特許第5654951号(P5654951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654951容量性結合を用いる低電圧から高電圧へのレベル変換
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654951
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】容量性結合を用いる低電圧から高電圧へのレベル変換
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/0185 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   H03K19/00 101E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-131211(P2011-131211)
(22)【出願日】2011年6月13日
(65)【公開番号】特開2012-10336(P2012-10336A)
(43)【公開日】2012年1月12日
【審査請求日】2014年6月10日
(31)【優先権主張番号】12/823,666
(32)【優先日】2010年6月25日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エル・クニーリム
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−174251(JP,A)
【文献】 特開2005−150989(JP,A)
【文献】 特開2003−077283(JP,A)
【文献】 特開2002−197881(JP,A)
【文献】 特開2009−111685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K19/00,19/01−19/082,19/094−19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル論理信号を有するデジタル論理回路と、
各々第1接続部及び第2接続部を有し、前記第1接続部が前記デジタル論理信号へ電気的に結合された第1高電圧キャパシタ及び第2高電圧キャパシタと、
たすき掛け結合型インバータ対であって、前記たすき掛け結合型インバータ対の少なくとも1つのたすき掛け結合型インバータの出力が、前記第1高電圧キャパシタ及び前記第2高電圧キャパシタの前記第2接続部へ電気的に結合されたたすき掛け結合型インバータ対と、
前記たすき掛け結合型インバータ対の状態を検知しかつ前記デジタル論理信号よりも高い電圧レベルの出力信号を生成するように構成された検知回路と、
を備え、
前記第2高電圧キャパシタは、前記デジタル論理信号に電気的に結合された前記第1接続部と前記たすき掛け結合型インバータ対の少なくとも1つのたすき掛け結合型インバータの他方の出力に電気的に結合された前記第2接続部とを有し、
前記第2高電圧キャパシタの前記第1接続部への前記デジタル論理信号の電気的な結合は、論理反転を含むと共に前記第2高電圧キャパシタの前記第2接続部は、前記たすき掛け結合型インバータ対の一方のインバータの出力と他方のインバータの入力との間に電気的に結合されている
電圧レベル変換回路。
【請求項2】
前記たすき掛け結合型インバータ対は、前記デジタル論理回路への供給電圧と比較して低減された供給電圧を受ける、請求項1に記載の電圧レベル変換回路。
【請求項3】
前記たすき掛け結合型インバータ対のラッチ状態を検知するように配置された疑似差動検知回路を更に備えた請求項1に記載の電圧レベル変換回路。
【請求項4】
2つの低電圧入力信号と、
第1信号が高位側駆動信号でありかつ第2信号が低位側駆動信号である2つの高電圧出力信号と、
第1レベル変換部が前記高位側駆動信号を生成しかつ第2レベル変換部が前記低位側駆動信号を生成する2つのレベル変換部と、
を備え、
前記2つのレベル変換部は、
デジタル論理信号を有するデジタル論理回路と、
第1接続部及び第2接続部を有し、前記第1接続部および前記第2接続部のうちの1つが前記デジタル論理信号へ電気的に結合された少なくとも1つの高電圧キャパシタと、
たすき掛け結合型インバータ対であって、前記たすき掛け結合型インバータ対の少なくとも1つのたすき掛け結合型インバータの出力が、前記少なくとも1つの高電圧キャパシタの少なくとも1つの他の接続部へ電気的に結合されたたすき掛け結合型インバータ対と、
を備え、
前記高電圧キャパシタの前記第2接続部は、前記たすき掛け結合型インバータ対の一方のインバータの出力と他方のインバータの入力との間に電気的に結合されている
高電圧駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フラット・パネル・ディスプレイおよび非サーマルのダイレクト・マーキング・プリントヘッドなどの多くのタイプのイメージングシステムは、多数の高電圧エレメントを双方向に駆動する必要がある。これらのイメージングシステムは、典型的にはイメージングエレメントを選択的にオン、オフすることでディスプレイ上にまたは印刷表面上に画像を形成するイメージングエレメント配列を有する。高電圧出力トランジスタは一般に、選択的にエレメントを正か負かいずれかの高電圧供給レールに接続する、またはいずれにも接続しないことによって、エレメントのオンまたはオフ状態を制御する。
【背景技術】
【0002】
一般に、イメージングエレメント用の駆動信号に関連して、駆動信号のタイミングおよび状態を低電圧信号が制御する。ディスプレイおよびプリントヘッド駆動コントローラ、またはチップは、相対的に低電圧の画像データのシリアル・デジタル・ビットストリームを受け、96ビットから640ビット幅のパラレルデータへ変換する。次いでドライバチップは、低電圧信号のレベルを変換して高電圧供給レールをたどり、これらのレベル変換信号を用いて、イメージングエレメントのオンおよびオフ状態を制御する高電圧出力トランジスタをスイッチングする。
【0003】
ここで使用される用語「低電圧」と「高電圧」とは、互いに関係がある。「低電圧」信号は、一般に2.5Vと5Vとの間の論理回路を駆動するために使用される信号である。「高電圧」信号は、10Vと100Vとの間の信号など、論理回路を駆動するために使用される電圧を超える信号である。
【0004】
従来のドライバチップは、直流結合構成において高電圧トランジスタを用いて、このレベル変換を成し遂げている。これらの高電圧トランジスタは、典型的には、各トランジスタの周囲に広い絶縁領域を必要とし、それゆえにシリコンなどのチップ基板に広い領域を必要として、チップコストを増加させることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの解決法として、比較的小さい領域を必要とし、それゆえに低コストチップを可能にする、容量性で結合されたレベル変換を用いることがある。しかしながら、従来の容量性で結合された絶縁回路は、一般に多くの領域を取りすぎ、かつ余りにも複雑なので、単一チップ上に数百の複製を取り付けることができない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】高電圧出力を有する単純化された駆動回路の一実施形態を示す。
図2】容量性結合レベル変換回路の一実施形態を示す。
図3】クロス導通防止機能を有する容量性結合レベル変換回路の一実施形態を示す。
図4】容量性結合レベル変換回路の一実施形態の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、高位側出力駆動信号および低位側出力駆動信号を有する駆動回路用に単純化された概念的な回路図を示す。入力信号Vss_selおよびVpp_selは、回路が高位側レール電圧VPPもしくは低位側レール電圧VSSを出力するか、またはオープン(高インピーダンス)かを選択する。Vpp_selが真になると、出力Vout16はPFET12を通って高位側レール電圧VPPへ接続する。同様に、低位側選択信号Vss_selが真になると、出力VoutはNFET14を通って低位側レール電圧VSSへ接続する。Vpp_selもVss_selもいずれも真でない場合、出力Voutはオープン(高インピーダンス)である。一般に、電圧源VPPおよびVSSは、画素またはノズルなどの、ディスプレイまたはイメージング機器エレメントを駆動するのに適切な電圧にある高電圧供給レールである。
【0008】
電圧VDDは、論理回路へパワー(電力)を供給する低電圧論理供給電圧である。この電圧における論理信号は、高電圧出力FET12および14を制御するのに十分に高く変換される必要がある。図2は、ラッチ28を形成する、弱くたすき掛けに結合されたインバータの対を示す。インバータノードのうちの一方または両方へ流入する、容量性で結合された電流によって、ラッチ状態は切り替えられる。両方のノードが容量性で結合されることを現在の図は示しているのに対して、一方のノードだけが容量性で結合される可能性があることに留意されたい。
【0009】
2つのキャパシタC1およびC2は、それぞれ24および26として参照され、入力信号Vpp_selに応答する論理回路22からもたらされるデジタル論理信号を入力として受ける。キャパシタの出力は、インバータ対のノードへ電気的に結合される。図2に関するこの実施形態では、キャパシタC1の出力は、ラッチ回路28内のノードp1へ結合する。キャパシタC2の出力は、ラッチ回路28内のノードp2へ結合する。検知回路30は、ラッチ28の状態を検知することができる。検知回路30の出力は信号p3_nであり、次いで信号p3_nはバッファ31を通って出力FET12に供給する。ラッチ回路28、検知回路30およびバッファ31は、これらの構成要素への負の論理電源であるVPP2へ接続され、VPP2はVPPを大略2.5V下回る電圧をたどる。
【0010】
Vss_selからもたらされる低位側出力は、高位側に対応する構成要素を有する。論理回路42は論理回路22に対応し、ラッチ48はラッチ28対応する。キャパシタC3およびC4は、それぞれキャパシタC1およびC2に対応する。最後のゲート駆動信号sgが反対の極性をしているという理解のもとでは、低位側回路の動作は、高位側回路と極めて類似している。高位側回路内の対応要素と同様に、ラッチ回路48、検知回路50およびバッファ51は、正の論理電源VSS2へ接続され、VSS2はVSSを大略2.5V上回る電圧をたどることになる。図3に関して説明される低位側上のインバータA1も、この電源へ接続することになる。
【0011】
容量性レベル変換に関して生じる可能性がある1つの問題は、レベル変換部入力から出力への直流(DC)経路が無いことである。電源投入時または静電気放電などの異常な出来事の後、レベル変換部の入力および出力は、最後は別々の状態となりうる。レベル変換部の出力状態が不正確なため、同時に高位側出力FET12も低位側出力FET14も共にオンする可能性があり、ドライバチップがダメージを受けるようになる。この状態は、クロス導通と呼ばれる。
【0012】
図3は、この問題を制御する仕組みを備えた変換回路の一実施形態を示す。低位側変換部出力は、ドライバチップへパワーが加えられると、オフ状態をリセットするように構成される。この特徴は、一般に「パワー・オン・リセット」と呼ばれる。加えて、1対の小信号用高電圧トランジスタ32および34が各出力に追加されて、高出力および低出力トランジスタ12および14が同時に有効化されることを検出する。この説明は、「クロス導通防止機能」として参照される。同時有効化が生じる場合、回路の低位側は直ちにオフ状態に設定される。
【0013】
PFET32およびNFET34は、抵抗R1およびインバータA1とともに、信号cc_nを発生させ、クロス導通が生じる場合には、信号cc_nは真(ロー)となる。ゲート60は、一方の入力としてクロス導通信号を受け、他方の入力としてローが真のパワー・オン・リセット信号por−_nを受ける。cc_nもpor_nも共に偽(ハイ)のときだけ、ゲート62からの出力s2上で、低位側レベル変換部ラッチ48を真(ハイ)状態に切り替えることが可能となる。これにより、PFET12がオンであるときにNFET14が同時にはオンしないことが確実にされる。パワー・オン・リセット信号により、回路が最初に電源オンされるときにNFETがオフであることが確実にされ、クロス導通も回避される。
【0014】
用いられる半導体技術に依存して、別のレベル変換がさらに必要となる可能性があることに留意されたい。FET12および14のゲート用の論理レベルは、現在の回路よりもさらに増加させる必要がある場合があり、図2および図3内のバッファ31および51のように示される、従来のレベル変換部が用いられてもよい。
【0015】
キャパシタにかかるどんな負荷も考慮すべきであることに留意されたい。一方のキャパシタの入力側が他方にはない負荷を有する場合、タイミング問題が生じることがある。キャパシタの入力から負荷を取り除くか、負荷の釣り合いをとるかのいずれかが賢明かもしれない。これにより、2つのキャパシタのタイミングがさらに密接に連結されることが可能となり、キャパシタを駆動するバッファが可能な限り同時に近くスイッチングすることが望みとなるようになる。キャパシタの出力側上の浮遊容量を最小化して、ラッチ28および48の状態を切り替えるのに役立つ電圧振幅を最大化しようとしていることにも留意されたい。
【0016】
検知回路30は、ノードp2だけを信頼するよりも、ノードp1とノードp2の両方の電圧を比較して、VPP上の急速な電圧振幅に対する堅牢性を改善することができる。図4は、図3の30として示された回路とは異なる検知回路の実施形態を示す。図4では、インバータ対のノードは、この場合もp1およびp2として識別され、これらはキャパシタから容量性で結合された電流を受ける。
【0017】
図3の出力インバータ30は、トランジスタU100、101、102、103、104および105と置き換えられている。供給電圧vpp0およびvpp1は、インバータ対への低減された供給電圧であり、本明細書では「弱い」インバータとして参照される。これらのトランジスタは、疑似差動受信部を形成して、ラッチ状態を検知する。受信部の出力はノードp3にある。このラッチ検知回路は、高電圧供給レール上の極めて急速なスルーレートに対する堅牢性を改善する。図4には示してはいないが、疑似差動検知回路を含むレベル変換回路は、低位側高電圧回路用にも複製される。
【0018】
このように、さらに複雑なかつ大きな直流結合回路を用いるよりむしろ容量性結合インバータを用いて、ドライバチップは、高電圧出力トランジスタまたは回路のゲートを駆動するのに必要な電圧に達することができる。加えてこの回路は、直流結合回路よりもさらに急速に動作し、交流結合から生じる可能性がある問題に対する防御力を有している。
図1
図2
図3
図4