【実施例1】
【0073】
概要
グッドパスチャー抗原結合タンパク質(GPBP)は、基底膜のIV型コラーゲンの非従来型Ser/Thrキナーゼである。最近になって、本発明者等は、GPBPが、過剰発現された場合にIV型コラーゲン崩壊及び糸球体基底膜における免疫複合体の堆積を誘発する細胞外タンパク質であることを示した(参考文献4)。本明細書では、本発明者らは、標準的(77kDa)及び非標準(91kDa)mRNA翻訳開始によって少なくとも2つのGPBPアイソフォームを細胞が発現したことを示す。77kDaのポリペプチドは、IV型コラーゲンと相互作用し、可溶性形態として細胞外区画において局在した。91kDa及び誘導された120kDaポリペプチドは、細胞膜と結合し、細胞外区画において77kDaのポリペプチドのレベルを調節した。FFATモチーフ及び26−残基Serリッチな領域は、77kDaポリペプチドの排出に必要であった。次に26−残基Serリッチな領域を除去すると、先に認識されたGPBPアイソフォーム(GPBPΔ26/CERT)が得られ、これはサイトゾルであり、GPBPとは対照的にスフィンゴミエリナーゼ細胞処理に対して感受性であった。これらのデータ及び先のデータは、COL4A3BPをタンパク質分泌のマルチ区画プログラムに関連付け(すなわち、IV型コラーゲン)、このプログラムは:1)リン酸化及びタンパク質分子/超分子組織の調節(GPBP)、並びに2)細胞小器官間セラミド輸送及び血漿膜へのタンパク質カーゴ輸送(cargo transport)の調節(GPBPΔ26/CERT)を有する。最後に、本発明者らは、ヒト血漿から循環する77kDa GPBPを単離し、グッドパスチャー患者及び免疫複合体型糸球体腎炎の動物モデルにおいて増大したレベルを観察し、GPBP分泌がインビボで起こることを証明し、GPBPの血清学的測定の臨床的有用性を明らかにした。
【0074】
序文
グッドパスチャー抗原結合タンパク質(GPBP)は、IV型コラーゲンのα3鎖の非コラーゲン性1(NC1)ドメイン[α3(IV)NC1]をリン酸化する(1)。このドメインは、糸球体基底膜(GBM)コラーゲンの分子及び超分子組織における中枢構造であり、グッドパスチャー疾患における糸球体腎炎に関与する自己抗体の標的でもある(2)。増大したGPBP発現は、グッドパスチャー疾患をはじめとする自己免疫の発症機序に関連し(3)、またGBMコラーゲン崩壊及びIgA抗体の堆積の誘発と関連する(4)。これらの観察は、GPBPがGBMコラーゲン構成を調節し、その発現が異常に上昇する場合にIV型コラーゲンベースの抗体が関与する糸球体腎炎を誘発することを示唆する(3、4)。COL4A3BPは、これらの病的状態では外見上調節されないGPBPΔ26(より豊富で活性の低い選択的にスプライスされたGPBP変異体であり、26−残基Serリッチな領域が欠失したもの)もコードする(3)。
【0075】
GPBPは、N末端プレクストリン相同(PH)ドメイン、Ser−Xaa−Yaa領域、二分核定位シグナル、コイルドコイルドメイン、酸性トラック中2つのフェニルアラニン(FFAT)モチーフ及びC末端ステロイド産生急性調節関連脂質伝達(START)ドメインをはじめとする複数の構造要素を含む。さらなる構造特性としては、自己相互作用及びリン酸化のモチーフが挙げられる(1、3、5、6)。PHドメインは、真核生
物においてのみ存在する、様々な十分に保存されていない構造を含み、この構造は、ホスホイノシチドとの相互作用によって細胞膜へのタンパク質ターゲティングに関与することが提案されている(7)。いくつかのタンパク質キナーゼを包含する様々なタンパク質はPHドメインを含む(8)。FFATモチーフは、小胞関連膜タンパク質関連タンパク質(VAP)の貫膜サイトゾルドメインとの相互作用によってタンパク質をERへと向かわせ(9)、VAPは小胞体(ER)におけるタンパク質折りたたみのホメオスタシスの維持及び細胞膜へのタンパク質カーゴ輸送の調節に関与することが提案されている(10、11)。STARTドメインは、セラミド、リン脂質及びステロールをはじめとする脂質と結合し、異なる生理的及び病理的機能を有する様々なタンパク質において存在するモジュールである(12、13)。
【0076】
最近のレポートは、FFATモチーフ及びPHドメインを、それぞれGPBPポリペプチドのER及びゴルジ装置に対する結合と関係付けている。これらの細胞小器官に対する結合は、STARTドメインがERからセラミドを捕捉し、これをゴルジ装置へ送達することを可能にすると仮定されている。これらの観察に基づいて、GPBPポリペプチドは、非小胞サイトゾルセラミド輸送体として記載され、CERT
L(GPBP)及びCERT(GPBPΔ26)と新たに命名された(5、14)。しかし、これらの著者の結論は、天然のタンパク質の細胞内分布に関連する正確なデータなしに出され、基底膜に関連したGPBPの顕著な発現を示す免疫化学的証拠を全く無視している(3)。最近のレポートは、CERT依存性セラミド輸送が、ホスホリパーゼA2αの動員並びにトランスゴルジ網でのタンパク質キナーゼDの動員及び活性化に重要であり、従って最終的に、プロスタグランジン産生及びタンパク質エクソサイトーシスをそれぞれ調節することを示している(6、15)。
【0077】
免疫組織化学的証拠は、GPBPが主に細胞外であるが、様々な細胞内部位に局在化する可能性があることを示唆する(3、4)。タンパク質分布は、タンパク質機能に関して非常に情報価値があり、したがって、GPBPの生物学的機能を理解するためにさらなる研究が必要であった。本明細書では、本発明者らはGPBPについてのmRNAの翻訳が、いくつかのポリペプチドを生成させ、そのうちのいずれもサイトゾルでは有意に発現されなかったことを示す。一方、現在の研究は、GPBPが分泌経路に入り、IV型コラーゲンと相互作用する証拠を提供する。さらに、本発明者らは、26−残基Serリッチな領域の選択的エクソンスプライシングによる除去は、タンパク質をサイトゾルに局在化させることを示し、GPBPΔ26/CERTがGPBPの可溶性細胞内型であることを明らかにした。本データは、選択的エクソンスプライシング及び翻訳開始が、COL4A3BPの産物がマルチ区画生物学的プログラムを調整することが期待される異なる場所へこれらを向かわせる方法であることを示唆する。様々な証拠は、後のものが、基底膜コラーゲン構成(GPBP)(1、3、4)並びに細胞膜への小胞タンパク質カーゴ輸送を調節する細胞小器官間セラミド輸送(GPBPΔ26/CERT)のリン酸化及び調節を包含することを裏付ける(6、14)。最後に、本発明者らは、77kDa GPBPが、抗体介在性糸球体腎炎(すなわち、グッドパスチャー疾患及び免疫複合体型糸球体腎炎)の臨床的マーカーとして使用できる血清学的成分であることを示す。
【0078】
物質及び方法
血清試料の処理
マウス及びヒト血液試料を人体研究及び動物実験機関ガイドラインにしたがって得た。本発明者等は、あらかじめ特徴付けし(4)、健康な若年(4ヶ月)及びIgA免疫複合体関与を受けた老年(7ヶ月)であるニュージーランドホワイト(NZW)マウスから得た血清を使用した。ヒト血漿交換及び対照又はグッドパスチャー患者由来の血清を標準的手順にしたがって得た。
【0079】
抗体及び組換えタンパク質
切断された組換えGPBPアイソフォーム及び合成ペプチドを用いて、本発明者らはGPBP/GPBPΔ26特異性マウスモノクローナル抗体14(mAb14)のエピトープ(1)をFFATモチーフにマッピングした(
図9)。マウスmAb e26はGPBPに特徴的な26残基(GPBPpep1)に対して産生され、したがってGPBPΔ26/CERTと反応しなかった(
図1A)。ヒトモノクローナルF(ab)
2断片を、GPBPの選択的に翻訳された領域(ATR)である合成ペプチドを用いて組換えF(ab)
2発現ライブラリから単離した(
図2C)(Antibodys by Design,MorphoSys AG)。反応性F(ab)
2断片を、ウェスタンブロットおよび予想されるATRを発現する組換えタンパク質を用いてさらに特徴付けした(非図示)。最も反応性の高いF(ab)
2断片(Ab 24)を用いて天然のGPBPポリペプチドを特徴付けし、最も反応性の低いF(ab)
2断片(Ab20)をこれらの研究において負の対照として使用した。先に報告された(4)免疫精製ニワトリポリクローナルGPBP特異性抗体(αGPBP)を、フローサイトメトリーにおいて使用するためにビオチニル化するか、又は直接免疫蛍光法のためにAlexa Fluor 647(Invitrogen)で標識した。GPBPおよびGPBPΔ26/CERTについて特異的なポリクローナル抗体は、標準的手順にしたがってGST−FLAG−GPBP(1)で免疫化したウサギにおいて(αGPBPr)又は特異的合成ペプチドで免疫化されたニワトリにおいてのいずれかで産生され、Abcamから購入した(αGPBPab)。αGPBPrにおける特異抗体を、Sepharose−CNBr(Sigma)と結合した組換えFLAG−GPBP(下記参照)を用いてアフィニティー精製した。グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ検出のために、本発明者らはErwin Knechtによって提供されたマウスモノクローナル抗体を使用した。カルレギュリン(calregulin)、p65又はカテプシンDに対して特異的なポリクローナル抗体はSanta Cruz Biotechnology Incから得、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)に対して特異的なものはMolecular Probesから得た。PrP(クローン3F4)又はgolgin−97に対して特異的なモノクローナル抗体は、それぞれClontechおよびMolecular Probesから得た。FLAGを検出するために、本発明者らは、ウェスタンブロット分析に関してはFLAG/M2又はFLAG/M2−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(Sigma)および免疫蛍光法(Abcam)に関してはニワトリ抗体(αFLAG)又はヤギ抗体(αFLAG−FITC)を使用した。Alexa Fluor(登録商標)488−ストレプトアビジンはMolecular Probesから得、二次抗体はPromega(抗マウス及び抗ウサギHRP複合体)、Jackson Immunoresearch(抗ヒトF(ab)
2−HRP)及びSigma(抗ニワトリHRP並びに他のFITC及
びTRITC複合体)から得た。組換えFLAG−GPBP及びFLAG−GPBPΔ26を、すでに記載されているようにして、メタノール資化酵母(Pichia pastoris)において発現させ、アフィニティー精製した(1、3)。
【0080】
プラスミド構築物
pc−n4’、GPBPmRNAの5’非翻訳領域(UTR)及びコーディング配列を有するcDNAを発現するpcDNA3(Invitrogen)誘導構築物の産生が報告されている(1)。pc−n4’から誘導されるプラスミドは、pc−GPBP−Met(5’UTRが欠失した欠失変異体)、及びpc−n4’−Mmut(標準的AUG(Met)翻訳開始がGGA(Gly)で置換された構築物)を含んでいた。GPBPのコーディング配列と融合したFLAG配列を発現するpc−FLAG−GPBPの産生は、すでに報告されており(1)、FFATモチーフにおいて欠失を有するpc−FLAG−GPBP
ΔFFAT(
図9)を得るために使用された。pc−FLAG−GPBPΔ26は、GPBPΔ26のコード領域と融合したFLAG配列を発現し、pc−FLAG−GPBPと同様に産生される。ATRの原因となる開始部位を決定するために、本発明者等は、
iMet位置の上流のオープン・リーディング・フレーム(ORF)における様々な位置で終止コドンを導入することによってpc−n4’及びpc−n4’−Mmut変異体を産生した。GPBP又はGPBP/GPBPΔ26について特異的な低分子干渉mRNA(siRNA)の一時的発現のためにpSilencer(商標)2.1−U6 hygro(Ambion)を用いた。対応する誘導構築物及びcDNA標的配列は:pSi−GPBP/GPBPΔ26−2、ACAGAGTATGGCTGCAGAG(配列番号11);pSi−GPBP/GPBPΔ26−3、GTACTTTGATGCCTGTGCT(配列番号12);pSi−GPBP−1、GCCCTATAGTCGCTCTTCC(配列番号13)であった。標的配列及びプラスミド構築物の選択は、供給者の勧告に基づいた。siRNA発現プラスミドの効率を、細胞組換え発現系において評価した(非図示)。これらの研究における対照プラスミド(pSi−対照)は、ヒト細胞において発現されないタンパク質である、緑色蛍光タンパク質のmRNAを標的とするために設計された。全変異体は、標準的PCRに基づく突然変異生成によって産生され、クローニングされた全てのcDNAクローンの忠実性を、ヌクレオチドシークエンシングにより確認した。
【0081】
細胞培養及びトランスフェクション
HEK−293又はHeLa細胞をそれぞれ、2mMのL−グルタミン、10%(v/v)ウシ胎仔血清及びペニシリン(100U/ml)/硫酸ストレプトマイシン(0.1mg/ml)を添加したダルベッコの修飾イーグル培地またはイーグル最小必須培地を用いて、37℃、加湿5%CO
2環境中で成長させた。特に記載しない限り、この研究で使
用した細胞はHEK293細胞であった。
【0082】
ProFection Mammalian Transfection System−Calcium Phosphate(Promega)又はLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用し、供給者の勧告に従って、トランスフェクションを16−24時間実施した。免疫蛍光研究のために、細胞を24穴プレート中、ポリ−L−リシンでコーティングされたカバーガラス上に播種した。必要があれば、HEK293細胞をpc−n4’−Mmutでトランスフェクトし、G418(Invitrogen)で15日間選択した。耐性細胞を制限希釈によってさらにクローニングし、多くの個々のクローンにおける91kDa GPBPの発現を細胞抽出物のウェスタンブロット分析によって測定した(下記参照)。上昇したレベル(c8、c14)又は低下したレベル(c19)の91kDaを発現するクローンを機能研究において使用した。
【0083】
インビトロ転写及び翻訳
本発明者らは、TNT(登録商標)T7 Coupled Reticulocyte
Lysate System(Promega)を用いて、供給者の勧告にしたがって約1μgのプラスミドのインビトロ転写/翻訳を実施した。タンパク質合成を評価するために、[S
35]メチオニンを混合物に添加し、標識されたポリペプチドをSDS−PAGE及びフルオログラフィーによって同定した。手短に言えば、電気泳動後、ゲルを45%メタノール及び7.5%酢酸で1時間固定した。続いて、ゲルを、ジメチルスルホキシドで30分間、そしてジメチルスルホキシド中22.5%の2,5−ジフェニルオキサゾールでさらに30分間、2回処理した。最後に、ゲルを水で平衡化し、乾燥し、−70℃に暴露した。
【0084】
細胞抽出物及び細胞分画
細胞抽出物を得るために、成長培地を氷冷リン酸緩衝塩溶液(PBS)ですすぎ、氷床上、25mMのTris−HCl(pH7.5)、150mMのNaCl、0.5%のTriton X−100、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)及び10μg/mlのロイペプチンで均質化した。混合物を500×gで10分間遠心分離
することによって精製し、タンパク質濃度を測定し、−70℃で保存した。
【0085】
細胞下分画のために、90%コンフルエンスの培養物をPBS中に集め、遠心分離に付した(500×gで10分間)。細胞ペレットを250mMのスクロース、10mMのPBS(pH7.5、10μg/mlのロイペプチンを含む)、1mMのPMSF中に分散させ、ガラス製乳棒を用いてDounce均質化(20ストローク)で破壊した。細胞ホモジネートを連続遠心分離(sequential centrufugation)によって徐々に精製して、異なる細胞画分を得た。核及び破壊されていない細胞を500×gで10分間遠心分離することによって集めた。上清を7,000×gで10分間遠心分離することによってさらに精製して、ミトコンドリア/リソソーム画分を得た。最後に、上清を150,000で1時間遠心分離することによって精製して、ミクロソーム分画を得、これは細胞膜の断片、すなわち、小胞体、細胞膜及び分泌小胞(ペレット)並びにサイトゾル画分(上清)を有する。全てのステップは0−4℃で実施し、Protein Assay試薬(Bio−Rad)を用いてタンパク質濃度を測定した。
【0086】
いくつかの目的で、500×gの上清をリソース−Q FPLCカラムにかけ、結合物質を10mMのTris−HCl(pH8.0)中0から1MのNaCl勾配で溶出させた。細胞GPBPの大部分を含む0.55−0.6MのNaCl画分をエタノールで沈殿させ、ウェスタンブロット分析用の部分的に精製されたGPBPとして使用した。
【0087】
エキソビボ架橋、スフィンゴミエリナーゼ処理及びFLAG−免疫沈降
エキソビボ架橋に関して、本発明者らは、本質的にすでに記載されているようにして得られた排出可能なヒトα3(IV)NC1ドメイン(BM40−FLAG−α3(IV)NC1)を発現するHEK293−FLAG−α3(IV)細胞を使用した(1、16)。細胞を、150mmプレート中(天然のGPBP)又は6穴プレート中(組換えGPBP)のいずれかで70−90%コンフルエンスまで成長させた。トランスフェクションの48時間後又は細胞が指示されたコンフルエンスに達したら、架橋を行った。手短に言えば、細胞をPBSですすぐことによってRTにし、1%ホルムアルデヒドを含む培地とともに10分間インキュベートした。架橋反応を、PBS(pH7.4)中125mMのGly−HClで10分間RTにて急冷した。氷冷PBSですすぐことによって細胞を4℃にし、処理を4℃で続けた。細胞を、1又は5ml(6穴又は150mmプレート)の抽出緩衝液[16mMのTris−HCl(pH7.5)、160mMのNaCl、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1.1%のTriton X−100、0.01%のSDS、10μg/mlのロイペプチン、1mMのPMSF]で30分間溶解させ、500×gで10分間遠心分離して、細胞片を除去し、そして上清を、50又は250μl(6穴又は150mmプレート)のFLAG−アフィニティーゲルの50%スラリーで、穏やかに揺らしながら一夜抽出した。ビーズを遠心分離によって集め、1mLの抽出緩衝液で2回、Tris緩衝塩溶液(TBS、50mMのTris−HCl(pH7.5)、150mMのNaCl)で1回洗浄した。タンパク質を25又は125μl(6穴又は150mmプレート)のFLAGペプチドのTBS中100μg/ml溶液でRTにて2回溶出させた。溶出した試料を電気泳動試料緩衝液(2X)とともに15分間沸騰させて逆架橋させ、SDS−PAGE及びクマシーブルー染色又はウェスタンブロットのいずれかによってさらに分析した。
【0088】
必要があれば、pc−FLAG−GPBP又はpc−FLAG−GPBPΔ26でトランスフェクトしたHeLa細胞を、すでに記載したようにして(5)セレウス菌(Bacillus cereus)スフィンゴミエリナーゼ(Sigma)で処理するか、または処理せず、細胞をメタノール/アセトンで固定し、そして直接免疫蛍光法(下記参照)によって分析するか又は10mMのTris−HCl(pH7.5)、150mMのNaCl、0.5%のTriton X−100、1mMのEDTA、50mMのNaF、1
mMのオルトバナジウム酸ナトリウム、10μg/mlのロイペプチン、1mMのPMSF中で溶解させ、遠心分離(500×gで10分間)によって精製し、FLAG−免疫沈降に使用した(前記参照)。未処理細胞からの免疫精製物質を分割し、半分を5U/μlのλPPase(New England Biolabs)で30℃にて30分間、供給者の勧告にしたがって処理した。全試料を、抗FLAG抗体を用いたウェスタンブロットによってさらに分析した。
【0089】
いくつかの実験に関しては、細胞を150mmプレート中で成長させ、FLAG標識タンパク質をコードするプラスミド構築物20μgでトランスフェクトし、さらに2日間新鮮な培地中で培養した。20ミリリットルの培地を本質的に前述のようにしてFLAG−免疫沈降に使用した。
【0090】
フローサイトメトリー
細胞をやさしく分離し、培地中に分散させた。細胞表面上の非特異性抗体結合部位を、非関連mAbを含むマウス腹水(ブロッキング溶液)でブロックした。細胞を続いてブロッキング溶液中、阻害ペプチド(GPBPpep1)若しくは非関連性合成ペプチドを含むか又は含まないビオチニル化αGPBPの存在下或いは非存在下でインキュベートした。細胞をAlexa Fluor(登録商標)488−ストレプトアビジンとともにブロッキング溶液中でインキュベートし、Cytomics FC500流動血球計算器(Beckman Coulter)でさらに分析して、蛍光発光を測定した。未処理の新鮮な細胞を基準として使用し、前方及び側方散乱を測定して、細胞統合性を評価した。全てのインキュベーションはRTで1時間であった。
【0091】
固定細胞を用いた直接及び間接免疫蛍光法
細胞をトランスフェクトし、−20℃で10分間冷却されたメタノール−アセトン(1/1)で固定した。続いて、細胞をブロッキング溶液(PBS中で1:2に希釈されたウサギ血清)とともに30分間RTでインキュベートし、一次抗体(ブロッキング溶液中20μg/ml)とともに2時間37℃にて加湿チャンバー中でインキュベートし、続いて二次抗体(ブロッキング溶液中1:200)とともに1時間RTでインキュベートした。細胞をマウント液(DAKO)中DAPI(1.25μg/ml)で染色し、Spotカメラ及びソフトウェア・バージョンv2.2(Diagnostic Instruments)と組み合わせたAxioskop−2 plus顕微鏡(Carl Zeiss)で可視化した。いくつかの実験に関しては、細胞をトランスフェクトし、固定し、αFLAG−FITCとともにインキュベートし、前述のように可視化した。非トランスフェクト細胞を負の対照として使用した。
【0092】
生細胞の直接免疫蛍光法
細胞をガラス底のマイクロウェルディッシュ(MatTek Corp)上で培養し、約50%コンフルエンスに達したら、培地を捨て、10μg/mlのαGPBP−Alexa Fluor 647と過剰のGPBPpep1又は等モル量の非関連性合成ペプチドを生細胞のミトコンドリア染色のためのローダミン123(Invitrogen)とともに含む新鮮な培地と交換した。蛍光の生細胞分析を、Leica TCS SP2倒立共焦点顕微鏡を用いて実施した。細胞は全てのステップにおいて37℃、加湿5%CO
2環境中で維持した。
【0093】
質量分析法
各タンパク質バンドをクマシーブルー染色されたゲルから切除し、変色させ、ゲル中トリプシン消化(in−gel trypsin digest)し、遠心分離した。1マイクロリットルの上清を乾燥し、1μlのマトリックス溶液(a−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、Sigma製)中に再懸濁させ、試料プレートに塗布し、乾燥し、質量分析計
中に導入した。トリプシン消化ペプチドをMALDI/TOF/TOF質量分析法(4700 Proteomics Analyzer,Applied Biosystems)によって分析した。集められたデータを、GPSソフトウェア(Applied Biosystems)を用いて分析し、タンパク質を、検索エンジンMASCOT v2.0(Matrix Science)を用いて識別した。
【0094】
循環するGPBPのヒト血漿からの単離
10ミリリットルのグッドパスチャー患者からの血漿交換を、5mgの共有結合したαGPBPrを含むSepharose−CNBr(Sigma)カラム(1ml床)にかけた。カラムを、0.05%のTween20(TBST)を有する20mlのTBSで洗浄し、Gentle−Immunopure溶出緩衝液(Pierce)で溶出させた。溶出物をTBSに対して透析し、Microcon YM−3(Millipore)を用いて濃縮し、αGPBPabを用いたウェスタンブロットによってさらに分析した。
【0095】
血液中を循環するGPBPレベルの推定
マイクロタイタープレートの各ウェルを一夜αGPBPr(TBS中2μg/ml)でコーティングし、ブロッキング緩衝液(PBS中3%BSA)とともに2時間さらにインキュベートした。組換えGPBP及び血清試料をウシ胎仔血清中で希釈し、2連で2時間インキュベートした。プレートを次に、αGPBPab(TBS中1:5,000)とともに、そして抗ニワトリHRP結合(TBS中1:20,000)とともにそれぞれ1時間インキュベートした。コーティング(4℃)を除くすべてのステップはRTであり、ステップごとにウェルをTBSTでよく洗浄した。最後に、Amplex UltraRed試薬(Invitrogen)(約568/581nmの励起/発光最大値)を用いてVictor 2マイクロタイタープレートリーダー(PerkinElmer)で検出を実施した。標準曲線の直線部分が、0.5−10ng/mlの組換えGPBPで見られた。本発明者らはMann−Whitney試験を用いて、系統間の違いを評価した。<0.05のP値を有意と見なした。Prism4.0ソフトウェア(GraphPad Software、San Diego,CA)を計算に用いた。
【0096】
SDS−PAGE及びウェスタンブロット分析−還元条件下で、標準的手順にしたがい、抗体検出のために化学発光(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて実施した。
【0097】
結果
COL4A3BPは77kDa、91kDa及び120kDaのポリペプチドをコードする
GPBP及びGPBPΔ26を同定するために、本発明者らは2つの異なるモノクローナル抗体、すなわち、mAb14(GPBP及びGPBPΔ26を認識することがすでに報告されている(1))、並びにmAb e26(GPBPを除く26−残基Serリッチな領域に対して産生された新規モノクローナル抗体)を使用した(
図1A)。GPBP欠失変異体及び合成ペプチドを用いて、本発明者らはmAb14エピトープをFFATモチーフに位置づけ、したがって、この抗体はFFATモチーフが欠失したGPBP変異体(GPBP
ΔFFAT)と反応しなかった(
図9)。
【0098】
細胞抽出物のウェスタンブロット分析によって、mAb14が主に約77kDaの見かけの分子量(M
r)を有する1つのポリペプチドを認識し
(1)、一方、mAb e26は約91kDa及び120kDaのM
rの2つのポリペプチドと反応することが明らかになった(
図1B)。わずかな変動し得る反応性も、mAb e26を含む約77kDa、60kDa、50kDa及び32kDaのポリペプチドに対して、及びmAb14を含む−91kDa及び120kDaのポリペプチドに反発して観察された(非図示)。本発明
者らは、同様の反応性分子種を、HEK293(
図1B)、ヒト線維芽細胞、HeLa、hTERT−RPE及びhTERT−BJl細胞をはじめとする多くの培養したヒト細胞において見いだした(非図示)。
【0099】
COL4A3BP産物をさらに特徴付けするために、本発明者らは、天然のmRNA及び組換えmRNAの発現を比較した(
図1C)。このために、pc−n4’(COL4A3BPの5’UTR及びコーディング配列を有する構築物)(1、17)を培養細胞における一時的遺伝子発現分析で使用した。pc−n4’の発現によって、mAb e26により検出される約77kDa、91kDa及び120kDaの3つのポリペプチドを得た。対照的に、約77kDa及び91kDaのポリペプチドだけがmAb14と顕著に反応した。驚くことに、組換え溶解物において最も顕著なmAb e26反応性ポリペプチド(77kDa)(すでに報告されているmRNA産物(1))は、重要な天然のカウンターパートを有していなかった。本発明者らは、mAb14が120kDaの組換え型ポリペプチドとよりも91kDaの組換え型ポリペプチドと比較的強力に反応することも観察した。
【0100】
天然のポリペプチドの起源をさらに究明するために、本発明者らは、COL4A3BPについて特異的な低分子干渉RNA(siRNA)を使用した(
図1D)。3つの天然のポリペプチド全ての発現は、これらのsiRNAを発現する場合に減少したが、GPBP及びGPBPΔ26/CERTの両方について特異的なsiRNAは、77kDaのポリペプチドの発現を減少させるのにより有効であり、一方、GPBP特異性siRNAは、91kDa及び120kDaのポリペプチドの発現をより有効に減少させた(pSi−GPBP/GPBPΔ26−3及びpsiGPBP−1を比較)。まとめると、本発明者らのデータは、COL4A3BPの主な細胞産物は、GPBPΔ26/CERT(77kDa)並びに91kDa及び120kDaの従来認識されていないGPBPアイソフォームを含み、後者は、一貫したmAb14結合を防止する修飾FFATモチーフを有する可能性が高いことを示唆していた。GPBP特異性siRNAsを用いる場合の77kDaポリペプチドの細胞レベルにおける減少は、このポリペプチドがmAb e26と有意な反応性を示さないので、さらなる調査を必要とする(
図1B)。
【0101】
主な細胞GPBPアイソフォームは非標準mRNA翻訳開始から得られる
細胞GPBPアイソフォームの起源をさらに明確にするために、本発明者らは、5’UTR−欠失又はiMetからGlyへの置換からなるmRNA変異体を発現する(pc−n4’)誘導構築物を生成させ(
図2A)、これらをタンパク質発現分析で使用した(
図2B)。細胞において、5’UTR−欠失mRNAである構築物(pc−GPBP−Met)は、77kDaのポリペプチドのみを産生し、iMetからGlyへの置換である構築物(pc−n4’−Mmut)は、91kDa及び120kDaのポリペプチドのみを発現した(
図2B、エキソビボ)。しかし、無細胞翻訳系において、pc−GPBP−Metは77kDa GPBPポリペプチドも発現するが、pc−n4’Mmutは91kDaのポリペプチドのみを生成し、120kDaのポリペプチドの有意な発現は観察されなかった(
図2B、インビトロ)。これらのデータは、GPBPmRNAが(1つ若しくは複数の)非標準翻訳開始部位を5’UTR中に含み、これは91kDa及び120kDaのポリペプチドをもたらし、一方、77kDaのポリペプチドは標準翻訳開始の産物であることを示していた。さらに、本発明者らのデータは、91kDaが非標準翻訳開始の主要生成物であり、120kDaのポリペプチドは、細胞膜のない無細胞系において発現できない翻訳後誘導産物であることを示唆していた。
【0102】
さらなる非標準翻訳開始を特徴付けするために、すでに認識されている(1)GPBPmRNAの5’UTRにおいて存在するORF(
図2C)を、pc−n4’Mmutにおける各位置で終止コドンを導入することによって中断し、細胞タンパク質発現をウェスタ
ンブロットによって分析した(
図2D)。終止コドンを−83(本来ACG、トレオニン)で有する構築物は、91kDa及び120kDaのポリペプチドを発現しなかったが、終止コドンを−84(本来GCG、アラニン)で有する構築物は2つのポリペプチドを発現し、選択的翻訳開始部位をコドン−83に位置づけた(
図2Cにおいて枠で囲ったThr)。pc−n4’の−83終止変異体を分析した場合に、同じ結論が得られた(
図2D)。
【0103】
非標準翻訳開始も91kDa及び120kDaの内因性GPBPポリペプチドが原因であることを確認するために、予想されるATRである合成ペプチドと特異的に反応するヒトF(ab)
2断片(Ab24)(
図2Cにおいて網がけした配列)を、部分的に精製さ
れたGPBPポリペプチドのウェスタンブロット分析に使用した(
図2E)。予想通り、Ab24は91kDa及び120kDaの2つのポリペプチドと特異的に反応し、これらのポリペプチドはmAb e26によっても認識され、このことは、天然のGPBPポリペプチドが非標準翻訳産物に特徴的なATRを含んでいることを示唆した。
【0104】
91kDa及び120kDaのGPBPアイソフォームは不溶性膜結合ポリペプチドである
91kDa GPBPアイソフォームは、SecretomeP 2.0 Server(18, http://www.cbs.dtu.dk/services/SecretomeP/)を用いて分析すると、非古典的分泌タンパク質であり、PSORT II Prediction(http://psort.ims.u−tokyo.ac.jp/form2.html)を用いて分析すると、ミトコンドリア(60.9%)、核(26.1%)、細胞骨格(8.7%)及び分泌系の小胞(4.3%)中に局在化することが予想された。したがって、これらの理論的考察から、非標準翻訳開始から得られるGPBPアイソフォームが、分泌経路を包含する細胞小器官中に入る非サイトゾルポリペプチドであることが示唆された。
【0105】
これらの予想を評価するために、無傷生細胞をαGPBPとともにインキュベートし、抗体結合検出のための直接免疫蛍光法及びフローサイトメトリーによって分析した(
図3A及び3B)。興味深いことに、αGPBPは特異的に生細胞と結合した。その理由は、抗体の結合がGPBPである合成ペプチド(GPBPpep1)によって効率的に消失するが、非関連性ポリペプチド(Contpep)によっては消失しなかったからである。これらのデータは、細胞GPBPアイソフォームが細胞膜の外部表面に存在することを示唆する。
【0106】
GPBPの細胞内分布をさらに特徴付けするために、細胞を破壊し、細胞下分画及びウェスタンブロット分析に付した(
図3C)。予想通り、91kDa及び120kDaのGPBPアイソフォームは可溶性物質として検出されなかったが、ミトコンドリア−リソソーム及びミクロソーム画分と主に結合して見いだされた。核画分におけるGPBPの存在が、これらのタンパク質又はこの画分を含む非破壊細胞及び/又はミトコンドリアの核発現を実際に反映するかどうかは明らかではない。対照的に、mAb14と反応し、mAb
e26と顕著な反応性を示さない約77kDaのポリペプチドが、150,000×gで1時間試料を遠心分離した後に可溶物として単独で検出された(サイトゾル)。
【0107】
これらのデータは、91kDa及び120kDaの天然のGPBPポリペプチドは細胞膜と結合して不溶性で発現され、一方、77kDaの天然のGPBPΔ26/CERTポリペプチドは細胞質において可溶性で発現されることが示唆された。
【0108】
77kDa GPBPはIV型コラーゲンと相互作用する可溶性細胞外タンパク質である。
従来のレポートは、77kDa GPBPがIV型コラーゲンと相互作用することを示唆した(1、3、4)。このことを、BM40−FLAG−α3(IV)NC1(ヒトα3(IV)NC1の組換え排出可能な形態)(16)を発現するか、または発現しない細胞のエキソビボ架橋及びFLAG−免疫沈降とそれに続く免疫沈降物のSDS−PAGE分析によってさらに評価した(
図4A)。FLAG特異性抗体はFLAG−α3(IV)NC1及びGPBP又はGPBPΔ26/CERTのいずれかである77kDaのポリペプチド
(2)(ウェスタン)を、タンパク質折りたたみ及びERホメオスタシス維持に関与する2つのER常在性シャペロンであるGrp78及びGrp94(クマシー)とともに効率よく沈殿させた(19、20)。GPBPが実際にERにおいてFLAG−α3(IV)と相互作用することさらに判定するために、BM40−FLAG−α3(IV)NC1を発現するか又は発現しない細胞をpc−n4’でトランスフェクトし、同様に分析した(
図4B)。FLAG抗体は、FLAG−α3(IV)NC1を発現する細胞から77kDa GPBPを効率的に沈殿させたが、対照細胞からは沈殿させず、このことにより、77kDa GPBPアイソフォームが分泌経路中に入り、FLAG−α3(IV)NC1と相互作用することが示唆される。
【0109】
一次構造分析により、77kDa GPBPポリペプチドの細胞質局在化が予想された(未公表の観察結果)。しかし、インビトロ(1、3)、エキソビボ(
図4)及びインビボ(4)研究は、77kDa GPBPアイソフォームがIV型コラーゲンと結合し、リン酸化させることを示唆した。さらに、組換え発現研究により、77kDa GPBPポリペプチドが最も顕著なポリペプチドであることが明らかになったが、有意なレベルの天然のカウンターパートは細胞内で検出されなかった(
図1)。まとめると、これらの観察結果は、標準的GPBPが、非古典的分泌を受けるサイトゾルポリペプチドであることを示唆した。
【0110】
GPBPが分泌されるかどうかを調査するために、本発明者らはまずFLAG標識GPBPをHeLa細胞において発現させ、FLAG特異性抗体を用いて細胞内組換えタンパク質分布を分析した(
図5A)。FLAG−GPBPはカルレギュリン(ER常在性タンパク質)と広範囲にわたって共存し、このことは、GPBPΔ26/CERTについて記載されるように(21、22)、FLAG−GPBPがFFAT−VAP相互作用によってERと結合することを示唆する。したがって、本発明者らは、FLAG−GPBP
ΔFFAT(FFATモチーフを含まないFLAG−GPBP変異体)を発現し、同様に分析した。FFATモチーフの欠失はGPBPのERへの分布を防止した。というのも、このタンパク質がgolgin−97(ゴルジ装置常在性タンパク質)と広範囲にわたって共存することが判明したからである(
図5A)。HEK293細胞において研究を行うと、同じ結論が得られた(非図示)。本発明者らのデータは、組換えGPBPが、その排出のためにFFATモチーフによりVAPと結合したサイトゾルタンパク質であり、FFAT−相互作用が損なわれた場合にのみ、タンパク質はゴルジ装置と結合する可能性を有するという概念と一致した。FLAG−GPBP又はFLAG−GPBP
ΔFFATを培養細胞において発現し、免疫沈降及びウェスタンブロット分析によって培地を続いて分析することによって、このことを研究した(
図5B)。興味深いことに、FLAG特異性抗体は、組換えタンパク質を、FLAG−GPBPを発現する培地から効率的に免疫沈降させ、FLAG−GPBP
ΔFFATを発現する細胞の培地からは免疫沈降させず、このことから、ERに対するFFATが関与する結合は77kDa GPBP分泌に必須であることが明らかになった。
【0111】
GPBPΔ26/CERTは、FFAT依存的方法でERとも結合する(21、22);しかし、本発明者らは、サイトゾルにおいてGPBPΔ26/CERT及び細胞外区画において77kDa GPBPを見いだし、このことは、GPBPに限定されるSerリッチな26−残基領域もGPBP分泌について重要であることを裏付ける。これを同様に
FLAG標識77kDa GPBP又はGPBPΔ26/CERTを発現する培養物において研究した(
図5C)。予想通り、26−残基Serリッチな領域の存在は、FLAG−GPBPΔ26が培地において顕著に発現されないならば、タンパク質分泌に重要であった。
【0112】
91kDa GPBPは、細胞外区画における77kDa GPBPレベルを調節する
この証拠は、77kDa及び91kDaの両GPBPアイソフォームは分泌経路中に入るが、91kDaが膜と結合したままであるのに対して、77kDa GPBPは細胞外区画中に可溶性であることを裏付ける。本発明者らは、91kDa GPBPが77kDa GPBPの細胞外レベルを調節するかどうかを研究した。これは、組換え91kDa
GPBPを異なるレベルに発現する各細胞系におけるFLAG−GPBPの組換え発現(
図6A)とそれに続く対応する培地のFLAG−免疫沈降及びウェスタンブロットによる免疫沈降物の分析によって行った(
図6B)。興味深いことに、組換え91kDa GPBPの発現の増加は、培地におけるFLAG−GPBPのレベルの増加と関連し、このことは、91kDa GPBPが77kDa GPBPの細胞外区画への分泌を誘発したことを示唆する。
【0113】
77kDa GPBPはスフィンゴミエリナーゼでの細胞処理に対して感受性でない
組換え発現研究によっても、77kDa GPBPは、FFATモチーフが突然変異するとゴルジ装置への転移を受ける、ERと関連したサイトゾルポリペプチドであることが示された(
図5A)。したがって、本発明者らは、77kDa GPBPが、GPBPΔ26/CERTについて先に報告されている様に、スフィンゴミエリナーゼ細胞処理に反応して脱リン酸化及びゴルジ装置への転移を受けるかどうかを疑問に思った(5)。これらの研究のために、FLAG標識GPBP又はGPBPΔ26/CERTを発現する細胞をセレウス菌スフィンゴミエリナーゼ(bSMase)で処理し、興味のある細胞内タンパク質をFLAG−免疫沈降及びウェスタンブロットによって分析した(
図7A)。すでに指摘されているように(1、5)、両組換えタンパク質をリン酸化し、一般的ホスファターゼ(λPPase)での処理によってそれらのM
rを同様の程度まで減少させた(上及び下の矢印)。しかし、スフィンゴミエリナーゼ細胞処理は、各組換えタンパク質について異なる結果をもたらし、FLAG−GPBPΔ26/CERTは低M
rまでシフトしたのに対して(上および中央の矢印)、顕著なM
rシフトはFLAG−GPBPについては観察されなかった。このことは、スフィンゴミエリナーゼ処理によって引き起こされるスフィンゴミエリンの細胞レベルにおける減少が、FLAG−GPBPΔ26/CERTの脱リン酸化を誘発するが、FLAG−GPBPのリン酸化状態に顕著な影響を及ぼさなかったことを示唆する。予想通り、細胞の免疫蛍光法分析によって、スフィンゴミエリナーゼ処理は、FLAG−GPBPの細胞内分布を著しく変更することなく、FLAG−GPBPΔ26/CERTのゴルジ装置への転移を促進したことが明らかになった(
図7B)。
【0114】
77kDa GPBPの血液循環レベルは、グッドパスチャー患者及び免疫複合体型糸球体腎炎の動物モデルにおいて上方調節される
証拠は、インビボの可溶性タンパク質がイムノアフィニティークロマトグラフィによって最初に研究され、血液循環するヒト77kDa GPBPが単離された際に、77kDa GPBPが分泌されたことを示唆した(
図8A)。標準的治療手段によって、高レベルのGPBPを発現することが予想されるグッドパスチャー患者から得た血漿交換を使用した(3)。予想通り、本発明者らは、アフィニティーカラムから溶出された物質において1つの77kDaポリペプチドを同定し、これはGPBP特異性抗体と反応し、このことは、77kDa GPBPがインビボで分泌され、ヒト血漿の成分であることを示唆する。アフィニティー精製を実証し、かつ77kDa GPBPのレベルをさらに正確な方法で決定するために、本発明者らは、ヒト組換えGPBPを捕捉し、検出するためにアフ
ィニティークロマトグラフィで用いられた同じ抗体を利用するELISAを開発した(
図8B)。本発明者らは、このELISAを使用して、対照及び抗体介在性糸球体腎炎を表す試料における循環する77kDa GPBPレベルを推定した(
図8C、D)。ELISAは、組換えGPBPを測定する場合、0.5ngから10ng/mlの間で直線範囲を示し(
図8B)、グッドパスチャー患者において対照個体におけるよりも比較的多くの循環する77kDa GPBPを検出した(
図8C)。本発明者らは、若年(4ヶ月)及び高齢(7ヶ月)NZWマウスを比較した場合に、同様の結果を得(
図8D)、GPBP依存性IgA免疫複合体型糸球体腎炎を発症し、狼瘡になりやすい自己抗体産生を発現したマウス種では7ヶ月の月齢で始まった(4)。
【0115】
考察
ここで、本発明者らは、GPBPのmRNAが標準的(AUG)及び非標準(ACG)翻訳開始を経て、それぞれ77kDa及び91kDaの2つの主なポリペプチドを生成するという有力な証拠を得た。本研究からの結果はまた、両生成物が分泌経路に入ることを裏付ける。しかし、77kDaが細胞外区画に達し、可溶性免疫沈降性形態で存在するのに対して、91kDaおよびその誘導120kDaポリペプチドは、細胞膜と結合して、主に不溶性のままであった。ACGでの翻訳開始及び非標準翻訳開始を使用して、タンパク質を選択的細胞区画へ向かわせることが、他のヒト遺伝子について記載されている(23、24)。従来の証拠(21、22)に基づいて、ERに対するFFAT介在性GPBP結合(
図5)はVAPによって起こり、したがってFFAT−VAP相互作用がER中へのGPBP転移の根底にある分子機構に関与することが予想される。さらに、本発明者らは、すでに報告された、選択的にスプライスされたGPBPΔ26/CERTが、細胞質において主に可溶性のままであるGPBP変異体であることも示す。このように、本発明者らのデータは、mRNA選択的翻訳開始及びエクソンスプライシングが、サイトゾル、分泌経路、細胞膜及び細胞外区画をはじめとする複数の位置へGPBPを向かわせるための方法であるという考えを裏付ける。さらに、先の観察結果では、GPBPはヒト精原細胞の核(1)並びにラット肝臓のミトコンドリア及びリソソームで見いだされ(未発表の観察結果)、このことは、GPBPの分布が実質的に偏在し、したがって、その生物学的プログラムはいくつかの区画において機能することが予想されることを示唆する。
【0116】
肺動脈内皮細胞由来のヒトGPBPcDNAが報告されている(GenBank受入番号AK096854)。興味深いことに、AK096854は選択的標準翻訳開始部位(iMet)を有し、これは、91kDaポリペプチドのORFを上流に45残基延長する。本発明者らは、HEK293細胞においても、肝臓、腎臓、脳、筋肉、膵臓、ケラチノサイト、リンパ球及びHeLa細胞をはじめとする多くの他のヒト組織においても、AK096854mRNA発現についての証拠を見いだせなかった(非図示)。それでも、本明細書で報告される非標準翻訳開始産物と類似したM
rを有する標準的mRNA翻訳開始によって産生されるGPBPアイソフォーム(すなわち、AK096854)の存在は排除できなかった。
【0117】
一次構造分析から、非標準的に翻訳されたGPBP産物は分泌経路に入ることが予想される。いくつかの観察結果、すなわち、1)非標準GPBPアイソフォームは細胞膜と結合する分子種であること(
図3);2)非標準GPBPアイソフォームは細胞における主なGPBP種(
図1)及び無傷生細胞の外表面と結合したGPBP特異性抗体であること(
図3);3)120kDaのポリペプチドは、翻訳が細胞膜のない無細胞系で起こる場合に、mRNAから発現されないこと(
図2);及び4)91kDa GPBPアイソフォームは細胞外区画で77kDa GPBPのレベルを調節すること(
図6)が、この予想を裏付けている。総合すると、これらの観察結果は、91kDaのポリペプチドが非標準翻訳開始の主要生成物であるという概念を裏付ける。このアイソフォームは、分泌経路に入り、ここで共有結合修飾を受けて120kDaのポリペプチドを産生し、膜に結合し
たままで、細胞膜の外表面に達する。91kDa GPBPが77kDa GPBPの細胞外レベルを調節する機構はまだわかっていない。
【0118】
本発明者らは、発現が異常に高まる場合(すなわち、一時的遺伝子発現)、GPBPポリペプチドがサイトゾルにおいて蓄積することを観察し(
図10)、ER中へのGPBP輸送が飽和過程であることが明らかになった。興味深いことに、これらの発現条件下で、mAb e26は、細胞外区画中にある場合、サイトゾル77kDaポリペプチドについて、このアイソフォームよりも高い反応性を示した(
図10及び11)。さらに、mAb14は、天然の91kDa GPBPとよりも組換え体と比較的反応し、天然又は組換え120kDa産物と顕著に反応しなかった(
図1)。これらの観察結果はすべて、26−残基Serリッチな領域(mAb e26)及びFFATモチーフ(mAb14)が分泌経路において共有結合修飾を受けることを示唆している。これらのデータは、特定の調節(生理的又は病理学的)状況下で、GPBPはサイトゾルにおいて可溶性ポリペプチドとして発現され得ることも意味する。最後に、91kDa GPBPΔ26/CERTが内因的に発現されるかどうか、及びGPBPΔ26/CERTが分泌を受けずにER中へ輸送され得るかどうかは明らかではない。
【0119】
GPBPΔ26/CERTを表すサイトゾル77kDaポリペプチドの発現レベルは、GPBP特異性siRNAを発現する細胞において有意に減少した(
図1D)。このことは、siRNAがpre−mRNAも標的とするか、またはGPBPのmRNAがある程度GPBPΔ26 mRNAの前駆体であるかのいずれかであることを示唆する。本発明者らは、組換えGPBPを発現する細胞が、少量の組換えGPBPΔ26/CERTも発現することを見いだした(未発表の観察結果)。このことにより、成熟GPBPmRNAは、ERストレスシグナルに反応してXBP1について報告されているのと同様に、非古典的プロセシングに付されることが明らかになる(25)。あるいは、共有結合的に修飾された26−残基Serリッチな領域を有するGPBP種であってGPBPΔ26/CERTとともに移動するものも、この観察を説明できる。
【0120】
いくつかの証拠、すなわち:
1)77kDa GPBPは、インビボでリン酸化される部位(1)でα3(IV)NC1ドメインと結合し、リン酸化する非従来型Ser/Thrキナーゼであること(26);
2)77kDa GPBPは細胞外区画において可溶性(
図5及び
図8)又はGBMコラーゲンと結合し(4)、かつ培養細胞のサイトゾルにおいて有意なレベルで発現されないことが主に判明していること(
図1及び3);
3)細胞GPBPアイソフォームは細胞膜の外表面で局在化すること(
図3);
4)91kDa GPBPアイソフォームは細胞膜と結合し(
図3)、77kDa GPBPアイソフォームの細胞外レベルを調節すること(
図6);
5)α3(IV)NC1ドメインは独自の構造的多様化を受け、少なくとも2つの異なる構造アイソフォーム(配座異性体)が基底膜に集まること(27);
6)77kDa GPBPの発現の増大が、IV型コラーゲンの四次構造を混乱させ、このことは、上昇したGPBPレベルがα3(IV)NC1ドメインの構造多様化プログラム(三次構造)を妨害することを示唆する(4);
7)GPBPの血清レベルの増加は、IV型コラーゲンに基づく糸球体腎炎と相関すること(
図8);
8)FFATモチーフは77kDa GPBP分泌の構造的要件であり(
図5)、VAPは、ERにおける適切なタンパク質折りたたみのためのホメオスタシス維持に重要であること(10);
9)ERに存在し、タンパク質の誤った折りたたみに対する細胞反応を調節するGrp78及びGrp94シャペロンは(18、19)、FLAG−α3(IV)及び77kD
a GPBPと結合すること(
図4);
10)COL4A3BP発現の増加は、タンパク質の誤った折りたたみ及びERストレス介在性細胞死を誘発する化学療法剤に対する癌細胞の耐性に関与することが判明したこと(28);
11)細胞のスフィンゴミエリナーゼでの処理は、脱リン酸化を誘発せず、77kDa
GPBPの細胞内分布も変えないこと(
図7);
12)タンパク質キナーゼDはGPBPをリン酸化するが、GPBPΔ26/CERTと同じ程度までではないこと(6);
13)ノックダウン及び救済実験により、GPBP及びGPBPΔ26/CERTがセブラフィッシュにおける胚発生の間に様々な生物学的機能を果たすことが明らかになること(29);並びに
14)GPBPは、分泌経路において内腔/細胞外側から膜に対して固定されるタンパク質RTN3及びRTN4と相互作用すること(30)は、GPBPが、サイトゾルにおける細胞小器官間セラミド輸送ではなく、ERにおけるタンパク質折りたたみ及び細胞外区画における超分子組織を調節することを裏付ける。
【0121】
26−残基Serリッチな領域が欠失したGPBPもVAPと結合する(21、22);しかし、セラミド吸収は、VAPとの結合の次に起こり、続いて、タンパク質はゴルジ装置へと向かい、ここでセラミドは放出され、タンパク質エクソサイトーシスが誘発される(6、14)。したがって、リン酸塩転移及びセラミド輸送は分子戦略であってよく、これによってCOL4A3BPはタンパク質分泌を調節する(すなわち、IV型コラーゲン)。これと一致して、VAPも細胞膜へのタンパク質カーゴ輸送の調節に重要であることが示された(11)。
【0122】
様々な証拠は、COL4A3BPが、抗体介在性障害(3、4)、炎症(15)、ERストレス介在性疾患(10)及び薬剤耐性癌(28)を診断及び治療する方法の魅力的な標的であることを裏付ける。しかし、これらの結論を裏付ける観察結果は、今では解釈し直す必要があるかもしれない。その理由は、多くが、異なる細胞区画で発現される異なる遺伝子産物(すなわち、GPBP及びGPBPΔ26/CERT)間の区別ができない手段(すなわち、siRNA又は抗体)を用いて得られ、刺激に反応して異なって調節されるからである(3)。したがって、本研究は、GPBPの様々なアイソフォームが細胞内で産生されるメカニズムを明らかにすることによって、これを理解するための重要な助けとなる。
【0123】
さらに、血液循環するヒト77kDa GPBPを同定することによって、本発明者らは、GPBP分泌もインビボで生物学的に関連するという有力な証拠を提供する。血液循環する77kDa GPBPのレベルが免疫複合体型糸球体腎炎のマウスモデルにおけるGPBP糸球体発現及び発症と相関するという発見は、GPBPの血清学的測定が臨床状況で関連することを示唆する。これと一致して、グッドパスチャー患者における循環するGPBPの上方調節を示す本研究は、これらの結論を裏付け、GPBPがこれらの患者において過剰発現されるという従来の観察結果を実証する(3、31)。
【0124】
これらおよび従来の発見は、GPBPがIV型コラーゲン分泌及び超分子組織を促進することを裏付ける。したがって、GPBPは、適切なGBM集合に重要であり、異常なGPBP蓄積は、GBM破壊を誘発し、IgA免疫複合体を堆積させる(4)。我々の知る限りでは、GPBP発現の増加、GBM解離及び免疫複合体の堆積は、腎疾患の根底にある新規メカニズムである。類似のメカニズムがヒト発症において機能するかどうかは明らかではないが、GBM破壊及び電子密度の高い物質の蓄積の超構造的証拠は、IgAネフロパシー及びループス腎炎にかかった患者において報告されている(32、33)。さらに、GPBP発現の増加は、IV型コラーゲンの四次構造の強化を低下させる可能性があ
り、これによってエピトープ暴露、免疫系の活性化及びグッドパスチャー疾患における自己抗体結合を促進する(34)。後の仮定と一致して、グッドパスチャー患者は循環するGPBPレベルの増加を示し、GPBP発現がグッドパスチャー組織において上方調節されるという従来の観察結果を裏付ける(3、31)。GPBPは、循環する分子であり、GBMは糸球体濾過障壁の主成分であり、したがって、糸球体における病原性GPBP蓄積は、局所産生から起こり得るが、ほかの場所で産生された循環するGPBPの隔離からも起こり得る。局所的過剰産生は一次抗体介在性糸球体腎炎の主な原因となり得るのに対して、循環するレベルの増加はこの病理の二次形態を誘発し得、おそらくは腎移植による疾患再発に関与する。したがって、循環するGPBPレベルの定量化は、一次抗体介在性糸球体腎炎と二次抗体介在性糸球体腎炎との識別において、及び腎移植の臨床的モニタリングに重要であり得る。
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脚注
(1)77kDaポリペプチドは、GPBPΔ26/CERTのリン酸化(高)及び脱リン酸化(低)型を表す二重項として分割することができる(5)。
【0125】
(2)77kDa GPBPの分泌は、分泌経路における天然の77kDa GPBPのレベルを推定するためのこの抗体の使用を除いて、mAb e26との反応性の損失と関連した(
図11)。
【0126】
略語
使用する略語は次のとおりである:α3(IV)NC1:IV型コラーゲンのα3鎖のNC1ドメイン、ATR:選択的翻訳領域、CERT及びCERT
L:セラミド輸送タンパク質の短鎖及び大型アイソフォーム、COL4A3BP:GPBP(CERT
L)及びGPBPΔ26(CERT)をコードする遺伝子(コラーゲンIVα3−結合タンパク質
と命名されたもの)、EDTA:エチレンジアミン四酢酸、ER:小胞体、FFAT:酸性トラック中の2つのフェニルアラニン、GBM:糸球体基底膜;GPBP及びGPBPΔ26:グッドパスチャー抗原結合タンパク質の大型及び短鎖の選択的にスプライスされた変異体、HRP:ホースラディッシュペルオキシダーゼ、mAb:モノクローナル抗体、NC1:非コラーゲン様−1ドメイン、ORF:オープン・リーディング・フレーム、NZW:ニュージーランドホワイト、PBS:リン酸緩衝塩溶液、PH:プレクストリン相同、RT:室温、SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、START:ステロイド産生急性調節関連脂質伝達、UTR:非翻訳領域;VAP:小胞関連膜タンパク質関連タンパク質。