(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の乗場と、各上記乗場に着床可能に設けられるかごとを備え、上記乗場と上記かごのそれぞれが、出入り口及び上記出入り口を開閉するドアを有するエレベータに設けられるエレベータの出入り口用発光装置であって、
上記かご及び上記乗場の少なくとも一方の上記出入り口の幅方向の側部に、上記出入り口の下部から上方に向かって高さ方向の位置をずらして設けられる複数の発光体と、
上記かごの走行制御信号に基づいて、各上記発光体の発光を制御可能に構成され、上記かごが上記乗場に着床する時間の所定時間前に1つの、または複数のうち、高さ方向に連続する一部の上記発光体を選択して発光させた後、発光位置を時系列的に移動させ、上記かごが着床して上記ドアが開かれる直前から開かれた直後までの時間内のいずれかで、上記発光位置が、上記出入り口の下部に対応する高さにくるように複数の上記発光体の発光制御を行う発光制御装置と
を備えていることを特徴とするエレベータの出入り口用発光装置。
上記発光制御装置は、上記かごが上記乗場に着床する時間の上記所定時間前に、少なくとも最下部に位置する上記発光体より上方に位置する上記発光体を発光させた後、上記発光位置が、時系列的に順次下がるように上記発光体の発光制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの出入り口用発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの出入り口用発光装置を有するエレベータの模式図、
図2は
図1のA部拡大図、
図3はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの出入り口用発光装置が設けられたかご内の正面図、
図4はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの出入り口用発光装置を有するエレベータのシステム構成図である。
【0011】
図1〜
図3において、エレベータ1は、建物に設けられる昇降路2と、昇降路2の上部に形成される機械室3と、駆動綱車4A及び駆動綱車4Aを回転させるトルクを発生する電動機4Bを有し、機械室3に設置される巻上機4と、機械室3に設置されたそらせ車6と、駆動綱車4A及びそらせ車6に巻き掛けられて、昇降路2内に垂れ下げられる主索7とを備えている。
【0012】
また、エレベータ1は、各階に設けられる乗場20と、主索7の一端に連結されて昇降路2に昇降自在に設けられるかご10とを備えている。
かご10は、
図2及び
図3に示されるように、出入り口としてのかご出入り口11を有するかご室12と、かご出入り口11を開閉自在に設けられるドアとしてのかごドア13とを備えている。また、乗場20は、昇降路2に開口する出入り口としての乗場出入り口21と、乗場出入り口21を開閉自在に設けられるドアとしての乗場ドア22とを備えている。
【0013】
また、エレベータ1は、主索7の他端に連結されるつり合いおもり8と、かご10に設けられ、後述するかごドア13及び乗場ドア22を開閉させる駆動力を発生するドア駆動装置30とを備えている。さらに、エレベータ1は、電動機4Bの回転角度を検出可能に設けられ、かご10の高さ位置に関する情報を出力する周知のエンコーダ9と、かご10の昇降制御やかごドア13及び乗場ドア22の開閉制御を行うエレベータ制御盤40と、着床検出装置60と、かご10に設けられるエレベータの出入り口用発光装置70とを備えている。
【0014】
エレベータ制御盤40は、演算制御手段としてのCPU(図示せず)、かご10の昇降や、かごドア13及び乗場ドア22の制御をCPUに行わせるためのプログラムが格納されたROM(図示せず)、及びCPUの演算制御の際に必要なデータを一時的に記憶するRAM(図示せず)などを有している。
【0015】
かご10は、いずれかの階の乗場20に着床したときに、着床階の乗場20の乗場出入り口21とかご出入り口11とが対向するように、昇降路2を昇降自在に設けられている。
詳細には図示しないが、かご10が乗場20に着床したとき、かごドア13とかご10が着床した乗場20の乗場ドア22は、係合装置を介して互いに係合し、乗場ドア22が、かごドア13の開閉に連動して開閉するようになっている。
【0016】
さらに、周知であるので詳細には記載しないが、ドア駆動装置30は、ドアモータ及びドアモータ制御盤を有し、かご室12の上部に設けられている。ドアモータ制御盤がエレベータ制御盤40からの制御信号に基づいてドアモータを制御しており、かごドア13が、ドアモータの駆動力により開閉移動される。上述のように、乗場ドア22は、かごドア13の開閉に連動して開閉されるので、ドア駆動装置30を駆動するエレベータ制御盤40は、かごドア13及び乗場ドア22の開閉を制御可能になっている。
【0017】
また、エンコーダ9は、電動機4Bの回転角及び回転方向に応じた回転情報パルスを出力可能になっている。
【0018】
着床検出装置60は、
図2に示されるように、乗場20の壁の裏側に設けられる検出板61と、検出板61を検出可能に設けられ、かご10と乗場20の床が略一致する位置にかご10が移動されたときに、検出板61を検出するように、かご10に設けられる着床スイッチ62とを備えている。
【0019】
エレベータの出入り口用発光装置70は、
図3に示されるように、かご出入り口11の両側部のそれぞれに設けられる発光ユニット71と、例えば、かご室12の上部に設けられ、発光ユニット71の発光制御を行う発光制御装置75とを備えている。
【0020】
各発光ユニット71は、発光体73をそれぞれ有する複数の発光器72により構成される。発光器72のぞれぞれは、発光体73、及び発光体73を内包するケース74を備えている。
発光体73は、電球などの一般的な照明具を用いることができ、電気的に発光と消光を制御可能なものである。
ケース74は、例えば、中空の直方体状であり、発光体73を内部に取り付け可能になっている。
【0021】
以下、かご出入り口11の幅方向の一側に設けられる発光ユニット71の設置構造について説明する。
複数の発光器72は、ケース74の長手方向を高さ方向に一致させ、かご出入り口11の下部から上方に向かって所定の範囲内に、高さ方向に互いの位置をずらして設けられる。ここでは、複数の発光器72は、互いの間に隙間をあけることなく、高さ方向に連続するように設けられており、複数の発光体73が、高さ方向の位置をずらして配置されることになる。
【0022】
また、発光制御装置75は、
図3及び
図4に示されるように、各発光体73の発光と消灯を電気回路的に切り替え可能に構成された発光切替手段76と、演算制御手段としてのCPU(図示せず)、RAM(図示せず)、及びROM(図示せず)などにより構成され、エレベータ制御盤40が生成するかご10の走行制御信号としてのかご10の速度指令値パターン、及びかごドア13の開閉情報に基づいて、発光切替手段76に各発光体73の発光と消光を切り替えさせる切替制御手段77とを備えている。
【0023】
なお、周知であるので詳細には説明しないが、かご10は、かごドア13の全開状態と全閉状態を検出するドア開閉検出スイッチを有している。エレベータ制御盤40は、ドア開閉検出スイッチの出力に基づいて、かごドア13及び乗場ドア22が、全開状態または全閉状態にあることを判断可能である。また、ドア駆動装置30を駆動制御してかごドア13及び乗場ドア22の開閉を制御するエレベータ制御盤40は、開閉中のかごドア13及び乗場ドア22の位置を認識可能である。
【0024】
かごドア13の開閉情報は、このようにかごドア13及び乗場ドア22の開閉状態を認識可能なエレベータ制御盤40から出力される。
【0025】
なお、かご出入り口11の幅方向の他側に設けられる発光ユニット71も、かご出入り口11の幅方向の一側に設けられる発光ユニット71と同様に設けられている。
【0026】
次いで、エレベータ1のシステム構成について説明する。
図4において、ドア駆動装置30を構成するドアモータの駆動を制御可能に、エレベータ制御盤40とドア駆動装置30とが連結されている。
電動機4Bの駆動を制御可能にエレベータ制御盤40と電動機4Bとが連結されている。
エンコーダ9、及び着床スイッチ62のそれぞれとエレベータ制御盤40とが電気的に接続され、エンコーダ9、及び着床スイッチ62のそれぞれの出力が、エレベータ制御盤40に入力される。
【0027】
エンコーダ9から出力される上述の回転情報パルスは、電動機4Bの回転数に比例するので、かご10の昇降移動距離にも比例する。つまり、エレベータ制御盤40は、回転情報パルスから、かご10の昇降路2内の高さ位置や、所定場所からの移動距離を認識可能である。
【0028】
また、エレベータ制御盤40と発光制御装置75を構成する切替制御手段77とが、通信可能に接続されている。また、発光切替手段76が、各発光体73の発光と消光を切替可能であり、また、切替制御手段77が、発光切替手段76による各発光体73の発光と消光を切替を制御可能に構成されている。
【0029】
次いで、エレベータ1の動作について説明する。
まず、かご10の昇降制御について説明する。
エレベータ制御盤40は、かご10の行き先階に応じて走行制御信号としての速度指令値パターンを生成し、速度指令値パターンに応じて電動機4Bの回転を制御している。かご10は、駆動綱車4Aの回転に連動して主索7が走行することで、昇降路2内を昇降可能になっている。以上をまとめると、かご10は、エレベータ制御盤40が生成した速度指令値パターン通りの速度で移動されるように、昇降移動を制御される。
【0030】
次いで、発光ユニット71の発光体73の発光制御について説明する。
図5はこの発明の一実施の形態に係るエレベータの出入り口用発光装置において、かご出入り口の幅方向の一側に設けられた発光体の発光制御について説明する図であり、所定階の乗場に着床するために、着床する時間の所定時間前にかごが減速されてから、かごドア及び乗場ドアの開動作が開始されるまでの発光ユニットの発光体の発光の様子を時系列的に示している。
以下では、一方の発光ユニット71の複数の発光体73の発光制御について説明するが、他方の発光ユニット71の複数の発光体73の発光制御も同様である。
【0031】
発光制御装置75には、エレベータ制御盤40が生成する速度指令値パターンが入力される。例えば、かご10が行き先階の乗場20に着床する手前で、かご10は減速されることになるが、発光制御装置75は、この減速が開始されると同時に、複数の発光体73のうち、
図5に示されるように最も上方に配置される発光体73を選択して発光させ、残りの発光体73は、発光させない。
【0032】
ここで、かご10が、減速してから行き先階の乗場20に着床するまでのおおよその時間(以下、減速着床時間とする)は、既知であり、減速着床時間を発光ユニット71の発光体73の総数(ここでは、6)で除した時間を、単位発光時間Tとする。
【0033】
そして、エレベータ制御盤40は、単位発光時間Tが経過するごとに、現在発光させている発光体73を消光させると同時に、これまで発光させていた発光体73の一つ下方に位置する発光体73を発光させる制御を、最も下方に位置する発光体73を発光させるまで継続する。
これにより、かご10が着床されると略同時に、一番下方に配置されている発光体73が発光する。言い換えれば、かご10が着床してかごドア13及び乗場ドア22が開かれる直前に、発光させた発光体73の位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さに移動される。
【0034】
エレベータ制御盤40は、着床スイッチ62の出力に基づいて、かご10が正規の着床位置に到達したと判断すると、かご10を停止させ、かごドア13及び乗場ドア22の開動作を開始させる。このとき、エレベータ制御盤40は、発光制御装置75の切替制御手段77に、かごドア13及び乗場ドア22の開動作が開始されたことを知らせる開動作開始信号を送信する。
また、エレベータ制御盤40は、再度、かごドア13及び乗場ドア22を閉じるときは、かごドア13及び乗場ドア22の閉動作が開始されたことを知らせる閉動作開始信号を発光制御装置75に送信する。
【0035】
例えば、発光制御装置75は、少なくとも、開動作開始信号を受信してから、閉動作開始信号を受信するまで、言い換えれば、少なくとも、かごドア13及び乗場ドア22の開動作が開始された後、現在発光している発光体73が点滅するように、次にかごドア13及び乗場ドア22の閉動作が開始されるまで、複数の発光体73の発光制御を行う。
【0036】
この発明に係るエレベータの出入り口用発光装置70は、かご出入り口11の幅方向の側部に、かご出入り口11の下部から上方に向かって高さ方向の位置をずらして設けられる複数の発光体73と、かご10の走行制御信号に基づいて発光体73の発光を制御可能に構成され、かご10が乗場20に着床する時間の所定時間前に所定の発光体73を発光させた後に発光位置を時系列的に移動させ、かご10が着床してかごドア13が開かれる直前から開かれた直後までの時間内のいずれかで、発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さにくるように複数の発光体73の発光を制御する発光制御装置75とを備えている。
【0037】
エレベータの出入り口用発光装置70によれば、発光位置は、かごドア13が開かれる直前に、かご出入り口11の下部に移動の高さ位置にくるように設定されており、発光位置の移動に気をひかれる乗客の目線は、かごドア13が全開する直前に、自然とかご出入り口11の下部に向けられる。これにより、乗場20の床とかご10の床との間に段差が発生した場合でも、当該段差を乗客に確実に認識させることができる。従って、かご10内の乗客は、スムーズにかご10から乗場20に移動することができる。
【0038】
また、発光体73は、かご出入り口11の側部に設けられているので、かごドア13や乗場ドア22の戸袋側への荷物等の引き込まれの注意喚起も同時に行うことができる。
【0039】
また、発光制御装置75は、かご10が乗場20に着床する所定時間前に、最も上方に位置する発光体73を発光させた後、発光位置が、時系列的に順次下がるように発光体73の発光制御を行っている。
発光位置が、順次高さ位置を変えて移動するので、乗客の目線は、発光位置に一層向けられやすくなり、乗場20の床とかご10の床の段差が発生した場合でも、当該段差を、より確実に乗客に認識させることができる。
【0040】
また、発光制御装置75には、かごドア13及び乗場ドア22の開閉情報が入力され、発光制御装置75は、発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さにくるように複数の発光体73の発光制御を行ったのに続いて、現在発光している発光体73が点滅するように、少なくとも、次にかごドア13及び乗場ドア22の閉動作が開始されるまで、複数の発光体73の発光制御を行っている。
【0041】
これにより、かごドア13及び乗場ドア22の開動作が継続している間、乗客の目線は、かご出入り口11の下部に対応する高さ位置で点滅する発光体73に向けられるので、かご出入り口11の下部に乗客の気をひくことができ、乗場20の床とかご10の床の段差が発生した場合でも、さらに確実に、当該段差を乗客に認識させることができる。
【0042】
なお、この実施の形態では、エレベータの出入り口用発光装置70は、かご出入り口11の両側のそれぞれに設けられるものとして説明したが、かご出入り口11の一側及び他側の一方に設けられるものでもよい。
また、エレベータの出入り口用発光装置70は、かご出入り口11の側部に発光体73が配置されるように設けるものとして説明したが、乗場出入り口21の側部に発光体73が配置されるように設けるものでもよい。即ち、エレベータの出入り口用発光装置70は、かご出入り口11及び乗場出入り口21の少なくとも一方に発光体73が配置されるように設けられていればよい。
【0043】
また、かご10が着床してかごドア13及び乗場ドア22が開かれる直前に、発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さに移動されるように設定したが、かご10が着床してかごドア13が開かれる直前から開かれた直後までの時間内のいずれかで、発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さにくるように設定してあればよい。即ち、利用者が、かご10と乗場20とを行き来する直前に、発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さに移動されるように設定してあればよい。
【0044】
また、発光位置の高さ位置が、かご出入り口11の下部に向かって順次下方に移動させるように複数の発光体73の発光の制御を行うものに限定されない。かご10が着床してかごドア13及び乗場ドア22が開かれる直前から開かれた直後までの時間内のいずれかで、発光体73の発光位置が、かご出入り口11の下部に対応する高さに移動されるものであれば、発光位置の移動パターンは、特に問わない。
【0045】
また、上記実施の形態では、かご10が行き先階の乗場20に着床する手前の所定時間において、最も上方に位置する発光体73を発光させるものとして説明したが、この制御を行う場合、最も上方に位置する発光体73を発光させるものに限定されず、少なくとも最下部に位置する発光体73より上方に位置する発光体73を発光させた後、発光位置が、時系列的に順次下がるように発光体73の発光制御を行うものであればよい。
【0046】
また、発光制御装置75は、エレベータ制御盤40とは別個に用意されるものとして説明したが、エレベータ制御盤40が兼ねるものでもよい。