特許第5655105号(P5655105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655105自動消火システムのバルブアセンブリ、自動消火システム、および自動消火システムの作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655105
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】自動消火システムのバルブアセンブリ、自動消火システム、および自動消火システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/76 20060101AFI20141218BHJP
   A62C 3/07 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
   A62C13/76 A
   A62C3/07 Z
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-50607(P2013-50607)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2013-192938(P2013-192938A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2013年3月13日
(31)【優先権主張番号】13/421,568
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510079477
【氏名又は名称】キッダ テクノロジーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マーカス チェイニー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ロフベンホルム
【審査官】 山村 秀政
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−541937(JP,A)
【文献】 特表2010−517647(JP,A)
【文献】 実開昭59−191476(JP,U)
【文献】 実公昭31−009451(JP,Y1)
【文献】 実公昭45−020150(JP,Y1)
【文献】 実公昭49−024333(JP,Y1)
【文献】 特開平10−047507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 13/76
A62C 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ本体と、
前記バルブ本体に配置されたプッシュロッドと、
前記プッシュロッドの長手方向軸に対して垂直に配置されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット軸と、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット対バルブ本体シールと、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット戻しばねと、
を備え、
前記プッシュロッドが、前記ポペット軸と係合して前記ポペット対バルブ本体シールを開放するように構成されるとともに、このプッシュロッドの動作時にこのプッシュロッドを前記バルブ本体に配置されたエンドストップに固定するように変形する変形可能材料を含む、自動消火システムのバルブアセンブリ。
【請求項2】
前記プッシュロッドが、傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載のバルブアセンブリ。
【請求項3】
前記傾斜面が、キー溝を含むことを特徴とする請求項2に記載のバルブアセンブリ。
【請求項4】
前記ポペット軸が、前記キー溝と係合し、かつ、前記プッシュロッドの動作時に前記キー溝に沿って移動することを特徴とする請求項3に記載のバルブアセンブリ。
【請求項5】
前記ポペット軸が、前記プッシュロッドの動作時にこのポペット軸を前記プッシュロッドに固定する変形可能材料を含むことを特徴とする請求項4に記載のバルブアセンブリ。
【請求項6】
前記プッシュロッドは、このプッシュロッドの動作時に前記ポペット軸を収容するように構成された溝を含むことを特徴とする請求項4に記載のバルブアセンブリ。
【請求項7】
バルブアセンブリと、
前記バルブアセンブリに連結されたアクチュエータと、
前記バルブアセンブリに連結されたメインアウトレットと、
前記バルブアセンブリに連結された補充バルブと、
前記バルブアセンブリに連結されたシリンダと、
を備え、
前記バルブアセンブリが、
バルブ本体と、
前記バルブ本体に配置されたプッシュロッドと、
前記プッシュロッドに対して垂直に配置されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット軸と、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット対バルブ本体シールと、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット戻しばねと、
を備え、
前記プッシュロッドが、前記ポペット軸と係合して前記ポペット対バルブ本体シールを開放するように構成され、
前記アクチュエータが、前記バルブアセンブリと前記シリンダとを流体連通させるように構成され
前記プッシュロッドが、このプッシュロッドの動作時にこのプッシュロッドを前記バルブ本体に配置されたエンドストップに固定するように変形する変形可能材料を含む、自動消火システム。
【請求項8】
前記プッシュロッドが、傾斜面を含むことを特徴とする請求項に記載の自動消火システム。
【請求項9】
前記傾斜面が、キー溝を含むことを特徴とする請求項に記載の自動消火システム。
【請求項10】
前記ポペット軸が、前記キー溝と係合し、かつ、前記プッシュロッドの動作時に前記キー溝に沿って移動することを特徴とする請求項に記載の自動消火システム。
【請求項11】
前記ポペット軸が、前記プッシュロッドの動作時にこのポペット軸を前記プッシュロッドに固定する変形可能材料を含むことを特徴とする請求項10に記載の自動消火システム。
【請求項12】
前記プッシュロッドは、このプッシュロッドの動作時に前記ポペット軸を収容するように構成された溝を含むことを特徴とする請求項10に記載の自動消火システム。
【請求項13】
自動消火システムの作動方法であって、
前記自動消火システムが、
バルブアセンブリと、
前記バルブアセンブリに連結されたアクチュエータと、
前記バルブアセンブリに連結されたメインアウトレットと、
前記バルブアセンブリに連結された補充バルブと、
前記バルブアセンブリに連結されたシリンダと、
を備え、
前記アクチュエータが、火災または爆発事象のうち少なくとも一つに応答して、前記バルブアセンブリと前記シリンダとを流体連通させるように構成されており、
前記バルブアセンブリが、
バルブ本体と、
前記バルブ本体に配置されたエンドストップと、
傾斜面およびその傾斜面に配置されたキー溝を有するとともに、前記バルブ本体に配置されたプッシュロッドと、
前記プッシュロッドに対して垂直に配置されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット軸と、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット対バルブ本体シールと、
前記ポペット軸に連結されるとともに、前記バルブ本体に配置されたポペット戻しばねと、
を備えており、
前記プッシュロッドが、前記ポペット軸と係合して前記ポペット対バルブ本体シールを開放するように構成され、前記ポペット軸が、前記プッシュロッドの動作時にこのポペット軸を前記プッシュロッドに固定するように変形する変形可能材料を含み、前記プッシュロッドが、このプッシュロッドの動作時にこのプッシュロッドを前記エンドストップに固定するように変形する変形可能材料を含んだ、自動消火システムの作動方法において、
密閉空間内の火災または爆発のうち少なくとも一つを検出し、
前記自動消火システムを作動させ、
前記プッシュロッドを固定する、
ことを備えた自動消火システムの作動方法。
【請求項14】
前記プッシュロッドが、このプッシュロッドの動作時に前記ポペット軸を収容するように構成された溝を含み、この溝が前記プッシュロッドを前記ポペット軸に固定することを特徴とする請求項13に記載の自動消火システムの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動消火(AFE)システムに関し、特に、密閉空間に消火剤を分散させるシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動消火システムは火災または爆発事象の検出後に展開する。ある場合では、自動消火システムは事象の後に軍用車両の乗員室やエンジン室などの密閉空間に展開する。自動消火システムは火災または爆発事象の後に商用車や軍用車両の一部または全ての外側形体を保護する。自動消火システムはその事象が検出された後、ハイレート・ディスチャージとして急速に展開する。火災産業においてこれらの種類の応用例に用いられる通常の検出手段は高速赤外線(IR)センサまたは紫外線(UV)センサ、または、過熱ケーブルおよび地点温度センサなどの温度装置である。融解加圧チューブ(melting pressurized tubes)または加速レベルの測定などのその他の手段が展開されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動消火システムは広範な火災および爆発事象に対する迅速な検出と高度な鎮火の有効性とを提供する。しかしながら、こうしたシステムは高価である。既存のシステムが規定するようなレベルの脅威に曝されることのないような車両に従来の火災/爆発防護が提供されている。こうした車両は、乗組員がすぐに脱出することのできる、またはその他の消火手段に素早くアクセスすることのできる車両または関連事象を含む。したがって、その他の車両消火システムは、より緩慢な検出を行い、かつ/または緩慢な消火手段を使用することにより適切なレベルの防護を提供するより安価なシステムコンポーネントを含む。それらのシステムはユーザに対しより安価なライフサイクルコストを提案し、多くの場合、重量およびスペースも同様に抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
例示の実施例は、自動消火システムのバルブアセンブリを含み、このアセンブリは、バルブ本体と、バルブ本体に配置されたプッシュロッドと、プッシュロッドに対して垂直に配置されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット軸と、ポペット軸に連結されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット対バルブ本体シールと、ポペット軸に連結されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット戻しばねと、を含んでおり、プッシュロッドは、ポペット軸と係合してポペット対バルブ本体シールを開放するように構成される。
【0005】
さらに例示の実施例は自動消火システムを含み、このシステムは、バルブアセンブリと、バルブアセンブリに連結されたアクチュエータと、バルブアセンブリに連結されたメインアウトレットと、バルブアセンブリに連結された補充バルブと、バルブアセンブリに連結されたシリンダと、を含んでおり、アクチュエータは、バルブアセンブリとシリンダとを流体連通させるように構成される。
【0006】
さらに例示の実施例は、自動消火システムの作動方法を含む。この方法は、密閉空間内の火災または爆発のうちの少なくとも一つを検出し、自動消火システムを作動させることを含む。この自動消火システムは、バルブ本体と、バルブ本体に配置されたエンドストップと、傾斜面およびその傾斜面に配置されたキー溝を有するとともにバルブ本体に配置されたプッシュロッドと、プッシュロッドに対して垂直に配置されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット軸と、ポペット軸に連結されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット対バルブ本体シールと、ポペット軸に連結されるとともに、バルブ本体に配置されたポペット戻しばねと、を備えたバルブアセンブリを含んでおり、プッシュロッドは、ポペット軸と係合してポペット対バルブ本体シールを開放するように構成される。この自動消火システムはさらに、バルブアセンブリに連結されたアクチュエータと、バルブアセンブリに連結されたメインアウトレットと、バルブアセンブリに連結された補充バルブと、バルブアセンブリに連結されたシリンダと、を含んでおり、アクチュエータは、火災または爆発事象のうちの少なくとも一つに応答して、バルブアセンブリとシリンダとを流体連通させるように構成される。この方法は、プッシュロッドを固定することをさらに含む。
【0007】
本発明と見なされる対象は、明細書の末尾にある請求項に特定して指摘されるとともに明確にクレームされる。本発明の上記のおよびその他の特徴、利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】例示の自動消火システムを概略的に示す図。
図2】別の例示の自動消火システムを概略的に示す図。
図3】例示の改良された消火装置の図。
図4】消火装置のプッシュロッドおよびその他のコンポーネントの部分図。
図5】消火装置のプッシュロッドおよびその他のコンポーネントの別の部分図。
図6】一実施例の完全に作動したプッシュロッドの図。
図7】別の実施例の完全に作動したプッシュロッドの図。
図8】例示の実施例の例示の自動消火システムの作動方法の流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例示の実施例では、ここに記載のシステムおよび方法は、家庭用および商用(例えば、手持ちサイズの)消火器からの標準的なコンポーネントを利用するとともに、車両防護の厳しい環境に耐えうるように改良された、自動消火システムを含む。図1は例示の自動消火システム100を概略的に示す。このシステム100は、エンジンコンポーネント110を有するエンジンコンパートメント105を含む。このシステム100は、消火剤をエンジンコンパートメント105内およびエンジンコンポーネント110に直接分散するように配置された2つの例示の改良された消火装置115をさらに含む。この例では、改良された消火装置115は1.3リットルの消火装置である。理解されるように、その他の例示の実施例では、改良された消火装置115はその他の容積を有する。さらに詳述するように、この改良された消火装置115は、火災/爆発事象に応答してエンジンコンパートメント105内の消火剤を自動的に分散させる。一例では、この改良された消火装置115は、エンジンコンパートメント105に直接配置、位置決めされる。ここで述べるように、例示の改良された消火装置115は種々のその他の密閉空間に搭載することができる。
【0010】
図2は別の例示の自動消火システム200を概略的に示す。このシステム200は、ホイール210を有するホイールベイ(wheel bay)205を含む。このシステム200は、改良された消火装置215を更に含み、この装置は、ホイールベイ205およびホイール210から離間して配置されるが、この改良された消火装置215からホイールベイ205およびホイール210へと消火剤を導くための配管およびノズルネットワーク220を含む。この例では、この改良された消火装置215は5リットルの消火装置である。理解されるように、その他の例示の実施例では、改良された消火装置215はその他の容積を有する。さらに述べるように、この改良された消火装置215は、火災/爆発事象に応答してホイールベイ205内に消火剤を自動的に分散させる。
【0011】
一例では、この改良された消火装置215は離間して配置されるとともに、配管およびノズルネットワーク220が消火剤をホイールベイへと運ぶ。理解されるように、図1,2は一例であり、その他の幾つかの密閉空間がその他の例示の実施例において検討される。ここで述べるように、例示の改良された消火装置115/215は種々のその他の密閉空間に搭載されうる。
【0012】
ここで述べるように、例示の改良された消火装置(例えば、改良型の消火装置115,215)は主に通常の粉末消火剤(例えば、Monnexファイン・グラインディング)を消火剤として使用するように設計される。その他の粉末消火剤(例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム)を実装することができる。水性消火剤もまた実装することができる。添加剤はアルカリ塩(例えば、重炭酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カリウムなど)または発泡体(例えば、AFFF)を含む。FM200、FE36、NOVEC1230などの気体の消火剤も実装することができるが、ここで述べたような例(図1,2)の最大作動圧力が195psig(13.4bar(g))となるような潜在的な高温環境内にこれらのシステムを取付ける場合には注意が必要である。理解されるように、その他の実施例においてはその他の圧力が考えられる。例えば、360psigまたは900psigがその他の例示の実施例に実装される。
【0013】
一実施例では、ここで記載する改良された消火装置は自動アクチュエータにより自動的に開放される弁を含む。この駆動装置は周囲温度や振動の大きな変化や極端な状態などの、過酷な環境下でも開く。図3は、一例の改良された消火装置300を示す。この改良された消火装置300は、例えば、それぞれ図1,2に示される消火装置115,215として使用される。この消火装置300は、消火剤を収容するシリンダ305と、消火剤を分散させるバルブアセンブリ310と、を含む。バルブアセンブリ310は、シリンダ305をバルブアセンブリ310に連結するバルブ対シリンダアダプタ315を含む。一例では、シリンダ305は、バルブ対シリンダアダプタ315の対応するねじ山と係合するねじ切られた開口部を含む。バルブアセンブリ310は、バルブ対シリンダアダプタ315に連結されたバルブ本体320をさらに含む。バルブアセンブリ310はまた、シリンダ305に消火剤を補充するようにバルブ本体320に配置された補充バルブ325を含む。バルブアセンブリ310はバルブ本体320に取付けられるとともに消火剤を分散させるように構成されたメインアウトレット330をさらに含む。図3では、矢印331は消火剤の流れ方向を表す。バルブアセンブリ310はまたバルブ本体320に配置されたポペット軸(poppet stem)335を含む。ポペット軸335はシリンダ305内の消火剤を密封するポペット対バルブ本体シール340に連結される。ポペット軸335はここで詳述する動作の際にポペット対バルブ本体シール340を開放するように構成される。ポペット軸335およびポペット対バルブ本体シール340はバルブ本体320内に配置される。バルブアセンブリ310はまたバルブ本体320内に配置されたポペット戻しばね345を含む。ポペット戻しばね345およびシリンダ305内の圧力は、消火装置が作動していないときにポペット軸335がポペット対バルブシール340を開放しないように保持する。消火装置300はバルブ本体320に連結されたアクチュエータ350をさらに含む。アクチュエータ350の動作方法は、アクチュエーションプッシュロッド355をバルブ本体320内のエンドストップ360に向かって直線運動で押すのに十分な仕事出力(例えば4J〜15J)で、ピンを短い距離(例えば、6mm〜15mm)だけ急速に突き出すことである。この直線運動がプッシュロッド355の傾斜面356を押し、それによりポペット戻しばね345の保持力およびシリンダ305の圧力に相反する力でポペット軸335を下向き方向に押し下げて、ポペット対バルブ本体シール340を開放させ、シリンダ305とメインアウトレット330との間に流体連通を形成させて、消火剤をメインアウトレット330から放出させる。したがって、理解されるように、ポペット軸335とプッシュロッド355とは互いに対して垂直に(すなわち、直交するように)配置される。ここで述べるように、アクチュエータ350は、消火装置300が配置される空間内の検出装置によって作動する。消火装置300の与圧前は、ポペット戻しばね345がポペット軸335を閉位置に戻すように用いられる。一旦与圧されると、ポペット戻しばね345を介してポペット軸335に印加される上向き方向の力が増大する。理解されるように、ソレノイド弁、ガス、または非圧縮性流体などのこれに限定しないその他の装置により、プッシュロッド355の動作が実現されてもよい。その他のこれらの装置はピンを直接突き出す、または、外部電源または消火装置300自体の内部から供給される圧力流により、プッシュロッド355に正確な力を印加させるように用いられる。消火装置300は本明細書に述べたエンドストップ360をさらに含む。
【0014】
図4は、消火装置300のプッシュロッド355およびその他のコンポーネントの部分図を示す。一実施例では、プッシュロッド355は円筒形の断面を有する。したがって、プッシュロッド355が作動し、傾斜面356がポペット軸335と係合すると、プッシュロッド355が矢印357で表すように回転し、傾斜の影響を受ける間、ポペット軸335との係合に影響を与えることが可能である。
【0015】
図5は消火装置300のプッシュロッド355およびその他のコンポーネントの別の部分図を示す。一実施例では、プッシュロッド355は傾斜面356に機械加工されたキー溝358を含む。図5の例はキー溝358を丸い断面として示すが、その他の形状をその他の実施例に実装してもよい。キー溝358はポペット軸335をプッシュロッド355に対して常に中心に位置づけるように保つ。別の実施例では、上述したように、丸以外のその他の形状(例えば、四角形)が実装されてもよく、あるいは外側に形成された(externally minted)キー溝をプッシュロッド355に形成してもよい。
【0016】
例示の実施例では、動作と同時に、アクチュエータ350の起動を受けてのプッシュロッド355の直線運動により、ポペット軸335がプッシュロッド355の一番肉厚の部分に到達するまでポペット軸335がキー溝358に沿って押し進められる。プッシュロッド355は、エンドストップ360に近づくまたは衝突するまでその直線運動を継続する。ここで述べたように、ポペット軸335の直線運動時にポペット軸335がポペット対バルブ本体シール340を開放する。プッシュロッド355の直線運動はポペット軸335の直線運動に対して概ね垂直である。アクチュエータ350は、作動時にピンを上述したようにプッシュロッド355に向かって押す内部爆発性の電気装置である。動作が完了すると、プッシュロッド355は引き込められやすくなり、それによりポペット戻しばね345がポペット軸335をもとに戻し、ポペット対バルブ本体シール340を閉じる。
【0017】
図6は一実施例の完全に作動したプッシュロッド355の図を示す。この位置では、ポペット軸335がポペット対バルブ本体シール340に対して押され、それにより消火剤がシリンダ305からメインアウトレット330へと流される。さらに、プッシュロッド355はエンドストップ360に衝突し、ポペット軸335はプッシュロッド355に支えられる。ここで記載したように、作動前は、ポペット軸335はキー溝358内で支えられる。プッシュロッド355の直線運動は例えばアクチュエータ350内のスプリングなど、アクチュエータ350によって制約される。したがって、作動前は、この構成により、バルブ本体320内のコンポーネントの、衝撃荷重または振動の極端な状態に起因するあらゆる動きが制限される。
【0018】
作動時に、プッシュロッド355の直線運動により、ポペット軸335がプッシュロッド355の外径部分に到達するまで、ポペット軸335がキー溝358に沿って押し進められる。プッシュロッド355はバルブ本体320内で最終的にエンドストップ360に衝突するまで直線運動を継続する。ここで記載したように、アクチュエータ350が作動した後、プッシュロッド355は引っ込みやすい。アクチュエータ350はプッシュロッド355を展開状態に保つが、この展開は保証されない。したがって、プッシュロッド355は引っ込められ、それによりポペット軸335を、ポペット戻しばね345(図3)の力301およびシリンダ305内の消火剤の圧力の力302により、もとに戻させる。例示の実施例では、ポペット軸335およびプッシュロッド355は、キー溝358に沿って移動するポペット軸335の動きによりポペット軸の輪郭に僅かな変形370をもたらすとともに、消火装置300の作動時にプッシュロッド355がその開放位置に戻るのを防ぐための摩擦を提供する材料である。この余分の摩擦は、プッシュロッド355がバルブ本体320内でエンドストップ360に到達する際のプッシュロッド355の僅かな変形375によってさらに強化される。図6は、それぞれ、ポペット軸335およびプッシュロッド355の変形370,375を強調した消火装置300を示し、それにより作動時にポペット対バルブ本体シール340が閉じられるのを防ぐ。
【0019】
図7は、別の実施例の完全に作動したプッシュロッド355の図を示す。上述したものと同様に、この位置では、ポペット軸335がポペット対バルブ本体シール340に対して押され、それにより消火剤がシリンダ305からメインアウトレット330へと流される。さらに、プッシュロッド355がエンドストップ360に衝突し、ポペット軸335はプッシュロッド355に支えられる。ここで記載したように、作動前は、ポペット軸335はキー溝358内で支えられる。プッシュロッド355の直線運動は例えばアクチュエータ350内のスプリングなど、アクチュエータ350によって制約される。したがって、作動前は、この構成により、バルブ本体320内のコンポーネントの、衝撃荷重または振動の極端な状態に起因するあらゆる動きが制限される。
【0020】
作動時に、プッシュロッド355の直線運動により、ポペット軸335がプッシュロッド355の外径部分に到達するまで、ポペット軸335がキー溝358に沿って押し進められる。プッシュロッド355はバルブ本体320内で最終的にエンドストップ360に衝突するまで直線運動を継続する。ここで記載したように、アクチュエータ350が作動した後、プッシュロッド355は引っ込みやすい。アクチュエータ350はプッシュロッド355を展開状態に保つが、この展開は保証されない。したがって、プッシュロッド355は引っ込められ、それによりポペット軸335を、ポペット戻しばね345(図3)の力301およびシリンダ305内の消火剤の圧力の力302により、もとに戻させる。一実施例では、溝380がプッシュロッド355内に機械加工され、それにより放出時にポペット軸335がその位置に固定される。図7は、プッシュロッド355内に機械加工された溝380を強調した消火装置300を示し、それにより作動時にポペット対バルブ本体シール340が閉じられるのを防ぐ。
【0021】
図8は、例示の実施例の自動消火システムの作動方法800の流れ図を示す。ブロック810では、記載したように密閉空間内の火災または爆発などの事象が発生していることを検知器が検出する。ブロック820では、事象の検出に応答して、アクチュエータ350が作動し、それによりプッシュロッド355を記載のように係合させる。ブロック830では、プッシュロッド355が記載のように引き込められないように固定される。一実施例では、ポペット軸335およびプッシュロッド355の両方の変形可能材料がプッシュロッド355を固定する。別の実施例では、ポペット軸355が溝380と係合し、それによりプッシュロッド355を固定する。理解されるように、プッシュロッド355を固定するその他のシステムおよび方法がその他の実施例において検討される。
【0022】
限られた数の実施例のみに関して本発明を詳述したが、本発明はこうした開示の実施例に限定されないことが容易に理解できるであろう。むしろ本発明は、本明細書中に記載された任意の変形例、変更、置換、もしくは同等の配置だけでなく、本発明の真意およびその範囲に応じた任意の変形例、変更、置換、もしくは同等の配置を含むように変更しうる。さらに、本発明の種々の実施例について記載したが、当然のことながら、本発明の態様は記載の実施例の一部だけを含んでもよい。したがって、本発明は上述の記載に限定されるものではなく、付記の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0023】
300…消火装置
305…シリンダ
310…バルブアセンブリ
315…バルブ対シリンダアダプタ
320…バルブ本体
325…補充バルブ
330…メインアウトレット
335…ポペット軸
340…ポペット対バルブ本体シール
345…ポペット戻しばね
350…アクチュエータ
355…アクチュエーションプッシュロッド
356…傾斜面
360…エンドストップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8