(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試験室を画定する6以上の壁面のうち、前記第2壁面の一部又は前記第2壁面と対向する第3壁面を構成し、前記直交する方向に関して前記第2空気排出孔から前記複数の試料よりも離れた位置に形成された第2空気吸引孔を有する吸引ダクトをさらに備えており、
前記吸引ダクトは、前記第2空気吸引孔から吸引した空気を前記第1空気吸引孔に案内することを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
前記別室には、前記第1空気排出孔から前記案内ダクトに向けて空気を排出する送風機が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の環境試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に係る環境試験装置において、単に上部開口を介して試験室に流入した空気は、試験室内において上から下に流れる気流となり、下部開口から吸引される。そのため、例えば、試験室に水平な棚を上下に複数段設けて、各棚上に試料を載置した場合(すなわち、複数の試料を鉛直方向に並べた場合)、棚の下段に載置した試料には空気流が当たりにくくなり、棚の上段にある試料と、棚の下段にある試料とで環境条件が異なってしまう。さらに、棚の上段にある試料が発熱すると、その発熱が棚の下段にある試料に影響し、これら試料に対する温度条件も異なる。
【0005】
また、試験室において、複数の試料を水平方向に並べ、その試料の並び方向に空気流が生じるように、空調室から試験室に空気が供給される環境試験装置においても、気流の上流と下流とで、試料に対する環境条件が異なってしまう。例えば、上流にある試料が発熱すると、下流にある試料にその発熱が影響し、これら試料に対する環境条件が異なる。このように複数の試料に対する環境条件が異なると、環境試験の精度が低下する問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、試料に対する環境条件のばらつきを低減することが可能な環境試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の環境試験装置は、第1空気排出孔及び第1空気吸引孔が形成された仕切り壁によって分離された試験室別室を有
し、前記第1空気排出孔と前記第1空気吸引孔とを介して前記試験室と前記別室との間において空気が循環させられる環境試験装置において、前記試験室を画定する6以上の壁面のうち、前記仕切り壁を除く第1壁面を構成し、前記試験室に配置される複数の試料の並び方向と直交する方向に空気を排出する第2空気排出孔を有する排出ダクトと、前記試験室を画定する6以上の壁面のうち、前記仕切り壁を除く前記第1壁面に隣接する第2壁面の少なくとも一部を構成し、前記別室を通り前記第1空気排出孔から排出された空気を前記排出ダクトへ案内する案内ダクトとを備えている。
そして、前記第2壁面は、前記仕切り壁及び前記第1壁面の両方に隣接し、前記案内ダクトは、一方の面において、前記第2壁面を構成する板状部材と、前記板状部材の他方の面から突出するとともに、前記板状部材を第1領域と第2領域とに区切る仕切り板とを有しており、前記第1領域と対向する空間は、前記排出ダクト及び前記第1空気排出孔に連通する。
【0008】
これによると、第2空気排出孔から試験室に排出された空気が、複数の試料の並び方向と直交する方向に流れる。このため、試料に対する環境条件のばらつきを低減することが可能となる。
また、第1空気排出孔から排出された空気が第1領域と対向する空間を通って排出ダクトに流れる。
【0009】
本発明において、前記試験室を画定する6以上の壁面のうち、前記第2壁面の一部又は前記第2壁面と対向する第3壁面を構成し、前記直交する方向に関して前記第2空気排出孔から前記複数の試料よりも離れた位置に形成された第2空気吸引孔を有する吸引ダクトをさらに備えている。そして、前記吸引ダクトは、前記第2空気吸引孔から吸引した空気を前記第1空気吸引孔に案内することが好ましい。これにより、第2空気排出孔から試験室に排出された空気が、複数の試料の並び方向と直交する方向に確実に流れる。このため、試料に対する環境条件のばらつきをより一層低減することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、
前記板状部材の前記第1領域には、当該第1領域と対向する空間と前記排出ダクトとを連通させる連通孔が前記直交する方向の一端部に形成され
ており、
前記仕切り板は、前記直交する方向に対して交差する方向に延在し
ていることが好ましい。これにより、第1空気排出孔から排出された空気が第1領域と対向する空間及び連通孔を通って排出ダクトに流れる。
【0011】
また、本発明において、前記板状部材の前記第1領域には、前記仕切り板と平行な1以上の偏向板が突出していることが好ましい。これにより、第1空気排出孔から排出された空気を、排出ダクトに効果的に流すことができる。
【0012】
また、本発明において、前記別室には、前記第1空気排出孔から前記案内ダクトに向けて空気を排出する送風機が設けられていることが好ましい。これにより、別室から空気を案内ダクトに効果的に流すことが可能となる。
【0013】
また、本発明において、内部空間を有する試験槽をさらに備えており、前記排出ダクト及び前記案内ダクトが前記内部空間に設けられることで前記試験室が画定され、前記排出ダクト及び前記案内ダクトは、前記試験槽に着脱可能に設けられていることが好ましい。これにより、例えば、試料の発熱や爆発によって、試験室の壁面の一部を構成する排出ダクト及び案内ダクトが損傷しても、これらを交換するだけで試験室の壁面を修復することが可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記試験槽の周囲には、断熱層が形成されていることが好ましい。これにより、試料に対する環境条件が変動しにくくなって、試験精度が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の環境試験装置によると、第2空気排出孔から試験室に排出された空気が、複数の試料の並び方向と直交する方向に流れる。このため、試料に対する環境条件のばらつきを低減することが可能となる。
また、第1空気排出孔から排出された空気が第1領域と対向する空間を通って排出ダクトに流れる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本発明の一実施形態における環境試験装置1は、
図1〜
図3に示すように、種々の環境試験において用いられるものであって、略直方体形状の筐体2と、筐体2内に設けられ、内部空間3aを有する試験槽3と、試験槽3の開口を覆う断熱性の扉4とを有している。
【0019】
図2及び
図3に示すように、筐体2の前方(
図2中紙面手前側、
図3中下方)部分には、試験槽3が前方に向かって開口するように配置されている。筐体2の後方部分は、
図3に示すように、電源装置5が収納された電源収納空間とされている。
図1及び
図2に示すように、筐体2の扉4よりも右側には、表示部8及び操作部9が設けられている。表示部8は、試験槽3の試験室10内の温湿度データなどを表示する。操作部9は、試験室10内の温湿度の設定を行うための操作部である。
【0020】
試験槽3は、扉4で開放、閉鎖される前方の開口を除く周囲の壁面が断熱層3bで囲まれている。これにより、内部空間3aの温度及び湿度が変化しにくくなる。このため、試料に対する環境条件が変動しにくくなって、試験精度が向上する。試験槽3の背部及びこの背部部分の断熱層3bには、4つの貫通孔6が形成されている。これら貫通孔6からは、電源装置5の接続部としてのコネクタ5aが前方に向かってそれぞれ突出している。なお、貫通孔6とコネクタ5aとの間には封止剤が充填され、試験室10の気密性が保たれている。
【0021】
本実施形態においては、
図2及び
図3中2点鎖線で示す平板状の試料トレイ91が、試験室10内に収納される。試料トレイ91は、例えば、試料90としての二次電池と接続可能な複数のソケット、試験室10への挿入方向(試験室10に対して前方から後方に向かう方向)の先端に形成された端子、及び、これらソケット及び端子を接続する複数の配線を有している。そして、試料トレイ91が、試験室10内に収納されることで、試料トレイ91の端子と、コネクタ5aとが接続され、ソケットに接続された複数の試料90(二次電池)と電源装置5とを電気的に接続することが可能となる。これにより、種々の環境下における、二次電池の充放電試験が可能となる。
【0022】
なお、試験室10内には、ガイドレール(不図示)が設けられている。試料トレイ91には、試験室10への挿入方向と直交する方向に試料90が3つ並べられる。このとき、複数の試料90は、挿入方向と直交する方向に1列に並べられるが、挿入方向に沿っては並べられない。このような試料トレイ91をガイドレールに沿って、水平な挿入方向にスライドさせて挿入することで、端子がコネクタ5aに接続され、複数の試料90と電源装置5とが電気的に接続される。また、試料トレイ91をガイドレールに沿って水平方向(挿入方向とは逆方向)に引き出すことで、端子がコネクタ5aから外れ、試料90と電源装置5とを電気的に非接続とすることができる。このように、試料トレイ91を試験室10内に出し入れするだけで、試料90と電源装置5との電気的接続・非接続を簡単に行うことができる。本実施形態においては、3つの試料90が並べられた試料トレイ91を、試験室10内に、鉛直方向に沿って4つ収納することが可能である。
【0023】
試験槽3には、直方体形状の内部空間3aを下部空間11と上部空間16とに仕切る仕切り壁15と、3つのダクト21〜23とが設けられている。仕切り壁15には、
図2及び
図3に示すように、右側端部に2つの空気排出孔(第1空気排出孔)41が形成され、左側端部に1つの空気吸引孔(第1空気吸引孔)42が形成されている。2つの空気排出孔41は、
図3に示すように、前後方向に並んで配置されている。空気吸引孔42は、前後方向に延在している。
【0024】
下部空間11は、空調室(別室)であって、
図2中、右から順に、2つの送風機31、例えばシーズヒータ等の電熱ヒータからなる空気ヒータ32、冷却装置33、及び、容器内の水を内蔵ヒータで加熱して加湿を行う加湿装置34が設けられている。2つの送風機31は、前後方向に並んで配置されており、空気排出孔41とそれぞれ対向している。つまり、1つの空気排出孔41に対して、1つの送風機31が設けられている。このように送風機31が設けられていることで、空調室11で調整した空気を案内ダクト22(後述する)に効果的に流すことができる。空気吸引孔42から空調室11に流入した空気は、順次、加湿装置34、冷却装置33、及び空気ヒータ32によってその温度及び湿度を調整されつつ右方に流れ、所定の温湿度となった状態で2つの送風機31により各空気排出孔41から上方に向かって排出される。
【0025】
3つのダクト21〜23は、上部空間16に設けられており、各ダクト21〜23が、略直方体形状の試験室10の6つの壁面のうちの互いに異なる一壁面を構成する。なお、仕切り壁15が、試験室10の下面側の壁面を構成している。
3つのダクト21〜23には、試験室10内に空気を排出する空気排出孔21aが形成された排出ダクト21と、2つの空気排出孔41から排出された空気を排出ダクト21に案内する案内ダクト22と、試験室10内の空気を吸引する空気吸引孔23aが形成され、吸引した空気を空気吸引孔42に案内する吸引ダクト23とがある。
【0026】
排出ダクト21は、
図2に示すように、長方形平面形状を有する板状部材であって、その4辺が試験槽3の天板、ダクト22,23及び仕切り壁15に当接した状態で、試験槽3にネジ止めされている。つまり、排出ダクト21は、ネジを外すことで、試験槽3に対して着脱可能に設けられている。また、排出ダクト21は、試験槽3の背部と離隔して配置されており、試験槽3の背部との間に空気が流れる流路21bが構成されている。また、排出ダクト21は、空気排出孔(第2空気排出孔)21aを有し、流路21bからの空気が前方に向かって水平に排出される。また、排出ダクト21の扉4と対向する面は、試験室3を画定する6つの壁面のうちの1つ(第1壁面)を構成している。
【0027】
案内ダクト22は、
図2及び
図3に示すように、長方形平面形状を有する板状部材25を有し、板状部材25の3辺が試験槽3の天板、背部及び仕切り壁15に当接した状態で、試験槽3にネジ止めされている。つまり、案内ダクト22は、ネジを外すことで、試験槽3に対して着脱可能に設けられている。また、案内ダクト22は、板状部材25が試験槽3の右壁部と離隔して配置されており、試験槽3の右壁部との間に2つの空気排出孔41と連通可能な流路22bが構成されている。また、案内ダクト22の一方の面(吸引ダクト23と対向する面)は、試験室3を画定する6つの壁面のうちの1つであって、排出ダクト21が構成する壁面と隣接する壁面(第2壁面)を構成している。
【0028】
板状部材25には、
図4(a)に示すように、図中右端部(後端部)に2つの連通孔22aが形成されている。これら連通孔22aは、鉛直方向に沿って延在するとともに、当該方向に沿って配列されている。また、これら連通孔22aは、板状部材25の排出ダクト21(流路21b)と対向する部分に形成されており、流路22bと流路21bとを連通させる。なお、連通孔22aは、鉛直方向に沿って複数配列されているが、板状部材25の右端部(一端部)において、2つの連通孔22aが鉛直方向に連続した1つの長尺な連通孔を構成していてもよい。
【0029】
案内ダクト22は、板状部材25の他方の面から突出した仕切り板26及び偏向板27をさらに有している。仕切り板26は、
図4(a)に示すように、水平方向(前後方向)に対して交差する方向に延在し、板状部材25を第1領域25aと第2領域25bとに区切る。仕切り板26は、水平方向に対して略45°傾いている。板状部材25の第1領域25aには、2つの連通孔22aが形成されている。偏向板27は、仕切り板26と平行に延在し、第1領域25aに配置されている。また、仕切り板26及び偏向板27の両端部は、板状部材25の隣接する辺まで鉛直又は水平に延在している。仕切り板26及び偏向板27の板状部材25からの突出量は、同じである。偏向板27の両端部は、空気排出孔41間及び連通孔22a間に配置されている。
【0030】
このような案内ダクト22が、仕切り板26及び偏向板27が試験槽3の右壁部と当接した状態で配置される。これにより、流路22bが第1領域25aと対向する空間に構成される。また、このとき、流路22bが偏向板27によって、2つに分けられる。つまり、前方の空気排出孔41と上側の連通孔22aとが連通し、後方の空気排出孔41と下側の連通孔22aとが連通する。これにより、空気排出孔41から排出された空気を、排出ダクト21に効果的に流すことができる。これは、2つの送風機31からの空気が、ともに上側の連通孔22aに流れるのを抑制するためである。前方側の送風機31からの空気が仕切り板26によって上側の連通孔22aに、後方側の送風機31からの空気が偏向板27によって下側の連通孔22aに導かれ、案内ダクト22で均圧化された空気が排出ダクト21の流路21bに供給される。このため、排出ダクト21の空気排出孔21から排出された空気が、試験室10内において、前方に向かって水平に流れて、当該気流が層流状態となる。
【0031】
吸引ダクト23は、
図2及び
図3に示すように、長方形平面形状を有する板状部材35を有し、板状部材35の3辺が試験槽3の天板、背部及び仕切り壁15に当接した状態で、試験槽3にネジ止めされている。つまり、吸引ダクト23は、ネジを外すことで、試験槽3に対して着脱可能に設けられている。また、吸引ダクト23は、板状部材35が試験槽3の左壁部と離隔して配置されており、試験槽3の左壁部との間に空気吸引孔42と連通可能な流路23bが構成されている。また、吸引ダクト23の一方の面(案内ダクト22と対向する面)は、試験室3を画定する6つの壁面のうちの1つであって、案内ダクト22が構成する壁面と対向する壁面(第3壁面)を構成している。
【0032】
板状部材35には、
図4(b)に示すように、図中右端部(前端部)に3つの空気吸引孔(第2空気吸引孔)23aが形成されている。これにより、吸引ダクト23は、試験室10の空気を空気吸引孔23aから吸引し、その空気を空気吸引孔42を介して空調室11へと案内する。これら空気吸引孔23aは、鉛直方向に沿って延在するとともに、当該方向に沿って配列されている。また、これら空気吸引孔23aは、
図3に示すように、板状部材35の排出ダクト21(流路21b)と最も離れた端部に形成されている。より具体的には、空気吸引孔23aは、前後方向に関して、空気排出孔21aから試料90よりも離れた位置に形成されている。これにより、空気排出孔21aから排出された空気が、後方から前方へ、すなわち、複数の試料90の並び方向と直交する方向に確実に流れる。このため、試料90に対する環境条件のばらつきを、より一層低減することが可能となる。なお、空気吸引孔23aは、鉛直方向に沿って複数配列されているが、板状部材35の一端部において、3つの空気吸引孔23aが鉛直方向に連続した1つの長尺な空気吸引孔を構成していてもよい。
【0033】
吸引ダクト23は、板状部材35の他方の面から突出した仕切り板36及び2つの偏向板37,38をさらに有している。仕切り板36は、
図4(b)に示すように、水平方向(前後方向)に対して交差する方向に延在し、板状部材35を第1領域35aと第2領域35bとに区切る。仕切り板36は、水平方向に対して略45°傾いている。板状部材35の第1領域35aには、3つの空気吸引孔23aが形成されている。偏向板37,38は、仕切り板36と平行に延在し、第1領域35aに配置されている。また、仕切り板36及び偏向板37,38の両端部は、板状部材35の隣接する辺まで鉛直又は水平に延在している。仕切り板36及び偏向板37,38の板状部材35からの突出量は、同じである。偏向板37,38の一端部は、空気吸引孔23a間に配置され、他端部は空気吸引孔42を前後方向に関して3等分する位置に配置されている。
【0034】
このような吸引ダクト23が、仕切り板36及び偏向板37,38が試験槽3の左壁部と当接した状態で配置される。これにより、流路23bが第1領域35aと対向する空間に構成される。また、このとき、流路23bが偏向板37,38によって、3つに分けられる。つまり、3つの空気吸引孔23aのそれぞれが空気吸引孔42と個別に連通し、均等な吸引力が各空気吸引孔23aに生じる。このため、空気排出孔21aから試験室10に排出された空気が、前方へと水平に流れやすくなる。この結果、試験室10内において、層流状態が効果的に保たれる。
【0035】
続いて、環境試験装置1の試験槽3内における気流について、
図3及び
図5を参照しつつ説明する。本実施形態における環境試験装置1は、3つのダクト21〜23を有する。このため、空調室11で調整され、送風機31によって空気排出孔41から排出された空気は、流路22b(第1領域25aと対向する空間)に一時的に溜められる。そして、空気が流路22bで均圧化されて2つの連通孔22aから排出ダクト21の流路21bに供給される。つまり、
図5に示すように、空気排出孔41から上方に排出された空気は、流路22bで斜め上方に進み、連通孔22aを介して流路21bに流れる。この流路21bにおいても空気が一旦溜められ、排出ダクト21の空気排出孔21aからは、均圧化された空気が試験室10内に排出される。
【0036】
空気排出孔21aから試験室10内に排出された空気は、試験室10に収納された試料トレイ91間、最も上方にある試料トレイ91と試験槽3の天板との間、及び、最も下方にある試料トレイ91と仕切り壁15との間において、後方から前方へと水平に流れる。このとき、複数の試料90は、
図3に示すように、左右方向(前後方向と直交する方向)に並んでおり、前後方向には並んでいないため、各試料90に対する環境条件が同じになる。そして、試験室10内に排出された空気は、前方の空気吸引孔23aから吸引ダクト23内に吸引される。その後、空気は、流路23bから空気吸引孔42を介して空調室11へと流れる。
【0037】
以上のように、本実施形態の環境試験装置1によると、空気排出孔41から排出された空気を、案内ダクト22が排出ダクト21へと案内し、排出ダクト21から排出された空気が、試験室10において、試料90の並び方向と直交する方向(後方から前方への方向)に流れる。このため、試料90に対する環境条件のばらつきが低減される。また、各ダクト21〜23がネジ止めされているだけであるため、ダクト21〜23の着脱が容易である。このため、例えば、二次電池(試料90)の充放電試験を行っている際に、試料90の発熱や爆発によって、試験室10の壁面の一部を構成するダクト21〜23が損傷しても、これらを交換するだけで試験室10を容易に修復することが可能となる。
【0038】
本実施形態における環境試験装置1は、試験槽3の下方に空調室11が、上方に試験室10が設けられ、空調室11の右側端部の空気排出孔41から排出された空気を試験室10の後方から前方に向かって流れるように、排出ダクト21及び案内ダクト22が設けられている。しかしながら、空調室11、試験室10、排出ダクト21及び案内ダクト22などの位置はこれに限らない。
【0039】
図6に示すように、試験槽3の上方に空調室11が、下方に試験室10が設けられ、空調室11の右側端部の空気排出孔41から排出された空気を、試験室10の後方から前方に向かって流れるように、排出ダクト21及び案内ダクト22を設けてもよい(第1変形例)。具体的には、排出ダクト21及び案内ダクト22は上述の実施形態と同様の位置に設ける。このとき、案内ダクト22は、仕切り板26と偏向板27とを逆に傾け、空気排出孔41からの空気を斜め下方に導くように構成すればよい。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。このとき、吸引ダクト23も上述の実施形態と同様の位置に設け、仕切り板36と偏向板37,38とを逆に傾け、空気吸引孔23aからの空気を斜め上方に導くように構成すればよい。こうしても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0040】
また、
図7に示すように、試験槽3の右方に空調室11が、左方に試験室10が設けられ、空調室11の上側端部の空気排出孔41から排出された空気を、試験室10の後方から前方に向かって流れるように、排出ダクト21及び案内ダクト22を設けてもよい(第2変形例)。具体的には、上述の実施形態の試験槽3を90°回転させた状態とほぼ同様な構成となる。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、この変形例においては、試料トレイ91を縦にして横方向に複数並べればよい。このとき、試料90の並び方法は鉛直方向となるが、空気の流れは、前後方向であるため、並び方向と直交する。また、吸引ダクト23を試験槽3の左方に配置すれば、試料トレイ91が水平位置のままでも同様の効果を得ることができる。この場合、左方に配置された吸引ダクト23と空調室11とを連通させる空間を試験槽3の下方部分に設ければよい。
【0041】
また、
図8に示すように、試験槽3の下方右側に空調室(別室)211が、上方に試験室210が設けられ、空調室211の空気排出孔241から排出された空気を、試験室210の後方から前方に向かって流れるように、排出ダクト21及び案内ダクト222を設けてもよい(第3変形例)。本変形例における空調室211は、上述の空調室11に仕切り壁211aが形成されることで区画された空間である。そして、この空間内に、送風機、空気ヒータ、冷却装置、及び、加湿装置などが設けられる。また、空調室211には、空気吸引孔242も設けられている。空気排出孔241は後方に、空気吸引孔242は前方に設けられている。案内ダクト222が試験室210の右側壁面の後方半部を構成し、吸引ダクト223が試験室210の右側壁面の前方半部を構成している。これら案内ダクト222及び吸引ダクト223は、偏向板が設けられておらず、板状部材225,235及び仕切り板226,236によって構成されている。そして、案内ダクト222の後方端部には、連通孔222aが形成され、吸引ダクト223の前方端部には、空気吸引孔223aが形成されている。これにおいても、試験室210の後方から前方に向かって空気が排出され、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。この構成においては、仕切り壁211aの左方は空間となっていなくてもよい。仕切り壁211aは、板状部材225,235の少なくとも一方と一体であってもよい。なお、この変形例においても、試料90及び試料トレイ91は、上述の実施形態と同様に収納される。さらに、この変形例においては、空調室211に代えて、空調室11において左右方向に延在し、空気吸引孔242と連通する前方空間及び空気排出孔241と連通する後方空間に仕切るとともに、これら両空間を空調室11の左端部で連通させる仕切り壁が設けられた空調室11を採用してもよい。この場合、空気吸引孔242で吸引された空気が、前方空間において左方に流れ、この後、後方空間において右方に流れ、空気排出孔241から排出される。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、試験槽3の周囲には、断熱層3bが形成されていなくてもよい。また、各ダクト21〜23が、試験槽3に対して、着脱可能に設けられていなくてもよい。また、案内ダクト22及び吸引ダクト23には、偏向板27,37,38が設けられていなくてもよい。また、送風機31も1又は3以上設けられていてもよい。吸引ダクト23,223は設けられていなくてもよい。この場合は、試料の並び方向と直交する方向に関して、排出ダクト21の空気排出孔21aから試料90よりも離れた位置に空気吸引孔42が配置されていることが好ましい。これにより、空気排出孔21aから試験室に排出された空気の流れが、試料の並び方向と直交する方向となり、上述と同様の効果を得ることができる。また、試験室10,210は、立方体形状であってもよい。さらに、試験室は、7以上の壁面によって画定された多面体であってもよい。
【0043】
また、上述の実施形態及び第1〜第3変形例においては、排出ダクト21を試験槽3の後方部分(背部側)に設けていたが、左方、右方、上方、下方部分のどこに設けていてもよい。つまり、試料90を並べる方向と直交する方向に空気を排出することができるように、排出ダクト21も設ければよい。こうすれば、上述と同様の効果を得ることができる。
【0044】
案内ダクト22と吸引ダクト23との位置を入れ替えてもよい。また、案内ダクト222と吸引ダクト223との位置も入れ替えてもよい。この場合、排出ダクトを案内ダクト側に移動させる。また、空調用の機器(例えば、送風機、空気ヒータ、冷却装置、及び、加湿装置など)は、空調室11ではなく、案内ダクト22,222又は吸引ダクト23,223に設置し、案内ダクト22,222又は吸引ダクト23,223が空調室を兼ねてもよい。この場合、空調室11は単なる別室となる。
【0045】
吸引ダクト23は、案内ダクト22と対向する位置に配置されていなくてもよい。例えば、仕切り壁15に代えて、吸引ダクト23を配置し、流路23bに空調用の機器を配置して、吸引ダクト23が空調室(別室)を兼ねてもよい。この場合、吸引ダクト23の板状部材35が試験室10と空調室とを仕切る仕切り壁となる。また、このとき、空気吸引孔23aは、前方に配置されていることが望ましい。これにおいても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、扉4の裏側を、案内ダクト22や吸引ダクト23として用いてもよい。