特許第5654637号(P5654637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654637
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】PONシステムおよび局側装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/272 20130101AFI20141218BHJP
   H04L 12/44 20060101ALI20141218BHJP
   H04B 10/564 20130101ALI20141218BHJP
【FI】
   H04B9/00 272
   H04L12/44 200
   H04L12/44 Z
   H04B9/00 564
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-118953(P2013-118953)
(22)【出願日】2013年6月5日
(62)【分割の表示】特願2009-270252(P2009-270252)の分割
【原出願日】2009年11月27日
(65)【公開番号】特開2013-225881(P2013-225881A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2013年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237662
【氏名又は名称】富士通テレコムネットワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大
(72)【発明者】
【氏名】湊 透
(72)【発明者】
【氏名】横本 徹哉
【審査官】 後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−325010(JP,A)
【文献】 特開2007−027819(JP,A)
【文献】 特開平08−079185(JP,A)
【文献】 特開平09−214439(JP,A)
【文献】 特開2003−163638(JP,A)
【文献】 特開2011−114375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B10/00−10/90
H04J14/00−14/08
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側装置と複数の加入者側装置とを光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続したPONシステムであって、
前記局側装置は、
各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、
各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、
各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部と、を備え、
前記加入者側装置は、前記出力光レベル要求部からの要求に応じて、送信するバースト光信号の光レベルを制御する出力光レベル制御部を備え、
前記出力光レベル要求部は、外部からの指示により各加入者側装置に出力光レベルを要求し、
前記出力光レベル要求部は、前記局側装置に新たな前記加入者側装置が接続される場合、新たな前記加入者側装置を含む全ての前記加入者側装置からのバースト光信号の平均受信光レベルを算出し、各バースト光信号の受信光レベルが前記平均受信光レベルに近づくよう、各加入者側装置に出力光レベルを要求することを特徴とするPONシステム。
【請求項2】
前記出力光レベル要求部は、隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求することを特徴とする請求項1に記載のPONシステム。
【請求項3】
局側装置と複数の加入者側装置とを光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続したPONシステムであって、
前記局側装置は、
各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、
各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、
各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部と、を備え、
前記加入者側装置は、前記出力光レベル要求部からの要求に応じて、送信するバースト光信号の光レベルを制御する出力光レベル制御部を備え、
前記出力光レベル要求部は、外部からの指示により各加入者側装置に出力光レベルを要求し、
前記出力光レベル要求部は、前記局側装置に接続される新たな前記加入者側装置が要求する出力光レベルのバースト光信号を送信できない場合、該新たな前記加入者側装置からのバースト光信号に隣接するバースト光信号を送信する前記加入者側装置に対して、出力光レベルを低下するよう要求することを特徴とするPONシステム。
【請求項4】
前記局側装置は、受信したバースト光信号の符号誤り率を測定する符号誤り率測定部をさらに備え、
前記出力光レベル要求部は、各バースト光信号毎の受信光レベルに加えて、測定された符号誤り率も参照して、各加入者側装置に要求する出力光レベルを決定することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のPONシステム。
【請求項5】
前記局側装置と前記加入者側装置との間の出力光レベル制御は、Organaization specific OAMフレームを用いて行われることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のPONシステム。
【請求項6】
前記出力光レベル要求部は、前記局側装置に新たな前記加入者側装置が接続される場合、該加入者側装置が出力光レベル制御に対応しているか否かを判定し、対応している前記加入者側装置にのみ出力光レベルを要求することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のPONシステム。
【請求項7】
前記出力光レベル要求部は、Information OAMPDUフレーム内のOAM Version、Revision、またはVender Specific infoを参照して、新たな前記加入者側装置が出力光レベル制御に対応しているか否かを判定することを特徴とする請求項に記載のPONシステム。
【請求項8】
前記局側装置に新たな加入者側装置が接続される場合、前記局側装置と前記加入者側装置との間の出力光レベル制御シーケンスが行われた後に、主信号疎通が開始されることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のPONシステム。
【請求項9】
前記局側装置と前記加入者側装置との間の出力光レベル制御シーケンスを行うか否か選択可能とされたことを特徴とする請求項に記載のPONシステム。
【請求項10】
複数の加入者側装置と光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続されたPONシステムの局側装置であって、
各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、
各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、
各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部であって、外部からの指示により各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部と、
を備え
前記出力光レベル要求部は、前記局側装置に新たな前記加入者側装置が接続される場合、新たな前記加入者側装置を含む全ての前記加入者側装置からのバースト光信号の平均受信光レベルを算出し、各バースト光信号の受信光レベルが前記平均受信光レベルに近づくよう、各加入者側装置に出力光レベルを要求することを特徴とする局側装置。
【請求項11】
複数の加入者側装置と光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続されたPONシステムの局側装置であって、
各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、
各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、
各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部であって、外部からの指示により各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部と、
を備え、
前記出力光レベル要求部は、前記局側装置に接続される新たな前記加入者側装置が要求する出力光レベルのバースト光信号を送信できない場合、該新たな前記加入者側装置からのバースト光信号に隣接するバースト光信号を送信する前記加入者側装置に対して、出力光レベルを低下するよう要求することを特徴とする局側装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局側装置と複数の加入者側装置とを光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続したPONシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般家庭等の加入者宅を対象とした加入者系光ファイバネットワークシステムとして、受動光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)システムが知られている。このPONシステムは、局側装置(OLT:Optical Line Terminal)に接続された1本の光ファイバを光スプリッタにより分岐し、複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)と接続し、複数のユーザで1本の光ファイバを共用する光伝送システムである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
PONシステムでは、各ONUからの上りバースト光信号は、TDMA(Time Division Multiple Access)方式により多重化され、バースト光信号列としてOLTに受信される。PONシステムでは一般に、各ONUからOLTまでの距離が異なるため、OLTは、受信光レベルが異なるバースト光信号列を受信しなければならない。従って、OLTの光受信器は、このようなバースト光信号列を適切に受信するために、広いダイナミックレンジを有する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−173908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の通信トラフィックの増加に伴い、PONシステムの伝送速度の高速化が進んでいる。例えば、IEEE802.3avでは、10Gbpsの伝送速度を有するPONシステムが標準化されている。
【0006】
しかしながら、10Gbps等の高速光信号に対応したダイナミックレンジの広い光受信器を設計することは容易ではない。光受信器のダイナミックレンジが狭くなると、受信信号を適切に識別再生できず、符号誤り率などの伝送特性が劣化してしまう。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、伝送速度が高速化した場合であっても、好適に上り光信号を伝送できるPONシステムおよび局側装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のPONシステムは、局側装置と複数の加入者側装置とを光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続したPONシステムである。局側装置は、各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部とを備える。加入者側装置は、出力光レベル要求部からの要求に応じて、送信するバースト光信号の光レベルを制御する出力光レベル制御部を備える。
【0009】
この態様によると、出力光レベル制御を行うことにより、局側装置の光受信部が受信するバースト光信号の光レベル差が小さくなるため、光受信部はそれほど広いダイナミックレンジを要求されない。その結果、伝送速度が高くなった場合でも好適に上り光信号を伝送できる。
【0010】
出力光レベル要求部は、隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0011】
出力光レベル要求部は、局側装置に新たな加入者側装置が接続される毎に、加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0012】
出力光レベル要求部は、局側装置に新たな加入者側装置が接続される場合、新たな加入者側装置からのバースト光信号の受信光レベルが、局側装置に最初に接続された第1加入者側装置からのバースト光信号の受信光レベルに近づくよう、新たな加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0013】
出力光レベル要求部は、局側装置に新たな加入者側装置が接続される場合、新たな加入者側装置を含む全ての加入者側装置からのバースト光信号の平均受信光レベルを算出し、各バースト光信号の受信光レベルが平均受信光レベルに近づくよう、各加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0014】
出力光レベル要求部は、局側装置に接続される新たな加入者側装置が要求する出力光レベルのバースト光信号を送信できない場合、該新たな加入者側装置からのバースト光信号に隣接するバースト光信号を送信する加入者側装置に対して、出力光レベルを低下するよう要求してもよい。
【0015】
出力光レベル要求部は、所定の時間間隔で定期的に各加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0016】
出力光レベル要求部は、外部からの指示により各加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。
【0017】
局側装置は、受信したバースト光信号の符号誤り率を測定する符号誤り率測定部をさらに備え、出力光レベル要求部は、各バースト光信号毎の受信光レベルに加えて、測定された符号誤り率も参照して、各加入者側装置に要求する出力光レベルを決定してもよい。
【0018】
加入者側装置の出力光レベル制御部は、自身が出力可能な光レベル範囲の情報を局側装置に送信してもよい。
【0019】
局側装置と加入者側装置との間の出力光レベル制御は、Organaization specific OAMフレームを用いて行われてもよい。
【0020】
出力光レベル要求部は、局側装置に新たな加入者側装置が接続される場合、該加入者側装置が出力光レベル制御に対応しているか否かを判定し、対応している加入者側装置にのみ出力光レベルを要求してもよい。
【0021】
出力光レベル要求部は、Information OAMPDUフレーム内のOAM Version、Revision、またはVender Specific infoを参照して、新たな加入者側装置が出力光レベル制御に対応しているか否かを判定してもよい。
【0022】
局側装置に新たな加入者側装置が接続される場合、局側装置と加入者側装置との間の出力光レベル制御シーケンスが行われた後に、主信号疎通が開始されてもよい。
【0023】
局側装置と加入者側装置との間の出力光レベル制御シーケンスを行うか否か選択可能とされてもよい。
【0024】
本発明の別の態様は、局側装置である。この装置は、複数の加入者側装置と光スプリッタにより分岐した光ファイバを用いて互いに接続されたPONシステムの局側装置であって、各加入者側装置から出力されたバースト光信号が多重化されたバースト光信号列を受信する光受信部と、各バースト光信号毎に受信光レベルを検出する検出部と、各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求する出力光レベル要求部とを備える。
【0025】
この態様によると、出力光レベル制御を行うことにより、局側装置の光受信部が受信するバースト光信号の光レベル差が小さくなるため、光受信部はそれほど広いダイナミックレンジを要求されない。その結果、伝送速度が高くなった場合でも好適に上り光信号を受信できる。
【0026】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、伝送速度が高速化した場合であっても、好適に上り光信号を伝送できるPONシステムおよび局側装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係るPONシステムを示す図である。
図2】PONシステムにおける上り方向の信号伝送を説明するための図である。
図3】従来のOLTにおける光受信部の構成例を示す図である。
図4】従来のPONシステムにおける符号誤り率特性の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るPONシステムにおける出力光レベル制御を説明するための図である。
図6】本実施形態に係るOLTの構成を示す図である。
図7】本実施形態に係るONUの構成を示す図である。
図8】IEEE.802.3で規定されたGE−PONのOrganization specific OAMのフレーム構成を示す図である。
図9】OLTが各ONUに対して送信する出力光レベル制御情報を示す図である。
図10】各ONUがOLTに対して送信する出力光レベル制御情報を示す図である。
図11】IEEE.802.3で規定されたGE−PONのInformation OAMPDUのフレーム構成を示す図である。
図12図12(a)(b)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の一例を説明するための図である。
図13図13(a)(b)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の別の例を説明するための図である。
図14図14(a)〜(c)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の別の例を説明するための図である。
図15】本発明の別の実施形態に係るOLTを説明するための図である。
図16】ONUがOLTに接続されてから主信号疎通が開始されるまでの制御シーケンスを示す図である。
図17】出力光レベル制御シーケンスを詳細に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係るPONシステム10を示す図である。図1に示すように、PONシステム10は、局側装置(OLT)12に接続された1本の基幹光ファイバ18が光スプリッタ14により複数の分岐光ファイバ20−1〜20−nに分岐され、分岐光ファイバ20−1〜20−nの端部に複数の加入者側装置(ONU)16−1〜16−nが接続された構成となっている。
【0030】
PONシステム10においては、OLT12から各ONU16−1〜16−nへの下り光信号は、時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)により多重化された連続的な光信号である。一方、各ONU16−1〜16−nからOLT12への上り光信号は、TDMA方式により多重化される。TDMAでは、各ONU16−1〜16−nからの光信号が衝突するのを防ぐため、各光信号間にガードタイムと呼ばれる無信号区間が挿入される。そのため、OLTから各ONUへの下り光信号が連続的な光信号となるのと異なり、ONU16−1〜16−nからOLT12への上り光信号は、信号の送出が間欠的に行われるバースト状の光信号となる。
【0031】
図2は、PONシステム10における上り方向の信号伝送を説明するための図である。図2は、各ONU16−1〜16−nから送信されたバースト光信号22−1〜22−nが光スプリッタ14により多重化され、バースト光信号列としてOLT12に入力される様子が示されている。
【0032】
PONシステム10においては、分岐光ファイバ20−1〜20−nの距離がONU16−1〜16−n毎に異なるので、OLT12には、バースト光信号毎に光レベルが異なるバースト光信号列が入力される。従って、PONシステム10のOLT12は、非常にダイナミックレンジの広い光受信特性が要求される。
【0033】
図3は、従来のOLTにおける光受信部の構成例を示す図である。図3に示すように、OLT12は、受信した光信号をO/E変換するO/E変換部30と、O/E変換された電気信号に所定のデジタル処理を施すデジタル信号処理部32を備える。O/E変換部30は、受光素子34と、振幅レベル調整部36と、CLK抽出部38とを備える。
【0034】
図3に示すように、受光素子34には、バースト信号毎に光レベルが異なるバースト光信号列が入力される。受光素子34は、入力されたバースト光信号列を電気信号に変換する。この電気信号は、電流信号であってもよいし、電圧信号であってもよい。この電気信号は、振幅レベルの異なる複数のバースト信号が多重化されたバースト信号列である。
【0035】
振幅レベル調整部36は、各バースト信号が一定の振幅レベルとなるよう調整する機能を有する。この振幅レベル調整部36は、例えば、入力される各バースト信号のピーク値または平均値を検出し、該ピーク値または平均値に応じて増幅器の利得を切り替えるフィードバック制御を行う。
【0036】
CLK抽出部38は、一定の振幅レベルとされたバースト信号列からクロックを抽出した後、バースト信号列の識別再生を行う。CLK抽出部38により識別再生されたバースト信号列は、デジタル信号処理部32により所定のデジタル信号処理が施される。このように、従来のOLT12においては、振幅レベル調整部36により各バースト信号の振幅レベルを一定にすることにより、CLK抽出部38により適切に識別再生が行えるように構成されている。
【0037】
上述のような振幅レベル調整部36においては、各バースト信号のピーク値または平均値を検出する際に、必ず所定の時間を要し、また、フィードバック制御の遅延時間が発生する。従って、PONシステムの伝送速度が10Gbps等に高速化した場合、10Gbpsのような高速の信号に追従して動作する振幅調整回路を開発することは容易ではない。振幅レベル調整部36の動作が入力されるバースト光信号列に追従できないと、CLK抽出部38において適切に識別再生ができず、符号誤り率などの伝送特性が劣化してしまう。
【0038】
図4は、従来のPONシステムにおける符号誤り率特性の一例を示す図である。図4の縦軸は符号誤り率を表し、横軸は隣接するバースト光信号間のレベル差(dB)を表す。図4に示すように、バースト光信号間のレベル差が大きくなると、符号誤り率特性が急激に劣化することが分かる。
【0039】
また、各バースト光信号の先頭に設けられるアイドル信号を長く設定すれば高伝送速度に対応できるかもしれないが、この場合には、主信号データを送るための区間が削られてしまうため、伝送帯域が低下してしまう。
【0040】
図5は、本発明の実施形態に係るPONシステム10における出力光レベル制御を説明するための図である。上述のような課題を解決するために、本実施形態に係るPONシステム10においては、OLT12が各ONU16−1〜16−nの出力するバースト光信号の光レベルを制御する。この出力光レベル制御は、隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなるように各ONU16−1〜16−nの出力光レベルを制御するものである。「隣接するバースト光信号」とは、バースト光信号がTDMAにより多重化されたバースト光信号列において、時系列的に隣接するバースト光信号である。例えば、図2に示すバースト光信号列において、バースト光信号22−2に隣接するバースト光信号は、バースト光信号22−2の前後に位置するバースト光信号22−1および22−3である。
【0041】
このような出力光レベル制御を行うことにより、OLT12の光受信部が受信する上りバースト光信号の光レベルが略一定となるため、OLT12の振幅レベル調整部は伝送速度が高くなった場合でも追従して動作できるようになり、CLK抽出部は適切に識別再生を行うことができる。
【0042】
図6は、本実施形態に係るOLT12の構成を示す図である。図6に示すOLT12においては、図3に示すOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0043】
本実施形態に係るOLT12は、ONUからの上りバースト光信号列を電気信号に変換するO/E変換部30と、所定のPON終端処理を行うデジタル信号処理部32と、OLT12の後段に接続された所定の端末装置と通信を行う端末側信号処理部42と、ONUに下り光信号を送信するE/O変換部44と、デジタル信号処理部32および端末側信号処理部42の動作を制御・監視する制御監視部46とを備える。
【0044】
図6に示すように、O/E変換部30は、受光素子34と、振幅レベル調整部36と、CLK抽出部38とを備える。受光素子34に入力されたバースト光信号列は、電気信号に変換された後、振幅レベル調整部36に入力される。振幅レベル調整部36は、入力される各バースト信号のピーク値または平均値を検出し、該ピーク値または平均値に応じて増幅器の利得を切り替えるフィードバック制御を行うことにより、各バースト信号が一定の振幅レベルとなるよう調整する。一定の振幅レベルに調整された各バースト信号は、CLK抽出部38により識別再生が行われる。また、振幅レベル調整部36は、検出した各バースト信号毎のピーク値または平均値を光受信レベル情報として、デジタル信号処理部32に出力する。
【0045】
本実施形態において、デジタル信号処理部32は、出力光レベル要求部40を備える。この出力光レベル要求部40は、各バースト光信号毎の受信光レベルに基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなるよう各ONUに出力すべき光レベルを要求する。この出力光レベル要求部40からの出力光レベルの要求は、デジタル信号処理部32により所定のデータフレームにセットされ、E/O変換部44により光信号に変換された後、各ONUに送信される。なお、上りバースト光信号列と下り光信号は、図示しない光カプラにより波長分割多重されて1本の基幹光ファイバで伝送される。
【0046】
図7は、本実施形態に係るONU16の構成を示す図である。図7に示すように、ONU16は、OLTに向けて上りバースト光信号を出力するE/O変換部70と、OLTからの下り光信号を電気信号に変換するO/E変換部72と、所定のPON終端処理を行うデジタル信号処理部74と、ONU16の後段に接続された所定の端末装置と通信を行う端末側信号処理部76と、デジタル信号処理部74および端末側信号処理部76の動作を制御・監視する制御監視部78とを備える。
【0047】
本実施形態において、デジタル信号処理部74は、出力光レベル要求受信部82を有する。出力光レベル要求受信部82は、OLTから送信された出力光レベルの要求を受信する。この出力光レベルの要求は、E/O変換部70の出力光レベル制御部80に送られる。出力光レベル制御部80は、E/O変換部70から送信されるバースト光信号の光レベルが、OLTから要求された光レベルとなるよう制御する。これにより、OLTにて受信される各バースト光信号の光レベルが略一定となるので、OLTの振幅レベル調整部は伝送速度が高くなった場合でも追従して動作できるようになり、CLK抽出部は適切に識別再生を行うことができる。その結果、符号誤り率等の受信特性を向上できる。
【0048】
上述の実施形態においては、OLTの出力光レベル要求部は、隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなるように各ONUに対して出力光レベルを要求している。これに代えて、出力光レベル要求部は、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各加入者側装置に出力光レベルを要求してもよい。つまり、隣接するバースト光信号の光レベルが等しくならなくとも、ある程度近づけることができれば、符号誤り率特性を向上することができる。上述の「所定の基準値」は、振幅レベル調整部の回路構成や後段に接続される誤り訂正回路の性能などによって決まるので、実験やシミュレーションなどによって適宜設定すればよい。なお、「隣接するバースト光信号の受信光レベルが略等しくなる」とは、つまり所定の基準値を「0」に設定した場合である。
【0049】
図8は、IEEE802.3で規定されたGE−PONのOrganization specific OAMのフレーム構成を示す図である。Organization specific OAMフレームとは、PDUデータフィールドを開発者が自由に定義してよいというフレームである。そこで、本実施形態においては、このOrganaization specific OAMフレームを用いて、OLTとONUとの間の出力光レベル制御行う。
【0050】
図9は、OLTが各ONUに対して送信する出力光レベル制御情報を示す。この情報は、図8に示すOrganization specific OAMフレームのPDUデータフィールドに定義される。この制御情報は、OLTの出力光レベル要求部によって書き込まれる。
【0051】
図9に示すOLTから各ONUへの出力光レベル制御情報において、データ領域900は、有効/無効フラグを書き込む領域である。また、データ領域902は、要求方法を書き込む領域である。要求方法とは、各ONUに対してどのように出力光レベルの要求するかを示すものである。具体的には、要求方法には、直接ONUに対して出力光レベル値を指定する方法と、現状の出力光レベル値からの増減値を指定する方法とがある。データ領域904は、直接ONUに対して要求する出力光レベル要求値を書き込む領域である。また、データ領域906は、現状の出力光レベル値からの増加/減少要求値を書き込む領域である。
【0052】
図10は、各ONUがOLTに対して送信する出力光レベル制御情報を示す。この情報も、図8に示すOrganization specific OAMフレームのPDUデータフィールドに定義される。この制御情報は、ONUの出力光レベル制御部によって書き込まれる。
【0053】
図10に示すONUからOLTへの出力光レベル制御情報において、データ領域1000は、有効/無効フラグを書き込む領域である。データ領域1002は、ONUが現在出力している光レベルを書き込む領域である。データ領域1004は、個別のONUが出力可能な光レベルの上限値を書き込む領域である。データ領域1006は、個別のONUが出力可能な光レベルの下限値を書き込む領域である。また、データ領域1008は、個別のONUの光レベル上限側警報発生閾値を書き込む領域である。この光レベル上限側警報発生閾値は、ONUが出力可能な光レベル上限値よりも若干低い値に設定され、ONUの出力可能な光レベルの上限がそろそろ限界であることをOLTに伝えるために利用される。また、データ領域1010は、個別のONUの光レベル下限側警報発生閾値を書き込む領域である。この光レベル下限側警報発生閾値は、ONUが出力可能な光レベル下限値よりも若干高い値に設定され、ONUの出力可能な光レベルの下限がそろそろ限界であることをOLTに伝えるために利用される。
【0054】
このように、各ONUが出力可能な光レベル範囲および警報発生閾値の情報をOLTに伝えることにより、OLTは、各ONUに対する出力光レベルの要求値を適切に決定することができる。また、OLTは、各ONUの出力光レベルが光レベル上限側警報発生閾値を上回っていたり、光レベル下限側警報発生閾値を下回っている場合、PONシステムの保守者に警報を発出し、ONUのメンテナンスを促すことができる。
【0055】
図11は、IEEE802.3で規定されたGE−PONのInformation OAMPDUのフレーム構成を示す図である。このInformation OAMPDUフレームは、ONUの情報が書き込まれるフレームである。
【0056】
OLTの出力光レベル要求部は、Information OAMPDUフレーム内のOAM Version、Revision、またはVender Specific infoを参照して、新たにOLTに接続されたONUが本実施形態の出力光レベル制御に対応しているか否かを判定することができる。ONUは、マルチベンダであるため、OLTに必ずしも本実施形態の出力光レベル制御に対応したONUが接続されるとは限らない。従って、このようにInformation OAMPDUフレームの情報を参照することにより、OLTは、出力光レベル制御に対応したONUに対してのみ出力光レベルを要求することができる。
【0057】
次に、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御について説明する。本実施形態において、OLTの出力光レベル要求部は、OLTに新たなONUが接続される毎に、ONUに出力光レベルを要求する。以下に、具体的な制御例をいくつか示す。
【0058】
図12(a)(b)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の一例を説明するための図である。まず、図12(a)に示すように、OLTに1台目(最初)のONUが接続され、OLTは、光レベルが「7」のバースト光信号を受信したとする。この時点では、OLTの出力光レベル要求部は、受信光レベルのモニタのみ行い、1台目のONUに対して出力光レベル制御は行わない。
【0059】
次に、図12(b)に示すように、OLTに2台目のONUが接続され、光レベルが「3」のバースト光信号を受信したとする。この場合、OLTの出力光レベル要求部は、1台目のONUに対しては出力光レベル制御は行わず、2台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルが、OLTに最初に接続されたONUからのバースト光信号の受信光レベルに近づくよう、2台目のONUに出力光レベルを要求する。例えば、2台目のONUに対して、OLTでの受信光レベルが「7」となるよう出力光レベル要求を出す。これにより、2台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルが1台目のONUからのそれに近づけることができる。2台目以降に接続されるONUについても、1台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルに近づけるように出力光レベル制御を行う。このように既にOLTに接続されているONUに対しては出力光レベルの制御は行わないことで、オペレーションミス等を防止できるので、システムの信頼性を高めることができる。
【0060】
図13(a)(b)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の別の例を説明するための図である。まず、図13(a)に示すように、OLTに1台目(最初)のONUが接続され、OLTは、光レベルが「7」のバースト光信号を受信したとする。この時点では、OLTの出力光レベル要求部は、受信光レベルのモニタのみ行い、1台目のONUに対して出力光レベル制御は行わない。
【0061】
次に、図13(b)に示すように、OLTに2台目のONUが接続され、光レベルが「3」のバースト光信号を受信したとする。この場合、OLTの出力光レベル要求部は、既に接続されている1台目のONUと新たな2台目のONUからのバースト光信号の平均受信光レベルを算出する。ここでは、平均受信光レベルは「5」である。そして、出力光レベル要求部は、1台目および2台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルが平均受信光レベル「5」に近づくよう、1台目および2台目のONUに出力光レベルを要求する。以降、新たなONUが接続される毎に平均受信光レベルを算出し、この平均受信光レベルに近づくよう全てのONUに対して出力光レベル制御を行う。このように、平均受信光レベルに合わせ込みを行うことにより、各ONUの光出力の変化量を抑えることができる。例えば、図12(b)の例では、2台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルを「3」から「7」に増加したが、本例においては「3」から「5」に増加するだけでよいため、2台目のONUの出力光レベルが必要以上に高く設定される事態を回避できる。従って、本例によれば、各ONUの限られた光出力可変範囲を有効に使用することができる。
【0062】
図14(a)〜(c)は、OLTに新たなONUが接続された場合の出力光レベル制御の別の例を説明するための図である。まず、図14(a)に示すように、OLTに接続された1台目〜4台目までのONUからのバースト光信号については、略同一の受信光レベル「7」であったとする。この後、5台目のONUが接続されたが、図14(b)に示すように、この5台目のONUは、出力光レベル要求部が受信光レベル「7」となる出力光レベルを要求しても、受信光レベル「3」となる光レベルしか出力できないとする。
【0063】
このような場合、出力光レベル要求部は、新たに接続された5台目のONUからのバースト光信号に隣接するバースト光信号を送信する1台目と4台目のONUに対して、出力光レベルを低下するよう要求する。出力光レベル要求部は、1台目と4台目のONUからのバースト光信号の受信光レベルが、1台目および4台目のONUの受信光レベル「7」と5台目のONUの受信光レベル「3」の中間値である受信光レベル「5」に近づくように、出力光レベル制御を行うことが好ましい。
【0064】
このように、出力光レベルが調整限界にあるONUが存在する場合は、該ONUからのバースト光信号の前後に隣接するバースト光信号を送信するONUに対して、受信光レベルの変化量が小さくなるよう制御することで、OLTの振幅レベル調整部は、伝送速度が高くなった場合でも追従して動作できるようになり、CLK抽出部は適切に識別再生を行うことができる。その結果、符号誤り率等の受信特性を向上できる。
【0065】
上述のようにOLTに新たなONUが接続される毎にONUに対して出力光レベル制御を行うのに代えて、または加えて、OLTの出力光レベル要求部は、所定の時間間隔で定期的にONUに出力光レベル制御を行ってもよい。このように定期的に出力光レベル制御を行うことにより、高品質の通信を提供することができる。
【0066】
また、OLTの出力光レベル要求部は、PONシステムの保守者などからの指示により各ONUに対して出力光レベル制御を行ってもよい。この場合、PONシステムに何らかの異常が発生した場合に即座に対応することができ、PONシステムネットワークを安定して動作させることができる。
【0067】
図15は、本発明の別の実施形態に係るOLTを説明するための図である。図15に示すOLT12においては、図6に示すOLTと同様または対応する構成要素については同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0068】
本実施形態に係るOLT12は、端末側信号処理部42が、受信した上りバースト光信号の符号誤り率を測定する符号誤り率測定部1502と、下り光信号に符号誤り測定のための試験フレームを挿入する試験フレーム挿入部1504を備える点が異なる。本実施形態においては、出力光レベル要求部40は、各バースト光信号毎の受信光レベルに加えて、符号誤り率測定部1502により測定された符号誤り率も参照して、各ONUに要求する出力光レベルを決定する。具体的には、まず出力光レベル要求部40は、各バースト光信号毎の受信光レベル情報に基づいて、隣接するバースト光信号の受信光レベル差が所定の基準値以下となるよう各ONUに対して出力光レベルを要求する。その後、出力光レベル要求部40は、符号誤り率測定部1502により測定された符号誤り率を参照して、符号誤り率が最小となるように各ONUに対して出力光レベルを再度要求する。このように符号誤り率を参照することにより、より最適に出力光レベルを各ONUに対して要求でき、符号誤り率特性を向上することができる。
【0069】
図16は、ONUがOLTに接続されてから主信号疎通が開始されるまでの制御シーケンスを示す図である。上述の実施形態に係るPONシステムにおいて、OLTにONUが接続されると、PON DiscoveryおよびOAM Discoveryシーケンスが実行された後、ONU認証シーケンスが実行され、接続されたONUが許可されているものかどうか確認される。その後、OLTとONUとの間で、上述した出力光レベル制御シーケンスが行われる。
【0070】
図17は、出力光レベル制御シーケンスを詳細に説明するための図である。図17に示すように、OLTからONUに対して出力光レベルを要求すると、ONUにおいて出力光レベルが変更される。OLTは、入力された光レベルが要求した目標値となったか否か検証する。目標値となっていない場合、再度ONUに出力光レベルを要求する。目標値となった場合、出力光レベル制御シーケンスを終了する。
【0071】
図16に戻り、出力光レベル制御シーケンスが終了後、主信号疎通が開始される。このように、出力光レベル制御を主信号疎通前の接続確立までの1シーケンスとして実行することで、接続確立直後から最適な伝送条件で通信を行うことができる。
【0072】
PONシステムごとに、上述の出力光レベル制御シーケンスを行うか否か選択可能としてもよい。このようにすることで、通信サービスのフレキシビリティの向上、およびアクセス向け/コア向けなどのサポート品質の階層化を実現することができる。
【0073】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0074】
10 PONシステム、 12 OLT、 14 光スプリッタ、 16 ONU、 34 受光素子、 36 振幅レベル調整部、 38 CLK抽出部、 40 出力光レベル要求部、 80 出力光レベル制御部、 1502 符号誤り率測定部。
図1
図2
図3
図4
図5
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