特許第5654993号(P5654993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5654993耐火性のロウ付けにより炭素部品を組立てる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5654993
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】耐火性のロウ付けにより炭素部品を組立てる方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 37/00 20060101AFI20141218BHJP
   C04B 35/52 20060101ALI20141218BHJP
   B23K 20/00 20060101ALI20141218BHJP
   B23K 101/40 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   C04B37/00 A
   C04B35/52 G
   B23K20/00 310M
   B23K101:40
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-525596(P2011-525596)
(86)(22)【出願日】2009年9月3日
(65)【公表番号】特表2012-501851(P2012-501851A)
(43)【公表日】2012年1月26日
(86)【国際出願番号】FR2009051665
(87)【国際公開番号】WO2010026341
(87)【国際公開日】20100311
【審査請求日】2011年5月2日
(31)【優先権主張番号】0855970
(32)【優先日】2008年9月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510336565
【氏名又は名称】コミッサリア タ レネルジー アトミク エ オ エネルジー オルタネイティヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】511058154
【氏名又は名称】インスティチュート ナシオナル ポリテクニーク ド グルノーブル
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】ギャランデ ジャン−ポール
(72)【発明者】
【氏名】キャメル デニ
(72)【発明者】
【氏名】ドルヴェ ベアトリス
(72)【発明者】
【氏名】ユースタソポーロス ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】イスラエル ラナ
【審査官】 植前 充司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−170875(JP,A)
【文献】 特開平02−274786(JP,A)
【文献】 特開平07−257981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 37/00
B23K 20/00
C04B 35/52
B23K 101/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10μmに満たない粒径を持つ粒子を有する、少なくとも2つの炭素部品を接合するための有用な方法であって、少なくとも以下に列挙するものからなる諸工程:
a) 接合すべき該複数の炭素部品および、50〜800μmなる範囲の厚みを有するシリコン製要素を配置する工程、ここで該シリコン製要素は、該部品の間に挿入されており、該炭素部品及び該シリコン製要素はアセンブリーを形成し、および
b) 圧力の作用下にて、該アセンブリーを結合状態に維持し、かつ該アセンブリーを、不活性雰囲気下で1,410〜1,600℃なる範囲の温度にて加熱して、該シリコンを溶融し、かつ該部品間の界面において、少なくとも一つの炭化ケイ素ブリッジを含む接合部を形成する工程;および
c) 該工程b)の完了後に得られる該アセンブリーを、1,500〜1,750℃なる範囲かつ該工程b)の温度よりも高い温度に曝して、該溶融シリコン全てを消費させ、かつ該炭素部品間の界面の全表面に渡り、炭化ケイ素の接合部を形成する工程、
を含み、
該工程b)及び工程c)を、異なるが連続している2つの温度レベルで実施する、
ことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記工程c)の完了後に得られるロウ付けが、残留固体シリコンを全く含まない、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記炭素部品が、0〜40体積%なる範囲の開放孔の多孔度を持つ、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素部品が1〜5μmなる範囲の粒径を持つ粒子を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記2つの接合された部品の界面において生成された接合部が、10〜40μmなる範囲の厚みを持つ、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの接合された部品の界面において生成された接合部が、20〜30μmなる範囲の厚みを持つ、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記工程b)が、不活性雰囲気下で10分〜1時間なる範囲の期間に渡り加熱する段階を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程b)が、1,410〜1,500℃なる範囲の温度にて行われる、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記工程b)が、前記範囲の温度にて、10分〜1時間なる範囲の期間に渡り行わる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記工程c)が、前記範囲の温度にて、3〜8時間なる範囲の期間に渡り行われる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載の方法によって得られた、前記部品間の界面の全表面に渡り、炭化ケイ素接合部によって接合された部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素を主成分とするロウ付けを利用する、耐火性ロウ付けにより、炭素部品を接合する方法に係り、このようにして得た該複合部品は、マイクロエレクトロニクスおよび太陽光発電の分野において特に有用である。
【背景技術】
【0002】
炭素材料は、多くの工業分野において広く利用されている。しかし、複雑な形状を持つ部品の製造は、一般的には容易ではない。この困難を克服するために、単純な構造を持つ基本的な要素を製造することがしばしば好ましく、該基本的要素は、次に相互に接合されて、所望の複雑な構造体を形成する。現時点では、ロウ付けが、アセンブリーを製造するために一般的に利用されている技術である。
グラファイトによるロウ付けは、しばしばグラファイトと、様々な金属[1-2]、および更にはグラファイト自体[3]との接合を検討するために、既に多くの研究において記載されている。しかし、現時点において実現可能なロウ付けは、あらゆる金属元素を含むが、マイクロエレクトロニクスおよび太陽光発電の分野等の、極めて純度の高いシリコンの使用を必要とする環境下では、利用不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この純度の要求を満足する、新規なロウ付け技術を提案することが、まさに本発明の目的である。
特に、本発明は、形成されたロウ付けの純度に関して、特に有利な、炭素部品をロウ付けする技術を提案するものである。
より詳しくは、本発明は、ロウ付け材料としてのシリコンの使用を基本とする、炭素部品用のロウ付け技術を提案する。
本発明は、特に炭素およびシリコン以外の他の如何なる元素をも必要としない、また結果として特に、より詳しくはマイクロエレクトロニクスおよび太陽光発電の分野における使用に供される部品の製造に適した、接合方法を提案するものである。
【0004】
本発明は、特に液状シリコンが炭素材料と接触した際に、これらの界面における反応によって、炭化ケイ素からなる層が形成されるという事実[4]を利用するものである。この反応は、典型的には10〜20μmなる範囲内で変動する厚みを持つ層が形成されるまで続けることができ、ここで該層の成長は、拡散を受ける該炭素の厚みによって制限される。シリコンの炭素マトリックスへの浸透深さは、主として該マトリックスの多孔度およびこれら2種の材料が接触する際の温度に依存することが知られている。押出されたグラファイト等の材料に関連して、しばしばセンチメートルオーダーの深さが達成され、一方でこれらの深さは、微細粒子状のグラファイトに対して、1mmの一部分程度である。ガラス状炭素については、有意な浸透は全く観測されず、また該炭化ケイ素層は、該界面においてのみ形成されるに過ぎない。
本発明の更なる目的は、接合すべき該炭素部品への該液状シリコンの浸透の正確な制御を可能とするロウ付け技術を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
より正確には、本発明は、10μmに満たない粒径を持つ少なくとも2つの炭素部品を接合するための有用な方法に係り、該方法は、少なくとも以下に列挙するものからなる諸工程を含む:
a) 接合すべき該複数の炭素部品およびシリコン製要素、特にシリコンストリップ形状にあるシリコン製要素を配置する工程、ここで該要素は、該部品間に挿入されており、および
b) 圧力の作用下で、結合状態にある該アセンブリー維持し、かつ該アセンブリーを、不活性雰囲気下で1410℃を越える温度にて加熱して、該シリコンを溶融し、かつ該部品間の界面において、少なくとも一つの炭化ケイ素ブリッジを含む接合部を形成する工程。
好ましい一態様においては、上記工程b)の完了後に得られる該アセンブリーを、該工程に続く工程c)により、該工程b)において考察された温度よりも高い温度に曝して、該溶融シリコン全てを消費させ、かつ該炭素部品間の界面の全表面に渡り、炭化ケイ素接合部を形成することも可能である。
【0006】
その結果として、本発明の方法は、第一の態様によれば、上記最初の2つの工程のみを実施することを含み、また第二の態様においては、少なくとも上記3つの工程a)、b)およびc)を実施することを含む。
従って、ロウ付けのために考えられる通常の条件に従って(特に、熱サイクルおよび/または応力挙動に関する仕様)、本発明は、有利には、該アセンブリーの機械的な強度が、SiCの孤立したブリッジにより得られる第一の態様、または長期間の高温アニール処理が、該シリコンのSiCへの完全な転化を可能とする第二の態様の、何れかに変えることができる。
該工程b)の完了後に得られる該接合は、有利には、複数の炭化ケイ素ブリッジを含み、該ブリッジは、該界面の表面上に、不連続な状態で分布していてもよい。
該工程c)の完了後に得られる該炭化ケイ素接合は、有利には連続的なものである。
【0007】
該第一の態様によれば、本発明の方法によって2つの炭素部品間に設けられた該ロウ付けは、SiC接合点とも呼ばれる、少なくとも一つの炭化ケイ素ブリッジを含む、複合ゾーンとして形成される。
本発明との関連において、複合ゾーンとは、少なくとも2つの相、即ちグラファイトおよび炭化ケイ素の相で構成され、また場合によっては更に(未反応の)シリコンをも含む構造を意味する。
本発明との関連において、SiC接合点とは、接合すべき2つの部品間の物理的な通路を意味する。このような接合点は、有利には、例えば少なくとも1μmなる径、30μmなる長さを持つことができる。このような接合点を、図2に示す。
この変法においては、最初のシリコン全体が、消費されることはない。次いで、該過剰量のシリコンは、本質的には、該ロウ付け部の2つの端部に局在し、また必要ならば一般的に公知の方法によって、そこから除去することができる。
【0008】
本発明の方法において、必然的に上記工程c)を実施する、該第二の態様によれば、該ロウ付け部は、該2つの部品間の界面の全長さに渡り生成された、該界面における炭化ケイ素接合部を含む複合ゾーンで構成される。この第二の態様において、該ロウ付け部は、有利には、5%未満の残留固体シリコンを含み、またより具体的には残留固体シリコンを全く含まないものである。該接合すべき複数の炭素部品が、ある開放孔(open-cell)の多孔度を持つ場合には、該ロウ付け部に存在する該SiC接合部は、横方向に、複合ゾーンによって縁取られる。該溶融シリコンの全てが、該接合部および該複合ゾーン両者において、SiCに転化されるが、その際には、該グラファイトの孔内部に如何なる未反応のシリコンをも残すことはない。
ロウ付け材料としてのシリコンの使用は、有利には、複雑な形状を持つ炭素部品の製造を可能とし、該部品は、一方では純度の点で満足であり、またその結果として殆どの過酷な環境に対して適したものとなる。
上記第二の態様に従って形成された該ロウ付け部が、シリコンの融点を越える、および更には2,000℃までの高温度での使用に対して適合性を持つことは明らかである。というのは、該ロウ付け部が、全くシリコンを含まないからである。
【0009】
シリコン要素
該炭素部品以外の出発物質として、本発明の方法は、少なくとも一つのシリコン要素を使用する。
上記説明から明らかな如く、該シリコン要素は、その融点以上の温度にまで加熱した場合には、溶融シリコンに転化されることになる。この溶融シリコンは、隣接する炭素表面と相互作用することにより、該接合すべき2つの部品間に、1またはそれ以上のSiCブリッジを形成し、あるいは更に該部品間の界面の全長に渡るSiC接合部を形成し、更に該炭素材料が多孔質である場合には、該2つの部品間の界面において複合ゾーンを生成する。
第一の変法において、本発明の該態様は、上記工程c)を含まず、即ち該溶融シリコンの全てが消費されるものではない。第二の変法において、該溶融シリコンは、完全に消費される。
このシリコン要素は、有利には接合すべき該2つの炭素部品の面の面積に対して調節された寸法、特に面積を持つことができる。
【0010】
有利には、該シリコン要素は、シリコンプレートまたはストリップである。その厚みは、50〜800μmなる範囲、特に300〜500μmなる範囲内で変えることができる。
該シリコン要素で表したシリコンの量は、所望のロウ付けの型、接合すべき炭素部品の型、特に夫々の多孔性の程度および上記工程b)を実施するのに選択される温度、あるいは更には上記工程c)をも考慮する場合には、該工程c)を実施するのに選択される温度に従って調節する必要がある。
事実、接合すべき該2つの炭素部品の多孔度に依存して、該工程b)において考察される反応は、また該部品の界面の何れかの側における、該溶融シリコンの深部までの浸透をもたらす可能性があり、これはガラス質炭素のような、開放孔の多孔度を持たない炭素部品を用いて得た複合ゾーンの厚みよりも厚い複合ゾーンの形成へと導く。
当業者は、その一般的な知識を通して、所望のロウ付けの型に関して、シリコンの量を調節することができる。
【0011】
例えば、シリコンストリップの厚みは、300〜500μmなる範囲で調節することができ、結果として上記工程b)において、約0.02〜0.3MPa(0.2〜3bar)なる範囲の圧力の下で、該溶融シリコンは、該接合すべき2つの部品間の界面において、10〜40μmなる範囲、特に20〜30μmなる範囲の厚みを持つ液状接合部を形成し、該接合部は、1〜5μmなる範囲の粒度分布を持ち、その開放孔の多孔度は、0〜40%なる範囲にある。
炭素部品
より詳しくは、本発明との関連において、炭素材料を基本とする層は、本質的に炭素原子で構成される材料によって代表される。
より正確には、本発明との関連において、炭素材料は、その全質量に対して、95質量%を越える、特に99質量%を越える炭素原子の含有率を持つ材料である。
該材料は、より具体的にはグラファイトである。
【0012】
本発明の方法は、全く、1〜10μmなる範囲、有利には1〜5μmなる範囲の粒径を持つ粒子の炭素材料に対して極めて有利である。
該方法は、またガラス質炭素等の材料に対して使用することができる。この場合、該複合ゾーンの厚みは、実質上ゼロであり、また該工程全ては、専ら上記2つの部品間の界面において起る。
該炭素材料の多孔度は、0%(ガラス質炭素の場合)〜40体積%なる範囲で変動し得る。
この多孔度は、水銀ポロシメータ(mercury porosimetry)法によって特徴付けることができる。
該接合すべき表面が、平坦性および/または粗さにおける欠陥を示す場合、これらの欠陥は、該接合部の所望の厚みよりも小さいものである必要がある。そうでない場合には、該表面を研磨する必要がある。
【0013】
上述の如く、選択されたグラファイトのグレードに依存して、該溶融シリコンの該孔への浸透率(0〜1mmなる範囲の浸透)に関しては、様々なサイズを持つ接合部および場合によっては複合ゾーンを生成することが可能である。
この方法は、広い寸法範囲に渡る部品、典型的には1mm〜1mなる範囲に及ぶ大きさを持つ部品のロウ付けに適用できる。
本発明は、また上述したような本発明の方法によって接合された部品にも係る。
本発明のその他の特徴並びに利点は、例示の目的で、また非-限定的な例として与えられ、また添付図を参照しつつ与えられる以下の説明を読むことにより、より一層明確なものとなるであろう。以下の図において、該図上に見ることのできる構造を持つ様々な物質の層は、明確化の目的で、自由な縮尺で記載されており、幾つかの部品の寸法は、著しく誇張されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、接合すべき2つの部品を模式的に示した図であり、これら部品間には、シリカストリップが挿入されている。
図2図2は、上記工程b)の加熱条件に曝されている、図1に示されたアセンブリーを模式的に示した図である。
図3図3は、上記工程c)の条件に曝されている、図2に示されたアセンブリーを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
工程b)
上記工程b)中に、ロウ付けすべき該炭素部品および該シリコン部品を、調節された不活性ガス雰囲気の下で、1,410℃(シリコンの融点)〜1,600℃なる範囲、有利には1,450℃〜1,550℃なる範囲の温度にて、加熱することができる。
この熱処理は、10分〜1時間なる範囲の期間、有利には20〜40分なる範囲の期間に渡り行うことができる。
これら温度および加熱期間の特定は、その後の該工程c)を実施するか否かに従って、最適化することができる。
従って、本発明の方法を、該工程c)を行うことなしに実施する場合には、該温度を、1,450℃〜1,550℃なる範囲に調節することが有利であり、その際の加熱時間は、10分間、または更には20〜40分なる範囲にある。
他方において、本発明の方法が必然的に該工程c)を含む場合には、該工程b)において実施する熱処理の温度は、1,410℃〜1,500℃なる範囲、特に1,430℃〜1,500℃なる範囲内で変えることができ、その際の加熱時間は、10分〜1時間なる範囲の期間、あるいは更には10〜40分なる範囲にある。
【0016】
印加すべき圧力に関して、これは、有利には、該接合すべき2つの部品間に位置する溶融シリコンの液体流の厚みが、生成すべき炭化ケイ素接合部の所望の厚みと等しくなるように、調節される。
この圧力は、また該界面の2つの端部において、該接合部の外側における、液状Siの突起の形成へと導く(図2参照)。
この工程b)の実施中、以下のようないくつかの過程が、並行して起こる:
・該接合すべき部品の粗さが、該部品間の距離を最小にするような位置における、反応による炭化ケイ素ブリッジの生成;および
・多孔質グラファイト構造を持つ部品の場合における、その界面に存在する孔が、反応および炭化ケイ素の生成により閉じられる時点までの、該溶融シリコンの浸透および結果としての該浸透されたゾーンの供給の停止。
【0017】
結果的に、この工程b)の完了後、局在化されたSiCブリッジが、該界面において生成され、これら2つの部品の該炭素マトリックス中の最大浸透深さが達成され、また該界面の端部における該部品の側壁上に、該圧力の作用の下で、液状突起が形成される。
該過剰の液体の体積を調節し、また該グラファイト部品の外部の、該シリコンによる湿潤を防止するために、ロウ付け法において従来行われていたように、該接合部の何れかの側に、膨張ハウジングを配置することができる。
工程c)
上記工程b)の完了後に行うことのできるこの工程c)は、SiCブリッジを増やすことにより、および/または既存のブリッジを厚くすることによって、該界面における接合部の生成をもたらすように工夫された、第二のアニール段階と類似する。
この第二の段階は、1,500℃〜1,750℃なる範囲、有利には1,600℃〜1,700℃なる範囲の温度にて行うことができる。
【0018】
横方向の突起中に存在するシリコンは、次に毛管現象により未反応領域に搬送される。同時に、該浸透ゾーンの複合構造の成熟が観測される。この工程c)は、図に示したように、該接合部が形成された時点および該シリコンの全てが消費された時点で完了する。
この第二の段階の該アニール処理時間は、3〜8時間なる範囲、好ましくは3〜6時間なる範囲内で変えることができる。
上記工程b)の完了後に、該部品の側壁上に突起を生成する該シリコンを、可能な場合には膨張ハウジング内に回収し、これを該接合部の依然として未反応のゾーンに確実に戻すために、表面チャンネルを、該シリコンを搬送する目的で、そのロウ付けすべき部分においてエッチングすることができる。
これらのチャンネルは、それ自体Si + C → SiCなる反応により塞がれることになるので、その径は、有利には該接合部の厚みよりも僅かに大きくすることができる。機械加工処理されていない物質の場合、該表面の粗さは、該シリコンを搬送するのに十分なものである。
【実施例】
【0019】
次に、本発明を以下の実施例によって説明するが、これら実施例は、非-限定的なものであり、本発明を例示する目的で与えられる。
出発物質
接合すべき部品は、カーボンロレーン(Carbon Lorraine) 2020グラファイト製部品であり、これは、15体積%の多孔度、および5μmなる粒径を持つ。
10x10cm2の500μmなる厚みを持つシリコンプレート。
実施例1
間にシリコンストリップが挿入されている該2つの炭素部品を、約0.25MPa(2.5bar)の圧力で一体状態に維持する。このアセンブリーを、不活性ガス雰囲気(アルゴンU)下で30分間に渡り1,500℃まで加熱する。該加熱を停止した後、該アセンブリーを、900℃まで5℃/分なる速度にて、次いで自然冷却により、周囲温度まで冷却する。
このようにして得たロウ付けは、炭化ケイ素ブリッジを含む複合ゾーンを形成する。
【0020】
実施例2
間にシリコンストリップが挿入されている該2つの炭素部品を、約0.25MPa(2.5bar)の圧力で一体状態に維持する。このアセンブリーを、不活性ガス雰囲気(アルゴンU)下で10分間に渡り1,460℃まで加熱し、次いで1,600℃なる温度にて5時間加熱する。次いで、該加熱を停止した後、該アセンブリーを、900℃まで5℃/分なる速度にて、次に自然冷却により、周囲温度まで冷却する。
実施例1において得たロウ付けに対して、このロウ付けは、シリコンを含まない。浸透されたゾーンの深さは、400〜600μmなる範囲内にあり、また形成されたSiC接合部の厚みは、10〜20μmなる範囲内にある。
【0021】
引用文献:
[1] L. Yinquan, Z. Zhengde, D. ChaoquanおよびS. Yusheng, 材料の特徴付け(Material Characterization), 2000, :425;
[2] US 6,877,651;
[3] US 3,946,932;
[4] A. Favre, H. FuzellierおよびJ. Suptil, セラミックスインターナショナル(Ceramics International), 2003, 29:235。
図1
図2
図3