【実施例】
【0308】
8.実施例
以下、本発明を下記の実施例を参照して説明する。これらの実施例は単に例示のための提供されるものであり、本発明はこれらの実施例に何ら限定されず、本明細書に提供される教示の結果として明白となるいずれの、またあらゆる変形を包含するものと解釈されるべきである。当然のことながら、用いられる特定の器具および試薬、サイズ、製造業者などの具体的な列挙または記載は、特に断りのない限り、本発明に対する限定とみなされないと考えられる。さらに、類似の性能を有する他の器具および試薬は容易に置き換えが可能であると考えられる。
【0309】
8.1 培地および細胞培養プロセス
MDCK細胞、特に、非腫瘍形成性MDCK細胞を高密度まで増殖させるのに有用な無血清培地処方物(例えば、MediV SFM 107、MediV SFM 105)はすでに記載されている(例えば、FL410USおよびG−FL414US参照)。しかしながら、これらの無血清培地処方物を、無血清培地に順応させた非腫瘍形成性MDCK細胞(例えば、ATCC受託番号PTA−7909またはPTA−7910)とともに用いた研究では、培地交換を行わなくても合併結合インフルエンザウイルスの妥当なピークウイルス力価(一般にlog
10FFU/mLとして評価される)を得ることができたが、それらのピーク力価は、培地交換(細胞増殖後と感染前(または同時に)増殖培地の一部(例えば、〜67%)を除去して感染培地に置き換える)を行った場合に得られたものよりもなお低かったことが明らかになった。さらに、これらのピーク力価を得るには、さらなるプロテアーゼ(TrypLE)が必要であった。培地交換の必要および/またはさらなるプロテアーゼの必要を克服するために、強化培地MediV SFM 110を開発した。MediV SFM 110は5倍濃度のビタミン、リノール酸、リポ酸、ヌクレオシド、プトレッシンおよび従前に記載されている培地に存在するほとんど全てのアミノ酸を含んでなる(表3参照)。MediV SFM 110を用いても、MediV SFM 105 +TEで得られるもの以上には細胞密度は向上されなかった(データは示されていない)。しかしながら、MediV SFM 110を用いると、0%と67%の培地交換が同等のウイルス力価を示した。
【0310】
非培地交換(MX)プロセスと、4台のシードリアクターからビーズ間移動(以下の第8.2節に示されている実施例参照)により調製され、MediV SFM 110培地で増殖された細胞を用いた12回の実施の性能を以下に記載する。野生型株A/ウルグアイ由来のHAおよびNAを含んでなる3つの低温適応(ca)、温度感受性(ts)、弱毒(att)型合併結合インフルエンザウイルス株(識別子「ca」で始まる野生型株の表記で表される)を2L規模で生産したところ、3つ全ての株が少なくとも8.4log
10FFU/mLの力価でウイルスを生産した。1×DPBS洗浄を用いたビーズ間移動およびTrypLE selectおよびEDTA(pH8.0)を用いたトリプシン処理の後には、シードリアクター中での細胞の適切な解離と最終生産リアクター(FPR)中での細胞の接着が見られた。感染の際、最適な回収時間を決定するためにこれらの細胞を定期的にサンプリングした。ピークウイルス力価は全てのウイルス種で感染3日後(dpi)に見られることが分かった。これらの各株について4回の実験を行って結果の再現性を確認し、これらのデータは互いに一致した。ca A/ウルグアイ/716/2007は感染3日後(dpi)に8.7±0.05log
10FFUの最大力価をもたらし、ca A/サウスダコタ/6/2007およびca B/フロリダ/4/2006のピーク力価は3dpiにおいてそれぞれ8.8±0.0log
10FFU/mLおよび8.45±0.25log
10FFU/mLであった。
【0311】
これらの実験からのデータの再現性は、非培地交換プロセスがロバストなプロセスであることを示す。よって、強化培地は培地または成分の交換または添加のいずれを行わなくても生産性を維持した。従って、強化培地の開発および使用により、培地交換/補給の必要という、細胞培養に基づくインフルエンザワクチンの生産における最も興味深い操作上の問題の1つが克服された。
【0312】
8.1.1 材料および方法
材料、試薬および器具: 類似の性能を有する他の材料、器具および試薬は容易に置き換えが可能である。
【0313】
1.ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)/Ham F12(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号ME080012)
2.MilliQまたはWFI Water
3.MediV SFM 110塩基粉末(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号ME080045)
4.グルコース(Invitrogen, Carlsbad, California, カタログ番号15023-021)
5.亜セレン酸ナトリウム(Sigma, St. Louis, MO, カタログ番号6607-31) ?
6.L−グルタミン(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号25030-081)
7.CD脂質(100X)(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号11905-031)
8.コムギペプトン(Organotechnie, SAS, La Courneuve, France, カタログ番号19559)
9.インスリン(Serological, Norcross, GA, カタログ番号 4506)
10.T3(Sigma, St. Louis, MO, カタログ番号T5516)
11.ヒドロコルチゾン(Mallinckrodt, Phillipsburg, NY, カタログ番号8830(-05))
12.プロスタグランジンE1(Sigma, St. Louis, MO, カタログ番号P7527)
13.EGF(Sigma, St. Louis, MO, カタログ番号E9644)
14.クエン酸鉄(III)アンモニウム(J T Baker, Phillipsburg, NJ, カタログ番号1980-01)
15.トロポロン(Sigma, St. Louis, MO, カタログ番号T89702-5G)
16.微量元素A(Cellgro/Mediatech, Manassas, VA, カタログ番号99-182-cl)
17.微量元素B(Cellgro/Mediatech, Manassas, VA, カタログ番号99-175-cl)
18.微量元素C(Cellgro/Mediatech, Manassas, VA, カタログ番号99-176-cl)
19.重炭酸ナトリウム(Invitrogen, Carlsbad, California, カタログ番号91425/87-5067)
20.ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)pH−7.4(Invitrogen, Carlsbad, California, カタログ番号14190-367))
21.EDTA−DPBS溶液バッグ(Gibco カタログ番号14190-367)
22.0.5M EDTA pH8(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号15575-038)
23.0.2μm steri cupフィルター(Millipore, Bedford, MA, カタログ番号SCGPU05RE)
24.TrypLE Select(Gibco, Grand Island, NY, カタログ番号12563)
25.リママメ阻害剤(Worthington, Lakewood, NJ, カタログ番号LS002829)
26.Cytodex3(Amersham Biosciences, Piscataway, NJ, カタログ番号17-0485-03)
27.スクロースリン酸(Hyclone, Logan, UT, カタログ番号SH3A1578-01)
28.10−20L無菌バッグ(SAFC Biosciences JRH, Lenexa, Kansas, 1329B)
29.回転瓶(Corning, Corning, NY, カタログ番号 3907)
30.NaOH 1M溶液(EMD, Darmstadt, Germany, カタログ番号 1071)
31.0.2μm無菌フィルター(Corning, Corning, NY, カタログ番号 430320, 430767)
32.1mL、5mL、10mL、25mL、50mLピペット(それぞれVWR, Brisbane, CA, カタログ番号53284-700, 53283-704, 708,710)
33.5mL吸引ピペット(VWR, Brisbane, CA, カタログ番号 53392-044)
34.1.8mLエッペンドルフ管(USA Scientific, Ocala FL, カタログ番号 1415-5510)
35.マイクロピぺットチップ(Art Molecular Bioproducts, San Diego CA, カタログ番号 20E, 200Eおよび1000E)
36.スクロースリン酸10×(Hyclone, Logan, UT, カタログ番号SH3A1578-01)
37.Applikonコントローラーユニット(Applikon Biotechnology, Foster City, CA Models: ADI 1010, ADI 1025)
38.3Lガラス容器およびヘッドプレート(Biotechnology, Foster City, CA)
39.2.5” A310回転翼(Lightnin, Rochester, NY)
40.60mmマリンインペラー(Applikon Biotechnology, Foster City, CA)
41.45mmマリンインペラー(Applikon Biotechnology, Foster City, CA)
42.蠕動ポンプ(Watson Marlow Bredel Pump, Wilmington, MA, Model 520S/R)
43.バイオセーフティーキャビネット(The Baker Company, Sanford, ME, SG-600)
44.回転瓶インキュベーター(Bellco Biotechnology, Vineland, NJ, Model 7630-80589)
45.水浴(Boekel Grant, West Chester, PA, PB-1400)
46.ヌクレオカウンター(New Brunswick Scientific, Edison, NJ, M1293-0000)
47.Bioprofile 400(Nova Biomedical, Waltham, MA, Bioprofile 400)
48.顕微鏡(Zeiss, Thornwood, NY, Axiovert 25)
49.デジタルカメラ(Nikon, Melville, NY, Model E5400)
50.マイクロピぺット(Labsystem, Boston, MA, 型番P2-20, P100, P200, P1000)
51.ピペットエイド(Drummond, Broomall, PA, カタログ番号 4-000-100)
52.CO
2振盪フラスコインキュベーター(ATR Biotech, Laurel, MD, Model AJ118)
細胞供給源: Process Development Bank(PDB)由来の無血清MDCKクローンID 9B9−1E4細胞(ATCC受託番号PTA−7910、WO08/105931参照)を回転瓶にて、微量元素A、BおよびCまたはMediV SFM109
4を含むMediV SFM105を用いて培養した。微量元素A、BおよびCを含むMediV SFM105の組成は、MediV SFM105は液体から作製され、MediV SFM109は粉末から作製されること以外は、MediV SFM 109培地と同様である。細胞を通常、2回のDPBS洗浄を行わなかったこと以外はSOP D0200
5通りに播種後3〜4日おきに継代培養した。
【0314】
ウイルスシード: このプロセスは2008/2009 FluMist(登録商標)季節性株:ca A/ウルグアイ/716/2007(ロット番号nb3903pg94、141900675A)、ca A/South ca Dakota/6/2007(ロット番号141900666)、およびca B/フロリダ/4/2006(141900641A)を用いて開発した。これらのシードは全て卵で生産した。プラスミドレスキュー法(例えば、Wang and Duke; 2007 Oct 23, J. Virol., 4:102; Hoffmann, et al., 2000, PNAS, 97(11):6108-13;およびHoffmann, et al., 2002, PNAS, 99(17):11411-6参照)を用いた細胞培養物で生産されたシードウイルスでも同様の結果が得られている。
【0315】
培養培地: これらの実施では、1倍微量元素A、BおよびCおよび計4.5g/LのD−グルコースを含むMediV SFM 105または計4.5もしくは9.0g/LのD−グルコースを含むMediV SFM 109をそれぞれ回転瓶およびシードリアクター(SR)実施に関する全ての通常細胞継代培養に用いた。最終生産リアクター(FPR)実施には計9.0g/LのD−グルコースを含むMediV SFM 110培地を用いた。播種条件および予想に応じて、D−グルコース濃度は約4.5〜約9.0g/Lの間に調整すればよい。各培養培地の組成を表3に詳細に示す。
【表3】
【0316】
【0317】
【表4】
【表5】
【0318】
バイオリアクター条件および方法: 全ての実験で、シードリアクター(SR)からの1:8分割内容物を用い、FPRに接種し、2008/2009季節性ウイルスの合併結合体ca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダに感染させた。プロセスのロバスト性を保証し、変動を取り込むため、同じ条件でいくつかのFPRを実施した。最初に、培地交換(MX)と非培地交換(No−MX)プロセスを並行して比較するため、各実験に2008/2009ウイルスの1つを用いて3つの実験を行った。最初の3つの実験ではそれぞれ、2回の2L FPRを同じ条件で反復して行い、感染時に培地交換を行わず、プロセスの変動を取り込むために同じウイルス株に感染させた。このようにして、計6×2LのバイオリアクターにSRからの1:8分割細胞培養内容物を接種し、非培地交換プロセスで3種類の2008/2009季節性ウイルス株の全てに感染させた。
【0319】
最後の2つの実験は、08/09株での非培地交換プロセスの性能についてさらなるデータを作製するために行った。第4の実験では、1×2L SRから3×2L FPRに接種し、3つ全ての季節性ウイルス合併結合型に感染させた。実験5は、同じ条件を用いて実験
を繰り返したものである。この実験は、非培地交換プロセスの性能評価を目的にプロセスの変動を取り込むために繰り返した。
【0320】
各実験で感染に用いたウイルス株およびFPRの接種に用いた細胞供給源を表6に示す。
【表6】
【0321】
シードリアクター(SR): 全ての実験で、細胞をシードバイオリアクターにて、微量元素A、BおよびCを含有するMediV SFM 105培地(MediV SFM 105 + TE)またはMediV SFM 109培地中、2g/LのCytodex3微小担体を用い、2Lまたは5Lのいずれかで増殖させた。微量元素A、BおよびCを含むMediV SFM 105の組成は、MediV SFM 105が液体から作製され、MediV SFM 109が粉末から作製され、含む亜セレン酸ナトリウムが少ないこと以外は、MediV SFM 109培地とほぼ同じである。グルコースおよびグルタミン濃度はそれぞれ9.0g/Lおよび4mMであった。これらの容器に実験1〜3では1.35×10
5細胞/mLを、実験4および5では1.8×10
5細胞/mLを接種した。SRの溶存酸素(D.O.)は、純粋な酸素とN
2の組合せを一定合計流0.02vvmで用い、50%に維持した。pH制御は、全てのSRについて、CO
2と1N NaOHの双方を用いて両側で行った。実験1および実験2では、SRの作業容量はそれぞれ2Lおよび5Lであった。双方ともマリンインペラー1枚を備え、175RPMで攪拌した。実験3および4では、SRの作業容量は2Lであった。双方ともライトニンインペラー2機を備え、175RPMで攪拌した。細胞増殖および代謝に対する回転翼および作業容量の影響はこの試験範囲では無視できるものである。最初の3つの実験では、SRに22.5細胞/MCを接種した。より良い細胞増殖を達成するために、実験4および5のSRには30細胞/MCを接種した。各FPRをその個々のSRとともに示す実験計画を表7に示す。播種4日後、SRの攪拌機、ガス流およびD.O.および温度制御をオフにし、微小担体を沈降させ、細胞を洗浄し、本質的に以下の第8.2節に示される実施例に詳説されているように、バイオリアクターの作業容量の2分の1に、10×TrypLE pH8を添加してトリプシン処理を施した。SRの内容物に、表8に明示されているようなB2B移行プロトコールを用いてトリプシン処理を施した。
【0322】
最終生産リアクター(FPR): 次に、シードリアクター内容物をフィードボトルに汲み入れ、この細胞の125mLを用いて、1:8分割にてFPRに接種した。FPR中の細胞は、9.0g/Lグルコース濃度を含有するMediV SFM 110培地で増殖させた。2L FPRガラス容器は2機のライトニンインペラーを備えており、175RPMで攪拌した。D.O.は、0.02vvmの合計流方式で50%空気飽和に制御した(O
2ガスとCO
2ガスからN
2ガスの供給量を算出し(N
2=40−O
2−CO
2)、一定合計流40mL/分を維持した)。pH制御は、全てのFPRについて、CO
2と1N NaOHの双方を用いて両側で行った。増殖期および感染期の温度はそれぞれ37℃および33℃に制御した。FPR用のウイルス株を表6に示し、FPRの増殖期および感染期のプロセス条件を表9に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【0323】
分析手順: 容器のサンプリングを毎日行った。ヌクレオカウンターを用いて細胞を数え、細胞の形態を調べるたまに顕微鏡を用いて10倍で写真を撮影した。pH、pO2、pCO2およびグルコース濃度、乳酸、グルタミンおよびアンモニウムを、Nova Bioprofile 400 Analyzerを用いて毎日モニタリングした。オンライン値とオフライン値の差が0.03pH単位よりも大きくなった場合には、バイオリアクターのpH再較正を行った。感染したサンプルを10倍スクロースリン酸(SP)で安定化させ、分析まで−80℃で冷凍した。ウイルス複製の進行は、本質的に下記のように、フォーカル蛍光アッセイ(FFA)によりウイルス感染度を測定することによって分析した。
【0324】
フォーカル蛍光アッセイ(FFA): MDCK細胞を96ウェルプレートにて、MEM/EBSS+1倍非必須アミノ酸+2mMグルタミン+PEN/Strep(VGM)中、36±1℃、5±2%CO
2で密集するまで(〜4日)増殖させる。次に、VGMを除去し、細胞を新鮮なVGMで洗浄した後、VGMで連続希釈した(例えば 10
−1、10
−2…10
−7)100μLのウイルス接種物(例えば、ca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダ))に感染させ、33±1℃、5±2%CO
2でおよそ19〜20時間インキュベートする。各ウイルス希釈液を3反復で細胞に接種する。33±1℃、5±2%CO
2でおよそ19〜20時間インキュベートした後、以下の手順に従い、サンプルのウイルス力価を求めるため、細胞を抗インフルエンザ抗体で免疫染色する。ウイルスを含有する細胞培養培地を各プレートから除去し、200μl/ウェルのDPBSで洗浄した後、100μLの冷4%パラホルムアルデヒド中、室温で15±3分固定する。次に、これらのプレートを250μl/ウェルの1倍リン酸緩衝生理食塩水+0.05%Tween 20(TPBS)で2回洗浄した後、細胞をA株またはB株のいずれかに特異的な一次抗体とともにインキュベートする。一次抗体を1倍PBS中、0.1%サポニン、1%BSAおよび0.1%アジ化ナトリウム(SBSA)で所望の希釈率まで希釈する。37±1℃で60±5分インキュベートした後、一次抗体を除去する。細胞を250μL TPBSで3回洗浄し、SBSAで所望の希釈率に調製した蛍光色素コンジュゲート二次抗体(例えば、FITCで標識されたウサギ抗ヒツジ)をウェルに加える。37±1℃で60±5分インキュベートした後、二次抗体を除去し、プレートを上記のように2回、ナノウォーターで2回洗浄した後、ペーパータオルでブロットドライ(blot-drying)する。次に、暗所、室温で少なくとも10分間、蓋を外してプレートを風乾する。倒立蛍光顕微鏡を用い、総倍率100倍で蛍光シグナルを可視化する。SPOTプログラムなどの画像ソフトウエアを用いて画像を採取する。一般に、各ウェルの中央バンドを調べ、全ての感染巣を数え、8〜120個の感染巣を持つウェルのみを数える。計数した各ウェルについてlog
10 FFU/mLを算出し、3つのウェルの平均値および標準偏差を算出する。
【0325】
8.1.2 結果および考察
最初の3つの実験と後の2つの実験のシードバイオリアクターについてそれぞれ22.5および30細胞/微小担体(MC)を細胞に接種した。
図1は、全ての実験のSRについて、生細胞密度(VCD)と細胞生存率(V%)をプロットしたものである。播種4日後、シードリアクターの細胞密度は94万〜114万細胞/mLの範囲となった。この細胞密度の差はおそらく接種細胞濃度22.5と30細胞/MCの差のためであった。22.5および30細胞/MCを接種したSRにおける播種4日後(dps)の細胞密度はそれぞれ0.95±0.01および1.12±0.024 100万細胞/mLであった。全てのバイオリアクターの細胞生存率は90%を超えていた。培養4日後、シードリアクターにおいて1×0.5mM EDTA−DPBS洗浄および10倍TrypLE selectを用いたビーズ間移動を行い、細胞をトリプシン処理した。トリプシン処理は、間にサンプリングして顕微鏡下で細胞の解離を観察しながら、30+/−10分続けた。約30〜40分トリプシン処理を行った後、およそ90%の細胞がMCから解離し、
図2に示されるように単細胞として見られた。これらのトリプシン処理細胞を用い、全ての実験について分割比1:8で最終バイオリアクターに接種を行った。全てのFPRの細胞増殖を
図3にプロットした。実験2では全てのFPRのVCDが播種4日目に0.6×10
6細胞/mL未満であり、これらのFPRの細胞培養は遅滞期が長かったことから、これらの細胞は播種4日後ではなく播種5日後に感染させた。さらに、実験4のFPRでは感染後のVCDデータが得られなかった。最後に、実験5では、0.5×10
6細胞/mL未満の低いVCDであったにもかかわらず、播種4日後にFPRを感染させた。FPRでは、細胞増殖期中、生存率は90%を超えた。
【0326】
全てのFPRについて感染時点の細胞密度を表10に記録する。生細胞密度には大きなならつきが見られた。それは0.44〜1.12×10
6細胞/mLの範囲であった。この差は細胞計数の誤差に関連するものであった。SRおよびFPR双方の平均VCDを表11に記録する。播種4日後、SRおよびFPRの平均VCDはそれぞれ約1.12×10
6細胞/mLおよび0.73×10
6細胞s/mLである。
【表10】
【表11】
【0327】
トリプシン処理後、FPR内の細胞は播種0日後に微小担体ビーズに接着し、その後、微小担体ビーズの表面で増殖を始めた。微小担体の大部分が細胞で覆われ、播種4日後にはいくつかのビーズだけが空白で残った(細胞に覆われていないビーズ)。細胞の形態は全ての実験で同様であった。播種3日後と感染4日後の典型的な細胞形態を示す写真をそれぞれ
図4および
図5に示す。
【0328】
播種4日または5日後、実験1、2および3のFPRをそれぞれca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダに感染させた。感染前に、細胞培養培地に10倍TrpLE selectの0.03倍を加えた。実験4および5では、個々のFPRを季節性株ca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダの1つに20FFU/mLで感染させた。
図6は、感染68時間後〜74時間後(hpi)の間にピークウイルス力価に達したことを示す。さらに、ウイルス力価はその後感染92時間後まで高いままであった。
【0329】
各ウイルス株のタイプの平均ウイルス力価を表12にまとめる。それらはca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダに関してそれぞれ8.7、8.8および8.45log
10FFU/mLであった。これは67%培地交換を用いた場合にこれらのウイルスで見られたものに一致するか、またはそれを超えるものである。
【0330】
67%培地交換プロセス(本質的に国際特許公開WO08/105931に記載のように実施、実施例12参照)と非培地交換プロセス(本質的に上記のように実施)を用いて生産された4つの株(ca A/ウィスコンシン/67/05、A ca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダ)のウイルス力価を比較するためにさらなる実験を行った。各プロセスと株で少なくとも2回実施した。
図7から、各株のピークウイルス力価は67%培地交換プロセスと非培地交換プロセスとで匹敵するものであることが分かる。
【表12】
【0331】
培地交換は、現行の細胞培養に基づくインフルエンザワクチン製造プロセスにおける主要な操作工程である。培地交換をしなければ、微生物汚染の可能性が減り、操作上都合の良いプロセスが実施できることから、感染前の培地交換を無くすために多大な努力がされてきた。新たなワクチン生産プロセスの変動と、新たなビーズ間移動手順を用いてSRから直接採取した細胞をFPRに接種することの実現可能性を評価するため、一連の12のバイオリアクター実験から、培地交換を用いないプロセスの性能データ、より具体的には、細胞の解離/接着、細胞増殖およびウイルス力価を収集した。3つのウイルス株、すなわち、ca A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダはそれぞれ、感染前に培地交換をせずに4倍に生産された。 SRにおいてVCDは播種4日後では最大1×10
6細胞/mLに到達することができ、また、1×DPBS、TrypLE SelectおよびEDTAを用いたB2B移動は、トリプシン処理30〜40分後のシードリアクターにおいて、有効(>90%)な細胞解離を伴って首尾よく達成できたことが確認された。FPR内の細胞は微小担体ビーズの表面上で増殖し、感染時には平均VCD約0.73 ×10
6細胞/mLに達した。非MXプロセスを用いた全てのFPR実施で、A/ウルグアイ、ca A/サウスダコタおよびca B/フロリダのピークウイルス力価は感染3日後にそれぞれ8.7±0.05、8.8±0.0および8.45±0.25log
10FFU/mLであった。これは67%培地交換を用いた場合のウイルス株で一般に見られたものよりもよいかまたは同等であった(
図8参照)。全てのウイルス型のピークウイルス力価は、8.4log
10FFU/mLより高かった。これらの結果は明らかに、本明細書に記載されるB2B移動および非MXプロセスが極めてロバストなプロセスであることを示した。それらはコスト的に培地試薬の使用を最小とし、汚染の可能性を軽減することができる。
【0332】
8.2 交互タンジェントフロー(ATF)プロセス
バイオリアクターにおけるin situ流体交換を助長するため、本発明者らは、a)微小担体をin situで洗浄し、 b)培養容器内の細胞培養培地を交換し、c)細胞培養により生産された生物製品、ワクチンおよびその他の材料から生産細胞を分離し、はるかにより効率的かつ制御された様式でバルク製品を回収するためのATFを用いた細胞培養物に基づく製造プロセスを開発した。
図18に示されるように、微小担体の除菌後または培地交換後には廃液バッグに微小担体は存在しない。さらには、表13に示されるように、ウイルス回収中にダイレクトフロー濾過と組み合わせたATFを用いても、回収物または最終精製産物中に存在する宿主細胞タンパク質または宿主細胞DNAに増加は見られない。
【表13】
【0333】
この実施例では、ATFを用いたいくつかの生産シミュレーション実施と用いない対照実施に関して用いたプロセスおよびパラメーターを記載する。プロセスに使用可能な代表的な器具および試薬を表14および表15に詳細に示す。当然のことながら、本明細書において類似の性能を有する他の器具および試薬は置き換えが可能であり、器具および試薬の特定の銘柄またはタイプの具体的記載は、特に断りのない限り、限定として解釈されるべきではない。ATFシステムは、混合物または懸濁細胞、分子および他の粒子を分化するための効率的な手段を提供する。ATFプロセスは、迅速な低剪断タンジェントフローを作出するための手段を提供する。ATFシステムは、プロセスを封じ込めるための手段を提供する。プロセス全体が封じ込められているので、ATFシステムは、微小担体ビーズ洗浄の前後の除菌、感染前の培地交換および回収プロセス中に使用可能である。濾過システムは、中空繊維濾過モジュールまたは微小担体などのより大きな粒子の分画のためのスクリーンモジュールのいずれかを受け入れるハウジングアセンブリからなる。このハウジングは、一方の末端のプロセス容器またはバイオリアクターと他方の末端の膜ポンプの間に位置する。この容器は濾過される内容物のための貯蔵容器として働く。濾液ポンプは濾過流の制御された除去のために用いられる。濾過されていない材料はシステム内に残る。ATFはプロセス容器と膜ポンプの間の、正、逆の、拍動型の可逆的、液体流である。ポンプは柔軟な膜で2つのチャンバーに区切られている。ポンプチャンバーの1つは、スクリーンモジュールを介してプロセス容器に自記する液体貯蔵庫として働く。第二のポンプチャンバーは、ポンプ流制御システムに自記するエアチャンバーである。一般に、圧縮空気のエアチャンバーへの制御された添加が行われると、このチャンバーの圧力がプロセス容器よりも高まる。これは、ポンプからスクリーンモジュールを通ってプロセス容器へ液体内容物を送る過程において、エアチャンバーを膨張させ、逆に液体チャンバー内の容量を減じる。スクリーンモジュールの管腔を通る流れが一方向にタンジェントフローを作り出す。逆に、若干加圧された容器によってまたはエアチャンバーを排気管または真空に接続することにより、エアチャンバー内の圧力がプロセス容器よりも低くなり、液体流が容器からポンプの液体チャンバーへ向かい、もう一方の方向にタンジェントフローを作り出す。このサイクルが繰り返される。
【表14】
【表15】
【0334】
播種前調製物: ATFはバイオリアクターから流体が除去され、かつ/または交換されるいずれのプロセスにも使用可能である。例えば、ATFシステムは、容器の滅菌前に微小担体ビーズを水和した後、および/またはオートクレーブ工程後にDPBS洗浄溶液を除去するために使用可能であり、ATFシステムは、DPBS洗浄溶液を除去するために使用し、完全増殖培地と置き換えることができる。表16は、生産シミュレーション実施1〜3において流体交換の際に用いたATF制御設定を示す。
【0335】
1.Cytodex3微小担体を調製し、所望の量のCytodex3(
2Lバイオリアクターでは4g、5Lバイオリアクターでは10g)を秤量し、清浄な無菌バイオリアクターに移し、ビーズ1g当たり50〜100mLの1倍PBS中で3時間以上または一晩水和し、新鮮なPBSで洗浄する。洗浄工程は表16に詳細に示した設定を用いて、ATFで行うことができる。
【0336】
2.空いている全てのヘッドプレイスポートに配管およびフィルターを取り付ける。
【0337】
3.分極を可能とするため、較正前にDOプローブを一晩接続する(注:最低6時間)
4.製造業者の説明書に従ってpHおよびDOプローブを較正し、リアクター容器にすでに存在しているDPBS内にプローブチップが確実に浸漬されるように、組み立てたバイオリアクターに接続する。必要であれば、リアクター容器にさらなるDPBSを加える。
【0338】
5.ユニット全体を液体循環中で15psiにて121℃で30分オートクレーブにかける。
【0339】
6.オートクレーブにかけ、冷却したところで、DOプローブ、pHプローブおよびスターラーモーターを接続する。
【0340】
7.1N NaOHを小さなフィードボトルに分注し、ベースラインを接続し、その個々のリアクター容器をプライミングする。
【0341】
8.接種1日前に培地バッチを作る(播種)
a.所望の量の細胞増殖培地(CGM)MediV 105 SFMを37℃の水浴で温める。
【0342】
b.バイオリアクターからDPBSを、排液ポートから排出する。あるいは、ATFを用いてDPBS洗浄溶液を排出し、表16に詳細に示されている設定を用いてCGMに置き換える。
【0343】
c.以下の工程を用い、新鮮な温CGMで一度ビーズを洗浄する。
【0344】
i)DPBSを排出した後、所望の容量のCGMを加える。
【0345】
ii)10分間120rpmの攪拌制御をオンにする。
【0346】
iii)攪拌をオフにし、ビーズを沈降させ、上清を排出する。
【0347】
d.所望の容量のCGMをバイオリアクターに加える。
【0348】
9.曝気、温度制御およびスターラーをオンにする。細胞拡大のための設定点は次の通りである:pH=7.4、温度=37℃、DO=50%空気飽和、およびスターラー=約135〜約175rpmの間(一般に小さなバイオリアクターほど速い)。
【0349】
10.グルコースを最終9g/Lまで添加する。
【0350】
11.サンプルを抜き取り、NOVAにより測定し、DO較正およびpH補正を行う(必要であれば)。
【0351】
12.バイオリアクターコントローラーをオンにし、40および320mL/分の間(作業容量が2〜16Lの間の場合)の流速で実施する。
【表16】
【0352】
播種および増殖: 回転瓶またはシードリアクター当たりのおよび平均生細胞を算出し、適当量の細胞を新鮮な温培地が入ったガラスフィードボトルに移す。ビーズ間移動に使用可能な直線1:8分割、あるいはまた約1×10
5〜約1.5×10
5の間の播種密度を用いることができる。細胞は下記の実施例8.3または8.4に記載されているビーズ間移動方法のいずれかを用いて分割可能であることに留意されたい。
図17に示されるデータはEDTA/トリプシンプロトコール(第8.3節に示される実施例)を用いた細胞分割から作成したものである。接種後、接種後のNovaおよび毎日の核計数のためにサンプルを抜き取る。培養後3〜4日で核総数が所望の細胞密度に達したところで、ウイルス感染を行う。細胞拡大のための設定点は次の通りである:pH=7.4、温度=37℃、DO=50%空気飽和、およびスターラー=約135〜約175rpmの間(作業容量が2〜16Lの間の場合)。
【0353】
感染: 感染前に約66%のCGMを除去し、次のように完全感染培地(CIM、DMEM/F−12、45%グルコース、200mM L−グルタミン、1:330希釈の10倍TrypLE)で置き換える:全ての制御ループをオフにし、微小担体ビーズを沈降させる。66%に相当する所望の量の培地をバイオリアクターから除去し、新鮮な温CIMで置き換える。設定点を調整し、コントローラーループを再びオンにする。感染のための設定点発議の通りである:pH=7.4、温度=33℃、DO=50%空気飽和、およびスターラー=約135〜約175rpmの間(作業容量が2〜16Lの間の場合)。表16は、生産シミュレーションにおいて培地交換の際に用いるATF制御設定を1〜3回行うことを示す。表16に記載されている制御設定を用い、ATFシステムを用い、攪拌しながら、微小担体ビーズを沈降させずに、66%に相当する所望の量の培地をバイオリアクターから除去し、等量の新鮮な温CIMで置き換える。設定点に達したところで、所望の量のウイルスを加える。所望により、感染前に核計数を行い、バイオリアクターを感染させるのに必要なウイルス量を算出する(例えば、季節性株では20〜200MOI(FFU/mL)、またはパンデミック株では2000MOI(FFU/mL)を用いればよい)。あるいは、リアクターの作業容量に基づき、設定量のウイルスを既知濃度(FFU/mL)で加える。例えば、WO08/105931(特に、実施例12)参照。
【0354】
回収: 所望の時点で(一般に、感染後48〜72時間の間)、制御ループをオフにし、微小担体ビーズを沈降させる。適当な無菌バッグ容器をバイオリアクターの排出口に取り付け、ウイルス回収物を蠕動ポンプまたはATFデバイスによって取り出す。蠕動ポンプを使用する場合には、微小担体ビーズを含まないように注意しなければならない。回収が完了したところで、10倍SPバッファー(2.18Mスクロースおよび110mMリン酸カリウム、pH7)をバッグに終濃度1倍まで加えればよい。ATFを用いる場合、下記の第8.6.3節に示される実施例に記載されているように、回収工程をダイレクトフロー濾過工程と直結してもよい。表16は、生産シミュレーションにおいて回収の際に用いるATF制御設定を1〜4回行うことを示す。
【0355】
8.3 低濃度のプロテアーゼを用いる迅速ビーズ間移動プロセス
この実施例では、スピナーフラスコ、振盪フラスコまたは攪拌タンクバイオリアクターにてDPBS/0.5mM EDTA pH8洗浄溶液と低濃度のプロテアーゼ(例えば、0.05倍TrypLE)を用いるMDCK細胞の迅速かつ効率的ビーズ間移動のためのプロセスおよびパラメーターを記載する。プロセスフローの全体像を
図8Aに示す。このプロセスに使用可能な代表的な器具および試薬を表17、表18および表19に示す。当然のことながら、本発明では類似の性能を有する他の器具および試薬は所望により置き換えが可能であり、器具および試薬の特定の銘柄またはタイプの具体的記載は、特に断りのない限り、限定として解釈されるべきではない。
【0356】
このプロセスを上記の12の実施に用いた。記載したように、EDTAによる1回の1×DPBS洗浄を用いたビーズ間移動プロトコールおよびpH8においてTrypLE selectを用いるトリプシン処理を用いたところ、シードリアクターにおける適切な細胞解離およびFPRにおける細胞の接着が見られた。よって、ビーズ間移動プロセスは迅速で効率的かつロバストである。
【表17】
【表18】
【表19】
【0357】
10倍DPBS粉末からの1倍液体培地DPBSの調製: 室温の水に穏やかに攪拌しながら粉末培地を加える(水を加熱しないこと)。容器内をすすいで全ての粉末痕跡を取り除く。水で所望の容量に希釈する。熔解するまで攪拌する(混ぜすぎないこと)。培地のpHを7.8±0.1に調整する(最終作業pHは8.0)。pH単位は濾過すると通常0.1〜0.3上昇する。pHを調整した後、培地が濾過されるまで容器を閉じたままにする。0.1ミクロン膜を用いてすぐに除菌する。
【0358】
0.5M EDTA保存液の調製: 186.1gのEDTA(二ナトリウム、二水和物)を800mLの脱イオン水に加える。約20gのNaOHペレットまたは10N NaOHを攪拌しながら加え、pHを8.0とする。注:pHの超過を避けるため、最後の数グラムはゆっくり加える。EDTAはpHが8前後になるまで溶解しない。容量を脱イオン水で1Lに調整する。0.1ミクロンフィルターで濾過する。より小さい容量に分注し(ボトルに200mLずつ)、室温で保存する。
【0359】
DPBS/0.5 M EDTA保存液の調製: DPBS1リットルにつき1mLの0.5M EDTA保存液pH8を加える。必要であれば、培地のpHを7.8±0.1に調整する(最終作業pHは8.0)。注:pH単位は濾過すると通常0.1〜0.3上昇する。0.1ミクロンフィルターで濾過する。
【0360】
1倍DPBS/0.5mM EDTA−pH8.0洗浄手順: 適用可能であれば、攪拌、pH、DO、温度制御を停止する。微小担体ビーズを15±5分間沈降させる。排出口から80±10%の使用済み増殖培地を除去する。注:この手順は交互タンジェントフロー(ATF)を用いて行うことができる。代わりに、培養容器に等量の1倍DPBS/0.5mM EDTA−pH8.0洗浄溶液を入れる。表20参照。初期設定に対して攪拌を開始し、細胞を25±5分間洗浄する。攪拌を停止し、微小担体ビーズを15±5分沈降させる。排出口から80±10%の洗浄溶液を除去する。表21参照。注:この手順はATFを用いて行うことができる。この容器に1倍DPBS/0.5mM EDTA−pH8.0洗浄溶液を作業培養容量の50%まで加える。表20参照。攪拌速度を所望のrpmに設定する。表21参照。攪拌、pH、DOおよび温度制御を開始する。pH設定を8.0に調整する。表21参照。
【表20】
【表21】
【0361】
細胞解離手順: 培養pHが8±0.1に達した際に算出された容量の10倍TrypLEを注入口または培地口から終濃度0.05倍まで加える。表22参照。注:所望の作業容量に対して10倍TrypLEの1:200希釈も行わなければならない。サンプリング口からサンプルアリコートを15±2分ごとに、完全に解離するまで採取する。注:細胞解離は60分以内に完了するべきである。培養容器の初期作業容量まで基本培地を加える。攪拌機およびpH制御を除く全ての制御ループを停止する。
【0362】
ビーズ間手順: 所望の容量の解離細胞を最終生産リアクターに移す。表23参照。
【表22】
【表23】
【0363】
8.4 プロテアーゼ不含ビーズ間移動プロセスとATFの使用
ワクチン、組換えタンパク質およびその他の生物治療薬を生産するための主要な挑戦の1つが、培養容器から接着生産細胞を再現性よく解離させ、その後、新たな培養容器に再接着させることである(このプロセスは通常細胞の継代培養として知られる)。この作業は大規模製造における微小担体に基づく生産では特に困難となる。細胞の適切な継代培養を保証するには、トリプシンまたはトリプシン様試薬(例えば、TrypLE)が一般に用いられる。しかしながら、トリプシン処理プロセスは制御が難しい場合があり、トリプシン処理の過剰または不足のリスクが製造プロセスのロバスト性への悪影響、さらには生産性の低下をもたらし得る。ここで、本発明者らは、トリプシンまたはトリプシン様試薬を用いずに、哺乳類細胞、特に、接着性の強いMDCK細胞の一連の継代培養を可能とする新規な方法を述べる。この方法では、トリプシンまたはトリプシン様試薬の代わりにEDTAを用いる。この方法は、バイオリアクターにおけるin situ流体交換を助けるために交互タンジェントフローデバイス(ATF)と組み合わせることができる。
【0364】
新たに開発されたプロテアーゼ不含プロセスを用いて、本発明者らは、MDCK細胞を連続的かつ一貫して5回を超えて首尾よく継代培養し、高い細胞生存率(>90%)および高い細胞密度(>1×10
6細胞/mL)に到達させた(
図15参照)。本発明者らはまた、この方法により作製された細胞を用いて、いくつかの異なるサブタイプの低温適応型生弱毒インフルエンザウイルスを含む高力価ウイルスを生産した。ウイルス力価は、季節性ワクチン(A/H1、A/H3およびB株)からなる代表的な3つのウイルス株のそれぞれについて少なくとも8log10FFU/mLであった(
図16、データは示されていない)。このプロセスはワクチンおよび細胞培養に基づく生物製品(モノクローナル抗体、組換えタンパク質など)の双方の生産に大規模および小規模で使用可能である。
【0365】
この実施例では、細胞を洗浄し、スピナーフラスコ、振盪フラスコまたは攪拌タンクバイオリアクターにてプロテアーゼの不在下、細胞をEDTA pH8とともにインキュベートすることによるMDCK細胞の迅速かつ効率的なビーズ間移動のためのプロセスおよびパラメーターを記載する。本プロセスに使用可能な代表的な器具および試薬は上記の表17、表18および表19に詳細に示されている。当然のことながら、本明細書において類似の性能を有する他の器具および試薬は所望により置き換えが可能であり、器具および試薬の特定の銘柄またはタイプの具体的記載は、特に断りのない限り、限定として解釈されるべきではない。
【0366】
1倍DPBS/0.5mM EDTA−pH8.0洗浄およびインキュベーション手順: 適用可能であれば攪拌、pH、DO、温度制御を停止する。1)微小担体ビーズを沈降させ(一般に、15±5分で十分である)、〜70〜80%またはそれを超える使用済み増殖培地を除去する。注:この手順は交互タンジェントフロー(ATF)を用いて行うことができる。2)代わりに、所望の容量の1倍DPBS洗浄溶液を培養容器に入れる。一般に、効率的な洗浄のためには等量の洗浄バッファーが提案される。3)所望により工程(1)および(2)を繰り返す(一般に、計3回の洗浄が提案される)。4)必要に応じて所望の容量を残して洗浄溶液を除去する(例えば、初期容量の〜50%)。注:この手順はATFを用いて行うことができる。5)0.5mM EDTA−pH8.0を終濃度0.5mMまで加える。6)適用可能であれば、攪拌ならびにpH、DOおよび温度制御を開始する。攪拌は一般に、作業容量および/または回転翼に応じて100〜250rpmの間である。数百ミリリットル以下の小規模移動には100rpmを用いた。また、より大きな作業容量に使用可能な攪拌速度については、例えば表21を参照。7)攪拌しながら60±10分間インキュベートする。サンプルアリコートを抜き取り、細胞解離が完全であるかどうかを確認することができる。表24は、小規模ビーズ間移動に用いた条件を詳細に示す。
【0367】
細胞が解離したところで、次に分割を行う。一般に、増殖添加物を所望の作業容量(例えば、初期容量)まで加え、所望の容量の解離細胞を新しい容器に移す。あるいは、さらなる増殖培地および/または微小担体を初期容器に加える。スケールアッププロセスでは、1:5から1:8分割が有用であることが分かっている。表23は、いくつかの最終作業容量に対する1:8分割に関して詳細に示す。所望により、初期フラスコを増殖培地ですすぎ、移行した材料と併せるが、スケールアップを行う場合には、細胞を希釈し過ぎないようにこの容量も考慮しなければならない。8)新たなフラスコを適当な温度(ここでは37℃を用いた)で、攪拌でずに40〜60分間インキュベートする。9)適用可能であれば、細胞増殖のため、攪拌ならびにpH、DOおよび温度制御を開始する。10)必要に応じて、感染のための一連の増殖およびスケールアップのために工程(1)〜(9)を繰り返す。
【0368】
表24に本質的に詳細に示されているようなプロテアーゼ不含法(市販または自家調製のEDTA)または本質的に第8.2節に示される実施例に詳細に示されているようなETDA/TrypLEを用い、並行培養物を継代培養5回以上連続的に増殖させる。対照細胞としては、新しい細胞をトリプシン処理し(細胞を洗浄し、1倍TrypLEとともに15〜20分間インキュベートし、新鮮増殖培地を加え、細胞を1000rpmで10分間遠心分離し、新鮮増殖培地に再懸濁させる)、各継代ごとに細胞増殖/生存率および力価を比較するためにスピナーフラスコへの播種の用いた。培養中の経時的細胞総数および生存率が
図15にプロットされている。これらのプロットから分かるように、EDTA単独(プロテアーゼ不含)およびETDA/TrypLEを用いて増殖させた培養物の細胞総数および生存率は匹敵するものである。さらに、これらの方法は双方とも一般に、対照方法よりも高い密度の培養物を生産することが分かった。並行培養物の各継代培養からの細胞もインフルエンザウイルスの生産に用いた。ca A/ウィスコンシン/67/07およびca B/マレーシア/2506/04で得られたウイルス力価(
図16のそれぞれ上および下のパネル)は用いた増殖方法にかかわらず同等であった。
【表24】
【0369】
8.5 洗浄を用いない迅速ビーズ間移動プロセス
増殖培地に二価陽イオンが存在すると、微小担体から細胞を解離させるために用いるプロテアーゼの作用が阻害される場合がある。上記で示したように、EDTAはこれらの陽イオンをキレートして細胞の解離を助長するために使用することができる。細胞の形態および解離に対するEDTA濃度の影響を調べるために一連の実験を行った。
図23Aは、非処理細胞を示す。それらは扁平な形態を持ち、微小担体にしっかり接着している。
図23B〜Fは、漸増量のEDTA、それぞれ0.5、1、2、5および10mMに60分曝した後に見られた形態変化を示す。0.5および1mM処理ではやや丸くなっているのが見て取れる。2mM以上で処理すると、さらに丸くなり、解離する。最高濃度のEDTAでは、ほぼ全ての細胞が微小担体から解離した。これらの知見に基づき、1〜2mMのEDTAが細胞が丸くなるのを助長し得る。
【0370】
1または2mMのEDTAの存在下でのTrypLE濃度の影響を調べるために第二の一連の実験を行った。1または2mMのEDTAで前処理した後、TrypLEを細胞培養物に終濃度0.0125倍、0.025倍および0.05倍で加え、解離をモニタリングした。
図24は、種々の濃度のTrypLEを用い、2mMのEDTAで前処理した細胞に関して見られた解離を経時的に示す。TrypLEの添加後0時間では、細胞は球形の形態を示し(
図24A、BおよびC、それぞれ0.0125倍、0.025倍および0.05倍TrypLE)、解離はほとんどない。TrypLE添加後60分では、全ての培養物がいくらかの解離を示した。低濃度のTrypLE(0.0125倍および0.025倍)では、全てではないが、細胞が解離し、クランプの形成が若干見られた(それぞれ
図24EおよびE)。0.05倍TrypLEでは、ほぼ全ての細胞が解離し、クランプの形成はほとんどみられなかった(
図24F)。しかしながら、これらの細胞を、新鮮増殖培地を補給した新たな生産容器に移したところ、おそらく新鮮増殖培地中の二価陽イオンのキレート化のために、それらは古い微小担体にも新しい微小担体にも再接着できなかった。
【0371】
CaCl
2、MgCl
2、MgSO
4、ならびに微量元素A、BおよびCのマトリックスの増殖培地への添加が、接着および増殖に対するキレート化の影響を克服することができるかどうかを検討した。表25は、MediV 105 SFM増殖培地に.CaCl
2、MgCl
2およびMgSO
4の濃度マトリックスを加えた場合の、播種4日後の細胞再接着および拡散の割合(%)を示す。表26は、MediV 105 SFM増殖培地にCaCl
2、MgCl
2、MgSO
4、ならびに微量元素A、BおよびCの濃度マトリックスを加えた場合の、播種4日後の細胞総数を示す。表26に示されるように、MediV 105 SFMに1.5mM CaCl
2、0.15mM MgCl
2、0.4mM MgSO
4、ならびに2倍の微量元素A、BおよびCを添加した場合、MDCK細胞は、ビーズ間移動4日後に1E6細胞/mL以上、90%を超える細胞生存率に達した。これらの研究に基づき、これらの因子を至適化するため、例えば、さらなる細胞種(例えば、VERO細胞)に対して最適な増殖条件を決定するため、および/またはこのプロセスをどんな規模のウイルス生産でもロバストなものとするために、さらなる実験を行うことができる。
【0372】
EDTA濃度の検討: 850cm
2の回転瓶で増殖させたMDCK細胞を2Lのシードバイオリアクターに1.8×10
5細胞/mLの密度で播種した(MediV 105SFM、2g微小担体/L)。シードリアクターをpH7.4(CO
2および1N NaOHで制御);空気飽和50%(20mL/分の一定流);温度37℃;および攪拌175rpmに設定した。4日目に完全密集(1.2〜1.6E6細胞/mL)に達した際に、25mLの微小担体培養物を6×100mLフラスコに移し、その後、各フラスコにEDTAを加えて種々の終濃度0.5、1、2、5、10、20mMとした。次に、フラスコをオービタルシェーカーにて37℃、5%CO2、200rpmで1時間インキュベートした。インキュベーション期間中、全てのフラスコを定期的に顕微鏡観察し、種々のEDTA濃度で、形状が球形となる(丸くなる)細胞の程度を確認した。
【0373】
至適濃度のEDTAと組み合わせたTrypLE Select濃度: 850cm
2の回転瓶で増殖させたMDCK細胞を、TR #348に従い、2×2Lシードリアクターに1.8×10
5細胞/mLの密度で播種した(MediV 105 SFM、2g微小担体/L)。シードリアクターを、上記と同じバイオリアクターパラメーターを用いて4日間作動した。4日目に、1mMのEDTAを一方のバイオリアクターに加え、もう一方に2mM EDTAを加えた。双方を175rpmで1時間攪拌した。次に、両バイオリアクターのpHを8に調整した後、細胞懸濁液を各バイオリアクターから3×500mL振盪フラスコに移した。各培養セットから、10倍TrypLE Selectを各フラスコに加えて0.05倍、0.025倍および0.0125倍の終濃度とし、37℃、5%CO
2、オービタルシェーカーにて150rpmで30分間インキュベートした。インキュベーション期間中、微小担体からの細胞解離の程度を確認するために顕微鏡観察を行うために、各セットから定期的にサンプルを採取した。顕微鏡観察により、90%以上の細胞が微小担体から解離した際に、等量のリママメトリプシン阻害剤(LBTI)を加えてトリプシン活性を停止させた。
【表25】
【表26】
【0374】
8.6 細胞培養により生産されたインフルエンザの精製プロセス
細胞培養において生産されたインフルエンザのロバストな大規模精製プロセスの開発には、包括的な開発が必要であった。最初の段階では、プロセス was developed where theウイルス回収物(感染60〜65時間後)をバッグに汲み取り、ウイルスを安定化させるために、このウイルス回収物(VH)バッグに10倍スクロースリン酸(SP)バッファーを1/10(v/v)希釈で加えた。安定化されたウイルス回収物(SVH)をまず、2mM MgCl
2とともに50単位/mLのベンゾナーゼで32℃にて時間処理してMDCK宿主細胞DNA(HCD)を除去し、5mM EDTAを加えることにより反応を停止させた。ベンゾナーゼは、マグネシウムイオンの存在下でDNAをオリゴヌクレオチドへと分解する操作された組換えエンドヌクレアーゼである。次に、このベンゾナーゼで処理したウイルス回収物を1.2μmポリプロピレン(PP)および0.45μmPVDFカプセルフィルターにより清澄化した。清澄化されたVHを、500kDa分子量カットオフ中空繊維カートリッジでSPバッファーを用いた、5倍(5×)限外濾過および5倍ダイアフィルトレーションにより馴化した。ウイルス粒子は保持側に保持され、宿主細胞タンパク質(HCP)、宿主細胞DNA(HCD)およびベンゾナーゼは中空繊維の透過側にダイアフィルトレーションされる。濃縮およびダイアフィルトレーションされたウイルスをセルファインサルフェイト(CS)クロマトグラフィーカラムを用いて精製し、HCD、HCPおよびベンゾナーゼ不純物をさらに除去した。CSは、カラム上でウイルスと結合するアフィニティー樹脂であり、結合したウイルスはSP高塩バッファーを用いて溶出される。カラム溶出液からの精製ウイルスを500kDa分子量カットオフ中空繊維カートリッジにて、5ダイアボリュームのSP100(200mMスクロースおよび100mMリン酸カリウム、pH7.2)バッファーによりダイアフィルトレーションして高塩溶出バッファーを除去し、精製ウイルスを調製する。ダイアフィルトレーションされたウイルス産物を次に、1/9(v/v)希釈のGAGを加えることにより安定化させ、0.22μmフィルターを用いて濾過除菌し、最終バルク製品を作製する。
【0375】
最初のプロセスにスケーラビリティー、プロセスの効率および最終製品の品質を改良した実質的な変更がなされた。プロセスになされた変更は回収率および不純物(HCD、HCPおよびベンゾナーゼ)のレベルの評価に基づくものであり、元々確立されていたプロセスに付与されたものである。スケーラビリティーに取り組むため、また、プロセスの効率および最終製品の品質を高めるために、全部で5つのプロセス工程が付け加えられた。第一に、ウイルス投入量2000FFU/mLを用いて感染させた細胞に関して、ウイルス回収が感染48時間後(この時間はピークウイルス力価に相当する)に変更された。第二に、HCD除去工程がバッチ形式のベンゾナーゼ処理からカラム上でのベンゾナーゼ処理に変更された。これらの2つの工程はともに、出発材料および最終バルクのHCDレベルを有意に引き下げることによる最終製品の品質を向上させる。第三に、CS樹脂の添加濃度を9.0log10FFU/mLから9.5log10FFU/mLに引き上げ、これにより生産カラムサイズが4Lから1.4Lに縮小し、プロセス効率が向上する。第四に、第二のバッファー交換容量が、ベンゾナーゼクリアランスを高めるために.5から8ダイアボリュームに増やされた。第五に、最終フィルターフラックスがCTM実施の際の最終濾過中の目詰まりを回避するために、平均25L/m
2の半分まで引き下げられた。最終的な方法(以下に詳細に示される)は、平均総回収率43.4%を与えるプロセスを提供し、0.72ng/用量(PicoGreenによる)および0.1ng/用量(PCRによる)のHCD、0.21μg/用量のHCP、および0.0035ng/用量のベンゾナーゼを含み、その全てが規制機関により要求された明細を下回るものである。
図10は最初の精製プロセスと改良型の精製プロセスの概要を示す。
【0376】
8.6.1 材料および方法
材料、試薬および器具: 類似の性能を有する他の材料、器具および試薬は容易に置き換えが可能である。
【0377】
1.1.2μm Polygard CN Opticap XL5フィルター(Millipore Corporation, Billerica, MA, カタログ番号KN12A05HH1)
2.0.45μm Durapore Opticap XL4フィルター(Millipore Corporation, Billerica, MA, カタログ番号KPHLA04HH3)
3.50Lバッグ(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH30712.04)
4.10Lバッグ(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH30712.12)
5.中空繊維、500KD、4,800cm
2(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号UFP-500-C-6A)
6.中空繊維、500KD、290cm
2(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号UFP-500-C-3X2MA)
7.セルファインサルフェイト樹脂(Chisso Corporation, Tokyo, Japan, カタログ番号19847)
8.フランジOリング(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-8494-01)
9.アダプターOリング(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-8475-01)
10.ベッドサポート、23μm、エンドピース(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-9252-01)
11.ベッドサポート、23μm、アダプター(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-1103-08)
12.ガスケット25mm 6mm径、EPDM(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-0019-27)
13.4ポート2方向バルブ(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-5757-01)
14.Sartopore2 300フィルターカプセル、0.45μm/0.22μm、300cm
2(Satorius, MA, カタログ番号5441307H5--00--B)
15.Sartopore2 150フィルターカプセル、0.45μm/0.22μm、150cm
2(Satorius, MA, カタログ番号5441307H4--00--B)
16.1L PETGボトル(Nalgene, Rochester, NYU, カタログ番号2019-1000)
17.2L PETGボトル(Nalgene, Rochester, NYU, カタログ番号2019-2000)
18.MasterFlex白金硬化シリコンチューブL/Sサイズ24(Cole Parmer, Vernon Hills, IL, カタログ番号96410-24)
19.MasterFlex白金硬化シリコンチューブL/Sサイズ36(Cole Parmer, Vernon Hills, IL, カタログ番号96410-36)
20.1倍スクロースリン酸バッファー(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH3A1577)− 218mMスクロースおよび11mMリン酸カリウム、pH7バッファー
21.1倍SP/1M NaClバッファー(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH3A2034)
22.SP100バッファー(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH3A1796)−200mMスクロースおよび100mMリン酸カリウム、pH7.2バッファー
23.cGAGバッファー(Hyclone, Ltd, Logan, UT, カタログ番号SH3A1795)
24.ベンゾナーゼ(EMD, Darmstadt, Germany, カタログ番号1.01697.0002)
25.1M MgCl
2(Sigma, St. Louis, Missouri, カタログ番号M1028, lot # 085K8920)
26.Quant−iT PicoGreen dsDNAキット(Invitrogen, Eugene, Oregon, カタログ番号P11496, lot # 22987)
27.0.5N NaOH、10N NaOHから希釈 (VWR, West Chester, Pennsylvania, カタログ番号VW3247-7)
28.蠕動ポンプ(Watson Marlow Inc., Wilmington, MA, Models 520U, 520S and 520Di)
29.WaveMixer(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号Mixer20/50EH))
30.AKTAプロセスクロマトグラフィースキッド(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号28409334)
31.Uniflux10濾過スキッド(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号28920799)
32.BPG 100クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-1103-01))
33.BPG 200クロマトグラフィーカラム(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号18-1103-11)
34.Flexstand(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, カタログ番号56-4107-54)
【表27】
【0378】
細胞培養ウイルス回収物(VH): MDCK細胞増殖およびウイルス生産の詳細は国際特許公開WO08/105931(特に、実施例12参照)に示されている。ウイルス生産の実施は全て、1回使用バイオリアクター(SUB)にて〜67%培地交換プロセスを用いて行い、ウイルス投入量2000FFU/mLを用いて細胞を感染させた。MDCK細胞の感染後およそ60〜65時間(実施1〜7)または48時間(実施8〜9)にウイルスを回収した。SUB中の微小担体はウイルス回収(VH)前に45分以上沈降させた。およそ18Lのウイルスを50Lバッグにおよそ0.2L/分で汲み入れ、ウイルス回収物の安定化(SVH)のために同じバッグに2Lの10倍SPバッファーを汲み入れた。混合後、FFA、HCDおよびHCPアッセイで感染度を調べるため、SVH段階でサンプルを採取した。
【0379】
ウイルス回収工程とダイレクトフロー濾過工程を直結させるには、以下のプロセスが使用可能である。適当な容量の10倍SPバッファーをバイオリアクターに加えて、終濃度約1倍のSPを含んでなる安定化されたウイルス回収物(SVH)を得、微小担体を沈降させ、ATFを用いてウイルス回収をDFFおよびTFF工程と組み合わせる。例えば、ATF/DFF/TFF組合せ試験では、サンプルフィードポンプを介してバイオリアクターからATFシステムへ直接SVHを送り込む。次に、ATFの透過液をライン内のDFFカプセルを経て、最終的にはUnifluxプロセスタンクに送られる。ATFシステムの操作はATF操作マニュアルに詳細に示されている。バイオリアクターの高さとヘッド圧に特異的な加圧サイクルおよび排出サイクル時のATFシステムの設定点は、10Lおよび20Lのバイオリアクターでそれぞれ3L/分および1.8L/分であった。Unifluxサンプルフィードポンプの流速(ATF透過液流速)は、各実験について特定のTFF透過液フラックスに適合するように設定した。5XUF5XDFプロセスは以下に詳細に示す。全ての5XUF5XDF材料を、以下に詳細に示すように、CSクロマトグラフィー工程までにさらに精製した。
【0380】
ダイレクト・フロー・フィルトレーション1(DFF1): フィルターリグを準備し、ウイルス回収の前日にオートクレーブにかける。1.2μmのPolygard CNポリプロピレンフィルターカプセルおよび0.45μmのDurapore PVDFフィルターカプセルを示すフィルターリグの図を
図9Aの一番上のパネルに詳細に示す。およそ20LのSVHを閉じられたリグアセンブリを経て1.5リットル/分(LPM)で送り、SVHがそれらを通過した際にフィルターがプライミングされた。全膜表面積は、1.2μmのPolygard CNポリプロピレンフィルターカプセルでは1800cm
2、0.45μmのDurapore PVDFフィルターカプセルでは1900cm
2であった。1.5LPMの濾過流速では、1.2μmおよび0.45μmフィルターのフラックスはそれぞれ500リットル/面積m
2/時間(LMH)および474LMHであった。1.2μmおよび0.45μmフィルターの実際の負荷量はそれぞれ111および105L/m
2であった。清澄化された濾液はDFF1として20Lバッグに収集した。DFF1濾液をサンプリングし、FFAにより感染度を、また残留HCDおよびHCPを調べた。
【0381】
タンジェントフロー濾過1、5倍限外濾過(UF)/5倍ダイアフィルトレーション(DF)(TFF1): Unifluxスキッドにチュービングリグを準備し、ウイルス回収の前日にオートクレーブにかえる。全チュービングリグの図を
図9Aの下のパネルに詳細に示す。Uniflux(商標)スキッドを用い、以下の操作パラメーターを用いてTFF1工程を行った。Unifluxスキッドは、中空繊維カートリッジを作動させるために構成された自動膜分離濾過システムである。管腔サイズ0.5mm、全膜表面積4,800cm
2および流路長60cmの500kDaの分子量カットオフ(MWCO)中空繊維を用いた。このプロセスにより最終DFF1負荷量41.7L/m
2膜表面積が得られたが、これは従前に評価されているように、TFF1プロセスの最適範囲40〜150L/m
2内である。実施1〜6では、同じ中空繊維カートリッジをプロセス後に洗浄し、再利用した。実施7〜9では、実施ごとに新しい中空繊維を準備して用いた。新しい中空繊維カートリッジは、脱イオン(DI)水で90分間すすいでグリセロール保存剤を除去し、0.5N NaOHで1時間殺菌し、各実施前におよびpHが7.0となるまで1倍SPバッファーで平衡化することにより準備した。全5XUF/5XDFプロセスは、16000/秒の一定剪断速度および20psiの一定TMPでプログラムされたUnifluxスキッドを用いて作動させた。
【0382】
全容量のDFF1をUnifluxスキッドで処理した。まず、およそ5LのDFF1をUnifluxプロセスタンクに汲み取った。最初に透過液ラインを閉じて、8.6L/分の再循環(保持液)流速を確立した(16,000/秒の剪断速度に相当する)。再循環5分後に、5XUFプロセスを開始した。透過液ラインを開けて、HCPおよびDNAなどの500kDaより小さい不純物に膜を通過させ、一方、保持液制御バルブを段階的に閉じ、膜間差圧(TMP)を1.4バール(20.3psi)の設定点に到達させた。残りのDFF1濾液を絶えずプロセスタンクに送り込み、全容量のDFF1がタンクに供給されるまで、5±0.1Lの一定タンクレベルに維持した。全てのDFF1材料が供給された後に、フィードポンプを停止し、最終保持液容量が4Lとなるか、または16Lの透過液が収集されるまで保持液を濃縮し続けた。5倍ダイアボリュームの1倍SPバッファー(20L)でバッファー交換を行うことにより4Lの保持液(5XUF)をダイアフィルトレーションし、プロセスを上記の場合と同じ剪断速度およびTMPで作動させた。ダイアフィルトレーションバッファーラインを開け、フィードポンプを再開し、1倍SPバッファー中に送り込んだ。5XDFプロセスは、20Lのダイアフィルトレーション透過液が収集された後に終了した。5XDFの終了時に、保持液制御バルブを全開し、透過液ラインを再び閉じて、プロセス中に中空繊維膜の表面に弱く結合した回収可能なウイルスをシステムの再循環に一掃させる。濃縮およびおよびダイアフィルトレーションされたウイルス産物を含んだ保持液を排出し、10Lの製品バッグに収集する。最後の2つの精製実施(8および9)では、保持液収集の後にさらなるバッファーすすぎ工程を導入した。およそ1.5Lの1倍SPをプロセスタンクに送り込み、透過液ラインを閉じた状態でさらに5分間再循環させた。このバッファーすすぎ液もまた同じ10L製品バッグに収集し、このバッグに5XUF 5XDF TFF1製品のラベル表示をし、全容量はおよそ5.5Lであった。このTFF1製品をFFAによる感染度、ならびにHCDおよびHCPに関して調べるためにサンプリングした。各プロセス実施の後に、中空繊維カートリッジおよびUnifluxシステムを0.5N NaOHを用い、 8.6L/分の再循環流速で1時間洗浄した。
【0383】
BPG 100 /200 セルファインサルフェイト(CS)カラムの充填およびカラム評価: CS樹脂は20%エタノール中、およそ50%スラリーで保存した。BPG 100またはBPG 200カラムの充填に必要な樹脂の量を、圧縮比1.1を用いて計算した。BPG100およびBPG200カラムは双方とも、目標ベッド高17.5cmまたは目標ベッド容量それぞれ1.37Lおよび5.50Lまで充填した。計算されたような樹脂の量を、1倍SPバッファーでバッファー交換を2回行った後に、1倍SP/1M NaClバッファーでバッファー交換を1回行うことにより準備した。
【0384】
BPG 100およびBPG 200カラムを生産者の説明書に従って組み立てた。空のカラムを準備し、0.5N NaOHで殺菌し、使用前にDI水ですすいだ。AKTAプロセス(商標)スキッドを用い、1倍SPバッファーを用いてCS樹脂をBPG 100カラムに500cm/時で流動充填し、カラムベッド高を15〜20cm(目標17.5cm)とした。AKTAプロセスは自動液体クロマトグラフィーシステムである。
【0385】
1倍SP/1M NaClバッファーで準備した樹脂スラリーを空のカラムに側壁に沿って注ぎ、壁面に残った残留樹脂を水で噴射ボトル(squirt bottle)にすすぎ落とした。樹脂を、樹脂ベッド高が液体レベルより少なくとも10cm低くなるように沈降させた。上部のアダプターを樹脂ベッドを乱さないようにカラム内に挿入した後、ネジとナットで固定した。4ポート2方向バルブ(4−2バルブ)をカラムの入口に取り付けた。この4つの異なるポートは次のように接続した。
【0386】
1 AKTAプロセスシステムカラムの入口
2 カラムマニュアルパージ(廃棄ラインまたは再循環ラインに接続)
3 スパイクテストコネクター(HETP試験のための高塩溶液を注入するために用いる雌型ルアーロック)
4 BPG 100/200カラムの入口
次に、BPG100カラムの下の出口をAKTAシステムカラムの出口に接続した。カラムアダプターを下げる前に、4−2バルブの接続部のポート3および4を確認した。上のアダプターを樹脂ベッド中へゆっくり降ろし、少量のバッファーを4−2バルブのポート3からパージした。これにより、上のアダプターの入口が確実にバッファーでパージされるようにした。
【0387】
次に、4−2バルブを切り換え、ポート1と2を接続した。1倍SPバッファーをAKTAシステムの入口に接続し、まず、500cm/時で流し始め、この地点でカラムパージポート(4−2バルブのポート2)を介してカラムをバイパスした。流速がフローメーターで500cm/時に達した際に、すぐにポート1と4が接続されるように4−2バルブを調節した。樹脂ベッドが目標ベッド高に達したところで、アダプタークローザーを樹脂ベッドへ降ろす。これらの工程を、樹脂ベッド高に変化が無くなり、アダプターが樹脂ベッドに達するまで繰り返した。アダプターと樹脂ベッドの間のヘッドスペースが無くなるよう、アダプターをさらに1〜3mm降ろして樹脂ベッドを圧縮した。
【0388】
充填評価を行う前に、CSカラムを1倍SPで平衡化し、安定な導電率ベースラインを確立した。カラム充填は、スパイクテストコネクター(4−2バルブのポート3〜4)を用い、1倍SP/1M NaClをカラム容量(CV)の2%注入することにより評価した。カラムを、1倍SPを用い、流速50cm/時で平衡化した(4−2バルブのポート1〜4)。導電率ピークはおよそ1/2CVで見られた。Unicornソフトウエアにて得られた導電率ピークを用い、カラムプレート高(HETP)およびピークの対称性を評価した。所望のカラムHETPが達成されたところで、カラムを殺菌し、0.5N NaOH中で使用まで保存した。
【0389】
セルファインサルフェイトクロマトグラフィー(CS): AKTAプロセススキッド用のチュービングリグを準備し、ウイルス回収前にオートクレーブにかけた。全チュービングリグの図を
図9Bの上のパネルに詳細に示す。全クロマトグラフィープロセスはプログラムされた方法により自動であった。
【0390】
AKTAプロセススキッドの全流路を、各実施の前に手作業で1倍SPを用いて平衡化した。プロセスの開始時、カラムをまず、3カラム容量(CV)の1倍SPを用い、linear直線流速150cm/時で平衡化した。次に、全容量の5XUF 5XDF TFF1をカラムにローディングし、結合していないを流出液として収集した。ローディング後、カラムを1CVの1倍SPを用いて150cm/時、次いで、カラム上ベンゾナーゼ処理のために50U/mLベンゾナーゼおよび2mM MgCl
2(1倍SPB)を含有する2.5CVの1倍SPを用いて50cm/時で洗浄した。直線的流速を引き下げ、1倍SPB洗浄容量を計算することで、カラム 樹脂のベンゾナーゼ接触時間を50分とした。次に、カラムを1CVの1倍SPを用いて50cm/時で洗浄して、前のCVの1倍SPB カラム上ベンゾナーゼ処理を置換し、さらに1CVの1倍SPを用いて150cm/時で洗浄した。結合したウイルスを、3CVの1倍SP/1M NaClバッファーを用いてカラムから溶出させた。このCS溶出液を10Lバッグに収集し、この溶出ピークの収集は、UV吸光度(5mm光路長のUVフローセルを用いた50mAU〜50mAU(0.1 O.D.〜0.1 O.D.)までのA
280読み取り)に基づいた。BPG 100カラムからのCS溶出容量はおよそ0.6〜0.9Lである。各プロセス実施の後にカラムおよびAKTAプロセスシステムを0.5N NaOHで殺菌した。カラムロード、流出液、洗浄液および溶出液をサンプリングしてFFAによる感染度、ベンゾナーゼ、HCDおよびHCPを調べた。
【0391】
タンジェントフロー濾過2、8倍DF(TFF2): Flexstandのセットアップおよび使用は生産者の説明書に従って行った。管腔サイズ0.5mm、流路長60cmおよび全膜表面積290cm
2の500kDa MWCO中空繊維を用いた。このサイズの膜面積および上記のCS溶出量では、最終ローディングは20〜50L/m
2膜表面積の範囲となり、従前に評価したTFF2プロセスの最適範囲である。ウイルス回収の前日に新しい中空繊維をFlexstandでセットアップした。中空繊維をDI水で90分間すすいでグリセロール保存剤を除去し、0.5N NaOHで1時間殺菌し、pHが7.2となるまでSP 100バッファーで平衡化した。
【0392】
CS溶出液の全容量をFlexstandシステムで処理した。まず、透過流ラインを閉じ、 供給流速0.5L/分でCS溶出液を再循環させ、16,000/秒の剪断速度とした。5分間再循環させた後、透過流ラインを開けてダイアフィルトレーションを開始した。同時に、SP100バッファーをダイアフィルトレーションラインから送り出し、保持液制御バルブを段階的に閉じ、膜間差圧(TMP)を20〜21psiとした。プロセス全体で、SP100ダイアフィルトレーションラインのポンプ流速を制御することにより、保持液リザーバーの容量を、CS溶出容量(0.4〜0.8Lの範囲)に相当する容量で一定に維持した。実施8の前に、CS溶出液を5倍ダイアボリュームのSP 100バッファーでダイアフィルトレーションした。精製実施8〜9では、このCS溶出液を8倍ダイアボリュームのSP100バッファーでバッファー交換した。ダイアフィルトレーションの終了時、製品回収前に、保持液バルブを全開し、透過流ラインを再び閉じ、システムを5分間再循環させた。ダイアフィルトレーション製品を10L製品バッグへと排出した。このダイアフィルトレーション製品をサンプリングして、FFAによる感染度、ベンゾナーゼ、HCDおよびHCPを調べた。中空繊維カートリッジおよびシステムを、0.5N NaOHを用い、再循環流速0.5L/分で1時間洗浄した。
【0393】
ダイレクト・フロー・フィルトレーション2(DFF2): フィルターリグを準備し、ウイルス回収前にオートクレーブにかけた。フィルターリグの図を
図9Bの下のパネルに詳細に示す。用いた0.22μmポリエーテルスルホン膜カプセルの全表面積は、実施1〜5では150cm
2、実施6〜9では300cm
2であった。最終無菌濾過DFF2工程はバイオセーフティーキャビネットで行った。
【0394】
濃Glutamateアルギニンゼラチン(cGAG)を8倍DF製品に1:9(v/v)希釈で加え、精製ウイルスの最終的な処方物を作製した。処方されたウイルスを、300cm
2カプセルではおよそ0.38LPMで閉系リグアセンブリを経て送り、最終製品を用いてフィルターをプライミングした。濾液を無菌の2Lボトルに最終バルク製品として収集した。濾過流速0.38LPMで、300cm
2フィルターのフラックスは760LMHであった。膜面積に対する処方さバルク負荷は20〜150L/m
2の範囲であった。0.22μmで濾過された最終バルク製品をサンプリングし、FFAによる感染性、ベンゾナーゼ、HCDおよびHCPレベルを調べた。最終バルク製品を1mL、10mLおよび100mLの数アリコートに分注し、急速冷凍し、−80℃で保存した。
【0395】
サンプル分析および計算: 分析に送った全てのサンプルを急速冷凍し、−80℃で保存した。HCPアッセイは本質的に下記のように行った。HCDアッセイは、本質的に下記のように、PicoGreenおよびPCR法を用いて行った。HCDサイジングは、プソラレン−ビオチンの直接標識法(ブロット)およびアガロースゲルにおける直接染色により分析した。ベンゾナーゼ定量アッセイは本質的に下記のように行った。用量当たりのngまたはμgで計算された全ての値は、力価、すなわち、用量当たりの7log
10FFU(1用量はまた一般に10
7FFUとも呼ぶ)に基づく。
【0396】
残留宿主細胞DNAの測定: 残留MDCK宿主細胞DNAを、マイクロウェル形式のリアルタイムPCR法を用いて定量する。アッセイの対象は、イヌのシトクロムオキシダーゼサブユニットI(CoxI)遺伝子内の特異な配列である。至適化されたオリゴヌクレオチドプライマーセットを用い、MDCK CoxI特異的PCR産物を鋳型から生成し、SYBR(登録商標)緑色色素で検出する。マイクロウェル形式は、広い動的範囲(1000〜0.1ng/ml)のDNA較正品に便宜である。各アッセイには適当な陽性対照および陰性対照を含める。試験サンプルDNAを、DNA抽出キットを用いて誘導する。定量下限0.1ng/mlを超えるサンプルDNA量が標準曲線から算出される。精度は、スパイクコントロールの回収に基づき75〜125%内である。報告される結果は、50〜150%のスパイク回収率が得られるサンプル抽出反復の平均DNA量である。これらの分析はQuant−iT PicoGreenキット(Invitrogen, Eugene, Oregon, カタログ番号P11496)などの市販のキットを用い、キットに記載されている手順に従って行えばよい。
【0397】
残留宿主細胞タンパク質の測定: 残留宿主細胞(MDCK)タンパク質(HCP)は、HCP(非感染MDCK培養から)に対して作製された一次ビオチン化ウサギ抗体およびストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)コンジュゲートを用いて、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定する。MDCK細胞溶解液に対する抗体をポリスチレンマイクロプレートに吸着させる。ウシ血清アルブミンを含有するブロッキング溶液を加えて、余分な結合部位を飽和させる。試験品サンプルの希釈液をコーティングプレートに加えると、MDCKHCPが存在すれば、コーティング抗体と結合する。ウサギで作製されたMDCK溶解液に対する、一次ビオチン標識抗体、次いで、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)標識ストレプトアビジンコンジュゲートをプレートに加える。最後に、HRPO基質を加え、ELISAプレートリーダーを用いて、形成された有色の最終産物の強度を測定する。発色強度は試験品に存在するMDCK HCPに比例する。既知のタンパク質濃度のMDCK細胞溶解液較正品から標準曲線を作成する。標準曲線から、MDCK細胞溶解液のタンパク質濃度を決定する。
【0398】
残留ベンゾナーゼの測定: ベンゾナーゼ活性は、そのニシン精子DNAを切断する能力により測定する。試験品を二反復でベンゾナーゼ標準曲線と比較する(読み取りは分光光度計にて260nmで行う)。スパイク回収率%(ベンゾナーゼ活性)を算出し、正味のベンゾナーゼU/mlを決定する。スパイク参照標準の正味のベンゾナーゼ活性は1.1〜1.9U/mlの間になければならず、相関係数は≧0.995でなければならず、定量可能な活性については、非スパイクサンプル希釈液の活性が≧0.7U/mlでなければならず、スパイク回収率%は80〜120%の間になければならない。
【0399】
8.6.2 結果および考察
SUB実施は全て、8.0〜8.6log
10FFU/mLの範囲の回収力価を示した。各精製実施の性能を評価するために用いた回収率、HCDおよびHCPの結果を表28、表29および表30にまとめる。以下の節では、プロセス効率および最終製品の品質を向上させるために行った変更についてまとめ、考察する。最初の精製スキームと最終の精製 スキームのプロセス開発を
図10にまとめ、最初の精製実施から最後の精製実施への主な変更を示す。
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【0400】
SVH−SVHからカラム上ベンゾナーゼ処理へのベンゾナーゼ処理の変更: 最初のプロセスでは、ベンゾナーゼ処理は、宿主細胞DNAを除去するためにSVH工程で行われた。このプロセス工程には、DFF1工程の実施前に20LのSVHと50U/mLのベンゾナーゼを32℃で3時間混合することを含む。精製実施1〜4では、SVH工程にベンゾナーゼを加えたが、精製実施5〜9では、SVH工程からベンゾナーゼ処理を除き、50U/mLのベンゾナーゼを含んだクロマトグラフィーバッファーおよび樹脂接触時間50分を用い、CSクロマトグラフィー工程中のカラム上ベンゾナーゼ処理プロセスとして行った。表29に示されるように、精製実施2〜4のHCDレベルはSVHとDFF1の間で用量当たりのngとして顕著には減少しなかったが、精製実施5〜9では、ベンゾナーゼ−カラム上CSクロマトグラフィー工程の後のHCDレベルは目に見えて減少した。PCRおよびPicoGreenの双方により分析された最終バルク製品のHCDレベルは、精製実施5〜9(0.84〜1.42ng/用量)では、精製実施1〜4(3.25〜40.49ng/用量)に比べてはるかに低いことが分かった。この変更は、最終バルクHCDを1ng/用量以下に引き下げることにより最終製品の品質を改良しただけでなく、ベンゾナーゼ処理時間および必要なベンゾナーゼ総量を低減することによりプロセス効率を高めた。カラム上ベンゾナーゼ処理の効果は、CSクロマトグラフィーの節でさらに考察する。
【0401】
DFF1:表28に示されるように、DFF1工程は実施4(52.7%)を除いて良好な回収率(78.3〜154.6%)を示した。DFF1工程は細胞と細胞残渣を除去し、通常力価の損失を示さなかった。この工程は、若干のHCD(表29)も除去したがHCP(表30)は除去しなかった。20LのSVHを濾過するために使用される両方のフィルター(1.2および0.45μm)膜面積は、両方のフィルターの能力に基づき、スケールダウンVmax/Pmax研究からそれぞれ安全係数2.6および1.5を用いて予め決定された。濾過流速1.5LPMでは、1.2μmおよび0.45μmフィルターのフラックスはそれぞれ500LMHおよび474LMHであった。1.2μmおよび0.45μmフィルターの実際のSVHローディングはそれぞれ111および105L/m
2であった。
【0402】
TFF1−TFF1の工程回収率を高めるための装備および回収方法の変更:最初の6精製ランは、各ランのTFF1工程における効力回収率において107.2%から30.3%への緩やかな低下を示した(表28)。精製実施1〜6では、TFF1中空繊維カートリッジを0.5N NaOHで洗浄し、そのプロセス後に再使用した。中空繊維カートリッジの洗浄効率が、各実施後にゲル層を完全除去するのに十分であるかどうかは分からないが、これによりこのプロセス工程後のウイルス回収率が低下する可能性がある。より一貫した工程回収率を得るために、精製実施7から始まる既存のプロトコールに対して3つの主要な変更を行った。第一に、中空繊維の洗浄不足の可能性を排除するために、各実施に対して新しい中空繊維を使用した。第二に、TFF1産物を収集する前に保持液バルブを開け透過液バルブを閉じて濃縮保持液を中空繊維カートリッジ中で5分間再循環させた。これにより、濃縮およびダイアフィルトレーションプロセス中に膜の表面に形成した可能性があるゲル層が除去され、回収が可能となった。第三に、中空繊維カートリッジ中の残留ウイルスを回収するために、同じ再循環流速および時間(5分)を用いて追加のバッファー洗い流し工程を実施し、そのバッファー洗い流し液を産物と一緒に収集した。これらの変更を行った後、精製実施7〜9ではTFF1の工程回収率は一貫して高いままであった、およそ75〜80%(表28)。
図11は、16000/秒の剪断速度および20psiでの一定のTMPで実施したTFF1プロセスの典型的なフラックス曲線を示している(精製実施8)。ウイルス溶液がより濃縮される(5XUF)につれてフラックスは減少した、フラックスは、ダイアフィルトレーション工程開始時には減少し続けたがダイアフィルトレーション工程(5XDF)の終わり頃にわずかに増加した。フラックスは、精製実施全てで、70〜100LMHの範囲に及び、ウイルス力価およびDFF1濾液の濁度と関係があるように思われた。ダイアフィルトレーション工程終了時のフラックスのわずかな増加は、5XDF終了時のHCPおよびHCD不純物の追加除去が理由であると思われる。表30に示されるように、HCP不純物の大部分(80〜90%)は第1回目のTFF(TFF1)工程で除去された。これは、500kDaより小さいHCPが透過液で除去されているはずであるためである。ウイルス回収物の1X SPへのバッファー交換の完了は、5XDFプロセス終了時に12.5mS/cmから1mS/cmへと減少した導電率トレースにより示された(
図11)。
【0403】
HCD除去を増加させるためのCSオンカラムベンゾナーゼ処理:初期実験は、小規模CSカラム(ベッド高さ10cmおよびウイルス負荷濃度 樹脂1mL当たりおよそ9.0log
10FFUを用いる)を使用して設計された。プロセスが改善されたため、樹脂1mL当たりのウイルス負荷濃度、線流速およびカラムベッド高さは直線的にスケーリングした。負荷力価 樹脂1mL当たり9.0log
10FFUにおいて、20Lの安定化したウイルス回収物(回収物力価は8.3log
10FFU/mLである)を処理するには、CSベッド容量4Lが必要である。展開実施1〜5では、4LのCS樹脂をBPG 200カラム(20cm内径(i.d.))に最終ベッド高さ12.5cmまで充填した。BPG 200カラムへの200cm/時間での充填中に、背圧が推奨充填圧2.5バール圧を超えた(
図12)。動的結合能研究を実施し、それによりCS樹脂は実際には、上記の充填条件下では樹脂1mL当たりおよそ9.7log
10FFUまで結合することができることが示された。そのようなものとして、ウイルス負荷 樹脂1mL当たり9.5log
10FFUにおいて、20Lの安定化したウイルス回収物(回収物力価は8.3log
10FFU/mLである)を処理するのにCS樹脂は1.3Lしか必要でない。
【0404】
1.3LのCS樹脂が充填されたBPG 200カラムは最終カラムベッド高さ4.5cmとなる。カラムベッド高さの大幅な減少により、ベッド高さ15〜20cmの充填カラム(大規模プロセスに典型的)と比べてより低い分解能となる。精製実施6から、BPG 100カラムに目標のベッド高さ17.5cm+/−2.5cmまで充填してCSカラム容量を1.4Lにした。BPG 100カラムでは、充填流速500cm/時間を用い、結果として生じた充填圧は樹脂の推奨充填圧限界を超えなかった。この充填圧は、BPG 200カラムの場合の充填圧とは異なる(
図12)。
【0405】
精製実施6〜9(BPG 100)と精製実施2〜5(BPG 200)との比較、実負荷を樹脂1mL当たり8.4から8.9log
10FFUへ(BPG 200カラム)および樹脂1mL当たり9から9.3log
10FFUへ(BPG 100カラム)と増加した場合、それぞれ平均して54%および59%になる類似のCS溶出液工程回収率(表28)。オンカラムベンゾナーゼ処理を用いて実施したHCD除去についてのカラム性能に関し、精製実施6〜9(BPG 100)は、精製実施5(BPG 200)でのCS溶出液HCDレベル(1.2ng/用量)と同程度のCS溶出液HCDレベル(0.3〜1.5ng/用量)を示した(表29)。カラム性能は類似していたが、カラムサイズの減少は、CS溶出液およびバッファー調製物の容量が減少することによりプロセス効率が高まったため、より大規模の生産へと移行する際に重要になるであろう。
図13は、CS BPG 100カラム(実施9)から溶出された単一ウイルスピークに典型的なクロマトグラムを示している。
【0406】
表31に示されるように、オンカラムベンゾナーゼ処理(実施5〜9)での総HCDクリアランスは、バッチ式ベンゾナーゼ処理(実施2〜4)よりも良好であった。ベンゾナーゼ処理でのウイルス精製後に残留するHCDの割合は、0.15〜3.4%の範囲に及んだ(実施2〜4)が、オンカラムベンゾナーゼ処理でのウイルス精製後に残留するHCDの割合は、0.02〜0.15%の範囲に及んだ(実施5〜9)。CS工程でのオンカラムベンゾナーゼ処理は、SVH工程でのバッチ式ベンゾナーゼ処理よりも総HCD除去が高率であり、そのため、最終バルクのDNAレベルがより低いことが示された。
【0407】
オンカラムベンゾナーゼ処理の利用には、バッチ式ベンゾナーゼ処理と比べていくつかの利点がある。第一に、2つのプロセス工程を組み合わせて1つにし、SVH工程でのベンゾナーゼ処理の3時間をCSオンカラム工程での1時間のベンゾナーゼ処理に置き換えることによりプロセス効率が増加する。第二に、精製プロセスに必要なベンゾナーゼの総量が減少する。バッチ式ベンゾナーゼ処理は20−Lウイルス回収物に対して100万単位のベンゾナーゼが必要であるが、一方、オンカラムベンゾナーゼ処理は20万単位のベンゾナーゼしか必要でない。よって、オンカラムベンゾナーゼ処理では、必要なベンゾナーゼ総量が5倍減少する。
【0408】
TFF2−ベンゾナーゼクリアランスを増加させるためにTFF2におけるダイアフィルトレーション容量を増加させる:表28に示されるように、全9精製実施でのTFF2の工程回収率は一貫して64%を上回った(64〜150.8%)。実施3では、CS溶出容量は3.2Lであった。290cm
2中空繊維を使用し、中空繊維膜にローディングするCS溶出液は110L/m
2まで増加し、総プロセス時間は6時間であった。その後の2連続実施では、長いプロセス時間を避けるためおよびローディング濃度を、小規模研究で立証されたおよそ20〜50L/m
2に維持するために1400cm
2中空繊維膜を使用した。しかしながら、実施6から、カラムサイズを4Lから1.4Lへと変更し、溶出容量も0.9L以下まで減少した。溶出液容量のこの減少はカラムサイズに正比例した。実施6〜9では、CS溶出液ローディング濃度を20〜50L/m
2に維持するために290cm
2中空繊維カートリッジを使用した。
図14は、16000/秒の剪断速度および21psiの一定のTMPで実施した、精製実施8でのTFF2プロセスの典型的なフラックストレース曲線を示している。TFF2フラックスはダイアフィルトレーションプロセスを通して適度に安定し、作業条件により汚損が生じなかったことが分かる。フラックスは、精製実施全てで、80〜110LMHの範囲に及んだ。
【0409】
ベンゾナーゼのクリアランスを向上させるために、TFF2バッファー交換容量も5ダイアボリュームから8ダイアボリュームへと増加させた。表32に示されるように、プロセスをオンカラムベンゾナーゼ処理工程へと変更した場合(実施5)、CS溶出液のベンゾナーゼレベルは>75ng/mLであり、ベンゾナーゼはCSカラムと結合しウイルス産物と共溶出されることが分かる。また、1X SPB後の1CV〜4CVの通過サンプルを評価することによりCSカラムへのベンゾナーゼ結合も確認された。通過サンプルはベンゾナーゼレベルが低いことが分かった(表32)。よって、精製実施8および9では、検出限界(LOD)を下回るレベルまでベンゾナーゼクリアランスを増加させるためにTFF2バッファー交換容量を5ダイアボリュームから8ダイアボリュームへと増加させた。結果として、ベンゾナーゼレベルは、ダイアフィルトレーションを5XDFから8XDFへと増加させることによりさらに4〜5倍低下した。この変更により最終バルクのベンゾナーゼレベルはLODを下回るまで低下した(0.1ng/用量未満)(表32)。
【0410】
DFF2−最終バルクの最終無菌濾過のためにフィルターサイズを増大する:表28に示されるように、150cm
2および300cm
2の0.22μm最終フィルターを使用した平均工程回収率はそれぞれ88.3〜111.1%および65.8〜108%である。CTMキャンペーン実施での最終無菌濾過中の供給流の閉塞を避けるために最終フィルターサイズとして300cm
2のフィルターを選択した。0.6〜1Lの最終バルクを濾過するために使用した膜面積は、ローディングが20〜150L/m2の範囲であることを事前に立証した小規模研究に基づいた。300cm
2フィルターでは濾過流速は0.38LPMであり、そのフィルターでのフラックスは760LMHであった。そのフィルターでの実ローディングは20〜33L/m
2であった(小規模研究から決定された範囲内である)。
【0411】
3dpiから2dpiへの上流(SUB)プロセス回収時間の変更:精製実施8から、ウイルス回収時間を3dpi(60〜65時間回収)から2dpi(48時間回収)へと変更した。ウイルス投入量0.001〜0.003FFU/細胞を用いた場合、ピークウイルス力価は48時間dpiの時点において観察された。回収時間を変更することにより、精製実施8および9でのSVH工程に示されるように(表29および表30)出発HCDおよびHCPレベルが低下した。また、この変更により最終バルク製品(表29および表30)中のHCDおよびHCPの不純物レベルも低下し、そのため、最終製品の品質も向上した。
【0412】
精製プロセスの実施により良好なウイルス回収率および純度を得た:精製実施8および9において全実施プロセスを実証した。これらの2つの実施の平均総力価回収率は43.4%であり、平均HCD不純物レベルは0.72ng/用量(PicoGreenによる)および0.1ng/用量(PCRによる)であり、HCP不純物レベルは0.21μg/用量であり、ベンゾナーゼ不純物レベルは0.0035ng/用量であった。これらは全て精製バルク仕様を下回る。
【0413】
要するに、プロセス効率および最終製品品質を向上させるために初期精製プロセスに対して以下を含むいくつかの変更を行った、1)SVH中のHCDおよびHCP不純物レベルを低下させるためにウイルス回収を3dpiから2dpiへと変更し、2)総HCD分解および除去を増進するためにHCD処理工程をSVHでのバッチ式ベンゾナーゼ処理からCSオンカラムベンゾナーゼ処理へと変更し、3)CS樹脂の目標ローディング濃度を9.0log
10FFA/mLから9.5log
10FFA/mLへと高め(それによりカラムサイズを4Lから1.4Lへと減少する)、4)ベンゾナーゼ除去増進するためにTFF2での最終調剤バッファー交換容量を5ダイアボリュームから8ダイアボリュームへと増加させ、5)CTM実施での最終濾過中の閉塞を避けるために最終無菌濾過ローディングを平均25L/m
2の半分減少させた。
【0414】
最終精製プロセスを
図10に示し、精製実施全てのデータを表33に要約する。改良型の精製プロセスでの力価に基づく平均総ウイルス回収率は43.4%であり、平均不純物レベルはベンゾナーゼについては0.0035ng/用量であり、HCDについては0.72ng/用量(PicoGreen)および0.1ng/用量(PCR)であり、HCPについては0.19μg/用量であった。これらの不純物レベルは仕様を下回る。精製実施6〜9での最終バルクを、直接標識式(ソラレン−ビオチン)ブロットおよび直接染色法(アガロースゲル)を用いたDNAサイズ分析により分析した。これらの分析での主要なシグナルはDNAサイズ分布は500bp以下を示した(データは示されていない)。
【0415】
8.6.3 細胞培養生産したインフルエンザの改良精製プロセス
第8.6節に示す実施例において記載するロバストな大規模精製プロセスに対して行うことができるさらなる改良を
図10bに概略を示し、下に詳細に記載する。特に、回収タンクの必要をなくし、操作数を減らし、総処理時間を改善するために、回収工程、清澄化工程およびTFF1工程を結合してよい。よりスムーズな結合作業のために、TFF1作業を一定のTMPから一定のフラックスへと変更してよい。加えてまたはあるいは、より低いTMPを利用する(20psi未満、例えば、約10psi(12,000/秒)〜約14.5psi(16,000/秒)の間)。バルク容量を減少させるために、TFF2工程に2X UF工程を加えてよい。所望により、その後の全ての精製工程におけるローディングを潜在的に2倍にするために、TFF1に10XUFを用いる。
【0416】
表34に、いくつかの精製実施についてのパラメーターの変更、回収率、およびHCDを要約している。これらの実施では、本質的には上記のように培地交換を行わないMediV SFM 110において生産されたウイルスを利用した(第8.1節に示す実施例参照)。精製実施全てを、下に示す場合を除き、本質的には1bプロセスについて記載されるように実施した(第8.6節に示す実施例参照)。実施番号25番、27番および30番は、回収工程、DFF工程およびTFF1工程を結合することにより実施した。これらの実施では、TFF1を一定のフラックス(50LMH、剪断速度12,000/秒)で行った。実施番号24番、26番および31番は、回収工程、DFF工程およびTFF1工程を結合しないで実施した。これらの実施では、TFF1をより低いTMP(10psi、剪断速度16,000/秒)で行った。馴化ウイルス負荷物をCS工程用に分割し、2mM MgCl
2または10mM MgCl
2のいずれかで処理した。DNA分析では、MgCl
2濃度を高めることによってDNAサイズが減少しないことが示された(データは示されていない)。しかしながら、収率が低下した例もある(表34参照)。
【0417】
表35に、培地交換を行うMediV SFM 105において生産されたウイルスのいくつかの精製実施についてのパラメーターの変更、回収率、およびHCDを要約している。これらの実施では、本質的には国際特許公報WO 08/105931に記載されるように生産されたウイルスを利用した(特に、実施例12参照)。精製実施全てを、下に示す場合を除き、本質的には1bプロセスについて記載されるように実施した(第8.6節に示す実施例参照)。実施番号40番、41番および42番は、回収工程、DFF工程およびTFF1工程を結合することにより実施した。これらの実施では、TFF1を一定のフラックス(35LMH、剪断速度12,000/秒)または一定のTMP(10psi、剪断速度12,000/秒)のいずれかで行った。一定のフラックスを用いた実施は小規模で実施し、CS工程のためだけに処理した。実施番号43番は、回収工程、DFF工程およびTFF1工程を結合しないで実施した。
【0418】
総合して、これらの研究は、MediV SFM 110(MXを行わない)およびMediV SFM 105(MXを行う)プロセスからの材料は類似のフラックス/TMPの特徴を示すことを示している。より低い剪断(12,000/秒)、より低いTMP(10psi)、およびより低いフラックス(35LMH)を用いることにより工程TFFプロセス時間は長くなるが、回収工程、DFF工程およびTFF工程の結合を行う場合には総プロセス時間が短くなる可能性がある。これらの精製実施でのHCDの終濃度は0.01〜0.6ng/用量の間であると思われた(上記の1bプロセスで得られたものと同程度である)。総収率は一般に30%を上回った。
【表34】
【表35】
【0419】
8.7 インフルエンザウイルス精製のための樹脂の評価
セルファインサルフェイト(CS)は、ウイルスと結合する親和性ゲルであり、ウイルスは高塩スクロースリン酸(SP)バッファーを使用してカラムから溶出させる。上記のように、宿主細胞DNA(HCD)、宿主細胞タンパク質(HCP)不純物および臨床試験に好適なワクチン材料の生産中の宿主細胞DNAの分解のためのカラム洗浄工程(オンカラムベンゾナーゼ処理)中に取り込まれたベンゾナーゼ(登録商標)汚染物質をさらに除去するために、カラムクロマトグラフィー工程にセルファインサルフェイトゲルを使用してよい。CSゲルの結合能は、ca B/マレーシア/2506/04ウイルス株を用いた動的結合能研究により決定されたゲル1mL当たり9.72log
10FFUである(データは示されていない)。ゲルの結合能に基づき、400−Lおよび1600−L三価ワクチン細胞培養物に基づくプロセスの算出カラム容量はそれぞれ25L(40cm×20cm)および100L(80cm×20cm)である。CSカラムローディング前の第一のダイレクトフロー濾過(DFF1)工程およびタンジェントフロー濾過(TFF1)工程にける感染性粒子総数の20〜30%損失を考慮し、各プロセススケールにおける各目標カラムサイズにより、CSゲルの能力の範囲内で、ウイルス回収物力価を8.7log
10FFU/mLまで精製することが可能となる。しかしながら、より高いウイルス結合能を有する代替クロマトグラフィーゲルの同定によって、さらに精製をスケールアップする必要なく総生産能力の増大がもたらされる。
【0420】
以下の実施例により、本質的には上に詳述されるように精製プロセスを用い6つの追加の親和性樹脂(樹脂A〜Fと呼ぶ)の評価を詳述する(第8.6節に示す実施例参照)。要するに、ca B/マレーシア 2506/04をモデル株として使用し、スクロース−リン酸(SP)バッファーにより安定化させたウイルス回収物(VH)を1.2μmポリプロピレン(PP)カプセルフィルターおよび0.45μmポリビニリデンジフルオリド(PVDF)カプセルフィルターにより清澄化した。清澄化されたVHを、5重(5X)限外濾過(UF)および500kDa分子量カットオフ中空繊維カートリッジを使用したスクロース−リン酸(SP)バッファーでの5重(5X)ダイアフィルトレーション(DF)により馴化した。次いで、濃縮されおよびダイアフィルトレーションされたウイルスを試験クロマトグラフィーカラムで精製し、宿主細胞DNA(HCD)、宿主細胞タンパク質(HCP)不純物および宿主細胞DNAの分解のためのカラム洗浄工程(オンカラムベンゾナーゼ処理)中に取り込まれたベンゾナーゼ(登録商標)汚染物質をさらに除去した。また、最高性能の新規樹脂と現在利用されているCSゲルの間で直接比較も実施した。要するに、異なるウイルス回収物ロットを用い、セルファインサルフェイトと比べて試験樹脂CおよびDの精製性能を評価した。評価には、工程収率、結合能、および不純物レベル(例えば、HCD、HCP、およびベンゾナーゼ(登録商標))が含まれる。このタイプの評価を用い、新規樹脂の性能を効率的に評価することができた。
【0421】
8.7.1 材料および方法
材料、試薬および装置:同様に機能する他の材料、装置および試薬を容易に代用し得る。
【0422】
1.これらの研究に用いたウイルス回収物ロット(ca B/マレーシア 2506/04、ca A/ウィスコンシン 67/05、ca A/ソロモン諸島 03/06、ca A/ウィスコンシン67/05、ca A/サウスダコタ/6/2007)を感染の48〜68時間後に回収し、回収物力価は8.7〜8.9log
10FFU/mLの間であった。清澄化されたウイルス回収物を、タンジェントフロー濾過(TFF1)により5X限外濾過(UF)および5Xダイアフィルトレーション(DF)材料で処理し(本質的には上に第8.6節において詳述されるように全てを実施した)、最終力価8.6〜9.4log
10FFU/mLをカラムローディング量とした。
【0423】
2.Quant−iT PicoGreen dsDNA kits(Invitrogen, Eugene, Oregon、カタログ番号P11496)
3.1X SPバッファー、pH7.0(Hyclone, Ltd, Logan, UT、カタログ番号SH3A1577.03)または6.5mMリン酸水素二カリウム、4.5mMリン酸二水素カリウム、および218mMスクロースで調製した。1Lの1X SPの場合、6.5mLの1Mリン酸水素二カリウム溶液、4.5mLの1Mリン酸二水素カリウム溶液、74.62gのスクロースを混合しH
2Oに溶解させ最終容量1Lにした。必要に応じて1N H
3PO
4または1N KOHを用いてpHを7.0に調整した
4.1X SP、1M NaClバッファーは、9.5mMリン酸水素二カリウム、1.5mMリン酸二水素カリウム、218mMスクロース、および1M NaClで調製した。1Lの1X SP、1M NaClバッファーの場合、9.5mLの1Mリン酸水素二カリウム溶液、1.5mLの1Mリン酸二水素カリウム溶液、74.62gのスクロース、および58.44gの塩化ナトリウム(NaCl)を混合しH
2Oに溶解させ最終容量1Lにした。必要に応じて、1N 1N H
3PO
4または1 N KOHを用いてpHを7.0に調整した
5.1X SPB溶液は、2mM MgCl2および50U/mLベンゾナーゼを含有する。50mLの1X SPBを調製するために、49.9mLの1X SP中に100μLの1M MgCl2および7.65μLのベンゾナーゼ(327U/mL)を添加した
6.リン酸水素二カリウム、K
2HPO
4(Sigma, St. Louis, Missouri、カタログ番号P3786)
7.リン酸二水素カリウム、KH
2PO
4(Sigma, St. Louis, Missouri、カタログ番号P5379)
8.1M K
2HPO
4 リン酸水素二カリウム(174.18g)をH
2Oに溶解させ最終容量1Lにした
9.1M KH
2PO
4 リン酸二水素カリウム(136.09g)をH
2Oに溶解させ最終容量1Lにした
10.スクロース(EMD, Gibbstown, New Jersey、カタログ番号1.07653.9012)
11.NaCl(EMD, Gibbstown, New Jersey、カタログ番号7760)
12.1M MgCl
2(Sigma, St. Louis, Missouri、カタログ番号M1028)
13.ベンゾナーゼ(登録商標)(EMD, Darmstadt, Germany、カタログ番号1.07653.9012、353U/μl)
14.0.5N NaOH、10N NaOH(VWR, West Chester, Pennsylvania、カタログ番号VW3247−7)から希釈した
15.0.22μMフィルター(Millipore, Billerica, Massachusetts、カタログ番号SCGPU11RE)
16.ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)ボトル(Nalgene, Rochester, New York):1L(カタログ番号2019−1000);2L(カタログ番号2019−2000);125mL(カタログ番号2019−0125);250mL(カタログ番号2019−0250)
17.コニカルチューブ(Corning, Corning, New York):15mL(カタログ番号430052);50mL(カタログ番号630829);
18.1.2μmポリガードCNオプティキャップXL5フィルター(Millipore Corporation, Billerica, Massachusetts、カタログ番号KN12A05HH1)
19.0.45μmデュラポアオプティキャップXL4フィルター(Millipore Corporation, Billerica, Massachusetts、カタログ番号KPHLA04HH3)
20.20Lバッグ(Hyclone, Ltd, Logan, UT、カタログ番号SH30712.03)
21.50Lバッグ(Hyclone, Ltd, Logan, UT、カタログ番号SH30712.04)
22.中空繊維、500kDa、4,800cm
2(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, 型番UFP−500−C−6A)
23.中空繊維、500kDa、1,400cm
2(GE Healthcare, Uppsala, Sweden, 型番UFP−500−C−3x2 MA)
24.オムニフィットカラム(0.66cm×20cmおよび1cm×20cm)(Bio-Chem Valve Inc. Coldhams Lane, Cambridge)
25.XK−16カラム 16mm×20cm(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)
26.Akta Explorer 100(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)
27.SpectraMax GEMINI EMマイクロプレートリーダー(SpectraMax GEMINI EM microplater reader)(Molecular Devices, Sunnyvale, California)
28.Thermo Orion pH計(Thermo Scientific, Waltham, Massachusetts)
29.CDM210導電率計(Radiometer Analytical, Lyon, France)
試験樹脂の調製:樹脂を20%エタノール中に保存した。所望の量(例えば、42mL)の50%樹脂スラリーを50mL コニカルチューブ中にピペットで移し1000rpmで10分間を回転させた。その液体を除去し、21mLの充填バッファー(1X SP+1M NaCl、pH7.0)を用いて樹脂を再懸濁した。樹脂の充填バッファーとの交換を3回繰り返した。
【0424】
XK−16(16mm×10cm)試験樹脂カラムまたはCS樹脂カラムの調製:空のカラムの部品全てを水で洗浄し、充填前に乾燥させた。そのカラムを製造業者の使用説明書に従って組み立てた。そのカラムの底にカラムアダプターを挿入し、アダプターチューブを30mLのシリンジと連結した。そのカラムを垂直に配置し、スタンド上に固定した。そのカラムに10mLの充填バッファーを満たし、カラム中に2cmバッファーが残るまで下部のシリンジを引いた。調製した試験樹脂を、気泡を入れないようにカラムに注ぎ入れ、重力によって沈降させた。樹脂が沈降したら、カラムに充填バッファーを満たした。上部アダプターを、カラムに気泡を入れないように慎重に挿入した。次いで、そのカラムをAKTA Explorerシステムに連結し、カラムベッド高さが変わらないように充填バッファーを500cm/時間(16.7mL/分)でおよそ20分間充填した。上部アダプターをゲルの上部まで1〜2mm調整した。最終充填カラムベッド高さは10cmであった(これは20mLカラム容量に等しい)。試験樹脂およびCSゲルを用いた動的結合能研究では、より小さいサイズのオムニフィットカラム(0.66cm×17cm)(これは、充填した場合の5.8mLのゲルに等しい)を使用した。充填した試験樹脂カラムは、1N NaOHで1時間消毒し、1X SP pH7.0バッファーで再び平衡化した。充填したCSカラムは、0.5N NaOHで1時間消毒し、1X SP pH7.0バッファーで再び平衡化した。
【0425】
試験樹脂カラムおよびセルファインサルフェイトカラムに対する5X限外濾過および5Xダイアフィルトレーション(5X UF/5X DF)馴化ウイルス負荷物の調製:15Lまたは20Lの1X SPにより安定化させた、15Lバイオリアクターまたは30L SUBバイオリアクターからのウイルス回収物(MDCK細胞増殖およびウイルス生産についての詳細は、国際特許公報WO 08/105931に記載されている、特に、実施例12参照)を、1800cm
2の1.2μmプレフィルターカプセルおよび1900cm
2の0.45μmフィルターカプセルにより流速1.5L/分で濾過し、20−L Hyclone社製バッグに収集した。次いで、ダイレクトフロー濾過(DFF1)濾液を、本質的には上に改良型のプロセスについて記載されるように、5重限外濾過(5X UF)およびフレックススタンドシステムを使用する1X SPバッファーを用いた5重ダイアフィルトレーション(5X DF)によるタンジェントフロー濾過(TFF1)を用いて精製した(第8.6節に示す実施例参照)。TFF1工程は、ロットの大部分で、1400cm
2または4800cm
2の500−kDa分子量カットオフ中空繊維カートリッジを使用し、一定の剪断速度16000/秒および20psiのTMPで実施した。ca B/マレーシアウイルス回収物ロット番号1番は、一定の剪断速度12000/秒および14.5psiのTMPでで実施し、ca B/マレーシアウイルス回収物ロット番号2番は、一定の剪断速度12,000/秒および一定のフラックス70LMHで実施した。5X UF/5X DFウイルス溶液は1ボトル当たり100mLに等分した。ボトル全てをドライアイスで凍結させ、試験樹脂カラムおよびCSカラムのローディング材料として−80℃で保存した。
【0426】
試験樹脂カラムおよびセルファインサルフェイトカラム運転条件:試験樹脂カラム(16mm×10cm)実施の作業パラメーターは、BPG 100カラムについて上に詳述されるのと本質的に同じであった。要するに、カラムをまず、3カラム容量(CV)の1X SPで平衡化し、そのカラムに所望の量の5X UF/5X DFウイルス溶液を流速150cm/時間(1.6cm×10cm XK−16カラムの場合には5mL/分、0.66cm×17cmオムニフィットカラムの場合には0.85mL/分)でローディングした。1CVの1X SPバッファーでの洗浄後、接触時間50分でのオンカラムベンゾナーゼ処理のためにそのカラムに1X SPBを50cm/時間で(1.6cm×10cm XK−16カラムの場合には85mLの1X SPBを1.7mL/分で、0.66cm×17cmオムニフィットカラムの場合には15mLの1X SPBを0.3mL/分で)ローディングした。次いで、そのカラムを第一の1CVの1X SPで50cm/時間でおよび第二の1CVの1X SPで150cm/時間の線流速で洗浄した。結合したウイルスを3CVの1M NaCl含有1X SP、pH7.0バッファーで線流速150cm/時間で溶出させた。A
280nmで20mAUから20mAUまで(0.1O.D.〜0.1O.D.)溶出ピークを収集した。試験樹脂ローディング、通過、ベンゾナーゼ洗浄、および溶出液について画分を収集した。サンプル全てを等分し、ドライアイスで凍結させ、FFA(蛍光フォーカスアッセイ)による感染性分析およびPicoGreenアッセイによるDNA分析のために−80℃で保存した。
【0427】
試験樹脂カラム精製評価:充填した試験樹脂カラム(16mm×10cm)に、ca B/マレーシアウイルス株5XUF/5XDF TFF1材料をローディング濃度9.0log
10FFU/mLで個別にローディングした。少容量のローディングを避けるため、ローディング前に5XUF/5XDFウイルスローディング溶液を1X SPバッファーで力価9.4log
10FFU/mLから9.0log
10FFU/mLへ2.5倍に予備希釈した。各カラムでの実施では50mLのウイルス溶液をゲル1mL当たり9.4log
10FFUで対象にローディングした。計算は、ローディングウイルス力価×ローディング容量÷CSカラム容量に基づいた、log(10^(9.0FFU/mL)×50mL/20mLカラム容量)=ゲル1mL当たり9.4log
10FFU。各実施では、ウイルスローディング画分、通過画分、ベンゾナーゼ洗浄画分および溶出液画分を収集した。サンプル全てを等分し、ドライアイスで凍結させ、FFAによる感染性分析のためおよびHCD、HCPおよびベンゾナーゼ定量分析のために−80℃で保存した。
【0428】
試験樹脂カラム結合能研究:試験樹脂カラム(16mm×10cm)に、ca B/マレーシアウイルス株5XUF/5XDF TFF1材料をローディング濃度9.0log
10FFU/mLでローディングした。ローディング前に5XUF/5XDFウイルスローディング溶液を1X SPバッファーで力価9.4log
10FFU/mLから9.0log
10FFU/mLへ予備希釈した。試験樹脂の結合能を評価するために、ゲル1mL当たり9.4log
10FFU、9.9log
10FFU、10.2log
10FFUおよび10.5log
10FFUの4つの異なる総ウイルスローディング量範囲を実施した。各実施では、ウイルスローディングサンプル、通過サンプルおよび溶出液サンプルを収集し、本質的には上記のように
蛍光フォーカスアッセイ(FFA)により感染性力価について(第8.1節に示す実施例参照)および本質的にはキットに記載される手順に従いQuant−iT PicoGreenキットを使用して宿主細胞DNA(HCD)分析について分析した。カラム溶出液HCDレベル(10
7力価用量当たりのng数を単位として)は、HCD(ng/mL)/(10^(CS溶出液力価log
10FFU/mL−7.0log
10FFU/用量))=HCD(ng/用量)として計算した。宿主細胞タンパク質(HCP)およびベンゾナーゼ(商標)のレベルも、本質的には上記のように決定した(第8.6節に示す実施例参照)。
【0429】
セルファインサルフェイトおよび試験樹脂の動的結合能研究:CSゲルとの比較により試験樹脂の性能および結合能に対するロット材料の効果を調査するために、ca B/マレーシア株およびca A/ウィスコンシン株の異なるロットのTFF1(5X UF/5X DF)材料を用いてカラム動的結合能研究を実施した。TFF1(5X UF/5X DF)ウイルス溶液をCSカラムおよび試験樹脂カラムに150cm/時間でローディングした。ウイルスローディング量をゲル1mL当たり10.5〜10.7log
10FFUに定めた。計算は、ローディングウイルス力価×ローディング容量÷CSカラム容量に基づいた、log(10^(TFF1ローディング力価(log
10FFU/mL))×ローディング容量(mL)/カラム容量(mL))=目標ローディング量(ゲル1mL当たりのlog
10FFU)。通過物を各画分チューブに1カラム容量(CV)として収集した。それらの通過画分をFFAにより力価について分析した。CSゲルの破過曲線を、通過容量とローディング力価濃度に対する通過物におけるウイルス力価濃度の割合としてプロットした。動的結合能は、通過物においてローディングウイルス濃度の10%に達するまでゲルと結合することができるウイルスの最大量として決定した。次いで、10%ウイルス破過における容量(X)を用いてゲルの結合能(Y)を計算した。これはローディングウイルス力価×10%破過における容量÷カラム容量、log(10^(ローディング力価(log
10FFU/mL))×(mL)/カラム容量(mL))=Y(ゲル1mL当たりのlog
10FFU)である。
【0430】
ローディング範囲研究:CSゲルとの比較により試験樹脂CおよびDの性能に対するロット材料の効果を比較するために、ca B/マレーシア TFF1(5X UF/5X DF)材料の3つの異なるロットを用いてローディング範囲研究を実施した。各個別ロットについておよび各カラムゲルについての目標ローディング範囲を表34に記載する。各実施でのカラムローディング物、通過物およびカラム溶出液を収集し、FFAアッセイおよびHCDアッセイを用いて分析した。
【0431】
精製工程収率:カラム精製工程収率を、溶出ウイルス力価×溶出容量÷ローディングウイルス力価×びローディング容量、10^(CS溶出液力価FFU/mL)×溶出容量/(10^(CSローディング力価FFU/mL)×ローディング容量)から計算した。
【表36】
【0432】
8.7.2 結果および考察
試験樹脂A〜Dについての精製実施では、各カラムにca B/マレーシアウイルス株5XUF/5XDF TFF1材料をローディング濃度9.0log
10FFU/mLでローディングした。各実施に対して目標ウイルスローディング量はゲル1mL当たり9.4log
10FFUであった。ウイルスは、3カラム容量(CV)の1M NaCl含有SPバッファーを用いてカラムから溶出させた。試験樹脂A〜Dカラム実施の溶出クロマトグラムを
図19に示している、それぞれパネルA〜D。
図19に示されるように、試験樹脂AおよびBは分離した複数の溶出ピークを示すように思われたが、一方、試験樹脂CおよびDはピークショルダー特性および不均一性を有する単一ピークを示した。
【0433】
表37に、工程収率、カラム溶出液不純物HCDレベル、HCPレベルおよびベンゾナーゼ汚染物質レベルを比較する4つの精製実施の結果を要約している。試験樹脂CおよびDは、試験樹脂AおよびBと比べて工程収率が高く(103.5%および76.5%)、試験樹脂Bの工程収率が最も低かった(14.5%)。不純物HCDレベルに関しては、試験樹脂CおよびDで精製したca B/マレーシアは、試験樹脂AおよびB(0.14ng/用量および0.67ng/用量)と比べてHCDレベルが低かった(0.07ng/用量および0.08ng/用量)。試験樹脂C(0.27ng/用量)および試験樹脂D(0.21ng/用量)で精製したca B/マレーシアのHCPレベルは、試験樹脂A(0.26ng/用量)と類似していたが、試験樹脂B(0.87ng/用量)よりも低かった。試験樹脂CおよびDで精製したca B/マレーシアのベンゾナーゼレベル(0.25ng/用量および0.31ng/用量)は、試験樹脂AおよびB(1.78ng/用量および2.60ng/用量)の場合よりも低かった。
【表37】
【0434】
表38では、4つの試験樹脂実施での通過物におけるウイルス力価は、非常に低い(試験樹脂Cではローディング量に対して感染性粒子総数2.2%)かまたは検出限界(LOD)を示し、これによりウイルスは大部分がゲル1mL当たり9.4log
10FFUのローディングにおいてゲルへと結合されたことが分かる。試験樹脂Cは、通過物におけるウイルス量がより多く、これにより試験樹脂Cは他の3つの試験樹脂と比べて結合能が低い可能性があることが示唆される。これらの4つの実施のベンゾナーゼ洗浄画分も検出できないかまたはウイルスの割合が非常に低かった(試験樹脂Cでは1.2%および試験樹脂Dでは0.9%)。試験樹脂での4つの精製実施の初期スクリーニングの結果より、試験樹脂CおよびDは、工程収率ならびに溶出液不純物レベルおよび汚染物質レベルに関して、他の2つのゲルと比べて優れた機能を示すことがわかった。
【表38】
【0435】
ゲル1mL当たり9.4log
10FFUのローディングでの試験樹脂A〜Dのスクリーニング結果より、ウイルスは大部分が結合されたことが分かったため、これらの樹脂の結合能を評価するために、ゲル1mL当たり9.4log
10FFU、9.9log
10FFU、10.2log
10FFUおよび10.5log
10FFUのローディングレベルのより多いウイルスローディング量を選択した。加えて、試験樹脂EおよびFも評価した。これらのローディングレベルでの工程収率およびHCD不純物レベルに対する影響も評価した。結合能研究結果は下に要約している。表39には、試験樹脂CおよびDの結合能結果を記載している。表40には、試験樹脂A、B、EおよびFの結合能結果を記載している。
【表39】
【表40】
【0436】
表39では、試験樹脂CおよびDでのゲル1mL当たり9.4log
10FFU/mLのローディングにおける実施結果をSPバッファー 1M NaClおよび2M NaCl溶出それぞれに関して比較した。試験樹脂CおよびD溶出ピークが、1M NaCl溶出の場合に見られるピークに対し、単一ピークとなるかどうか評価するために、2M NaCl溶出を実施した。
図20に示されるように、2M NaCl溶出の場合、溶出ピークは両方のゲルでシャープであり不均一性はなかった(
図19Bと
図20Aおよび
図19Dと
図20Bを比較)。表39に示されるように、力価に基づく回収率が試験樹脂Cでは103.5%から90.2%、試験樹脂Dでは76.5%から59.7%となることを考えると、2M NaCl溶出は、試験樹脂CおよびDのいずれにおいても工程収率に重大な影響を及ぼさない。溶出液のHCDレベル(用量当たりのng数を単位として)は、2M NaClで溶出した場合には両方のゲルでわずかに増加し;試験樹脂Cでは0.07ng/用量から0.2ng/用量へ、試験樹脂Dでは0.08ng/用量から0.11ng/用量へと増加した。ウイルスローディング量をより多くした場合のHCDレベルに対する影響の評価では、ローディング量をゲル1mL当たり9.4log
10FFUから9.9log
10FFUへと増加させると、試験樹脂Cでの溶出液HCDレベルは0.2ng/用量から1.26ng/用量へと増加したが工程収率には影響はなかった(90.2%対94.4%)。試験樹脂Cでは、ローディング量をゲル1mL当たり10.2log
10FFUへとさらに増加させると通過画分におけるウイルス破過量が増加を示し(14.4%)、その結果、収率が低下し(79.4%)、溶出液のHCDレベルが増加した(2.19ng/用量)。各ゲルについて破過曲線をまだ評価していないため、結合能は、通過物中に認められたウイルスが2%以下である場合に対応するウイルスローディング量として推定した。よって、ゲル1mL当たり9.9log
10FFUを試験樹脂Cの結合能と推定した。表39に示されるように、試験樹脂Dでは、ウイルスローディング量をゲル1mL当たり9.5log
10FFUから10.2log
10FFUへと増加させると、HCDレベルが0.11ng/用量から0.98ng/用量へと増加したが工程収率に対して大きな効果はなかった(59.7%から79.7%へ)。これは、ゲル1mL当たり10.2log
10FFUのローディング量でも通過物で検出されたウイルスはほんのわずかであった(1.4%)ことが理由である。よって、ゲル1mL当たり10.2log
10FFUが試験樹脂Dの結合能であると推定した。
【0437】
要するに、試験樹脂CおよびDの推定結合能はそれぞれゲル1mL当たり9.9log
10FFUおよび10.2log
10FFUであった。ca B/マレーシア株を用いた一連の研究において、試験樹脂Dは、試験樹脂Cよりおよそ2倍高い結合能を有していた。ウイルスローディング量を増加させると、溶出液HCDレベルも、試験樹脂CおよびDの両方で増加した。同じローディングレベル ゲル1mL当たり10.2log
10FFUのゲルを比較すると、試験樹脂Cの用量当たりのレベルHCD値(2.19ng/用量)は試験樹脂Dより高かった(0.98ng/用量)ため、ウイルスローディング量をより多くした場合、試験樹脂CでのHCDレベルに対する影響は試験樹脂Dより顕著であった。工程収率の観点で種々のウイルスローディング量を比較すると、試験樹脂Cは試験樹脂Dよりわずかに高い工程収率を与えた。
【0438】
初期スクリーニングの結果より、ゲル1mL当たり9.4log
10FFUのローディング量で研究を実施した場合に試験樹脂CおよびDは試験樹脂AおよびBよりも良い精製結果を与えることがわかった。試験樹脂AおよびBならびに2つの追加の試験樹脂(EおよびF)が試験樹脂CおよびDよりもさらに高い結合能を与え得るかどうかを評価するために、試験樹脂A、B、EおよびFを用いて結合能研究を実施し、工程収率について評価した。それらの結果を表40に要約する。この一連の精製実施では、結合したウイルスをSPバッファー 1M NaClで溶出させた(これは第8.6節に示す実施例に記載されるCSクロマトグラフィー工程について用いた溶出バッファー条件である)。
【0439】
表40に示されるように、試験樹脂Eの推定結合能はゲル1mL当たり9.9log
10FFU〜10.2log
10FFUの間であり、これはこれらの2つのローディング範囲で通過物中のウイルスの割合が未検出から8.3%へと増加したためである。試験樹脂Aでは、推定結合能はゲル1mL当たり10.2log
10FFU〜10.5log
10FFUの間であり、これはこれらの2つのローディング範囲で通過物中のウイルスの割合が未検出から6.3%へと増加したためである。試験樹脂BおよびE両方の結合能はゲル1mL当たり少なくとも≧9.9log
10FFUであると推定され、これはより多いローディング範囲で行った実施がなかったためである。
【0440】
ウイルスローディング量をより多くした場合のHCDレベルに対する影響を評価した場合、試験樹脂A、B、E、およびFでのHCDレベルは、ウイルスローディング量をゲル1mL当たり9.4log
10FFUから9.9log
10FFUへと増加させたときに増加した。試験樹脂AおよびEではローディング量をゲル1mL当たり10.2log
10FFUおよび10.5log
10FFUまで増加させたときにさらに高いHCDレベルが観察された。試験樹脂CおよびDと同じウイルスローディング量(ゲル1mL当たり9.9log
10FFU)において、試験樹脂の一部の溶出画分においてより高いHCDレベルが観察された(試験樹脂Aでは3.43ng/用量、試験樹脂Bでは2.9ng/用量、試験樹脂Eでは5.31ng/用量、試験樹脂Fでは1.24ng/用量)(表40)。よって、試験樹脂A、B、EおよびFではウイルスローディング量をより多くした場合のHCDレベルに対する影響が試験樹脂CおよびDの場合よりも著しかった。
【0441】
ウイルスローディングをゲル1mL当たり9.4log
10FFUから10.2log
10FFUへと増加させると試験樹脂Eでは工程収率が82%から47.8%へと低下した(表40)。試験樹脂Aでも、ウイルスローディングをゲル1mL当たり9.4log
10FFUから10.5log
10FFUへと増加させると工程収率が低下した(69.4%から51.5%へ)。試験樹脂BおよびFは両方とも、同じウイルスローディング量(ゲル1mL当たり9.9log
10FFU)での試験樹脂EおよびA(52.0%および61.5%)と比べて相対的に低い工程収率(11.7%および34.9%)を示した。ウイルスローディング ゲル1mL当たり9.4log
10FFUでは同じ傾向が観察され、試験樹脂E(82%)および試験樹脂A(69.4%)では試験樹脂B(14.5%)と比べて工程収率が高かった。試験樹脂を比較すると、試験樹脂CおよびDは種々のウイルスローディング範囲において試験樹脂A、B、EおよびFよりも高い工程収率を与えた。性能を現行のCSゲルと比較するために、種々のウイルス株および回収ロットを用いて試験樹脂CおよびDをさらに評価した。
【0442】
試験樹脂Cを使用し他のウイルス株の精製を評価した。
図21AおよびBはそれぞれ、試験樹脂Cカラムを使用したca A/ウィスコンシンおよびca A/ソロモン諸島の精製実施についての溶出ピーククロマトグラムを示している。それらのピークプロフィールはかなり類似しており、ca B/マレーシア株の場合の精製実施と一致した(
図21C)。表41には、ca B/マレーシア株、ca A/ソロモン諸島株およびca A/ウィスコンシン株の精製についての工程収率および溶出液におけるHCDレベルを記載している。ゲル1mL当たり9.4〜10.0FFUのローディング条件下では、通過物において、カラムに結合されたウイルス全てが観察され、感染性ウイルス粒子総数はローディング量に対して1%未満であった。3株の工程収率は78.9%〜112.5%の範囲に及び、3株全てで比較的同程度であり試験樹脂Cゲルでの先の高収率と同程度であった。宿主細胞DNAレベルは、ゲル1mL当たり9.8log
10FFU未満のローディングではまだ低かったが、高ウイルスローディング量(ゲル1mL当たり10log
10FFU)を用いた場合には溶出液におけるDNAレベルは、1.34ng/用量まで増加した。先行研究におけるca B/マレーシア株を用いた試験樹脂Cゲルを使用する結合能研究でもHCDレベルの類似した増加が観察された。それらの結果より異なる株で精製した場合も試験樹脂は類似した性能を与えることが分かった。
【表41】
【表42】
【0443】
ca B/マレーシアおよびca A/ウィスコンシン、ならびにca B/マレーシアの3つの異なるロットのTFF1(5XUF 5XDF)材料について目標ウイルスローディング総量 ゲル1mL当たり10.5log
10FFU〜10.7log
10FFUで動的結合能研究を実施した。A
280nmトレースの初期ではウイルス量は比較的横ばい状態である。特定のローディング容量を超えると、A
280は大幅に増加し、次第にプラトーに達した。これは、カラムがカラムの能力を超え、その結果ウイルス破過が起こったことを示している。通過物中のウイルスの割合は、各通過画分のウイルス力価をローディング力価で割り100をかけることにより計算した。通過物におけるウイルス濃度の割合とローディング容量により破過曲線をプロットした。ゲルの動的結合能は、通過画分がローディング濃度に対してウイルス濃度10%破過に達したときのゲル1mL当たりの結合能として定義される。
【0444】
CSカラムでは、18mLのウイルスをローディングした場合、通過画分にウイルスの5%が認められた。10%破過での結合能に達したときには、およそ19mLのウイルス溶液がローディングされた。これは、ゲル1mL当たり9.8log
10FFUのローディング(log
10(10^(9.3)×19mL/5.8mL)=ゲル1mL当たり9.8log
10FFU)を示している。よって、ca B/マレーシア/2506/04株ロット番号2番の場合、CSゲルの動的結合能はゲル1mL当たり9.72log
10FFUであると決定された。同様に、試験樹脂Cカラムに27mLのウイルスをローディングし、試験樹脂Dカラムに24mLのウイルスをローディングした場合、通過画分にウイルスの10%が認められた。同じロットのca B/マレーシアの場合、試験樹脂CおよびDの動的結合能はそれぞれゲル1mL当たり9.96log
10FFUおよび9.92log
10FFUであると決定された。いくつかのロットのca B/マレーシアおよび株の場合の試験樹脂C、DカラムおよびCSカラムの動的結合能を表43に要約する。表43に示されるように、動的結合能は様々であり、ローディング材料中のHCDおよびHCPのレベルに依存するように思われた。CSカラムおよび試験樹脂CおよびDカラムの動的結合能はローディング材料のHCDレベルによって影響を受け;ローディング材料のHCDレベルか高くなるほど、ゲルの動的結合能は低くなる。ゲルの動的結合能は、ローディング材料のHCPレベルによってあまり影響を受けないように思われる。一部の宿主細胞DNAがウイルスと結合することから、ウイルスとゲル表面リガンドとの動力学的結合が妨げられ、その結果としてウイルスロットで観察される結合能が低下しDNAレベルが高くなると仮定された。表43に示す4つのロットでは、CSゲルの動的結合能はゲル1mL当たり9.7log
10FFUから10.4log
10FFUまで変化し、試験樹脂Cの結合能は、樹脂1mL当たり9.9log
10FFU〜10.7log
10FFUの範囲に及び、試験樹脂Dの結合能は、ゲル1mL当たり9.9log
10FFUから>10.7log
10FFUの範囲に及んだ。全体的には、評価した条件下では試験樹脂CおよびDゲルの動的結合能はCSゲルより高かった(約2倍)。試験樹脂Dゲルの動的結合能は一部のロットではより高い場合もあったが、試験樹脂Cゲルと少なくとも同程度であった。
【表43】
【0445】
CSと試験樹脂CおよびDとの動的結合能の比較後、ca B/マレーシアの3つのロットを用いて個別の実施を行い、同じローディング条件を用いCSおよびTes樹脂での工程収率およびHCDの除去を評価した。ロットの動的結合能に応じて研究のために各ロットでの目標ローディング力価範囲を選択した。表44に、ca B/マレーシアロット1番でのCSカラム、試験樹脂Cおよび試験樹脂Dカラム精製での種々のウイルスローディング範囲における精製工程収率およびHCDレベルを要約している。試験樹脂CおよびDでの推定結合能はそれぞれゲル1mL当たり9.9log
10FFUおよび10.2log
10FFUであった。これらの研究において、試験樹脂Dは、試験樹脂Cよりおよそ2倍高い結合能を有していた。CSでの結合能は、材料の同じロットを用いてゲル1mL当たり9.7log
10FFUであった。試験樹脂CおよびDは両方ともCSより高い(2倍および4倍)結合能を有していた。ウイルスローディング量を増加させると、試験樹脂CおよびDの両方で溶出液HCDレベルも増加した。同じローディングレベル ゲル1mL当たり10.2log
10FFUのゲルを比較すると、試験樹脂Cの用量当たりのHCDレベル(2.19ng/用量)は試験樹脂Dより高かった(0.98ng/用量)。よって、ウイルスローディング量を増加させた場合、試験樹脂DおよびCSゲルでの溶出液HCDレベルの増加は類似していた。しかしながら、試験樹脂Cゲルでは、HCDレベルの増加はCSゲルよりも顕著であった。種々のウイルスローディング量での工程収率は、試験樹脂Cでは試験樹脂Dと比べて同程度であるかまたはわずかに であった。ウイルス精製をより多いウイルスローディング量条件で実施した場合には、試験樹脂CおよびDカラムはCSカラムより高い工程収率を与えた。全体的には、試験樹脂Dは、CSおよび試験樹脂Cと比べて、より高い結合能とより優れた精製性能を有していた。
【表44】
【0446】
表45に、ca B/マレーシアロット2番でのCS、試験樹脂Cおよび試験樹脂Dを使用したカラム精製での種々のウイルスローディング範囲における精製工程収率およびHCDレベルを要約している。試験樹脂CおよびDおよびCSでの結合能はそれぞれゲル1mL当たり9.96log
10FFU、9.92log
10FFUおよび9.80log
10FFUであった。試験樹脂CおよびDは、CSゲルよりわずかに高い結合能を有していた。ウイルスローディングが動的結合能、ゲル1mL当たり9.8log
10FFU〜9.9log
10FFUに近い場合、3つのゲル全ての工程収率は同程度で47.5%〜62.8%であった。ウイルスローディングがより多い、ゲル1mL当たり10.1log
10FFUでは、CSでの工程収率は25.2%まで劇的に低下し試験樹脂Cでは50.2%まで低下したが、一方試験樹脂Dの収率は63.2%で同様のままであった。ローディングをゲル1mL当たり10.4log
10FFUまで増加させると、CSの工程収率は12.6%までさらに低下し、一方試験樹脂CおよびDの収率はそれぞれ49.8%および39.5%まで低下した。試験樹脂CおよびDの工程収率はCSゲルよりもかなり高かった。
【表45】
【0447】
ウイルスローディング量を増加させると、CSゲル、試験樹脂CおよびDゲルでの溶出液HCDレベルも増加した。同じウイルスローディング量 ゲル1mL当たり9.8log
10FFU〜10.4log
10FFUでのゲルの比較、試験樹脂Cの用量当たりのHCDレベル(0.97ng/用量、2.51ng/用量、2.93ng/用量)はCS(0.5ng/用量、1.91ng/用量、2.43ng/用量)より高く、試験樹脂DでのHCD値が最も低かった(LOD、1.67ng/用量、1.21ng/用量)。試験樹脂Cを使用して精製したウイルスにおけるHCDレベルの増加はCSゲルの場合よりも大きかった。溶出液HCDレベルの増加は試験樹脂DゲルおよびCSゲルでは類似していたが、試験樹脂Dではその増加はより小さかった。全体的には、試験樹脂Dは、特に、より多いウイルスローディング量条件で評価した場合に、CSおよび試験樹脂Cと比べて、より高い結合能とより優れた精製性能(工程収率およびHCDレベル)を有していた。
【0448】
ca B/マレーシアの先の2ロットでの試験樹脂CおよびDカラムとCSカラムの総合的精製性能の評価後、B/マレーシア ロット番号3番を用いてCSゲルをさらに比較するために、精製研究に試験樹脂Dを選択した。それらの結果を表46に要約する。このロットでは、CSおよび試験樹脂Dの動的結合能は同程度であり、CSではゲル1mL当たり10.2log
10FFU、試験樹脂Dではゲル1mL当たり10.1log
10FFUであった。種々のウイルスローディング量での性能を比較すると、HCDレベルはCSゲルと試験樹脂Dゲルの間では同程度であった(全て1.1ng/用量未満)。工程収率については、特に、ウイルスローディング量がより多い、ゲル1mL当たり10.2log
10FFUおよび10.5log
10FFUにおいて、試験樹脂DはCSゲル(46.2%および55.2%)よりもわずかに優れた工程収率(52.8%および65.8%)を与えた。
【表46】
【0449】
精製のスケーラビリティーを評価するために、XK−50カラム(5cm×17cm)に試験樹脂Dゲルを充填しおよそ25倍スケールアップした。10−Lバイオリアクターウイルス回収物、TVCC−2 ロット番号32番ca A/サウスダコタ株を、カラムローディング材料についての方法に記載されるように、SP安定化、DFF1およびTFF1(5X UFおよび5X DF)後に処理した。試験樹脂DおよびCS XK−50カラム(5cm×17cm)それぞれにTFF1(5XUF 5XDF)材料をローディングした。カラム運転条件および作業パラメーター(ローディングおよび洗浄の線流速を含む)、オンカラムベンゾナーゼ処理および溶出工程は、方法の節に記載されるTVCC−1プロセス(20−Lスケール)および小規模実施と同じであった。
図22Cは、XK−50カラムスケールで試験樹脂Dの溶出ピーククロマトグラムを示している。溶出ピークは、溶出初期での小さなプレピーク、続いての主要な単一ピークを示し、小規模溶出クロマトグラムで観察されるような溶出ピークの複数の特徴はなかった(
図22AおよびB)。表47に、試験樹脂Dカラム実施およびCSカラム実施での精製工程収率および溶出液HCDレベルを要約している。総ウイルスローディング量 ゲル1mL当たり10.0log
10FFUでは、試験樹脂Dパイロットスケールアップ精製実施は同程度の工程収率(75.6%)および低HCDレベル(0.15ng/用量)を与え、試験樹脂Dゲルのスケーラビリティーを立証した。CS XK−50カラム実施と比べた際、これらの結果は、試験樹脂Dカラム溶出液のHCDレベルがCSカラム溶出液よりも2倍低いことを示した。
【表47】
【0450】
合計6つの試験樹脂をスクリーニングし、ウイルス精製について評価した。これらの評価には、工程収率、結合能、および不純物レベルの評価が含まれた。試験樹脂CおよびDは、他の4つの試験樹脂と比べてより優れた結合能、より高い工程収率、より低い不純物HCDレベルを示した。試験樹脂BおよびFの工程収率は低すぎて工業規模の調製には考えられなかった。試験樹脂AおよびEの結合能は、試験樹脂CおよびDと比べてわずかに高いかまたは同程度であった;しかしながら、ウイルスローディング量をより多くした場合には、工程収率はそれほど高くなく不純物HCDはかなり高いレベルまで増加した。試験樹脂CおよびDを比較すると、試験樹脂Cでわずかに優れた工程収率が観察されたが、試験樹脂Dは、より多くのウイルス量をローディングした場合に、より高い結合能を有しHCDレベル量に対する影響がより少ないように思われた。これにより、試験樹脂CおよびDが、工業規模の精製における使用に考えることができるクロマトグラフィーゲルであることが示唆された。試験樹脂CおよびDの結合能、工程収率およびカラム溶出液中の宿主細胞DNAレベルを含むさらなる性能評価では、セルファインサルフェイトゲルとの比較により、試験樹脂Dゲルが試験樹脂Cより優れておりそのためさらなるスケールアップ評価にCSの代替として選択されることが示された。4つの異なるウイルスロットの評価では、試験樹脂CおよびDの動的結合能はセルファインサルフェイトに対しておよそ2倍高く(一部のロット)または少なくとも同程度であった。試験樹脂Dは、試験樹脂Cと類似したまたは試験樹脂Cより高い結合能を有していた。工程収率および宿主細胞DNAレベルに関しては、試験樹脂Dは、より多いウイルスローディング量条件では、試験樹脂Cと比べて類似した収率を示したが、CSより一般に高い収率を示した。ウイルスローディング量を増加させた場合、溶出液HCDレベルの増加に対する影響は、試験樹脂DゲルおよびCSゲルで類似していたが溶出液HCDレベルの増加に対する影響は試験樹脂Cでより顕著であった。試験樹脂D溶出液のHCDレベルは評価したロット全てでCSと同程度であった。最後に、試験樹脂D XK−50カラム実施のパイロットスケールアップ評価では、精製収率および溶出液中の宿主DNAレベルが低いことが示され、これによりスケーラビリティーおよび細胞培養に基づくFluプロセス製造の代替クロマトグラフィーゲルとして用いられる可能性が立証された。
【0451】
8.8 RSVの精製
フィルターおよびカートリッジ
1)8μm Sartopure PP2公称フィルター
2)3μm Sartopure PP2公称フィルター
3)0.65μm Sartopure PP2公称フィルター
4)3.0/0.8μm Sartoclean CA膜フィルター
5)0.45μm Millipak 100 PVDFフィルター
6)UF/DF中空繊維カートリッジ、500KDa膜孔径、ルーメンi.d.は0.5mmまたは1.0mmいずれかであってよく、路長は30cmから60cmまで変動してよい
化学製品
1)スクロース
2)Tris.Cl
3)KCl
4)KH
2PO
4
5)K
2HPO
4
6)NaCl
7)KCl
8)EDTA
9)トレハロース
10)SFM4MegaVir
11)クエン酸ナトリウム
12)クエン酸カリウム
13)ベンゾナーゼ
14)NaOH
15)NaOCl
装置
1)加熱装置を備えたウェーブミキサー(Wave Biotech 型番20/50EH
2)10L Stedim社製バッグ(カタログ番号FBP10381)
3)カルボイ
4)ピペット
5)ボトル(250mL、1L Nalgene)
6)GEフレックススタンド
7)ポンプ(Watson Marlow 520 S、620Di)、
8)天秤(Sartorius、型番EB60EDE−1;Sartorius 型番CP4202S)
【0452】
方法論
1)RSV(例えば、rA2cp248/404/1030ΔSH)ウイルスをベロ細胞で増殖させる。現行の生産プラットフォームは10−Lバイオリアクターを使用する。ウイルス回収物(VH)はSFM4MegaVir感染培地(Hyclone)を含む。
【0453】
2)ウイルス回収ウイルスを10−L Stedim社製バッグにプールし、8−または3μmフィルターによりフィード圧15psiでおよび3μmフィルターの場合、有効濾過面積(EFA)1cm
2当たり4〜5mL VHまたは8μmフィルターの場合、EFA1cm
2当たり27mL VHのローディング量で濾過する。その濾液を収集し、10−L Stedim社製バッグで計量する。
【0454】
3)清澄化されたウイルス回収物を50U/mLのベンゾナーゼにより32±3℃で3時間処理する。その回収物を30回/分(rpm)および角度3°で揺動させる。
【0455】
4)清澄化されベンゾナーゼ処理されたVHを0.65μm Sartorius Sartopure PP2フィルターによりフィルターのEFA 1cm
2当たり16〜18mLの清澄化されベンゾナーゼ処理されたVHのローディング量で濾過する。
【0456】
a.次いで、0.65μm濾液を、36mM TrisCl、214mMスクロースおよび150mM NaClまたはKClを含む安定化バッファーにより安定化させる。
【0457】
5)安定化させた濾液を一晩(16±3時間)保存し、限外濾過(濃度)工程で供給材料として用いる。
【0458】
6)GE Healthcare社製500−kDa中空繊維カートリッジ(ルーメンi.d. 0.5〜1mm)を使用して限外濾過工程を実施する。カートリッジへの安定化させた0.65μm濾液ローディング量は膜面積1cm
2当たり10mLである。運転中の膜間差圧(TMP)15psiおよび剪断速度12000秒
−1を用いて供給物を5倍濃縮する。
【0459】
7)濃縮された材料をダイアフィルトレーションバッファーでダイアフィルトレーションする(濃縮物の容量に基づき8〜10倍バッファー交換)。交換バッファーは、、Tris(5mM);スクロース(25%w/v);NaCl(150mM);pH7.2.を含む
8)ダイアフィルトレーションされた材料をローディング量4〜5mL/cm
2の最終フィルター(0.45μm Millipakフィルター)に通す。その濾液は最終バルク(原薬)であり、ボトルに等分する。RSVウイルス原体アリコートの全てをメタノール−ドライアイス浴中でまたは制御速度フリーザーを使用して急速冷凍する。
【0460】
明瞭にし理解するために上述の発明を多少詳しく記載してきたが、この開示を読むことにより本発明の真の範囲を逸脱することなく、形式および細部における種々の変更を行うことができることは当業者には明らかであろう。例えば、上記の全ての技術および装置は種々の組合せで用いてよい。本願において引用される全ての刊行物、特許、特許出願または他の文書は、各個別の刊行物、特許、特許出願または他の文書があらゆる目的のために参照により組み入れられることが個別に示されたのと同じようにあらゆる目的のために参照によりそれらの全体が組み入れられる。加えて、次の米国仮特許:2006年9月16日出願の第60/845,121号;2006年12月22日出願の第60/871,721号;2007年5月9日出願の第60/917,008号;2007年7月25日出願の第60/951,813号;2008年9月24日出願の第61/099,749号;2008年10月13日出願の第61/104,933号;2008年12月15日出願の第61/122,456号;2009年6月17日出願の第61/187721号、および2007年9月14日出願の米国特許出願第11/855,769号は、参照によりそれらの全体が組み入れられる。