(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654628
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20141218BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20141218BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20141218BHJP
G02F 1/1345 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
G09F9/00 348A
G02F1/1333 500
G09F9/30 330
G09F9/30 338
G02F1/1345
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-62091(P2013-62091)
(22)【出願日】2013年3月25日
(62)【分割の表示】特願2008-43293(P2008-43293)の分割
【原出願日】2008年2月25日
(65)【公開番号】特開2013-164603(P2013-164603A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2013年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093506
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 洋二
(72)【発明者】
【氏名】東 人士
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 進
(72)【発明者】
【氏名】矢口 富雄
(72)【発明者】
【氏名】海老根 隆男
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝勇
(72)【発明者】
【氏名】内野 正市
(72)【発明者】
【氏名】岩田 晶子
【審査官】
請園 信博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−280035(JP,A)
【文献】
特開2003−086356(JP,A)
【文献】
特開2001−083535(JP,A)
【文献】
特開2005−043810(JP,A)
【文献】
国際公開第94/022044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
G09F 9/30 − 9/46
H01L 27/32
G02F 1/1335− 1/13363
G02F 1/1343− 1/1345
1/135 − 1/1368
G02F 1/13
1/137 − 1/141
G02F 1/133 − 1/1334
1/1339− 1/1341
1/1347
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックを含む第1の基板と、前記第1の基板と対向するプラスチックを含む第2の基板と、前記第1の基板上に形成された薄膜トランジスタと、前記第1の基板上に形成され且つ前記薄膜トランジスタに接続されている端子と、前記第1の基板上に形成され且つ前記端子が配置されている配線接続部とを有する表示装置であって、
前記配線接続部には、前記端子と接続されている配線基板が配置され、
前記第2の基板は、平面的に見て、前記配線接続部および前記配線基板の前記配線接続部上に位置する部分と重畳する第1の部分と、前記薄膜トランジスタと重畳する第2の部分とを有し、
前記配線接続部および前記配線基板の前記配線接続部上に位置する前記部分と、前記第1の部分との間には、接着層が形成され、
前記接着層は、前記第1の部分から前記第2の部分まで連続して形成されていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記接着層は、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する面の全域に連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の基板は、プラスチック基板であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記プラスチック基板は、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記配線基板は、フレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記接着層は、塗布膜であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1の基板上に無機絶縁膜が形成され、前記薄膜トランジスタは前記無機絶縁膜上に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記無機絶縁膜は、窒化シリコンを含むことを特徴とする請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係り、特に、極薄型・軽量でフレキシブルな表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置など、所謂フラットパネル型表示装置は、薄膜トランジスタ(TFT)回路を形成した一方の基板(アクティブ・マトリクス基板、TFT基板)と、このTFT基板との間に液晶層、あるいは発光層などを保持する対向基板又は封止基板で構成される。これらの基板にはガラス材料を用いるのが一般的である。特に、TFT基板には、TFT形成において高温プロセスが必要であるための耐熱性を有し、熱膨張係数が小さく、安価な材料であることからガラス基板が用いられている。しかしながら、ガラスは脆く、基板の厚さを薄くするには限界があり、表示装置の薄型化、軽量化、フレキシブル化を進める上で障害となっている。
【0003】
図6は、従来の液晶表示装置の平面図である。また、
図7は、
図6のX−X’線に沿った断面図である。
図6に示す液晶表示装置は、第1のガラス基板である薄膜トランジスタ基板(TFT基板)SUB1と第2のガラス基板である対向基板(カラーフィルタ基板、
CF基板)SUB2の主面同士の間に液晶LCを封止し、枠状のシール剤SLで貼り合せて構成される。TFT基板SUB1の主面には、薄膜トランジスタTFT、図示しない画素電極、配線類が形成されている。CF基板SUB2の主面には、図示しないブラックマトリクスで区画されたカラーフィルタCF、TN型の場合は対向電極(図示せず)が形成されている。
【0004】
対向基板SUB2の一辺は、薄膜トランジスタ基板SUB1の対応する辺から若干後退させ、該TFT基板SUB1の一部の主面を露出させて配線接続部TMAとする。この配線接続部TMAに配線材FPCを接続する。配線材FPCは、所謂フレキシブルプリント基板であり、TFT基板SUB1の配線接続部TMAに一端を接続し、他端側に外部回路と接続する。
【0005】
前記したように、TFT基板SUB1上に薄膜トランジスタ回路用の半導体薄膜を形成するが、この形成工程で高温プロセスが必要になるため、基板にはガラス基板を使用する。このため、例えば、表示装置を湾曲させるためには、ガラス基板を薄くすることによってある程度の曲げが可能である。しかし、特許文献1に示すように、ガラス基板の厚みを薄くするには限度があり、しがって、その曲げの大きさには限界がある。
【0006】
ガラス基板では、自由に曲げられるフレキシブルな表示装置を作ることはできない。そのため、特許文献2に示すように、プラスチック基板を用いることによって、表示装置を自由な変形させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005‐115087号公報
【特許文献2】特開平7‐140451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、プラスチック材料は耐熱性がなく、高性能の半導体薄膜を形成するのは困難であり、薄膜トランジスタ回路のための半導体膜を形成する高温プロセスを適用するTFT基板にプラスチック基板を用いることは難しい。
【0009】
本発明の目的は、半導体膜を形成する高温プロセスとは関係なく、プラスチック基板を構成部材とした液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液晶表示装置は、薄膜トランジスタを有する画素が形成される絶縁基板を備え、該絶縁基板は、画素回路を含む薄膜トランジスタ回路を備えた第1の基板と、該第1の基板との間で液晶層を挟持して封止する第2の基板とを有する。
【0011】
そして、前記第1の基板と前記第2の基板の両方、又は該第2の基板はプラスチック基板であり、
前記第1の基板の主面に第1の接着剤で接着されたシリコン層を有し、該シリコン層上に薄膜トランジスタ回路と、前記シール剤を横断して前記薄膜トランジスタ回路から前記表示領域の外側に引き出されて外部回路から表示のための信号および電圧を入力する配線材を接続した配線接続部を備え、
前記第2の基板の主面に、第2の接着剤で接着されたシリコン層を有し、該シリコン層上にカラーフィルタ層を備え、
前記第2の接着剤は、前記シール剤の外側で、前記配線接続部とこの配線接続部に接続された前記配線材を覆って前記第1の基板と前記第2の基板の間に充填されていることを特徴とする。
【0012】
この液晶表示装置の製造では、第一の基板と弟2の基板の両方、もしくはそれらの一方の基板をガラス基板とする。この状態から、第1の基板と第2の基板の両方の基板もしくは少なくともどちらか一方のガラス基板を化学的にもしくは機械的に除去してプラスチック基板もしくは偏光板を貼る。また、もう一方のガラスも化学的にもしくは機械的に除去してプラスチック基板もしくは偏光板を貼ることによって、両基板共に、完全にプラスチック基板化する。
【発明の効果】
【0013】
表示装置のフレキシブル性が向上することにより、表示装置のデザインの選択性が増す。そして、表示面が曲面化できることで、表示のリアル観を増すことができる。また、機能性、軽量、コンパクト化が実現できる。なお、本発明は、液晶表示装置に限らず、OLED(有機ELディスプレイ)、FED(フィールド エミッション ディスプレイ)などのフラットタイプの表示装置にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の表示装置の実施例1を説明する液晶表示装置の平面図である。
【
図3A】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図3B】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Aに続く図である。
【
図3C】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Bに続く図である。
【
図3D】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Cに続く図である。
【
図3E】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Dに続く図である。
【
図3F】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Eに続く図である。
【
図3G】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Fに続く図である。
【
図3H】本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図3Gに続く図である。
【
図4】本発明の表示装置の実施例2を説明する液晶表示装置の断面図である。
【
図5A】本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
【
図5B】本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図5Aに続く図である。
【
図5C】本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図5Bに続く図である。
【
図5D】本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図5Cに続く図である。
【
図5E】本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する
図5Dに続く図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の最良の実施形態を、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の表示装置の実施例1を説明する液晶表示装置の平面図である。
図2は、
図1のX−X'線に沿った断面図である。
図1に示す実施例1の液晶表示装置は、第1のプラスチック基板であるTFT側フレキシブル基板F―SUB1と、第2のプラスチック基板であるCF側フレキシブル基板F―SUB2との主面同士の間に液晶LCを封入し、表示領域の外を周回する枠状のシール剤で貼り合せて構成される。
【0017】
CF側フレキシブル基板F―SUB2の一辺は、TFT側フレキシブル基板F―SUB1の対応する辺から後退させ、該TFT側フレキシブル基板F―SUB1の一部の主面を露出させて配線接続部TMDとする。
図2に示すように本実施例の特徴は、配線材FPCをTFT側フレキシブル基板F‐SUB1とCF側フレキシブル基板F‐SUB2で挟む構造となっている。このことによって、フレキシブル性を信頼性の高い表示装置となる。
【0018】
図2に示したように、TFT側フレキシブル基板F―SUB1とCF側フレキシブル基板F―SUB2は、共にプラスチックシートであり、TFT側フレキシブル基板F―SUB1の主面に第1の接着剤SL−1で接着された透明な窒化シリコン層HSF2を有し、該窒化シリコン層HSF2上に薄膜トランジスタTFTで構成された画素回路と、前記シール剤SLを横断して前記薄膜トランジスタTFTで構成された画素回路から前記表示領域の外側に引き出されて図示しない外部回路(表示制御回路基板、TCON基板)から表示のための信号および電圧を入力する配線材(フレキシブルプリント基板)FPCを接続した配線接続部TMAを備える。
【0019】
また、CF側フレキシブル基板F―SUB2の主面に、第2の接着剤SL−2で接着された透明な窒化シリコン層HFS2を有し、該窒化シリコン層HFS2上にカラーフィルタ層CFを備えている。前記第2の接着剤SL−2は、前記シール剤SLの外側で、前記配線接続部TMAとこの配線接続部に接続された前記配線材(フレキシブルプリント基板)FPCを覆ってTFT側フレキシブル基板F―SUB1とCF側フレキシブル基板F―SUB2の間に充填されている。
【0020】
前記シール剤SLと、前記第1の接着剤SL−1と第2の接着剤SL−2とは異なる材料の接着剤とする。シール剤SLは液晶を汚染しない材質であることが望ましい。そして、第1の接着剤SL−1と第2の接着剤SL−2は透明材料であり、TFT側フレキシブル基板F―SUB1、CF側フレキシブル基板F―SUB2と窒化シリコン層HFS2とを柔軟に接合する粘着性とすることで、液晶表示装置の湾曲を吸収する性質を有する材料で、かつシール剤SLを覆うことで液晶層への湿気の進入を阻止する特性を持つ材料であることが望ましい。
【0021】
図3A〜
図3Hは、本発明の実施例1で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
図3Aは、TFT側ガラス基板SUB1とCF側ガラス基板SUB2を対向させた状態の断面図で、液晶の封入前を示す。TFT側ガラス基板SUB1の主面には、第一エッチングストッパ層HFS1と第二エッチングストッパ層HFS2がこの順で積層されている。第二エッチングストッパ層HFS2の上に薄膜トランジスタTFTからなる画素回路が形成されている。
【0022】
CF側ガラス基板SUB2の主面にも、第一エッチングストッパ層HFS1と第二エッチングストッパ層HFS2がこの順で積層されている。第二エッチングストッパ層HFS2の上にカラーフィルタが形成されている。なお、CF側ガラス基板SUB2に設けるブラックマトリクスなどは図示を省略した。また、両基板の最上層として配向膜が形成されるが、ここでは図示を省略してある。TFT側ガラス基板SUB1の表示領域の外側を周回してシールSLが形成されている。TFT側ガラス基板SUB1の一辺の配線接続部TMDには、前記したフレキシブルプリント基板FPCが取り付けられている。
【0023】
第一エッチングストッパ層HFS1はMo―Wを好適とし、第二エッチングストッパ層HFS2は窒化シリコンを好適とする。第一エッチングストッパ層HFS1はガラス基板SUB1のエッチング液には溶解しない。また、第二エッチングストッパ層HFS2は、第一エッチングストッパ層HFS1のエッチング液には溶解しない。
【0024】
図3Bに示したように、CF側ガラス基板SUB2の主面とTFT側ガラス基板SUB1の主面を貼り合わせ、貼り合わせ間隙に液晶LCを封入する。両基板の間はシール材SLで封止される。
【0025】
この状態で、ガラスを溶解するエッチング液でCF側ガラス基板SUB2をフルエッチングして溶解し、除去する。このとき、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2はCF側の第一エッチングストッパ層HFS1によってエッチングが阻止される(
図3C)。
【0026】
次に、CF側の第一エッチングストッパ層HFS1をフルエッチングして溶解除去する(
図3D)。CF側の第一エッチングストッパ層HFS1をエッチングするエッチング液はCF側の第二エッチングストッパ層HFS2をエッチングしない。すなわち、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2により、カラーフィルタCFは保護される。
【0027】
CF側の第二エッチングストッパ層HFS2を覆い、かつ配線接続部TMDとフレキシブルプリント基板および該配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部分を覆って、CF側の第2の接着剤SL−2を塗布する。この第2の接着剤SL−2でフレキシブル基板F−SUB2(CF側フレキシブル基板)を接着する(
図3E)。
【0028】
CF側の第2の接着剤SL−2の塗布により、配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部が、CF側フレキシブル基板F−SUB2、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2、シール剤SL、およびTFT側基板と一体化される。特に、配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部への応力の集中が回避される。
【0029】
次に、ガラスを溶解するエッチング液でTFT側ガラス基板SUB1をフルエッチングして溶解し、除去する。このとき、TFT側の第二エッチングストッパ層HFS2はTFT側の第一エッチングストッパ層HFS1によってエッチングが阻止される(
図3F)。
【0030】
次に、TFT側の第一エッチングストッパ層HFS1をフルエッチングして溶解除去する(
図3G)。TFT側の第一エッチングストッパ層HFS1をエッチングするエッチング液はTFT側の第二エッチングストッパ層HFS2をエッチングしない。すなわち、TFT側の第二エッチングストッパ層HFS2により、薄膜トランジスタTFTは保護される。
【0031】
TFT側の第二エッチングストッパ層HFS2を覆って、第1の接着剤SL−1を塗布する。この第1の接着剤SL−1でフレキシブル基板F−SUB1(TFT側フレキシブル基板)を接着する(
図3H)。
【0032】
以上の工程を経て本発明の実施例1で説明した液晶表示装置が得られる。次に、本発明の実施例2を説明する。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明の表示装置の実施例2を説明する液晶表示装置の断面図である。
図4は、
図1のX−X'線に沿った断面に対応する。
図4に示す実施例2の液晶表示装置は、第1の基板であるガラス基板SUB1と、第プラスチック基板であるフレキシブル基板F―SUBとの主面同士の間に液晶LCを封入し、表示領域の外を周回する枠状のシール剤SLで貼り合せて構成される。
【0034】
CF側基板であるフレキシブル基板F―SUBの一辺は、TFT側基板であるガラス基板SUB1の対応する辺から後退させ、該TFT側基板SUB1の一部の主面を露出させて配線接続部TMDとする。本実施例の特徴は、配線材FPCをTFT側ガラス基板SUB1とCF側フレキシブル基板F‐SUB2で挟む構造となっている。このことによって、フレキシブル性を信頼性の高い表示装置となる。
【0035】
図4に示したように、CF側フレキシブル基板F―SUBの主面に、第2の接着剤SL−2(第1の接着剤SL−1は無いが、実施例1と対応させるため、第2の接着剤SL−2と表記)で接着された窒化シリコン層HFS2を有し、該窒化シリコン層HFS2上にカラーフィルタ層CFを備えている。前記第2の接着剤SL−2は、前記シール剤SLの外側で、前記配線接続部TMAとこの配線接続部に接続された前記配線材(フレキシブルプリント基板)FPCを覆ってTFT側ガラス基板SUB1とCF側フレキシブル基板F―SUBの間に充填されている。
【0036】
前記シール剤SLと、前記第2の接着剤SL−2とは異なる材料の接着剤とする。シール剤SLは液晶を汚染しない材質であることが望ましい。そして、第2の接着剤SL−2は透明材料であり、TFT側フガラス基板SUB1、CF側フレキシブル基板F―SUBと窒化シリコン層HFS2とを柔軟に接合する粘着性とすることで、液晶表示装置の湾曲を吸収する性質を有する材料で、かつシール剤SLを覆うことで液晶層への湿気の進入を素子する特性を持つ材料であることが望ましい。
【0037】
図5A〜
図5Eは、本発明の実施例2で説明した液晶表示装置の製造方法を説明する図である。
図5Aは、TFT側ガラス基板SUB1とCF側ガラス基板SUB2を対向させた状態の断面図で、液晶の封入前を示す。TFT側ガラス基板SUB1の主面には、薄膜トランジスタTFTからなる画素回路が形成されている。
【0038】
CF側ガラス基板SUB2の主面には、第一エッチングストッパ層HFS1と第二エッチングストッパ層HFS2がこの順で積層されている。第二エッチングストッパ層HFS2の上にカラーフィルタが形成されている。なお、CF側ガラス基板SUB2に設けるブラックマトリクスなどは図示を省略した。また、両基板の最上層として配向膜が形成されるが、ここでは図示を省略してある。TFT側ガラス基板SUB1の表示領域の外側を周回してシールSLが形成されている。TFT側ガラス基板SUB1の一辺の配線接続部TMDには、前記したフレキシブルプリント基板FPCが取り付けられている。
【0039】
第一エッチングストッパ層HFS1はMo―Wを好適とし、第二エッチングストッパ層HFS2は窒化シリコンを好適とする。第一エッチングストッパ層HFS1はガラス基板SUB2のエッチング液には溶解しない。また、第二エッチングストッパ層HFS2は、第一エッチングストッパ層HFS1のエッチング液には溶解しない。
【0040】
図5Bに示したように、CF側ガラス基板SUB2の主面とTFT側ガラス基板SUB1の主面を貼り合わせ、貼り合わせ間隙に液晶LCを封入する。両基板の間はシール材SLで封止される。
【0041】
この状態で、ガラスを溶解するエッチング液でCF側ガラス基板SUB2をフルエッチングして溶解し、除去する。このとき、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2はCF側の第一エッチングストッパ層HFS1によってエッチングが阻止される(
図5C)。
【0042】
次に、CF側の第一エッチングストッパ層HFS1をフルエッチングして溶解除去する(
図5D)。CF側の第一エッチングストッパ層HFS1をエッチングするエッチング液はCF側の第二エッチングストッパ層HFS2をエッチングしない。すなわち、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2により、カラーフィルタCFは保護される。
【0043】
CF側の第二エッチングストッパ層HFS2を覆い、かつ配線接続部TMDと該配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部分を覆って、第2の接着剤SL−2を塗布する。この第2の接着剤SL−2でフレキシブル基板F−SUB(CF側フレキシブル基板)を接着する(
図5E)。
【0044】
CF側の第2の接着剤SL−2の塗布により、配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部が、CF側フレキシブル基板F−SUB、CF側の第二エッチングストッパ層HFS2、シール剤SL、およびTFT側基板と一体化される。特に、配線接続部TMDに接続したフレキシブルプリント基板FPCの端子部への応力の集中が回避される。TFT側ガラス基板SUB1は、必要に応じて研磨等の手段でさらに薄肉化する。
【0045】
以上の工程を経て本発明の実施例2で説明した液晶表示装置が得られる。
【符号の説明】
【0046】
SUB1‥‥‥TFT側ガラス基板、HFS1‥‥‥第一のエッチングストッパ層、HFS2‥‥‥第二のエッチングストッパ層、TFT‥‥‥薄膜トランジスタ回路、FPC‥‥‥フレキシブルプリント基板、LC‥‥‥液晶層、CF‥‥‥カラーフィルタ、SUB2‥‥‥CF側ガラス基板、SL‥‥‥シール剤、F−SUB1‥‥‥TFT側フレキシブル基板、SL−1‥‥‥TFT側接着剤、F−SUB2‥‥‥CF側フレキシブル基板、SL―2‥‥‥CF側接着剤。