ローラ211と、接着原反R1を案内する2個のガイドローラ212,213と、駆動機器としての回転モータ214によって駆動する駆動ローラ215と、駆動ローラ215との間に第1剥離シートRL1を挟み込むピンチローラ216と、図示しない駆動機器によって駆動し第1剥離シートRL1を回収する回収ローラ217とを備えている。
基材側剥離手段22は、ガイドローラ213の左下方向に設けられて接着原反R1の第2剥離シートRL2を左上方向(繰り出される接着原反R1と直交する方向)に案内するガイドローラ221と、図示しない駆動機器によって駆動し第2剥離シートRL2を回収する回収ローラ222とを備えている。
【0016】
第1剥離板23は、左下方向に傾斜した姿勢で設けられ、ガイドローラ213から延びた第1剥離シートRL1を駆動ローラ215に向かって折り返すことで、両面接着テープSを第1剥離シートRL1から剥離するようになっている。
切断手段24は、基材側剥離手段22の左下方向、かつ、第1剥離板23に対向するように設けられている。この切断手段24は、第1剥離板23に対して進退することにより、第2剥離シートRL2が剥離された接着原反R1のうち両面接着テープSのみを切断するようになっている。
第1押圧ローラ25は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材で構成され、図示しないベースプレートに回転自在に支持されている。なお、第1押圧ローラ25は、両面接着テープSが接着しないようにシリコンゴムやフッ素樹脂で構成するとよい。
【0017】
第2貼付手段3は、基材原反R2を繰り出す第2繰出手段31と、繰り出される基材原反R2の第3剥離シートRL3から基材シートBSを剥離する第2剥離板32と、基材シートBSを両面接着テープSに押圧して貼付する第2押圧ローラ33とを備えている。なお、第2貼付手段3の各構成も、図示しないベースプレートに支持されている。
第2繰出手段31は、第1繰出手段21と同様の構成を有しており、基材原反R2を巻回して支持する支持ローラ311、2個のガイドローラ312,313、駆動機器としての回転モータ314によって駆動する駆動ローラ315、ピンチローラ316、第3剥離シートRL3を図示しない駆動機器によって回転させて回収する回収ローラ317を備えている。
第2剥離板32は、左下方向に傾斜した姿勢で設けられ、第1剥離板23と同様の作用により、基材シートBSを第3剥離シートRL3から剥離する。
第2押圧ローラ33は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な部材で構成され、図示しないベースプレートに回転自在に支持されている。
【0018】
支持テーブル4は、ウェハWを載置可能な略板状に形成されている。なお、支持テーブル4は、ウェハWを吸引保持する機能を有している。
移動手段5は、駆動機器としてのX軸ロボット51の駆動によりX軸方向(左右方向)に移動可能なX軸スライダ52と、このX軸スライダ52上に設けられた駆動機器としてのY軸ロボット53の駆動によりY軸方向(
図1の紙面直交方向)に移動可能なY軸スライダ54と、Y軸スライダ54上に固定されてZ軸方向(上下方向)に延びる回転軸55を回転させる駆動機器としての回転モータ56とを備えている。また、回転軸55の上端には、支持テーブル4が固定されている。なお、回転モータ56は、その出力軸を上下方向に昇降可能に設けられている。
【0019】
以上のシート貼付装置1において、ウェハWに両面接着テープSを貼付してウェハWと基材シートBSとを一体化する手順を説明する。
まず、第1,第2剥離シートRL1,RL2のそれぞれの繰出方向先端側が回収ローラ217,222に巻き取られ、両面接着テープSの繰出方向先端が第1剥離板23の先端側に位置するように、接着原反R1をセットしておく。また、第3剥離シートRL3の繰出方向先端側が回収ローラ317に巻き取られ、基材シートBSの繰出方向先端側が第2剥離板32の先端側に位置するように、基材原反R2をセットしておく。
【0020】
そして、第1,第2繰出手段21,31が駆動していない状態において、移動手段5により、支持テーブル4を第1貼付手段2の下方に移動させる。具体的に、ウェハWが円板状の場合、ウェハWの左右方向略中央、かつ、
図2(A)中上側(
図1中奥側)の外縁部分W1上に、第1押圧ローラ25が位置するように、支持テーブル4を移動させる。
この後、第1繰出手段21の駆動により接着原反R1を繰り出すと、接着原反R1の第2剥離シートRL2は、ガイドローラ221によって両面接着テープSから剥離され、回転駆動する回収ローラ222に回収される。また、第2剥離シートRL2が剥離された後の接着原反R1の第1剥離シートRL1は、第1剥離板23で折り返されることで、両面接着テープSから剥離される。
【0021】
そして、両面接着テープSの端部がウェハWの上面に位置した状態において、第1押圧ローラ25で両面接着テープSをウェハWに押圧して貼付し、接着原反R1の繰り出しを継続するとともに、
図2(A)に示すように、回転モータ56の駆動により支持テーブル4を回転させる。さらに、回転を継続しつつ、切断手段24に対向する位置を通過した両面接着テープSの長さ寸法がウェハWの外周寸法と等しくなった段階で、切断手段24により両面接着テープSを切断する。そして、切断された両面接着テープSが全て貼付されたら、第1繰出手段21と回転モータ56の駆動を中断する。
以上により、ウェハWの外縁部分W1に、外縁形状が基材シートBSの外縁形状と等しい円環状に、帯状の両面接着テープSが貼付されることとなる。なお、本実施形態の場合、ウェハWの直径が300mm、両面接着テープSの幅が3mmに設定され、両面接着テープSの幅に対して十分に大きな曲率で貼付が行われるため、当該両面接着テープSは、変形しながらウェハWに貼付されるものの、皺が入ることなくウェハWに貼付される。
【0022】
次に、X軸ロボット51の駆動により、支持テーブル4を第2貼付手段3方向に移動させ、ウェハWの左端が所定の位置に達したことが図示しないセンサによって検出されると、第2繰出手段31の駆動により基材原反R2を繰り出し、基材シートBSが第3剥離シートRL3から剥離され、
図2(B)に示すように、剥離された基材シートBSは、第2押圧ローラ33でウェハW側に押圧されて貼付される。その後もX軸ロボット51の駆動により支持テーブル4を左方向に移動させることで、ウェハWの外縁部分W1に貼付された両面接着テープSに基材シートBSが貼付され、ウェハWと基材シートBSとが両面接着テープSを介して一体化されることとなる。
【0023】
一方、
図3(A)に示すように、被着体が異形板状体WAのような場合、第1貼付手段2で両面接着テープSを繰り出しつつ、支持テーブル4を回転モータ56の駆動により回転させるとともに、X軸ロボット51及びY軸ロボット53の駆動により
図3(A)中上下左右方向に移動させることで、異形板状体WAの外縁部分W1に、帯状の両面接着テープSが異形環状に貼付される。
そして、
図3(B)に示すように、移動手段5の駆動により、異形板状体WAが第2繰出手段31から繰り出される基材シートBSと同じ方向に向くように、回転モータ56が支持テーブル4を回転させ、第2貼付手段3およびX軸ロボット51の駆動により、ウェハWの外径形状と略等しい基材シートBSを両面接着テープSに貼付する。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、ウェハWの半径よりも小さい所定幅の両面接着テープSを繰り出してウェハWの外縁に沿って環状に貼付するので、廃棄する両面接着テープSが発生せず、廃棄物量を低減できる。
【0025】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0026】
すなわち、本実施形態においては、以下のような構成としてもよい。
例えば、切断手段24を設けずに、ウェハWの外周寸法と略等しい長さ寸法の両面接着テープSを第1剥離シートRL1に所定間隔で仮着した接着原反R1を用いてもよい。また、切断手段24は、レーザ等の他の切断機器を採用してもよい。
また、接着原反R1に、第2剥離シートRL2を設けなくてもよい。
さらに、移動手段5に、Y軸ロボット53とYスライダ54を設けなくてもよい。
また、支持テーブル4を移動させずに、第1貼付手段2や第2貼付手段3を移動させてもよい。
さらに、両面接着テープSは、基材シートの両方の面に接着剤層が積層されたものや、基材シートのない接着剤層のみのものであってもよい。
また、上記実施形態のように、両面接着テープSの幅に対して十分に大きな曲率で貼付されないものは、ときに皺が入った状態で被着体に貼付されることがあるが、一時的に基材シートがカバー材として使用されるだけであったり、被着体の加工に支障をきたさなければ、両面接着テープSは、皺が入った状態で被着体に貼付されてもよい。
さらに、両面接着テープSにおける被着体に対する貼付開始端と貼付終了端とを繋ぎ合わせる可能性を高めるために、切断手段24による両面接着テープSの切断切口を、当該両面接着テープSの幅方向に対して斜めとなるように設定したり、凹凸形状としたり、鋸刃形状としたりしてもよい。すなわち、切断切口を両面接着テープSの幅方向と平行に設定すると、貼付開始端と貼付終了端が両面接着テープSの長さ方向にずれてしまった場合、幅方向のずれ量にかかわらず、貼付開始端と貼付終了端とを繋ぎ合わせることができない。これに対して、切断切口を、幅方向に対して斜めにしたり、凹凸形状としたり、鋸刃形状とすれば、貼付開始端と貼付終了端とが両面接着テープSの長さ方向にずれてしまった場合でも、幅方向へのずれ量によっては貼付開始端と貼付終了端とを繋ぎ合わせることができるようになる。
【0027】
そして、両面接着テープSの貼付状態は、目的に応じて選択すればよく、例えば円板状のウェハWに対して、外縁形状がウェハWの外縁形状よりも小さい円環状に貼付してもよいし、多角形状や異形状に貼付してもよい。また、基材シートBSの外縁形状は、ウェハW上の両面接着テープSが形成する環状の内縁形状よりも大きければよく、前記環状の外縁形状よりも大きい外縁形状を有するものであってもよい。
また、被着体は半導体ウェハWに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウェハWは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハであってもよい。そして、ウェハWは、バンプが形成されたものに限らず、回路形成領域に対応する領域に凹部を形成したものであってもよい。
さらに、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。