(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、心疾患モニタの重要性から、12誘導の心電図モニタのための心電データ伝送システムを望む声が増えてきている。ここで、12誘導の心電データはその判読が難しいため、専門医による診断が望まれる。また、心疾患の症状の多くは突発性かつ一過性のものであり、心疾患の発症時または発症直後の心電データが得られることは心疾患の診断および早期治療において重要となる。
しかし、上記従来技術には、12誘導の心電図モニタのための心電データ伝送システムに適用するに当たって、以下のような問題があった。すなわち、被験者側の操作者はセンサユニットを起動させることができず、被験者の心電データの取得および伝送の開始をセンタ装置側に依頼しなければならなかった。そのため、心疾患を発症した被験者の心電データを伝送する際に手間がかかり、迅速な診断および早期治療が難しくなるという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するものとして創案されたものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、被験者側からの操作により被験者の心電データを簡単にかつ迅速に専門医に伝送できる心電データ伝送システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の心電データ伝送システムは次の手段をとる。
まず、第1の発明は、被験者の12誘導の心電データをコンピュータ・ネットワーク経由で伝送する心電データ伝送システムである。この心電データ伝送システムは、被験者に取り付けられてこの被験者の12誘導の心電データを計測する心電計と、コンピュータ・ネットワークに接続され、心電計が計測した心電データをその計測時刻と対応させて記憶する記憶装置と、コンピュータ・ネットワークに接続されて、このコンピュータ・ネットワーク経由で受信した心電データを表示する表示端末と、を備えている。記憶装置は、
表示手段を有し、この記憶装置に記憶された心電データのうち、所定の時間範囲における心電データの数値および波形をその計測時刻と対応させて表示するように構成され、かつ、記憶装置に設けられた入力手段に入力される入力操作に応じて、前もって設定された所定の時間範囲に対応した心電データにこの心電データを計測した心電計の識別情報を付加して送信データとし、さらに、この送信データをコンピュータ・ネットワーク上に前もって設定された送信先に宛てて送信する。表示端末は、送信先として設定可能とされて、受信した送信データから心電データをその計測時刻および心電計の識別情報と対応させて抽出して表示する。
この第1の発明によれば、記憶装置の入力手段に1回入力操作を行うだけで、被験者の12誘導の心電データが送信先に送信される。これにより、記憶装置を被験者の近くに置くことで、心電データの伝送を被験者側の操作者が簡単に行えるようになり、被験者の心電データを迅速に専門医に伝送することができる。そして、被験者の心電データの取得および伝送のタイミングを被験者側の操作者が決定できるようになることで、専門医に診断を依頼する心電データをより適切に選択することができる。
さらに、表示端末は心電データをその計測時刻および心電計の識別情報とを対応させて表示するので、専門医は伝送された心電データを取り違えることなく被験者の診断をすることができる。
さらに、記憶装置は
、表示手段を有して、所定の時間範囲における心電データの数値および波形をその計測時刻と対応させて表示するように構成されているので、記憶装置の操作者は上記心電データを容易に確認して、その取得および伝送のタイミングを判断することができる。
【0006】
ついで、第2の発明は、上述した第1の発明において、表示端末を複数備え、記憶装置は、送信データを複数の送信先に送信し、かつ、この送信の際に送信データのデータ形式を複数の送信先のそれぞれに対応させて切り替えるものである。
12誘導の心電データは、そのデータ量が膨大であるため、伝送の際にはデータを圧縮する必要がある。データの圧縮技術としては、低圧縮率となる代わりに原データを損なわない可逆圧縮法と、原データからの誤差を前提に高圧縮率を実現する不可逆圧縮法と、が知られている。
ここで、上記第2の発明によれば、送信データは送信先となる各表示端末の処理能力に応じて異なるデータ形式で送信される。このため、例えばメモリ量が多い大型の表示端末には原データが損なわれることなく可逆圧縮法により送られ、メモリ量が少ない携帯型の表示端末には不可逆圧縮法による高圧縮率のデータが送られる。これにより、専門医はどこにいても携帯型の表示端末により被験者の心電データを受信して診断をすることができる。また、専門医の近くに大型の表示端末がある場合は、心電データの原データを基にしてより正確な診断をすることができる。
【0007】
さらに、第3の発明は、上述した第1または第2の発明において、記憶装置は、コンピュータ・ネットワークに常時接続され、心電計は、記憶装置とは別体に形成されて、心電データを記憶装置に上記コンピュータ・ネットワークを介さずに無線送信するものである。
この第3の発明によれば、記憶装置をコンピュータ・ネットワークに常時接続させることで、心電データの伝送の際にコンピュータ・ネットワークへの接続にかかる時間を省いて、心電データをより迅速に伝送することができる。さらに、記憶装置を被験者に取り付ける必要をなくして、被験者にかかる負担を減少させることができる。
【0008】
さらに、第4の発明は、上述した第1の発明において、記憶装置は、コンピュータ・ネットワークに常時接続されているものである。
この第4の発明によれば、記憶装置をコンピュータ・ネットワークに常時接続させることで、心電データを送信する際にコンピュータ・ネットワークへの接続にかかる時間を省いて、心電データをより迅速に伝送することができる。
さらに、第
5の発明は、上述した第1ないし第
4の発明のいずれかにおいて、上記送信データをコンピュータ・ネットワーク内に保存して管理するためのサーバーを備え、記憶装置は、その送信データの送信先のうち少なくとも1つをサーバーに設定し、表示端末のうち少なくとも1つは、コンピュータ・ネットワークを介してサーバー内に保存された送信データに対して参照アクセスを行うことができる構成とされ、サーバーは、コンピュータ・ネットワークを介した表示端末からの参照アクセスに応じて、この表示端末に参照アクセスのあった送信データを送信するものである。
この第
5の発明によれば、送信データはサーバーによりコンピュータ・ネットワーク内に保存され、表示端末で後から参照できる状態となる。これにより、被験者の心電データの伝送時に専門医が送信データに対応できない状態であっても、専門医は後から被験者の診断をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
〈第1の実施形態〉
始めに、第1の実施形態に係る心電データ伝送システム1の構成について、
図1ないし
図4を用いて説明する。この心電データ伝送システム1は、
図1に示すように、病院外現場にいる被験者Pの12誘導の心電信号P1をデータ化し、インターネット等のコンピュータ・ネットワーク11を介して遠隔地にいる専門医Dの下に伝送するためのものである。ここで、「病院外現場」とは、例えば救急医療、災害医療、在宅医療、または、訪問看護等の、専門医Dを確保することができない医療の現場のことをいう。
心電データ伝送システム1は、心電計10、記憶装置12、表示端末13、14、15、16、および、サーバー17を備えている。ここで、表示端末13、14、15、16、および、サーバー17は、上述したコンピュータ・ネットワーク11に常時接続されている。
【0011】
上記心電計10は、記憶装置12と一体に形成されて、被験者Pに取り付けることができるように構成されている。そして、心電計10は、被験者Pに取り付けた状態で心電計10および記憶装置12の電源(図示省略)を入れると、被験者Pの12誘導の心電信号P1を自動的に計測し、記憶装置12に心電データ10Aとして実時間で伝送するようになっている。
上記記憶装置12は、心電計10に有線接続されて、近くにいる操作者Mが入力操作M1を行うことができるように構成されている。ここで、操作者Mは記憶装置12の近くにいる人間であればよく、被験者P自身が操作者Mとして入力操作M1を行うこともできる。
記憶装置12は、
図2に示すように、第1の記憶手段12Aと、第2の記憶手段12Bと、入力手段12Cと、時刻計測手段12Dと、抽出手段12Eと、表示手段12Fと、送信データ出力手段12Gと、を備えている。
【0012】
時刻計測手段12Dは、現在時刻Tおよび現在時刻Tを基準として所定の時間だけ過去の時刻T1、T2(ただしT2はT1よりも過去の時刻)を出力する。本実施形態では、時刻T2は現在時刻Tの2分前に設定されている。また、時刻T1は初期状態で現在時刻Tの5秒前に設定され、後述する入力手段12Cからの制御信号M2に応じて現在時刻Tの5秒前、10秒前、20秒前のいずれかに切り替えられる。
【0013】
第1の記憶手段12Aには、心電計10および被験者Pの各識別符号と、表示端末13、14、および、サーバー17のコンピュータ・ネットワーク11上のアドレスと、がそれぞれ前もって記憶されている。ここで、被験者Pとなる対象が1人に特定されない場合、上記識別符号は被験者Pとなる対象ごとにそれぞれ記憶されて、被験者Pに応じて切り替えられる。
上記アドレスは、被験者Pの識別符号に対応して記憶され、この被験者Pの心電データ10Aを送信するべき送信先として前もって設定される。ただし、アドレスの中に心電データ10Aの送信先として前もって設定されていないものがあってもよい。また、第1の記憶手段12Aが被験者Pの識別符号を複数記憶している場合、被験者Pの識別符号の中に心電データ10Aの送信先が設定されていないものがあってもよい。
【0014】
第2の記憶手段12Bは、心電計10から伝送された心電データ10Aをその計測時刻(すなわち、心電データ10Aの伝送時における現在時刻T)と対応させて記憶するように構成されている。
ここで、記憶装置12は、心電データ10Aに欠測がある場合、その欠測データに対応させて、時刻の関数として算出される矩形波のデータ(
図3参照)を第2の記憶手段12Bに記憶させるようになっている。これにより、心電データ10Aの中から欠測データを判別することが容易になる。
また、記憶装置12は、第2の記憶手段12Bに記憶された心電データ10Aのうち、時刻T2よりも前に計測された心電データ10Aを心電データ10Aの更新時に削除するように設定することができる。この場合、第2の記憶手段12Bに必要とされるメモリ量を減らして、記憶装置12を小型化することができる。
【0015】
表示手段12Fは、第2の記憶手段12Bに記憶された心電データ10Aのうち、前もって設定された所定の時間範囲の心電データ10Aをその計測時刻と対応させて表示するように構成されている。これにより、記憶装置12の操作者Mは被験者Pの心電データ10Aを容易に確認して、その取得および伝送のタイミングを判断することができる。表示手段12Fは、
図3および
図4に示すように、具体的には記憶装置12に設けられたタッチパネル12aとして形成されている。
すなわち、タッチパネル12aは、その画面上に数値表示欄12bおよび波形表示欄12cを備えて、上述した心電データ10Aの数値および波形を表示するように構成されている。また、タッチパネル12aは、その画面上に識別符号表示欄12fおよび現在時刻表示欄12gを備えて、被験者Pの識別符号および現在時刻Tを表示するように構成されている。
【0016】
抽出手段12Eは、後述する入力手段12Cからの制御信号M2に応じて、第2の記憶手段12Bに記憶された心電データ10Aのうち、所定の時間範囲(以下、この時間範囲を「抽出範囲」ともいう。)の心電データ10Aをその計測時刻と対応させて抽出データ12Hとして抽出するように構成されている。ここで、心電データ10Aの抽出範囲は、初期状態で時刻T1から現在時刻Tまでの間(以下、この時間範囲を「抽出範囲A」ともいう。)として設定される。
また、心電データ10Aの抽出範囲は、後述する入力手段12Cからの制御信号M2により、タッチパネル12aの抽出開始ボタン12d(
図3参照)が押されてから所定の時間(本実施形態では2分間)が経過するまでの間(以下、この時間範囲を「抽出範囲B」ともいう。)に切り替えることもできる。この場合、心電データ10Aの抽出は上記抽出開始ボタン12dが押された直後から実時間で実行される。
【0017】
心電データ10Aの抽出範囲が抽出範囲Bに設定されている場合、抽出開始ボタン12dが押されると、
図4に示すように、抽出開始ボタン12dが抽出完了ボタン12eに切り替わり、数値表示欄12bの下側に抽出時間表示欄12lが出現する。抽出時間表示欄12lには、抽出手段12Eが心電データ10Aの抽出を開始してからの経過時間がアナログ表示およびデジタル表示で表示される。
抽出完了ボタン12eは、押すことにより抽出手段12Eによる抽出データ12Hの抽出を即座に完了させ、この抽出データ12Hに対して後述する送信データ出力手段12Gを機能させるようになっている。なお、抽出完了ボタン12eが抽出データ12Hの抽出を完了させると、抽出時間表示欄12lはタッチパネル12aから消え、抽出完了ボタン12eは抽出開始ボタン12dに切り替わるようになっている。
上記各構成により、記憶装置12の操作者Mは、心電データ10Aの抽出時間を容易に確認して、心電データ10Aの抽出範囲を適宜短くすることができる。
【0018】
送信データ出力手段12Gは、抽出手段12Eによる抽出データ12Hの抽出が完了すると自動的に機能するように構成されている。すなわち、送信データ出力手段12Gは、まず抽出データ12Hに第1の記憶手段12Aに記憶された心電計10および被験者Pの各識別符号を含む付加データ12Iを付加して送信データ11Aを作成する。そして、この送信データ11Aを添付ファイルとした電子メールを作成し、コンピュータ・ネットワーク11に接続して上記電子メールを上記被験者Pの識別符号と対応して第1の記憶手段12Aに記憶された送信先に宛てて送信する。
なお、送信データ出力手段12Gは、被験者Pとなる対象の識別符号に対応した送信先が複数設定されている場合、設定された送信先のそれぞれに送信データ11Aを送信するようになっている。また、送信データ出力手段12Gは、被験者Pとなる対象の識別符号に対応した送信先が設定されていない場合、入力手段12Cから送信先情報M3が入力されるまで送信データ11Aの送信を中断するようになっている。ここで、送信先情報M3は、第1の記憶手段12Aに記憶されたアドレスを選択することにより入力される。
【0019】
入力手段12Cは、
図2に示すように、操作者Mの入力操作M1に応じて、第1の記憶手段12A、時刻計測手段12D、抽出手段12E、および、表示手段12Fに制御信号M2を与えて上記各手段を制御することができるように構成されている。すなわち、
図3に示すように、入力手段12Cは記憶装置12に設けられたタッチパネル12aに上述した表示手段12Fと一体に形成されて、以下に示す各制御を行うことができるように構成されている。
(あ)時刻設定ボタン12hを操作して、時刻計測手段12Dが出力する時刻T1を、現在時刻Tの5秒前、10秒前、20秒前のいずれかに切り替えることができる。すなわち、時刻設定ボタン12hを押すと、時刻T1が現在時刻Tの5秒前、現在時刻Tの10秒前、現在時刻Tの20秒前の順で切り替わるようになっている。
(い)時刻設定ボタン12hを操作して、心電データ10Aの抽出範囲を、抽出範囲Aまたは抽出範囲Bのいずれかに切り替えることができる。すなわち、心電データ10Aの抽出範囲が抽出範囲Aに設定されているときに、時刻T1を現在時刻Tの20秒前に設定してから時刻設定ボタン12hを押すと、心電データ10Aの抽出範囲の設定が抽出範囲Bに切り替えられるようになっている。また、心電データ10Aの抽出範囲が抽出範囲Bに設定されているときに時刻設定ボタン12hを押すと、時刻T1が現在時刻Tの5秒前に設定されて、心電データ10Aの抽出範囲の設定が抽出範囲Aに切り替えられるようになっている。
(う)表示設定ボタン12iを操作して、波形表示欄12cに表示される心電データ10Aの波形の振幅および波形を表示する時間範囲を調節することができる。また、記憶装置12にプリンター(図示省略)が接続されている場合は、表示設定ボタン12iの操作により心電データ10Aを印刷して出力することができる。
(え)編集ボタン12jを操作して、第1の記憶手段12Aに記憶された各データおよび各設定を編集することができる。
(お)抽出開始ボタン12dを押すことで、抽出手段12Eを起動させることができる。これにより、抽出開始ボタン12dを1回押すだけで被験者Pの心電データ10Aを送信先に送信することができる。
(か)救急ボタン12kを押すことで、第1の記憶手段12Aに被験者Pの識別符号を新規に作成して抽出手段12Eを起動させることができる。この場合、新規に作成された識別符号には対応した送信先が設定されていないので、送信データ11Aの送信を完了させるために送信データ出力手段12Gに送信先情報M3を入力する必要がある。これにより、記憶装置12に送信命令を与えて送信先を指定するだけで被験者Pの心電データ10Aを送信先に送信することができる。
【0020】
表示端末13、15は、例えば携帯電話等の携帯型の情報端末であり、専門医Dにより常時携帯されている。表示端末14、16は、例えばメインフレーム等の大型でメモリ量の多いコンピュータであり、病院等の専門医Dが駐在する施設に設置されている。表示端末13、14は、それぞれ送信データ出力手段12Gから送信された電子メールを受信可能に構成されている。表示端末14、16は、それぞれサーバー17から送信された電子メールを受信可能に構成されている。
表示端末13、14、15、16は、送信データ11Aが添付された電子メールを受信すると、この送信データ11Aから心電データ10Aと、この心電データ10Aの計測時刻と、心電計10および被験者Pの識別情報とを抽出して表示するように構成されている。なお、表示端末13、14、15、16は、心電データ10Aをその計測時刻と、心電計10および被験者Pの識別情報とを対応させて表示する(図示省略)ことで、心電データ10Aの取り違えを防止するようになっている。
【0021】
上記各構成によれば、送信データ出力手段12Gから表示端末13または表示端末14に送信データ11Aが送信されると、専門医Dは、表示端末13または表示端末14に表示された心電データ10Aを判読して被験者Pの診断を行うことができる。なお、専門医Dの診断結果および被験者Pへの処置方法は、電話等の公知の通信技術を用いて被験者P側(例えば、操作者Mまたは被験者P)に伝えられる。
すなわち、記憶装置12が被験者Pの近くに置かれることで、心電データ10Aの伝送を被験者P側の操作者Mが簡単に行えるようになり、被験者Pの心電データ10Aを迅速に専門医Dに伝送することができる。そして、被験者Pの心電データ10Aの取得および伝送のタイミングを被験者P側の操作者Mが決定できるようになることで、専門医Dに診断を依頼する心電データ10Aをより適切に選択することができる。
【0022】
サーバー17は大型でメモリ量の多いコンピュータであり、送信データ出力手段12Gからの電子メールを受信可能に構成されている。また、サーバー17は、送信データ出力手段12Gから送信データ11Aが添付された電子メールを受信すると、この送信データ11Aをサーバー17内(すなわち、コンピュータ・ネットワーク11内)に保存して管理可能な状態とするように構成されている。
ここで、「管理」には、例えばサーバー17外の端末からのアクセスに対してその認証を行い、適正なアクセスに対してのみサーバー17内に保存されているファイルの情報を開示してその編集を可能とする機能が該当する。
【0023】
表示端末15、16は、
図1に示すように、それぞれ上記サーバー17に対してコンピュータ・ネットワーク11を介して参照アクセス15A、16Aを行うことができるように構成されている。
サーバー17は、上記参照アクセス15A、16Aに応じて、表示端末15、16に参照アクセスのあった送信データ11Aを電子メールにより送信するようになっている。すなわち、送信データ11Aはサーバー17によりコンピュータ・ネットワーク11内に保存され、表示端末15、16で後から参照できる状態となる。これにより、被験者Pの心電データ10Aの伝送時に専門医Dが送信データ11Aに対応できない状態であっても、専門医Dは後から被験者Pの診断をすることができる。
【0024】
ところで、第1の記憶手段12Aには、表示端末13、14、および、サーバー17のコンピュータ・ネットワーク11上の各アドレスに対応して、上記各装置に適合するデータ形式の情報が前もって記憶されている。このデータ形式の情報は、第1の記憶手段12Aが出力する付加データ12Iの中に含められて、送信データ出力手段12Gに送られるようになっている。そして、送信データ出力手段12Gは、上記データ形式の情報を上記付加データ12Iから抽出し、この情報に基づいて送信データ11Aのデータ形式を切り替えて電子メールに添付するように構成されている。
具体的には、メモリ量が少ない携帯型の情報端末である表示端末13には、送信データ11AはPDFやJPEG等の不可逆圧縮された画像のデータ形式で送信される。一方、大型でメモリ量の多いコンピュータである表示端末14およびサーバー17には、送信データ11Aは原データをそのまま可逆圧縮したデータ形式、または、DICOMやMFER等の医療データの伝送に適した規格のデータ形式で送信される。
上記構成によれば、携帯型の表示端末13に送信されるデータ量を減らして、携帯型の表示端末13に被験者Pの心電データ10Aを表示させることができる。すなわち、専門医Dはどこにいても携帯型の表示端末13に送信された送信データ11Aにより被験者Pの診断をすることができる。また、専門医Dの近くにある大型の表示端末14に送信データ11Aが送信された場合は、専門医Dは心電データ10Aの原データまたは心疾患の診断に適したデータを基にしてより正確な診断をすることができる。
【0025】
なお、上述した表示端末15、16の参照アクセス15A、16Aには、それぞれ各表示端末15、16に適合するデータ形式の情報が含まれている。そして、サーバー17は、上記データ形式の情報を上記参照アクセス15Aまたは16Aから抽出し、この情報に基づいて送信データ11Aのデータ形式を切り替えて電子メールに添付するように構成されている。
具体的には、メモリ量が少ない携帯型の情報端末である表示端末15には、送信データ11AはPDFやJPEG等の不可逆圧縮された画像のデータ形式で送信される。一方、大型でメモリ量の多いコンピュータである表示端末16には、送信データ11Aは原データをそのまま可逆圧縮したデータ形式、または、DICOMやMFER等の医療データの伝送に適した規格のデータ形式で送信される。
上記構成によれば、携帯型の表示端末15に送信されるデータ量を減らして、携帯型の表示端末15に被験者Pの心電データ10Aを表示させることができる。すなわち、専門医Dはどこにいても携帯型の表示端末15により被験者Pの診断をすることができる。また、専門医Dの近くに大型の表示端末16がある場合は、専門医Dは心電データ10Aの原データまたは心疾患の診断に適したデータを基にしてより正確な診断をすることができる。
【0026】
〈第2の実施形態〉
続いて、第2の実施形態に係る心電データ伝送システム2の構成について、
図5を用いて説明する。第2の実施形態に係る心電データ伝送システム2は、第1の実施形態に係る心電データ伝送システム1を変形した実施形態である。したがって、上記第1の実施形態に係る心電データ伝送システム1の各構成と共通する構成については、第1の実施形態に係る心電データ伝送システム1の各構成に付した符号から、その十の位の数字を「2」に置き換えた符号を付して対応させ、その詳細な説明を省略する。
第2の実施形態の心電データ伝送システム2は、
図5に示すように、第1の実施形態において一体に形成された心電計10および記憶装置12の代わりに、別体に形成された心電計20および記憶装置22を用いたものである。
【0027】
上記心電計20は、被験者Pに取り付けることで、被験者Pの12誘導の心電信号P1を自動的に計測するように構成されている。上記記憶装置22は、例えば救急車等の医療関係車両に搭載されたコンピュータであり、コンピュータ・ネットワーク21に常時接続されている。心電計20は、BlueTooth(登録商標)等の図示しない無線送信装置を備え、計測した心電信号P1を心電データ20Aとして記憶装置22に宛てて実時間で無線送信するようになっている。
記憶装置22は、心電計20から無線送信された心電データ20Aを受信するためのアンテナ(図示省略)を備え、受信した上記心電データ20Aを記憶して表示するように構成されている。そして、記憶装置22は、操作者Mの入力操作M1に応じて心電データ20Aを抽出して送信データ21Aを作成し、この送信データ21Aを前もって設定された送信先に電子メールで送信するようになっている。
上記構成によれば、記憶装置22をコンピュータ・ネットワーク21に常時接続させることで、心電データ20Aを送信する際にコンピュータ・ネットワーク21への接続にかかる時間を省いて、心電データ20Aをより迅速に伝送することができる。さらに、記憶装置22を被験者Pに取り付ける必要をなくして、被験者Pにかかる負担を減少させることができる。
【0028】
なお、記憶装置22は、心電計20に対して1対1の関係で対応付けられて、心電計20以外からの無線送信を受け付けないように構成されている。これにより、記憶装置22は、心電計20とは別体に形成されて、心電データ20Aを直接無線で受信するにもかかわらず、この受信において混線が起こりにくいようになっている。
また、上記心電データ20Aは、心電計20から原データのまま(すなわち、データ形式を変えることなく)記憶装置22に送信され、この記憶装置22でそのデータ形式が変換されるようになっている。これにより、被験者Pに取り付ける心電計20から計測データのデータ形式を変換する構成を省略して、被験者Pにかかる負担をさらに減少させることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態を第1および第2の実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか以下のような各種の形態で実施できるものである。
(イ)同一の表示端末に、サーバーに参照アクセスを行う機能と記憶装置から直接送信データを受信する機能の両方の機能を持たせることができる。
(ロ)記憶装置がサーバーを送信先として電子メールを送信する構成は必須ではなく、例えば上記電子メールの送信時に経由する経由サーバーに送信データを記憶させる構成を用いることができる。この場合、表示端末は、送信された電子メールのヘッダー情報から上記経由サーバーの情報を抽出し、この経由サーバーに参照アクセスを行うことで、送信データを後から参照することができる。
(ハ)サーバーを省略し、各表示端末に送信データを分散させて管理可能に保存する構成を用いることができる。
(ニ)送信データの送信方法は電子メールに添付する方法に限定されず、例えばFTPやSCP等の電子メールによらない通信プロトコルを用いた送信方法、または、ピア・ツー・ピア等の端末間で直接データの伝送を行う通信形式による送信方法を用いることができる。