特許第5654771号(P5654771)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654771撮影装置、撮影装置の制御方法、および撮影方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654771
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】撮影装置、撮影装置の制御方法、および撮影方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20141218BHJP
   G03B 7/097 20060101ALI20141218BHJP
   G03B 17/18 20060101ALI20141218BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   H04N5/225 Z
   H04N5/225 F
   G03B7/097
   G03B17/18 Z
   G03B15/00 H
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-109597(P2010-109597)
(22)【出願日】2010年5月11日
(65)【公開番号】特開2011-239235(P2011-239235A)
(43)【公開日】2011年11月24日
【審査請求日】2013年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】504371974
【氏名又は名称】オリンパスイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(72)【発明者】
【氏名】野中 修
【審査官】 藤原 敬利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−124671(JP,A)
【文献】 特開2008−193342(JP,A)
【文献】 特開2008−017500(JP,A)
【文献】 特開2006−033241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222− 5/257
G03B 7/00 − 7/28
G03B 15/00
G03B 17/18 −17/20 ,17/36
H04N 5/765, 5/91 − 5/956
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像を出力する撮影手段と、
表示手段と、
複数の所定撮影条件での撮影を所定のフレームレートで繰り返し行うように前記撮影手段を、制御する動画撮影制御手段と、
同一の前記所定撮影条件で撮影された、それぞれが複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段の結果にもとづき、それぞれの前記複数の動画から所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを抽出する画像抽出手段と、
前記画像抽出手段の結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶する記憶手段と、を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記画像抽出手段が、前記複数の動画から、それぞれ、最大輝度値が最大の前記第1の画像と、最小輝度値が最小の前記第2の画像と、を抽出することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記輝度値が、白色輝度値、または、赤色輝度値、緑色輝度値、および青色輝度値のいずれかあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記表示手段に、前記複数の所定撮影条件での複数のスルー画像を並べて同時に表示するように制御する表示制御手段と、を具備することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記表示制御手段が、前記表示手段に、それぞれの前記複数の動画の前記第1の画像および前記第2の画像を並べて同時に表示するように制御することを特徴とす請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
前記画像解析手段が、それぞれの画像の、タッチパネルを介して使用者により指定される領域の輝度値を解析することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項7】
使用者が、前記表示手段に表示された前記第1の画像と前記第2の画像をもとに、いずれかの動画を選択可能な手動選択手段を具備し、
前記記憶手段が、前記手動選択手段により選択された動画を記憶することを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記複数の動画から、前記画像抽出手段の結果にもとづき、前記動画を自動的に選択する自動選択手段を具備し、
前記記憶手段が、前記自動選択手段により選択された前記動画を記憶することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記自動選択手段が、前記複数の動画から、最大輝度値が最大の前記第1の画像が飽和輝度値未満の前記動画を自動的に選択することを特徴とする請求項8に記載の撮影装置。
【請求項10】
撮影手段が、被写体の画像の撮影を複数の所定撮影条件で所定のフレームレートで繰り返し行い、それぞれが複数の画像からなる複数の動画を撮影する撮影ステップと、
同一の前記所定撮影条件で撮影された、それぞれが前記複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を画像解析手段が解析する解析ステップと、
前記画像解析手段の結果にもとづき、それぞれの前記複数の動画から所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを画像抽出手段が抽出する抽出ステップと、
前記画像抽出手段の結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶手段に記憶する記憶ステップと、を具備することを特徴とする撮影装置の制御方法。
【請求項11】
前記画像抽出手段が、それぞれの複数の動画から最大輝度値が最大の前記第1の画像と、最小輝度値が最小の前記第2の画像と、を抽出することを特徴とする請求項10に記載の撮影装置の制御方法。
【請求項12】
撮影手段が撮影した、被写体の画像の撮影を複数の所定撮影条件で所定のフレームレートで繰り返し行い、それぞれが複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を解析する解析ステップと、
前記解析ステップの結果にもとづき、前記複数の動画から、それぞれ所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップの結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶手段に記憶する記憶ステップと、を具備することを特徴とする撮影方法。
【請求項13】
前記抽出ステップにおいて、複数の動画から、それぞれ、最大輝度値が最大の前記第1の画像と、最小輝度値が最小の前記第2の画像と、が抽出されることを特徴とする請求項12に記載の撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画を撮影し記憶する撮影装置、動画を撮影し記憶する撮影装置の制御方法、および動画を撮影し記憶する撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、様々な撮影条件を自動的に制御する機能が備えられている。しかし、自動制御により撮影された画像が、撮影者の意図通りの画像になるとは限らない。例えば、自動的に設定された露出量での撮影画像は、撮影者が意図していた画像よりも明るすぎたり、暗すぎたりすることがある。このため、特開2009−111635号公報には、露出量などの撮影条件を段階的に変えながら複数枚の静止画を連続して撮影を行う、ブラケット撮影方式のカメラが、開示されている。
【0003】
ブラケット撮影方式では、例えば、1枚目の撮影時に自動制御によって最適制御値を決め撮影するとともに、最適制御値を中心として制御値をプラス側およびマイナス側に変化した条件で撮影し、さらに2枚の画像を得る。撮影者はブラケット撮影を行うことにより、3枚の画像の中から、自らの意図に、より合致した画像を取得することができる。
【0004】
一方、撮影技術のデジタル化により、静止画だけでなく動画も撮影できるカメラが提供されている。静止画撮影では撮影前に被写体の明るさ/色合い等の状態を確認できるが、動画撮影では撮影中に被写体に様々な変化が生ずることがある。このため、撮影前に決定した撮影条件を用いて動画撮影した場合には、使用者の意図した動画が得られないことがあった。
【0005】
近年、女性カメラユーザーが増えたこともあり、身近な体験、例えば料理の進行状態が動画にて撮影される機会が増加している。例えば、図1に示すように、焼き肉を焼くときの様子が動画撮影されることがある。しかし、図1(A)に示す焼き開始時の画像28A1から図1(B)に示す焼き完了時の画像28A2を予測して、撮影開始時に撮影条件(絞り/露出時間等)を設定することは容易ではない。また、肉91は焼け具合の変化に応じて、色合い等が変化し、また、変化が発生する部分(肉91)が画面上の不特定かつ小さい部分である。このため、肉91の部分が最適撮影条件になるように自動制御すると、肉91以外の被写体、例えば人物92および背景93の明るさ/色合いが、撮影条件の変化に応じて、変化してしまうために、不自然な動画となってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−111635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影装置、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影装置の制御方法、および、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明の実施形態の撮影装置は、被写体の画像を出力する撮影手段と、表示手段と、複数の所定撮影条件での撮影を所定のフレームレートで繰り返し行うように前記撮影手段を、制御する動画撮影制御手段と、同一の前記所定撮影条件で撮影された、それぞれが複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を解析する画像解析手段と、前記画像解析手段の結果にもとづき、それぞれの前記複数の動画から所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを抽出する画像抽出手段と、前記画像抽出手段の結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶する記憶手段と、を具備する。
別の実施形態の撮影装置の制御方法は、撮影手段が、被写体の画像の撮影を複数の所定撮影条件で所定のフレームレートで繰り返し行い、それぞれが複数の画像からなる複数の動画を撮影する撮影ステップと、同一の前記所定撮影条件で撮影された、それぞれが前記複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を画像解析手段が解析する解析ステップと、前記画像解析手段の結果にもとづき、それぞれの前記複数の動画から所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを画像抽出手段が抽出する抽出ステップと、前記画像抽出手段の結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶手段に記憶する記憶ステップと、を具備する。
さらに、別の実施形態の撮影方法は、撮影手段が撮影した、被写体の画像の撮影を複数の所定撮影条件で所定のフレームレートで繰り返し行い、それぞれが複数の画像からなる複数の動画の、それぞれの前記複数の画像の輝度値を解析する解析ステップと、前記解析ステップの結果にもとづき、前記複数の動画から、それぞれ所定条件の輝度の第1の画像と第2の画像とを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップの結果にもとづき、前記複数の動画から選択された動画を記憶手段に記憶する記憶ステップと、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影装置、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影装置の制御方法、および、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し記憶する撮影方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】動画撮影の画像を説明するための説明図であり、図1(A)は撮影開始時の画像を示しており、図1(B)は撮影終了時の画像を示している。
図2】第1実施形態のカメラの構成図である。
図3】第1実施形態のカメラの動作の流れを説明するためのフローチャートである。
図4】第1実施形態のカメラの撮影する複数の動画を構成する画像を説明するための説明図である。
図5】第1実施形態のカメラの使用状態を説明するための説明図である。
図6】第1実施形態のカメラの表示部の表示面を説明するための説明図である。
図7】第1実施形態のカメラの輝度解析部の動作を説明するための説明図である。
図8】第1実施形態のカメラの表示部の表示面を説明するための説明図である。
図9】第2実施形態のカメラの構成図である。
図10】第2実施形態のカメラの使用状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、第1実施形態の撮影装置である動画撮影可能なカメラ1について説明する。図2に示すように、カメラ1は、交換レンズ10とボディ20とを有する。カメラ1としては、レンズ交換式に限られるものではないが、以下の説明はカメラ1を例に説明する。なお、カメラ1の交換レンズ10は汎用品であるため、簡単に説明する。
【0012】
交換レンズ10は、レンズ11と、操作部12と、駆動部13と、位置検出部14と、制御部15と、通信部16と、を具備する。レンズ11は複数の光学部材/絞り等からなる例えばズームレンズである。使用者の操作は操作部12を介して制御部15に伝送され、駆動部13はレンズ11の絞り、焦点、および画角(ズーム状態)等を駆動する。レンズ11のズーム状態、合焦状態、および絞りは、位置検出部14によって検出される。レンズ11の状態等は通信部16を介してボディ20に送信される。なお、カメラ1は図示したレンズ10以外の交換レンズも装着可能であり、ズームレンズでないレンズが装着された場合には、図示しないピントリング等が操作部12となる。
【0013】
ボディ20は、撮影手段である撮像部21と、動画撮影制御手段である動画撮影制御部31と、動画生成手段である動画生成部32と、表示制御手段である表示制御部33と、一時記憶手段である一時記憶部22と、画像解析手段である画像解析部34と、画像抽出手段である画像抽出部35と、手動選択手段である手動選択部36と、自動選択手段である自動選択部37と、記憶手段である記憶部23と、タッチパネル29を有する表示手段である表示部28と、入力手段であるタッチパネル29および操作部26と、時計25と、通信部24と、を有する。なお、ボディ20の各構成要素は、それぞれ独立したハードウエアではなく、例えば、動画撮影制御部31等の構成要素は、図示しないROM等の記憶部または記憶媒体に記憶されたプログラムがCPUに読み込まれて、それぞれの構成要素の機能を実行するものであってもよい。すなわち、CPUが制御部30を構成し、制御部30が、その機能としてそれぞれの構成要素の機能を有していてもよい。
【0014】
撮像部21はレンズ11を介して被写体の画像を撮影し撮像画像を出力する。動画撮影制御部31は、複数の所定撮影条件での撮影を所定のフレームレートで繰り返し行うように撮像部21を、制御する。動画生成部32は所定撮影条件で撮影された複数の画像をもとに、動画を生成する。表示制御部33は撮影時に、表示部28に、複数の異なる撮影条件での複数のスルー画像を並べて同時に表示するように制御する。画像解析部34は複数の動画を構成する、複数の画像の輝度値をそれぞれ解析する。画像抽出部35は画像解析部34の結果にもとづき、複数の動画から、最大輝度値が最大の第1の画像と、最小輝度値が最小の第2の画像と、を抽出する。
【0015】
表示制御部33は、撮影後には表示部28に、複数の異なる撮影条件でのそれぞれの第1の画像および第2の画像を並べて同時に表示するように制御する。手動選択部36は、使用者のタッチパネル29等を介した指示にもとづき、表示部28に表示された第1の画像および第2の画像をもとに、いずれかの動画を選択する。これに対して自動選択部37は手動選択部36が所定時間、使用者からの指示を受けなかった場合等に、撮影された複数の動画から、第1の画像の輝度値が飽和輝度値以下で、かつ、第1の画像と第2の画像との輝度値の差が最大の動画を自動的に選択する。記憶部23は、手動選択部36または自動選択部37が選択した動画を記憶する。カメラ1は、通信部27を介して他の外部機器と接続が可能であり、例えばTV等に画像を表示することができる。
【0016】
次に、図3のフローチャートに従い、カメラ1の処理の流れについて説明する。
<ステップS10>電源ON
カメラ1の電源がONの場合(Yes)に、動作が開始し、OFFの場合(No)に動作が終了する。
【0017】
<ステップS11>システム初期設定
撮影動作モードが、マルチ動画モード、すなわち、ブラケット動画撮影モードの場合(Yes)には、S13からの処理が行われる。マルチ動画モードでない場合(No)には、S12から通常撮影の処理が行われる。
【0018】
<ステップS13〜S15>条件1〜3の撮影
例えば、動画撮影制御部31は、3種類の撮影条件A、B、Cでの撮影を所定のフレームレートで繰り返し行うように撮像部21を、制御する。ここで撮影条件A、B、Cは、例えば、露出を標準とした条件B、プラス側(例えば露出量倍)とした条件A、およびマイナス側(例えば露出量1/4)とした条件Cである。
【0019】
露出条件の決定には、公知の測光方式(評価測光、中央部重点平均測光、スポット測光)を用いる。また人物が撮影される場合には顔検出システムを用い検出した顔部分が適正露出条件となるようにしてもよい。さらに、使用者がスルー画面が表示されているタッチパネルを指でタッチすることにより画面上の所定領域を測光するようにしてもよい。
例えば、図1に示した焼き肉を焼くときの様子を動画撮影する場合に、スルー画面の肉91部分と、人物92の部分と、を使用者が順にタッチすることにより、指定した2つの領域、すなわち肉91および人物92が適正露出条件となるようにしてもよい。
【0020】
そして、カメラ1では、撮影条件A、B、Cでの撮影を、所定のフレームレートで順次、繰り返し行い、複数の動画を得る。例えば、1つの動画のフレームレートが60フレーム/秒で、3種類の撮影条件A、B、Cで撮影する場合には、撮像部21は、180フレーム/秒のフレームレートで撮影を行う。
【0021】
撮影条件数およびフレームレートは、使用者の設定により変更可能である。すなわち、使用者が露出時間を重視し、3種類の撮影条件の露出合計時間が、1/60秒以上の場合には、フレームレートを下げて撮影してもよい。また記憶容量を低減するために使用者がフレームレートを下げてもよい。一方、4種類以上の撮影条件で動画撮影を行っても良い。
【0022】
図4は、撮影条件A、B、Cの撮影画像を説明するための図であり、図4(A)は露出量倍の画像FAを、図4(B)は露出量標準の画像FBを、図4(C)は露出量1/4の画像FCを、示しており、図の右側にいくに従い時間が経過した後の画像が得られる状態を概念的に示している。
【0023】
<ステップS16>画像マルチ表示
表示制御部33は、表示部28に、3種類の撮影条件A、B、Cで撮影中の3つのスルー画像を並べて同時に表示するように制御する。例えば、図5および図6には、露出量標準の画像FBを表示部28の表示画面28Aの表示領域28A1に、露出量倍の画像FAを表示領域28A2に、露出量1/4の画像FCを表示領域28A3に、表示する場合を例示している。
【0024】
使用者は、撮影中にスルー画像を確認することができるため、撮影条件が、いずれも不適切だった場合には、撮影を中止することができる。すなわち、ここでのスルー画像とは、撮影中の画像であり、それぞれの画像は一時記憶部22に記憶されている。
なお、マルチ動画モードの場合には、撮影開始前にも、表示制御部33は、表示部28に、3つの撮影条件A、B、Cの、一時記憶部22に記憶していない複数のスルー画像を並べて同時に表示するように制御してもよい。
【0025】
<ステップS17>撮影終了?
使用者が撮影終了を指示する(Yes)まで、ステップS13からの処理が繰り返し行われる。
【0026】
<ステップS18>動画生成
動画生成部32は一時記憶部22に記憶されている画像をもとに、3種類の所定の撮影条件でのそれぞれの動画AFA、AFB、AFCを生成する。なお、動画生成部32の処理は後述する選択処理の後に、記憶部23に記憶する選択された複数の画像のみを動画化処理してもよい。すなわち、動画生成部32は、撮影終了後または記憶部23に記憶前に、所定撮影条件で撮影された複数の画像をもとに動画を生成する。
【0027】
<ステップS19>画像解析
画像解析部34は、複数の動画AFA、AFB、AFCを構成する複数の画像FA1〜FA9、FB1〜9、FC1〜FC9の輝度値を解析する。ここで、図7(A)〜(F)は、画像の中央部の輝度を示しており、図7(A)は画像FA1を、図7(B)は画像FB1を、図7(C)は画像FC1を、図7(D)は画像FA9を、図7(E)は画像FB9を、図7(F)は画像FC9を、示している。
【0028】
すなわち、被写体Mの明るさ(輝度)は、撮影初期の画像FA1、FB1、FC1の中では、画像FB1が最適値である。しかし、撮影終了時において、画像FA9および画像FB9は露出オーバーとなってしまっている。すなわち、撮像部21の画素の飽和輝度値BUを超えた輝度値となっているために、正しい輝度とは異なっている。
【0029】
ここで、輝度値は、白色輝度値、または、赤色輝度値、緑色輝度値および青色輝度値のいずれかである。輝度値として1つを選択する場合には白色輝度値が好ましい。色を重視する場合、言い換えれば「色変化モード」の場合には、輝度値として赤色輝度値、緑色輝度値および青色輝度値であることが好ましい。この場合、画像解析部34は、それぞれの画像の赤色輝度値、緑色輝度値および青色輝度値を解析する。
【0030】
また、画像解析部34は、画像の画面全体の画素について解析するだけでなく、前述の露出条件の決定と同様に画面中央部のみ、または使用者が指定した領域のみを解析してもよい。使用者による領域指定は、画像が表示されている表示部28の画面を、タッチパネル29を介して指でタッチして指定することが好ましい。また画像解析を、例えば領域内の9画素中の1画素について行うことにより、高速処理が可能となる。
【0031】
<ステップS20>画像抽出
画像抽出部35は、画像解析部34の解析の結果にもとづき、それぞれの複数の動画AFA、AFB、AFCから、最大輝度値Bmaxが最大の第1の画像と、最小輝度値Bminが最小の第2の画像と、を抽出する。図4および図7に示した例では、例えば、動画AFAからは第1の画像として、画像FA9が、第2の画像としては画像FA1が抽出される。すなわち、使用者の判断による選択を重視するために、画像抽出部35は、露出オーバーであっても画像FA9を抽出する。
なお、画像抽出部35が露出オーバーの画像以外で輝度が最大の画像を第1の画像として抽出するように、使用者の選択により可能であることが好ましい。
また、画像解析部34が、それぞれの画像の赤色輝度値、緑色輝度値および青色輝度値を解析した場合には、画像抽出部35は、3色の輝度値の平均値を用いたり、3色の輝度値の最大値または最小値を用いたりする。
【0032】
なお、上記例では、最初の画像が第2の画像であり、最後の画像が第1の画像であるが、もちろん、撮影途中の画像が第1の画像/第2の画像である場合も多い。
【0033】
<ステップS21>静止画マルチ表示
表示制御部33は、表示部28に、3種類の異なる撮影条件A、B、Cでの第1の画像と第2の画像とを並べて同時に表示するように制御する。すなわち、図8に示すように、表示画面28Aには、撮影条件A、B、Cの6枚の画像が並べて表示される。
【0034】
<ステップS22>動画選択あり?
表示部28に表示された3種類の動画から、例えばタッチパネル29により一の動画が使用者により、指示される(Yes)ことにより、手動選択部36はいずれかの動画を選択する。言い換えれば、使用者は、自らの意図に適合した動画を選択する。
【0035】
<ステップS23>自動選択
例えば、所定時間内に手動選択が行われなかった場合、または、使用者による自動選択指示があった場合(S22:No)には、自動選択部37が自動的に一の動画を選択する。このとき、自動選択部37は第1の画像が飽和輝度値未満であり、かつ第1の画像と第2の画像との輝度値の差が最大の動画を選択する。すなわち、自動選択部37は変化量が最も大きい動画を選択する。
画像解析部34が、それぞれの画像の赤色輝度値、緑色輝度値および青色輝度値を解析した場合には、画像抽出部35は、3色の輝度値の全てが飽和輝度値未満の第1の画像であり、かつ第1の画像と第2の画像との輝度値の差が最大の動画を選択する。
【0036】
<ステップS24>動画記憶
手動選択部36または自動選択部37が選択した動画、すなわち使用者の意図に適合した撮影条件の動画は、記憶部23に記憶される。このとき、図示しない動画圧縮部により記憶する動画を圧縮処理した後に、記憶してもよい。
【0037】
なお、以上では、画像抽出部35が、画像解析部34の解析の結果にもとづき、第1の画像および第2の画像を抽出する場合について説明したが、画像抽出部35は、所定条件にもとづき第1の画像および第2の画像を、所定撮影条件A、B、C毎に抽出してもよい。例えば、画像抽出部35が、最初の画像を第1の画像として抽出し、最後の画像を第2の画像として抽出してもよい。
また画像抽出部35が、最も変化の大きい動画、言い換えれば、変化が鮮明となる第1の画像および第2の画像を抽出するようにしてもよいし、時間に対して変化量が大きい動画、言い換えれば、変化量の微分値が大きい第1の画像および第2の画像を抽出してもよい。また撮影条件は露出時間に限られるものではなく、絞り状態等であってもよい。
【0038】
以上の説明のように、本実施形態のカメラ1は、使用者の意図に適合した撮影条件の動画を撮影し、記憶する。
【0039】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態のカメラ1Aについて説明する。なお、第2実施形態のカメラ1Aは、第1実施形態のカメラ1と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0040】
図9に示すように、カメラ1Aは、撮影開始前の表示部28に表示されたスルー画像の中から、使用者が特定の被写体を指定する被写体指定手段である被写体指定部38を具備しており、画像解析部34Aが、撮像画像の中の被写体指定部38により指定された特定の被写体を構成する領域を解析する。
【0041】
すなわち、地平線に沈んでいく太陽を動画撮影する場合のように、撮影される被写体が時間の経過につれ、画面の中を移動する場合がある。このような場合、図10に示すように、カメラ1Aでは使用者が、撮影開始前にスルー画像の中から特定の被写体として太陽を、タッチパネル29を指でタッチして指定することにより、太陽が最適の露出状態となるように、動画撮影を開始する。そして、画像解析部34Aは、撮影画像中の太陽が撮影された部分を検出し、その領域の輝度値を解析する。
【0042】
例えば、被写体指定部38は、タッチパネル29を介して使用者が指定した領域の被写体画像の特有の形状、色、または輝度等を判定し、順次得られる画像上での類似パターンの位置が、どのように移動したかを検出する。そして検出結果は画像とともに一時記憶部22に記憶される。
【0043】
そして、画像解析部34Aが、画像中の太陽が撮影された領域の画像を解析する、使用者または自動選択部37は、最も太陽の色変化が大きい画像から構成された動画を選択可能である。使用者が指定する領域は2箇所以上であってもよい。
なお、撮影中に被写体指定部38により指定された特定の被写体が画面からなくなった場合、例えば太陽が地平線下に没した場合、カメラ1Aは使用者に告知し撮影継続/中止の判断を求める。
【0044】
以上の説明のように、本実施形態のカメラ1Aは、カメラ1が有する効果に加えて、画面中の小さな部分の被写体画像に注目した、使用者の意図に適合した動画を撮影できる。
【0045】
すなわち、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等ができる。
【符号の説明】
【0046】
1、1A…カメラ、10…交換レンズ、11…レンズ、12…操作部、13…駆動部、14…位置検出部、15…制御部、16…通信部、20…ボディ、21…撮像部、22…一時記憶部、23…記憶部、24…通信部、25…時計、26…操作部、27…通信部、28…表示部、29…タッチパネル、30…制御部、31…動画撮影制御部、32…動画生成部、33…表示制御部、34、34A…画像解析部、35…画像抽出部、36…手動選択部、37…自動選択部、38…被写体指定部、91…肉、92…人物、93…背景
図2
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図8
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図10
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図4