特許第5654518号(P5654518)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654518
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】ブッシング接続部絶縁カバー及び開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 31/02 20060101AFI20141218BHJP
   H01H 33/02 20060101ALI20141218BHJP
   H01H 33/53 20060101ALI20141218BHJP
   H02B 1/06 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   H01H31/02 Z
   H01H33/02 A
   H01H33/53 J
   H02B1/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-110878(P2012-110878)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-239309(P2013-239309A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102636
【氏名又は名称】エナジーサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】池戸 雅巳
(72)【発明者】
【氏名】氏原 憲人
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−367493(JP,A)
【文献】 特開昭49−39088(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2333801(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 31/02
H01H 33/02
H02B 1/06
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉器のケースを貫通するブッシングの内端に対し接続導体が接続されるブッシング接続部に装着される接続部絶縁カバーであって、
前記ブッシングの内端に装着されて、前記ブッシング接続部を覆う本体カバーと、
前記本体カバー内に収容されて、前記ブッシング接続部を覆う連結カバーと、を備え
前記本体カバーは、筒状の本体筒と、前記本体筒の正面に前記ブッシングの内端が貫装される取付部と、前記本体筒に形成される挿通孔と、を有し、
前記連結カバーは、前記本体カバー内に収容され、有底筒状の連結筒と、前記連結筒の正面に前記ブッシングの内端が貫通される貫通孔と、前記連結筒の正面の上端から前記貫通孔に至るスリットと、を有する
ことを特徴とする接続部絶縁カバー。
【請求項2】
開閉器のケースを貫通するブッシングの内端に対し接続導体が接続されるブッシング接続部に装着される接続部絶縁カバーであって、
前記ブッシングの内端に装着されて、前記ブッシング接続部を覆う本体カバーと、
前記本体カバー内に収容されて、前記ブッシング接続部を覆う連結カバーと、を備え、
前記連結カバーに段部を設け、
前記ブッシングの内端が前記段部に当接する
ことを特徴とする接続部絶縁カバー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接続部絶縁カバーを、前記ブッシングの内端と前記接続導体とが接続されるブッシング接続部に装着される
ことを特徴とする開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉器のブッシングに導電部材が接続されるブッシング接続部を絶縁するブッシング接続部絶縁カバー及び開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
多回路開閉器では、固定電極と、該固定電極と接触させることで通電する可動電極とからなる回路開閉部がケース内に回路毎に配置されている。これら固定電極と可動電極とは接続端子にそれぞれ接続されている。そして、電源側の接続端子には、相毎に同一の共通母線によって同一相が接続されている。また、負荷側の接続端子には、ケースを貫通するブッシングに接続導体を介してそれぞれ接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の多回路開閉器では、電源側の接続端子と共通母線との共通母線接続部において電極が露出しているとともに、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部において電極が露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−234377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような多回路開閉器では、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部において、異相間及び対地間の絶縁を確保する必要がある。そこで、図9及び図10に示されるように、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部20には、異相間と対地間との絶縁を確保するために絶縁材からなる板状の絶縁バリヤが複数設置されている。すなわち、ブッシング接続部20の異相間には異相間絶縁バリヤ101が設置されるとともに、ブッシング接続部20の下方には対地間絶縁バリヤ102が設置される。また、ブッシング接続部20の正面にも、対地間絶縁バリヤ103が設置される。
【0006】
しかしながら、開閉器の小型化、部品点数の削減、取付作業性の改善、作業工数の削減等の要望によってブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止しながら、絶縁を確保できるブッシング接続部絶縁カバー及び開閉器が求められている。また、多回路開閉器に限らず、開閉器のブッシング接続部においても同様に、ブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止しながら、絶縁を確保できるブッシング接続部絶縁カバー及び開閉器が求められている。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止しながら、絶縁を確保できるブッシング接続部絶縁カバー及び開閉器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、開閉器のケースを貫通するブッシングの内端に対し接続導体が接続されるブッシング接続部に装着される接続部絶縁カバーであって、前記ブッシングの内端に装着されて、前記ブッシング接続部を覆う本体カバーと、前記本体カバー内に収容されて、前記ブッシング接続部を覆う連結カバーと、を備え、前記本体カバーは、筒状の本体筒と、前記本体筒の正面に前記ブッシングの内端が貫装される取付部と、前記本体筒に形成される挿通孔と、を有し、前記連結カバーは、前記本体カバー内に収容され、有底筒状の連結筒と、前記連結筒の正面に前記ブッシングの内端が貫通される貫通孔と、前記連結筒の正面の上端から前記貫通孔に至るスリットと、を有することをその要旨としている。
【0009】
同構成によれば、ブッシングの内端に本体カバーを装着することで、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部が覆われる。そして、本体カバー内に連結カバーを収容して、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部が覆われる。このため、ブッシング接続部の異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。よって、ブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止することができるので、開閉器の小型化、部品点数の削減を行うことができる。
【0011】
また、本体カバーに筒状の本体筒と、前記本体筒の正面に前記ブッシングの内端が貫装される取付部と、前記本体筒に形成される挿通孔とを有した。これにより、本体カバーの取付部をブッシングの内端に装着することで、本体筒によってブッシングの内端及びブッシング接続部20が覆われる。このため、ブッシング接続部の背面上部、背面下部、正面、両側面の異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。そして、本体カバーの挿通孔から連結カバーを本体筒内に挿入し、連結カバーのスリットを拡開して、ブッシングの内端と接続導体とのブッシング接続部を連結筒内に収納することで、連結筒によってブッシング接続部が覆われる。このため、ブッシング接続部の上部、下部、正面、背面、両側面の異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。これら本体カバー及び連結カバーにより、ブッシング接続部の全方位、すなわち異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。よって、ブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止することができるので、開閉器の小型化、部品点数の削減を行うことができる。
【0014】
請求項に記載の発明は、開閉器のケースを貫通するブッシングの内端に対し接続導体が接続されるブッシング接続部に装着される接続部絶縁カバーであって、前記ブッシングの内端に装着されて、前記ブッシング接続部を覆う本体カバーと、前記本体カバー内に収容されて、前記ブッシング接続部を覆う連結カバーと、を備え、前記連結カバーに段部を設け、前記ブッシングの内端が前記段部に当接することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、連結カバーに設けた段部にブッシングの内端が当接する。このため、ブッシングの内端を段部に当接する位置で位置決めして連結カバーが確実に覆うことができる。よって、ブッシングの内端における絶縁を確保することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の接続部絶縁カバーを、前記ブッシングの内端と前記接続導体とが接続されるブッシング接続部に装着されることをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、ブッシングの内端と接続導体とが接続されるブッシング接続部において、異相間及び対地間の絶縁を確保することができる。よって、ブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止することができるので、開閉器の小型化、部品点数の削減を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブッシング接続部絶縁カバーによってブッシング接続部の絶縁バリヤを廃止しながら、絶縁を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】多回路開閉器の概略構成を示す正面図。
図2】多回路開閉器の概略構成を示す2−2断面図。
図3】ブッシング接続部にブッシング接続部絶縁カバーを装着した状態を示す図。
図4】本体カバーの形状を示す断面図。
図5】本体カバーの形状を示す5−5断面図。
図6】連結カバーの形状を示す断面図。
図7】本体カバーに連結カバーを組み付けた状態を示す断面図。
図8】本体カバーに連結カバーを挿入した状態を示す図。
図9】従来の多回路開閉器の概略構成を示す正面図。
図10】従来の多回路開閉器の概略構成を示す1−1断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るブッシング接続部絶縁カバーを多回路開閉器に装着した一実施形態について図1図8を参照して説明する。
図1及び図2に示されるように、多回路開閉器は、5回路分の回路開閉部11が並列にケース10内に配置されている。回路開閉部11は、上下方向において設置され、固定電極12と、該固定電極12と接触させることで通電する可動電極13とが設けられている。すなわち、固定電極12が下側に設置されているとともに、可動電極13が上側に設置されている。
【0021】
固定電極12は、下側接続端子21の一部である。各下側接続端子21は、ケース10を貫通するブッシング22の内端に金属製の接続導体23を介してそれぞれ接続されている。ブッシング22は、絶縁性を有する樹脂で形成されている。ブッシング22の内部には、導電部材22aが貫装されている。ブッシング22の外径は、内端側の方が短くなるテーパ状に形成されている。接続導体23は、複数の屈曲したプレートで形成されている。接続導体23は、中間部分は絶縁性の収縮チューブ25で被覆されており、両端部は露出されている。接続導体23の両端部には、接続用の接続孔23aが形成されている。接続導体23の接続孔23aにボルト24の螺子部24aを貫装して、ブッシング22の内端に接続導体23がボルト24によって固定されている。ブッシング22の内端と接続導体23との接続部分をブッシング接続部20という。ブッシング接続部20は通電部が露出しているので、ブッシング接続部20には弾性絶縁材にて形成された接続部絶縁カバー40が装着されている。
【0022】
可動電極13の基端は、上側接続端子31に回動可能に接続されている。各上側接続端子31には、相毎に同一の共通母線32によって同一相が接続されている。共通母線32は、棒状のプレートである。共通母線32は、中間部分は絶縁性の収縮チューブで被覆されており、共通母線32の各上側接続端子31に対応する位置の各接続部は露出されている。
【0023】
共通母線32の各上側接続端子31に対応する各接続部には接続用の接続孔32aが形成されている。共通母線32の接続孔32aにボルト33の螺子部33aを貫装して、上側接続端子31の端部に共通母線32がボルト24によって固定されている。上側接続端子31と共通母線32との接続部分を共通母線接続部30という。共通母線接続部30は通電部が露出しているので、共通母線接続部30には弾性絶縁材にて形成された共通母線接続部絶縁カバー60が装着されている。
【0024】
図3に示されるように、接続部絶縁カバー40は、ブッシング22の内端に装着されて、ブッシング接続部20を覆う本体カバー41と、本体カバー41内に収容されて、ブッシング接続部20を覆う連結カバー50とを備えている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、本体カバー41は、四角筒状の本体筒42と、本体筒42の正面にブッシング22の内端が貫装される筒状の取付部44とを有する。取付部44には、ブッシング22を貫通させる貫通孔43が形成されている。貫通孔43の内径は、本体筒42側の方が小さくなるテーパ状に形成されており、ブッシング22の内端外形と同一形状に形成されている。本体筒42の背面には四角形状の挿通孔45が形成されている。この挿通孔45は、連結カバー50が挿入可能、且つブッシング22の内端への接続導体23の固定作業が容易な大きさに形成されている。本体筒42は、ブッシング接続部20の正面側を正面絶縁部42a、ブッシング接続部20の背面の上側と下側とを背面絶縁部42b、ブッシング接続部20の左右側面を側面絶縁部42c,42dにより被覆している。本体筒42の内面には、挿通孔45の上縁部に一致する位置に全周に亘って上側凸部46が形成されているとともに、挿通孔45の下縁部に一致する位置に全周に亘って下側凸部47が形成されている。上側凸部46と下側凸部47は、本体筒42の形状維持用の補強である。
【0026】
図6及び図7に示されるように、連結カバー50は、本体カバー41内に収容され、接続導体23の下部及びボルト24を覆う有底筒状の連結筒51を有する。連結筒51の下部は、接続導体23をブッシング22に固定するボルト24を収容するため、連結筒51の上部に対して拡径した拡径部55となっている。一方、連結筒51の上部は、接続導体23の外形と同じ大きさに縮径した縮径部56となっている。
【0027】
連結筒51の拡径部55は、ブッシング22の内端に当接嵌合するブッシング当接面55aが形成されている。ブッシング当接面55aには、ブッシング22の内端が貫通される貫通孔52が形成されている。貫通孔52の内面には、ブッシング22の内端が当接嵌合される円形状の段部53が全周に亘って形成されている。すなわち、ブッシング22の内端の端面及び外周面が段部53に当接して、導電部材22aのみが貫通孔52から連結筒51内に突出している。連結筒51の正面の縮径部56の上端から貫通孔52に至るスリット54が形成されている。拡径部55は、ブッシング接続部20の背面側を背面絶縁部55b及び傾斜面絶縁部55c、ブッシング接続部20の下面側を下面絶縁部55d、ブッシング接続部20の左右側面を側面絶縁部55e,55fにより被覆している。連結筒51の上部である縮径部56の両側面には、本体カバー41の上側凸部46が嵌装する溝部57が形成されている。
【0028】
図7に示されるように、本体カバー41の内面の上側凸部46と連結カバー50の外面の溝部57とによって、本体カバー41と連結カバー50とが凹凸係合される。なお、上側凸部46と溝部57とが凹凸係合部として機能する。よって、上側凸部46と溝部57とが凹凸係合することによって、本体筒42に対して連結筒51の位置が規定され、本体カバー41に対する連結カバー50の組み付け位置を容易に決められる。
【0029】
次に、ブッシング22の内端と接続導体23とが接続されたブッシング接続部20に対する接続部絶縁カバー40の装着方法について説明する。
図4に示されるように、まずブッシング22に対して本体カバー41を装着する。すなわち、ブッシング22の内端に対して本体カバー41の取付部44を対向させ、取付部44の貫通孔43にブッシング22の内端を貫装させる。ブッシング22が貫通孔43に貫装された状態で、本体カバー41を更にブッシング22側へ押し込むと、ブッシング22の外周面に取付部44の貫通孔43の内面がテーパによって密着する。
【0030】
図8に示されるように、続いてブッシング22の先端部に接続導体23をボルト24によって固定する。すなわち、ブッシング22に装着された本体カバー41の上端開口部から接続導体23を挿入する。そして、接続導体23の接続孔23aをブッシング22の内端に位置合わせして、ボルト24の螺子部24aを接続導体23の接続孔23aに貫装して、ボルト24を締め付けることによって、接続導体23をブッシング22に固定する。
【0031】
続いて連結カバー50を本体カバー41内に挿入して、ブッシング接続部20に連結カバー50を装着する。すなわち、連結カバー50の縮径部56を本体カバー41の挿通孔45から挿入する。このとき、連結カバー50のスリット54を使って、連結カバー50の縮径部56を左右方向に開放し、接続導体23の背面側から正面側に回り込ませる。そして、連結カバー50を下方から上方に移動するとともに、ブッシング22の内端を貫通孔52内に当接嵌合させる。すると、拡径部55によってボルト24と、接続導体23の端部とが覆われる。また、縮径部56の内面は接続導体23の外面に密着する。そして、ブッシング22の内端の端面及び外周面に段部53が当接嵌合するとともに密着する。
【0032】
よって、図3に示されるように、本体カバー41と連結カバー50とからなる接続部絶縁カバー40によって、ブッシング接続部20が全方位において覆われているので、ブッシング接続部20に絶縁バリヤを使うことなく絶縁を確保することができる。すなわち、ブッシング接続部20の上部を連結筒51の縮径部56、本体筒42の正面絶縁部42aの上部、背面絶縁部42bの上部、側面絶縁部42c,42dの上部にて覆ったので、ブッシング接続部20の上部の絶縁を確保することができる。また、ブッシング接続部20の下部を連結筒51の拡径部55の下面絶縁部55d、本体筒42の正面絶縁部42aの下部、背面絶縁部42bの下部、側面絶縁部42c,42dの下部にて覆ったので、ブッシング接続部20の下部の絶縁を確保することができる。また、ブッシング接続部20の側面を本体筒42の側面絶縁部42c,42d及び連結筒51の側面絶縁部55e,55fにて覆ったので、ブッシング接続部20の側面の絶縁を確保することができる。また、ブッシング接続部20の正面側を本体筒42の取付部44及び連結筒51のブッシング当接面55aにて覆ったので、ブッシング接続部20の正面側の絶縁を確保することができる。また、ブッシング接続部20の背面側を連結筒51の背面絶縁部55b及び傾斜面絶縁部55cにて覆ったので、ブッシング接続部20の背面側の絶縁を確保することができる。
【0033】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本体カバー41をブッシング22の内端に装着することで、ブッシング22の内端と接続導体23とのブッシング接続部20を本体筒42によって覆われる。そして、本体カバー41の内に連結カバー50を挿入し、ブッシング接続部20を連結カバー50によってブッシング接続部20が覆われる。このため、ブッシング接続部20の全方位、すなわち、異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。よって、ブッシング接続部20の絶縁バリヤを廃止することができるので、開閉器の小型化、部品点数の削減を行うことができる。
【0034】
(2)本体カバー41は筒状の本体筒42と、本体筒42の正面にブッシング22の内端が貫装される取付部44と、本体筒42に形成される挿通孔45と、を有する。また、連結カバー50は有底筒状の連結筒51と、連結筒51の正面にブッシング22の内端が貫通される貫通孔52と、連結筒51の正面の上端から貫通孔52に至るスリット54と、を有する。これにより、本体カバー41の取付部44をブッシング22の内端に装着することで、本体筒42によってブッシング22の内端及びブッシング接続部20が覆われる。このため、ブッシング接続部20の背面上部、背面下部、正面、両側面の異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。そして、本体カバー41の挿通孔45から連結カバー50を本体筒42内に挿入し、連結カバー50のスリット54を拡開して、ブッシング22の内端と接続導体23とのブッシング接続部20を連結筒51内に収納することで、連結筒51によってブッシング接続部20が覆われる。このため、ブッシング接続部20の上部、下部、正面、背面、両側面の異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。これら本体カバー41および連結カバー50により、ブッシング接続部20の全方位、すなわち、異相間及び対地間における絶縁を確保することができる。よって、ブッシング接続部20の絶縁バリヤを廃止することができるので、開閉器の小型化、部品点数の削減を行うことができる。
【0035】
(3)本体カバー41の本体筒42の内面と連結カバー50の連結筒51の外面とに凹凸係合部を形成するようにした。すなわち、本体筒42の内面に形成された上側凸部46と、連結筒51の外側面に形成された溝部57とを係合するようにした。このため、本体筒42に対して連結筒51の位置が規定され、本体カバー41と連結カバー50との組み付け位置を容易に決めることができる。
【0036】
(4)連結カバー50の正面に段部53を設け、段部53がブッシング22の内端の端面及び外周面に当接嵌合するようにした。このため、ブッシング22の内端を段部に当接する位置で位置決めして連結カバー50が確実に覆うことができるので、ブッシング22の内端の端面及び外周面における絶縁を確保することができる。
【0037】
(5)連結カバー50の上部を接続導体23の外形と同じ大きさとしたので、連結カバー50の上端部を接続導体23に密着させて、ブッシング接続部20の接続導体23における絶縁を確保することができる。
【0038】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記構成において、本体カバー41の取付部44の端部外周面に補強用環状凸部を形成してもよい。また、取付部44の端部外周面に上部表示用の突起を形成しても良い。
【0039】
・上記実施形態では、連結カバー50の上部である縮径部56を接続導体23の外形と同じ大きさとしたが、連結カバー50の上部と接続導体23の外形と間に隙間があってもよい。
【0040】
・上記実施形態では、連結カバー50の貫通孔52の内面に段部53を形成したが、段部53を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、本体筒42の内面に形成した上側凸部46と、連結筒51の外側面に形成した溝部57とを凹凸係合させたが、併せて本体筒42の内面に形成した下側凸部47に連結筒51を凹凸係合させてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、本体カバー41の内面に下側凸部47を形成したが、下側凸部47を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、連結カバー50を挿通孔45から本体カバー41内に挿入したが、連結カバー50を本体カバー41の下端開口部から本体カバー41内に挿入してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、本体筒42の内面に上側凸部46を形成し、連結筒51の外側面に溝部57を形成したが、本体筒42の内面に凹部を形成し、連結筒51の外側面に凸部を形成してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、本体筒42の内面に上側凸部46を形成し、連結筒51の外側面に溝部57を形成したが、本体筒42の内面と連結筒51の外側面とに形成される凹凸係合部の構成を省略してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、多回路開閉器に接続部絶縁カバー40を設けたが、多回路開閉器に限らず、他の開閉器に接続部絶縁カバー40を設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…ケース、11…回路開閉部、12…固定電極、13…可動電極、20…ブッシング接続部、21…下側接続端子、22…ブッシング、22a…導電部材、23…接続導体、23a…接続孔、24…ボルト、24a…螺子部、30…共通母線接続部、31…上側接続端子、32…共通母線、32a…接続孔、33…ボルト、33a…螺子部、40…接続部絶縁カバー、41…本体カバー、42…本体筒、42a…正面絶縁部、42b…背面絶縁部、42c,42d…側面絶縁部、43…貫通孔、44…取付部、45…挿通孔、46…上側凸部、47…下側凸部、50…連結カバー、51…連結筒、52…貫通孔、53…段部、54…スリット、55…拡径部、55a…ブッシング当接部、55b…背面絶縁部、55c…傾斜面絶縁部、55d…下面絶縁部、55e,55f…側面絶縁部、56…縮径部、57…溝部、60…共通母線接続部絶縁カバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10