【実施例】
【0020】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。なお、この実施例において、収納棚は工場や事務所または一般家庭でも使用されている組み立て式の収納棚としているが、これに限定される物ではなく、本棚や什器等の支柱等の棚側壁と棚板とからなる収納開口を有する収納棚であれば、本発明の落下防止装置が適用可能である。
【0021】
最初に
図1乃至
図10を用いて、本発明の落下防止装置10を説明する。
図1は、落下防止杆70が収納開口86を横断する落下防止位置となっている落下防止装置10の斜視図である。
図2は、収納開口86を全面的に開放する退避位置となっている落下防止装置10の斜視図である。
図3は、一方の取付具20aと一方の支持腕部40aを示す斜視拡大図である。
図4は、他方の取付具20bと他方の支持腕部40bを示す斜視拡大図である。
図5は取付具20a、20bの正面図、
図6は取付具20a、20bの側面図、
図7は取付具20a、20bの上面図である。
図8は支持腕部40a、40bの正面図、
図9は支持腕部40a、40bの側面図、
図10は支持腕部40a、40bの上面図である。
【0022】
図1及び
図2は、本発明の落下物防止装置10が取り付けられた収納棚80が示されている。この収納棚80は、例えば、鋼材製のアングル材や角パイプ材等からなり、収納棚が設置される床面に立設される4本の支柱82a、82b、82c、82dと、例えば、鋼板や木材等からなり、これらの支柱に任意の上下間隔をもって架け渡されて各種物品が載置される5枚の棚板84a、84b、84c、84d、84eとから構成されている。
【0023】
また、収納棚80の収納棚へ物品を出し入れする側の前側支柱82a、82bと収納棚84b、84cとで囲まれる収納開口86には、本発明の落下物防止装置10が配置される。
【0024】
この本発明の落下物防止装置10は、
図1に示す収納開口86を横断する落下防止位置と、
図2に示す収納開口86を全面的に開放する退避位置とに位置変更可能な左右方向(棚板84c等と平行な方向)に横長の落下防止杆70と、落下防止杆70が架け渡される回動可能な一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bと、前側支柱82aに着脱可能に取り付けられる一方の取付具20aと前側支柱82bに着脱可能に取り付けられる他方の取付具20bと、を具備している。
【0025】
また、落下防止杆70は、例えば板状細長金属板を丸めて円柱状とした金属棒や該金属棒の表面にスポンジ等の緩衝材を巻き付けた横長の棒状部材であり、その両端が一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bとに各々溶接や螺合等で固定されている。
【0026】
また、一方の取付具20aと他方の取付具20bは同一の形状となっているので、
図5乃至
図7では正面図、側面図、上面図を一方の取付具20aとして説明するが、他方の取付具20bの説明を兼ねている。
【0027】
一方の取付具20aと他方の取付具20bは本発明の落下物防止装置10を収納棚80に配置するための取付具で、一方の取付具20aは収納開口86の前側支柱82aに、他方の取付具20bは収納開口86の前側支柱82bに各々着脱可能に取り付けられている。
【0028】
また、取付具20a、20bは、
図3乃至
図7に示すように、金属板を屈曲して形成されたものであり、収納開口86が開口した側を前面として、前側支柱82a、82bの前面に一方の面が重ね合わされる略矩形で板状の基部22と、基部22の一方の一組の辺に連続し、前側支柱82a、82bの両側面(前側支柱82a、82bの前面に垂直な2つの面)に重ね合わされる板状の一対の着脱部24と、基部22の他方の面の側に立設され、後に説明する突軸部を挿入する一方の挿入穴25aを有する一方の軸受け部26aと、基部22の他方の面の側に立設され、突軸部を挿入する他方の挿入穴25bを有する他方の軸受け部26bと、一方の軸受け部26aから所定距離離間した位置となる他方の一組の辺の一辺近傍に立設される一方の係止受け部30aと、他方の軸受け部26bから所定距離離間した位置となる他方の一組の辺の一辺近傍に立設される他方の係止受け部30bとを備えている。
【0029】
なお、一方の挿入穴25aと他方の挿入穴25bは略円形であり、これらの穴の中心を結ぶ線は、落下防止杆70の軸方向と平行となっている。
【0030】
なお、ここで説明する実施の形態においては、
図3に示すとおり、一方の取付具20aでは、一方の係止受け部30aを使用していない。また、
図4に示すとおり、他方の取付具20bでは、他方の挿入穴25b、他方の軸受け部26b及び他方の係止受け部30bを使用していない。
【0031】
また、一対の着脱部24は、棚板84c等を支柱82a、82b、82c、82dに架け渡す際に棚板と連結するために設けられた複数の棚板取付部83に係合する係合部24aを有している。なお、一方の取付具20aの支柱82aへの取り付けは、基部22と一対の着脱部24で構成される略コの字の内側に支柱82aを嵌め込んで、該略コの字の内側へ向かって折り曲げられた係合部24aを棚板取付部83へ係合させることで行われる。また、一方の取付具20aの支柱82aからの取り外しは、係合部24aと棚板取付部83との係合を解除することで行う。なお、この一方の取付具20aの支柱82aへの取り付けは、この方法に限定されるものではなく、例えば一対の着脱部24を直接ネジ等で支柱82aに取り付ける方法等、様々な方法が適用可能である。
【0032】
また、一方の取付具20aは、該一方の取付具20aの一方の軸受け部26aと他方の軸受け部26bとの間にコイルバネ28を備えている。また、コイルバネ28は、一方の腕部42aの他方面となる面の側に突出した突部47aと、一方の取付具20aに立設される一方の軸受け部26aから突出した軸受け突出部27とで支持されており、このコイルバネ28により、一方の支持腕部40aは一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向(
図3における紙面左斜め上側)の側へ付勢されている。
【0033】
なお、軸受け突出部27は、
図5乃至
図7の一方の取付具20aでは省略されている。これは、前述の通り、
図5乃至
図7は、一方の取付具20aと他方の取付具20bの説明を兼ねており、一方の取付具20aと他方の取付具20bの同一の形状部分のみを図示しているためで、実際には、一方の取付具20aには、
図3で示すように、軸受け突出部27が一方の軸受け部26aから一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向の側へ突出するように設けられている。
【0034】
また、突部47aと軸受け突出部27は、コイルバネ28を支持するために同軸となるように配置されている。なお、後に改めて説明するが、突部47aの先端部と軸受け突出部27の先端部の間には、一方の支持腕部40aが一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側(
図3の紙面右斜め下側)へ移動しても、先端部同士がぶつからないように隙間が設けられている。
【0035】
さらに、一方の係止受け部30aと他方の係止受け部30bは、その先端の側を始点とし、一方の係止受け部30aと他方の係止受け部30bの基部22の側を終点とすると共に、一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向(
図3における紙面右斜め下側)の側へ向かって傾斜する一方の傾斜部32aと他方の傾斜部32bと、該傾斜部32a、32bの頂上近傍に設けられた一方の突起部34aと他方の突起部34bとを有している。なお、一方の傾斜部32aと他方の傾斜部32bの頂点とは、該傾斜部が一方の係止受け部30aと他方の係止受け部30bの各々の先端の側を始点とし、該係止受け部30a、30bの基部22の側を終点とする傾斜であるので、その傾斜が終了する箇所を頂点と称した。
【0036】
また、一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bは同一の形状となっているので、
図8乃至
図10では正面図、側面図、上面図を一方の支持腕部40aとして説明するが、他方の支持椀部40bの説明を兼ねている。
【0037】
一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bは落下防止杆70が架け渡される回動可能な支持腕部で、一方の支持腕部40aの一方の突軸部46aを軸中心とした回動、及び他方の支持腕部40bの他方の突軸部46bを軸中心とした回動により、落下防止杆70が退避位置と落下防止位置との間で位置変更可能となっている。
【0038】
また、一方の支持椀部40aと他方の支持椀部40bは、
図8乃至
図10に示すように、金属板を屈曲して形成されたものであり、落下防止杆70の軸方向に対して垂直な面に平行に配置される板状の一方の腕部42aと他方の腕部42bと、落下防止杆70を支持する一方の落下防止杆受け部44aと他方の落下防止杆受け部44bと、一方の腕部42aと他方の腕部42bの一方面となる面に対して垂直であって、その軸方向と平行(即ち、落下防止杆70の軸方向に対して平行)な一方向の側へ向かって突設される一方の突軸部46aと他方の突軸部46bと、該突軸部46a、46bに連続して一方の腕部42aと他方の椀部42bの他方面の側に突出する突部47a、47bと、一方の突軸部46aと他方の突軸部46bから所定距離離間した位置に設けられる一方の係止部50aと他方の係止部50b係止部とを備えている。
【0039】
なお、本発明の落下防止装置10においては、一方の腕部42aと他方の腕部42bの強度を増すために、該腕部42a、42bに垂直な方向に連続する板状の第1の補強部43a、43bと、一方の腕部42aと他方の腕部42bに平行な方向であって、第1の補強部43a、43bに垂直な方向に連続する板状の第2の補強板45a、45bとが設けられている。なお、第2の補強板45a、45bにも落下防止杆70を支持する落下防止杆受け部が設けられている。
【0040】
また、一方の係止部50aと他方の係止部50bは、一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bが一方の突軸部46a及び他方の突軸部46bを軸中心として回動した際に、該支持腕部40a、40bの基部22に向かい合う側に、一方の傾斜部32aと他方の傾斜部32bの傾斜と略平行な傾斜が付けられ、該傾斜部32a、32bで摺動する一方の摺動部52aと他方の摺動部52bと、該摺動部52a、52bの終点近傍に設けられ、一方の突起部34aと他方の突起部34bが嵌め合わされて係止される一方の突起受け部54aと他方の突起受け部54bとを有している。なお、該摺動部52a、52bの終点とは、一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bが一方の突軸部46a及び他方の突軸部46bを軸中心として回動し、落下防止杆70の退避位置から落下防止位置へ位置変更が完了して一方の係止部50aと他方の係止部50bが各々一方の係止受け部30aと他方の係止受け部30bに係止されるように、該摺動部の傾斜部との摺動が終了する箇所を終点と称した。
【0041】
また、本発明の落下防止装置10では、
図3に示すとおり、一方の腕部42aは、一方の軸受け部26aと他方の軸受け部26bとの間に配置されて、一方の突軸部46aが他方の軸受け部26bの他方の挿入穴25bに、一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向の側へ向かって挿入(挿通)されている。また、この一方の支持腕部40aは、一方の突軸部46aが他方の挿入穴25bに挿入(挿通)された状態で、該突軸部46aを軸中心として回動可能である。
【0042】
また、
図4に示すとおり、他方の支持腕部40bは、他方の取付具20bにおける一方の軸受け部26aの他方の軸受け部26bと反対の面の側(即ち、他方の腕部42bの一方面となる他方の突軸部46bが設けられた面が他方の取付具20bの一方の軸受け部26aに面する側)に配置されて、他方の突軸部46bが他方の取付具20bの一方の軸受け部26aに設けられた一方の挿入穴25aに、他方の突軸部46bの軸方向と平行な一方向の側(即ち、一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向の側)へ向かって挿入(挿通)されている。また、この他方の支持腕部40bは、他方の突軸部46bが一方の挿入穴25aに挿入(挿通)された状態で、該突軸部46bを軸中心として回動可能である。
【0043】
上記にて説明した本発明の落下防止装置10を使用して、棚板84cに載置された物品を自由に取り出すことができる落下防止杆70の退避位置から、該物品が地震等による収納棚80の振動を受けても落下や飛び出しを防止できる落下防止杆70の落下防止位置への位置変更について説明する。
【0044】
各種物品を棚板84cに載置したり、棚板84cに載置された各種物品を自由に取り出したりする場合には、落下防止杆70は、
図2の収納開口86が全面的に開放される退避位置となっている。
【0045】
この状態で落下防止杆70を手等で手前側に引き上げると、一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bが落下防止杆70に従動し、一方の突軸部46a及び他方の突軸部46bを軸中心として回動する。そして、このまま一方の支持腕部40aの一方の摺動部52aが一方の取付具20aの他方の傾斜部32bへ当接し、また、他方の支持腕部40bの他方の摺動部52bが他方の取付具20bの一方の傾斜部32aへ当接するまで回動させる。
【0046】
この一方の摺動部52aの他方の傾斜部32bへの当接の時点では、一方の支持椀部40aはコイルバネ28による一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向の側(
図3の紙面左斜め上側)へ付勢されている。なお、この際、他方の支持椀部40bにはバネ等が配置されていないので、該支持椀部40bへの直接の付勢力はない。
【0047】
この状態から、さらに落下防止杆70を回動させると、一方の摺動部52aは一方の支持腕部40aの回動に伴い、一方の取付具20aの他方の傾斜部32bを摺動する。また同様に、他方の支持腕部40bの側でも他方の摺動部52bが他方の取付具20bの一方の傾斜部32aを摺動する。
【0048】
なお、一方の支持腕部40aは、一方の突軸部46aが、一方の取付具20aに立設される他方の軸受け部26bの他方の挿入穴25b内を、一方の突軸部46aの軸方向と平行な方向で移動可能となっている。また、同様に、他方の支持腕部40bは、他方の突軸部46bが、他方の取付具20bに立設される一方の軸受け部26aの一方の挿入穴25a内を、他方の突軸部46bの軸方向と平行な方向で移動可能となっている。
【0049】
この結果、一方の支持腕部40aは、コイルバネ28の付勢力に抗して、一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側(
図3の紙面右斜め下側)へ移動することになる。また、他方の支持椀部40bも落下防止杆70で一方の支持腕部40aに接続されているため、該他方向の側へ移動する。
【0050】
なお、一方の支持腕部40aの一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側への移動によって、一方の突軸部46aが他方の挿入穴25bから抜け出ないように一方の突軸部46aの軸方向長さが規定されている。同様に、他方の支持椀部40bも該他方向の側への移動によって、他方の突軸部46bが一方の挿入穴25aから抜け出ないように他方の突軸部46bの軸方向長さが規定されている。
【0051】
また、一方の支持腕部40aの一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側への移動によって、一方の突軸部46aに連続して一方の腕部42aの他方面の側に突出する突部47aも該他方向の側への移動する。この際、突部47aの先端部が軸受け突出部27の先端部とぶつからないようにするための隙間が設けられるように、軸受け突出部27の軸方向長さが規定されている。
【0052】
この後、一方の摺動部52aの終点が他方の傾斜部32bの頂点を通過し、他方の突起部34bが一方の突起受け部54aに嵌め合わされる。同様に、他方の摺動部52bの終点が一方の傾斜部32aの頂点を通過し、一方の突起部34aが他方の突起受け部54bに嵌め合わされる。この結果、一方の係止部50aと他方の係止部50bが、各々他方の係止受け部30bと一方の係止受け部30aに係止され、落下防止杆70の落下防止位置への位置変更が完了する。
【0053】
次に、一方の係止部50aと他方の係止部50bの他方の係止受け部30bと一方の係止受け部30aへの係止を解除し、落下防止杆70を収納開口86を横断する落下防止位置から収納開口86を全面的に開放する退避位置への移動の方法を説明する。
【0054】
各種物品が地震等による収納棚80の振動を受けても落下や飛び出しを防止できる落下防止位置へ係止された落下防止杆70を、手等により収納開口86の方向に向かって押圧する。
【0055】
この時点では、一方の支持椀部40aはコイルバネ28による一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向の側(
図3の紙面左斜め上側)へ付勢されているので、落下防止杆70をこの付勢力に抗して一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側(
図3の紙面右斜め下側)へ力を加える。この結果、他方の突起部34bの一方の突起受け部54aへの嵌め合わせが解除されると共に、一方の突起部34aの他方の突起受け部54bへの嵌め合わせが解除されるので、落下防止杆70を手前側に引く、または、そのまま手を離せば、一方の支持腕部40aと他方の支持腕部40bが落下防止杆70に従動し、突軸部を軸中心として回動し、落下防止杆70は収納開口86を全面的に開放する退避位置へ移動する。
【0056】
以上のように、本発明の転落防止装置10は、落下防止杆70の退避位置から落下防止位置への位置変更、及び落下防止位置から退避位置への位置変更は非常に容易であり、片手でも位置変更可能となっている。
【0057】
また、一方の係止部50a及び他方の係止部50bと、他方の係止受け部30b及び一方の係止受け部30aとの係止は、他方の突起部34bの一方の突起受け部54aへの嵌め合わせと、一方の突起部34aの他方の突起受け部54bへの嵌め合わせで実現されており、容易にはその係止状態が解除されることはない。
【0058】
さらに、本発明の転落防止装置10では、物品の落下および飛び出しを防止する落下防止杆70は、落下防止杆70を回動させるための一方の支持腕部40aや他方の支持腕部40bとは別部材となっているため、重量の大きい物品に合わせて落下防止杆70を頑丈なものとすることが可能である。
【0059】
さらにまた、落下防止杆70の位置変更の容易さは、他方の突起部34bの一方の突起受け部54aへの嵌め合わせと一方の突起部34aの他方の突起受け部54bへの嵌め合わせや、コイルバネ28に依存している。このため、落下防止杆70を頑丈なものとしても、落下防止杆70の位置変更の容易さが損なわれることはない。
【0060】
<変形例1>
本発明の落下防止装置10が適用される収納棚80は、組み立て式の収納棚と説明したが、
図1の収納棚80の紙面右側に、図示しない別の新たな支柱2本を床面に立設し、支柱82a、82cと、該別の支柱2本との間に図示しない別の新たな複数の棚板を架け渡すことで、横方向に6本の支柱で連続した収納棚とすることが可能な収納棚が存在する。
【0061】
このような、横方向に複数の支柱で連続した収納棚の棚板に載置された物品の転落防止に、本発明の落下防止装置10が適用可能であることを以下に説明する。なお、同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
変形例1の落下防止装置10は、
図1の収納棚80の前側支柱82bには
図1、
図4に示す他方の取付具20bと他方の支持腕部40bとを配置し、新たに
図1の収納棚80の右側に立設した前面支柱には、
図1、
図3に示す一方の取付具20aと一方の支持腕部40aとを配置し、
図1の収納棚80の前側支柱82aには、
図11に示すものを配置する。
【0063】
具体的には、一方の取付具20aの他方の軸受け部26bの側に一方の支持腕部40aを配置し、一方の取付具20aの一方の軸受け部26aの側に一方の支持腕部40bを配置する(支持腕部40a、40bは同一の形状なので両方一方の支持腕部40aとしても良いが、説明の便宜上、上記の通りとする)。なお、他方の軸受け部26bの側に配置する一方の支持腕部40aは、一方の腕部42aの一方の突軸部46aを他方の軸受け部26bの他方の挿入穴25bへ該突軸部46aの軸方向と平行な一方向(
図11の紙面右側から左側に向けた方向)となるように挿入(挿通)し、また、一方の軸受け部26aの側に配置する他方の支持腕部40bは、他方の腕部42bの他方の突軸部46bを一方の軸受け部26aの一方の挿入穴25aへ該突軸部46bの軸方向と平行な一方向(同様に、
図11の紙面右側から左側に向けた方向)となるように挿入(挿通)するように配置する。
【0064】
なお、コイルバネ28は、一方の腕部42aの他方面となる面の側に突出した突部47aと、軸受け突出部27の代わりとなる他方の腕部42bの他方の突軸部46bとで支持されており、このコイルバネ28により、一方の支持腕部40aは一方の突軸部46aの軸方向と平行な一方向(
図11における紙面左側)の側へ付勢されている。なお、このコイルバネ28は、一方の軸受け部26aがあるため、他方の支持腕部40bを付勢することはない。
【0065】
また、突部47aの先端部と他方の突軸部46bの先端部の間には、一方の支持腕部40aが一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側(
図11の紙面右側)へ移動しても、先端部同士がぶつからないように隙間が設けられている。
【0066】
なお、一方の支持腕部40aの一方の突軸部46aの軸方向と平行な他方向の側への移動によって、一方の突軸部46aが他方の挿入穴25bから抜け出ないように一方の突軸部46aの軸方向長さが規定されている。
【0067】
また、他方の支持椀部40bも該他方向の側への移動によって、他方の突軸部46bが一方の挿入穴25aから抜け出ないようにすると共に、一方の支持腕部40aの該他方向の側への移動によって、一方の腕部42aの他方面の側に突出する突部47aの先端部が、他方の突軸部46bの先端部とぶつからないようにするための隙間が設けられるように、他方の突軸部46bの軸方向長さが規定されている。
【0068】
以上のように、本発明の落下防止具10は、変形例1のとおり、容易に横方向へ連結可能となっている。
【0069】
<変形例2>
本発明の落下防止装置10は、一方の係止部50aと他方の係止受け部30bとの係止をより強固なものとするために、外れ防止具36をさらに備える構成とすることが可能である。
【0070】
図12は、外れ防止具36をさらに備えた落下防止装置10の斜視拡大図を示す図である。なお、上述した落下防止具10と同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
この変形例2の落下防止装置10は、一方の取付具20aの基部22と、一方の支持腕部40aとの間に、板バネ状の外れ防止具36が備えられている。この外れ防止具36は、一方の係止部50aと他方の係止受け部30bとの係止をより強固とするために、一方の支持腕部40aを支柱82aから離間する方向へ付勢している。
【0072】
このような外れ防止具36により、本発明の落下防止具10は、その係止状態がより強固となる。
【0073】
<変形例3>
本発明の落下防止装置10について、基本的構成を変更することなく構造を簡素化することが可能である。
【0074】
図13乃至
図17は、基本的かつ必須の構造のみで構成された本発明の変形例の落下防止装置100を示す図である。なお、上述した落下防止具10と同じ構成の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
図13は、落下防止杆70が収納開口86を横断する落下防止位置となっている落下防止装置100の正面図である。
図14は、
図13の紙面右側から見た落下防止装置100の側面図である。
図15は、
図13の紙面右側から見た落下防止装置100の上面図である。
図16は、収納開口86を全面的に開放する退避位置となっている落下防止装置100の正面図である。
図17は、
図16の紙面右側から見た落下防止装置100の側面図である。
【0076】
なお、
図13乃至
図17において、落下物防止装置100が取り付けられた収納棚80の4本の支柱のうち、支柱82aと82bのみが図示されている。また、収納棚80の複数の棚板のうち、棚板84cのみが示されている。
【0077】
また、落下物防止装置100は、収納棚80の収納棚へ物品を出し入れする側の前側支柱82a、82bと収納棚84cと、図示しない収納棚84bとで囲まれる収納開口86に配置されている。
【0078】
この落下物防止装置100は、
図13乃至
図15に示す収納開口86を横断する落下防止位置と、
図16及び
図17に示す収納開口86を全面的に開放する退避位置とに位置変更可能な左右方向(棚板84c等と平行な方向)に横長の落下防止杆70と、落下防止杆70が架け渡される回動可能な一方の支持腕部としての第1の支持腕部140aと他方の支持腕部としての第2の支持腕部140bと、前側支柱82aに着脱可能に取り付けられる一方の取付具としての第1の取付具120aと前側支柱82bに着脱可能に取り付けられる他方の取付具としての第2の取付具120bと、を具備している。
【0079】
また、落下防止杆70は、その両端が第1の支持腕部140aと第2の支持腕部140bとに各々溶接や螺合等で固定されている。さらに、第1の取付具120aと第2の取付具120bは構造に若干の違いはあるが、その基本的構成は同じであり、上述した落下防止装置10での一方の取付具20aと他方の取付具20bの基本的構成と概略同じとなっている。
【0080】
具体的には、第1の取付具120aと第2の取付具120bは、落下物防止装置100を収納棚80に配置するための取付具として、第1の取付具120aは収納開口86の前側支柱82aに、第2の取付具120bは収納開口86の前側支柱82bに各々着脱可能に取り付けられている。
【0081】
なお、第1の取付具120aと第2の取付具120bは、
図15で示されるとおり、その構造(形状)に若干の違いはある。しかしながら、収納開口86が開口した側を前面として、前側支柱82a、82bの前面に一方の面が重ね合わされる略矩形で板状の基部としての、第1の取付具120aの第1の基部122aと第2の取付具120bの第2の基部122bは、その他方の面の側に突軸部を挿入する挿入穴を有する軸受け部と、軸受け部から所定距離離間した位置に設けられる係止受け部と、を備える点で同じ構成となっている。
【0082】
具体的には、第1の基部122aは、その他方の面の側に立設され、第1の突軸部146aを挿入(挿通)する第1の挿入穴125aを有する第1の軸受け部126aと、第1の基部122aの他方の面の側に立設され、第1の軸受け部126aから所定距離離間した位置であり、第1の軸受け部126aを中心として回動する第1の腕部142aの回動位置に立設される第1の係止受け部130aと、を備えている。同様に、第2の基部122bは、その他方の面の側に立設され、第2の突軸部146bを挿入(挿通)する第2の挿入穴125bを有する第2の軸受け部126bと、第2の基部122bの他方の面の側に立設され、第2の軸受け部126bから所定距離離間した位置であり、第2の軸受け部126bを中心として回動する第2の腕部142bの回動位置に立設される第2の係止受け部130bと、を備えている。
【0083】
なお、第1の基部122aの支柱82aへの取り付け及び第2の基部122bの支柱82bへの取り付けは、各々の基部の一方の一組の辺に連続し、前側支柱82a、82bの両側面(前側支柱82a、82bの前面に垂直な2つの面)に重ね合わされる板状の一対の着脱部を設けて取り付けても良いし、また、各々の基部を直接ネジ等で支柱82a、82bへ取り付ける方法等で取り付けても良い。
【0084】
また、第1の軸受け部126aは、落下防止杆70の軸方向に垂直な面に平行となるように、第1の基部122aの他方の面の側に立設されている。また、第1の挿入穴125aは、その穴の軸方向が落下防止杆70の軸方向と平行になるように第1の軸受け部126aへ設けられている。同様に、第2の軸受け部126bは、落下防止杆70の軸方向に垂直な面に平行となるように、第2の基部122bの他方の面の側に立設されている。また、第2の挿入穴125bは、その穴の軸方向が落下防止杆70の軸方向と平行になるように第2の軸受け部126bへ設けられている。なお、後にも改めて説明するが、落下防止装置100において、第1の突軸部146aの第1の軸受け部126aへの挿入(挿通)の方向と、第2の突軸部146bの第2の軸受け部126bへの挿入(挿通)の方向は同一であり、これを突軸部の軸方向と平行な一方向(
図13における紙面左側への方向)とする。
【0085】
なお、第1の挿入穴125aと第2の挿入穴125bは各々略円形であり、これらの穴の中心を結ぶ線は、同軸線上となっていると共に、落下防止杆70の軸方向と平行となっている。
【0086】
また、第1の係止受け部130aは、その先端の側を始点とし、第1の係止受け部130aの第1の基部122aの側を終点とすると共に、第1の突軸部146aの軸方向と平行な他方向(即ち、落下防止杆70の軸方向に平行な方向であり、突軸部の軸方向と平行な一方向と反対の方向となる
図13における紙面右側への方向)の側へ向かって傾斜する第1の傾斜部132aと、第1の傾斜部132aの頂上近傍に設けられた第1の突起部134aとを有している。同様に、第2の係止受け部130bは、その先端の側を始点とし、第2の係止受け部130bの第2の基部122bの側を終点とすると共に、第2の突軸部146bの軸方向と平行な他方向(
図13における紙面右側への方向)の側へ向かって傾斜する第2の傾斜部132bと、第2の傾斜部132bの頂上近傍に設けられた第2の突起部134bとを有している。
【0087】
なお、第1の傾斜部132aと第2の傾斜部132bの頂点とは、該傾斜部が第1の係止受け部130aと第2の係止受け部130bの各々の先端の側を始点とし、該係止受け部130a、130bの基部122a、122bの側を終点とする傾斜であるので、その傾斜が終了する箇所を頂点と称した。
【0088】
なお、上述の通り、ここで説明する落下防止装置100においては、前述した落下防止装置10と異なり、本発明の落下防止装置の基本的構成を変更することなく構造を簡素化するために、各々の基部に設けられる軸受け部と係止受け部は1個ずつとなっている。
【0089】
第1の支持腕部140aと第2の支持腕部140bは、落下防止杆70が架け渡される回動可能な支持腕部であり、第1の支持腕部140aの第1の突軸部146aを軸中心とした回動、及び第2の支持腕部140bの第2の突軸部146bを軸中心とした回動により、落下防止杆70が退避位置と落下防止位置との間で位置変更可能となっている。
【0090】
また、第1の支持腕部140aは、落下防止杆70の軸方向に対して垂直な面に平行に配置される板状の第1の腕部142aと、落下防止杆70を支持する第1の落下防止杆受け部144aと、第1の腕部142aの一方面となる面に対して垂直であって、その軸方向と平行(即ち、落下防止杆70の軸方向に対して平行)な一方向の側へ向かって突設される第1の突軸部146aと、第1の突軸部146aから所定距離離間した位置に設けられ、第1の係止受け部130aを係止する第1の係止部150aとを備えている。
【0091】
同様に、第2の支持腕部140bは、落下防止杆70の軸方向に対して垂直な面に平行に配置される板状の第2の腕部142bと、落下防止杆70を支持する第2の落下防止杆受け部144bと、第2の腕部142bの一方面となる面に対して垂直であって、その軸方向と平行な一方向の側へ向かって突設される第2の突軸部146bと、第2の突軸部146bから所定距離離間した位置に設けられ、第2の係止受け部130bを係止する第2の係止部150bとを備えている。
【0092】
なお、落下防止装置100においては、第1の腕部142aと第2の腕部142bの強度を増すために、該腕部142a、142bに垂直な方向に連続する板状の第1の補強部143a及び第2の補強部143bが設けられている。
【0093】
また、第1の係止部150aは、第1の支持腕部140aが第1の突軸部146aを軸中心として回動した際に、該支持腕部140aの第1の基部122aに向かい合う側に、第1の傾斜部132aと略平行な傾斜が付けられ、該傾斜部132aで摺動する第1の摺動部152aと、該摺動部152aの終点近傍に設けられ、第1の突起部134aが嵌め合わされて係止される第1の突起受け部154aとを有している。
【0094】
同様に、第2の係止部150bは、第2の支持腕部140bが第2の突軸部146bを軸中心として回動した際に、該支持腕部140bの第2の基部122bに向かい合う側に、第2の傾斜部132bと略平行な傾斜が付けられ、該傾斜部132bで摺動する第2の摺動部152bと、該摺動部152bの終点近傍に設けられ、第2の突起部134bが嵌め合わされて係止される第2の突起受け部154bとを有している。
【0095】
なお、第1の摺動部152a及び第2の摺動部152bの終点とは、第1の支持腕部140aと第2の支持腕部240bが、各々第1の突軸部146a及び第2の突軸部146bを軸中心として回動し、落下防止杆70の退避位置から落下防止位置へ位置変更が完了して第1の係止部150aと第2の係止部150bが各々第1の係止受け部130aと第2の係止受け部130bに係止されるように、該摺動部の傾斜部との摺動が終了する箇所を終点と称した。
【0096】
なお、落下防止装置100において、第1の腕部142aの一方面となる面(即ち、第1の突軸部146aが立設されている面)が第1の軸受け部26aに面している。同様に、第2の腕部142bの一方面となる面(即ち、第2の突軸部146bが立設されている面)が第2の軸受け部26bに面している。このように、本発明の落下防止装置は、落下防止装置10でも落下防止装置100であっても、2個の腕部は、各々の軸受け部に対して同じ側に配置されることが特徴となっている。また、その同じ側とは、2個の腕部に各々設けられた突軸部が立設される側となっている。
【0097】
また、落下防止装置100において、2個の支持腕部に対して付勢力を与えるコイルバネ128は、第2の突軸部146bを第2の挿入穴125bに挿入(挿通)させて、第2の腕部142bの一方面となる面を第2の軸受け部126bに面させた結果、第2の挿入穴125b(即ち、第2の軸受け部126b)から突出する第2の突軸部146bに配置される。また、このコイルバネ128の軸方向の長さは、第2の軸受け部126bから突出する第2の突軸部146bの軸方向の長さより長く規定されている。このコイルバネ128の第2の突軸部146bへの固定は、例えば第2の突軸部146bの先端部近傍に設けられたネジ山に螺合するナットや、先端部に第2の突軸部146bの軸径より大きい留め具等のバネ固定具129で行う。この結果、コイルバネ128の付勢力は、第2の突軸部146bの軸方向と平行な一方向(
図13における紙面左側への方向)となり、第2の腕部142bの一方面となる面を第2の軸受け部126bへ押し付ける方向に作用する。
【0098】
なお、上記の説明では、コイルバネ128を第2の突軸部146bへ設けるように説明したが、第1の突軸部146aに設けるように構成してもよいし、また、両方の突軸部に設ける構成としても良い。また、コイルバネを用いるとしたが、板バネや電磁コイル等の付勢力を与えることが出来るものであれば、どのような物を利用しても良いし、また、どのような構成としても良い。即ち、重要な基本的構成は、2個の腕部が各々の軸受け部に対して同じ側に配置されることで2個の指示腕部が突軸部の軸方向に移動可能となっていることと、コイルバネ等が2個の腕部を各々の軸受け部に押し付ける方向に付勢すること、即ち、2個の支持腕部の突軸部の軸方向での移動を規制することである。この結果として、落下防止杆70が架け渡された2個の支持腕部が各々の突軸部を軸中心として回動可能であると共に、2個の支持腕部が各々の突軸部の軸方向の一方方向(他方向)に移動可能となっており、さらに、コイルバネの付勢力で2個の支持腕部が各々対応する取付具に係止された状態が維持可能となっている。
【0099】
上記にて説明した落下防止装置100を使用して、棚板84cに載置された物品を自由に取り出すことができる落下防止杆70の退避位置から、該物品が地震等による収納棚80の振動を受けても落下や飛び出しを防止できる落下防止杆70の落下防止位置への位置変更について説明する。
【0100】
各種物品を棚板84cに載置したり、棚板84cに載置された各種物品を自由に取り出したりする場合には、落下防止杆70は、
図16及び
図17の収納開口86が全面的に開放される退避位置となっている。
【0101】
この状態で落下防止杆70を手等で手前側に引き上げると、第1の支持腕部140aと第2の支持腕部140bが落下防止杆70に従動し、第1の突軸部146a及び第2の突軸部146bを軸中心として回動する。そして、このまま第1の支持腕部140aの第1の摺動部152aが第1の取付具120aの第1の傾斜部132aへ当接し、また、第2の支持腕部140bの第2の摺動部152bが第2の取付具120bの第2の傾斜部132bへ当接するまで回動させる。
【0102】
この第1の摺動部152aの第1の傾斜部132aへの当接(第2の摺動部152bの第2の傾斜部132bへの当接)の時点では、第1の支持椀部140a及び第2の支持腕部140bは、コイルバネ128により第2の突軸部146bの軸方向と平行な一方向の側(
図16の紙面左側)へ付勢されている。
【0103】
この状態から、さらに落下防止杆70を回動させると、第1の摺動部152aは第1の支持腕部140aの回動に伴い、第1の傾斜部132aを摺動する。また、同様に、第2の支持腕部140bの側でも第2の摺動部152bは第2の傾斜部132bを摺動する。
【0104】
なお、上述の通り、2個の支持腕部に立設された各々の突軸部は、該突軸部が挿通された各々の挿入穴内を、突軸部の軸方向と平行な方向で移動可能となっている。この結果、2個の摺動部が各々に対応する傾斜部を摺動することにより、2個の支持腕部は、コイルバネ128の付勢力に抗して、突軸部の軸方向と平行な他方向の側(
図16の紙面右側)へ移動することになる。
【0105】
また、2個の摺動部が各々に対応する傾斜部を摺動することによる、第1の突軸部146aの軸方向と平行な他方向の側への移動によって、第1の突軸部146aが挿通されている第1の挿入穴125aから抜け出ないように第1の突軸部146aの軸方向長さが規定されている。なお、第2の突軸部146bは、その先端部近傍に設けられたネジ山に螺合されたナットや、先端部に設けた留め具等のバネ固定具129により、第2の挿入穴125bから抜け出ることはない。
【0106】
この後、第1の摺動部152aの終点が第1の傾斜部132aの頂点を通過し、第1の突起部134aが第1の突起受け部154aに嵌め合わされる。同様に、第2の摺動部152bの終点が第2の傾斜部132bの頂点を通過し、第2の突起部134bが第2の突起受け部154bに嵌め合わされる。この結果、第1の係止部150aが第1の係止受け部130aに係止されると共に、第2の係止部150bが、第2の係止受け部130bに係止され、落下防止杆70の落下防止位置への位置変更が完了する。
【0107】
次に、2個の係止部と該2個の係止部に対応する係止受け部との係止を解除し、落下防止杆70を収納開口86を横断する落下防止位置から収納開口86を全面的に開放する退避位置への移動の方法を説明する。
【0108】
各種物品が地震等による収納棚80の振動を受けても落下や飛び出しを防止できる落下防止位置へ係止された落下防止杆70を、手等により収納開口86の方向に向かって押圧する。
【0109】
この時点では、第1の支持椀部140a及び第2の支持腕部140bは、コイルバネ128により各々の突軸部の軸方向と平行な一方向の側(
図13の紙面左側)へ付勢されているので、落下防止杆70をこの付勢力に抗して突軸部の軸方向と平行な他方向の側(
図13の紙面右側)へ力を加える。この結果、2個の突起部と、該突起部が各々対応する突起受け部との嵌め合わせが解除されるので、落下防止杆70を手前側に引く、または、そのまま手を離せば、2個の支持腕部が落下防止杆70に従動し、突軸部を軸中心として回動し、落下防止杆70は収納開口86を全面的に開放する退避位置へ移動する。
【0110】
以上のように、転落防止装置100は、落下防止杆70の退避位置から落下防止位置への位置変更、及び落下防止位置から退避位置への位置変更は非常に容易であり、片手でも位置変更可能となっている。また、2個の係止部と、該係止部に対応する係止受け部との係止は、2個の突起部と、該突起部に対応する突起受け部との嵌め合わせで実現されており、容易にはその係止状態が解除されることはない。
【0111】
さらに、転落防止装置100では、物品の落下および飛び出しを防止する落下防止杆70は、落下防止杆70を回動させるための2個の支持腕部とは別部材となっているため、重量の大きい物品に合わせて落下防止杆70を頑丈なものとすることが容易である。
【0112】
さらにまた、落下防止杆70の位置変更の容易さは、2個の突起部と、該突起部に対応する突起受け部との嵌め合わせや、コイルバネに依存している。このため、落下防止杆70を頑丈なものとしても、落下防止杆70の位置変更の容易さが損なわれることはない。
【0113】
またさらに、変形例3で説明した転落防止装置100は、落下防止装置10の基本的構成を変更することなく構造を簡素化することが可能であることを示している。具体的には、落下防止装置10や転落防止装置100は、2個の腕部が各々の軸受け部に対して同じ側(2個の腕部に各々設けられた突軸部が立設される側)に配置されることで、2個の腕部(即ち2個の支持腕部)が突軸部の軸方向に移動可能となる構成と、コイルバネ等による付勢力が2個の腕部を各々の軸受け部に押し付ける方向に付勢することで、2個の支持腕部の突軸部の軸方向の移動を規制する構成を備えており、この結果として、上記の効果を得ることが可能となっている。