【実施例】
【0123】
二特異性ワクチンの開発
1) PDGF エピトープの選択
1-a) Atherovax の開発において用いたペプチド配列
PDGF-BB のループ I および III における残基に対応する一連のペプチドを、研究所において、 Atherovax の開発において抗原として調製した (Oefner et al、EMBO J 1992、11、3921-3926; Sun et al、Annu Rev Biophys Biomol Struct 1995、24、269-291; LaRochelle et al、J Biol Chem 1992、267,17074-17077; Brennand et al、FEBS Lett 1997、413、70-74; Patel et al、J Pept Res、1999、53、68-74)。さらに、該ペプチドのうち特定のものは、真皮の線維芽細胞において DNA 合成を刺激することが示された。これらに基づいて一連の環状ペプチドをも調製し、そのうちの1つは PDGF に誘導される DNA 合成を阻害することができ、かつ、アポトーシスを誘導することができた。該環状ペプチドは、その細胞増殖を阻害する能力と細胞上における PDGF 受容体の存在との間の相関を示した。
【0124】
1-b) ペプチド合成のための一般的方法
ペプチドは、Fmoc ストラテジーを用い、連続フロー固相合成によって合成される。切断および脱保護の前に、N,N-ジメチルホルムアミド中の 45% 無水酢酸を用いて 30 分間、N-末端の封鎖を行う。アリルに基づく Glu の保護を用いて、線上で(on line)ペプチドの環化を行う。N-Fmoc 基の除去の後、製造者の説明書に従い、O-(7 アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロフォスフェートおよび 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(azabenzotrizole)を用いて頭-尾(head to tail)の環化を行う。0.1% トリフルオロ酢酸中の 10-60% アセトニトリルの 30 分の勾配を用いる Vydac C18 カラム(22×250 mm)上での逆相 HPLC によって、ペプチドを精製する。精製されたペプチドの同定および性質決定は、分析的逆相 HPLC および ESI 質量分析を用いて行う。ペプチド配列の例および定めた合成ペプチドの番号を、表 1 に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
2) HSP65 エピトープの選択
Wick および同僚による先駆的な研究(Wick et al、Immunol Today. 1995、16、27-33)によって、ヒトおよび実験的アテローム性動脈硬化における、HSP65/60 に対する抗体応答および細胞媒介性(cell-mediated)免疫反応性が明らかにされた。oxLDL とは対照的に、HSP65 による非経口の免疫化はアテローム性動脈硬化を悪化させ(Xu et al、Arterioscl Thromb. 1992、12、789-799)、HSP65-反応性の細胞の移植も、高コレステロール血症の動物モデルにおいて疾患を加速する (Shoenfeld et al、J Autoimmun. 2000、15、199-202)。近年の研究により、ヒト HSP60 および bovis HSP65 (Uray et al、Int Immunol. 2003、15、1229-1236)が病原性の原因であるエピトープを有し得、かつ、例えば関節炎(Ulmansky et al、J Immunol. 2002、168、6463-6469)およびアテローム性動脈硬化(Perschinka et al、Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2003、23、1060-1065)において疾患誘導に対する抵抗性を与えることが示唆されている。ヒト HSP60 および bovis HSP65 のエピトープは、その抗原性について試験されている。エピトープ選択は、β-ターン二次構造の高い可能性および疎水性の低い可能性を有するタンパク質セグメントに基づいていた(Uray et al、Int Immunol. 2003,15,1229-1236)。ペプチド配列の例および定義した合成されるペプチドの番号を、表 2 に示す。
【0127】
【表2】
【0128】
3) ワクチンコンストラクトの最初の結果
3-a) 組換えデンドロアスピン足場免疫原の発現
PDGF および/またはストレプトコッカス・ニューモニエ 、CMV、ApoB または M bovis hsp60 由来のペプチドがループ 2 および/または 3 の中に移植されたデンドロアスピン足場を含む多数の組換え免疫原(表 3 に示す)を作成した。該デンドロアスピン分子は、その上へペプチド配列を移植するのに有用な足場を提供する。それは、移植されたペプチド配列の発現および提示を可能にする3つの露出したループを有する(図 1 参照)。かかる組換えキメラデンドロアスピンコンストラクトは、標準的な方法によって、原核生物の発現系においてグルタチオン S-トランスフェラーゼ融合タンパク質として都合良く発現される。
【0129】
タンパク質の発現
組換えタンパク質の発現を、先に記載した通りに行った(Lu et al、2001; BJ)。簡潔には、500 ml の培養液(2YT 培地プラス終濃度 100 μg/ml のアンピシリン)に 1 ml の種培養を接種した。該培養を、37℃において振盪しながら(250 rpm)終夜増殖させた。1 リットルの新鮮な 2YT
amp を添加し、該培養を 37℃においてさらに 3 時間インキュベートした。IPTG を 0.1 mM の終濃度まで添加し、該培養を、Sorvall (GS-3) ローター中における 4℃での沈降(6000 rpm 15 分)の前に、30℃においてさらに 4 時間インキュベートした。ペレットを -20℃において保管した。
【0130】
タンパク質の精製
親和性精製: GST-組換えタンパク質を、グルタチオン-セファロース 4B カラムを用いるアフィニティークロマトグラフィーによって、遠心分離後に超音波処理した細胞の上清から精製した。グルタチオンセファロース 4B は、グルタチオン S-トランスフェラーゼの組換え誘導体または他のグルタチオン依存性タンパク質の迅速な一段階精製のために設計されている。細胞を、以下の阻害剤を有する PBS 中に溶解した: トリプシン阻害剤 (50 mg/ml)、ペプスタチン (10 mg/ml)、アプロチニン (10 ml ストック)、EDTA (0.5 M) および PMSF (EtOH 中における 100 mM)。超音波処理の後(氷上で 4 回超音波処理、30 ml 容量の細胞混合物に対し、各回 50 秒)、10 % の Triton-X 100 溶液を添加し、氷上に 10 分間置いた。Sorvall RC-5B 遠心機においてローター SS-34 を用い、16,000 x g で 30 分間遠心分離を行った。次いで上清を回収し、精製カラム上にロードした。該カラムを、PBS およびトリス-HCl(pH 8.0)バッファーで洗浄した。50 μM のグルタチオンを含有するバッファーを用いて、タンパク質を溶出した。タンパク質産物のピークレベルを回収し、プールし、4 ℃における 12 時間の第Xa因子による消化(1:300、w/w、第Xa因子:融合タンパク質)によって、突然変異体-ADAM を GST-融合タンパク質から遊離させた。産物を、逆相 HPLC によって精製した。
【0131】
HPLC 精製:
第Xa因子切断の後、画分を Vydac C18 逆相 HPLC 分析カラム(TP104)上にロードし、0.1 % TFA を含有する 0-26 % のアセトニトリルの勾配(毎分 1.78 %)およびその後の 0.1 % TFA 中の 26-36 % アセトニトリルの勾配(毎分 0.25 %)を用いて溶出した。活性な画分を機能アッセイによって同定し、均一性のために再度クロマトグラフに供した。精製されたタンパク質を、最初に質量分析によって確認した。
【0132】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0133】
3-b) 細胞遊走アッセイにおける、組換え免疫原の PDGF と競合する能力
細胞遊走阻害アッセイ:
孔径が 8 μm、インサートの直径が 6.5 mm の Transwell プレート(Corning Life Sciences)を用いて、細胞遊走阻害アッセイを行った。コンフルエントな細胞を、実験の前に 0.5 % BSA を有する無血清 DMEM 培地中で 24 時間維持した。プレートも、24 時間前に 100 μg/ml の Invitrogen の溶液 100 μl を用いてコートした。トリプシンを用いて細胞を回収し、細胞数を決定し、遠心し、1 x 10
6 細胞/ml の密度で再懸濁した。次いで、細胞の添加の前に、両方のチャンバーを 30 分間プレインキュベートした。100 μl の容量の細胞を上部チャンバーに置き、化学誘引物質 PDGF (A15 を伴うまたは伴わない)を下部チャンバーに添加した。37℃、5 % CO2 における 16 時間のインキュベーション期間の後、膜の上面からの細胞を除去し、下面からの遊走した細胞をメタノール中で固定し、Diff-Quik 溶液を用いて染色した。次いで、膜を顕微鏡スライド上に乗せ、5 つのランダムな視野において 40 x の倍率で計数した。
【0134】
結果:
図 2 は、20ng ml
-1 の PDGF 単独(100%)と比較した、遊走する細胞のパーセンテージとして表される細胞遊走阻害アッセイの結果を示す。したがって、低い値は、PDGF 受容体結合ドメインを提示する組換えタンパク質(10μM)による PDGF の効果の競合的阻害の成功を示す。効果的であることが知られている環状 PDGF ループ I ペプチド(TROM と称する)を、より高い濃度(200μM)で比較している。
【0135】
3-c) PDGF 様の増殖効果
細胞増殖アッセイ-MTT アッセイ:
黄色のテトラゾリウム MTT (3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド) は、代謝的に活性な細胞によって、部分的には脱水素酵素の作用によって還元されて、還元当量(reducing equivalent)、例えば NADH および NADPH を生成する。その結果得られる細胞内の紫色のホルマザンは可溶化することができ、分光光度的手段によって定量することができる。このプロトコールは、MTT アッセイキットのためのマニュアルではあるが、一般的な用途に用いることができる。MTT ストック溶液: フェノールレッドを含まない RPMI-1640 中における 5mg/ml の MTT (Promega)。この溶液は、0.2 mm のフィルターを通して濾過し、2-8℃において保管する。MTT 使用溶液: 該 5mg/ml ストック(フェノールレッドを含まない RPMI 中の MTT)の 1:10 希釈。1. 培養細胞を、フェノールレッドを含まない温かい RPMI-1640 で洗浄する。 2. MTT 使用溶液を調製する。 3. MTT 使用溶液をアッセイされるウェルに添加する、例えば 12-ウェルプレートの各ウェルに対し 1.0 ml。37℃において 30 分から 3 時間(この時間は細胞密度および細胞型に依存する)インキュベートする。 4. 付着した細胞を扱う場合には、インキュベーション期間の終わりに、培地を除去することができる。 5. 変換された色素を、1ml の酸性イソプロパノール(無水イソプロパノール中における 0.04 M HCl)を用いて可溶化する。ピペットで数回上下させて、変換された色素を完全に溶解させる。 6. 細胞を伴う該色素溶液を 1.5 ml のエッペンドルフチューブへ移し、13,000 rpm で 2 分間遠心する。 7. 上清を新しいエッペンドルフチューブへ移す。変換された色素の吸光度を、650nm のバックグラウンド減算を用いて、570nm の波長において測定する。測定には、分光光度計および使い捨てのプラスチックキュベットを用いる。
【0136】
結果:
図 3 は、cPDGF と比較した、5 つの免疫原コンストラクトの、PDGF に誘導される増殖に対する阻害効果を比較する。高い値は、最大の競合的阻害を示す。
【0137】
3-d) コンストラクトの免疫反応性
抗体および抗原の力価アッセイ:
本発明者らは、組換えタンパク質(抗原)の特性決定のために、抗体および抗原の ELISA に基づくアッセイを用いる。ELISA アッセイを行うため、親和性カラムの後に GST-タンパク質を透析してトリスおよび NaCl を除去した。GST-タンパク質は、高濃度の塩(NaCl)を含有するため、凍結乾燥することができない。ELISA アッセイは、以下の工程を含む: 1. 予め決定した最大濃度の抗原を、マイクロタイタープレートへ吸収させる。コーティングバッファー中において希釈し、ウェルあたり 100 μl を 4℃において終夜インキュベートする。 2. 抗原溶液を吸引し、ウェルあたり 100 μl のブロッキング溶液で 15 分間インキュベートすることによってプラスチック上の非結合部位をブロッキングする。 3. 結合していない抗原を洗い流し、洗浄バッファーを用いてタンパク質を3回ブロックする。100倍希釈の抗体をプレートに添加する。 4. 結合していない抗体を、洗浄バッファーを用いて3回洗い流す。 5. HRP 標識二次抗体を推奨されたまたは予め決定した希釈において添加する。ウェルあたり 100 μl を周囲温度(ambient temperature)において1時間インキュベートする。 6. 結合していない標識を、洗浄バッファーを用いて3回洗い流す。 7. 酵素および基質を添加する。ウェルあたり 100 μl を、周囲温度において色が十分に発生するまでインキュベートする(理想的にはおよそ 30 分)。 8. 洗浄は行わない。50 μl の適切な停止溶液を添加し、マイクロタイタープレートを読み取るよう設計された分光光度計において視覚的または定量的に評価する。
【0138】
結果:
図 4 A は、PDGF ループ I コンストラクト(表 3 に示すコンストラクト V2、V3、V4 および V6)の、抗 PDGF BB ポリクローナル抗体との飽和可能な(saturable)反応性を示す。PDGF ループ III コンストラクトである V1 は非反応性である。
【0139】
図 4B は、(肺炎レンサ球菌(Streptococca pneumoniae)ワクチンによって生成された)抗レンサ球菌ポリクローナル抗体を用いた同様のアッセイを示す。レンサ球菌の決定基を保有するコンストラクト V2 および V7 は反応性であり、V1 は陰性対照である。
【0140】
4) 多特異性ワクチンの生成
4-a) エピトープの選択
一連のエピトープを、アテローム性動脈硬化のタンパク質抗原(oxLDL および HSP)およびアテローム性動脈硬化の病原体(HCMV、Cpn およびポルフィロモナス・ジンジバリス(p. gingivalis))から得た。該エピトープの例を表 4 に示す。該エピトープを、上記セクション 1-b に記載した通りに調製した。
【0141】
【表4-1】
【表4-2】
【0142】
4-b) 多特異性ワクチンの調製
試験したエピトープの組み合わせの例を、表 5 に示す。
【0143】
【表5-1】
【表5-2】
【0144】
上記のエピトープの組み合わせを有するキャリアタンパク質を含む多数の組換え免疫原を、該エピトープの組み合わせをキャリアタンパク質の中へ組み込むことによって作成した。該エピトープの組み合わせは、N-末端または C-末端のいずれかに連結させるか、または(上記セクション 3-a、Lu et al.、Thromb Haemost. 2006、96、642-651 に記載される通りに)デンドロアスピン足場のループ 2 および/または 3 の中へ移植するか、または(ペプチドおよび小さな組換え分子については)通常は N-末端に位置している Cys 残基を介して Megathura crenulata のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)へ結合させた。ペプチドエピトープをコードする遺伝子コードを含有する各々の組換え免疫原の遺伝子を、フォワードおよびリバースプライマーの両方を用いて1ランまたは複数ランの PCR によって合成し、完全な遺伝子配列を作成した。GST 結合組換え分子を用いる場合、これらの分子をイオン交換カラム(DE52、陰イオン交換樹脂)によって精製し、pH 7.25 の 100 mM NaCl、50 mM トリス-HCl を用いて 4℃において溶出し、4℃において透析して塩を除去した。GST を有さない組換え分子は、上記セクション 3-a) に記載される通りに精製した。小さなペプチドエピトープの結合のために KLH を用いた。
【0145】
5) 多特異性ワクチンの活性
5-a) 動物モデルにおける免疫応答
組換え免疫原の、BALB/C マウスモデル、C57/BL6 マウスモデルおよび Apob
tm2Sgy Ldlr
tm1Her/J KO-マウスモデルにおいて免疫応答を生み出す能力。マウスを、反復性の複数部位免疫化ストラテジー(repetitive, multiple site immunization strategy)(RIMMS)を用いて免疫化した。10 頭の 6-8 週齢の BALB/c マウスの群に、それぞれ 5 回、フロイントアジュバントと混合された 4 μg の組換え免疫原を接種した。免疫化は、0、2、5、7 および 9 日目に、8 つの部位へ、皮下に行った。12 および 21 日目に、抗体応答を試験するために血液サンプルを回収する。組換え分子を最初に Balb/C または C57/BL6 マウスにおいて試験して免疫応答を観察し、その後、それらの免疫応答に基づいて、該分子を KO マウスにおいてさらに試験し、アテローム性動脈硬化に対するこれらのペプチドの効果を調査した。
【0146】
免疫化されたマウスおよび未処理のマウスの血清サンプルを、抗原でコートされた ELISA プレート上において 1:100(または200)の希釈における OD 値を用いて、IgG 抗体について試験した。陽性のカットオフ値は、未処理マウスの血清の平均 OD + 3xSD として算出した。対照抗原よりも高い OD を示す血清サンプルを陽性とみなし、他のものは、(450 nmにおける) OD 読み取りが≧1となる血清の最高希釈によって決定される。この点に関し、力価は、非免疫反応性 (< 200)、低免疫反応性 (200 ≦ 力価 < 800)、良好な免疫反応性 (800 ≦ 力価 < 3200) および非常に良好な免疫反応性 (力価 ≧ 3200)として評価できる。
【0147】
RIMMS の結果を、以下の表 6 に示す。
【0148】
【表6】
【0149】
5-b) ApoB および Hhsp60 二特異性ワクチンの活性
ApoB-100 を発現する LDL 受容体欠損マウスを、ApoB1(IEIGLEGKGFEPTLEALFGK、配列番号25)および hHSP60(AELKKQSKPVT、配列番号26)に由来する2つのペプチドの組み合わせを用いて免疫化した。二特異性組換え免疫原を用いる免疫化は、アテローム性動脈硬化の病変の進行からの相乗的な保護を提供することが示された。
【0150】
5-c) 免疫応答
Apob
tm2SgyLdlr
tm1Her/J マウスを、キャリアタンパク質としてのキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)と結合した ApoB および hHSP エピトープの組み合わせを用いて免疫化した。該ペプチドは、組み合わせて二特異性免疫原として、または完全/不完全フロイントアジュバントと共に単一の形態において、与えた。マウスに高脂肪の食餌を 7 週間与え、その後屠殺した。ELISA によって、ペプチド-特異的抗体応答を血清中において検出した。以下の表 7 に示す通り、両方のペプチドの組み合わせを用いる免疫化によって誘導された抗体レベルは、ApoB または hHSP ペプチドのいずれかを用いる免疫化によって得られた値と同様の OD 値を示した。
【0151】
【表7-1】
【表7-2】
【0152】
5-d) 抗アテローム性動脈硬化効果
図 5A-D に示される通り、大動脈の組織を組織学的に解析した。結果: 組織学的解析により、大動脈洞におけるアテローム性動脈硬化の病変は、対照マウス(図 5A)におけるよりも、2つのペプチドの組み合わせを用いて免疫化したマウス(図 5D)において、サイズが 41.34% 小さいことが明らかとなった。病変は、ApoB1 ペプチド単独での免疫化の後では対照マウスよりも 14.66% 小さく(図 5B)、hHSP60 ペプチド単独での免疫化の後では対照マウスよりも 21.15% 小さかった(図 5C)。
【0153】
これらの結果は、二特異性免疫原における ApoB1 および hHSP ペプチド抗原の組み合わせが相乗効果を生み出し、このマウスモデルにおいてアテローム性動脈硬化の病変を減少させることができることを実証する。
【0154】
5-e) マクロファージのレベル
Apob
tm2SgyLdlr
tm1Her/J マウスにおけるアテローム性動脈硬化の病変へのマクロファージの浸潤を、抗 CD68 を用いる染色によって定量した。組織サンプルの切片(厚さ 5 μm)をヘマトキシリン・エオシン(H.E.)を用いて染色し、光学顕微鏡で観察した。マクロファージのレベルを、アジュバントのみを用いて免疫化したマウス(対照)、ApoB のみを用いて免疫化したマウス、hHSP60 のみを用いて免疫化したマウスおよび二特異性 ApoB1 + hHSP60 免疫原を用いて免疫化したマウスから得たサンプルにおいて比較した。
【0155】
各マウス群からのアテローム性動脈硬化の病変において見出されたマクロファージの相対数を、図 6 に示す。組織免疫学的解析の結果は、アテローム性動脈硬化の病変内において見出されるマクロファージ(CD68+ 細胞)の数が、HSP60 または apoB1 のいずれか単独で免疫化したマウスにおいて見られるマクロファージの数よりも HSP60 および apoB1 の二特異性免疫原を用いて免疫化したマウスにおいて少ないことを実証している。これにより、二特異性免疫原を用いて免疫化した動物は、HSP60 または apoB1 のいずれか単独で免疫化したマウスよりもアテローム性動脈硬化の病変の形成が少ないことが示唆された。
【0156】
5-f) ApoB1、Hhsp60、cpn 1 および cpn 2 の四重特異性(tetra-specific)ワクチンの活性
BALB/c マウス(雌、6 週齢)を、デンドロアスピン足場中に ApoB1 ペプチド1、hHSP60、cpn 1 および cpn 2 を含む四重特異性 GST 結合免疫原を用いて免疫化した。
【0157】
該四重特異性免疫原をコードする核酸コンストラクトを PCR によって合成し、PGEX-3X ベクター中にクローニングした。該タンパク質を GST 融合タンパク質として大腸菌において発現させ、親和性およびイオン交換カラムによって精製した。該 GST-四重特異性免疫原を、フロイントアジュバントと組み合わせて、BALB/C マウスの免疫化のために用いた。ペプチド特異的抗体のレベルを ELISA によって明らかにし、その結果を以下の表 8 に示した。
【0158】
【表8】
【0159】
免疫化した全てのマウスにおいて、高レベルの ApoB 特異的および Cpn 特異的抗体応答が検出されたが、一方、hHSP60 特異的抗体応答はいくぶん低かった。これらの知見は、該四重特異性免疫原が複数の抗原活性および特異性を有し、アテローム性動脈硬化に対する多価ワクチンの開発のために使用できることを示している。
【0160】
5-g) CETP + ポルフィロモナス・ジンジバリス(p.gingivalis) 二特異性ワクチンの活性
BALB/c マウス(雌、6 週齢)を、デンドロアスピン足場中に CETP ペプチド + ポルフィロモナス・ジンジバリス(p.gingivalis)からの選択されたエピトープを含む二特異性 GST 結合組換え免疫原を用いて免疫化した。
【0161】
該二特異性免疫原をコードする核酸コンストラクトを PCR によって合成し、PGEX-3X ベクター中へクローニングした。該タンパク質を GST 融合タンパク質として大腸菌において発現させ、親和性およびイオン交換カラムによって精製した。該 GST-二特異性免疫原を、フロイントアジュバントと組み合わせて、BALB/C マウスの免疫化のために用いた。
【0162】
BALB/c マウスを、4 μg の該二特異性免疫原を用いて各々 5 回、免疫化した。免疫化は、0、2、5、7 および 9 日目に、8 つの部位へ、皮下に行った。7 頭のマウスの群に、フロイントアジュバントと混合した該タンパク質を与えた。12 および 21 日目に、それぞれ、各々の免疫化群からの2頭のマウスを血液回収のために安楽死させ、その脾臓をホモジナイズし、さらなる試験のために凍結保存した。
【0163】
表は、異なる ELISA 抗原に対して測定した個々のマウスのサンプルの OD 値を示す。ペプチド特異的抗体のレベルを ELISA によって明らかにし、その結果を以下の表 9 に示した。OD 0,100 のカットオフ値を超える OD 値を、太字で示す。
【0164】
【表9】
【0165】
これらの結果は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)に対する二特異性免疫原が、相同な B-細胞タイプ1 の hHSP60 および B-細胞タイプII の hHSP60 のポリペプチドに対する免疫応答をも生み出すことができることを示す。
【0166】
6) ワクチンの開発
6-a) アプローチの概要
ワクチンの開発の広い特徴は以下の通りである。抗原を用いてマウスを免疫化し、生じた抗体を親和性カラムによって精製する。結合に関与する可変領域内の配列を、ハイブリドーマから単離された mRNA または単離された抗体の可変領域の mRNA をシークエンスすることによって同定する。これらの配列を、組換え抗体発現系へ組み込む。該抗体のアテローム性動脈硬化を阻止する能力を、動物モデルにおいて試験する。一揃えの HSP60 ペプチド(直鎖状または環状)を用いて BalbC マウスを免疫化する。最も高い阻害力価を生み出すペプチドを、その後マウスを免疫化するために用いる。必要であれば、組換え抗体ライブラリーをこの段階で用いる。上記の通り、抗体の親和性に関与する主要な配列を、DNA ワクチンの開発において用いる。上記の両方の組み合わせから、二特異性ワクチンを開発する。
【0167】
6-b-i) Fab / scFv の生産
二特異性分子を生成するために用いられる単鎖抗体(single chain variable fragment)(scFv) および Fab 組換え抗体の生産のために、融合が用いられる。ScFvs は、そのサイズの小ささに起因する、モノクローナル抗体を超えるいくつかの利点、例えば少ない腎臓取り込み、迅速な血液クリアランスおよびヒト免疫系による負の応答の低さを提供する。
【0168】
6-b-ii) モノクローナル細胞株からの scFv の構築
これは、高い親和性および選択性を有する抗体を発現するハイブリドーマからの mRNA の単離を含む。mRNA の単離は、単一のチューブにおいて、ポリアデニル化された RNA を、組織ライセートから直接、オリゴ(dT)25 結合磁性粒子へハイブリダイズさせることによって行う。MPG
(登録商標) Direct mRNA Purification Kit (MDRK1010) または MPG
(登録商標) Guanidine Direct mRNA Purification Kit (MGRK1010) のいずれかを、製造者の説明書に従って使用する。次いで、単離された mRNA を、分光光度法、ゲル電気泳動および完全溶液相(ultimately solution phase)RT-PCR によって、収量、純度および完全性(integrity)について解析する。モノクローナルからの mRNA をクローニングして、可変重鎖(Vh)および軽鎖(Vl)がその後そこから発現ベクターへとサブクローン化される cDNA ベクターを作成する。
【0169】
6-b-iii) 科学界(scientific community)によって、抗体ライブラリーからの scFv の構築が可能になった。一定のライブラリーが科学界によって利用可能になっており、これらを上記の手順に従って使用する。ライブラリーをスクリーニングし、特異性の高いモノクローナル抗体の同定の後、該抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を Vl および Vh 断片の源として用いる。上記の標準的方法を用いてハイブリドーマ mRNA を細胞から単離し、ランダムオリゴヌクレオチドプライマーを用いる逆転写(RT) PCR によって cDNA コピーを調製する。
【0170】
6-b-iv) 逆転写 PCR (RT-PCR) およびインビトロ転写
供給者の説明書に従い、Superscript 逆転写酵素(GIBCO/BRL)を用いて逆転写を行う。5%(vol/vol)のジメチルスルホキシドの存在下で、Taq DNA ポリメラーゼ(GIBCO/BRL)を用いて PCR を行う (94℃において 4 分、次いで、94℃で30秒、37℃で30秒および 72℃で2分の 3 サイクル、次いで、60℃において同様のサイクルを 10 回、72℃における伸長が1サイクル毎に 15 秒ずつ延長される、37℃の代わりに 60℃における同様のサイクルを 20 回、および 72℃における 10 分、で終了する)。
【0171】
6-b-v) インビトロの共役した(coupled)転写-翻訳
5巡目のリボソームディスプレイの後、PCR 産物を適当なベクター(例えば pTFT74)へクローニングした。S-30 大腸菌系におけるインビトロの共役した転写-翻訳を、50 μg/ml のプラスミド DNA および以下の改変を伴う上記と同様の条件を用いて行う。共役した転写-翻訳は 37℃において 30 分間行い、反応混合物には 2000 単位/ml の T7 RNA ポリメラーゼおよび 0.5 mM の UTP および TTP を補充する。混合物は、[
35S]メチオニンを 50 αCi/ml (1 αCi = 37 kBq) で含み、メチオニンを除く各アミノ酸を 0.35 mM で含んだ。翻訳の後、反応混合物を PBS を用いて 4 倍に希釈し、マイクロタイターウェル中において、固定化された抗原ペプチドと結合させる。穏やかな振盪を伴う 60 分のインキュベーションの後、0.1% Tween 20 を含有する PBS を用いてマイクロタイターウェルを5回洗浄し、結合した放射性タンパク質を 0.1 M のトリエチルアミンを用いて溶出させる。溶出したタンパク質(抗体)を、シンチレーションカウンターにおいて定量する。
【0172】
6-b-vi) 抗体の発現
ラージスケールのタンパク質発現のために、選択された抗体配列を pGEX-3X または pET32b ベクター中にクローニングし、大腸菌を形質転換する。標準的な方法に従って、GST 融合タンパク質の発現および精製を行う。抗体を、真核細胞発現ベクター中にもクローニングし、真核細胞、例えば酵母において発現させる。
【0173】
6-c-i) ファージディスプレイによる CDR ライブラリーの作成
ファージディスプレイは、ヒトの抗体タンパク質をその表面上に‘提示’するよう、ファージを作る方法である。ヒトの抗体遺伝子ライブラリーからの遺伝子を、ファージの集団へ挿入する。各々のファージは異なる抗体の遺伝子を保有し、それにより、異なる抗体をその表面上に提示する。これらの遺伝子は回収することができ、抗体治療薬の前向きの開発および潜在的な製造における使用のために利用することができる。
【0174】
6-c-ii) リボソームディスプレイシステムによるエピトープの生産
“リボソームディスプレイ”により、無細胞系において、いかなる細胞、ベクター、ファージまたは形質転換をも用いずに、機能的全タンパク質をその結合機能について濃縮することができる新規な方法が開発された。この技術は、mRNA およびタンパク質産物の両方がリボソームから離れないインビトロの翻訳に基づいている。この技術は、リボソームディスプレイライブラリーの構築、抗体ライブラリーの一本鎖断片 scFv のインビトロの翻訳、リボソーム複合体の親和性による選択および RNA の単離、抗体の一本鎖断片の ELISA、修正された(corrected)突然変異体の存在についてのライブラリーの PCR 解析、タンパク質の発現、抗原のアフィニティークロマトグラフィー、ウエスタンブロット、競合 BIAcore による溶液中における抗原解離定数の決定等を含む。
【0175】
6-d-i) DNA ワクチン接種
選択されたエピトープまたは適切な抗体(二官能性抗体を含む)を発現させるために、DNA ワクチン接種を用いる。実験的には、これは哺乳類細胞トランスフェクションキットプロトコール(www.SpecialtyMedia.com)を用いて行う。ヒトの HSP65 またはマイコバクテリアの HSP65 および PDGF をコードする pcDNA (Invitrogen) ベクターを構築し、抗原の発現および DNA ワクチン接種のために用いる。トランスフェクションを、DNA を CaCl2 およびリン酸緩衝液と直接混合して微細な沈殿を形成させ、それを培養細胞上に分散させることを含むリン酸カルシウム媒介法によって行う。該リン酸カルシウムトランスフェクションのプロトコールは、様々な細胞型の一過性のおよび安定なトランスフェクションの両方のために、日常的に用いられる。
【0176】
6-d-ii) DNA ワクチン接種
裸の(naked) DNA の遺伝子銃または筋肉内(i.m.)注入プロトコールは、筋肉内の免疫化のために用いられる。
【0177】
7) 抗体の試験
7-a) ELISA: 各々の抗体の特性の追跡および定量を、標準的な ELISA の技法を用いて、各々の抗原に対してチェックする。
【0178】
7-b) 競合による、溶液中における抗原解離定数の決定
15,000 共鳴単位(resonance unit)の BSA-抗原複合体または対照としての BSA のみによってコートされたセンサーチップ CM5 (Pharmacia) を用いて、質量輸送(mass-transport)下において BIAcore 解析を行う。各々の結合-再生サイクルを、HBST(20 mM Hepes、pH 7.2/150 mM NaCl/0.005% Tween 20)を用い、25 μl/分の一定の流速を用いて行う。様々な量の抗原を含有する、HBST 中における 250 μl の抗体のサンプルを、該システムのサンプルループを用いて注入し、その後、HBST 中の 6 M の塩化グアニジウムを 20 μl 注入することによって表面を再生する。注入前における、4℃での、少なくとも 1 時間の、一連の濃度における抗体と抗原ペプチドとの共インキュベーションによって阻害試験を行う。データを、BIAEVALUATION ソフトウェア (Pharmacia) および KALEIDAGRAPH (Synergy Software、Reading、PA) を用いて評価する。直線状センソグラム(sensogram)の結合相の傾きを、対応する全抗原濃度に対してプロットする。
【0179】
7-c) 抗体の、アテローム性動脈硬化の病変形成を阻害する能力の決定
通常飼料における 10 週齢の雄の LDL 受容体(LDLR)欠損マウスを、適切な量の熱ショックタンパク質-PDGFペプチド複合体(前のセクションに記載した免疫原性実験から決定される)を用いて免疫化する。これらの動物の応答を、ペプチド単独、HSP 単独または緩衝液単独で免疫化した動物と比較する。2回目の免疫化を、1 週間後に行う。その後、動物を2つの群に分け、一方に通常の飼料を与え、他方に高コレステロールの食餌(1.25% コレステロール、0% コール酸塩(cholate); Research Diets)を与える。14 週間後に、マウスを殺し、血液を採取し、大動脈を除去し、0.9% NaCl を用いて灌流する。大動脈を 3 つの部分に解剖する - 基部および弓部はクライオスタット切片作成のために Tissue-Tek
(登録商標) OCT Compound 中において急速凍結させ、腹部は 2% パラホルムアルデヒド中で固定する。定量化をコンピューター画像解析(Zeiss software)によって行う標準化された方法に従い、大動脈基部および胸腹部大動脈においてアテローム性動脈硬化の程度を評価する。これは、大動脈基部における互いに 50 μm 離れた 6 つの切片中の病変の平均領域の算出; およびこの脂質沈着の領域(スーダン IV によって染色される)を全弁表面で除算することを含む。スーダン IV を用いた標本において病変領域を染色し、腹側正中線に沿った縦方向の切開によって胸腹部大動脈を試験する。スーダン IV で染色された領域を全胸腹部表面で除算することによって、脂質沈着のパーセンテージを算出する。
【0180】
複数の群を含むデータセットを ANOVA によって解析する。分散の均一性についての F 検定を行った後、スチューデントの両側 t 検定によって 2 群間の平均値を比較する。データがパラメトリック t 検定の使用のための要件を満たさない場合には、マンホイットニー(Mann-Whitney)の U 検定を用いる。差異は、P<0.05 の値において統計的に有意であるとみなされる。
【0181】
8) 泡沫細胞を標的とすることができる二官能性ワクチンを生成するために用いられる、泡沫細胞によって生産される特定の HSP-ペプチド複合体の同定
8-a) インビトロの泡沫細胞モデル
これは、脂質がロードされた、ホルボールエステルによって分化した THP-1 マクロファージ (0.1μM/24h) および J774 マウスマクロファージ細胞株を用いる Kellner-Weibel らの方法に基づいている(Kellner-Weibel et al、Arterioscler Thromb Vasc Biol 1998、18、423-431)。ヒト LDL を遠心分離によって血漿から分画し、Basu らの方法 (Basu et al、Proc Natl Acad Sci U S A 1976、73、3178-3182) によってアセチル化する。いくつかの実験において、単核白血球を調製するために、採取したばかりの(freshly drawn)血液から密度勾配を用いて単球画分を単離し、そこから磁性ビーズを用いるリンパ球のネガティブ除去(negative depletion)によって単球を分離する。細胞を、細胞における遊離コレステロールの迅速な蓄積をもたらすアシル補酵素 A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤(ACAT 阻害剤、58035)の存在下で培養する。
【0182】
8-b) 泡沫細胞からの精製された HSP の調製
20mM トリス-HCl (pH 7.9)、0.5 M NaCl、5mM イミダゾール、0.1% ノニデット(Nonidet) P-40 およびプロテアーゼ阻害剤を含有するバッファー中において超音波処理によって細胞を溶解し(100 ml の溶解バッファーあたり 10
9 細胞)、その後氷上で 0 分インキュベートする。ライセートを 10000xg で 1 時間遠心し、この工程からの上清を 100000g における 2 時間のさらなる遠心分離(Beckman Ti75 ローター)に供する。その後、個々の HSP の精製を上記の通りに行う (精製された熱ショックタンパク質)。
【0183】
8-c) 熱ショックタンパク質と結合する泡沫細胞特異的ペプチドの同定
精製の間、精製された HSP を洗浄して、ゆるく結合したあらゆるペプチドを除去する。次いで、結合したペプチドを、トリフルオロ酢酸を用いてタンパク質から溶離させ、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)質量分析を用いて解析する。(Ciphergen Biomarker System)。利用できるチップのタイプ(正または負の荷電、疎水性および金属キレート化を介する結合)の各々において、ペプチド画分を解析する。泡沫細胞の表現型において存在しない細胞と比較して増強したレベルを示すペプチドを、マトリックス支援レーザーによる一次構造の完全な同定のために選択する。切除された腫瘍組織から HSP/抗原性ペプチドを単離し、免疫化(自己免疫化)のために用いることができるため、これは個々の病変に適用できるアプローチである。
【0184】
8-d) アテローム性動脈硬化に対するワクチンとしての HSP-泡沫細胞特異的ペプチド複合体の調製
セクション中において PDGF ペプチドについて説明した手順に従い、HSP を、泡沫細胞に特異的であると同定されたペプチドの各々と複合体化する(酵素結合免疫吸着スポットアッセイ)。泡沫細胞の形成を阻止するかまたは確立された脂肪線条を逆行させる、泡沫細胞に対するワクチンとして作用するこれらの複合体の能力についても、上記と同様の方法(熱ショックタンパク質-PDGF 複合体の免疫原性の決定)によって決定する。
【0185】
8-e) HSP と PDGF または泡沫細胞の中和に特異的なペプチド抗原とを組み込むキメラ融合遺伝子に基づく DNA ワクチンの生産
DNA ワクチンの臨床の場への移行は、その限られた効力によって阻まれてきた。これは、プラスミド DNA の筋肉内または皮内注入の後、ミオサイトおよびケラチノサイトが優性にトランスフェクトされるためである。これらの細胞は、強い一次免疫応答を生み出す能力を欠いている。この欠点を克服するために提案された1つの方法は、骨髄由来の抗原提示細胞、特に樹状細胞を標的とすることである (Hauser et al、Gene Ther 2004、11、924-932; Liao et al、Mol Ther 2004; 9:757-64)。これは、抗原と HSP とのキメラ融合遺伝子を調製することによって可能であることが最近示された。このアプローチによって、強い T 細胞および B 細胞応答を生み出すことが可能であった。
【0186】
あるいは、その構造中に1以上の PDGF または泡沫細胞抗原エピトープを保有する特定の抗 Hsp 抗体をコードする、いわゆるトロイ体(troybody)コンストラクトを用い得る(Lauvrak et al、Biochem Soc Trans 2002、30: 500-506)。
【0187】
9) 経口ワクチン
抗原提示細胞(APC)、例えばマクロファージからのミクロソームは、その中でプロセスされた抗原 ペプチドが MHC と複合体化し、APC の表面上における最終的な提示のための他の因子と相互作用する細胞内コンパートメントである、細胞を含まない小胞体(ER)の膜小胞からなる。表面上に現れると、それらは T 細胞と相互作用し、該 T 細胞を刺激することができる。該技術の特に有用な点は、ER がインビトロにおいて既知の‘保護性’ペプチドを効率的に充填し、その結果、APC を模倣する、高レベルの、膜中に提示された正しく組立てられた MHC-ペプチド複合体を有するミクロソームをもたらすことである。ミクロソームは、レシピエントの中に注入することができ、そこにおいて直接的に T 細胞と相互作用し、該 T 細胞を刺激する。
【0188】
膜に結合した MHC-ペプチド複合体が、標準的な調製物における場合のように管腔側に向いているのではなく、ミクロソームの外表面上に提示される、反転または‘裏返しの’ミクロソームを生成することは特に有用である。かかる反転ミクロソームを生産するためのミクロソーム調製物の反復する凍結融解処理の使用は、当該技術分野において周知であり、以下において簡潔に要約される。
【0189】
9-a) バフィーコート(buffy coat)からの PBMC の精製
末梢血単核細胞(PBMC)を、健康な血液ドナーの新鮮なバフィーコートから、フィコール(Ficoll)密度遠心分離(Ficoll-Paque、Pharmacia、Uppsala、Sweden)によって調製する。バフィーコートを 0.9% NaCl において 1:2 に希釈し、35 ml を 15 ml のフィコールパック(Ficoll Paque)上に層状にし、400 g において 25 分間遠心した。細胞を、RPMI 1640 (Gibco、Grand Island、NY) 中において2回洗浄した。いくつかの実験のために、37℃における 2 時間のインキュベーションによって PBMC から接着性の細胞を枯渇させた。
【0190】
9-b) 樹状細胞の精製
樹状細胞(DC)を調製するため、PBMC を大きな細胞培養フラスコ中に移し、50 ml の RPMI 培地/3%/ヒト血清中において、加湿された細胞培養インキュベーター中で 37℃において 1 時間インキュベートする。1 時間後、懸濁状態の細胞をリンパ球画分として回収する一方、接着画分には単球が濃縮される。
【0191】
単球の DC への分化を達成するために、抗生物質を有し、800IU/ml の GM-CSF および 1000IU/ml の IL-4 が補充された新鮮な RPMI 培地/3%ヒト血清を単球へ添加し、3 日後に、培地を 1600IU/ml の GM-CSF および 1000IU/ml の IL-4 を含有する新鮮な培地に交換する。
【0192】
6 日目において、それぞれ抗原提示および DC の成熟を達成するために、抗原(ペプチドまたはタンパク質)および 10ng/ml の TNF-α の両方を添加する。9 日目において、成熟し、ロードされた(loaded)DC をその後の T 細胞刺激反応のために用いる。
【0193】
9-c) T 細胞の調製
抗-CD4-MACS
(登録商標) 磁性ビーズカラムによって、リンパ球集団を CD4
+ 細胞について濃縮する。MACS MicroBeads は、直径およそ 50 ナノメートルの超常磁性の粒子である。それは生分解性のマトリックスで構成されており、そのため、分離工程の後にそれを細胞から除去する必要がない。精製された CD4
+ T 細胞を、20-50 IU/ml の組換えヒト IL-2 と共に培養状態に維持するか、またはさらなる使用の時まで凍結させる。成熟し、ロードされた DC を、T:DC が 10:1 の割合における自己 CD4
+ T 細胞との共培養の前に、マイトマイシン C と共にインキュベートし、24 時間インキュベートする - その 4 日後、応答を媒介した細胞を、細胞内染色または Elispot によって測定される IFN-γ(Th1) および IL-4(Th2)についてのサイトカインプロファイル解析によって測定する。T 細胞の増殖を、CFSE 標識、BrdU 処理またはチミジン取り込みアッセイによって測定する。
【0194】
9-d) 免疫原性の試験
DC 培養の 9 日目において、ロードされた DC 群(T 細胞とのインキュベーションの前に 20ug/ml のマイトマイシン C と共にインキュベートされた DC)を、ロードされた生きた DC としての使用、またはロードされた DC の超音波処理物(ミクロソームおよび原形質膜)としての使用のために、2 つのさらなる群へ分ける。
【0195】
以下の DC の群を、96 ウェルプレートの3つ組ウェルにおいて T 細胞と共にインキュベートする:
1. ロードされていない成熟 DC:T 細胞
2. ロードされた成熟 DC:T 細胞
3. ロードされていない DC の超音波処理物:T 細胞
4. ロードされた DC の超音波処理物: T 細胞
5. 陰性対照としての T 細胞
6. 陽性対照としての、PHA と共にインキュベートされた T 細胞
7. PBS
【0196】
1 x 10
5 のリンパ球を、以下の濃度の DC と共に; 1 x 10
4、5 x 10
3 および 5 x 10
3、および以下の濃度の超音波処理物と共に共培養する; 1 ul の OD 60、2.5 ul の OD 60、および 4 ul の OD 60。24 - 48 時間のインキュベーション共培養の後、IL-2(T 細胞活性化の尺度)、IFN-γ(Th1 応答) および IL-4(Th2 応答)についてのサイトカイン ELISA 測定のために、上清を回収する。
【0197】
T 細胞の増殖を測定するため、DC および超音波処理物とのインキュベーションの前に、リンパ球を CFSE (Cell Trace CFSE kit、Molecular Probes) を用いて標識する。陰性対照として、リンパ球を植物性凝集素(phytohaemoglutinin)(PHA)と共にインキュベートする。DC または超音波処理物との 3 - 5 日の培養の後、細胞を FACS 解析に供試する。
【0198】
9-e) DC からの超音波処理物の精製
超音波処理物の調製のために、以下の手順を用いる。
1. H
2O プラス PMSF(1mM)中に、細胞(2 x 10
8/ml)を再懸濁する
2. 微細な Dounce 中において 20 から 40 ストロークの間、ホモジナイズする
STKMM バッファー(250 mM のスクロース、pH 7.5 の 50 mM のトリエタノールアミン=HCl、50 mM の KAc、5 mM の MgAc
2、0.1 % β-メルカプトエタノール。直前に終濃度 10 μg/ml まで PMSF を添加する)を添加し(10
8 細胞/ml)、ウェルをミキシングする
4. JK-18 チューブ中において、4℃において 75000 rpm (10000 g) で 10 分間回転させて、核画分を除去する
5. 上清を新しいチューブへ回収し、超音波処理し、4℃において 100000 g で 60 分間回転させる
6. ペレット(ER、原形質膜を含む)を、STKMM バッファーを用いて注意深く洗浄する
RM バッファー(pH 7.2 の 50 mM の HEPES、250 mM のスクロース、50 mM の酢酸カリウム、2 mM の酢酸マグネシウム)中においてペレットをホモジナイズし、再懸濁させる(200ul/10
8 細胞)
8. 280nm において OD をチェックし、OD 60 の終濃度を作る
9. 分注されたチューブを、液体窒素中で急速凍結させる
10. 超音波処理物を、液体窒素中または -80℃において保存する
【0199】
9-f) ミクロソームの精製
ミクロソーム画分は、細胞が破壊される際に小胞体から形成される、直径 20-200nm の不均一な小胞のセットを含む。該小胞は分画遠心によって単離され、3つの構造的特徴により構成される: 粗面小胞、滑面小胞およびリボソーム。多くの酵素活性が、ミクロソーム画分と関連する。ミクロソームは、操作上、低速の遠心分離によって核およびミトコンドリア画分が除去された後に、超遠心分離によって組織ホモジネートから得られる粒子状の画分として定義される。電子顕微鏡により、ミクロソームは、主として小胞と呼ばれる閉じた嚢状の膜によって構成されることが示されている。ほとんどの小胞は、粗面および滑面小胞体(ER)に由来する。ゴルジ体、ペルオキシソーム、エンドソーム、トランスゴルジ網(trans Golgi network)および他の中間コンパートメント(intermediate compartment)に由来する膜小胞は、ミクロソームのマイナーな構成成分を含む。肝臓のミクロソームは、粗面および滑面 ER 小胞をおよそ 2:1 の比で含有し、かつ、タンパク質分泌経路の構成成分に加えて、脂質/リポタンパク質の生合成および薬物代謝に関与する多数のタンパク質を含有する。該 ER は、代謝的に活性な細胞において圧倒的に豊富に存在する膜である。湿った組織1グラムあたり約 2-3 mg のミクロソームタンパク質を、肝臓から得ることができる。このように、ミクロソームは、酵素の構造、タンパク質-タンパク質および脂質-タンパク質の相互作用ならびに膜結合酵素の機能的特性の間の関係を研究するために理想的な調製物である。最も豊富なミクロソームタンパク質の多くが広く研究されてきたが、さらに多くのタンパク質が未だ単離および特徴付けされていないままである。
【0200】
方法:
1. 全ての工程を氷上で行う
2. 細胞を、30 ml の、氷冷の pH 7.5 の 250 mM のリン酸緩衝液中においてインキュベートする
核(ミクロソームにゲノム DNA を混入させる)を溶解させることなく、ホモジナイザーを用いて細胞をホモジナイズする。顕微鏡下で、核が無傷であることを確認する。
4. 15 ml の、氷冷の pH 7.5 の 250 mM のリン酸緩衝液を添加する
7. SS34 ローター中において、4℃において 11,000 rpm (14,500 X g)で 15 分間、遠心する
8. 上清を回収する
再度、SS34 ローター中において、4℃において 11,000 rpm (14,500 X g)で 15 分間遠心する
10. ポリカーボネートの壁の厚いチューブまたは 70 Ti ローター中に上清を回収する
11. 70 Ti ローター中において、4℃において 33,000 rpm (105,000 X g)で 90 分間、遠心する。上清を除去する
12. ペレットを、1 ml の氷冷の 250 mM リン酸緩衝液/20% グリセロール中に再懸濁する
13. ガラスの Dounce を用いてホモジナイズする。
14. 分注し、液体窒素中または -80℃において保存する
【0201】
9-h) 反転ミクロソームの生成
研究のために組織を選択した後、ホモジナイズバッファーの組成物、ホモジナイズの方法、ならびに低速遠心分離工程の時間および強さが、ミクロソームの調製における主要な変数である。実験処理あたりおよそ 10 g の肝臓を、室温のホモジナイゼーションバッファー(0.125 M の塩化カリウムおよび 1.0 mM の EDTA を含む、pH 7.4 の 0.1 M のリン酸カリウム緩衝液)中において解凍した。25 ml の冷却したホモジナイゼーションバッファー(バッファーの実験においては 0.25 M のスクロースを添加または非添加)へ移した後、ハサミを用いて肝臓を完全に細かく刻み、テフロンガラス(Teflon-glass)のホモジナイザーを用いて 10 ストローク(ストローク実験においては 6、8、または 10 ストローク)によってホモジナイズした(870 rpm)。ガラスチューブの底にある物質に対してより大きな圧力および時間が費やされる最初の2ストロークを除き、通過の間およそ 15 秒続くストロークは、等しくかつ一定であった。全てのホモジナイゼーションの間、チューブを氷および水の小さなバケツ中に沈めた。ホモジネートを、サンプル重の 4 倍容量(およそ 40 ml)まで希釈した。次いで、サンプルを、Sorvall SA-600 ローターを備える Sorvall RC-5B 中において 12,000g(力の実験においては 9,000、10,500、または 12,000g)で 20 分間遠心した (Sorvall、Newton、CT)。最初の遠心分離からの上清を除去し、ミトコンドリアのペレットを 25 ml 中に再懸濁し、遠心分離を繰り返した。上清を合わせ、Sorvall T-1270 ローターを備える Sorvall Ultra Pro 80 中において 138,000g で 60 分間遠心した。上部の脂質層を除去し、サイトゾルの上清を回収した。ミクロソームのペレットを、3回のホモジナイゼーションストロークによって 0.125 M の KCl、0.1 M のトリス(pH 7.4)中に再懸濁させ、138,000g における 60 分間の遠心分離を繰り返した。ミクロソームのペレットを、6回のストロークによってインキュベーションバッファー中に再懸濁させ、最終容量を 26 ml とした。サンプルを -70℃において保存した。
【0202】
9-i) 必要な試薬
PBMC を精製するためのヒトのバフィーコート(buffy Coat)血液およびフィコール(Ficoll)
FACS 解析用の、CD86、HLA-DR、CD11c および CD3 のための、ヒト PE または FITC 複合体。
T 細胞によって分泌されたサイトカイン、IFN-γ および IL-4 を測定するための細胞内染色キット
MACS LS カラム、MACS 分離ユニット、MACS マルチスタンドおよび CD4 T 細胞単離ビーズを含む MACS 磁性細胞単離キット
タンパク質またはペプチド抗原に応答した T 細胞の増殖を測定するための CFSE キット
T 細胞の増殖についての陽性対照として用いる、マイトマイシン C および組換えヒト IL-2、ならびに PMA/イオノマイシン。
【0203】
9-j) 単球から DC への分化
単球の DC への分化は、外来性の IL-4 および GMCSF を用いて 7 日間、インビトロにおいて行う。得られる細胞集団を、細胞表面分子である CD11c、CD123、HLA-DR についての多色染色によって特性決定する。一般的に、培養状態の細胞の 90% が DC マーカーに関して陽性である一方、5% がリンパ球マーカーである CD3 および CD5 に関して陽性である。
【0204】
BCG (カルメット・ゲラン桿菌抗原) および TT (破傷風トキソイド)を用いて DC 調製物をパルス(pulse)し、細胞表面マーカーの活性化および分泌されるサイトカインおよび分泌の動態を決定する。
【0205】
活性化のマーカーとしての DC および HLA-DR および CD40 を同定するため、CD11c および CD123 についての細胞表面多色染色によって DC の活性化を決定する。一般的に、抗原を用いてパルスされた DC の約 75% が、活性化された表現型、即ち MHC クラスII (HLA-DR) および共刺激性(co-stimulatory)分子である CD40 の高発現を示す。
【0206】
活性化された DC によって産生される炎症性サイトカインを、サイトカインアレイによってアッセイする。24時間の培養において、大量(robust amount)の IL-6、中程度の量の TNF-α および少ない量の IL-10 が検出された。IL-12 は検出されず、タンパク質抗原について予測される Th2 経路へ向けた極性化効果が示唆される。抗原刺激後 17時間、24時間、92時間および 115時間においてサイトカイン産生の動態を決定し、最適な時間は抗原刺激後 24時間であった。
【0207】
抗原提示のための DC-リンパ球複合体の形成: 抗原を用いてパルスされた DC を、自己 T 細胞と共に 24時間培養する。BCG および TT への曝露後 24時間以内に、DC-リンパ球複合体を顕微鏡によって観察する。DC-リンパ球の形成を写真撮影し、単一の DC と複合体化したリンパ球の数を計数する。一般的に、抗原でパルスされた各々の DC は、最少で 25 個のリンパ球と結合することができる。
1) 単球から DC を得る
2) 抗原(65、41 および 72)を用いてパルスする
3) 上清を 18 時間の時点で回収し、サイトカインについてアッセイする
4) 細胞を APC 活性化マーカーについて染色する
5) APC に誘導された抗原特異的 T 細胞増殖およびサイトカインをモニターする
【0208】
9-k) 免疫応答試験
動物試験において、タンパク質 41、65、72 を用いて、皮下において、マウス(各群に 7 頭のマウス)を免疫化した。免疫化したマウスおよび未処理のマウスの血清サンプルを、以下の抗原でコートされた ELISA プレート上で 1:100 の希釈において試験した: タンパク質 41、65、72、デンドロアスピン、HSP60、およびプレベナー(prevenar)。図 7 および 8 を参照されたい。
【0209】
読者の注意は、本出願に関連して本明細書と同時にまたはそれ以前に提出され、本明細書と共に公衆の閲覧に付される全ての論文および文書に向けられ、かつ、かかる全ての論文および文書の内容は、引用により本明細書に取り込まれる。
【0210】
本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される全ての特徴、および/または同様に開示されるあらゆる方法または過程の全ての工程は、かかる特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除き、あらゆる組み合わせにおいて組み合わせることができる。
【0211】
本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)において開示される各々の特徴は、特に明記しない限り、同じ、等しいまたは類似の目的にかなう代替的な特徴によって置換し得る。したがって、特に明記しない限り、開示される各々の特徴は、包括的な一連の等しいまたは類似の特徴の1つの例にすぎない。
【0212】
本発明は、前述のいかなる態様の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(あらゆる添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示される特徴のあらゆる新規なものもしくはあらゆる新規な組み合わせ、または同様に開示されるあらゆる方法もしくは過程の工程のあらゆる新規なものもしくはあらゆる新規な組み合わせにまで及ぶ。