(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(メタ)アクリル酸エステル単位を主として含み、ハードセグメントとして機能する重合体ブロックAを少なくとも1個と、アクリル酸エステル単位を主として含み、ソフトセグメントとして機能する重合体ブロックBを少なくとも1個有するアクリル系ブロック共重合体(a)、
重合性単量体(b)、及び
重合開始剤(c)を含有してなり、前記アクリル系ブロック共重合体(a)の分子量分布Mw/Mnが1.0〜1.5であり、前記アクリル系ブロック共重合体(a)が、前記重合性単量体(b)の重合性基に対して不活性である、生体組織用重合性組成物。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の重合性組成物は、(メタ)アクリル酸エステル単位を主として含み、ハードセグメントとして機能する重合体ブロックAを少なくとも1個と、アクリル酸エステル単位を主として含み、ソフトセグメントとして機能する重合体ブロックBを少なくとも1個有するアクリル系ブロック共重合体(a)、重合性単量体(b)、及び重合開始剤(c)を含有してなる。
【0021】
アクリル系ブロック共重合体(a)
本発明で用いるアクリルブロック共重合体(a)は、(メタ)アクリル酸エステル単位を主として含み、ハードセグメントとして機能する重合体ブロックA[以下単に「重合体ブロックA」という]を少なくとも1個と、アクリル酸エステル単位を主として含み、ソフトセグメントとして機能する重合体ブロックB[以下単に「重合体ブロックB」という]を少なくとも1個有する。従って、アクリルブロック共重合体(a)は、エラストマーとして機能する。
【0022】
本発明において、「主として含む」とは、重合体ブロックの全モノマー単位(繰り返し単位)において、該当するモノマー単位が、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上含まれることをいう。
【0023】
重合体ブロックAを構成する(メタ)アクリル酸エステル単位は、重合体ブロックAがエラストマーのハードセグメントとして機能する限り特に制限はない。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタアクリル酸エステルが好ましく、例として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。これらの中で、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸t−ブチルを用いた場合には、重合体ブロックAのガラス転移温度が高くなり、重合体ブロックAが高い凝集力を発現して、本発明の重合性組成物の硬化物が優れた強度を発現するため好ましい。重合体ブロックAに、2種以上の(メタ)アクリル酸エステル単位が含まれていてもよい。
【0024】
アクリル系ブロック共重合体(a)における重合体ブロックAの含有量は、1〜75重量%の範囲内が好ましく、1.5〜60重量%の範囲内であることがより好ましく、3〜50重量%の範囲内であることがさらに好ましい。重合体ブロックAの含有量が1〜75重量%の範囲内にある場合、重合性組成物の硬化物に適切な柔軟性が付与される。
【0025】
重合体ブロックBを構成するアクリル酸エステル単位としては、重合体ブロックBがエラストマーのソフトセグメントとして機能する限り特に制限はない。従って、重合体ブロックAがアクリル酸エステル単位を主に含む場合でも、該アクリル酸エステル単位は、重合体ブロックBが主に含むアクリル酸エステル単位とは異なる。アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノエチル)等が挙げられる。これらの中で、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルを用いた場合には、重合体ブロックBのガラス転移温度が低くなり、本発明の重合性組成物の硬化物が優れた柔軟性を発現するため好ましい。重合体ブロックBに、2種以上のアクリル酸エステル単位が含まれていてもよい。
【0026】
アクリル系ブロック共重合体(a)における重合体ブロックBの含有量は、25〜99重量%の範囲内が好ましく、40〜98.5重量%の範囲内であることがより好ましく、50〜97重量%の範囲内であることがさらに好ましい。重合体ブロックAの含有量が25〜99重量%の範囲内にある場合、重合性組成物の硬化物に適切な柔軟性が付与される。
【0027】
重合体ブロックA及び重合体ブロックBについて、本発明の効果を損なわない範囲で、重合体ブロックAに重合体ブロックBを構成するアクリル酸エステル単位が含まれていてもよく、同様に、重合体ブロックBに重合体ブロックAを構成する(メタ)アクリル酸エステル単位が含まれてもよい。さらに、これらの重合体ブロックには、本発明の効果を損なわない範囲で、他のモノマー単位が含まれてもよい。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル等の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン系モノマー等が挙げられる。
【0028】
アクリル系ブロック共重合体(a)は、重合体ブロックAと重合体ブロックBとが結合している限り、その結合形式は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれらの2つ以上が組合わさった結合形式のいずれでもよい。それらの中でも、重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合形式は直鎖状であることが好ましく、その例としては、重合体ブロックAを「A」、重合体ブロックBを「B」としたときに、A−Bで示されるジブロック共重合体、A−B−Aで示されるトリブロック共重合体、A−B−A−Bで示されるテトラブロック共重合体、A−B−A−B−Aで示されるペンタブロック共重合体などを挙げることができる。それらの中でも、アクリル系ブロック共重合体の製造(a)の容易性、重合性組成物の硬化物の柔軟性に優れる点から、ジブロック共重合体(A−B)、トリブロック共重合体(A−B−A)が好ましく用いられ、トリブロック共重合体(A−B−A)がさらに好ましく用いられる。
【0029】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(a)の重量均分子量(Mw)は、アクリル系ブロック共重合体(a)の重合性単量体(b)に対する溶解性、重合性組成物の硬化物の柔軟性の観点から、5000〜500000の範囲内であることが好ましく、10000〜200000の範囲内であることがより好ましく、30000〜150000の範囲内であることがさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0030】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(a)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は、組成物の適切な粘度と賦形性及び硬化物の高い柔軟性を得やすいことから、1.0〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.4であることがより好ましく、1.0〜1.3であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(a)の製造方法は、化学構造に関する本発明の条件を満足する共重合体が得られる限りにおいて、特に限定されることはなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。狭い分子量分布のブロック共重合体を得る方法としては、構成単位となるモノマーをリビング重合する方法が採用される。リビング重合によれば、分子量分布が1.0〜1.3のブロック共重合体を得ることも可能である。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機希土類錯体を重合開始剤として重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩等の鉱酸塩存在下でアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、原子移動ラジカル重合(ATRP)法等が挙げられる。
【0032】
上記の製造方法の中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤に用いた有機アルミニウム化合物存在下でのアニオン重合法によれば、より狭い分子量分布のブロック共重合体を製造することが可能で、重合率が高く、また、比較的緩和な温度条件下でリビング重合が可能であることから、本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(a)は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤に用いた有機アルミニウム化合物の存在下でのアニオン重合法で製造されることが好ましい。
【0033】
上記の有機アルカリ金属化合物を重合開始剤に用いた有機アルミニウム化合物存在下でのアニオン重合法としては、例えば、WO2007/029783に記載されているように、有機リチウム化合物、及び下記の一般式:
AlR
1R
2R
3
(式中、R
1は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示し、R
2及びR
3はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基又は置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すか又はR
2とR
3が結合して置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を形成していてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物存在下に、必要に応じてN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンやその他の3級アミン;1,2−ジメトキシエタンや12−クラウン−4等のクラウンエーテル等のエーテルをさらに用いて、アクリル系ブロック共重合体(a)中の各重合体ブロックを形成する(メタ)アクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを逐次重合させる方法などを採用することができる。
【0034】
アクリル系ブロック共重合体(a)の製造に用い得る前記した有機リチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類;1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム等のアラルキルリチウム類; フェニルリチウム、トリメチルシロキシリチウムなどを挙げることができる。
【0035】
また、前記一般式で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジメチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムが、重合中における副反応の抑制、取り扱いの容易さ等の観点から好ましく用いられる。
【0036】
なお、本発明に用いられるアクリル系ブロック共重合体(a)は、好適にはリビング重合法によって製造されるが、重合性組成物に使用される際には、副反応防止の観点から、アクリル系ブロック共重合体(a)の重合末端は停止していることが好ましい。従って、アクリル系ブロック共重合体(a)は、重合性単量体(b)の重合性基に対して不活性であることが好ましい。なお、重合性基に対して不活性とは、重合性基に対して重合開始反応やカップリング反応等の化学反応を起こさないことを意味する。
【0037】
重合性単量体(b)
本発明の重合性組成物に用いられる重合性単量体(b)には、ラジカル重合性単量体が好適に用いられる。重合性単量体(b)におけるラジカル重合性単量体の具体例としては、α−シアノアクリル酸、(メタ)アクリル酸、α−ハロゲン化アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、マレイン酸、イタコン酸等のエステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体等が挙げられる。重合性単量体(b)としては、アクリル系ブロック共重合体(a)との混和性の観点から(メタ)アクリレート系重合性単量体が好ましい。
【0038】
本発明における重合性単量体(b)として、重合性基を1個有する単官能性単量体、及び重合性基を複数有する多官能性単量体が例示される。
【0039】
単官能性単量体の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。これらの中でも、アクリル系ブロック共重合体(a)との混和性、重合性組成物の硬化物の柔軟性が優れる点で、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)メタクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが好ましく、さらに重合性組成物の硬化物の靭性が優れる点で、メチルメタクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート及びイソボルニルメタクリレートがさらに好ましい。
【0040】
また、本発明の重合性組成物は、歯牙や骨、金属に対する接着強さが良好であることから、重合性単量体(b)として、酸性基含有重合性単量体を含んでもよい。このような酸性基含有重合性単量体としては、リン酸基、ピロリン酸基、チオリン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等の酸性基を少なくとも1個有し、且つ重合性基を有するラジカル重合性単量体が挙げられる。
【0041】
リン酸基を有する重合性単量体の例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシイコシルジハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ビス〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、ビス〔2−(メタ)アクリロイルオキシ−(1−ヒドロキシメチル)エチル〕ハイドロジェンホスフェート、及びこれらの酸塩化物、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が例示される。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
【0042】
上記の酸性基含有重合性単量体の中でも、重合性組成物の歯牙や骨、金属に対する接着強さが良好である点及びアクリル系ブロック共重合体(a)との混和性に優れる点から、酸性基含有重合性単量体はリン酸基又はホスホン酸基を有することが好ましく、リン酸基を有することがより好ましい。中でも、分子内に主鎖の炭素数が6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有することが好ましく、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート等のように分子内に主鎖の炭素数が8〜12のアルキレン基を有することがより好ましい。
【0043】
多官能性単量体としては、芳香族化合物系の二官能性重合性単量体、脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体、三官能性以上の重合性単量体等が挙げられる。
【0044】
芳香族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(通称「Bis−GMA」)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。これらの中でも、アクリル系ブロック共重合体(a)との混和性、重合性組成物の硬化物強度が優れる点で、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンが好ましい。中でも、エトキシ基の平均付加モル数が2.6である化合物(通称「D2.6E」)が好ましい。
【0045】
脂肪族化合物系の二官能性重合性単量体の例としては、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレート(通称「UDMA」)等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系ブロック共重合体(a)との混和性、得られる重合性組成物の取り扱い性が優れる点で、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,10−デカンオールジ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)ジメタクリレートが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してよい。
【0046】
三官能性以上の重合性単量体の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、N,N−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系ブロック共重合体(a)との混和性に優れる点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0047】
上記の重合性単量体(b)は1種単独で用いてもよいが、重合性組成物の硬化性、並びにその硬化物の靭性及び柔軟性の観点から、二官能性重合性単量体と単官能性単量体を併用することが好ましく、それらを併用する場合の比率は特に限定されないが、重合性単量体(b)の総量を100重量%とした場合に、二官能性重合性単量体の配合量が1〜75重量%であることが好ましく、2.5〜50重量%であることがより好ましく、5〜25重量%であることがさらに好ましい。二官能性重合性単量体の配合量が75重量%以下であると、重合性組成物の硬化物の靭性が高くなり破壊しにくくなる。なお、本明細書において、「重合性単量体(b)の総量」とは、組成物全体に含有される重合性単量体の総量のことを意味し、例えば、本発明の組成物が2剤型の形態をとる場合、各剤に含有される重合性単量体の重量を合計したものを意味する。
【0048】
また、酸性基含有重合性単量体の配合量は特に限定されないが、重合性単量体(b)の総量を100重量%とした場合、1〜50重量%であることが好ましく、1.5〜25重量%であることがより好ましく、2.5〜15重量%であることがさらに好ましい。酸性基含有重合性単量体の配合量が1重量%以上であると、良好な接着強さが得られ、また、酸性基含有重合性単量体の配合量が50重量%以下であると、重合性組成物の混和性が適度に保たれる。
【0049】
アクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の使用量については、重合性単量体(b)の総量100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)5〜500重量部が好ましく、10〜250重量部がより好ましい。
【0050】
重合開始剤(c)
本発明に用いられる重合開始剤(c)は、一般工業界で使用されている重合開始剤から選択して使用でき、中でも歯科用途に用いられている重合開始剤が好ましく用いられる。特に、光重合開始剤(c−1)及び化学重合開始剤(c−2)が、単独で又は2種以上適宜組み合わせて使用される。
【0051】
光重合開始剤(c−1)としては、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類、チオキサントン類又はチオキサントン類の第4級アンモニウム塩、ケタール類、α−ジケトン類、クマリン類、アントラキノン類、ベンゾインアルキルエーテル化合物類、α−アミノケトン系化合物などが挙げられる。
【0052】
これらの光重合開始剤の中でも、(ビス)アシルホスフィンオキサイド類及びその塩、並びにα−ジケトン類からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。これにより、可視及び近紫外領域での光硬化性に優れ、ハロゲンランプ、発光ダイオード(LED)、キセノンランプのいずれの光源を用いても十分な光硬化性を示す組成物が得られる。
【0053】
上記光重合開始剤として用いられる(ビス)アシルホスフィンオキサイド類のうち、アシルホスフィンオキサイド類としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネートなどが挙げられる。ビスアシルホスフィンオキサイド類としては、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(2,5,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドカリウム塩、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドのアンモニウム塩などが挙げられる。さらに、特開2000−159621号公報に記載されている化合物も挙げられる。
【0054】
これら(ビス)アシルホスフィンオキサイド類の中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルメトキシフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイドナトリウム塩が特に好ましい。
【0055】
上記光重合開始剤として用いられるα−ジケトン類としては、例えば、ジアセチル、ジベンジル、カンファーキノン、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、9,10−フェナンスレンキノン、4,4’−オキシベンジル、アセナフテンキノン等が挙げられる。この中でも、可視光域に極大吸収波長を有している観点から、カンファーキノンが特に好ましい。
【0056】
本発明に用いられる重合開始剤(c)のうち化学重合開始剤(c−2)としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。化学重合開始剤に使用される有機過酸化物は特に限定されず、公知のものを使用することができる。代表的な有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0057】
上記化学重合開始剤として用いられるケトンパーオキサイドとしては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
【0058】
上記化学重合開始剤として用いられるハイドロパーオキサイドとしては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0059】
上記化学重合開始剤として用いられるジアシルパーオキサイドとしては、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0060】
上記化学重合開始剤として用いられるジアルキルパーオキサイドとしては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシン等が挙げられる。
【0061】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシケタールとしては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン及び4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレリックアシッド−n−ブチルエステル等が挙げられる。
【0062】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシエステルとしては、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,2,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタラート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート及びt−ブチルパーオキシマレリックアシッド等が挙げられる。
【0063】
上記化学重合開始剤として用いられるパーオキシジカーボネートとしては、ジ−3−メトキシパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート及びジアリルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0064】
これらの有機過酸化物の中でも、安全性、保存安定性及びラジカル生成能力の総合的なバランスから、ジアシルパーオキサイドが好ましく用いられ、その中でもベンゾイルパーオキサイドが特に好ましく用いられる。
【0065】
本発明に用いられる重合開始剤(c)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(b)の総量100重量部に対して、重合開始剤(c)が0.001〜30重量部含有されることが好ましい。重合開始剤(c)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、べとつきを招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合開始剤(c)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には15重量部以下、最も好適には10重量部以下である。
【0066】
本発明の重合性組成物は、上記アクリル系ブロック共重合体(a)、重合性単量体(b)及び重合開始剤(c)含有していれば特に限定はなく、当業者に公知の方法により、容易に製造することができる。
【0067】
重合促進剤(d)
本発明の重合性組成物は、重合促進剤(d)を含むことが好ましい。重合促進剤(d)としては、アミン類、スルフィン酸及びその塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、アルデヒド類、チオ尿素化合物、有機リン化合物、ボレート化合物、バルビツール酸誘導体、トリアジン化合物、銅化合物、スズ化合物、バナジウム化合物、ハロゲン化合物チオール化合物などが挙げられる。
【0068】
重合促進剤(d)として用いられるアミン類は、脂肪族アミン及び芳香族アミンに分けられる。脂肪族アミンとしては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の第1級脂肪族アミン;ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン等の第2級脂肪族アミン;N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の第3級脂肪族アミンなどが挙げられる。これらの中でも、組成物の硬化性及び保存安定性の観点から、第3級脂肪族アミンが好ましく、その中でもN−メチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミンがより好ましく用いられる。
【0069】
また、芳香族アミンとしては、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−イソプロピルアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−イソプロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジ−t−ブチルアニリン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル等が挙げられる。これらの中でも、組成物に優れた硬化性を付与できる観点から、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチルエステル及び4−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0070】
重合促進剤(d)として用いられるスルフィン酸及びその塩としては、例えば、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリメチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリエチルベンゼンスルフィン酸カルシウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸リチウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸カルシウム等が挙げられ、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウムが特に好ましい。
【0071】
重合促進剤(d)として用いられる亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、亜硫酸ナトリウムが好ましく用いられる。
【0072】
重合促進剤(d)として用いられるアルデヒド類としては、例えば、テレフタルアルデヒドやベンズアルデヒド誘導体などが挙げられる。ベンズアルデヒド誘導体としては、ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−メチルオキシベンズアルデヒド、p−エチルオキシベンズアルデヒド、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、p−n−オクチルオキシベンズアルデヒドが好ましく用いられる。
【0073】
重合促進剤(d)として用いられるチオ尿素化合物としては、1−(2−ピリジル)−2−チオ尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、エチルチオ尿素、N,N’−ジメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素、N,N’−ジ−n−プロピルチオ尿素、N,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、トリ−n−プロピルチオ尿素、トリシクロヘキシルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラ−n−プロピルチオ尿素、テトラシクロヘキシルチオ尿素等が挙げられる。
【0074】
重合促進剤(d)として用いられる有機リン化合物としては、トリフェニルホスフィン、2−メチルトリフェニルホスフィン、4−メチルトリフェニルホスフィン、2−メトキシトリフェニルホスフィン、4−メトキシトリフェニルホスフィン、トリn−ブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点から、トリフェニルホスフィン、2−メチルトリフェニルホスフィンが好ましく用いられる。
【0075】
本発明に用いられる重合促進剤(d)の配合量は特に限定されないが、得られる組成物の硬化性等の観点からは、重合性単量体(b)の総量100重量部に対して、重合促進剤(d)を0.001〜30重量部含有してなることが好ましい。重合促進剤(d)の配合量が0.001重量部未満の場合、重合が十分に進行せず、べとつきを招くおそれがあり、より好適には0.05重量部以上、さらに好適には0.1重量部以上である。一方、重合促進剤(d)の配合量が30重量部を超える場合、重合開始剤自体の重合性能が低い場合には、組成物からの析出を招くおそれがあるため、より好適には20重量部以下、さらに好適には10重量部以下である。
【0076】
また、本発明においては、化学重合開始剤(c−2)及び重合促進剤(d)を組み合わせてレドックス重合開始剤としてもよい。このとき、保存安定性の観点から、前記の化学重合開始剤(c−2)と重合促進剤(d)とを、それぞれ別々の容器に保存する。従って、歯科用重合性組成物は、少なくとも、化学重合開始剤(c−2)を含有する第1剤と重合促進剤(d)を含有する第2剤とを含むものとして提供され、好ましくは、前記第1剤と第2剤からなる、2剤型の形態で用いられるキットとして提供され、さらに好ましくは、前記2剤がいずれもペースト状である、2ペースト型の形態で用いられるキットとして提供される。2ペースト型の形態で用いられる場合、それぞれのペーストをペースト同士が隔離された状態で保存し、使用直前にその2つのペーストを混練して化学重合を進行させ、光重合開始剤をさらに含有する場合には、化学重合及び光重合を進行させて、硬化させることが好ましい。
【0077】
フィラー(e)
本発明の重合性組成物には、硬化前の重合性組成物のペースト性状を調整するために、また硬化物の機械的強度を高めるために、フィラー(e)をさらに配合することができる。このようなフィラーとして、有機フィラー、無機フィラー、及び有機−無機複合フィラー等が挙げられる。
【0078】
有機フィラーの素材としては、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、架橋型ポリメタクリル酸メチル、架橋型ポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。有機フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。
【0079】
無機フィラーの素材としては、石英、シリカ、アルミナ、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、ランタンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ガラスセラミック、アルミノシリケートガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムボロアルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、カルシウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムフルオロアルミノシリケートガラス、バリウムフルオロアルミノシリケートガラス、ストロンチウムカルシウムフルオロアルミノシリケートガラス等が挙げられる。これらもまた、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。無機フィラーの形状は特に限定されず、不定形フィラー及び球状フィラーなどを適宜選択して使用することができる。
【0080】
前記無機フィラーは、重合性単量体(b)との混和性を調整するため、必要に応じてシランカップリング剤等の公知の表面処理剤で予め表面処理してから用いてもよい。かかる表面処理剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0081】
表面処理の方法としては、公知の方法を特に限定されずに用いることができ、例えば、無機フィラーを激しく攪拌しながら上記表面処理剤をスプレー添加する方法、適当な溶媒へ無機フィラーと上記表面処理剤とを分散又は溶解させた後、溶媒を除去する方法、あるいは水溶液中で上記表面処理剤のアルコキシ基を酸触媒により加水分解してシラノール基へ変換し、該水溶液中で無機フィラー表面に付着させた後、水を除去する方法などがあり、いずれの方法においても、通常50〜150℃の範囲で加熱することにより、無機フィラー表面と上記表面処理剤との反応を完結させ、表面処理を行うことができる。
【0082】
有機−無機複合フィラーとは、上述の無機フィラーにモノマー化合物を予め添加し、ペースト状にした後に重合させ、粉砕することにより得られるものである。有機−無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などを用いることができる。前記有機−無機複合フィラーの形状は特に限定されず、フィラーの粒子径を適宜選択して使用することができる。
【0083】
フィラー(e)の平均粒子径は、得られる重合性組成物の取り扱い性及びその硬化物の機械的強度などの観点から、0.001〜50μmであることが好ましく、0.001〜10μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、フィラーの平均粒子径は、当業者に公知の任意の方法により測定され得、例えば、下記実施例に記載のレーザー回折型粒度分布測定装置により容易に測定され得る。
【0084】
フィラー(e)の配合量は特に限定されないが、得られる重合性組成物の取り扱い性及びその硬化物の機械的強度の観点から、アクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対して500重量部以下であることが好ましく、250重量部以下であることがより好ましく、100重量部以下であることがさらに好ましい。フィラー(e)の含有量が500重量部以下であると硬化物の柔軟性が良好に保たれる。
【0085】
本発明の重合性組成物には、本発明の趣旨を損なわない範囲内で、柔軟性、流動性などの改質を目的として他の重合体、例えば天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、液状ポリイソプレンゴム及びその水素添加物、ポリブタジエンゴム、液状ポリブタジエンゴム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン系エラストマー〔例、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)ブロック共重合体、ポリ(p−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(p−メチルスチレン)ブロック共重合体、又はこれらの水素添加物等〕などを添加することができる。
【0086】
本発明の重合性組成物は、必要に応じて軟化剤を含有することができる。軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系のプロセスオイル等の石油系軟化剤、パラフィン、落花生油、ロジン等の植物油系軟化剤などが挙げられる。これらの軟化剤は単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。軟化剤の含有量には、本発明の趣旨を損なわない限り特に制限はないが、通常、アクリル系ブロック共重合体(a)及び重合性単量体(b)の総量100重量部に対して300重量部以下であり、好ましくは100重量部以下である。
【0087】
また、本発明の重合性組成物には、性能を低下させない範囲内で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、酸化防止剤、顔料、染料、紫外線吸収剤、有機溶媒、増粘剤等が挙げられる。
【0088】
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン等が挙げられる。重合禁止剤の含有量は、アクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましい。
【0089】
本発明の重合性組成物は、硬化前の粘度と賦形性が両立され操作性に優れる。また、歯質、骨及び金属対して良好な接着性を発揮する。そして、硬化物が柔軟性、透明性及び色調安定性に優れている。従って、本発明の歯科用重合性組成物は、このような利点が生かされる用途に適用でき、特に、生体組織(歯、骨等、特に歯)に対して好適に適用できる。具体的な用途としては、本発明の重合性組成物は、インプラント用仮着セメント及び動揺歯固定材に最適であり、また、歯科用セメント、歯科用コンポジットレジンにも好適である。
【0090】
歯科用セメントの好適な構成の一例を示す。歯科用セメントは、重合性単量体(b)の総量100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を5〜500重量部、重合開始剤(c)を0.05〜15重量部、重合促進剤(d)を0.05〜20重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜500重量部含むことが好ましく、重合性単量体(b)100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を10〜250重量部、重合開始剤(c)を0.1〜10重量部、重合促進剤(d)を0.1〜10重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を10〜250重量部含むことがより好ましい。
【0091】
インプラント用仮着セメントの好適な構成の一例を示す。インプラント用仮着セメントは、重合性単量体(b)の総量100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を5〜500重量部、重合開始剤(c)を、0.05〜15重量部、重合促進剤(d)を0.05〜20重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜250重量部含むことが好ましく、重合性単量体(b)100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を10〜250重量部、重合開始剤(c)を、0.1〜10重量部、重合促進剤(d)を0.1〜10重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜100重量部含むことがより好ましい。
【0092】
動揺歯固定材の好適な構成の一例を示す。動揺歯固定材は、重合性単量体(b)の総量100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を5〜500重量部、重合開始剤(c)を0.05〜15重量部、重合促進剤(d)を0.05〜20重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜250重量部含むことが好ましく、重合性単量体(b)100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を10〜250重量部、重合開始剤(c)を0.1〜10重量部、重合促進剤(d)を0.1〜10重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜100重量部含むことがより好ましい。
【0093】
歯科用コンポジットレジンの好適な構成の一例を示す。歯科用コンポジットレジンは、重合性単量体(b)の総量100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を5〜250重量部、重合開始剤(c)を0.05〜15重量部、重合促進剤(d)を0.05〜20重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を0〜500重量部含むことが好ましく、重合性単量体(b)100重量部に対し、アクリル系ブロック共重合体(a)を10〜250重量部、重合開始剤(c)を0.1〜15重量部、重合促進剤(d)を0.1〜10重量部含み、かつアクリル系ブロック共重合体(a)と重合性単量体(b)の総量100重量部に対してフィラー(e)を50〜250重量部含むことがより好ましい。
【実施例】
【0094】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0095】
以下の参考例において、サンプリングした重合体(ブロックを形成する重合体)及びアクリル系ブロック共重合体(最終的な重合体)の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと表す)のポリスチレン換算により求めた。GPC測定に用いた装置及び条件は以下のとおりである。
〔GPC測定の装置及び条件〕
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」及び「G5000HXL」を直列に連結
・溶離液:テトラヒドロフラン
・溶離液流量:1.0ml/分
・検出方法:示差屈折率(RI)
UV吸収率(参考例4)
【0096】
また、以下の参考例において、アクリル系ブロック共重合体における各重合体ブロックの構成割合は、
1H−NMR測定によって求めた。
1H−NMR測定に用いた装置及び条件は次のとおりである。
〔
1H−NMR測定の装置及び条件〕
・装置:日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置「JNM−LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
【0097】
本実施例で用いたアクリル系ブロック共重合体は、次のようにして製造した。
【0098】
参考例1 アクリル系ブロック共重合体(a)−1の製造
(1)1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン390g、N,N’,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン1.4ml、及びイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム11mmolを含有するトルエン溶液18mlを加え、さらに、sec−ブチルリチウム2.2mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.7mlを加えた。これにメタクリル酸メチル14mlを加え、室温で1時間反応させた。この時点で反応液1gを採取してサンプリング試料1とした。引き続き、重合液の内部温度を−15℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル120mlを6時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取してサンプリング試料2とした。続いてメタクリル酸メチル14mlを加えて反応液を室温に昇温して、約10時間撹拌した。この反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノール90質量%)に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収してサンプリング試料3とした。
【0099】
(2)上記(1)の採取又は回収したサンプリング試料1〜3について、上記した方法でGPC測定、
1H−NMR測定を行って、その結果に基づいて、各重合段階で得られた重合体及びブロック共重合体のMw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸−n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比を求めたところ、上記の(1)で最終的に得られた白色沈殿物は、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であり、その全体のMwは85,000、Mw/Mnは1.13、各重合体ブロックの割合はPMMA(10質量%)−PnBA(80質量%)−PMMA(10質量%)であること(PMMAの合計20質量%)が判明した。また、試料1は、PMMAであって、そのMwは7,300、Mw/Mnは1.06であり;試料2はPMMA−PnBAのジブロック共重合体であって、そのMwは77,000,Mw/Mnは1.16であった。
【0100】
参考例2 アクリル系ブロック共重合体(a)−2の製造
(1)1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン390g、N,N’,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン1.4ml、及びイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム11mmolを含有するトルエン溶液18mlを加え、さらに、sec−ブチルリチウム2.2mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.7mlを加えた。これにメタクリル酸メチル35mlを加え、室温で1時間反応させた。この時点で反応液1gを採取してサンプリング試料1とした。引き続き、重合液の内部温度を−15℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル75mlを5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取してサンプリング試料2とした。続いてメタクリル酸メチル35mlを加えて反応液を室温に昇温して、約10時間撹拌した。この反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノール90質量%)に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収してサンプリング試料3とした。
【0101】
(2)上記(1)の採取又は回収したサンプリング試料1〜3について、上記した方法でGPC測定、
1H−NMR測定を行って、その結果に基づいて、各重合段階で得られた重合体及びブロック共重合体のMw、Mw/Mn、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸−n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比を求めたところ、上記の(1)で最終的に得られた白色沈殿物は、PMMA−PnBA−PMMAからなるトリブロック共重合体であり、その全体のMwは85,000、Mw/Mnは1.03、各重合体ブロックの割合はPMMA(25質量%)−PnBA(50質量%)−PMMA(25質量%)であること(PMMAの合計50質量%)が判明した。また、試料1は、PMMAであって、そのMwは18,000、Mw/Mnは1.05であり;試料2はPMMA−PnBAのジブロック共重合体であって、そのMwは67,000,Mw/Mnは1.14であった。
【0102】
参考例3 アクリル系ブロック共重合体(a)−3の製造
(1)1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、窒素で置換した後、室温にてトルエン390g、N,N’,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン0.95ml、及びイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム11mmolを含有するトルエン溶液12mlを加え、さらに、sec−ブチルリチウム2.2mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.1mlを加えた。これにメタクリル酸メチル5mlを加え、室温で1時間反応させた。この時点で反応液1gを採取してサンプリング試料1とした。引き続き、重合液の内部温度を−15℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル97mlを5時間かけて滴下した。滴下終了後、この反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノール90質量%)に注ぎ、析出した白色の液状沈殿物を回収してサンプリング試料2とした。
【0103】
(2)上記(1)の採取又は回収したサンプリング試料1及び2について、上記した方法でGPC測定、
1H−NMR測定を行って、その結果に基づいて、各重合段階で得られた重合体及びブロック共重合体のMw、Mw/Mn、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸−n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比を求めたところ、上記の(1)で最終的に得られた白色の液状沈殿物は、PMMA−PnBAからなるジブロック共重合体であり、その全体のMwは125,000、Mw/Mnは1.06、各重合体ブロックの割合はPMMA(5質量%)−PnBA(95質量%)であることが判明した。また、試料1は、PMMAであって、そのMwは6,000、Mw/Mnは1.08であった。
【0104】
参考例4 スチレン系ブロック共重合体1の製造
(1)窒素置換した撹拌装置付き耐圧容器に、α−メチルスチレン144g、シクロヘキサン251g、メチルシクロヘキサン47.3g及びテトラヒドロフラン6.8gを加えた。この混合溶液にsec−ブチルリチウム(1.3Mシクロヘキサン溶液)15.0mlを添加し、−10℃で5時間重合させた。重合開始3時間後のポリα−メチルスチレン(重合体ブロックA)の重量平均分子量は7800であり、α−メチルスチレンの重合転化率は90%であった。次いで、この反応液にブタジエン40.5gを添加し、−10℃で30分間撹拌して、ブタジエンを重合(ブロックB1を形成)した後、シクロヘキサン1680gを加えた。この時点でα−メチルスチレンの重合転化率は90%であり、
1H−NMR測定から求めたポリブタジエンブロック(B1)の1,4−結合量は19モル%であった。次にこの反応液にさらにブタジエン230gを加え、50℃で2時間重合した。この時点のサンプリングで得られたブロック共重合体(構造:A−B1−B2)のポリブタジエンブロック(B2)の重量平均分子量は33000であり、
1H−NMR測定から求めた1,4−結合量は60モル%であった。
【0105】
(2)続いて、特開2007−126527に記載の方法に従い、この重合反応溶液に、ジクロロジメチルシラン1.2gをシクロヘキサン30mlに溶解させた溶液を、50℃で1時間撹拌し、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体を得た。この時のカップリング効率を、カップリング体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体:A−B1−B2−X−B2−B1−A)と未反応ブロック共重合体(ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエンブロック共重合体:A−B1−B2)のGPCにおけるUV吸収の面積比から算出すると97%であった。また、
1H−NMR測定の結果、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体中のα−メチルスチレン重合体ブロック含有量は33重量%であり、ブタジエンブロック全体の(すなわち、ブロックB1+B2)の1,4−結合量は53モル%であった。
【0106】
(3)上記(2)で得られた重合反応溶液の中に、オクチル酸ニッケル及びトリエチルアルミニウムから形成されるチーグラー系水素添加触媒を水素雰囲気下に添加し、水素圧力0.8MPa、80℃で5時間の水素添加反応を行うことにより、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体の水素添加物[以下、これをスチレン系ブロック共重合体1と略称する]を得た。得られたスチレン系ブロック共重合体1をGPC測定した結果、主成分はMt(平均分子量のピークトップ)=79000、Mn(数平均分子量)=77000、Mw(重量平均分子量)=78000、Mw/Mn=1.03であるポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)トリブロック共重合体の水素添加物であり、GPCにおけるUV(254nm)吸収の面積比から、カップリング体は97%含まれることが判明した。また、
1H−NMR測定により、ブロックB1及びブロックB2から構成されるブタジエンブロックBの水素添加率は99%であった。
【0107】
次に、実施例及び比較例の重合性組成物の成分を略号と共に以下に記す。
【0108】
[重合性単量体(b)]
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
D−2.6E:2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
TBM:t−ブチルメタクリレート
IBM:イソボルニルメタクリレート
MDP:10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
DD:1,10−デカンジオールジメタクリレート
【0109】
[光重合開始剤(c−1)]
CQ:カンファーキノン
BAPO:ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
【0110】
[化学重合開始剤(c−2)]
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
【0111】
[重合促進剤(d)]
PDE:N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
DEPT:N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン
TEA:トリエタノールアミン
TPBSS:2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルフィン酸ナトリウム
【0112】
[フィラー(e)]
フィラー(e)−1及び(e)−2は、以下の製造方法に従って得られる。
【0113】
フィラー(e)−1:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカ粉
シリカ粉(日本触媒社製「KE−P250」)を振動ボールミルで粉砕し、シリカ粉を得た。得られたシリカ粉100g、3−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5g及びトルエン200mlを500mlの一口ナスフラスコに入れ、室温で2時間撹拌した。続いて、減圧下トルエンを留去した後、40℃で16時間真空乾燥し、さらに90℃で3時間真空乾燥し、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカ粉(フィラー(e)−1)を得た。フィラー(e)−1の平均粒子径をレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、型式「SALD−2100」)を用いて測定したところ、2.4μmであった。
【0114】
フィラー(e)−2:3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉
コロイドシリカ粉(日本アエロジル社製「アエロジルOX50」)100g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.5g及びトルエン200mlを500mlの一口ナスフラスコに入れ、室温で2時間撹拌した。続いて、減圧下トルエンを留去した後、40℃で16時間真空乾燥し、さらに90℃で3時間真空乾燥し、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン処理コロイドシリカ粉(フィラー(e)−2)を得た。
【0115】
[重合禁止剤]
BHT:3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
【0116】
実施例及び比較例において得られた重合性組成物の粘度、賦形性、並びに該組成物の硬化物の曲げ弾性率、靱性、透明性、色調安定性、歯質、金属及びセラミックスとの接着性は、以下のようにして測定又は評価した。
【0117】
試験例1 粘度:
レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製、AR2000)に重合性組成物を載せ、直径20mmのパラレルプレートを用い、25℃に保持しながら剪断速度1.0sec
-1でプレートを一定方向に回転させて、粘度を測定した。この測定での粘度が50Pa.s以下のものは流動性が高過ぎ、1000Pa.s以上のものは流動性がなく操作性が悪い。
【0118】
試験例2 賦形性:
縦59mm×横83mmの歯科用練和紙に直径3mmの円を描いておき、その円内に重合性組成物を0.3g載せ、35℃の恒温器内に垂直に立て、その状態で3分間静置して重合性組成物の円内からの移動距離を測定した。この試験を3回行い、3回の測定値の平均値を垂れ距離(mm)とした。垂れ距離が大きいほど重合性組成物が流れやすいことを示す。この試験での垂れ距離が3mm以上のものは、賦形性がなく、操作性が悪い。
【0119】
試験例3 曲げ弾性率:
ISO4049に準拠して曲げ試験により評価した。すなわち、以下の例で作製した重合性組成物をSUS製の金型(縦2mm×厚さ2mm×長さ25mm)に充填し、上下をスライドガラスで圧接し、歯科用可視光照射器(株式会社モリタ製、ジェットライト3000)で、20秒間ずつ片面5箇所で裏表に光照射して重合性組成物を硬化させた。得られた硬化物について、万能試験機(株式会社島津製、オートグラフAG−100kNI)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minで曲げ試験を実施し、曲げ弾性率を測定した。なお、優れた柔軟性を確保するために、曲げ弾性率は1000MPa以下であることが好ましい。
【0120】
試験例4 靭性:
前述の曲げ弾性率の測定において、降伏点に達するまで、又は破壊するまで試験を継続した。破壊しなかったものを○、破壊したものを×とした。試験片が破壊しなかった場合は靭性に優れ、試験片が破壊した場合は靭性が低く脆いと判定した。
【0121】
試験例5 透明性:
重合性組成物をSUS製の金型(寸法2mm×20mmφ)に充填後、上下をスライドガラスで圧接し、歯科用可視光照射器(株式会社モリタ製、ジェットライト3000)で、20秒間ずつ片面6箇所で裏表に光照射して重合性組成物を硬化させた。得られた硬化物について、分光測色計(ミノルタ製、CM−3610d、D65光源)を用いて、透明性(ΔL)を測定した。なお、高い審美性を確保するために、透明性(ΔL)が25以上である必要がある。
【0122】
試験例6 色調安定性:
試験例5で作製した試験片について、分光測色計(ミノルタ製、CM−3610d、D65光源)を用いて測色を行い、これを試験前の色度とした。次いで、蒸留水に試験片を70℃で10日間浸漬した後、再度測色を行い、これを試験後の色度とした。試験前の色度からの試験後の色度の変化をΔE値で評価した。ΔE値は下式で定義される。なお、色調安定性を確保するために、ΔE値が5以下である必要があり、本試験での色調安定性が高いほど耐水性に優れる。
ΔE={(L*1−L*2)
2+(a*1−a*2)
2+(b*1−b*2)
2}
1/2
[式中、L*1、a*1、b*1、L*2、a*2、b*2は、分光測色計にて測定したL*、a*、b*表色系での色度(L*、a*、b*)を表す値であり、色度(L*1、a*1、b*1)は、70℃水中に浸漬後の、色度(L*2、a*2、b*2)は、70℃水中に浸漬前の色度である。
【0123】
試験例7 歯質(牛歯エナメル質/象牙質)との引張接着強さ
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨してエナメル質の平坦面又は象牙質の平坦面を得た。各平坦面を流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)でさらに研磨した後、表面の水を歯科用エアシリンジで吹き飛ばした。
【0124】
各平坦面に、直径3mmの丸孔を有する厚さ約150μmの粘着テープを貼付し、接着面積を規定した。丸孔内に下記の歯科用接着剤1を筆で塗布し、30秒間放置した後、歯科用エアシリンジで、塗布した歯科用接着剤1の流動性がなくなるまで乾燥した。次いで、重合性組成物を丸孔内の歯科用接着剤1の塗付面上に充填し、丸孔から溢れた余剰分は、カミソリで表面が平滑になるように除去した後、歯科用可視光照射器(株式会社モリタ製、ジェットライト3000)で、30秒間光照射して重合性組成物を硬化させた。得られた重合性組成物の未重合層を残した硬化物に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル株式会社製、パナビア21)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。接着試験供試サンプルは計5個作製し、蒸留水に浸漬したすべてのサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間保管した。
【0125】
上記の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(株式会社島津製、オートグラフAG−100kNI)にて、クロスヘッドスピード2mm/minで測定し、平均値を引張接着強さとした。
【0126】
歯科用接着剤1:
bis−GMA(2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン) 5重量部、
#801(1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン) 25重量部
HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) 25重量部、
MDP 10重量部、
CQ 1.5重量部、
BAPO1.0重量部、
PDE 1.0重量部、
DEPT1.5重量部、
BHT 0.05重量部、
蒸留水 15.0重量部、
エタノール 15.0重量部
からなる混合物
【0127】
試験例8 金属との接着性
縦横10mm×厚さの5mmチタン片(株式会社松風製、チタン100、チタン含有率99.5%以上)を流水下にて#1000シリコン・カーバイド紙(日本研紙株式会社製)で研磨して平滑面を得た後、表面の水を歯科用エアシリンジで吹き飛ばした。
【0128】
チタン片の平滑面に、下記の歯科用接着剤2を塗布し、自然乾燥した後、直径5mmの丸孔を有する厚さ150μmの粘着テープを貼付して接着面積を規定した。次いで、重合性組成物を丸孔内の歯科用接着材2の塗付面上に充填し、丸孔から溢れた余剰分は、カミソリで表面が平滑になるように除去した後、歯科用可視光照射器(株式会社モリタ製、ジェットライト3000)で、30秒間光照射して重合性組成物を硬化させた。得られた重合性組成物の未重合層を残した硬化物に対して、市販の歯科用レジンセメント(クラレメディカル株式会社製、パナビア21)を用いてステンレス製円柱棒(直径7mm、長さ2.5cm)の一方の端面(円形断面)を接着した。接着後、当該サンプルを30分間室温で静置した後、蒸留水に浸漬した。接着試験供試サンプルは計5個作製し、蒸留水に浸漬したすべてのサンプルを、37℃に保持した恒温器内に24時間保管した。
【0129】
上記の接着試験供試サンプルの引張接着強度を、万能試験機(株式会社島津製、オートグラフAG−100kNI)にて、クロスヘッドスピード2mm/minで測定し、平均値を引張接着強さとした。
【0130】
歯科用接着材2:
アセトン 99.0%、
6−(4−ビニルベンジル−ンープロピル)アミノ−1、3、5−トリアジン−ニ、4−ジチオン 0.6%、
10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート 0.4%
からなる混合物
【0131】
試験例9 セラミックスとの接着性
試験例8のチタン100をセラミックス片(VITA社製、ビタ セレイ)に変えたこと、及び歯科用接着材2を下記の歯科用接着材3に変えたこと以外、試験例8と同様にして試験した。
【0132】
歯科用接着材3:
エタノール 95.0%、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 5.0%、
10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート 1.0%
からなる混合物
【0133】
実施例1〜16及び比較例1〜6(重合性組成物の調製)
表1〜表4に示す原料を常温下で混合して、Aペースト(及びBペースト)を調製し、上記の試験例1〜9の方法に従って特性を調べた。結果を表1〜表4に示す。
【0134】
【表1】
【0135】
【表2】
【0136】
【表3】
【0137】
【表4】
【0138】
表1〜表4の結果より、実施例のアクリル系ブロック共重合体を含有する重合性組成物は比較例のアクリル系ブロック共重合体を含有しない重合性組成物に比べて、粘度と賦形性が適切で硬化前の操作性に優れることが分かる。また、曲げ弾性率が低く、破壊が観られないことから、柔軟性に優れている。さらに、透明性が高く色調変化が小さく審美性に優れる。そして、歯質に対する接着性、チタン及びセラミックスに対する接着性を有しており、本発明のアクリル系ブロック共重合体を含有する重合性組成物は、生体組織に好適に適用でき、インプラント用仮着セメント及び動揺歯固定材に最適であることがわかる。