特許第5654877号(P5654877)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654877原子力設備の水槽側壁における損傷箇所の修繕装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654877
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】原子力設備の水槽側壁における損傷箇所の修繕装置
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/02 20060101AFI20141218BHJP
   G21C 19/07 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   G21C19/02 Y
   G21C19/06 A
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-550154(P2010-550154)
(86)(22)【出願日】2009年3月9日
(65)【公表番号】特表2011-514529(P2011-514529A)
(43)【公表日】2011年5月6日
(86)【国際出願番号】EP2009052715
(87)【国際公開番号】WO2009115419
(87)【国際公開日】20090924
【審査請求日】2011年1月12日
(31)【優先権主張番号】102008014544.0
(32)【優先日】2008年3月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501315289
【氏名又は名称】アレヴァ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Areva GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(72)【発明者】
【氏名】クレーマー、ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー‐ヒュネーク、コンラート
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第03913202(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第03916186(DE,A1)
【文献】 特開2009−002946(JP,A)
【文献】 特開平06−201896(JP,A)
【文献】 特開2008−057981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子力設備の水槽側壁(12)における損傷箇所(21)の修繕装置において、
前記水槽側壁(12)に、水槽側壁に沿って立てて、そこから間隔を隔てて固定した、案内レール(6a,6b)を有するガイドシステム(6)と、
前記ガイドシステム(6)の前記案内レール(6a,6b)上に載置されたスライダ(20)とを備え、
前記スライダ(20)は、損傷箇所を含む水槽側壁部位に接着面で当てられる修復被覆材(22)の受け部(30)を有し、
前記受け部(30)は、前記スライダ(20)に、前記水槽側壁(12)に対向して配設され、前記ガイドシステム(6)の長手方向に対して直角方向であって前記水槽側壁(12)の方向に移動可能に支持されていることを特徴とする原子力設備の水槽側壁における損傷箇所の修繕装置。
【請求項2】
スライダ(20)が駆動装置を有しておらず、専ら重力の作用で最終位置に移動できることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ガイドシステム(6)が互いに解体可能に結合された複数のセグメント(8)で構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ガイドシステム(6)が互いに平行に延びる2本の案内レール(6a、6b)で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
ガイドシステム(6)を水槽側壁(12)に固定するために、ガイドシステム(6)に配置され且つ負圧管に接続された複数の吸盤(10)を備えていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つの吸盤(10)がガイドシステム(6)の長手(縦)方向に対して直角(前後)に移動可能にガイドシステム(6)に支持されていることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
修復被覆材(22)の接着面とは反対側の背面に負圧を発生することによって修復被覆材(22)が修復被覆材受け部(30)に固定可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の装置。
【請求項8】
修復被覆材受け部(30)が空気圧式に移動可能であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
修復被覆材受け部(30)を取り囲み且つ修復被覆材受け部(30)の送り方向に移動可能でバイアス圧力をもって修復被覆材受け部(30)に支持された枠(60)を備え、該枠(60)がそれ自体で取り囲んだ内部空間の中に延びる舌片(62)を備え、該舌片(62)の内縁(64)が送り方向(31)において修復被覆材(22)の外縁(65)と一直線に並び、出発位置において修復被覆材(22)より送り方向前方に位置していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
枠(60)と修復被覆材受け部(30)との間に存在し修復被覆材受け部(30)を取り囲む捕捉室(66)を備えていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
舌片(62)がばね板から成っていることを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
枠(60)が空気圧式にバイアスを与えられていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器や水槽特に原子力設備の水槽の水中に位置する壁部位における損傷箇所の修繕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力設備の水が満たされた水槽例えば原子炉ピットや燃料集合体貯蔵槽の壁面(側壁および底面)には相互に溶接された鋼板から成るライニングが設けられている。それらの鋼板を相互にあるいは基礎構造物に溶接する溶接継目は、溶接時に不可避的に生ずる機械応力のために塩化物で誘起される応力腐食割れを起こし易い。そのような割れを通してコンクリート壁の中に貯水が浸透することを防止するために、その割れは密閉されねばならない。その修繕処理中に保全作業員を放射線から確実に防護するために、特に燃料集合体が装荷されている燃料集合体貯蔵槽は排水することができないので、修繕は水中で行わざるを得ない。しかしそのような燃料集合体貯蔵槽の場合特に、燃料集合体貯蔵槽内に存在する燃料集合体支持架台と水槽側壁との間の狭い隙間しか利用できないので、水槽側壁に接近することが困難である。
【0003】
基本的には特許文献1で、そのような割れを接着剤の塗布や修復被覆材の貼着によって密閉することが知られている。そのために修復被覆材はダイバー(潜水夫)により手作業であるいは水槽縁からの操作アームによって水槽内壁に取り付けられる。この方式では水中深く位置する接近し難い損傷箇所を修繕することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第10026649号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、容器や水槽特に原子力設備の水槽の壁部位における損傷箇所をそれが非常に接近し難い箇所に存在する場合でも修繕できる修繕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明に基づいて、請求項1に記載の特徴を有する装置によって解決される。この特徴に応じて本発明に基づく修繕装置は、水槽側壁に沿って立てて設置でき該水槽側壁にそこから間隔を隔てて固定できるガイドシステムであって、その長手方向に走行可能なスライダを案内するためのガイドシステムを有し、損傷箇所を含む壁部位に接着面で当てられる修復被覆材の受け部が前記スライダに移動可能に支持されて配置されている。
【発明の効果】
【0007】
かかる修繕装置によれば、水槽の内部に存在する構造部品例えば燃料集合体貯蔵槽の支持架台があるために狭い隙間を通してしか接近できない側壁部位並びにこの側壁部位に隣接する水槽底面の周縁部位に到達することができる。
【0008】
修復被覆材を損傷箇所に搬送するために、水槽側壁に固定されたガイドシステム上に載置可能で案内レールの長手方向に走行できるスライダを利用することによって、粘性で流動性のある接着剤が着けられた修復被覆材を非常に短時間で適正な作業位置に運ぶことができる。これはその適正作業位置が予め案内レールの設置によって決定されているからである。換言すれば、案内レールの設置と位置決めは、案内レールが設置されたときにはじめて接着剤着き修復被覆材が損傷箇所に搬送されるので、非常に精確に時間を要せずに行える。
【0009】
スライダがドライブレス(駆動装置なし)であり、専ら重力の作用で最終位置に移動される場合、修繕装置の組立は非常に簡単となる。
【0010】
ガイドシステムが互いに解体可能に結合された複数のセグメントで構成されている場合、ガイドシステムの組立が現場で簡単に行える。
【0011】
ガイドシステムは好適には互いに平行に延びる2本の案内レールで構成されている。これによって、修復被覆材の押圧時にスライダを介してガイドシステムに作用する力とモーメントが良好に受けられる。
【0012】
負圧管に接続された複数の吸盤がガイドシステムに配置されている場合、水槽側壁へのガイドシステムの特に簡単な取付けが可能となる。
【0013】
少なくとも1つの吸盤がガイドシステムの長手(縦)方向に対して直角(前後)に移動可能にガイドシステムに支持されている場合、案内レールの狭い隙間への位置決めが容易になる。
【0014】
修復被覆材の接着面とは反対側の背面に負圧を発生することによって修復被覆材が修復被覆材受け部に固定される場合、修繕箇所への修復被覆材の確実な搬送が可能となる。この処置によって、修復被覆材が接着剤の硬化後に水槽内壁に永続的に固定されれば、修復被覆材受け部の簡単な解放あるいは引きはずしが可能となる。
【0015】
修復被覆材受け部が空気圧式に移動できる場合、確実な接着結合に対する大きな押圧力が得られる。
【0016】
本発明に基づく修繕装置は本発明の特に有利な実施態様において、修復被覆材受け部を取り囲み且つ修復被覆材受け部の送り方向に移動可能でバイアス(予圧)をもって修復被覆材受け部に支持された枠を有し、この枠がそれ自体で取り囲んだ内部空間の中に延びる舌片を備え、この舌片の内縁が送り方向において修復被覆材の外縁と一直線に並び、出発位置において修復被覆材より送り方向前方に位置している。この処置によって、被修繕壁部位に修復被覆材を押圧する際に横に押し出された接着剤が修復被覆材の外部で水槽内壁に広がったり滴り落ちたりすることが防止される。
【0017】
さらに、枠と修復被覆材受け部との間に修復被覆材受け部を取り囲む捕捉室があれば、舌片で掻き取られた接着剤が確実に受けられ、接着剤が水槽内部に達することはない。
【0018】
舌片ができるだけ一様にピッタリと水槽内壁に接するように、舌片は好適にはばね板から成っている。
【0019】
以下図に示した実施例を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】燃料集合体貯蔵槽における作業位置にある本発明に基づく修繕装置の概略側面図。
図2】本発明に基づく修繕装置の図1とは異なった方向から見た側面図。
図3】本発明に基づく装置の下部における最終位置に置かれ修復被覆材を受けているスライダの斜視図。
図4】修復被覆材が置かれているスライダの斜視図。
図5】水槽の角における内壁部位の修繕に適用される本発明に基づく修繕装置の異なる実施例の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1は水が満たされた燃料集合体貯蔵槽2における作業位置にある本発明に基づく修繕装置を示している。この修繕装置は水槽上縁に設置された架台3に保持された張出し支持枠4を有し、この張出し支持枠4は互いに平行に長手方向に(縦に)延びる2本の案内レール6a、6bで構成されたガイドシステム6を支える。このガイドシステム6は複数のセグメント8で構成されている。ガイドシステム6ないし案内レール6a、6bに複数の吸盤10が配置され、これらの吸盤10には図示されていない負圧管を介して負圧が供給することができ、そのようにしてガイドシステム6を例えば垂直に延びる水槽側壁12にそこから間隔を隔てて固定する。
【0022】
この実施例において、ガイドシステム6は燃料集合体貯蔵槽2の上部に存在し概略的に図示された組込み物14を乗り越えるべく、その上部が水槽側壁12に対して傾斜して真っ直ぐに延びている。この傾斜して延びるガイド部位はガイドシステム6の自由端において水槽側壁12の壁面に対して平行に延びる終端セグメント80に移行し、この終端セグメント80はその隣のセグメント8に小さな遊びをもってヒンジ結合されている。
【0023】
吸盤10は案内レール6a、6bを取り囲む複数のU形保持リンク16の両側脚部の自由端に対を成して配置され、その脚部の長さは必要な勾配に応じて張出し支持枠4からの距離が増大するにつれて小さくなっている。
【0024】
ガイドシステム6の自由端は水槽側壁12と概略的に図示された燃料集合体貯蔵槽架台18との間の隙間に挿入され、ここでも複数の吸盤10を介して水槽内壁に固定される。そして図2には、接着面を備えた修復被覆材を保持しガイドシステム6の案内レール6a、6b上に載置されたスライダ20が作業位置で水槽側壁12の損傷箇所21に存在している状態が示されている。この作業位置はガイドシステム6におけるスライダ20に対する終端ストッパの位置によって規定されている。損傷箇所21とその精確な位置は先行検査で検出され測量され、これによって、ガイドシステム6の(水槽縁における位置とその深さ位置についての)精確な位置付けが可能となる。スライダ20はドライブレスであり(駆動装置が存在せず)、支持枠4に存在するケーブルウィンチでその最終位置に専ら重力の作用で作業位置に下ろされる。
【0025】
図1の側面図から、吸盤10が案内レール6a、6bの両側に案内レール6a、6bから間隔を隔てて配置され、そのようにしてスライダ20が案内レール6a、6b間を(縦に)通過できるようにされていることが分かる。さらにこの図から、ガイドシステム6の自由端の領域における吸盤10の数が増大され、そのようにしてスライダ20で搬送される修復被覆材22の押圧時に生ずる反力を受けることができ、ガイドシステム6が水槽側壁12における固定位置に確実に留まるようにされることが理解できる。
【0026】
図3における終端セグメント80の拡大詳細図から、ストッパまでその最終位置に移送されたスライダ20が修復被覆材受け部30を有していることが理解できる。その修復被覆材受け部30はスライダ20にガイドシステム6の長手(縦)方向に対して直角(前後)に矢印で示された送り方向31に移動可能に支持され、修復被覆材22を受けている。修繕箇所21の領域で終端セグメント80を固定するために、この実施例では7個の吸盤10が利用され、これらの吸盤10は対を成して(上部の4個の吸盤10)ないし三重式に(下部の3個の吸盤10)、ガイドシステム6の長手(縦)方向に対して直角(前後)に二重矢印32の方向に好適には空気圧式にそれぞれエアシリンダで繰り出される。そのエアシリンダは左側に図示された吸盤対のエアシリンダ33でしか理解できない。このことは、ガイドシステム6を狭い隙間に挿入する際にその自由端部位に存在する吸盤10が水深約10mに位置する狭い隙間に容易に挿入できる位置に引っ込むことができるという利点を有する。修繕装置が水槽側壁12に位置決めされた後、吸盤10が水槽側壁12に当てられ、負圧の供給によってそこに固定される。吸盤10のさらなる繰り出しによって、水槽側壁12に対するスライダ20の有用間隔を増大することができる。
【0027】
吸盤10はガイドシステム6に関してその長手方向に、限られた遊びSで(自由端に対して接近方向および隔離方向の)両方向に弾力的に支持され、このようして、続いて水槽側壁12への吸盤10の固定が行われた後、ガイドシステム6の長手方向における移動によってこの方向におけるスライダの再調整もできる。
【0028】
水槽側壁12に沿った修繕装置の案内および隙間への終端セグメント80の挿入を容易にするために、この終端セグメント80は末端に壁に沿って転動するローラあるいは支持球34が設けられている。
【0029】
図4の実施例における案内レール6a、6bは横断面正方形状をしている。スライダ20にU形に形成されたシュー40a、40bが設けられ、それらの基礎面は互いに(例えば90°の角度を成して)傾斜され、スライダ20はその基礎面で案内レール6a、6b上に載置されている。そのシュー40a、40bの片側脚部はそれぞれ案内レール6aないし案内レール6bの側面に接する円錐状ローラ42a、42bで形成されている。U形シュー40a、40bの基礎面が相対して傾斜されていることによって、スライダ20はガイドシステムの長手(縦)方向に対して直角(横)に(図において紙面に対して水平に)案内レール6a、6b上に確保されている。
【0030】
スライダ20に配置された修復被覆材受け部30はラム50を有し、このラム50は空気圧装置52によりガイドシステム6の長手(縦)方向に対して直角(前後)に二重矢印31の方向に移動できる。ラム50はそれ自体に対して軸方向に移動可能に支持された支持枠54で取り囲まれ、支持枠54のラム50とは反対側の平坦面に設けられた修復被覆材22はその縁で支持枠54に接している。その修復被覆材22は図面では分かり易くする理由から図示されていない接着剤を備えている。
【0031】
ラム50においてここでも複数の吸盤51が弾力的に支持され、これらの吸盤51によって修復被覆材22が搬送のために修復被覆材受け部30に固定される。また安定性を高めるために、空気圧装置52の作動中にラム50を案内する案内棒56が設けられている。
【0032】
さらに修復被覆材受け部30はそれ自体に対して軸方向に移動可能に支持された枠60で取り囲まれている。枠60はそれ自体で取り囲んだ内部空間の中に延び例えば折り曲げられた板から成る舌片62を有している。この舌片62の内縁64は修復被覆材22の外縁65と送り方向31において一直線上に並んでいる。その内縁64は出発位置において修復被覆材22より距離aだけ送り方向前方に位置し、エアシリンダによって所定の力で修復被覆材受け部30に向けてバイアス(予圧)が与えられている。
【0033】
そして修復被覆材受け部30の送りは、空気圧装置52により、水槽側壁12が修復被覆材22の接着剤付き接着面と接する前に、まず舌片62が水槽側壁12に接触するように作用する。修復被覆材受け部30のさらなる送り運動時、枠60のバイアスが打ち負かされ、修復被覆材22の接着面が水槽側壁12の壁面と接触され、その際、弾性支持された吸盤51による押圧力の増大時に修復被覆材22の背面と修復被覆材受け部30の押圧面58との間に存在する隙間が塞がれ、これによって平面的押圧が生ずる。壁面への修復被覆材22の押圧中、横にはみ出た余剰接着剤は枠60と修復被覆材受け部30との間に存在し修復被覆材受け部30を取り囲む捕捉室66の中に舌片62によって掻き入れられる。その押圧力は接着剤が硬化するまで維持される。その接着剤の硬化後、吸盤51に空気が吹き込まれ、ラム50が引き戻され、スライダ20がケーブルウィンチにより引き上げられる。
【0034】
基本的には、図1図4を参照して詳述した修繕装置を水槽側壁に隣接する底面周縁部位を修繕することもできるように変更することもでき、そのために例えば、修復被覆材が修復被覆材受け部の送りによってガイドシステムの長手方向に対して斜めにあるいは垂直に向けられた面に当てられるか押圧されるようにするために、修復被覆材用修復材受け部をスライダに対して回動可能に配置することができる。
【0035】
さらに本発明に基づく装置は、平らな壁面に貼着するために適用されるだけでなく、異なった形状の壁面にその壁面輪郭に合わされた修復被覆材で適応させることもできる。かかる実施例は図5に示されている。ここでは水槽の横角における内壁部位に存在する損傷箇所を修繕するために、修復被覆材22として相応して構造的に変更された修復被覆材受け部で受けられた角形修復被覆材並びに相応して互いに90°の角度を成して配置された吸盤10を備えたガイドシステム6が利用され、ガイドシステムはその吸盤10で水槽の互いに直交して隣接する両側壁に固定できる。この実施例の場合も、修復被覆材受け部はガイドシステム6の長手方向に対して直角に、移動可能にスライダ20に支持されている。従って、円筒状の容器や管もそれに応じて構造的に合わされた修復被覆材受け部、ガイドシステムおよび修復被覆材を利用して修繕することができる。
【符号の説明】
【0036】
6 ガイドシステム
6a 案内レール
6b 案内レール
8 セグメント
10 吸盤
12 水槽側壁
20 スライダ
21 損傷箇所
22 修復被覆材
30 修復被覆材受け部
60 枠
62 舌片
64 舌片の内縁
65 修復被覆材の外縁
66 捕捉室
図1
図2
図3
図4
図5