(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るインプリント装置の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るガイドの一例を示す上面図である。
図2(b)は、
図2(a)のA−A線に沿った断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための
図3に引き続く断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための
図4に引き続く断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係るインプリント方法の一例を説明するための断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係るインプリント方法の一例を説明するための
図6に引き続く断面図である。
【
図8】
図8(a)は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係るガイドの一例を示す正面図である。
図8(b)は、
図8(a)に示したガイドを示す上面図である。
図8(c)は、
図8(b)のA−A線に沿った断面図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係るガイドの他の一例を示す正面図である。
図9(b)は、
図9(a)に示したガイドを示す上面図である。
図9(c)は、
図9(b)のA−A線に沿った断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係るガイドの更に他の一例を示す断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係るインプリント装置の一例を示す断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施の形態に係るインプリント装置の一例を示す概略図である。
【
図13】
図13(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るモールドの一例を示す下面図である。
図13(b)は、
図13(a)のA−A線に沿った断面図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための断面図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための
図14に引き続く断面図である。
【
図16】本発明の第2の実施の形態に係るインプリント方法の他の一例を説明するための工程断面図である。
【
図17】本発明の第2の実施の形態に係るインプリント方法の他の一例を説明するための
図16に引き続く工程断面図である。
【
図18】本発明の第3の実施の形態に係るインプリント装置の一例を示す概略図である。
【
図19】
図19(a)は、本発明の第3の実施の形態に係るインプリント用治具の一例を示す下面図である。
図19(b)は、
図19(a)のA−A線に沿った断面図である。
【
図20】本発明の第3の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための工程断面図である。
【
図21】本発明の第3の実施の形態に係るインプリント方法の一例を説明するための
図20に引き続く工程断面図である。
【
図22】本発明のその他の実施の形態に係るガイドの一例を示す上面図である。
【
図23】比較例に係るインプリント方法の一例を説明するための断面図である。
【
図24】比較例に係るインプリント方法の他の一例を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0021】
又、以下に示す第1〜第3の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るインプリント装置は、
図1に示すように、凸部12を有するモールド(インプリントモールド)10を載置可能な第1ステージ1と、第1ステージ1と対向し、凸部12が圧入される樹脂層20を載置可能な第2ステージ2と、第2ステージ2に配置され、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置し、モールド10から樹脂層20にかかる圧力により樹脂層20の余分な一部を外部へ押し出す空隙部4を有するガイド3とを備える。
【0023】
ここで、「パターン転写領域」とは、樹脂層20の表面のうちモールド10の凸部12が圧入されてパターンが転写される領域を意味する。本発明の第1の実施の形態においては「パターン転写領域」が樹脂層20の全面と一致する場合を説明するが、必ずしも樹脂層20の全面と一致していなくても良い。例えば、樹脂層20の表面の中央部が「パターン転写領域」であり、その外周部にパターンが転写されない領域が存在しても良い。
【0024】
第1ステージ1は、ステージ保持部5により上部を保持されている。ステージ保持部5は、駆動軸6により上部を保持されており駆動部7により昇降される。駆動部7の上部には駆動軸8が接続されている。一方、第2ステージ2は、基台9により下部を保持されている。第2ステージ2上には基板21が配置され、基板21上に樹脂層20が載置されている。なお、基板21がなく第2ステージ2上に樹脂層20が直接載置されていても良い。
【0025】
第1ステージ1及び第2ステージ2にはヒータがそれぞれ内蔵されていても良く、第1ステージ1の上部及び第2ステージ2の下部にヒータがそれぞれ配置されていても良い。又、第1ステージ1に樹脂層20を配置し、第2ステージ2にモールド10を配置する構成であっても良い。又、第2ステージ2が昇降する構成や、第1ステージ1及び第2ステージ2の双方が昇降する構成であっても良い。
【0026】
モールド10は、支持部11と、支持部11上に配置され、樹脂層20に圧入する凸部12とを備える。モールド10の材料としては、例えばシリコン(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等が使用可能で、表層に離型剤を塗布したりダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を形成したりして離型性を向上させても良い。
【0027】
一例としてモールド10の支持部11の高さHmは600μm程度、凸部12の高さHpは10μm程度、幅は3〜50μm程度に設定できる。凸部12の高さHp、幅、形状、位置及び数は特に限定されるものではない。又、凸部12が互いに同じ高さHpを有する場合を説明するが、互いに異なる高さを有していても良い。
【0028】
樹脂層20としては、例えば熱可塑性ポリイミドや液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂等が使用可能である。なお、樹脂層20の種類は特に限定されず、それに応じて樹脂層20の硬化方法も熱硬化、室温硬化又は紫外線(UV)硬化等であって良い。
【0029】
樹脂層20の厚さTr1はモールド10の凸部12の高さHpと同じであっても良く、凸部12の高さHpより厚くても良い。又、樹脂層20のパターン転写前の厚さTr1はパターン転写後の所望の膜厚と同じであっても良く、パターン転写後の所望の膜厚より厚くても良い。
【0030】
ガイド3の第2ステージ2上の高さHgは、樹脂層20が所望の膜厚となるように任意に設定できる。例えば、樹脂層20のパターン転写前の厚さTr1がパターン転写後の所望の膜厚と同じ場合、ガイド3の第2ステージ2上の高さHgを、樹脂層20の厚さTr1と基板21の厚さTsとモールド10の支持部11の高さHmの和と一致させて良い。この場合、樹脂層20の厚さTr1が25μm、基板21の厚さTsが100μm、モールド10の支持部11の高さHmが600μmであれば、ガイド3の高さHgは725μmである。
【0031】
又、樹脂層20のパターン転写前の厚さTr1とパターン転写後の所望の厚さが異なる場合、ガイド3の第2ステージ2上の高さHgを、樹脂層20のパターン転写後の所望の厚さと基板21の厚さTsとモールド10の支持部11の高さHmの和と一致させて良い。
【0032】
又、基板21がない場合、ガイド3の第2ステージ2上の高さHgを、樹脂層20の厚さTr1(又はパターン転写後の所望の厚さ)とモールド10の支持部11の高さHmの和と一致させて良い。
【0033】
ガイド3の材料としては、銀(Ag)、金(Au)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)等又はその合金等が使用可能である。銅(Cu)、ニッケル(Ni)又はアルミニウム(Al)等の場合、防錆処理を施していることが好ましい。
【0034】
ガイド3は、
図2(a)に示すように、均一の高さを有する複数(4つ)の板状の部材を有する。上面視においてガイド3は全体として略正方形の枠状をなし、各部材は「く」の字形状を有する。
【0035】
ガイド3の各辺の中央部にはスリット状の空隙部4が形成されている。空隙部4は、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに余分な樹脂層20を外部に排出できるように任意の数、任意の位置に設けられ、任意のサイズを有する。空隙部4の形状はスリット状に特に限定されず、円形又は矩形の開口部等の種々の形状が採用可能である。
【0036】
図2(b)に示すように、第2ステージ2にはガイド3を固定するための溝部22が設けられている。ガイド3はエポキシ樹脂等の接着剤を用いて溝部22に接着されていても良い。なお、第2ステージ2に溝部22を設けず、第2ステージ2表面にガイド3を直接接着しても良い。
【0037】
なお、ガイド3は第1ステージ1及び第2ステージ2の少なくとも一方に設ければ良い。例えば、第1ステージ1に設けても良いし、ガイド3の一部を第1ステージ1に設け、ガイド3の他の一部を第2ステージ2に設けても良い。
【0038】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るインプリント装置を用いたインプリント方法を含む配線板の製造方法の一例を、
図3〜
図5を用いて説明する。
【0039】
(イ)
図3に示すように、まず、第2ステージ2に溝部22を形成し、溝部22に別途作製したガイド3を設けておく。
【0040】
(ロ)第1ステージ1に凸部12を有するモールド10を取り付ける。又、第2ステージ2上に基板21を載置し、基板21上に樹脂層20を載置する。
【0041】
(ハ)
図4に示すように、第1ステージ1を降下させ、例えば樹脂層20が熱可塑性樹脂の場合、ガラス転移温度以上に加熱し軟化させ、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入する。このとき、ガイド3の上端が第1ステージ1に接触し、ガイド3が樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置する。ガイド3を備えることにより、モールド10から樹脂層20に均一に圧力が加わり、樹脂層20の余分な一部が
図1及び
図2(a)に示した空隙部4から外部に押し出される。この結果、
図4に示すように樹脂層20が所望の膜厚Tr2となり、樹脂層20に凹部23が形成される。その後、冷却して樹脂層20を硬化させる。
【0042】
(ニ)
図5に示すように、第1ステージ1を上昇させ、モールド10を樹脂層20から離型する。必要に応じてプラズマアッシング等により凹部23の底部の樹脂残渣を除去する。引き続き、めっき等により凹部23に銅(Cu)又は銀(Ag)等の導電材料を充填し、配線等の導電パターンが形成される。その後、めっき等により樹脂層20の上面及び下面に配線パターンを適宜形成することで配線板が作製される。
【0043】
ここで、ガイド3がない場合のインプリント方法を比較例として説明する。
図23に示すように、比較例に係るインプリント方法において、第1ステージ101に固定したモールド110の支持部111上の凸部112を、第2ステージ102に載置した樹脂層120に圧入する。このとき、樹脂層120が不規則に流れ出し、樹脂層120のパターン形状が変形する場合がある。これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るインプリント装置によれば、
図4に示すように、ガイド3を備えることにより、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに樹脂層20の余分な一部が空隙部4から外部に押し出され、樹脂層20が不規則に流れ出すことを防止することができ、所望の樹脂層20のパターン形状を再現性良く得ることができる。
【0044】
又、
図24に示すように、ガイド3がない場合であって、モールド110の凸部112に高さばらつきがあるときや、転写圧力に面内ばらつきがあるとき、凸部112を樹脂層120に圧入したときにモールド110が傾き、樹脂層120のパターン形状が変形する場合がある。これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るインプリント装置によれば、
図4に示すように、ガイド3が均一の高さを有することにより、モールド10の凸部12に高さばらつきがあるときや、転写圧力に面内ばらつきがあるときであっても、樹脂層20の高さを均一化し、且つその膜厚Tr2を均一化することができる。
【0045】
(第1の変形例)
本発明の第1の実施の形態では、
図4に示すように、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに、ガイド3の上端が第1ステージ1に接触する場合を説明した。本発明の第1の実施の形態の第1の変形例として、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに、ガイド3の上端がモールド10の支持部11に接触する場合を説明する。
【0046】
図6に示すように、樹脂層20の厚さTr1は、パターン転写後の所望の膜厚と同じ厚さとする。ガイド3の第2ステージ2上の高さHgを、樹脂層20の厚さTr1と基板21の厚さTsとの和と一致するよう設定する。例えば、樹脂層20の厚さTr1が25μm、基板21の厚さTsが100μmの場合、ガイド3の高さHgは125μmである。なお、基板21がない場合には、ガイド3の第2ステージ2上の高さHgを樹脂層20の厚さTr1と一致させても良い。
【0047】
図7に示すように、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに、ガイド3の上端がモールド10の支持部11に接触する。この場合も、ガイド3の上端が第1ステージ1に接触する場合と同様の効果が得られる。更に、ガイド3の上端と第1ステージ1との接触による第1ステージ1の損傷を防止することができる。
【0048】
(第2の変形例)
本発明の第1の実施の形態の第2の変形例として、ガイド3の形状の他の例を説明する。
【0049】
例えば、
図2(a)に示したガイド3は上面視において直線状の各辺を有するが、ガイド3の形状は曲線状も良く、蛇腹状でも良い。
【0050】
又、
図8(a)〜
図8(c)に示すように、ガイド3は、複数の棒状の部材であっても良い。各部材は、パターン転写領域の外周に配列し、第2ステージ2の表面に対して垂直方向に延伸し、それぞれの間隔が空隙部4をなす。
図8(c)に示すように、第2ステージ2には、ガイド3をそれぞれ固定する溝部22が形成されていても良い。
【0051】
又、
図9(a)〜
図9(c)に示すように、ガイド3は、パターン転写領域の外周に配列した、半田や銅等のマイクロボール等からなる複数の球状の部材であっても良い。
図9(b)に示すように上面視において「く」の字状である溝部22に各部材が配置されている。ガイド3は全体として正方形の枠状を有し、各辺の中央に空隙部4を有する。又、隣接する球状の部材の隙間からも樹脂層20の余分な一部を排出することができる。なお、ガイド3を構成する複数の球状の部材を個別に配置する複数の溝部が形成されていても良い。又、第2ステージ2に溝部22がなく、ガイド3が第2ステージ2上に配置された複数の半球状の部材であっても良い。
【0052】
又、
図10に示すように、ガイド3が、第2ステージ2上のパターン転写領域の端部から第2ステージ2端部にわたって覆っていても良い。又、
図10に示したガイド3が第2ステージ2の一部であり、第2ステージ2の中央部が窪んでいることと等価であっても良い。
【0053】
又、図示を省略するが、ガイドがパターン転写領域の全周を覆う1つの板状の部材からなり、その部材の下側が全周にわたり空隙部をなしていても良い。
【0054】
又、ガイド3が、板状の部材、棒状の部材及び球状の部材を組み合わせることにより構成されていても良い。
【0055】
又、ガイド3が均一の高さを有する場合を説明したが、最上部の高さと一部の高さが異なっていても良い。
【0056】
このように、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例によれば、モールド10のサイズ、樹脂層20の種類やサイズ等に応じて、ガイド3の部材の材料、形状、構成部材の数、又はサイズ等を適宜選択することができ、空隙部4の形状、数、位置又はサイズ等も適宜選択することができる。
【0057】
(第3の変形例)
本発明の第1の実施の形態では、
図1に示すように第2ステージ2上に基板21を配置した場合を説明した。本発明の第1の実施の形態の第3の変形例として、
図11に示すように、インプリント装置が、基板21の代わりに、第2ステージ2上に配置された犠牲層24を更に備える場合を説明する。
【0058】
犠牲層24の材料としては、例えばポリイミドやポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等からなるフィルムや多孔質部材等が使用可能である。
【0059】
図11に示すように、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに、樹脂層20を貫通し、犠牲層24に達する(突出する)。樹脂層20のパターン転写後の厚さTr2は、凸部12の高さHpと同じかそれ以下に設定されている。その後、モールド10を樹脂層20から離型すると同時に、犠牲層24を樹脂層20から剥離する。
【0060】
図24に示すように、ガイド3がない場合であって、特にモールド110の凸部112に高さばらつきがあるときや転写圧力に面内ばらつきがあるとき、凹部123の底部の樹脂残渣のばらつきが大きくなり、灰化(アッシング)処理をしても部分的に樹脂残渣が残存する虞がある。
【0061】
これに対して、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例によれば、
図11に示すように樹脂層20の下面に配置された犠牲層24を備えることにより、凸部12が樹脂層20を貫通し、樹脂層20の凹部23において樹脂残渣をなくすことができる。よって、樹脂残渣を除去するための灰化(アッシング)処理を不要とすることができる。
【0062】
なお、犠牲層24が第2ステージ2上に直接配置される場合を説明したが、第2ステージ2上に基板が配置され、基板上に犠牲層24が配置されていても良い。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るインプリント装置は、
図12に示すように、モールド10xがガイド3を有する点が、本発明の第1の実施の形態と異なる。
【0064】
モールド10xは、
図12、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、支持部11と、支持部11上に配置され、樹脂層20に圧入する凸部12と、支持部11上の凸部12の外周に配置され、モールド10xの凸部12を樹脂層20に圧入したときに樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置し、モールド10xから樹脂層20にかかる圧力により樹脂層20の余分な一部を外部へ押し出す空隙部4を有するガイド3とを備える。
【0065】
ガイド3の高さHgは、
図12に示した基板21の厚さTsと樹脂層20の厚さTr1との和と一致させている。
【0066】
なお、本発明の第2の実施の形態ではガイド3の下端が第2ステージ2と接触する場合を説明するが、ガイド3の下端が基板21に接触する場合や、基板21がない場合には、ガイド3の高さHgを樹脂層20の厚さTr1と一致させても良い。
【0067】
本発明の第2の実施の形態に係るインプリント装置の他の構成は、本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るインプリント装置を用いたインプリント方法を含む配線板の製造方法の一例を、
図14及び
図15を用いて説明する。
【0069】
(イ)
図14に示すように、ガイド3付きのモールド10xを作製しておく。例えば、支持部11上に凸部12を形成した後、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いためっき等によりガイド3を形成する。支持部11上を樹脂で埋め、研磨等によりガイド3の高さを均一にする。その後、樹脂を剥離することによりモールド10xを作製可能である。
【0070】
(ロ)インプリント装置の第1ステージ1にモールド10xを取り付ける。一方、第2ステージ2に基板21を載置し、基板21上にパターン転写対象となる樹脂層20を載置する。
【0071】
(ハ)
図15に示すように、第1ステージ1を降下させ、モールド10xの凸部12を樹脂層20に圧入する。ガイド3の下端は第2ステージ2に接触し、ガイド3は樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置する。このとき、モールド10xから樹脂層20に均一に圧力がかかり、樹脂層20の余分な一部が
図12及び
図13(a)に示した空隙部4から外部に押し出される。この結果、
図15に示すように樹脂層20が所望の膜厚となり、樹脂層20に凹部23が形成される。その後の工程は本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0072】
本発明の第2の実施の形態に係るインプリント装置によれば、モールド10xがガイド3を備えることにより、ガイド3をインプリント装置に設けた場合と同様に、モールド10xの凸部12を樹脂層20に圧入したときに樹脂層20が不規則に流れ出すことを防止することができ、樹脂層20に所望のパターン形状を再現性良く得ることができる。
【0073】
更に、モールド10xがガイド3を有することにより、モールド10x及び樹脂層20のサイズに合わせた設定ができ、且つ効率よくメンテナンスすることができる。
【0074】
なお、
図16に示すように、樹脂層20のパターン転写領域の周囲にパターンが転写されないダミー領域を設けても良い。
図17に示すように凸部12を樹脂層20に圧入したときに、ガイド3の先端を樹脂層20のダミー領域に圧入しても良い。
【0075】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るインプリント装置は、
図18に示すようにガイド3を有するインプリント用治具16を備える点が、本発明の第1の実施の形態と異なる。
【0076】
インプリント用治具16は、
図18、
図19(a)及び
図19(b)に示すように、第1ステージ1に載置可能であり、凸部12を有するモールド10を固定する固定部15と、固定部15のモールド10が固定される領域の外周に配置され、モールド10を第2ステージ2上に載置された樹脂層20に圧入したときに樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置し、モールド10から樹脂層20にかかる圧力により樹脂層20の余分な一部を外部へ押し出す空隙部4を有するガイド3とを備える。
【0077】
ガイド3は固定部15の溝部17に設けられている。なお、溝部17がなくガイド3が固定部15の表面に設けられていても良い。又、固定部15のモールド10が固定される領域に溝部を設けていても良い。
【0078】
本発明の第3の実施の形態に係るインプリント装置の他の構成は、本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0079】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るインプリント装置を用いたインプリント方法を含む配線板の製造方法の一例を、
図20及び
図21を用いて説明する。
【0080】
(イ)
図20に示すように、シリコン(Si)、ステンレス又は銅(Cu)等の板状の固定部15にガイド3を設ける。なお、固定部15の中央部に、例えばエッチング等により、モールド10を固定するための溝部を設けても良い。
【0081】
(ロ)固定部15にモールド10を固定し、固定部15のモールド10を固定したのと反対側の面をステージに取り付ける。又、第2ステージ2上に基板21を載置し、基板21上に樹脂層20を載置する。
【0082】
(ハ)
図21に示すように、第1ステージ1を降下させ、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入する。ガイド3の下端は基板21と接触し、ガイド3は樹脂層20のパターン転写領域の外周に位置する。このとき、モールド10から樹脂層20に均一に圧力が加わり、樹脂層20の余分な一部が
図18及び
図19(a)に示した空隙部4から外部に押し出される。この結果、樹脂層20が所望の膜厚となり、樹脂層20に凹部23が形成される。その後の工程は本発明の第1の実施の形態と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0083】
本発明の第3の実施の形態に係るインプリント用治具16によれば、ガイド3をインプリント装置に設けた場合と同様に、モールド10の凸部12を樹脂層20に圧入したときに樹脂層20が不規則に流れ出すことを防止することができ、樹脂層20に所望のパターン形状を再現性良く得ることができる。
【0084】
更に、インプリント用治具16がガイド3を有することにより、インプリント用治具16に載置されるモールド10及び樹脂層20のサイズに合わせた設定ができ、且つ効率よくメンテナンスすることができる。
【0085】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0086】
例えば、ガイド3は樹脂層20の余分な一部を外部へ排出する空隙部4を有する代わりに、
図22に示すようにパターン転写領域の外周に設けられ、樹脂層20の余分な一部を溜め込む空間4xを有していても良い。
【0087】
又、
図4に示した第1ステージ1のガイド3の上端と接触する部分に溝部を設け、凸部12を樹脂層20に圧入したときにガイド3の上端が第1ステージ1の溝部にはまるようにしても良い。
【0088】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。