特許第5654470号(P5654470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654470電子部品用リードフレームの製造方法及び電子部品用リードフレーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654470
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】電子部品用リードフレームの製造方法及び電子部品用リードフレーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   H01L23/50 K
【請求項の数】20
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-530506(P2011-530506)
(86)(22)【出願日】2009年10月12日
(65)【公表番号】特表2012-505537(P2012-505537A)
(43)【公表日】2012年3月1日
(86)【国際出願番号】EP2009063247
(87)【国際公開番号】WO2010043580
(87)【国際公開日】20100422
【審査請求日】2012年10月5日
(31)【優先権主張番号】102008051491.8
(32)【優先日】2008年10月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンク
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ゲゼレ
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッヒ・ゼガー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ・ジンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・シュティフター
(72)【発明者】
【氏名】オリファー・ヴェルナー
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−171838(JP,A)
【文献】 特開2006−074017(JP,A)
【文献】 特開昭61−272955(JP,A)
【文献】 特開平02−058361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48 − 23/50
H01L 23/28 − 23/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレーム(110)を第1材料から製造する段階、
リードフレーム(110)上の所定の場所にて、第2材料の予め作製しておいたセグメ
ント(130)を配置する段階、
配置したセグメント(130)をリードフレームに溶接する段階
を有するリードフレームの製造方法であって、
そこにおいて、第2材料のセグメント(130)は、ワイヤボンディングに適する表面
を示しており、
第2材料のセグメント(130)は、突起形状の保持突出部によって構成されたチャネルに配置されており、保持突起部は第2材料のセグメント(130)の配置場所の両側方のリードフレーム(110)に一体的に形成されている、リードフレームの製造方法。
【請求項2】
第1材料は、銅、銅合金または鉄/ニッケル合金でできている金属のストリップである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
第2材料は、ワイヤボンディングに適するアルミニウムまたはアルミニウム合金でできている金属のストリップである、請求項1または請求項2に記載の製造
方法。
【請求項4】
第2材料は複合材料であり、銅、銅合金または鉄/ニッケル合金が、ワイヤボンディングに適するアルミニウム、銀または金で覆われている、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
リードフレーム(110)は、打ち抜かれたプリフォームとして作られる、請求項1〜
請求項4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
第2材料のセグメント(130)は、レーザビームを用いてリードフレーム(110)に溶接される、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
第2材料のセグメント(130)は、複数の場所(140,150)にてリードフレーム(110)にスポット溶接される、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
第2材料のセグメント(130)は、セグメントの長手方向側面の溶接シームによって、リードフレーム(110)に溶接される、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の製造
方法。
【請求項9】
スポット溶接部または溶接シームは、第2材料のセグメント(130)の長手方向側面
とチャネルの塞がれる側面との間で、リードフレーム(110)内のチャネルに配置され
る、請求項7または請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
第2材料のセグメント(130)は、背後からリードフレーム(110)を介して部分
的に溶融させられ、それによってリードフレーム(110)に溶接される、請求項1〜請
求項6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
第1材料から製造されたリードフレーム(110)、および
リードフレーム(110)に配置されてそれに溶接された、第2材料の複数のセグメン
ト(130)
を有する電子部品用リードフレームであって、第2材料のセグメント(130)が、ワイ
ヤボンディングに適する表面を示しており、
第2材料のセグメント(130)は、突起形状の保持突出部によって構成されたチャネルに配置されており、保持突起部は第2材料のセグメント(130)の配置場所の両側方のリードフレームに一体的に形成されている、リードフレーム。
【請求項12】
第1材料は、銅、銅合金または鉄/ニッケル合金でできている金属ストリップである、
請求項11に記載のリードフレーム。
【請求項13】
第2材料は、ワイヤボンディングに適するアルミニウムまたはアルミニウム合金でできている金属ストリップである、請求項11または請求項12に記載のリードフレーム。
【請求項14】
第2材料は、銅、銅合金または鉄/ニッケル合金が、ワイヤボンディングに適するアルミニウム、銀または金で覆われている複合材料である、請求項11または請求項12に記載のリードフレーム。
【請求項15】
リードフレーム(110)は、打ち抜かれたプリフォームとして実施される、請求項1
1〜請求項14のいずれかに記載のリードフレーム。
【請求項16】
第2材料のセグメント(130)は、レーザビームを用いてリードフレーム(110)に溶接されている、請求項11〜請求項15のいずれかに記載のリードフレーム。
【請求項17】
第2材料のセグメント(130)は、複数の場所にてリードフレーム(110)にスポ
ット溶接されている、請求項11〜請求項16のいずれかに記載のリードフレーム。
【請求項18】
第2材料のセグメント(130)は、セグメントの長手方向側面にある溶接シームによってリードフレーム(110)に溶接されている、請求項11〜請求項16のいずれかに
記載のリードフレーム。
【請求項19】
スポット溶接部または溶接シームは、第2材料のセグメント(130)の長手方向側面
とチャネルの塞がれる側面との間で、リードフレーム(110)内のチャネルに配置され
ている、請求項17または請求項18に記載のリードフレーム。
【請求項20】
第2材料のセグメント(130)は、背後からリードフレーム(110)を介して部分
的に溶融され、それによってリードフレーム(110)に溶接されている、請求項11〜
請求項16のいずれかに記載のリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用リードフレームおよび関連する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品用リードフレームを製造するための出発材料として用いられるのは、銅または鉄−ニッケル合金のシートである。しかしながら、これらの材料は、ワイヤボンディングには適さない、即ち、リードフレームに配置されたチップの、細線によるリードフレームの個々のフィンガーへの電気接続には適さない。ボンディングワイヤを、加熱または超音波溶接によってリードフレームのフィンガーに溶接することを可能にするために、リードフレームをアルミニウム、銀または金で覆う必要がある。
【0003】
従って、リードフレームのための出発材料として、特にメカトロニクスの分野において用いられるのは、例えばアルミニウムなどの「ボンディング可能な」金属の1つまたはそれより多くの狭いストリップによって、長手方向でクラッドされた薄板金属のストリップである。このクラッド−インレイ(または嵌め込み)方法では、先に記載した合金の1つでできている金属ストリップに、窪みを長手方向に設け、その窪みの中に、ボンディング可能な金属の薄いストリップを押し込む。温度および圧力によって、2つの金属間に金属結合が生じる。次に、リードフレームのフィンガーが、クラッド金属ストリップに対して横方向に走り、かつそれによって各々が、ワイヤボンディングに適する表面を有する場所(「ボンディングアイランド」)を示すように、リードフレームを、クラッド金属ストリップから打ち抜く。
【0004】
図1Aは、この種のリードフレーム100の例を図示し(図1Bでは斜視図で示している)、そこにおいて、フィンガー110それぞれは、ボンディング可能な金属で覆われている領域120を示す。これらのボンディングアイランドにて、ボンディングワイヤを、ワイヤボンディング工程の間、リードフレームに溶接することができ、その結果、リードフレームに配置されたチップとのコンタクトを形成する。必要なコンタクトすべてを形成したら、リードフレームをチップと一緒に封入し、フィンガーの一時的な機械的安定化のためだけに役立つリードフレームの部分を取り除く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
常套の手順の欠点は、クラッド出発材料の高コスト、および打ち抜きに固有の高価なインレイ金属のロスである。更に、不都合なことは、ボンディング可能な金属のストリップ状アレンジメントに付随するリードフレームの形状に対する境界条件である。
【0006】
従って、改良されたリードフレームおよび関連する改良された製造方法を明らかにすることが、本発明の目的である。
【0007】
これは、独立請求項の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の対象である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特有のアプローチは、アンクラッド金属ストリップからリードフレームを製造すること、かつ第2段階でのみ、ワイヤボンディングに適する材料の個々のセグメントをリードフレームのフィンガーに配置して溶接することである。
【0009】
本発明の第1の要旨に基づいて、リードフレームの製造方法を特定する。その方法は、以下の段階:第1材料からリードフレームを製造する段階、リードフレームの所定の場所にて、第2材料の予め作製しておいたセグメントを配置する段階、および配置したセグメントをリードフレームに溶接する段階を含み、第2材料のセグメントは、ワイヤボンディングに適する表面を示す。
【0010】
本発明の第2の要旨に基づいて、電子部品用リードフレームを利用可能にする。リードフレームは、第1材料から製造されたリードフレーム、およびそのリードフレームに配置されてそれに溶接されている、第2材料の複数のセグメントを有して成り、第2材料のセグメントは、ワイヤボンディングに適する表面を示す。
【0011】
第1材料は、銅、銅合金または鉄/ニッケル合金でできた金属ストリップであることが好ましい。打ち抜き−予備形成方法を用いるこの方法で、リードフレームをコスト効率良く製造することができる。更に、合金を、その熱膨張係数が、チップおよび/または注封材料のそれに適合できるように選択してよい。
【0012】
第2材料は、ワイヤボンディングに適する金属、好ましくは、特に好適なボンディング特性および材料コストによって区別されるアルミニウムまたはアルミニウム合金で作られた金属ストリップであることが好ましい。別の実施形態において、第2材料として、複合材料を選択してよく、基材物質、好ましくは銅、銅合金または鉄/ニッケル合金は、ワイヤボンディングに適する金属、好ましくはアルミニウム、銀または金で覆われている。それによって、高価な原材料の利用を一層減らすことができる。同時に、予め作製しておいたセグメントがリードフレームに溶接しやすいことを確保する。
【0013】
リードフレームは、打ち抜かれたプリフォームの形態をとることが好適であり、コスト効率の良い製造を達成できる。
【0014】
第2材料のセグメントを、リードフレーム内のチャネルに配置することが好適である。このようにすると、リードフレーム上でのセグメントの正確な位置決めおよびその後の溶接は、容易になる。
【0015】
第2材料のセグメントを、レーザビームを用いてリードフレームに溶接することが好ましい。ここで、第2材料のセグメントを、複数の場所にてリードフレームにスポット溶接してよく、および/またはセグメントの長手方向側面で、溶接シームによってリードフレームに溶接してよい。それによって、溶接箇所の視覚的な検査が可能である。
【0016】
ここにおいて、スポット溶接部または溶接シームを、第2材料のセグメントの長手方向側面とチャネルの塞がれる側面との間で、リードフレームのチャネル内に有利に配置する。溶接箇所が3つの面によって規定されるということによって、レーザ溶接によるエネルギーの安定な注入が起きる。
【0017】
別の実施形態において、第2材料のセグメントを、背後からリードフレームを介して部分的に溶融させ、それによって、リードフレームに溶接してもよい。これは、特にそれほど厳しくない位置決め要件、より大きな結合断面および自然の煙膜の理由で、有益である。
【0018】
添付の図面を参照して、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A図1Aは、常套のリードフレームの一部を示す。
図1B図1Bは、図1Aによる常套のリードフレームの斜視図を示す。
図2A図2Aは、本発明の1つの実施形態に基づくリードフレームの製造方法における中間段階を示す。
図2B図2Bは、図2Aに図示する本発明の実施形態に基づくリードフレームの斜視図を示す。
図3A図3Aは、本発明の1つの実施形態に基づくリードフレームの一部を示す。
図3B図3Bは、図3Aに図示する本発明の実施形態に基づくリードフレームの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に基づいて、ワイヤボンディングのための出発点として「アイランド」または「パッド」を、単一の基材から打ち抜かれたリードフレームに取り付ける。これは、ボンディング可能な材料の個々のピースを、アイランドを提供するリードフレームの場所に溶接することによって達成される。ボンディング可能な材料のこれらのピースは、金属ストリップの立方状セグメントであることが好ましく、少なくとも上面は、ワイヤボンディングに適する金属、例えばアルミニウム、銀または金でできている。この金属ストリップは、中実のボンディング可能な金属から成ってよく、あるいはこの種の金属の(薄い)層で覆われていてよい。これらセグメントの寸法は、リードフレームのフィンガーの幅によって本質的に制限される。常套のリードフレームの場合もそうであるように、これらのセグメントによって実現されるパッドのサイズは、所望のボンディング方法(ヘビーワイヤボンディング、リボンボンディング、マルチボンディングなど)に適合させられる。
【0021】
図2Aは、打ち抜かれたリードフレーム100の一部を図示し(図2Bにて斜めからも図示されている)、そこには、ボンディング可能な材料の立方状セグメント130が、幾つかのフィンガー110に既に配置されている。ボンディング可能な材料の予め作製しておいたセグメントの配置は、配置場所の両側方でリードフレームに一体的に形成され、それによってチャネルを構成する、ラグ115の形態の保持突出部によって、好適に容易になる。
【0022】
この保持突出部の機能は、組み込みステーションと溶接ステーションとの間に、ボンディング可能な材料の予め作製しておいたセグメントを固定することである。従って、自動装置における2つの別のステーションでの組み込みおよび溶接という機能の実施を可能にし、短いサイクル時間を達成することができる。
【0023】
しかしながら、本発明は、図2Aおよび図2Bに図示される保持突出部の実施形態に限定されず、例えば、より多くのまたはより少ない保持ラグを用いて、または保持ラグの種々のアレンジメントもしくはデザインを用いて構成されてもよい。
【0024】
図2Aおよび図2Bに図示されるリードフレームを、一例として、打ち抜かれたプリフォームとして実施する。しかしながら、本発明を、種々のリードフレーム、例えばフォトリソグラフィーエッチング法によって製造されたリードフレームと併せて実施してもよい。
【0025】
リードフレームに配置されたボンディング可能な材料のセグメントを、その後の段階において、リードフレームに電気的および機械的に接続する。寸法および要求される精度の理由で、レーザ溶接はこの加工段階にとって当然の選択肢である。しかしながら、本発明は、特定の溶接技術に限定されない。それどころか、本発明の利点は、種々の溶接技術、例えば電気溶接によっても達成できる。
【0026】
図3Aは、上に溶接されたボンディングアイランド130を有するリードフレームの一部を示す。このリードフレームの斜視図は、図3Bに図示される。図示される例において、ボンディング可能な材料の個々のセグメントは、スポット溶接部(140、150)で、打ち抜かれたリードフレームのフィンガー110に留められている。スポット溶接部は、個々のセグメントの端面(スポット溶接部150参照)およびセグメントの長手方向側面(スポット溶接部140参照)の双方に設けてよい。ここにおいて、スポット溶接部は、リードフレームのラグ115とセグメント130の側面との間に設置されることが好適である。なぜならこの場合、ラグ115の内側表面、フィンガー110の表面およびセグメント130の側面の構成のために、レーザビームの特に良好な入射を達成できるからである。
【0027】
しかしながら、本発明は、図3Aおよび図3Bにて、単なる例として図示されている、ボンディング可能な材料のセグメントとリードフレームとを溶接するための技術に限定されない。従って、例えば、ハンダスポットの代わりに、SHADOW技術(stepless high accurate and discrete one pulse welding)を用いて短い溶接シームを形成してもよい。別の実施形態において、ボンディング可能な材料のセグメントは、リードフレームの背後から部分的に溶融させられ、その結果、リードフレームの基材に溶接されてよい。
【0028】
本発明に基づく、ボンディングアイランドの後からの溶接のおかげで、ボンディング可能な材料の消費は、常套の製造方法と比べてかなり減らすことができる。リードフレームのためのクラッド出発材料を止めることによって、リードフレームのための製造コストを減少させることができる。更に、ボンディング可能な材料は、ワイヤボンディングによる接続が要求される場所(および場所のみ)に配置されてよい。個々のボンディングアイランドは、リードフレーム上の本質的にいずれの場所に互いに独立して配置してもよく、また、全てがストリップに沿って位置する必要は必ずしもない。従って、リードフレーム、部品ケースおよびピンの配列を構成する際の柔軟性が、向上する。
【0029】
要するに、本発明において、電子部品用リードフレームおよびそれに付随する製造方法が特定され、ボンディングアイランドは、ボンディング可能な材料の個々の予め作製しておいたセグメントを、打ち抜かれたリードフレーム上に溶接することによって、打ち抜かれたリードフレームに形成されることが理解され得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B