特許第5655093号(P5655093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655093
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】冶金炉
(51)【国際特許分類】
   C21C 5/50 20060101AFI20141218BHJP
   F27B 7/22 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   C21C5/50 C
   F27B7/22
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-545365(P2012-545365)
(86)(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公表番号】特表2013-515168(P2013-515168A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】FI2010051074
(87)【国際公開番号】WO2011077009
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】20096386
(32)【優先日】2009年12月22日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】507221324
【氏名又は名称】オウトテック オサケイティオ ユルキネン
【氏名又は名称原語表記】OUTOTEC OYJ
(74)【代理人】
【識別番号】100079991
【弁理士】
【氏名又は名称】香取 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】カグストロム、 ペル
(72)【発明者】
【氏名】ルンディン、 ラルス
(72)【発明者】
【氏名】マルクルンド、 サム
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−093806(JP,A)
【文献】 特表平11−514082(JP,A)
【文献】 特開昭55−085617(JP,A)
【文献】 実開昭49−029103(JP,U)
【文献】 特開昭59−096206(JP,A)
【文献】 特開2002−005300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 5/50
F27B 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体と、
トラニオンリングと、
台座構体とを含み、
前記炉体は、前記トラニオンリングと該炉体との間で該トラニオンリングと該炉体を連結する支持装置によって該トラニオンリングにおける回転軸を中心とする回転運動を行なうように配設され、前記支持装置は、前記トラニオンリングと前記炉体との間に軸受装置を含んで前記回転する動きを許容し、
前記トラニオンリングは、前記台座構体に枢動可能に連結されて、前記炉体を水平旋回軸を中心に傾転させる冶金炉において、
前記支持装置は、前記炉体および前記軸受装置の間に第1の接続フレーム手段を、また該軸受装置および前記トラニオンリングの間に第2の接続フレーム手段を含み、第1の接続フレーム手段および第2の接続フレーム手段は前記炉体を囲繞し、
第1の接続フレーム手段は前記炉体および前記軸受装置に連結され、
第2の接続フレーム手段は前記軸受装置および前記トラニオンリングに連結され、
第2の接続フレーム手段は、第1の連結部によって前記トラニオンリングに連結されて、第2の接続フレーム手段および前記トラニオンリングの間に動きを与えることを特徴とする冶金炉。
【請求項2】
請求項1に記載の冶金炉において、第1の接続フレーム手段は前記炉体を囲繞する閉じたマントルを含み、該マントルは、第2の連結部によって前記炉体に連結されて、前記炉体の熱膨張に起因する動きを前記軸受装置および前記炉体の間に与えることを特徴とする冶金炉。
【請求項3】
請求項1または2に記載の冶金炉において、
前記軸受装置は前記炉体を囲繞する旋回軸受を含み、
該旋回軸受は、第1の接続フレーム手段に固定された第1の環状軸受手段と、第2の接続フレーム手段に固定された第2の環状軸受手段とを含み、さらに第1の環状軸受手段および第2の環状軸受手段の間に挿入された少なくとも1組の径方向スラストベアリングと、第1の環状軸受手段および第2の環状軸受手段の間に挿入された少なくとも1組の軸方向スラストベアリングとを含み、前記炉体の荷重を負担し、該炉の装填荷重を負担することを特徴とする冶金炉。
【請求項4】
請求項3に記載の冶金炉において、第1の環状軸受手段には第1の冷却系が設けられ、第1の冷却系内を循環する冷却流体によって第1の環状軸受手段から熱エネルギーを移送することを特徴とする冶金炉。
【請求項5】
請求項3または4に記載の冶金炉において、第2の環状軸受手段には第2の冷却系が設けられ、第2の冷却系内を循環する冷却流体によって第2の環状軸受手段から熱エネルギーを移送することを特徴とする冶金炉。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の冶金炉において、第1の連結部は、前記トラニオンリングの面から突出するフランジ手段を含み、第2の接続フレーム手段を前記トラニオンリングにおいて前記炉体の軸方向に支持することを特徴とする冶金炉。
【請求項7】
請求項6に記載の冶金炉において、前記フランジ手段は複数のフランジ部に分割され、第2の接続フレーム手段は、前記トラニオンリングの内側で2つのフランジ部の間において前記炉体の軸方向に支持されないことを特徴とする冶金炉。
【請求項8】
請求項7に記載の冶金炉において、前記フランジ手段は2つのフランジ部を含み、該フランジ部は、前記トラニオンリングの面において前記旋回軸に対して対称に配設され、第2の接続フレーム手段が前記トラニオンリングの内側で2つのフランジ部の間において前記旋回軸で前記炉体の軸方向に支持されないことを特徴とする冶金炉
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の冶金炉において、第2の接続フレーム手段を前記トラニオンリングのフランジ手段に固定する緊締手段が設けられ、第2の接続フレーム手段と前記トラニオンリングとの間における前記炉体の径方向動を許容し、第2の接続フレーム手段と前記トラニオンリングとの間における前記炉体の軸方向動を防ぐことを特徴とする冶金炉。
【請求項10】
請求項9に記載の冶金炉において、前記フランジ手段には第1の穴が設けられ、第2の接続フレーム手段には第1の穴と共動する第2の穴が設けられ、外部緊締装置としての緊締手段が前記フランジ手段の少なくとも1つの穴から少なくとも部分的に突出するとともに第2の接続フレーム手段の少なくとも1つの第2の穴から少なくとも部分的に突出し、これによって前記緊締装置は第2の接続フレーム手段を前記フランジ手段に固定して、第2の接続フレーム手段と前記フランジ手段との間の前記炉体の軸方向における軸方向動を防ぎ、第2の接続フレーム手段と前記フランジ手段との間における前記炉体の半径方向における径方向動を許容することを特徴とする冶金炉。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の冶金炉において、前記トラニオンリングは、第2の接続フレーム手段の面に対向する内面を含み、
前記トラニオンリングの面と第2の接続フレーム手段の面との間に間隙があって、第2の接続フレーム手段の前記トラニオンリングに対する熱膨張を許容することを特徴とする冶金炉。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の冶金炉において、
第2の接続フレーム手段の面は実質的に円形の構造を有し、
前記トラニオンリングの面は同様に実質的に円形構造を有し、
第2の接続フレームの外径は前記トラニオンリングの内径より小さく、前記トラニオンリングの面と第2の接続フレーム手段の面との間に間隙があり、第2の接続フレーム手段の前記トラニオンリングに対する熱膨張を許容することを特徴とする冶金炉。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の冶金炉において、前記トラニオンリングは、第2の接続フレーム手段の面に対向する内面を含み、該内面および外面のうち少なくとも一方は少なくとも1つの案内手段を含み、該案内手段は、前記内面および外面のうち荷重を負担しない方の中へ突出して、前記トラニオンリングおよび第2の接続フレーム手段の相対的回転を防ぐことを特徴とする冶金炉。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1の前段に記載の冶金炉に関するものである。
【0002】
ここで冶金炉とは一般に、炉槽と、この炉槽を支持し回転させ傾転させる付属装置とを含む冶金炉装置を言う。このような冶金炉装置は、たとえば米国公報第3,838,849号に開示されている。この従来公知の冶金炉の炉槽を支持し回転させ傾転させる付属装置はトラニオンリングを有し、これは、中に炉槽が配設されて、炉槽とトラニオンリングとの間に設けた連結構体で炉槽が支持されるものである。連結構体は軸受装置を含み、これは、トラニオンリングに対する回転軸を中心とした回転運動を炉槽に与える。このような従来公知の冶金炉装置における冶金炉装置の回転可能で傾転可能な炉槽を支持し、回転させ、傾転させる付属装置は台座構体も含み、これには、1対の対向配設された水平トラニオンピンによってトラニオンリングが連結されて、前記炉槽の水平傾転軸を中心とする前記傾転運動を与える。
【0003】
米国公報第3,838,849号に開示されている冶金炉のひとつの問題点は、炉体とトラニオンリングとの間の軸受装置である。米国公報第3,838,849号では、軸受装置が旋回軸受であり、これは次のことを意味する。すなわち、この軸受装置は、トラニオンリングに固定された第1の環状軸受手段と、炉槽に固定され炉槽を囲繞する第2の環状軸受手段と、第1および第2の軸受手段の間に挿入された1組の径方向スラストベアリングと、前記槽の荷重を担う第1および第2の環状軸受手段の間の挿入された少なくとも1組の軸方向スラストベアリングとを含む。この種の軸受装置は、その複雑な構造に起因して調節が難しい。このような複雑な軸受装置は保守の必要性も高い。炉体の熱膨張も軸受装置にかなりの応力を与え、これによって軸受装置はかなり損耗することになる。さらに、これに関連してこの種の旋回軸受装置について一般に言えることは、軸受装置に適度な軸方向剛性があり、直径が断面に比べて大きいことである。この種の旋回軸受装置は、十分な曲げ剛性および捩れ剛性の相構体に取り付けて、両側、すなわち旋回軸受の環状軸受手段が相対的に偏位できないように、また旋回軸受の両側が互いに「追従」可能であるという意味で柔軟な構造も可能として、両側間のローラにかなり大きな局部荷重がかかる箇所がないようにしなければならない。
特開2002-5300号公報には、フードが回転ドラムの軸方向および半径方向の動きに追随可能な装置を有する回転炉が提示され、回転ドラムとフードの間の封止性能を改善している。
【発明の目的】
【0004】
本発明は、トラニオンリングと炉体の間に新規で革新的な支持装置を有してトラニオンリングと炉体を連結する冶金炉を提供し、これは、米国公報第3,838,849号に開示されている冶金炉の支持装置の軸受装置に関する上述の問題を解消するとともに、旋回軸受以外の種類の軸受を含む軸受装置を有する冶金炉に関連しても使用可能なものである。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明の冶金炉は、独立請求項1に記載の事項を特徴とする。
【0006】
冶金炉の好ましい実施例は従属請求項に規定されている。
【0007】
本発明は、炉体およびトラニオンリングの間に次のような支持装置を用いることに基づいている。すなわちこの支持装置は、第1の接続フレーム手段および第2の接続フレーム手段を含み、第1の接続フレーム手段を炉体および軸受装置に接続し、第2の接続フレーム手段を軸受装置およびトラニオンリングに接続すると、第2の接続フレーム手段が第1の連結部によってトラにオンリングに接続されて、第2の接続フレーム手段およびトラニオンリングの間に動きを与える。こうすることによって、炉体に接続された支持装置は、たとえば炉体の熱膨張の結果、炉体がトラニオンリングに対して動くことができると同時に、軸受装置はこのような熱膨張の影響を受けることがない。換言すれば、第1の連結部は支持装置およびトラニオンリングの間に浮動接続を与えている。すなわち、支持装置およびトラニオンリング間を第1の連結部で浮動接続することによって、軸受装置の回転側と固定側は互いに追従することができる。なぜなら、軸受装置手段の回転側が固定されている第1の接続フレーム手段は、軸受装置の固定側が固定されている第2の接続フレーム手段に追従できるからである。
【0008】
本発明の好ましい実施例では、炉体および軸受装置の間の第1の接続フレーム手段は炉体を囲繞する閉じたマントルを含み、これは、第2の連結部によって炉体に接続され、軸受装置と炉体の間に炉体の熱膨張に起因する動きを与える。このような閉じたマントルは、少なくとも一部が円筒状もしくは円錐状を有してよい。このような装置は欧州公報第0 887 607号に開示されている。
【0009】
本発明の好ましい実施例では、炉体とトラニオンリングの間の支持装置の軸受装置は炉体を囲繞する旋回軸受を含み、これは、第1の接続フレーム手段に固定された第1の環状軸受手段と、第2の接続フレーム手段に固定された第2の環状軸受手段とを含み、さらに第1の環状軸受手段および第2の環状軸受手段の間に挿入された1組の径方向スラストベアリングと、第1の環状軸受手段および第2の環状軸受手段間に挿入された1組の軸方向スラストベアリングとを含み、炉体の荷重を負担し、炉の装填荷重を負担する。このような実施例において、本発明は次のような柔軟構造を提供する。すなわちこの柔軟構造は、第1の接続フレーム手段に固定された第1の環状軸受手段と第2の接続フレーム手段に固定された第2の環状軸受手段は互いに「追従」し、径方向トラストベアリングおよび環状トラストベアリングに第1の環状軸受手段および第2の環状軸受手段の間で局部的高荷重箇所が発生する可能性を減少させ、もしくはなくすことができる。換言すれば、支持装置およびトラニオンリングの間を第1の連結部で浮動接続することにより、軸受装置の第1の環状軸受手段と第2の環状軸受手段が互いに追従することができる。なぜなら、第1の環状軸受手段が固定されている第1の接続フレーム手段は、第2の環状軸受手段が固定されている第2の接続フレーム手段に追従できるからである。
【0010】
本発明の好ましい実施例では、第2の接続フレーム手段は、好ましくは実質的に円形の外部形状を有し、トラニオンリングは好ましくは、同様に実質的に円形の内部形状を有する。本発明のこの実施例において、第2の接続フレーム手段の外径はトラニオンリングの内径より小さく、第2の接続フレーム手段はトラニオンリングによって囲繞されて、トラニオンリングの内面と第2の接続フレーム手段の外面の間に間隙があり、第2の接続フレーム手段のトラニオンリングに対する熱膨張を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に図面を参照して本発明をさらに詳細に説明する。
図1】本発明の好ましい実施例による冶金炉を示す図、
図2図1に示す冶金炉の詳細を示す断面図、
図3図1に示す冶金炉を支持構体なしで示す上面図、
図4図2に詳細に示され図2では炉体に固定されて炉体とともに回転する各部を示す図、
図5図2に詳細に示され図2ではトラニオンリングに固定されている各部を示す図、
図6】第1の環状軸受手段に第1の冷却系が設けられた旋回軸受の詳細図である。
【発明の詳細な説明】
【0012】
図1は、本発明による冶金炉の好ましい実施例を示す。
【0013】
図1に示す冶金炉は、炉体1、トラニオンリング2および台座構体3を含む。
【0014】
炉体1は、トラニオンリング2と炉体1の間でトラニオンリング2および炉体1を接続する支持装置4によってトラニオンリング2における回転軸Aを中心とする回転運動を行なうよう配設されている。支持装置4は、トラニオンリング2と炉体1の間にあって前記回転運動を可能にする軸受装置5を含む。
【0015】
トラニオンリング2は支持装置に枢動可能に連結され、旋回軸を中心に炉体1を傾転させる。図1では、トラニオンリング2は径方向に対向する1対のトラニオンピン6によって支持装置に枢動可能に接続され、炉体1に水平旋回軸Bを中心とした傾転運動を行なわせる。
【0016】
支持装置4は、炉体1と軸受装置5の間に第1の接続フレーム手段7を、また軸受装置5とトラニオンリング2の間には第2の接続フレーム手段8を含む。
【0017】
第1の接続フレーム手段7および第2の接続フレーム手段8は炉体1を囲繞している。
【0018】
第1の接続フレーム手段7は炉体1および軸受装置5に接続されている。
【0019】
第2の接続フレーム手段8は軸受装置5およびトラニオンリング2に接続され、その場合、第2の接続フレーム手段8は第1の連結部9によってトラニオンリング2に接続されて第2の接続フレーム手段8とトラニオンリング2との間に動きを与える。
【0020】
炉体1と軸受装置5との間の第1の接続フレーム手段7は炉体1を囲繞する閉じたマントル10を含んでもよく、これは、第2の連結部11によって炉体1に接続されて、炉体1の熱膨張に起因する閉じたマントル10と炉体1の間の動きを与える。このような閉じたマントルを使用する場合、それは少なくとも部分的に円筒形もしくは円錐形を有していてもよい。このような装置は欧州公報第0 887 607号に開示されている。
【0021】
炉体1とトラニオンリング2の間の支持装置4の軸受装置5は、各図に示すように、好ましくは炉体1を囲繞する旋回軸受12を含むが、これは必須でない。各図に示し、とくに図6を参照すると、旋回軸受12は、第1の接続フレーム手段7に固定された第1の環状軸受手段と、第2の接続フレーム手段8に固定された第2の環状軸受手段14とを含み、さらに第1の環状軸受手段13および第2の環状軸受手段14の間に挿入された少なくとも1組の径方向スラストベアリング16と、第1の環状軸受手段13および第2の環状軸受手段14の間に挿入された少なくとも1組の軸方向スラストベアリング16とを含み、炉体1の荷重を負担するとともに、炉の装填荷重を負担する。第1の環状軸受手段13には、図6に示すように、第1の冷却系13(図示せず)を設けてもよく、これは、第1の冷却系内を循環する冷却流体によって第1の環状軸受手段3から熱エネルギーを移送する。第2の環状軸受手段14には第2の冷却系26を設けてもよく、これは、第2の冷却系内を循環する冷却流体によって第2の環状軸受14から熱エネルギーを移送する。これに加えて、もしくはこれに代わって、第1の環状軸受手段13および第2の環状軸受手段14の双方を空冷してもよい。
【0022】
図2では、第1の連結部9はフランジ手段17を含み、これはトラニオンリング2の内面23から突出して、トラニオンリング2の内側で第2の接続フレーム手段8を炉体1の軸方向に支持している。フランジ手段17は、好ましくは冶金炉の通常の作動位置ではトラニオンリング2の下方に位置して、フランジ手段17が炉体1の荷重および炉の装填荷重を負担することができる。
【0023】
フランジ手段17は好ましくは、図3に示すように複数のフランジ部18に分割されて、第2の接続フレーム手段8がトラニオンリング2の内側では2つのフランジ部18の間で炉体1の軸方向に支持されないようにするが、これは必須でない。図3に示す装置は2つのフランジ部18を含み、これらは、トラニオンリング2の内面23において旋回軸に対して対称に配設され、第2の接続フレーム手段8がトラニオンリング2の内側で2つのフランジ部18の間の旋回軸の位置で炉体1の軸方向に支持されないようにする。フランジ手段17を複数のフランジ部18に分割するひとつの理由は、たとえば炉体1を水平旋回軸Bを中心に傾転させる際、自重によってトラニオンリング2と炉体1の間で何らかの軸方向動を与えるためである。第2の接続フレーム手段8がトラニオンリング2の内側で2つのフランジ部18の間において炉体1の軸方向に支持されないので、第2の接続フレーム手段8とフランジ手段17との間の局部的に大きな局部荷重箇所が消失する。なぜなら、フランジ部18が固定されたトラニオンリング2は、たとえば熱膨張により水平旋回軸Bを中心に曲がることができ、このような曲がる動きが第2の接続フレーム手段に影響を及ぼすことはないからである。
【0024】
図2に示す装置は、第2の接続フレーム手段8をトラニオンリング2のフランジ手段17に固定する緊締手段19を含み、これによって、第2の接続フレーム手段8とトラニオンリング2との間では炉体1の径方向動が可能であり、第2の接続フレーム手段8とトラニオンリング2との間では炉体1の軸方向動を防いでいる。たとえば、炉体1が旋回軸を中心に上下反転する状況では、緊締手段19は、図2に示す装置ではトラニオンリング2のフランジ手段17に接続された第2の接続フレーム手段8を保持するように構成される。
【0025】
図2に示すような装置では、フランジ手段17にはたとえば第1の穴20が設けられ、第2の接続フレーム手段8には第1の穴20と共動する第2の穴21が設けられ、ボルトなどの外部緊締装置22としての緊締手段19がフランジ手段の少なくとも1つの第1の穴20から少なくとも部分的に突出可能に、また第2の接続フレーム手段8の少なくとも1つの第2の穴から少なくとも部分的に突出可能にすることができる。第2の接続フレーム手段8をフランジ手段17に固定する外部緊締装置22は、第2の接続フレーム手段8とフランジの間の炉体1の軸方向動を防いで、他方、第2の接続フレーム手段8とフランジの間の炉体1の径方向動は可能なように構成することができる。このような装置は、図2に示す装置において、たとえば第2の接続フレーム手段8の第2の穴21の直径をボルトの直径より大きくしてボルトが第2の穴21に対して動くことができるようにすることで、可能となる。
【0026】
トラニオンリング2は、第2の接続フレーム手段8の外面に対向する内面23を含んでもよく、この場合、内面23および外面24のうち少なくとも一方は少なくとも1つの案内手段25を含み、これは、内面23および外面24のうちの荷重を受けない方へ突出し、トラニオンリング2および第2の接続フレーム手段8の相対的回転を防止する。図3では、トラニオンリング2の内面23に切欠きが設けられ、第2の接続フレーム手段8の外面24上に形成された突出部がこの中へ突出している。
【0027】
第2の接続フレーム手段8は、好ましくは実質的に円形の外部構造を有し、トラニオンリング2は好ましくは同様の実質的円形の内部構造を有し、かくして第2の接続フレーム手段の外径はトラニオンリング2の内径より小さく、したがってトラニオンリング2の内面23と接続フレーム8の外面24との間に間隙があり、第2の接続フレーム8のトラニオンリング2に対する熱膨張が可能である。
【0028】
他の選択肢として、第2の接続フレーム手段8は実質的に楕円形の外部構造を有してもよく、トラニオンリング2は、好ましくは同様に実質的に楕円形の内部構造を有するが、小さくて、トラニオンリング2の内面23と接続フレームの外面24との間に間隙があり、したがって第2の接続フレーム8のトラニオンリング2に対する熱膨張が可能である。円形や楕円形以外の形状も可能であることは当業者に明らかである。
【0029】
技術の進歩に従って、本発明の基本概念をさまざまに実現できることは当業者に明らかである。したがって、本発明およびその実施例は上述の例に限定されず、特許請求の範囲内において変更してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6