特許第5654579号(P5654579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654579クランプを骨固定装置に固定するための手術器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654579
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】クランプを骨固定装置に固定するための手術器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20141218BHJP
   A61B 17/58 20060101ALI20141218BHJP
   A61B 17/68 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/58
   A61B17/58 310
【請求項の数】41
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-513253(P2012-513253)
(86)(22)【出願日】2010年5月27日
(65)【公表番号】特表2012-527975(P2012-527975A)
(43)【公表日】2012年11月12日
(86)【国際出願番号】US2010036396
(87)【国際公開番号】WO2010138711
(87)【国際公開日】20101202
【審査請求日】2013年5月27日
(31)【優先権主張番号】61/181,558
(32)【優先日】2009年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505377463
【氏名又は名称】ジンテス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】クンツ カイル
(72)【発明者】
【氏名】ガベルベルガー ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ブートワラ ゾヘル
(72)【発明者】
【氏名】マクシェイン エドワード ジェイ ザ サード
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−253540(JP,A)
【文献】 特開2002−291762(JP,A)
【文献】 特表2001−515749(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/011929(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/014477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/70
A61B 17/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプを骨固定装置に固定するように構成された手術器具であって、
前記手術器具が、
近位端と、長手方向軸線に沿って前記近位端から離間された遠位端とを形成するハウジングであって、前記ハウジングは、本体部材とこの長手方向軸線に沿ってこの本体部材を通って延びるハウジング内側内腔とを有するハウジングと、
前記ハウジング内側内腔内に少なくとも部分的に配置された把持アセンブリであって、前記把持アセンブリは、前記骨固定装置に結合された延長部材を把持するように形成される、把持アセンブリと、
前記ハウジングの遠位端によって支持されている駆動部材であって、前記駆動部材は、前記クランプを受け入れるように形成され、ひとたび前記駆動部材が前記クランプを受け入れると、前記駆動部材の回転により、前記クランプを前記骨固定装置に固定させる、駆動部材と、
前記ハウジングに取り付けられ、かつ前記把持アセンブリに移動可能に結合された適応アセンブリであって、前記把持アセンブリに対する前記適応アセンブリの移動により、前記把持アセンブリを、前記駆動部材に対し前記長手方向の軸線に沿って前記ハウジング内側内腔内で並進させる、適応アセンブリと、
前記ハウジングの前記近位端によって支持される操作アセンブリであって、前記操作アセンブリは、前記駆動部材に回転可能に結合され、前記操作アセンブリの回転により前記駆動部材を回転させる、操作アセンブリと、を有していることを特徴とする、手術器具。
【請求項2】
前記駆動部材は、複数のポイントを備えたナットを有する請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記操作アセンブリは、前記駆動部材に回転可能に結合されたトルク部材を更に有する請求項1に記載の手術器具。
【請求項4】
前記操作アセンブリは、この操作アセンブリとの前記トルク部材の分離を考慮するカプリングを有する請求項3に記載の手術器具。
【請求項5】
前記カプリングは、対応する内部及び外部六角ドライブを有する請求項4に記載の手術器具。
【請求項6】
前記トルク部材は、Tハンドルを有する請求項3に記載の手術器具。
【請求項7】
前記把持アセンブリは、
外側シェルと、中空内部と、テーパ付き部分と、ネジ山付き部分とを有するスリーブと、
玉軸受ハウジングと少なくとも1つの玉軸受とを有する玉軸受アセンブリであって、この玉軸受ハウジングが、少なくとも1つの玉軸受を保持するための少なくとも1つの凹部を有し、この玉軸受アセンブリが、前記スリーブに嵌合してこれと摺動可能に係合する前記玉軸受アセンブリと、
前記スリーブネジ山付き部分と解除可能に係合するネジ山付き区画を有するスリーブキャップと、
前記玉軸受ハウジングと前記スリーブキャップの間で前記スリーブの前記中空内部内に収容された第1の付勢部材と、
前記ハウジング内側内腔と摺動可能に係合する外面と、この外面に沿って縦方向に延びるラックと、内部内腔とを有するラック部材であって、前記スリーブの前記外側シェルが、このラック部材内部内腔と係合する前記ラック部材と、を有する、請求項1に記載の器具。
【請求項8】
前記第1の付勢部材は、バネである請求項7に記載の器具。
【請求項9】
前記適応アセンブリは、
前記ハウジングに取り付けられたフレームと、
ハンドルと、
前記ハンドルに結合され、かつ前記フレーム内に位置決めされたピニオンと、を有し、 前記ハンドルの回転が、前記ピニオンの回転を引き起こし、これが、次に、前記ハウジング内側内腔内の前記ラック部材及び前記取り付けられた把持アセンブリの並進を引き起こす、請求項7に記載の器具。
【請求項10】
前記ハンドルは、軸受に結合された把持部材を有し、この軸受は、この把持部材の回転がこの軸受及び前記ピニオンの回転を引き起こすように、このピニオンに結合される請求項9に記載の器具。
【請求項11】
前記把持部材は、前記軸受にピボット式に結合され、付加的な自由度で前記把持部材の移動を可能にする請求項10に記載の器具。
【請求項12】
ストッパ端部を有する前記フレームに取り付けられたキャッチを更に有し、
前記ストッパ端部は、前記ピニオンと係合し、かつ係合中に一方向のこのピニオンの回転を防止する、請求項9に記載の器具。
【請求項13】
前記キャッチは、前記フレームにピボット式に取り付けられ、かつリリース端部を更に有し、このキャッチのこのリリース端部が押し下げられる時に、前記ストッパ端部は、前記ピニオンから外され、このピニオンがいずれの方向にも回転することを可能にする請求項12に記載の器具。
【請求項14】
前記ハウジング内側内腔内に収容され、かつ前記把持アセンブリと前記操作アセンブリとの間に位置決めされた第2の付勢部材を更に有する請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記ハウジング内側内腔内に収容された止め具を更に有し、
前記止め具の近位端が、前記操作アセンブリと係合し、この止め具の遠位端が、前記把持アセンブリと機械的に干渉するように位置決めされ、前記ハウジング内側内腔内のこの把持アセンブリの並進を制限する、請求項1に記載の器具。
【請求項16】
前記手術器具が、さらに、
前記ハウジングに移動可能に取り付けられた締まり嵌めと
前記ハウジングによって支持されているトルク部材であって、前記トルク部材は、前記駆動部材に回転可能に結合され、前記トルク部材の回転により、前記駆動部材を回転させる、トルク部材と、を有し
前記適応アセンブリは、前記適応アセンブリの移動により、前記締まり嵌めを前記駆動部材に関し移動させるように、前記締まり嵌めに移動可能に結合されている請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記締まり嵌めは、本体及び凹部を有し、
前記凹部は、通過部分及び遮断部分を収容する、請求項16に記載の器具。
【請求項18】
前記通過部分は、延長部材が前記締まり嵌めを通って移動することを可能にするサイズにされ、前記遮断部分は、この延長部材がこの締まり嵌めを通過するのを防止するサイズにされる請求項17に記載の器具。
【請求項19】
前記適応アセンブリは、
前記ハウジングに対して固定位置にこのハウジングに接続された第1の取付部材と、
前記ハウジングに摺動可能に接続された第2の取付部材と、
第1の部分と第2の部分とを有する第1の把持部材であって、この第1の部分が、前記第1の取付部材に接続された前記第1の把持部材と、
第1の部分と第2の部分とを有する第2の把持部材であって、この第1の部分が、前記第2の取付部材に接続された前記第2の把持部材と、を有し、
前記第1の把持部材は、前記第2の把持部材にヒンジ式に接続される、請求項18に記載の器具。
【請求項20】
前記第1及び第2の把持部材の前記第2の部分が、より近くに付勢されと、この第1及び第2の把持部材の前記第1の部分は、離れるように付勢される請求項19に記載の器具。
【請求項21】
前記適応アセンブリは、前記第1及び第2の把持部材の前記第2の部分に接続されたトルク制限器を更に有する請求項20に記載の器具。
【請求項22】
キットであって、
前記器具であって、この器具が、さらに、
ソケットシャフトと、このソケットシャフトを通って延びる内腔とを有するソケットアセンブリであって、このソケットシャフトの近位端が前記ハウジングと係合し、かつこのソケットシャフトの遠位端がこの駆動部材を収容する前記ソケットアセンブリとを有し、
前記操作アセンブリが近位端及び遠位端を定め、この操作アセンブリのこの遠位端が前記ハウジングと係合している請求項1に記載された前記器具と、
複数の骨アンカー延長部材であって、各骨アンカー延長部材が、
(i)ネジ山が切られ、かつ骨固定装置の対応するネジ山と係合するように構成された遠位部分であって、この遠位部分が、この骨固定装置内への前記骨アンカー延長部材の挿入深さを制限するための止め具を有する前記遠位部分、
(ii)係合アセンブリを有する対向する近位部分であって、この係合アセンブリが、前記ハウジングの前記内腔よりも小さい外径を有し、かつ前記把持アセンブリによって係合されるように構成された前記対向する近位部分、及び
(iii)前記遠位部分と前記近位部分の間に接続された中間部分、
を有するシャフト、
を有し、前記係合アセンブリが、脊椎固定クランプの内側内腔を通過するように構成された最大外径を有する前記複数の骨アンカー延長部材と、
を有するキット。
【請求項23】
キットであって、
前記手術器具であって、この器具が、さらに、
ソケットシャフトと、内側内腔と、前記駆動部材とを有するソケットアセンブリであって、ソケットシャフトの近位端が、前記ハウジングと係合し、このソケットシャフトの遠位端が、この駆動部材を収容する前記ソケットアセンブリ
前記ハウジングに移動可能に取り付けられた締まり嵌めとを有し、
前記操作アセンブリはトルク部材を有し、この操作アセンブリの近位端が、このトルク部材を収容し、この操作アセンブリの遠位端が、前記ハウジングと係合し、
前記適応アセンブリは、前記適応アセンブリの移動が、前記締まり嵌めを前記ソケットアセンブリから離れる方向に前記ハウジングの前記本体部材に沿って摺動させるように、前記締まり嵌めに結合されている、請求項1に記載された前記手術器具を有し
上記キットは、さらに、複数の骨アンカー延長部材であって、各骨アンカー延長部材が、
(i)ネジ山が切られ、かつ骨固定装置の対応するネジ山と係合するように構成された遠位部分であって、この遠位部分が、この骨固定装置内への骨アンカー延長部材の挿入深さを制限するための止め具を有する前記遠位部分、
(ii)係合アセンブリを有する対向する近位部分であって、この係合アセンブリが、直列に配列された複数のテーパ付きセグメントを有し、このテーパ付きセグメントの各々が、その近位端に向けてより狭く、かつその遠位端においてより広く、このテーパ付きセグメントが、手術器具における干渉部材と係合するように構成された前記対向する近位部分、及び
(iii)前記遠位部分と前記近位部分の間に接続された中間部分、
を有するシャフト、
を有し、前記係合アセンブリが、脊椎固定クランプの内側内腔を通過するように構成された最大外径を有する前記複数の骨アンカー延長部材と、
を有するキット。
【請求項24】
前記手術器具が、さらに、
ソケットシャフトと、このソケットシャフトを通って延びるソケット内腔と、を有するソケットアセンブリであって、このソケットシャフトの近位端が前記ハウジングと係合し、かつこのソケットシャフトの遠位端がこの駆動部材を収容する前記ソケットアセンブリとを有し
前記操作アセンブリが近位端及び遠位端を定め、この操作アセンブリのこの遠位端が前記ハウジングと係合
前記把持アセンブリは、
外側シェルと、中空内部と、テーパ付き部分と、ネジ山付き部分とを有するスリーブと、
玉軸受ハウジングと少なくとも1つの玉軸受とを有する玉軸受アセンブリであって、この玉軸受ハウジングが、少なくとも1つの玉軸受を保持するための少なくとも1つの凹部を有し、この玉軸受アセンブリが、前記スリーブに嵌合してこれと摺動可能に係合する前記玉軸受アセンブリと、
前記スリーブネジ山付き部分と解除可能に係合するネジ山付き区画を有するスリーブキャップと、
前記玉軸受ハウジングと前記スリーブキャップの間で前記スリーブの前記中空内部内に収容された第1の付勢部材と、
前記ハウジング内側内腔と摺動可能に係合する外面と、この外面に沿って縦方向に延びるラックと内部内腔とを有するラック部材であって、前記スリーブの前記外側シェルが、このラック部材内部内腔と係合する前記ラック部材と、を有する請求項1に記載の手術器具。
【請求項25】
前記第1の付勢部材は、バネである請求項24に記載の手術器具。
【請求項26】
前記適応アセンブリは、
前記ハウジングに取り付けられたフレームと、
ハンドルと、
前記ハンドルに結合され、かつ前記フレーム内に位置決めされたピニオンと、を有し、 前記ハンドルの回転が、前記ピニオンの回転を引き起こし、これが、次に、前記ハウジング内側内腔内の前記ラック部材及び前記取り付けられた把持アセンブリの並進を引き起こす、請求項24に記載の手術器具。
【請求項27】
前記ハンドルは、軸受に結合されたタブを有し、この軸受は、このタブの回転がこの軸受及び前記ピニオンの回転を引き起こすように、このピニオンに結合される請求項26に記載の手術器具。
【請求項28】
前記タブは、前記軸受にピボット式に結合され、付加的な自由度で前記タブの移動を可能にする請求項27に記載の手術器具。
【請求項29】
ストッパ端部を有する前記フレームに取り付けられたキャッチを更に有し、
前記ストッパ端部は、前記ピニオンと係合し、かつ係合中に一方向のこのピニオンの回転を防止する、請求項26に記載の手術器具。
【請求項30】
前記キャッチは、前記フレームにピボット式に取り付けられ、かつリリース端部を更に有し、このキャッチのこのリリース端部が押し下げられる時に、前記ストッパ端部は、前記ピニオンから外され、このピニオンがいずれの方向にも回転することを可能にする請求項29に記載の手術器具。
【請求項31】
前記ハウジング内側内腔内に収容され、かつ前記把持アセンブリと前記操作アセンブリの遠位端との間に位置決めされた第2の付勢部材を更に有する請求項30に記載の手術器具。
【請求項32】
前記手術器具が、さらに、
ソケットシャフトと、内側内腔と、前記駆動部材とを有するソケットアセンブリであって、ソケットシャフトの近位端が、前記ハウジングと係合し、このソケットシャフトの遠位端が、この駆動部材を収容する前記ソケットアセンブリと、
前記操作アセンブリは、トルク部材を有、この操作アセンブリの近位端が、このトルク部材を収容し、この操作アセンブリの遠位端が、前記ハウジングと係合
前記把持アセンブリは、前記ハウジングに移動可能に取り付けられた締まり嵌めを有し、前記締まり嵌めは本体及び凹部を有し、前記凹部は、通過部分及び遮断部分を収容する、
前記適応アセンブリは、前記適応アセンブリの移動が、前記締まり嵌めを前記ソケットアセンブリから離れる方向に前記ハウジングの前記本体部材に沿って摺動させるように、前記締まり嵌めに連結されている、請求項1に記載の手術器具。
【請求項33】
前記通過部分は、延長部材が前記締まり嵌めを通って移動することを可能にするサイズにされ、前記遮断部分は、この延長部材がこの締まり嵌めを通過するのを防止するサイズにされる請求項32に記載の手術器具。
【請求項34】
前記適応アセンブリは、
前記ハウジングに対して固定位置にこのハウジングに接続された第1の取付部材と、
第1の取付部材の近位に前記ハウジングに摺動可能に接続された第2の取付部材と、
第1の部分と第2の部分とを有する第1の把持部材であって、この第1の部分が、前記第1の取付部材に接続された前記第1の把持部材と、
第1の部分と第2の部分とを有する第2の把持部材であって、この第1の部分が、前記第2の取付部材に接続された前記第2の把持部材と、を有し、
前記第1の把持部材は、前記第2の把持部材にヒンジ式に接続される、請求項33に記載の手術器具。
【請求項35】
前記第1及び第2の把持部材の前記第2の部分が、より近くに付勢されと、この第1及び第2の把持部材の前記第1の部分は、離れるように付勢される請求項34に記載の手術器具。
【請求項36】
前記適応アセンブリは、前記第1及び第2の把持部材の前記第2の部分に接続されたトルク制限器を更に有する請求項35に記載の手術器具。
【請求項37】
前記ハウジングの遠位端によって支持されているソケットアセンブリをさらに備え、ソケットアセンブリは、ハウジングから延びるソケットシャフトを有し、前記駆動部材は、ソケットシャフトによって支持されている、請求項1に記載の手術器具。
【請求項38】
前記ソケットアセンブリは、長手方向軸線に沿って前記ソケットシャフトを通って延びるソケット内腔を有し、前記ソケット内腔は、前記延長部材を受け入れるように形成されている請求項37に記載の手術器具。
【請求項39】
前記操作アセンブリは、前記ソケットアセンブリに回転可能に結合され、前記操作アセンブリの回転により、前記駆動部材を回転させる請求項37に記載の手術器具。
【請求項40】
前記ソケットシャフトは、前記ソケット内腔及び受け入れられた前記延長部材への可視性を提供する少なくとも1つの凹部を有する請求項38に記載の手術器具。
【請求項41】
前記ソケットシャフトは、前記凹部に沿って深度指示器を有する請求項40に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、その全体を引用により本明細書に組み込む2009年5月27日出願の米国特許仮出願第61/181,558号明細書に対する優先権を請求する。
【0002】
本発明の開示は、一般的にはクランプを骨固定装置に固定するために使用する手術器具に関する。
【背景技術】
【0003】
脊椎すべり症は、骨、典型的には脊椎の下側部分の椎骨が、その下の骨とのアラインメントから滑脱する病状である。隣接する椎骨は、通常は垂直に整列するが、この滑脱は、上椎骨の前部分が下椎骨の前部分よりも遠くに前方向に突出する結果をもたらす。治療しないまま放置すると、脊椎すべり症は、腰背部及び脚の痛みを引き起こす可能性がある。病状を治療して痛みを軽減するために、脊椎融合手術を行うことができる。
【0004】
脊椎融合は、2つ又はそれよりも多くの隣接する椎骨を骨固定装置で接合し、互いに対する椎骨の移動を制限する段階を伴う処置である。脊椎固定装置を脊椎手術に使用し、隣接する椎体間の望ましい関係を整列、安定化、及び/又は固定する。このような装置は、典型的には、例えば、比較的剛的な固定ロッド又は動的又は可撓性の脊椎ロッドなど(本明細書では総称して脊椎ロッドと呼ぶ)のような脊椎ロッドを含み、これは、例えば、フック、ボルト、ワイヤ、スクリューなど(本明細書では総称して骨アンカーと呼ぶ)のような様々な骨固定要素に脊椎ロッドを取り付けることによって隣接する椎骨に結合される。外科医は、一般的に、所定の脊椎疾患を治療するために複数の骨アンカー、並びに複数の脊椎ロッドを取り付けるように選択することができる。更に、外科医は、脊椎ロッド及び骨アンカーを相互接続するために1つ又はそれよりも多くのクランプを組み込むように選択することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来的に、脊椎融合のための外科技術は、複数の器具の使用を必要としているが、これらの各々は、作動させるのに1つよりも多い手の使用を要求する場合がある。すなわち、複数の外科医が、脊椎融合手術を行うのに必要な器具を操作することを要求される場合がある。また、骨アンカーへのクランプの取付を補助するために、様々な形状及びサイズのいくつかの骨アンカー延長部材を使用する場合がある。これは、いくつかの異なる器具が各対応する脊椎固定装置又は骨アンカー延長部材に要求されるという結果をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
骨アンカーに対して望ましい位置内にクランプを移動することができ、かつクランプを骨アンカーに固定することができ、同時に作動させるのに必要な手の数を低減し、かつ様々な範囲の脊椎固定装置及び延長部材を作動させるように調節可能である装置又は手術器具を提供する。
【0007】
一実施形態により、骨アンカーに対してクランプを移動し、骨アンカーに対してクランプを適正に位置決めしてそこに固定する器具を提供する。より具体的には、例えば、Schanzスクリュー、骨アンカーに取外し可能に結合された延長部などのような円筒形シャフトの上をつかみ、及び/又はこれを引っ張り、かつ例えば、骨アンカーに脊椎ロッドを固定するのに使用するクランプのようなインプラントを押し付けて骨アンカーに対してクランプを移動し、クランプを所定の位置に位置付ける装置を使用する。装置はまた、クランプを回転させて骨アンカーに対してナットを締め付け、クランプを骨アンカーに固定するように構成された機構を含むことができる。
【0008】
上述の要約並びに以下の本出願の実施形態の詳細説明は、添付の図面と併せて読めばより良く理解されるであろう。本出願のこの発明を例示するために、図面には好ましい実施形態を示している。しかし、本出願が図示の配置及び手段通りには限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】3つの隣接する椎骨及び2つの椎間腔の背面図である。
図1B】脊椎融合手術が行われた後のいくつかの骨固定装置の配置を示す3つの隣接する椎骨及び2つの椎間腔の背面図である。
図2】ハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリを含む一実施形態により構成された手術器具の斜視図である。
図3A図2に示す手術器具の分解斜視図である。
図3B】骨アンカー、骨アンカー延長部材、脊椎ロッド、及びクランプを含む脊椎固定装置の分解側面図である。
図3C図3Aの線3C−3Cに沿って取った手術器具の断面図である。
図4A図2に示すハウジング及びソケットアセンブリの斜視図である。
図4B図4Aの線4B−4Bに沿ったソケットアセンブリの斜視図である。
図5図2に示す操作アセンブリの側面図である。
図6】一実施形態により構成された図2に示す把持アセンブリの構成要素の側面図である。
図7A】把持アセンブリが骨アンカー延長部材と係合する前の第1の位置の図3Cに示す把持アセンブリの拡大断面図である。
図7B】把持アセンブリが骨アンカー延長部材と係合した第2の位置の図3Cに示す把持アセンブリの拡大断面図である。
図7C】把持アセンブリが骨アンカー延長部材を解除した第3の位置の図3Cに示す把持アセンブリの拡大断面図である。
図8A】把持部材、軸受、ピニオン、ピン、及びボールプランジャを含む一実施形態により構成された図2に示す適応アセンブリの斜視図である。
図8B図8Aに示す把持部材の斜視図である。
図8C】一緒に組み立てた図8に示す適応アセンブリの斜視図である。
図9図3Cに示す把持アセンブリ及び適応アセンブリの拡大断面図である。
図10】骨固定装置に接続された延長部材と係合した手術器具を示すハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリを含む別の実施形態により構成された手術器具の側面図である。
図11図10示す手術器具及び延長部材の側面図である。
図12A図11に示すハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリを含む手術器具及び延長部材の上面図である。
図12B図11の線12B−12Bに沿って延長部材と係合したハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリの断面図である。
図13A】締まり嵌めを含んで骨アンカー延長部材と係合した図10に示す把持アセンブリの断面図である。
図13B図13Aに示す締まり嵌めの斜視図である。
図13C図13Aに示す締まり嵌めの正面図である。
図14】延長部材と係合した手術器具を示すハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリを含む別の実施形態により構成された手術器具の斜視図である。
図15】延長部材と係合した手術器具を示すハウジング、ソケットアセンブリ、操作アセンブリ、把持アセンブリ、及び適応アセンブリを含む別の実施形態により構成された手術器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、単に便宜的にある一定の専門用語を使用し、これらは限定ではない。単語「右」、「左」、「下側」、及び「上側」は、参照する図面内の方向を示すものである。単語「内向き」又は「遠位に」、及び「外向き」又は「近位に」は、装置及びこれらの関連部品の幾何学的中心へ向う方向又はこれから離れる方向をそれぞれ意味する。単語「前部」、「後部」、「上位」、「下位」、及び関連の単語及び/又は語句は、参照する人体の好ましい位置及び向きを示し、限定を意味しない。専門用語は、上記列挙した単語、これらの派生語、及び同様の趣旨の単語を含む。
【0011】
ここで、図面を参照して本発明のある一定の例示的な実施形態を説明する。一般的に、このような実施形態は、脊椎固定処置において骨アンカーにクランプを適応させる(例えば、挿入及び/又は結合する)ための挿入器具に関する。本発明は、他の応用及び用途を有することができ、かつ説明して図示する構造又は用途に限定すべきではない。手術器具は、脊椎において(例えば、腰部、胸部、又は頸部において)以下に説明し、かつ一般的にそこに使用することができるが、当業者は、手術器具を関節、長骨、又は例えば手、顔、脚、四肢、頭部などにおける骨のような身体の他の部分の固定に関連して使用することができることを認めるであろう。
【0012】
図1Aを参照すると、脊椎領域1は、垂直柱3に配列された幾つかの隣接する椎骨2を含む。隣接する椎骨2は、椎間板5を保持することができるそれぞれの椎間板腔4によって分離される。代替的に、椎間板5は、除去することができ、円盤インプラントを椎間板腔5に挿入することができる。図示のように、脊椎領域1は、下椎骨2bの上方に配置されてそれぞれの椎間板腔5aによって分離された上椎骨2aを含む。
【0013】
図1Bを参照すると、脊椎固定アセンブリ15は、脊椎すべり症のような疾患を矯正するのに隣接する椎骨2を互いに融合するように構成される。脊椎固定アセンブリ15は、複数の脊椎固定装置、例えば、少なくとも1対の脊椎固定装置6及び脊椎固定ロッド8を含む。従って、脊椎固定ロッド8は、少なくとも1つの椎間板腔5にわたっている。骨アンカー7は、それぞれのクランプ9に結合され、それぞれの椎骨2、例えば、椎骨2の椎弓根に埋め込まれる。脊椎ロッド8は、脊椎固定アセンブリ15のクランプ9を作動的に結合するようにそれぞれのクランプ9を通って延び、それによってそれぞれの椎骨2を作動的に結合する。骨アンカー7は、例えば、骨アンカー延長部材300(図3B参照)のネジ山付き遠位端を受け取るための雌ネジ内腔のような機構を含むことができる。代替的に、骨アンカー7は、「Schanzスクリュー」、ポストスクリュー(例えば、事前に切断した「Schanzスクリュー」)などとすることができる。脊椎固定アセンブリ15は、隣接する椎骨を作動的に結合するように構成されたアセンブリの一例に過ぎず、あらゆる適切な代替的に構成した脊椎固定アセンブリを必要に応じて実施することができることを理解すべきである。
【0014】
図2図3Cを参照すると、手術器具10は、椎骨2に埋め込まれた骨アンカー7にクランプ9を位置決めして固定するように構成される。手術器具10は、長手方向軸線Lに沿って中心に延び、かつ近位端Pと長手方向軸線Lに沿って近位端Pから離間した遠位端Dとを形成する。横方向Mも、図示のように定められ、これは、長手方向軸線Lに対して垂直である。手術器具10は、ハウジング20、ハウジング20に接続された近位端37を有するソケットアセンブリ30、及びハウジング20と係合する遠位端56を有する操作アセンブリ50を含む。手術器具は、ハウジング20によって担持された把持アセンブリ70、ハウジング20に配置された付勢部材120、及びハウジング20に取り付けられて把持アセンブリ70に移動可能に結合された適応アセンブリ100を更に含む。ソケットアセンブリ30は、クランプ9と係合するように構成され、把持アセンブリ70は、骨アンカー延長部材300と係合するように構成される。以下でより詳細に説明するように、適応アセンブリ100は、クランプ9が望ましい位置になるまで骨アンカー7の方向にソケットアセンブリ30を移動する力を把持アセンブリ70に印加するように構成される。2つ又はそれよりも多くのクランプ9が、骨アンカー7上のこれらの望ましい位置にあり、脊椎ロッド8がクランプ9に取り付けられる時に、脊椎ロッド8は、隣接する椎骨2を適正な垂直アラインメントに作動的に結合する。
【0015】
特に図3Bを参照すると、脊椎固定アセンブリ15は、上述のように骨固定装置6及び脊椎ロッドを含む。骨固定装置6は、上述のように骨アンカー7及びクランプ9を含む。脊椎融合手術中に、骨アンカー7は、椎骨2に固定される。骨固定装置6は、骨アンカー7に固定するように構成された骨アンカー延長部材300を更に含むことができる。一実施形態により、延長部材300は、中心軸309に沿って遠位端307から分離された近位端305を形成する細長い本体303を含む。延長部材300は、細長い本体303の遠位端307から外に突出するネジ山301と、ネジ山301に隣接かつ近接する位置で本体303から外に延びる停止部材311とを更に含む。
【0016】
骨アンカー7は、シャフト43及びシャフトの近位端に結合されたヘッド45を含む。骨アンカー7は、それぞれの椎骨内に押し込まれるように構成されたシャフト43から延びるネジ山49を有するスクリューとして構成することができる。代替的に、シャフト43は、下にある椎骨と係合するように、ネジ山なしか又は歯付きのシャフトを有する釘として又はフックとして構成することができる。骨アンカー7は、ヘッド45に延びる開口47を形成する。ヘッド45は、開口47に配置されたネジ山12を形成する。延長部材300のネジ山301は、手術中に骨アンカー7の対応するネジ山12と係合するように構成される。ネジ山12は、図示のような骨アンカー7の内側の雌ネジ、又は延長部材300と係合する雄ネジ、又は選択的に係合することができて並進力を伝達することができるあらゆる他の特徴部とすることができる。停止部材311と骨アンカー7のヘッド45の間の係合は、延長部材300の遠位端307の開口47への挿入を制限する。
【0017】
クランプ9は、駆動部材13、脊椎ロッド支持部材53、及び駆動部材と脊椎ロッド支持部材53の間に接続されたアーム55を含む。支持部材53は、脊椎ロッド8を担持するように構成されたフックとして示されているが、支持部材53は、望ましいように構成することができることを認めるべきである。図示の実施形態により、駆動部材13は、12ポイントナットであるが、駆動部材13は、代替的に、望ましいように構成することができることを認めるべきである。クランプ9はまた、駆動部材13を通って延びる内側内腔14を含み、骨アンカー延長部材本体303を受け取るサイズにされる。内側内腔14はまた、アンカーヘッド45を受け取るサイズにされる。クランプ9が骨アンカー7に対してその望ましい位置にある状態で、クランプ9は、骨アンカー7に固定される。クランプ9は、コレット様式などの配列を使用して骨アンカー7に固定することができる。クランプ9に対して駆動部材13を回転させるトルクが、操作アセンブリ50を通して駆動部材13に印加される。駆動部材13が回転すると、駆動部材13は、クランプ9の内側内腔14を収縮させる。駆動部材13が十分に締め付けられた状態で、内側内腔14の収縮は、骨アンカー7のアンカーヘッド45上の望ましい位置にクランプ9を保持する締め付け力を生じる。代替的に、アンカーヘッド45は、直接コレットを使用することなく駆動部材13の内側のネジ山と嵌合する雄ネジを有することができる。駆動部材13が締め付けられる時に、アンカーヘッド45のネジ山なし部分(これは、代替の配列においては内側内腔14よりも広い)は、クランプ9に対して引っ張られ、これらの相対位置を固定することになる。次に、骨アンカー延長部材300は、骨アンカー7から取り外される。ネジ山12からネジ山301を外すトルクが、延長部材300に印加される。ネジ山301及び12が外された状態で、延長部材300を取り外すことができる。停止部材311は、内側内腔14よりも小さく、従って、クランプ9が骨アンカー7に対して所定位置に収縮されて固定された状態で停止部材311が依然として内側内腔14内にある場合に、取り外すためにクランプ9を通して摺ることができる。
【0018】
ここで図4A図4Bを参照すると、ソケットアセンブリ30は、中心長手方向軸線Lに沿って遠位端38から近位端37まで延びて縦方向長さL1を定める管状部材であるソケットシャフト31を含む。ソケットシャフト31は、断面を丸くし、狭い手術作業場においてより容易な挿入を考慮し、手術部位において最大可視化を外科医に提供することができるが、他の管形状、正方形、三角形なども、規定の機能性を提供すると考えられる。ソケットシャフト31は、ソケットシャフト31の全長L1を通って延びる内側内腔34を形成する。
【0019】
ソケットシャフト31は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って内側内腔34を通って延びる内径又は断面寸法D1を定める。直径D1は、骨アンカー延長部材303がソケットシャフト31の内側内腔34を通過することを可能にするほどその全長L1に沿って少なくとも十分に大きい。骨アンカー延長部材300は、様々なサイズで利用可能であるが、典型的には約3mmから約6mmの直径の範囲で利用可能である。ソケットシャフト31はまた、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って延びる外径又は断面寸法及びD2を定める。外径D2は、長手方向軸線Lに沿って一定又は可変とすることができるが、外径D2は、D1よりも大きい。長手方向軸線Lに対して垂直な外部表面41から内部表面42まで測定した厚みTは、ソケットシャフトによって定められる。
【0020】
ソケットシャフト31は、その遠位端38にある駆動部材35を含む。駆動部材35は、ソケットシャフト31の内側内腔34内に位置付けられ、駆動部材35が、回転に対して駆動部材13に固定されるように構成されるように、クランプ9の駆動部材13に対応するように構成することができる。例えば、クランプ9が外部12ポイントナットを含む場合、駆動部材13は、内部12ポイント凹部であると考えられる。同様に、クランプ9が内部六角ナットを含む場合、ナットは、外部六角凹部であると考えられる。六角ドライブの観点から説明するが、駆動部材35は、以下に限定されるわけではないが、螺ナット、丸スクリュー、リベット、その他を含む骨アンカー7にクランプ9を固定するのに使用することができるあらゆる他のファスナに対応する形状を含むことができることを理解すべきである。
【0021】
ソケット30は、ソケットシャフト31を通して半径方向に又は横方向に延びる少なくとも1つの凹部32を含むことができる。従って、凹部32は、中心長手方向軸線Lに対して平行に測定した厚みT及び長さXに等しい深さを定める。凹部32は、内側内腔34の内部内への可視性を提供する。凹部32の長さXは変化する場合があるが、それがソケットアセンブリ30を通して進む時に骨アンカー延長部材300の視野を提供するほど十分長い。クランプ9及び骨アンカー7のインタフェースの可視化を提供するために、付加的な凹部32を遠位端38に設けることができる。代替的に、外科医に視覚的支援を提供するために、内側内腔34内に可視性を提供する透明窓又は他の構造をソケットシャフト31に含めることができる。
【0022】
ソケット30は、凹部32に隣接する位置でソケットシャフト31に沿って離間した深度指示器33を更に含むことができる。深度指示器33は、骨アンカー延長部材300がどのくらい遠くにソケットアセンブリ30内に進行しているかに関して外科医に情報を提供する。深度指示器33は、遠位端38からのこれらの距離を示すソケットシャフト31にエッチング又は印刷した数とすることができる。代替的に、深度指示器33は、骨アンカー延長部材300上の同様のマークに対応するハッシュマークとすることができる。これらのマークの整列は、クランプ9に対する望ましい位置が達成されたことを外科医に知らせることができる。
【0023】
ソケットシャフト31の近位端37は、ソケットアセンブリ30をハウジング20に取り付ける。近位端37は、当業技術で公知のあらゆる締結法を使用してハウジング20に取り付けることができる。例えば、近位端37は、ハウジング20において対応するネジ山と係合するように螺入させることができる。代替的に、近位端37は、圧力嵌め又は摩擦嵌めでハウジングに取り付けることができる。他の代替形態は、ピン又は他の締結装置又は溶接のような恒久的取付方法を含む。ソケットアセンブリ30及びハウジング20はまた、一体的に形成することができる。
【0024】
図3B及び図4Aを参照すると、使用時に、骨アンカー延長部材300のネジ山307は、下にある椎骨に埋め込まれた骨アンカー7のネジ山12に固定される。クランプ9の駆動部材13は、ソケットアセンブリ30の駆動部材35に固定される。次に、骨アンカー延長部材300の近位端305は、クランプ9の内側内腔14を縦方向に通過してソケットシャフト31の内側内腔34に入る。図示の実施形態によると、駆動部材35は、クランプ9を骨アンカー7上に締め付けるのに使用される駆動部材13に形状が対応する内部六角ドライブである。代替的に、駆動部材35は、ファスナに対応するあらゆる形状とすることができる。
【0025】
尚も図4Aを参照すると、手術器具10のハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21を通って縦方向に延びる内側内腔22とを含む。ハウジング本体21は、遠位端26と近位端27の間で縦方向に延びて縦方向の長さL2を定める管状部材である。ハウジング本体21は、断面を丸くし、狭い手術作業場においてより容易な挿入を考慮し、手術部位において最大可視化を外科医に提供することができるが、他の管形状、正方形、三角形なども、規定の機能性を提供すると考えられる。内側内腔22は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って内径又は断面寸法D3を定める。ハウジング本体21は、把持アセンブリ70(図3Cに示す)に結合するように、特にこれを受け取るように構成される。特に、直径D3は、把持アセンブリ70が長手方向軸線Lに沿って内側内腔22と適合して内側内腔22内で摺動可能に移動することができるように、把持アセンブリ70よりも大きいサイズにされる。
【0026】
ハウジング本体21は、ハウジング本体21の内側内腔22へのアクセスを可能にする間隙23を形成する。間隙23は、周方向に離間したハウジング本体21の2つの対向する端部28によって形成することができ、外側ハウジング本体21から内側内腔22までオープンアクセスを提供する。間隙23のサイズ及び形状は、互いに係合することができる把持アセンブリ70及び適応アセンブリ100の構造に対応するように変えることができる。図示の実施形態によると、間隙23は、ハウジング本体21の長さL2にわたるスロットである。代替的に、間隙23は、把持アセンブリ70を完全に封入することができるハウジング21からは欠如させることができる。使用時に、ハウジングの遠位端26は、ソケットアセンブリ30の近位端37に接続され、近位端27は、操作アセンブリ50に接続される。
【0027】
ここで図5を参照すると、操作アセンブリ50は、操作本体51を含む。操作本体51は、近位端55及び縦方向に対向する遠位端56を形成するシャフト部材として示されている。操作アセンブリ50の遠位端56は、それが接続されるハウジング本体21の近位端27によって受け取られてかつそれに回転可能に固定することができるようなサイズかつ形状にされる。ハウジング本体21への操作アセンブリ50の結合は、操作アセンブリ50の遠位端56よりも小さいハウジング本体21の近位端27により、図示するように達成することができる。図示のような遠位端56は、管状であり、ハウジング本体21の対応するネジ山と係合するように内部的又は外部的のいずれかで螺入することができる。代替的に、遠位端56は、内側内腔22内に嵌合するサイズにした中実プラグとすることができる。遠位端56に対する別の代替の構造は、ハウジング本体21の上に適合する末端キャップである。更に別の代替形態は、ハウジング20の一部として一体的に形成された操作アセンブリ50を含む。近位端55は、遠位端56に接続されて中心長手方向軸線Lと整列するシャフト62を含む。近位端55は、トルク部材60を含むことができる。トルク部材60は、シャフト62の延長部とすることができ、又は代替的に、トルク部材60は、カプリング57においてシャフト62に接合した分離可能な構成要素とすることができる。カプリング57は、シャフト62及び遠位端56に対してトルク部材60を回転的にロックする作用をする。従って、カプリング57は、シャフト62及びトルク部材60上に対応する係合ドライブを含むことができる。対応する係合ドライブの1つの例は、内部六角及び外部六角ドライブと考えられる。カプリング57はまた、骨アンカー7に固定されている時にクランプ9の締め付けを防止する内蔵トルク制限器(図示せず)を含むことができる。従って、トルク部材60は、トルク部材60に印加された回転付勢力が遠位端56に伝達されるように、遠位端56に回転可能に結合される。
【0028】
トルク部材60は、Tハンドル61とすることができる。Tハンドル61は、外科医の手で掴んでトルクを操作アセンブリ51に印加することを可能にするサイズにされる。代替的に、トルク部材51は、以下に限定されるわけではないが、外科医が掴んでノブ、クランク、突起などにトルクを印加するのに適するあらゆる構造又はハンドルとすることができる。
【0029】
ここで図6及び図7Aを参照すると、把持アセンブリ70は、スリーブ71、付勢部材76、玉軸受アセンブリ80、ラック部材95、及びスリーブキャップ90を含む。スリーブ71は、長さL3を定める長手方向軸線Lに沿って遠位端76及び遠位端76から離間した対向する近位端79を形成する管状部材である。スリーブ71の形状は、ハウジング本体21の形状と適合させることができる。例えば、ハウジング本体21が円形である場合、スリーブ71もそれがハウジング本体21に嵌合するように円形であるが、より小さいサイズにすることができる。スリーブ71は、スリーブ71の全長L3を通って延びる内側内腔73を有する。内側内腔73は、内径又は断面寸法D4を定め、スリーブ71の外側シェル72は、同様に外径又は断面寸法D5を定める。内径D4は、玉軸受アセンブリ80が内側内腔73に嵌合して摺動可能に縦方向に移動することを可能にするほど少なくとも十分大きいサイズにされる。スリーブ71は、その遠位端76においてテーパ付き部分74を有する。従って、内径D4は、遠位端76の方向に縦方向に沿って減少する。外径D5は、ハウジング本体21の内側内腔22に嵌合するサイズにされる。外径D5は、遠位リップ78を除いて長さL3に沿って実質的に一定とすることができる。図示のように、遠位リップ78において、D5は、段階的増加を受ける。代替的に、D5は、遠位リップ78においてテーパ付き増大を始めることができる。遠位リップ78は、スリーブ71がラック部材95内で縦方向に摺動可能であるように、スリーブ71を受け取るラック部材95に対して止め具を提供する外側シェル72における突起として示されている。
【0030】
玉軸受アセンブリ80は、少なくとも1つの凹部82と各凹部82において周方向に配置された玉軸受83の形態のロッキング部材とを有する玉軸受ハウジング81を含む。玉軸受ハウジング81は、スリーブ71の長さL3よりも小さい長さを有する管状部材である。玉軸受ハウジング81の形状は、スリーブ71が、玉軸受ハウジング81を受け取るように構成されるように、スリーブ71の形状に適合させることができる。例えば、スリーブ71が円形である場合、玉軸受ハウジング81も、それがスリーブ71の内側内腔73に嵌合するように円形であるが、より小さいサイズにすることができる。玉軸受ハウジング81は、長手方向軸線Lに沿って玉軸受ハウジング81全体を通って延びる内側内腔84を有する。玉軸受ハウジング81は、1つ又はそれよりも多くの凹部82を含むことができる。これらの凹部82は、丸くて玉軸受83に対応するサイズにされる。凹部82は、玉軸受ハウジング81の厚みを通過する玉軸受ハウジング81における円形開口部であり、そのためにそれは、玉軸受ハウジング81の内部及び外部の両方への玉軸受83のアクセスを同時に可能にする。例えば、凹部82に収容された玉軸受83は、スリーブ71の内部表面及び玉軸受ハウジング81の内側内腔84内に位置決めされた骨アンカー延長部材300の外部表面の両方と同時に接触することができる。玉軸受ハウジング81は、周方向に120度離れて各々離間した3つの玉軸受83を収容することができる。代替的に、玉軸受ハウジング81は、周方向に異なる間隔で離間したより多いか又は少ない玉軸受83を含むことができることは、当業者によって認められるであろう。
【0031】
付勢要素76も、スリーブ71の内側内腔73内に摺動可能に嵌合する。付勢要素76は、内側内腔73に嵌合するサイズかつ形状にされたあらゆる圧縮可能な構造又は材料とすることができる。1つのこのような付勢要素は、D4よりも小さい外径を有する圧縮バネ77である。代替的に、付勢要素76がない場合があり、重力がその代わりに付勢力を提供することができる。
【0032】
ラック部材95は、ラック部材95をハウジング本体21の内側内腔22で受け取ることができるように、ハウジング本体21の形状に適合することができる形状で縦方向長さL4を形成する管状本体99として示されている。例えば、ハウジング本体21が円形である場合、ラック部材95も円形であるが、ハウジング本体21よりも小さいサイズにすることができる。ラック部材95は、長手方向軸線Lに沿ってラック本体99の全長L4を通って延びる内側内腔98を形成する。内側内腔98は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って内径又は断面寸法D6を定める。直径D6は、一定とすることができ、かつラック本体99の内腔98で受け止められるスリーブ71の直径D5よりも大きいサイズにすることができる。ラック本体99は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って延びるラック部材95の外径又は断面寸法D7を定める外面96を形成する。外径D7は、ラック部材95が、ハウジング本体21の内側内腔22内で摺動可能に移動することができるように、ハウジング本体21のD3よりも小さいサイズにされる。ラック部材95は、ラック97又はラック本体99によって保持された他の駆動特徴部を更に含む。ラック97は、歯113又はピニオン108(図8参照)の別の駆動部分109と係合するように構成される。ラック97は、ラック本体99の外面96上に位置決めされ、長手方向軸線Lに対して平行に延びる。
【0033】
スリーブキャップ90は、ラック部材95をスリーブ71に固定する。スリーブキャップ90は、スリーブキャップ90をスリーブ71に固定する係合区画91及び外向きに突出する近位リップ93を含む。係合区画91は、係合区画91がスリーブ71と係合することを可能にするように、スリーブ71に対応する形状を有する管状本体121として設けることができる。テーパ付きスリーブ71への本体121の係合は、解除可能な結合である。係合区画91は、ラック部材本体99が係合区画91を受け取るように構成されるように、ラック部材95の内径D6よりも小さい外径又は断面寸法D8を定める。係合区画91は、スリーブ71の近位端79の内部上の対応するネジ山89と係合するように構成された雄ネジ92を有することができる。代替的に、係合区画91は、スリーブ71の内側内腔73に嵌合するサイズにされた中実プラグとすることができる。代替的に、係合区画91は、以下に限定されるわけではないが、締まり嵌め、ピンなどのような係合区画91及びスリーブ71を解除可能に接合するように構成されたあらゆるタイプのファスナを含むことができることを認めるべきである。近位リップ93は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向に沿って係合区画91から外に延びる円盤部材として示されている。近位リップ93は、ラック部材95の外径D7よりも大きい外径又は断面寸法D9を定める。従って、スリーブキャップ90がスリーブ71に固定された状態で、ラック部材95は、スリーブ71の遠位リップ78とスリーブキャップ90の近位リップ93の間でスリーブ71に対して所定位置に確実に捕捉される。代替的に、スリーブキャップ90は、ラック部材95と一体化することができる。
【0034】
ここで図7A図7Cを参照すると、骨アンカー延長部材300の近位端は、ソケットアセンブリ30の内側内腔34に縦方向に挿入される。延長部材300がハウジング20内に通されると、延長部材300は、スリーブ71の内側内腔73に入る。延長部材300は、玉軸受アセンブリ80(図7A参照)と接触状態になる。延長本体303が、更に手術器具10内に進むと、玉軸受アセンブリ80は、圧縮スクリュー76の力に対抗してハウジング20の近位端27の方向に強制的に戻される。玉軸受アセンブリ80が内側内腔73内で近位に進む時に、内側内腔73は、スリーブ71のテーパ付き部分74に沿って広くなる。従って、玉軸受アセンブリ80が近位に(スリーブ71の近位端79の方向に)進む時に、テーパ付き部分74は、広がる空間の増加を玉軸受83に提供する。最後に、玉軸受83は、延長本体303が近位方向に自由に通過することを可能にする内腔を形成するほど十分に離れることになる(図7B参照)。反対に、玉軸受アセンブリ80は、玉軸受83が、玉軸受83が延長本体303に対してロックするまでテーパ付き部分に沿って遠位に移動する時に互いの方向に乗り、それによって軸受アセンブリ80を延長部材300に結合させるように遠位に進むことができる。
【0035】
再度図3Cを参照すると、ハウジング20は、ハウジング本体21内に配置された止め具130を含むことができる。止め具130は、ハウジング本体21の内側内腔22の内側に配置された縦方向に延びるシャフトとして示されている。止め具130は、近位端131及び縦方向に対向する遠位端132を含む。近位端131は、操作アセンブリ30に取り付けられる。遠位端132は、ハウジング本体21の内側内腔22に延びる。止め具130は、骨アンカー延長部材300が手術器具10に入ることができる深さを制限するのに適切な長さを有することができる。骨アンカー延長部材300は、延長部材300が止め具130の遠位端132と接触するまでソケットアセンブリ30の内側内腔34に、次に、ハウジング20の内側内腔22に近位に進み、それによってハウジング本体21内の延長本体303のあらゆる更に別の近位方向移動を制限する。
【0036】
再度図7A図7Cを参照すると、適応アセンブリ100が作動すると、力は、ラック部材95に印加され、これは、把持アセンブリ70が延長本体303に対して近位に移動することをもたらす。これは、コイル状の圧縮バネ77によって印加される摩擦及び弱いバネ力により、玉軸受83がスリーブ71に対してよりきつく又は遠位に引っ張られることをもたらし、玉軸受83が上述の方式で延長部材300を把持することをもたらす。この配列は、把持アセンブリ70が異なるサイズ、形状、及び表面の様々な骨アンカー延長部材300の範囲と共に機能することを可能にする。
【0037】
把持アセンブリ70に対して遠位方向の骨アンカー延長部材300の更に別の縦方向移動は、玉軸受アセンブリ80とスリーブ71のテーパ付き部分74との間の干渉によって防止される。特に、骨アンカー延長部材300が遠位に移動しようとすると、テーパ付き部分74は、玉軸受83が骨アンカー延長部材300を締め付けるようにする。従って、力が、適応アセンブリ100によって把持アセンブリ70に印加される時に、ハウジング20及びソケットアセンブリ30(取り付けクランプ9と共に)は、骨アンカー7の方向に移動する。
【0038】
ここで、適応アセンブリ100を図8A図8C及び図9に関して説明する。特に、適応アセンブリ100は、一体的又は個別のいずれかでハウジング20に取り付けられたフレーム101を含む。適応アセンブリ100は、フレーム101によって担持されたハンドル105及びピニオン108を更に含む。フレーム101は、2つの平行な対向するタブ102(図4A参照)を含む。各タブ102は、プレート型の構造であり、かつ間隙23がタブ102の間に配置されるように間隙23のいずれかの側でハウジング20に取り付けられる。適応アセンブリはまた、タブ102を通って延びる少なくとも1つの開口103を含むことができる。特に、各開口103は、長手方向軸線Lに対して垂直の方向にそれぞれの凹部103を完全に貫通して延びる。タブ102は、ここで以下に説明するように、ハンドル105及びピニオン108を支持するように構成される。
【0039】
図3A図4、及び図8を参照すると、ピニオン108は、タブ102の間に配置され、ハンドル105は、ハンドル105がピニオン108に対して回転可能であるようにピニオン108に結合される。ピニオン108は、ラック部材95(図3C参照)上のラック97と噛み合う歯113を有する駆動部分109を含む。ピニオン108の駆動部分109は、ピニオン108の横方向移動を制限するようにタブ102の間に位置決めされる。ピニオン108はまた、タブ102のうちの1つを通って駆動部分109から延びるシャフト110を有する。シャフト110の一部分は、フレーム101の第1の開口103を通って延び、かつ凹部111を含む。凹部111は、ハンドル105の対応する凹部112と整列する。整列した凹部111及び112を通して挿入されたピン114は、ピニオン108にハンドル105を回転的にロックする。代替的に、ハンドル105及びピニオン108は、ハンドル105及びピニオン108を互いに対して回転的にロックすることを可能にする溶接、止めスクリューなどのような当業技術で公知のあらゆる他の一時的又は恒久的手段によって接合することができる。
【0040】
図示のように、ヘッド105は、把持部材106及び軸受107を含む。把持部材106は、外科医が適応アセンブリ100を把持してこれにトルクを印加することを可能にするような形状にされた平たい円盤部材である。軸受107は、ピニオン108のシャフト110を受け取る管状部材であり、かつ把持部材102に回転的に結合される。把持部材106及び軸受107はまた、把持部材106をハウジング20に対してピボット回転することを可能にするように、ピン114などによってピボット式に接続することができる。ハンドル105は、把持部材106を軸受107と解除可能に接続し、トルクをピニオン108に印加するために最適アラインメントを維持するボールプランジャ125を収容ことができる。ボールプランジャ125は、把持部材106を軸受107にピボット式に接続する前に、軸受107の凹部126によって受け取られる。ボールプランジャ125が凹部126に完全に挿入される時に、突出部127のみが凹部126から突出する。突出部127は、把持部材106と解除可能に接触し、かつ把持部材が軸受107と適正に整列するように維持する力を提供する。図8Bを参照すると、把持部材は、突出部127と解除可能に係合するディボット128含むことができる。ディボット128は、把持部材106内への凹状の窪みである。外科医が、進む方向を離れて把持部材106をピボット回転させることを望む場合、突出部127によって提供された力に打ち勝つ必要がある。上述のような適応アセンブリ100の実施形態は、図8Cに組み立てられて示されている。
【0041】
図9を参照すると、適応アセンブリ100は、更にキャッチ115を含むことができる。キャッチ115は、ストッパ端部116及びリリース端部117を有するシャフト部材であり、かつフレーム101にピボット式に接続される。タブ102の第2の凹部104(図4A参照)を通してかつキャッチ115の凹部119を通して挿入されるピン118は、キャッチ115をフレーム101に及び従って手術器具10の残りの部分にピボット式に接続するための1つの代替形態である。キャッチ115のストッパ端部116は、ピニオン108と係合し、一方向のピニオンの回転移動を防止する。リリース端部117に方向Fに印加される力は、ストッパ端部116をピニオン108から解除させ、次に、ピニオン108は、双方向に回転することができる。
【0042】
把持アセンブリ70が延長本体303に固定された後に、外科医は、トルクをハンドル105に印加することができ、それによってハンドル105及びピニオン108を一緒に回転させる。ピニオン108の歯113は、ラック部材95のラック97と係合し、手術器具10の長手方向軸線Lに沿ってラック97に付勢力を印加する。手術器具10の長手方向軸線Lに沿った力は、把持アセンブリ70に対する延長本体303の遠位方向移動が防止されるように、延長本体303にロックされている把持アセンブリ70により、ハウジング20及びソケットアセンブリ30を把持アセンブリ70に対して遠位に移動する。ハウジング20及びソケットアセンブリ30の縦方向移動は、駆動部材35内に保持されたクランプ9又は他の固定装置を骨アンカー7上の望ましい位置内に位置付けることを可能にする。
【0043】
手術器具10は、様々な構成要素の縦方向摺動を容易にするように必要に応じて低摩擦コーティングを含むことができる。玉軸受ハウジング80とラック部材95の間のインタフェースは、低摩擦コーティングから利益を得ることができる摺動の1つの区域である。玉軸受83の使用はまた、摩擦を低減して低摩擦コーティングの必要性を排除することができる。低摩擦コーティングを付加する1つの方法は、「プラズマ蒸着」工程によるものである。コーティングは、骨アンカー7を引っ張りながらクランプ9の締め付け中の関連の摩擦を低減する。一実施形態では、スリーブキャップ90及びラック部材95は、「プラズマ蒸着」工程により堆積した低摩擦コーティングで被覆される。玉軸受83と結合した低摩擦コーティングは、手術器具10が骨アンカー延長部材300を引っ張ってクランプ9を押し付けることを可能にし、患者の身体から力を分離する。
【0044】
再度図3A及び図9を参照すると、把持アセンブリ70から延長本体303を解除するために、最初に、キヤッチ115のリリース端部117を押圧し、ストッパ端部116をピニオン108から外す。ピニオン108は、ここで双方向に自由に回転する。ハウジング付勢部材120は、把持アセンブリ70に対抗する力を提供し、把持アセンブリ70全体をハウジング20の遠位端26の方向に移動する。ハウジング付勢部材120は、ハウジング本体21の内側内腔22内で摺動可能に嵌合する。ハウジング付勢部材120は、内側内腔21に嵌合するサイズかつ形状にされたあらゆる圧縮可能な構造又は材料とすることができる。1つのこのような付勢要素は、D3よりも小さい外径を有する圧縮バネ121である。適応アセンブリ100がハウジング20を把持部材70に対して並進させると、ハウジング付勢部材120は圧縮される。
【0045】
図7Cを参照すると、玉軸受ライザー40が、ソケットアセンブリ30の一部として含まれる。代替的に、玉軸受ライザー40は、ハウジング20の遠位端26の一部として含めることができる。玉軸受ライザー40は、スリーブ71の内側内腔73によって受け取られる形状の管状部材である。玉軸受ライザー40は、ポスト41、ポスト41を通って縦方向に延びる内側内腔42、及びスリーブ止め具88を含む。内側内腔42は、延長部材300が内腔42内で縦方向に並進可能であるように延長部材300を受け取るほど十分大きい直径又は断面寸法を有する。ポスト41は、スリーブ71が干渉されないで玉軸受ライザー40を通り越すことができるように、内径D4よりも小さい外径D10を定める管状部材である。スリーブ止め具88は、ポスト41を取り囲む円形止め具である。スリーブ止め具88は、スリーブ71の遠位リップ78を受け取るサイズにされる。
【0046】
キヤッチ115がピニオン108から外される時に、ハウジング付勢部材120は、長手方向軸線Lに沿って内側内腔22内で延長する。ハウジング付勢部材120が延長すると、それは、把持アセンブリ70をソケットハウジング30に押しやる。最終的に、玉軸受アセンブリ80は、ポスト41と接触し、把持アセンブリ70の残りの部分と共にそれ以上遠位に移動することが防止される。しかし、スリーブ71、ラック部材95、及びスリーブキャップ90は、依然として内側内腔22内で遠位に自由に移動する。スリーブ71、ラック部材95、及びスリーブキャップ90は、遠位リップ78がスリーブ止め具88と接触するまで遠位に移動し続ける。スリーブ71の内側内腔73内の近位方向の玉軸受ハウジング81の間のこの相対移動は、玉軸受83が内側内腔73のより大きな直径部分で広がることを可能にする。これは、骨アンカー延長部材300に対する締め付け力を解除し、それによって骨アンカー延長部材300を玉軸受83から解除する。次に、骨アンカー延長部材300は、手術器具10から完全に取り外すことができる。
【0047】
図10図13Dを参照すると、手術器具10は、上述のものと同様のハウジング20、ソケットアセンブリ30、及び操作アセンブリ50を有するように示されている。しかし、手術器具10は、各々が代替的な実施形態により構成された把持アセンブリ270及び適応アセンブリ280を含む。特に、適応アセンブリ280は、第1の取付部材281、第2の取付部材282、第1の把持部材283、及び第2の把持部材284を含む。第1の取付部材281は、タブ本体290及び本体290から半径方向又は横方向に外に延びるタブ部分291として示されている。適応アセンブリ280は、本体部分290を通って延びる内側内腔292を更に含む。内側内腔292は、ハウジング20を受け取るサイズにされる。タブ部分291は、本体部分290から離れて延び、タブ部分291を第1の把持部材283に取り付けるファスナを受け入れるサイズにされた孔293又は他の凹部によって形成することができる。
【0048】
同様に、第2の取付部材282は、管状本体294及び本体294から半径方向又は横方向に外に延びるタブ部分295を含む。本体部分294は、ハウジング20を受け取るサイズにされた内側内腔296を含む。タブ部分295は、本体294から離れて延び、タブ部分295を第2の把持部材284に取り付けるファスナを受け入れるサイズにされた孔297又は他の凹部によって形成することができる。第2の取付部材282は、取付部材281に近い位置でハウジング20に取り付けられる。
【0049】
第1の把持部材283は、出力端部285及び入力端部286を含むシャフト部材として示されている。第1の把持部材283は、外科医が入力端部286を把持してこれに力を印加することを可能にするあらゆる形状とすることができる。出力端部285は、出力端部285を第1の取付部材281にピボット回転可能に取り付けるために第1の取付部材281の貫通孔293と整列する貫通孔298を形成する。同様に、第2の把持部材284は、出力端部287及び入力端部288を含むシャフト部材である。第2の把持部材284は、外科医が入力端部288を把持してこれに力を印加することを可能にするあらゆる形状とすることができる。出力端部287は、出力端部287を第2の取付部材282にピボット回転可能に取り付けるために第2の取付部材282の貫通孔297と整列する貫通孔299を収容する。第1及び第2の把持部材283、284は、これらの出力端部285、287とこれらの入力端部286、288の間の位置においてピボット式に互いに結合される。このピボット式結合は、一実施形態では、入力端部286、288が一緒に移動する時に、第1及び第2の取付部材281、282の出力端部をハウジング20に沿って互いに離れて摺動させるピン接合279によって達成することができる。線形ラチェット289は、第1及び第2の把持部材283、284に接続することができる。線形ラチェット289は、外科医が第1及び第2の把持部材283、284を解除した後に適応部を保持する作用をする。線形ラチェット289は、ラチェット機構を外して適応部を解除するのに使用することができる解除部278を含む。
【0050】
把持アセンブリ270は、代替的な実施形態により構成された骨アンカー延長部材400と係合するように構成される。特に、延長部材400は、遠位端402、縦方向に対向する近位端404、及び近位端404と遠位端402の間に配置された中間部分403を定めるシャフト401を含む。延長部材400は、延長部材400を骨アンカー7に固定するように、シャフト401の遠位部分402によって保持されたネジ山405又は代替の係合特徴部を含む。中間部分403は、遠位端402を近位端404に接続する。近位端404は、分割部分406を含む。分割部分406は、図13に示すように、傾斜近位面407及び平坦遠位面408を有する一連の繰返しテーパ409を有する。各テーパ409は、最小外径又は断面寸法D11及び最大外径又は断面寸法D12を定める。直径D11及びD12は、分割部分406を通して一定とすることができる。直径D12は、ハウジング20に嵌合して摺動可能に移動するサイズにされる。骨アンカー延長部材400は、様々なサイズであるが、典型的には約3mmから約6mmの最小外径の範囲で利用可能である。
【0051】
図示の実施形態により、把持アセンブリ270は、ハウジング20に摺動可能に取り付けられ、かつ同じく第2の取付部材282に摺動可能に結合された締まり嵌め271を含む。締まり嵌め271は、凹部273を有する本体272を含むプレート部材として示されている。本体272は、ハウジング20と摺動可能に係合するサイズにされ、かつあらゆる形状とすることができるが、手術部位の可視性に干渉しないように、本体は、ほぼハウジング20の形状に対応することが望ましい。凹部273は、長手方向軸線Lに沿って本体272全体を通って延び、かつ通過部分274及び遮断部分275を含む。通過部分274は、凹部D14を定める遮断部分275のものよりも大きい直径又は断面寸法D13を定める。締まり嵌め271の直径D13は、通過部分274が長手方向軸線Lと整列する時に、骨アンカー延長部材400が自由に摺ることを可能にするように直径D12よりも大きい。凹部14は、テーパ付きになっており、締まり嵌め271の遠位面276において最も小さく、かつ締まり嵌め271の近位面277で最も大きい。遠位面276において、凹部D14は、直径D11よりも大きいが、直径D12よりも小さい。従って、遮断部分275が長手方向軸線Lと整列する時に、最小外径D11は、締まり嵌め271を通して摺ることができるが、最大外径D12は、締まり嵌め271を通して摺るのが停止される。
【0052】
作動中に、延長スクリュー400は、骨アンカー7においてネジ山405を受け取りネジ山12と係合させることによって骨アンカー7と係合する。クランプ9は、ソケットアセンブリ30の駆動部材35と係合し、延長スクリュー400は、手術器具10のソケットアセンブリ30を通して挿入される。延長部材400の分割部分406は、締まり嵌め271の通過部分274を通って移動する。次に、締まり嵌め271は、横方向に摺って、遮断部分275を平坦遠位面408と整列させ、それによって延長部材400が手術器具10から後退して出るのを防止する。入力端部286及び288が一緒に押される時に、出力端部285及び287は、互いに離れるように押され、それによって同じく互いに離れる方向に、出力端部285及び287それぞれに接続された第1及び第2の取付部材281及び282を押す。遮断部分275は、締まり嵌め271及び延長部材400が互いに対して移動するのを防止する。延長部材400は、係止された骨アンカー7、第1の取付部材271、及びハウジング20に取り付けられるので、延長部材400は、強制的に骨アンカー7の方向に遠位に移動するように接続され、それによって駆動部材35内に保持されたクランプ9を骨アンカー7上の望ましい位置内に位置付けることを可能にする。クランプ9が望ましい位置にある状態で、クランプ9は、上述の方式で操作アセンブリ50によりトルクを印加することによって固定することができる。次に、締まり嵌め271は、通過部分274を延長部材400と整列するように横方向に摺ることができ、その結果、これは、延長部材400を手術器具10から自由に取り外すことを可能にする。次に、延長部材400は、骨アンカー7から取り外すことができる。
【0053】
図14及び図15は、手術器具10のための代替の配列及び代替の構成要素を表示している。参照番号は、同様の構成要素を示すように数百だけ増分している(図2のソケットアセンブリ30及び図14のソケットアセンブリ530など)。図14を参照すると、手術器具510の代替的な実施形態は、ハウジング520、ソケットアセンブリ530、操作アセンブリ550、把持アセンブリ570、及び適応アセンブリ600を含む。図10及び図11の実施形態に関して上述したものと同様に、図14の実施形態が構成されて延長部材400と係合する。図示のように、操作アセンブリ550は、適応アセンブリ600から遠位にハウジング520に取り付けられる。操作アセンブリ550のこの配置は、この実施形態を上述の実施形態よりも小型にし、外科医が手術するのにより広い空間を可能にすることができる。適応アセンブリ600は、図11に関して上述した線形ラチェット289を含み、外科医が第1及び第2の把持部材283、384を解除した後に適応部を保持することができる。線形ラチェット289は、ラチェット機構を外して適応部を解除するのに使用することができる解除部278を含む。
【0054】
図15を参照すると、手術器具710の代替的な実施形態は、ハウジング720、ソケットアセンブリ730、操作アセンブリ750、把持アセンブリ770、及び適応アセンブリ800を含む。図示の実施形態では、操作アセンブリ770は、ソケットアセンブリ730とのアラインメントから外れて装着される。代替的に、操作アセンブリ770は、ソケットアセンブリ730に対して垂直に装着することができる。操作アセンブリ770は、操作アセンブリ770内に収容された歯車725を含む。歯車725は、入力対出力トルクの方向の変化(必要に応じて)又は機械的利点を提供するサイズにされてハウジング720内に配列される。トルク部材60(図5に示す)は、操作アセンブリ770に取り付けられ、外科医がトルクを延長部材400に供給して延長部材400を骨アンカー7に固定することを可能にすることができる。把持アセンブリ770は、可撓性部材772と係合するサムスクリュー771を含む。可撓性部材772は、適応アセンブリ800に取り付けられ、かつ延長部材300を受け取る内側内腔773を含む。サムスクリュー771が締め付けられる時に、それは、可撓性部材772を曲げ、これは、内側内腔773を収縮させる。この収縮は、上述のように、骨アンカー7上へのクランプ9の適応中に延長部材300を所定位置に保持する締め付け力を生じる。
【0055】
いくつかの骨アンカー延長部材を本明細書に説明したことを認めるべきである。すなわち、複数の骨アンカー延長部材と複数の骨アンカー延長部材に係合するように構成された手術器具とを含む脊椎固定キットを提供することができる。
【0056】
本発明の広範な発明概念から逸脱することなく、上述の好ましい実施形態に変更を行うことができることは当業者によって認められるであろう。従って、本発明は、開示した特定的な実施形態に限定されるものではなく、修正を本発明の説明によって定めるような本発明の精神及び範囲内に包含するように意図していることが理解される。
【符号の説明】
【0057】
10 手術器具
50 操作アセンブリ
70 把持アセンブリ
100 適応アセンブリ
D 遠位端
P 近位端
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14
図15