特許第5654656号(P5654656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654656
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】脈拍検出装置および磁気共鳴撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   A61B5/05 390
   A61B5/05 370
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-235637(P2013-235637)
(22)【出願日】2013年11月14日
(62)【分割の表示】特願2012-176644(P2012-176644)の分割
【原出願日】2001年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-28321(P2014-28321A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2013年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】土屋 朋俊
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−274230(JP,A)
【文献】 特開平07−204169(JP,A)
【文献】 特開平10−272115(JP,A)
【文献】 実開平02−114014(JP,U)
【文献】 特開平05−130977(JP,A)
【文献】 特開昭61−247432(JP,A)
【文献】 特開平05−317275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 5/02−5/03
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の指先から脈拍を検出する脈拍検出センサと、
前記脈拍検出センサにより検出された検出信号に基づく信号を減衰させる減衰手段と、
前記減衰手段により減衰した検出信号の電圧を、3以上有する発光ダイオードを点灯させる数を変えることにより、3以上の複数段階に識別して表示する信号表示手段と、
前記減衰手段により減衰した検出信号を外部装置に出力する出力手段とを備え、
前記減衰手段は、前記減衰した検出信号の電圧が前記外部装置により同期をとることができる同期可能電圧を超えていない場合には前記減衰率を下げ、前記減衰した検出信号の電圧が前記同期可能電圧を超えた場合にはその減衰率を一定にするとともに、一定時間前記検出信号の入力がない場合には前記減衰率を最大減衰率に変えることを特徴とする脈拍検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の脈拍検出装置において、
前記脈拍検出センサは、光センサであることを特徴とする脈拍検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の脈拍検出装置において、
前記光センサにより検出された光信号を伝送する光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルにより伝送された光信号を電気信号に変換する変換手段と、
前記変換手段により電気信号に変換された前記検出信号を増幅し、その増幅された検出信号を前記減衰手段へ出力する増幅手段とを備えたことを特徴とする脈拍検出装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の脈拍検出装置において、
前記減衰手段の後段に配置されたローパスフィルタを備えることを特徴とする脈拍検出装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の脈拍検出装置を備えた磁気共鳴撮像装置において、
前記脈拍検出装置の出力手段から出力された検出信号を受信して、前記被検体の脈拍に同期して磁気共鳴イメージングのスキャンを動作させることを特徴とする磁気共鳴撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、脈拍を検出して脈拍に同期した電気信号を生成する際に、脈拍の検出が正常になされていることを早期に確認し、患者およびオペレータの光センサ装着に伴う作業負担を軽減し、速やかに断層画像情報の収集を始めることが出来る利得制御装置および磁気共鳴撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、磁気共鳴撮像装置では、被検体である人体の断層画像情報を取得する際に、人体の心臓の鼓動に同期して断層画像を取得することが行なわれることがある。これは、断層画像の取得中に被検体が動いた場合に、同期を取らずに断層画像を取得すると、この被検体のNMR信号から生成される断層像すべてにゴーストが発生し、断層画像を診断する上で不都合が生じるからである。そこで、心臓や呼吸等の繰り返し運動を検出し、この検出信号に同期して、断層画像情報を取得することにより、被検体が静止した状態と同等の断層画像を得ることができる。
【0003】
心臓の運動に対して、磁気共鳴撮像装置が同期を取る際には、ECG(ElectroCardioGraph)ゲートが多用される。これは、人体に電極を装着して心電波形を検出し、その心電波形を同期信号とするものである。この方法は、確実に同期を行なうことができる反面、人体に電極を装着する煩雑な作業が必要であった。一方、心臓の運動に対して、簡易に同期をとる方法として、指先の脈拍を検出し、その検出信号を同期信号とするものがある。この方法は、簡便ではあるが、脈拍の検出がうまくいかず、同期を取ることができない場合が生じる。
【0004】
脈拍を検出して同期信号を生成することができない場合には、指先に装着された脈拍の検出部を再度装着し直すということが行なわれる。これは、検出される脈拍の同期信号が、検出部の指先への装着状態や、個人差に大きく依存するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した脈拍を検出し、同期信号を発生させる装置では、指先の検出部を装着し直してから、安定した同期信号が得られるまでに10秒程度の待ち時間が必要となり、この待ち時間が経過したあとで、脈拍の検出が出来たかどうかを判定するしかなかった。
【0006】
特に、緊急の患者を磁気共鳴撮像装置で撮像する場合には、患者の指先に光センサを装着する作業が繰り返し行なわれる。この時、安定した同期信号を得る迄の待ち時間があるため、光センサの装着作業から撮像を開始する迄の時間は、長いものになり、患者およびオペレータの双方にとって大きな負担となる。
【0007】
そして、脈拍を検出した同期信号は、間欠的な電気信号であるため、この電気信号の利得を調整するには、最低でも4〜5個程度の間欠的な電気信号を繰り返し入力する必要がある。この為、これを早期に行ない、安定した同期信号を得ることには、原理的な困難が伴っている。
【0008】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、脈拍を検出して、磁気共鳴撮像装置のための同期信号を生成する際に、指先に検出部を装着したあと、磁気共鳴撮像装置のために同期信号が使用可能かどうかを早期に判定することにより、患者およびオペレータの光センサ装着に伴う作業負担を軽減し、速やかに断層画像情報の収集を始めることが出来る利得制御装置および磁気共鳴撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の観点にかかる利得制御装置は、電気信号を繰り返し測定するときに、間欠的な周期性で発生する前記電気信号の利得を制御する利得制御装置であって、前記電気信号の振幅を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅された電気信号の振幅を減衰率に基づいて減衰させる減衰手段と、前記減衰手段の減衰率を制御する制御手段と、前記増幅手段から出力された電気信号の振幅を表示する簡易表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この第1の観点の発明によれば、電気信号の振幅を増幅する増幅手段と、増幅手段により増幅された電気信号の振幅を減衰率に基づいて減衰させる減衰手段と、減衰手段の減衰率を制御する制御手段と、増幅手段から出力された電気信号の振幅を表示する簡易表示手段と、を備えることとしているので、脈拍の検出部を装着しなおした際に、検出された脈拍の同期信号が磁気共鳴撮像装置の同期信号として使用できるかどうかを早期に判定することができる。
【0011】
また、第2の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記増幅手段として、固定の増幅率に基づいて、前記電気信号の振幅を増幅することを特徴とする。
【0012】
この第2の観点の発明によれば、増幅手段として、固定の増幅率に基づいて、前記電気信号の振幅を増幅することとしたので、減衰器のみで間欠的な電気信号の利得を制御することができる。
【0013】
また、第3の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記減衰手段として、初期状態では、最大の減衰率を設定し、該減衰率を段階的に減衰率を切り下げることができることを特徴とする。
【0014】
この第3の観点の発明によれば、減衰手段として、初期状態では、最大の減衰率を設定し、該減衰率を段階的に減衰率を切り下げることができることとしているので、減衰された電気信号を低い電圧から高い電圧に段階的に細かい調節をすることができる。
【0015】
また、第4の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記制御手段として、前記減衰手段により減衰された電気信号を検出し、該電気信号が所定電圧になるまで前記最大の減衰率から段階的に減衰率を下げることにより、利得を調整することを特徴とする。
【0016】
この第4の観点の発明によれば、減衰手段により減衰された電気信号を検出し、該電気信号が所定電圧になるまで最大の減衰率から段階的に減衰率を下げることとしているので、減衰された電気信号を低い電圧から高い電圧に段階的に調節して、同期信号として使用可能な所定電圧に調節することができる。
【0017】
また、第5の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記簡易表示手段として、前記増幅手段により増幅された電気信号の中から、所定電圧を越えた電気信号のみを表示することを特徴とする。
【0018】
この第5の観点の発明によれば、増幅された電気信号の中から、所定電圧を越えた電気信号のみを表示することとしているので、減衰された電気信号が、所定電圧を越えるかどうかを、減衰器により利得調整する以前に判定することができる。
【0019】
また、第6の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記簡易表示手段として、前記所定電圧を超えた電気信号を可視可能な時間だけ表示し続けることを特徴とする。
【0020】
この第6の観点の発明によれば、簡易表示手段として、所定電圧を超えた電気信号を可視可能な時間だけ表示し続けることとしたので、脈拍を検出した間欠的な電気信号のように、短時間のパルスでも、人間が可視的に捕らえることができる。
【0021】
また、第7の観点の発明にかかる利得制御装置は、前記間欠的な周期性で発生する電気信号は、人体の脈拍を検出した電気信号であることを特徴とする。
【0022】
この第7の観点の発明によれば、間欠的な周期性で発生する電気信号は、人体の脈拍を検出した電気信号であることとしているので、利得調整された電気信号を心臓の同期信号として使用することができる。
【0023】
また、第8の観点の発明にかかる磁気共鳴撮像装置は、電気信号を繰り返し測定するとき、間欠的な周期性で発生する前記電気信号の利得を制御する磁気共鳴撮像装置であって、前記電気信号の振幅を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅された電気信号の振幅を減衰率に基づいて減衰させる減衰手段と、前記減衰手段により減衰された電気信号を検出し、該電気信号が同期可能電圧になるまで前記最大の減衰率から段階的に減衰率を下げるよう制御する制御手段と、前記増幅手段から出力された電気信号の振幅を表示する簡易表示手段とを備え、前記減衰手段により減衰された電気信号を、画像情報を取得する際の同期信号とすることを特徴とする。
【0024】
この第8の観点の発明によれば、電気信号の振幅を増幅する増幅手段と、増幅手段により増幅された電気信号の振幅を減衰率に基づいて減衰させる減衰手段と、減衰手段により減衰された電気信号を検出し、該電気信号が同期可能電圧になるまで最大の減衰率から段階的に減衰率を下げるよう制御する制御手段と、増幅手段から出力された電気信号の振幅を表示する簡易表示手段とを備え、減衰手段により減衰された電気信号を、画像情報を取得する際の同期信号とすることとしているので、心臓の動きによるゴーストのない磁気共鳴断層画像を取得することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、脈拍を検出した間欠的な電気信号を増幅し、この増幅された電気信号を同期可能電圧と比較し、この結果を表示するようにしているので、被検体の脈拍を検出する光センサを装着し直した際に、検出された脈拍の同期信号が磁気共鳴撮像装置の同期信号として使用できるかどうかを早期に判定することができる。この為、被検体に脈拍を検出する光センサを装着するのに必要な作業時間を減らすことができ、さらに被検体が磁気共鳴撮像装置内に設置されてから撮像を開始する迄の時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施の形態にかかる磁気共鳴撮像装置の全体構成を示すブロック図である。
図2図1に示した利得制御装置の具体的な構成を示す図である。
図3】利得制御装置に備わった増幅器の出力信号を示す図である。
図4】利得制御装置に備わった減衰器の出力信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる利得制御装置、および磁気共鳴撮像装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態である磁気共鳴撮像装置の全体構成を示したもので、被検体から検出された脈拍の電気信号を、断層画像情報の取得を行なう際の同期信号として用いるようにした磁気共鳴撮像装置を例示している。
【0028】
まず、本実施の形態にかかる磁気共鳴撮像装置の全体構成について説明する。図1は、この発明の実施の形態である利得制御装置を使用した磁気共鳴撮像装置の全体構成を示す模式図である。図1において、この磁気共鳴撮像装置は、大きくは、マグネット部101、テーブル部102、制御処理部103、および脈拍検出部104から構成される。
【0029】
マグネット部101は、上下に対向配置される一対の静磁場発生部4、勾配コイル部3、および送信コイル部2を有している。対向配置された二つの送信コイル部2間には、被検体5が配置される空間が形成される。上下二つの勾配コイル部3は、勾配駆動部14を介してスキャンコントローラ部13に接続される。また、上下二つの送信コイル部2は、送信部15を介してスキャンコントローラ部13に接続される。
【0030】
テーブル部102には、送信コイル部2間に形成された空間を移動するクレードル部6が設けられ、このクレードル部6上には、被検体5が載置される。クレードル部6は、被検体5の撮像部位がマグネット部101の中心部に位置するように移動制御される。
【0031】
制御処理部103には、核磁気共鳴を励起し、この励起された核磁気共鳴信号を受信検波する制御部と、この核磁気共鳴信号を処理し画像化する画像処理部を有する。受信コイル1は、テーブル部102に配設されており、マグネット部101の中心近傍に位置されている。この受信コイル1は、受信部7、検波部8、およびA/D変換部9を介して計算機10に接続される。計算機10には、操作部11および表示部12が接続されるとともに、スキャンコントローラ部13が接続される。スキャンコントローラ部13は、受信部7、RF発振部20、A/D変換部9、勾配駆動部14、および送信部15の各部を制御する。RF発振部20は、検波部8に接続される。
【0032】
脈拍検出部104は、被検体5の指先から脈拍を検出する光センサ26と、検出された光信号を伝送する光ファイバケーブル21と、検出された光信号を電気信号に変換する光検出部22と、この電気信号からスキャンコントローラ部13で使用するための同期信号を生成する利得制御部23と、脈拍が検出されたことを確認する簡易表示器24と、同期信号がスキャンコントローラ部に出力されていることを確認する信号表示器25とからなる。ここで、簡易表示機24は、オペレータが被検体5に対し光センサ26の脱着を行なう際に、見やすい位置、例えばクレードル部6の近傍に配設される。また、信号表示器25は、被検体5に装着された光センサ26からの同期信号が、スキャン中も継続的に出力されていることをオペレータが確認できるように表示部12の近傍に配設されることが好ましい。さらに、信号表示器25をもう一つ用意して、クレードル部6の近傍に配設すれば、信号表示器25は、被検体5に対して行なわれる医学的な処置の際に患者監視モニター的な補助器具として使用することもできる。
【0033】
ここで、光センサ26は、指先にある毛細血管中の血液の圧力が脈拍により変化し、さらにこの圧力変化により指先に照射された光の反射率が変化することを利用し、脈拍を検出する。このため、光ファイバケーブル21は、光を指先に送る光ファイバケーブルと、指先から反射した光を検出する光ファイバケーブルの2本からなる。また、指先に照射された光の反射を検出しているため、光センサ26の装着状態および指先の表面状態により、検出される光の反射信号は、大きく左右される。
【0034】
つぎに、図1に示した利得制御部23の具体的な構成について説明する。図2は、図1に示した利得制御部23の具体的な構成を示す回路図である。図2において、光検出器部22からの電気信号は、直流成分を除去するコンデンサ201を介して増幅器202に入力する。増幅器202は、一定の増幅率を有する増幅器で、この出力は、2つに分岐され、一方は、減衰器203に入力され、他方は、ノイズを除去するためのローパスフィルタ206を介してコンパレータ207に入力される。ここで、光検出器部22からの電気信号は、極めて小さいため、増幅器202で一定の増幅をした後で、減衰器203により精細な利得調整を行なう。
【0035】
減衰器203に入力した電気信号は、減衰された後、ノイズ除去のためのローパスフィルタ205を介して、スキャンコントローラ13および信号表示器25に出力される。なお、減衰器203は、一定時間電気信号の入力がない場合にはリセットされ、最大減衰率になるように設定されている。このため、光センサ26を被検体5の指先に装着した直後の電気信号は、最大減衰率が適用され、極めて小さなものとなる。また、信号表示器25は、例えば10個の発光ダイオードが縦方向に並べられ、減衰された電気信号の信号強度に比例した数の発光ダイオードが点灯するようになっている。
【0036】
コンパレータ207は、入力した電気信号を、高低2つの参照電圧と比較して、比較した結果の電気信号を簡易表示器24に送る。入力した電気信号の電圧が、高い参照電圧を越える場合には、簡易表示器24の緑色の発光ダイオードが点灯され、入力した電気信号の電圧が、低い参照電圧を越えて高い参照電圧迄の電圧を有する場合には、黄色の発光ダイオードが点灯する。なお、コンパレータ207の出力部は、ピークホールド回路を有するため、所定時間の間、出力電圧を保持し続けることができ、簡易表示器24の発光ダイオードが点灯したことを、オペレータに認知させることができる。
【0037】
また、減衰器203の出力電圧は、ローパスフィルタ205を経たあと、フィードバック回路204により減衰器203にフィードバックされ、減衰器203の減衰率を変更することで、出力電圧の利得を制御する。そして、フィードバック回路204は、出力電圧が同期信号として使用可能な同期可能電圧かどうかを判定するコンパレータ機能を備えており、出力電圧が同期可能電圧を越えるまで、段階的に減衰器203の減衰率を下げ、結果として利得を上げていく機能を有している。
【0038】
つぎに、図2に示した利得制御装置23の動作について説明する。図3は、図2に示した増幅器202から出力される電気信号を図示したものである。検出される脈拍の電気信号は、連続した大小2つのパルスからなり、この2つのパルスが心臓の1心拍に同期して周期的に検出される。2つのパルスの内、先に出力される大きい方のパルスが、同期のための電気信号として用いられる。また、図3中では、白い波形で示された大きい電圧を有する電気信号301と、灰色の波形で示された小さい電圧を有する電気信号311とが、例示されている。
【0039】
光センサ26を指先に装着した後で増幅器202から出力される電気信号は、図3で示した様に、大小様々な電圧を有しているため、コンパレータ207の参照電圧により選別を行なう。ここで、低い方の参照電圧は、同期可能電圧とし、さらに高い方の参照電圧は、同期可能電圧に減衰器203の減衰率の1段階あるいは複数段階分の電圧を加えた同期確実電圧とする。そのとき、コンパレータ207に入力した電気信号の電圧が、同期確実電圧を越えている場合には、簡易表示器24の緑色の発光ダイオードが点灯し、また、コンパレータ207に入力した電気信号の電圧が、同期可能電圧を越え、同期確実電圧迄の間にある場合には、黄色の発光ダイオードが点灯する。増幅器202から出力される電気信号311が、同期可能電圧を越えない場合には、簡易表示器24の発光ダイオードは、全く点灯しない。
【0040】
簡易表示器24の発光ダイオードが全く点灯しない場合には、増幅器202から出力される電気信号311が、同期可能電圧を越えていないので、オペレータが再び被検体5の指先に光センサ26を装着し直す。そして、簡易表示器24の発光ダイオードが点灯するまで、この装着しなおす作業を繰り返す。
【0041】
簡易表示器24の発光ダイオードが緑色あるいは黄色に点灯した場合には、増幅器202から出力される電気信号301が、同期可能電圧を越えているので、減衰器203により、スキャンコントローラ13への同期信号を生成することができ、光センサ26を装着し直す作業を終了する。
【0042】
つぎに、図4を用いて、簡易表示器24の発光ダイオードが点灯した場合に、増幅器202から出力される電気信号301から、スキャンコントローラ13への同期信号を生成する過程を説明する。
【0043】
図4は、電気信号301が入力した場合の減衰器203の出力と、信号表示器25の表示例を示した図である。光センサ26を被検体5の指先に装着した直後の電気信号401は、減衰器203が最大の減衰率に設定されているため、図4に示した様に小さいものとなる。
【0044】
減衰器203から出力される電気信号401の電圧が、同期可能電圧よりも低い場合には、フィードバック回路204により、減衰器203の減衰率が1段階あるいは複数段階下げられる。ここで、減衰率が例えば256段階に調整可能の場合には、1段階下げるごとに1/256ずつ電気信号が増加する。これにより、減衰器203の出力電圧は、減衰率の1段階あるいは複数段階分上昇し、電気信号301の利得がアップする。この操作を、減衰器203の出力電圧が同期可能電圧を越えるまで繰り返す。減衰器203から出力される電気信号404が、同期可能電圧を越えた場合には、より確実な同期信号としての動作を確保するため、さらに減衰率を1段階あるいは複数段階分下げた電気信号405を得て、この制御を終了する。図4中に示した信号表示器25には、一例として、電気信号405を表示した例を示した。縦に配列された10個の発光ダイオードの内、下から9個の発光ダイオードは点灯し、最上段の発光ダイオードは無点灯の状態となる。光センサ26を被検体5の指先に装着してから、電気信号405が得られるまでの時間は、安定した同期信号を得ることが出来ず、過渡的な待ち時間となる。
【0045】
上述してきたように、本実施の形態では、増幅器202から出力される電気信号を用い、この電気信号が同期可能電圧を越えているかどうかを、簡易表示器24の発光ダイオードの点灯、非点灯により判定するようにしているので、早期に、被検体5の指先に装着された光センサ26が、正常に装着されているかどうかを判定することができる。そして、被検体5の指先に光センサ26を装着し直し、同期可能な電気信号を得るための作業時間を短縮することができる。なお、本実施の形態では、簡易表示器24および信号表示器25に発光ダイオードを用いたが、液晶、プラズマディスプレイ等の表示手段を用いるようにしてもよい。また、光センサ26により検出された脈波の代わりに、ECGゲート信号を使用することもできる。
【0046】
また、本実施の形態では、垂直磁場型の磁気共鳴撮像装置を用いた場合について説明したが、水平磁場型の磁気共鳴撮像装置を用いても同様に実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 受信コイル
2 送信コイル部
3 勾配コイル部
4 静磁場発生部
5 被検体
6 クレードル部
7 受信部
8 検波部
9 A/D変換部
10 計算機
11 操作部
12 表示部
13 スキャンコントローラ部
14 勾配駆動部
15 送信部
20 RF発振部
21 光ファイバケーブル
22 光検出部
23 利得制御部
24 簡易表示器
25 信号表示器
26 光センサ
101 マグネット部
102 テーブル部
103 制御処理部
104 脈拍検出部
201 コンデンサ
202 増幅器
203 減衰器
204 フィードバック回路
205,206 ローパスフィルタ
207 コンパレータ
図1
図2
図3
図4