(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654336
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステムを有するスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20141218BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20141218BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20141218BHJP
H04M 1/73 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
G01C21/26 A
H04W52/02
H04W64/00 171
H04M1/73
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-277796(P2010-277796)
(22)【出願日】2010年12月14日
(65)【公開番号】特開2012-127722(P2012-127722A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー エス デ シルバ
(72)【発明者】
【氏名】アレックス パンガニバン
(72)【発明者】
【氏名】リン ドアン
【審査官】
根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−166421(JP,A)
【文献】
特開2003−207556(JP,A)
【文献】
特開2007−134760(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/006530(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
H04M 1/73
H04W 52/02
H04W 64/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートフォン内のナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための方法であって、
運転者によって入力された住所または位置に基づいて経路を生成するステップと、
前記経路を2つ以上の経路区分に分割するステップと、
それぞれの経路区分における経路複雑度を決定するステップと、
前記運転者によって入力された前記住所または位置の地理的状態を決定するステップと、
前記スマートフォン内の前記バッテリの使用を最大限にするために、前記経路複雑度または地理的状態が変わると、現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替えるステップとを備える、方法。
【請求項2】
現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替える前記ステップでは、前記運転者が複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分に移動しているとき、現在の位置センサが、より位置精度が低く、よりバッテリ電力の消費が少ない別の位置センサに切り替えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替える前記ステップでは、前記運転者が複雑度の低い経路区分から複雑な経路区分に移動しているとき、より多くのバッテリ電力を節約するために、前記ナビゲーションシステムがより精度の高い位置センサへの切り替えが必要であると決定するまで前記ナビゲーションシステムがより精度の低い位置センサを使用し続ける、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記経路複雑度が変わるとある位置センサを別の位置センサに自動的に切り替える前記ステップが、前記より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記経路あるいは前記住所または位置の前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記経路または前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定する前記ステップが、記憶装置に格納された前記運転者の過去の行動を照合するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
位置精度のより低い前記位置センサを位置精度のより高い別のセンサに切り替えるための最良のタイミングを決定する前記ステップが、以前の前記目的地への到着時間および任意の予想遅延、過去のおよび予測される交通状況、前記現在位置と目的地との間の距離、前記現在の車の位置、目的地、およびその間の全ての領域の人口密度を含む情報を受け取るステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
ナビゲーションシステム内の異なる複数の位置センサを管理するとともに、スマートフォン内の前記ナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための装置であって、
運転者によって入力された住所または位置に基づいて経路を生成する手段と、
前記経路を2つ以上の経路区分に分割する手段と、
それぞれの経路区分における経路複雑度を決定する手段と、
前記運転者によって入力された前記住所または位置の地理的状態を決定する手段と、
前記スマートフォン内の前記バッテリの前記使用を最大限にするために、前記経路複雑度または地理的状態が変わると、現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替える手段とを備える、装置。
【請求項9】
現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替える前記手段は、前記運転者が複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分に移動しているとき、現在の位置センサが、より位置精度が低く、よりバッテリ電力の消費が少ない別の位置センサに切り替える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替える前記手段は、前記運転者が複雑度の低い経路区分から複雑な経路区分に移動しているとき、より多くのバッテリ電力を節約するために、前記ナビゲーションシステムがより精度の高い位置センサへの切り替えが必要であると決定するまで前記ナビゲーションシステムがより精度の低い位置センサを使用し続ける、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記経路複雑度が変わるとある位置センサを別の位置センサに自動的に切り替える前記手段が、前記より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定する手段を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記経路あるいは前記住所または位置の前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定する手段をさらに備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記経路または前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定する前記手段が、記憶装置に格納された前記運転者の過去の行動を照合する手段を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
位置精度のより低い前記位置センサを位置精度のより高い別のセンサに切り替えるための最良のタイミングを決定する前記手段が、以前の前記目的地への到着時間および任意の予想遅延、過去のおよび予測される交通状況、前記現在位置と目的地との間の距離、前記現在の車の位置、目的地、およびその間の全ての領域の人口密度を含む情報を受け取る手段を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
記憶装置と、
制御部と、
ナビゲーションシステムとを備え、
前記ナビゲーションシステムが、
異なる位置精度を有する複数の位置センサと、
運転者によって入力された住所または位置に基づいて経路を生成するための経路生成部と、
前記経路を異なる経路区分に分割するための経路分割部と、
それぞれの経路区分の複雑度を決定するための経路複雑度決定部とを備え、
前記制御部が、前記スマートフォン内の前記バッテリの前記使用を最大限にするために、前記経路複雑度または地理的状態が変わると現在の位置センサを前記ナビゲーションシステム内の別の位置センサに切り替えるように構成されている、スマートフォン。
【請求項16】
前記制御部は、前記運転者が複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分に移動しているとき、現在の位置センサが、より位置精度が低く、よりバッテリ電力の消費が少ない別の位置センサに切り替えられる、請求項15に記載のスマートフォン。
【請求項17】
前記制御部は、前記運転者が複雑度の低い経路区分から複雑な経路区分に移動しているとき、バッテリ電力をより節約するために、前記ナビゲーションシステムが精度のより高い位置センサへの切り替えが必要であると決定するまで前記ナビゲーションシステムが精度のより低い位置センサを使用し続ける、請求項15に記載のスマートフォン。
【請求項18】
前記制御部が位置精度のより低い前記位置センサを位置精度のより高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定する手段を含む、請求項17に記載のスマートフォン。
【請求項19】
前記制御部が前記経路あるいは前記住所または位置の前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定する手段をさらに備える、請求項15に記載のスマートフォン。
【請求項20】
前記経路または前記地理的状態についての前記運転者の熟知度を決定する前記手段が、前記記憶装置に格納された前記運転者の過去の行動を照合する手段を含む、請求項19に記載のスマートフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムを有する移動電話内のエネルギー消費を最適化するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は可能な限り高い位置精度を運転者にもたらすように移動電話のバッテリを効率的に使用するためのナビゲーションを基にした方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ技術が進歩している中、ナビゲーション装置が10年以上にわたって広く使用されてきた。ナビゲーション装置は全地球測位システム(GPS)を利用することによって運転者の現在位置を決定するだけでなく、車の現在位置と目的地との間の異なる経路情報を提供することもできる。上述の機能を実行するために、通常ナビゲーション装置は地図、道路網、地理的特徴、および通過点あるいは関心地点(POI)情報を格納して提供するためのナビゲーション・コンピュータ・プログラム、および1つまたは複数の詳細なデータベースを備える精巧なナビゲーションシステムを装備している。
【0003】
最近では、接続型携帯型装置(携帯型ナビゲーション装置(PND)、スマートフォンなど)がより普及して入手しやすくなった。大部分の接続型携帯型装置は、ユーザに進路変更ごとのナビゲーション案内を提供する、全地球測位システム(GPS)、セルラまたはWi−Fi三角測量などの位置センサを装備している。これらの装置の共通の問題は位置センサが作動されるとバッテリ内に格納された電力消費が速くなることであり、これは、バッテリ電力が不十分なために装置の電源が切れたとき、しばしばユーザに中断を経験させることになる。
【0004】
上述の位置センサの位置精度に関しては、GPS受信機が最高の位置精度を有し、その後にWi−FiおよびGSMが続く。消費電力に関しても、消費電力を最も多いものから最も少ないものまで示すのに同じ順序が適用される。
図1(デューク大学のRomit Roy Choudhury教授より、この図は参照により本明細書に組み込む)に示されるように、バッテリ寿命は、GPS受信機を使用したとき8時間の場合、Wi−Fiを使用したとき約16時間、GSMを使用したとき約40時間まで延長されうる。
【0005】
Dobeck他の米国特許第7,577,516号は、
図2に示されるように、バッテリ、中央コントローラ、GPSシステム、および補助プロセッサを通常備える携帯型データ端末であって、中央コントローラがスリープ状態を有し、中央コントローラの機能のうちの少なくともいくつかがバッテリ電力を節約するために制限されている携帯型データ端末を開示している。しかし、Dobeckは経路または位置についての運転者の熟知度あるいは経路または位置の複雑さに従ってGPS受信機をWi−FiまたはGSMなどの他のより精度の低い位置センサに切り替えることに関しては何も開示していない。
【0006】
特開2007−187620号公報は、GPS機能を有する携帯電話の消費電力を減らすための方法およびシステムを開示している。より詳細には、第1参照地点に到着するとGPSは電源が切られ、GPSアシスト信号を格納する。第2参照地点に到着すると、GPSは再び電源が入れられて、車の現在位置を検出するために格納されたGPSアシスト信号が使用されることになる。しかし、Dobeck同様、経路または位置についての運転者の熟知度あるいは経路または位置の複雑さに従ってGPS受信機をWi−FiまたはGSMなどの他のより精度の低い位置センサに切り替えることに関しては何も開示していない。
【0007】
したがって、経路または位置についての運転者の熟知度あるいは経路または位置の複雑さに従って、可能な限り高い位置精度を運転者にもたらすように移動電話内のバッテリを効率的に使用するための新規の改良された装置および方法が依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,577,516号
【特許文献2】特開2007−187620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、位置整合(location matching)技術を使用して運転者の現在地および/または行こうとしている位置の地理的状態を認識することによって、可能な限り高い位置精度を運転者にもたらすように移動電話内のバッテリ使用を最適化するための方法および装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、自分の行動を格納している運転者の日程表など、運転者のあらかじめ定められた時間間隔に従って、より精度の低い位置センサを起動することによって移動電話内のバッテリ使用を最適化するための方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、運転者の日程表および走行履歴を使用して、特定の位置についての運転者の熟知度を決定し、運転者がその位置を熟知しているとシステムが決定すると、より精度の低い位置センサが起動される、移動電話内のバッテリ使用を最適化するための方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、運転者が位置または経路を熟知していない可能性があるとシステムが決定すると、バッテリ電力をより節約するために、システムはより精度の低い、すなわち消費電力がより少ない位置センサを可能な限り長く使用して、次いでより精度の高い位置センサに切り替えることができる、移動電話内のバッテリ使用を最適化するための方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ナビゲーションシステムを操作しながら移動電話内のエネルギー消費を最適化するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は可能な限り高い位置精度を運転者にもたらすように移動電話のバッテリを効率的に使用するための、ナビゲーションを基にした方法および装置に関する。一態様では、移動電話は記憶装置、トランシーバ、バッテリ、制御部、および精度の異なる2つ以上の位置センサを有するナビゲーションシステムを含んでおり、制御部はあらかじめ定められた状態が発生すると移動電話内のバッテリをより効率的に使用するために、ある位置センサを別の位置センサに切り替えるようになっている。
【0014】
一実施形態では、位置センサはGPS受信機、Wi−Fi、またはGSMセンサを含んでもよい。上述のように、GPS受信機は最高の位置精度を有し、その後にWi−FiおよびGSMが続く。その一方で、GPS受信機はWi−FiまたはGSMよりも多くのバッテリ電力を消費しうる。典型的な実施形態では、目的地の地理的状態または運転者が取るであろう経路は複雑ではないと制御部が決定すると、制御部はバッテリ電力を節約するためにある位置センサをより位置精度の低い別の位置センサに切り替えることができる。
【0015】
一方、他の実施形態では、目的地の地理的状態、または運転者が取るであろう経路が複雑であると制御部が決定すると、制御部は、精度の高い位置センサに切り替える前に、より精度の低い位置センサを最大限使用するように設定されている。
【0016】
本発明の他の態様によれば、ナビゲーションシステムを操作しながら移動電話内のバッテリをより効率的に使用するための方法が、運転者によって入力された住所または位置に従って経路を生成するステップと、経路を2つ以上の経路区分に分割するステップと、それぞれの経路区分における経路複雑度を決定するステップと、スマートフォンのバッテリの使用を最大限にするためにナビゲーションシステム内のある位置センサをナビゲーションシステム内の別の位置センサに自動的に切り替えるステップとを含んでいる。
【0017】
一実施形態では、運転者が複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分に移動しているとき、位置センサは位置精度がより低く、バッテリ電力の消費がより少ない別の位置センサに切り替えられる。他の実施形態では、運転者が複雑度の低い経路区分から複雑な経路区分に移動しているとき、バッテリ電力をより節約するために、より精度の高い位置センサへの切り替えが必要であるとナビゲーションシステムが決定するまで、より精度の低い位置センサを使用し続ける。
【0018】
さらなる実施形態では、経路の複雑度が変わると、ある位置センサを別の位置センサに自動的に切り替えるステップは、より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定するステップを含む。さらなる実施形態では、より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別のセンサに切り替えるための最良のタイミングを決定するステップは、以前の目的地への到着時間および任意の予想遅延、過去のおよび予測される交通状況、現在位置と目的地との間の距離、ならびに現在の車の位置、目的地、およびその間の全ての領域の人口密度を含む情報を受け取るステップを含む。
【0019】
典型的な実施形態では、ナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリをより効率的に使用するための方法は、経路あるいは住所または位置の地理的状態についての運転者の熟知度を決定するステップをさらに含んでもよい。異なる実施形態では、経路または地理的状態についての運転者の熟知度を決定するステップは、記憶装置に格納された運転者の過去の行動を検査するステップを含んでもよい。
【0020】
本発明の他の態様によれば、スマートフォン装置はデータベース、記憶装置、無線プロトコル部、トランシーバ、アンテナ、および複数の電話アプリケーションを含むことができる。ユーザが従来の方式で電話をかけたり受けたりできるようにするために、スマートフォンはユーザインタフェース、制御部、キーパッド、ディスプレイ、マイクロフォン、スピーカ、およびバッテリを含むこともできる。たとえば、ユーザはキーパッドを使用して電話番号を入力することによって電話をかけることができる。ユーザインタフェースはディスプレイを介してユーザに情報を表示するとともに、ユーザの操作を制御部に伝えるようになっている。制御部はトランシーバおよびアンテナを使用して電話をかけるように構成されている。ユーザはマイクロフォンおよびスピーカを使用して従来の方法で電話での通話ができる。無線プロトコル部は無線通信規格に従ってスマートフォンにデータ通信機能を提供する。電話アプリケーションは、精度の異なる2つ以上の位置センサを有するナビゲーションシステムを含んでよく、制御部は、あらかじめ定められた状況が発生すると、スマートフォン装置内のバッテリをより効率的に使用するために、ある位置センサを別の位置センサに切り替えるようになっている。
【0021】
一実施形態では、ナビゲーションシステムは、GPS受信機、Wi−Fi測位システム(WPS)、およびGSMセンサを含みうる位置/距離測定装置を装備してよく、GPS受信機は最高の位置精度を有し、その後にWPSおよびGSMセンサが続く。一方、GPS受信機はWPSおよびGSMよりも多くのバッテリ電力を消費する。
【0022】
他の実施形態では、ナビゲーションシステムはデータベースから地図および道路網データを取り出して計算された経路を生成するための経路生成部を含むことができる。経路生成部は、計算された経路を2つ以上の経路区分に分割するための経路分割部、および経路複雑度決定部を含むことができる。上述のように、経路複雑度が変わると現在の位置センサはナビゲーション内の別の位置センサ(より位置精度の高い位置センサ、またはより位置精度の低い位置センサ)に切り替えられる。他の実施形態では、経路複雑度決定部は、それぞれの経路区分に経路複雑度を適切に割り振るために経路分割部と効率的に通信することができる。異なる実施形態では、複雑度はナビゲーションシステム内の地図データベース内に符号化されてもよい。
【0023】
さらなる実施形態では、経路複雑度決定部は、経路区分についての運転者の熟知度を決定するために記憶装置から運転者の過去の行動を取り出すことができる。
【0024】
本発明および上記その他の利点は、以下の図面に示された本発明の実施形態についての以下の詳細な説明を読めば最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】スマートフォン内の3つの異なる位置センサの間の、動作時間に対する残りのバッテリ寿命を示す図である。
【
図2】バッテリ、中央コントローラ、GPSシステム、および補助プロセッサを通常備える携帯型データ端末であって、中央コントローラがスリープ状態を有し、中央コントローラの機能のうちの少なくともいくつかがバッテリ電力を節約するために制限されている携帯型データ端末に関する従来技術を示す図である。
【
図3】ナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための方法および装置を実装しているスマートフォンの構造の例を示す機能ブロック図である。
【
図4】経路区分の複雑度および領域の地理的状態を示すための例を示す図である。
【
図4a】経路区分の複雑度および領域の地理的状態を示すための例を示す図である。
【
図4b】経路区分の複雑度および領域の地理的状態を示すための例を示す図である。
【
図5】スマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための方法および装置を実装しているナビゲーションシステムの構造の例を示す機能ブロック図である。
【
図6】ナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するための方法を示す、本発明の別の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に記載する詳細な説明は、本発明の諸態様によって提供される現在の典型的な装置の説明を目的とするものであり、本発明を用意または使用することができる唯一の形態を表そうとするものではない。むしろ、同様に本発明の趣旨および範囲内に包含されることを目的とする異なる実施形態によって、同じまたは同等の機能および構成要素が達成されうることが理解されるべきである。
【0027】
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明の属する技術分野の当業者に一般に理解される用語と同じ意味を有する。説明されるものと類似または同等であるどのような方法、装置、および材料も本発明の実施または検査に使用されうるが、ここでは典型的な方法、装置、および材料を説明する。
【0028】
言及される全ての出版物は、たとえば現在説明される発明に関連して使用される場合がある、出版物内で説明される設計図および方法論を説明および開示する目的で参照により組み込まれる。上記、以下、および本文を通じて列挙または議論される出版物は、本出願の出願日に先立ってそれらの開示のためだけに提供される。本明細書のいずれも、発明者は先願発明の理由でこのような開示に先行する資格がないと認めるものと解釈されるべきではない。
【0029】
本発明は、移動電話内のナビゲーションシステムを操作しながら移動電話内のエネルギー消費を最適化するための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は可能な限り高い位置精度を運転者にもたらすように移動電話のバッテリを効率的に使用するためのナビゲーションを基にした方法および装置に関する。上述のように、これらの移動電話装置の共通の問題は位置センサが作動されるとバッテリ内に格納された電力消費が速くなることである。より精度の高い位置センサはより多くのエネルギーを消費するので、本発明は、特定の状況下でバッテリ電力を節約するために精度の高いセンサ(たとえばGPS受信機)を、何らかのより精度の低いセンサ(たとえばWi−Fi、GSM)に切り替えるようにしている。
【0030】
図3を参照すると、スマートフォン装置300はデータベース310、記憶装置320、無線プロトコル部330、トランシーバ340、アンテナ350、および複数の電話アプリケーション360を含んでいる。ユーザが従来の方式で電話をかけたり受けたりできるようにするために、スマートフォン300はユーザインタフェース370、制御部380、キーパッド390、ディスプレイ391、マイクロフォン392、スピーカ393、およびバッテリ394も含んでいる。たとえば、ユーザはキーパッド390を使用して電話番号を入力することによって電話をかけることができる。ユーザインタフェース370はディスプレイ391を介してユーザに情報を表示するとともに、ユーザの操作を制御部380に伝えるようにしている。制御部380はトランシーバ340およびアンテナ350を使用して電話をかけるように構成されている。ユーザはマイクロフォン392およびスピーカ393を使用して従来の方法で電話での通話ができる。無線プロトコル部330は無線通信規格に従ってスマートフォン300にデータ通信機能を提供する。電話アプリケーション360は、精度の異なる2つ以上の位置センサを有するナビゲーションシステム500を含むことができ、制御部380は、あらかじめ定められた状況が発生すると、スマートフォン装置300内のバッテリをより効率的に使用するために、ある位置センサを別の位置センサに切り替えるように適合している。
【0031】
図5aに示した一実施形態では、ナビゲーションシステム500は、GPS受信機551、Wi−Fi測位システム(WPS)552、およびGSMセンサ553を含んでいる位置/距離測定装置502を装備しており、GPS受信機551は最高の位置精度を有し、その後にWPS552およびGSMセンサ553が続く。一方、GPS受信機551はWPS552およびGSM553よりも多くのバッテリ電力を消費する。
【0032】
ナビゲーションシステム500はデータベース310から地図および道路網データを取り出して計算された経路を生成するための経路生成部521を含んでいる。経路生成部521は、計算された経路を2つ以上の経路区分に分割するための経路分割部555、および経路複雑度決定部556を含んでいる。上述のように、経路複雑度が変わると現在の位置センサはナビゲーション500内の別の位置センサ(より位置精度の高い位置センサ、またはより位置精度の低い位置センサ)に切り替えられる。他の実施形態では、経路複雑度決定部556は、それぞれの経路区分に経路複雑度を適切に割り振るために経路分割部555と効率的に通信することができる。異なる実施形態では、複雑度はナビゲーションシステム500内の地図データベース内に符号化されている。
【0033】
さらなる実施形態では、経路複雑度決定部556は、経路区分についての運転者の熟知度を決定するために記憶装置320から運転者の過去の行動を取り出すことができる。たとえば、運転者が経路区分を週に何回か走行する場合、経路複雑度決定部556は運転者がその経路区分を熟知しているとみなすようにしてもよい。一方、運転者がその経路区分を年に何回かしか走行しない場合、逆の結果を生成するようにしてもよい。決定部556は過去の行動の時期も考慮するようにしてもよい。たとえば、決定部556は、たとえ運転者が同じ経路区分を3年間走行したことがあっても、その経路区分をこの5年間走行していなければ、運転者はその経路区分に不案内であるとみなすようにしてもよい。
【0034】
図4に示したさらなる実施形態では、経路400は運転者が通過する可能性がある都市に従って2つ以上の経路区分(410から450)に分割される。ここでは、経路複雑度は都市内の人口、交通、道路網などに基づいて定義してもよい。たとえば、密集した碁盤の目状の道路のため区分410および440(都市BおよびJ)における経路複雑度はより高い場合があり、一方区分420、430、および450(都市C、D、およびK)における経路複雑度はより低い場合がある。運転者が410などの複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分420へと走行しているとき、現在の位置センサは位置精度がより低く、バッテリ電力の消費がより少ない別の位置センサに切り替えられる。運転者が同様の経路複雑度を有する経路区分に移動している場合、位置センサは切り替えられないようにしてもよい。同様に、運転者が地理的領域460(
図4aに示された)から複雑度の低い地理的領域470(
図4bに示された)に移動している場合、現在の位置センサは位置精度がより低く、バッテリ電力の消費がより少ない別の位置センサに切り替えられるようにしてもよい。
【0035】
一方、ドライバが複雑度の低い経路区分420(都市C)からより複雑な経路区分430(都市D)へ、または複雑度の低い地理的領域470からより複雑な地理的領域460へと走行している場合、できる限り多くのバッテリ電力を節約するために、現在の位置センサを最良のタイミングで位置精度のより高い別の位置センサに切り替えることができる。位置精度のより高い位置センサは、位置精度のより低い位置センサよりも多くのバッテリ電力を消費することが知られている。バッテリ電力をより節約するために、位置センサ切替え処理は経路複雑度が低から高へ変化してもすぐには開始しない場合がある。より詳細には、ナビゲーションシステム500は、システム500がより精度の高い位置センサへの切り替えが必要であると決定するまで、精度のより低い位置センサを使用し続けることができる。
【0036】
さらに、システム500が精度のより高い位置センサに切り替える時を決定できる以前に、最初の経路計算のためにGPS受信機551などの最も正確な位置センサが必要な場合がある。バッテリ電力をより節約するため、システム500は精度の低い位置センサをより精度の高い位置センサに切り替える最良のタイミングを決定するために、(1)以前の目的地への到着時間および任意の予想遅延、(2)過去のおよび予測される交通状況、(3)現在位置と目的地との間の距離、ならびに(4)現在の車の位置、目的地、およびその間の全ての領域の人口密度、という要素を考慮することができる。
【0037】
典型的な実施形態では、制御部380は、上述の要素を考慮することによって位置センサを精度の低いものからより精度の高いものへ切り替えるための最良のタイミングを計算するようになっている。たとえば、運転者の日程表に午後2時に行動予定があり、その行動予定までの予想到着時間(ETA)が30分であり、システム500を用いるための時間が約10分の場合、ユーザの位置から次の行動予定への経路状態を分析および予測してユーザに最良の経路を提供するための十分な時間をシステム500に与えるために、より正確な位置センサに切り替えるための最良のタイミングを午後1時20分としてもよい。システム500はユーザが熟知している位置または経路に到着するまで高精度センサを使用し続け、到着するとシステム500はその位置または経路についてのユーザの熟知度によって消費電力のより少ない/精度のより低いセンサに切り替えるか、またはより正確で消費電力のより多いセンサを使用し続けるかを決定する。言い換えれば、位置または経路についてのユーザの熟知度は、システム500によって決定されうる経路または位置の複雑度に大いに関係する。
【0038】
異なる実施形態では、ナビゲーションシステム500ができる限り高い位置精度を運転者に提供しながらバッテリ電力を効率的に使用できるように、制御部380はバッテリ394の電力レベルを測定してこのような情報をナビゲーションシステム500に伝えるように構成してもよい。たとえば、バッテリのレベルが精度の高い位置センサ、たとえばGPS受信機551を使用すると5分間しかもたず、目的地への予想到着時間は20分であることにシステム500が気付くと、システム500は上述の4つの要素を考慮することによって精度の低い位置センサに迅速に切り替えて、運転者に複雑度の低い経路区分を経路指定することができる。他の実施形態では、ナビゲーションシステム500は電源がオフになる前に運転者に熟知している経路区分を経路指定することができる。
【0039】
図5は、本発明を実装するためのナビゲーションシステム500の詳細な構造の例を示すブロック図である。ナビゲーションシステム500はユーザインタフェース370、ならびに現在の車の位置、すなわちユーザの位置を測定するための位置および距離測定装置502を含む。たとえば、位置および距離測定装置502は移動距離を検出するための速度センサ、移動方向を検出するためのジャイロスコープ、位置を計算するためのマイクロプロセッサ、衛星によって生成された電波を受信することによって車の現在位置を検出するGPS(全地球測位システム)センサを有する。一実施形態では、GPS受信機551がたとえば現在位置検出部として使用されるが、GPS受信機551の代わりに速度センサ、ステアリング・センサ、高度計などを個別にまたは組み合せて使用してもよい。他の実施形態では、位置および距離測定装置502は
図5aに示されるようにWi−Fi測位システム(WPS)552およびGSMセンサ553を含んでもよい。
【0040】
図5に示されるように、ナビゲーションシステム500は、車線ごとに運転者に案内情報を提供するための案内提供部503、地図情報を格納するための地図情報メモリ507、データベースから地図および道路網データを取り出して計算された経路を生成する経路生成部521、ならびに関心地点(POI)情報などのデータベース情報を格納するためのデータベース・メモリ508も含んでもよい。
図5bに示された一実施形態では、経路生成部521は、計算された経路を2つ以上の経路区分に分割するための経路分割部555、および経路複雑度決定部556を含んでもよい。
【0041】
なお
図5を参照すると、ナビゲーション500はメニュー選択操作、拡大/縮小操作、目的地入力操作などを実行するための入力装置513、および入力装置インタフェース512をさらに含む。一実施形態では、入力装置513はスマートフォン装置300内のキーパッド390でよい。ナビゲーションシステム500は、システム内の上記の各部と接続するためのバス411、ナビゲーションシステム500の全ての操作を制御するためのプロセッサ(CPU)514、ナビゲーション制御に必要な経路探索プログラムおよび地図整合プログラムなどの様々な制御プログラムを格納するためのROM519、案内経路などの処理結果を格納するためのRAM520、地図情報に基づいて地図画像(地図案内画像および矢印案内画像)を生成するためのディスプレイ・コントローラ515、ディスプレイ・コントローラ515によって生成された画像を格納するためのVRAM516、メニュー画像/様々なリスト画像を生成するためのメニュー/リスト生成部518、合成部517、遠隔サーバ、インターネット、または他の通信ネットワークからデータを取り出すための無線通信装置509、ならびにデータ処理を容易にするためにデータを一時的に格納するためのバッファメモリ510も含む。
【0042】
一実施形態では、制御部380内にCPU514を組み込むようにしてもよい。また、記憶装置320はナビゲーションシステム500内にROM519およびRAM520を含んでもよい。無線通信装置509はスマートフォン装置300内の無線プロトコル部330で操作されてもよい。
【0043】
図6の流れ図に示した本発明におけるナビゲーションシステムを有するスマートフォン内のバッテリを効率的に使用するためのプログラムがROM519または他のメモリ内に格納されてCPU514によって実行される。CPU514は本発明における案内ディスプレイ方法および装置の全ての操作を制御する。
【0044】
本発明の他の態様によれば、スマートフォン内のナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリをより効率的に使用するための方法が、運転者によって入力された住所または位置に基づいて経路を生成するステップ610と、経路を2つ以上の経路区分に分割するステップ620と、それぞれの経路区分における経路複雑度を決定するステップ630と、運転者によって入力された住所または位置の地理的状態を決定するステップ640と、スマートフォンのバッテリの使用を最大限にするために、ある位置センサをナビゲーションシステム内の位置精度の異なる別の位置センサに自動的に切り替えるステップ650とを含んでもよい。
【0045】
一実施形態では、上述のように、運転者が複雑な経路区分から複雑度の低い経路区分に移動しているとき、位置センサはより位置精度が低く、よりバッテリ電力の消費が少ない別の位置センサに切り替えられる。他の実施形態では、運転者が複雑度の低い経路区分から複雑な経路区分に移動しているとき、より多くのバッテリ電力を節約するために、ナビゲーションシステム500がより精度の高い位置センサへの切り替えが必要であると決定するまでナビゲーションシステム500はより精度の低い位置センサを使用し続ける。
【0046】
さらなる実施形態では、経路複雑度が変わるとある位置センサを別の位置センサに自動的に切り替えるステップ650は、より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定するステップを含む。さらなる実施形態では、より位置精度の低い位置センサをより位置精度の高い別の位置センサに切り替えるための最良のタイミングを決定するステップは、以前の目的地への到着時間および任意の予想遅延、過去のおよび予測される交通状況、現在位置と目的地との間の距離、ならびに現在の車の位置、目的地、およびその間の全ての領域の人口密度を含む情報を受信するステップを含む。
【0047】
典型的な実施形態では、スマートフォン内のナビゲーションシステムを操作しながらスマートフォン内のバッテリをより効率的に使用するための方法は、経路あるいは住所または位置の地理的状態についての運転者の熟知度を決定するステップ660をさらに含んでもよい。異なる実施形態では、経路または地理的状態についての運転者の熟知度を決定するステップ660は、記憶装置310に格納された運転者の過去の行動を照合するステップを含んでもよい。
【0048】
上記で記述および図によって本発明を説明してきたが、これらは本発明の例示であり、限定的なものと考えられるべきではないことが理解されるべきである。したがって、本発明は前記の記述によって限定されるものと考えられるべきではなく、どのような均等物も含むものである。
【符号の説明】
【0049】
300 スマートフォン装置
310 データベース
320 記憶装置
330 無線プロトコル部
340 トランシーバ
350 アンテナ
360 電話アプリケーション
370 ユーザインタフェース
380 制御部
390 キーパッド
391 ディスプレイ
392 マイクロフォン
393 スピーカ
394 バッテリ
500 ナビゲーションシステム