(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655143
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】エレベータ装置およびローラガイドアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
B66B 7/04 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
B66B7/04 C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-522860(P2013-522860)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(86)【国際出願番号】JP2012066227
(87)【国際公開番号】WO2013005605
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2013年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2011-149628(P2011-149628)
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000228246
【氏名又は名称】日本オーチス・エレベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390003816
【氏名又は名称】株式会社ユーエイキャスター
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 高見
(72)【発明者】
【氏名】関根 剛
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】雄島 耕太
(72)【発明者】
【氏名】二宮 孝徳
【審査官】
大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−245119(JP,A)
【文献】
特開2007−263350(JP,A)
【文献】
実開昭61−108276(JP,U)
【文献】
特開2002−323042(JP,A)
【文献】
実開昭63−159329(JP,U)
【文献】
特開昭56−132280(JP,A)
【文献】
特開2005−020451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に沿って形成された昇降路と、該昇降路に沿って昇降するかごと、前記昇降路に沿って配置され前記かごを昇降可能に案内するガイドレールと、を備えたエレベータ装置であって、
前記かごは、前記ガイドレールにより案内されるローラガイドアッセンブリを備え、
前記ローラガイドアッセンブリは、前記ガイドレールに隣接して配置された複数の水平固定軸と、夫々の水平固定軸に回転可能に支持されかつ前記ガイドレール上を転がるローラと、を有し、
夫々の前記ローラは、前記ガイドレールに接する弾性材料からなるローラ外周部と、該ローラ外周部の内周側に設けられた軸受と、該軸受と前記水平固定軸との間に介在し、かつ前記弾性材料よりも相対的に硬度が小さな円環形状の弾性部材と、を有し、
さらに、前記弾性部材の半径方向の最大変位を所定量に規制するストッパ手段を有するエレベータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベータ装置において、
前記弾性部材の内周側に、前記水平固定軸が挿通される内筒を備えたエレベータ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のエレベータ装置において、
前記弾性部材と前記軸受との間に外筒が介在しているエレベータ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレベータ装置において、
前記ストッパ手段は、
前記弾性部材よりも半径方向外側であって前記ローラ外周部よりも半径方向内側の部材に、軸方向の両側へ突出する突起部を形成し、
前記ローラの軸方向両側には前記水平固定軸を中心として支持される一対のストッパを設け、
前記ストッパにおける前記ローラとの対向面の外周部には、前記突起部が半径方向外側へ移動するのを規制するストッパ部を軸方向へ突出形成し、
前記一対のストッパを前記ローラに対して軸方向の所定位置に位置決めする位置決め手段を設けた、エレベータ装置。
【請求項5】
鉛直方向に沿って形成された昇降路と、該昇降路に沿って昇降するかごと、前記昇降路に沿って配置され前記かごを昇降可能に案内するガイドレールと、を備えたエレベータ装置において、前記かごに設けられると共に前記ガイドレールにより案内されるローラガイドアッセンブリであって、
前記ガイドレールに隣接して配置された複数の水平固定軸と、夫々の水平固定軸に回転可能に支持されかつ前記ガイドレール上を転がるローラと、を有し、
夫々の前記ローラは、前記ガイドレールに接する弾性材料からなるローラ外周部と、該ローラ外周部の内周側に設けられた軸受と、該軸受と前記水平固定軸との間に介在し、かつ前記弾性材料よりも相対的に硬度が小さな円環形状の弾性部材と、を有し、
さらに、前記弾性部材の半径方向の最大変位を所定量に規制するストッパ手段を有するローラガイドアッセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のローラガイドアッセンブリにおいて、
前記弾性部材の内周側に、前記水平固定軸が挿通される内筒を備えたローラガイドアッセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載のローラガイドアッセンブリにおいて、
前記弾性部材と前記軸受との間に外筒が介在しているローラガイドアッセンブリ。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のローラガイドアッセンブリにおいて、
前記ストッパ手段は、
前記弾性部材よりも半径方向外側であって前記ローラ外周部よりも半径方向内側の部材に、軸方向の両側へ突出する突起部を形成し、
前記ローラの軸方向両側には前記水平固定軸を中心として支持される一対のストッパを設け、
前記ストッパにおける前記ローラとの対向面の外周部には、前記突起部が半径方向外側へ移動するのを規制するストッパ部を軸方向へ突出形成し、
前記一対のストッパを前記ローラに対して軸方向の所定位置に位置決めする位置決め手段を設けた、ローラガイドアッセンブリ。
【請求項9】
前記ローラが所定の予圧でもって前記ガイドレールに圧接するように、前記水平固定軸のベース部材に対する固定位置が、前記ローラの半径方向に位置調整可能である、請求項1に記載のエレベータ装置。
【請求項10】
前記ローラが所定の予圧でもって前記ガイドレールに圧接するように、前記水平固定軸のベース部材に対する固定位置が、前記ローラの半径方向に位置調整可能である、請求項5に記載のローラガイドアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ装置においてかごをガイドレールに沿って案内するローラガイドアッセンブリに関し、詳しくは、ガイドレール上を転動するローラの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエレベータ装置は、昇降路に沿ってかごを昇降させるための駆動手段と、かごが平面内で位置ずれしたり傾いたりしないように安定してかごを昇降させるガイド手段と、を備えている。前記ガイド手段は、例えば、昇降路内に上下方向に沿って配置された一対のガイドレールと、夫々のガイドレールに対応して、かごの上下の位置にそれぞれ配置されたローラガイドアッセンブリと、から構成されている。前記ローラガイドアッセンブリは、各ガイドレールの複数のガイド面の上を転がる複数のローラを有する。
【0003】
従来のエレベータ装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このエレベータ装置は、昇降路には鉛直方向に沿って一対のガイドレールが配置されており、かごには、各ガイドレールに対し上下2箇所にローラガイドアッセンブリが設けられている。ローラガイドアッセンブリは、かごの左右に配置されており、かごは、計4つのローラガイドアッセンブリを備えている。夫々のローラガイドアッセンブリは、ガイドレールに係合する3つのローラを備えており、夫々のローラは水平方向へ揺動自在に設けられている。即ち、ベースに回転シャフトが回転可能に設けられ、該回転シャフトの一端に上方へ突出するレバーアームの基端部が結合されている。このレバーアームの先端部に、アームエンド及びローラ軸を介してローラが回転自在に支持されている。これらのローラは、スプリングを含むサスペンションサブアッセンブリによってガイドレールへ向けて付勢されている。また、回転シャフトの他端にはダンパーとしてフリクションダンピングサブアッセンブリが設けられている。
【0004】
このような従来の構成では、ガイドレールへ向って付勢されるローラの可動寸法が僅かであるのにも拘わらず、サスペンションサブアッセンブリ(付勢機構)とフリクションダンピングサブアッセンブリ(ダンパー)とを設ける前提として、ローラを揺動可能に支持するための揺動機構が必要になる。この揺動機構は構成が複雑であってかつ多くのスペースを占有する。また、ローラを直接に支持するローラ軸と、ローラを水平方向へ揺動させるための回転シャフトと、の2つの軸ならびに付随する軸受が必要であり、揺動機構を構成する部品のコストが高い。
【0005】
本発明の目的は、揺動機構や付勢機構ならびにダンパーを不要にしたローラガイドアッセンブリおよびエレベータ装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4050466
【発明の概要】
【0007】
本発明のローラガイドアッセンブリは、ガイドレールに隣接して配置された複数の水平固定軸と、夫々の水平固定軸に回転可能に支持されかつ前記ガイドレール上を転がるローラと、を有する。
【0008】
夫々の前記ローラは、前記ガイドレールに接するローラ外周部と、該ローラ外周部の内周側に設けられた軸受と、該軸受と前記水平固定軸との間に介在する円環形状の弾性部材と、を有する。
【0009】
この発明によれば、円環形状の弾性部材が軸受の内部に位置し、水平固定軸と軸受との間に弾性部材が介在している。各ローラは、適当な予圧でもってガイドレールに圧接した状態に組み付けられる。ガイドレールからローラに水平方向の力が作用すると、水平固定軸に対してローラ外周部および軸受が水平方向へ相対的に移動して弾性部材のガイドレール側部分が圧縮され、ガイドレールから力が作用しなくなると、圧縮された弾性部材が初期状態に復帰しようとする。つまり水平固定軸に対してローラ外周部および軸受が水平方向へ弾性的に移動し、かつ元の位置へ復帰する。ローラがガイドレールの繋ぎ部分に生じた段差を乗り越える際には、弾性部材の予圧によりローラ外周部および軸受がガイドレールに付勢されているのでかごの振動が抑制される。かごの内部の積載物が偏ってかごが偏荷重を受けた際には、弾性部材が圧縮された状態でかごがガイドレールにより支持されるため、かごの傾きが抑制され、その後に偏荷重が作用しなくなると弾性部材は初期状態に復帰する。従って、弾性部材は、ローラ外周部および軸受をガイドレールに付勢する付勢機能と、付勢されたローラ外周部および軸受が付勢された方向へ往復移動を繰り返すのを抑制するダンパー機能と、ローラ外周部および軸受を支持する軸受機能と、を果たすことになる。
【0010】
一つの好ましい態様では、前記弾性部材の内周側に、前記水平固定軸が挿通される内筒を備えている。内筒は、硬質材料、例えば金属から形成される。
【0011】
例えば、円環形状の弾性部材の内側に内筒を嵌め込んで固着して中間部品を作り、次に該中間部品を軸受の内側に圧入してローラを組み立てることができる。あるいは、軸受と内筒との間に、直接に弾性部材を圧入してローラを組み立てるようにしてもよい。あるいは、軸受と内筒との間で弾性部材を成形するようにしてもよい。前記内筒は、例えばナットなどを介して水平固定軸に固定される。水平固定軸に対し内筒が回転する構成であってもよい。弾性部材の内周部を内筒を介して水平固定軸に支持することで、弾性部材の支持が安定する。
【0012】
さらに好ましくは、前記弾性部材と前記軸受との間に外筒が介在している。外筒は、硬質材料、例えば金属から形成される。
【0013】
例えば、内筒と外筒との間に弾性部材を成形(加硫接着)して中間部品を作り、該中間部品を軸受の内側に圧入してローラを組み立てることができる。あるいは別に成形した弾性部材を内筒と外筒との間に圧入するようにしてもよい。外筒は、例えば、軸受の内輪の内周に圧入される。中間部品は内側も外側も硬質材料例えば金属により覆われることになり、その取り扱いが容易である。
【0014】
また、本発明の一つの実施例では、ストッパによって弾性部材の半径方向の変形が所定量に規制される。すなわち、弾性部材よりも半径方向外側であって前記ローラ外周部よりも半径方向内側の部材(例えば、軸受の内輪や外筒、あるいは別に付加した部材など)に、軸方向の両側へ突出する突起部が形成される。前記ローラの軸方向両側には前記水平固定軸を中心として支持される一対のストッパが設けられており、前記ストッパにおける前記ローラとの対向面の外周部には、前記突起部が半径方向外側へ移動するのを規制するストッパ部が軸方向へ突出形成されている。また、前記一対のストッパを前記ローラに対して軸方向の所定位置に位置決めする位置決め手段を備えている。
【0015】
この構成によれば、ガイドレールからローラに水平方向の力が作用すると、弾性部材の弾性変形によって、水平固定軸に対して軸受とローラ外周部が水平方向へ移動する。そして、この半径方向の変位が所定量に達すると、前記突起部がストッパ部の内周面に当接し、弾性部材の変形が規制される。そして、更にガイドレールからの水平方向の力が大きくなると、弾性部材よりも相対的に硬度が大きなラバーや合成樹脂等の弾性材料からなるローラ外周部のみに荷重が作用し、このローラ外周部が半径方向に圧縮される。従って、ガイドレールの段差などに対しては、相対的に硬度が小さな弾性部材の弾性変形によって振動が吸収され、良好な乗り心地が保たれる。そして、非常停止装置の作動時などは弾性部材による過大な変位が規制されるので、かごを安定した姿勢に保つことができる。
【0016】
前記ローラが所定の予圧でもって前記ガイドレールに圧接するように、前記水平固定軸のベース部材に対する固定位置が、前記ローラの半径方向に位置調整可能であることが望ましい。このための位置調整機構は、僅かな量の位置調整で十分であり、位置調整した状態で水平固定軸は固定される。従って、スプリングやダンパーを具備した従来の構成に比較して遙かに単純なものとなる。
【0017】
この発明によれば、従来のように揺動機構やスプリング、ダンパーなどを設けることなく、水平固定軸と軸受との間に円環形状の弾性部材を介在させるだけで、ローラをガイドレールに付勢した状態を得ることができ、従来に比べて部品の設置スペースが少なくて済む。また、水平固定軸と軸受との間に円環形状の弾性部材を介在させるだけでよいので、従来に比べて、ローラガイドアッセンブリやエレベータ装置の製造コストが安くて済む。更に、弾性部材の硬度を変更してバネ定数を変えることにより、エレベータの構造やエレベータの速度の違いによる多様な振動を防止するための要求に対応することができる。また更に、ローラ外周部や弾性部材が摩耗したり経年劣化したりした場合は、ローラを交換すれば済み、その他の周辺部分の分解,組立,調整が不要であり、メンテナンスに費やす時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図7】第3実施例のローラがガイドレールから荷重を受けたときの状態を示す説明図。
【
図8】第3実施例のローラに作用する水平方向の力と圧縮量との関係を示すグラフ。
【
図9】予圧付与のための位置調整機構の一例を示すローラガイドアッセンブリの平面図。
【
図10】位置調整機構に用いられる偏心型水平固定軸の平面図。
【
図11】位置調整機構の他の例を示すローラガイドアッセンブリの平面図。
【
図13】ローラガイドアッセンブリの一部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明によるエレベータ装置およびローラガイドアッセンブリの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
まず、エレベータ装置全体の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、建物内に鉛直方向に沿って図示しない昇降路が形成されており、該昇降路に沿って昇降するかご1が設けられている。かご1はロープ20により昇降可能に吊り下げられており、該ロープ20の他端には図示しないカウンタウエイトが吊り下げられ、両者の重量が吊り合っている。そして、昇降するかご1を案内するために、かご1の側方の位置には、昇降路に沿って一対のガイドレール2,2が配置されている。前記かご1の上下の側面近傍の位置には、ガイドレール2,2に沿ってかご1を案内するために、各ガイドレール2に対し上下一対のローラガイドアッセンブリ3が設けられている。
【0022】
前記ガイドレール2は、昇降路内に突出するレール本体2aと昇降路壁面に固定される基部2bとによって、断面略T字形に構成されている。一対のガイドレール2,2は、レール本体2aの部分を互いに対向させた状態で昇降路内に配置されている。
【0023】
一方、かご1をかご1の側方と上下方向から囲むようにして、かご1にはかご枠4が設けられている。該かご枠4は、左右一対の縦枠4aと2本の上枠4bと2本の下枠4bとにより構成されており、左右の縦枠4aと下枠4bはかご1の側面および下面に沿って配置され、上枠4bはかご1の上面から少し離れた位置に設けられている。縦枠4a、上枠4b、下枠4bは、それぞれチャンネル状部材からなり、2本の上枠4bと2本の下枠4bとが、左右の縦枠4aを夫々挟んだ状態に結合されている。
【0024】
ローラガイドアッセンブリ3は、前記2本の上枠4bおよび2本の下枠4bの両端位置に、それぞれ取り付けられている。ローラガイドアッセンブリ3は、
図2および
図3に示すように、ガイドレール2のレール本体2aを両側から挟むように配置されてレール本体2aの側面上を転動する一対のローラ5a,5bと、レール本体2aの頂面に対向して配置されて該頂面の上を転動するローラ5cと、を備えている。ローラ5cが対応するレール本体2aの頂面は、左右の一対のガイドレール2において、互いに対向している。このような3個のローラ5a,5b,5cの組をかご1の4箇所に設けることにより、かご1の平面内での位置ずれやかご1の前後左右方向の傾きが規制される。
【0025】
ローラガイドアッセンブリ3の構成を具体的に説明する。
図2に示すように、前記かご枠4を構成する上枠4bもしくは下枠4bの端部に板状のベース部材6が結合されている。該ベース部材6には、ガイドレール2のレール本体2aが入り込む切欠部6aが形成されている。この切欠部6aは、前記かご枠4を構成する縦枠4aの断面形状に対応している。
【0026】
ベース部材6の上には、前記ローラ5a,5b,5cの各々に対応して軸支持部材7が立設されており、夫々の軸支持部材7には前記ガイドレール2に隣接して水平固定軸8が軸支持部材7から突出する状態に取り付けられている。各水平固定軸8は、各ローラ5a,5b,5cが接するレール本体2aの側面および頂面に対し平行に延びている。これらの水平固定軸8に、前記ローラ5a,5b,5cが支持されている。
【0027】
次に、前記ローラ5a,5b,5cの第1実施例の構成を
図1に基づいて詳細に説明する。前記ローラ5a,5b,5cは同一の構成なので、以下では、ローラ5aについて説明する。
【0028】
ローラ5aは、レール本体2aに接する円環状をなすローラ外周部10と、該ローラ外周部10の内周側に設けられた軸受9と、該軸受9の内周側に設けられた円環形状の弾性部材例えばラバー11と、該ラバー11の内周側に設けられた金属製の内筒12と、を有する。前記内筒12に前記水平固定軸8が挿通される。例えば、図示せぬねじが水平固定軸8先端部に形成されており、ここに螺合するナット(図示せず)によって前記内筒12が水平固定軸8に固定されている。前記ローラ外周部10は、ラバーまたは合成樹脂(例えばウレタン等)等の弾性を有する材料によって作られている。この弾性材料からなるローラ外周部10の硬度は、ラバー11の硬度に比較して大きく設定されている。つまり、ローラ外周部10は、ラバー11よりも硬い。
【0029】
前記軸受9は一般的な転がり軸受であり、金属製の内輪9aと外輪9bとの間に、複数の鋼球9cが介在している。なお、このようなボール軸受に代えて、ローラ軸受を用いることもできる。内輪9aの内周にラバー11が配置されている。この軸受9を介して、前記ローラ外周部10は、内筒12およびラバー11に対し回転可能である。
【0030】
水平固定軸8と軸受9との間に内筒12と円環形状のラバー11とを配置するためには、2つの方法がある。ひとつは、内筒12の外周にラバー11を焼付け接着して中間部品14を構成し、該中間部品14を軸受9(つまり内輪9a)の内周側に圧入する方法である。他のひとつの方法は、軸受9と内筒12との間に、円環形状に成形したラバー11を直接に圧入する方法である。あるいは、軸受9と内筒12との間で、ラバー11を成形し、加硫接着するようにしてもよい。
【0031】
前記ローラ5a,5b,5cが水平固定軸8に支持され、かつローラガイドアッセンブリ3としてガイドレール2に対し組み立てられた状態においては、各ローラ5a,5b,5cのラバー11には、所定の予圧が与えられている。つまり、組立状態では、ガイドレール2側となるラバー11の一部が比較的小さな所定量(例えば1mm程度)圧縮変形した状態となっており、ローラ外周部10が所定の荷重でガイドレール2に押し付けられている。
【0032】
この実施例によれば、内筒12と軸受9との間にラバー11が介在しているので、ガイドレール2からローラ5a,5b,5cに水平方向の力が作用すると、ローラ5a,5b,5cを構成する内筒12に対してローラ外周部10および軸受9が水平方向へ相対的に移動してラバー11のガイドレール2側が圧縮されて変形する。そして、ガイドレール2からの水平方向の力が作用しなくなるとラバー11が初期状態に復帰する。つまり、かご1がガイドレール2に対し相対的に変位すると、水平固定軸8に対してローラ外周部10および軸受9が水平方向へ移動し、その後に元の位置へ戻る。ローラ5a,5b,5cがガイドレール2の繋ぎ部分に生じた段差を乗り越える際には、ラバー11の予圧によりローラ外周部10がガイドレール2に向けて付勢されているので、かご1の振動が抑制される。かご1の内部の積載物が偏ってかご1が偏荷重を受けた際には、ラバー11が圧縮された状態でかご1がガイドレール2により支持されるため、かご1の傾きが抑制され、その後に偏荷重が作用しなくなるとラバー11は初期状態に復帰する。従って、ラバー11は、ローラ外周部10および軸受9をガイドレール2に付勢する付勢機能と、付勢されたローラ外周部10および軸受9が振動するのを抑制するダンパー機能と、ローラ外周部10および軸受9を支持する軸受機能と、を果たすことになる。
【0033】
このように、上記実施例によれば、従来のように揺動機構と付勢手段とダンパーとを設けることなく、水平固定軸8と軸受9との間に内筒12とラバー11とを介在させるだけで、ローラ5a,5b,5cをガイドレール2に付勢した状態を得ることができ、従来に比べて部品の設置スペースが少なくて済む。また、従来のように揺動機構と付勢手段とダンパーとを設けるのに対し、水平固定軸8と軸受9との間に内筒12と円環形状のラバー11を介在させるだけでよいので、従来に比べて、エレベータ装置およびローラガイドアッセンブリ3の製造コストが安くて済む。更に、ラバー11の硬度を変更してバネ定数を変えることにより、エレベータの構造やエレベータの速度の違いによる多様な振動を防止するための要求に対応することができる。また更に、ローラ外周部10やラバー11が摩耗したり経年劣化したりした場合は、ローラ5a,5b,5cを交換すれば済み、その他の周辺部分の分解,組立,調整が不要であり、メンテナンスに費やす時間を削減することができる。さらに、ラバー11と水平固定軸8との間に内筒12が介在するので、ラバー11の内周部は内筒12を介して水平固定軸8に支持されることになり、ラバー11の支持が安定する。
【0034】
ローラ外周部10は、ラバーまたはウレタン等の弾性部材によって作られているが、その硬度はラバー11の硬度よりも大きいので、比較的小さな荷重に対しては主にラバー11が弾性変形する。ローラ外周部10とラバー11との硬度(バネ定数)の組合せを適宜に設定することにより、通常運転時はラバー11の弾性変形によりかごの振動が抑制され、他方、非常停止装置が作用してかご1が停止する際には、大きな荷重によってローラ外周部10が撓むことによりローラ5a,5b,5cに作用する衝撃が緩和される。
【0035】
次に、ローラ5a,5b,5cの第2実施例について説明する。なお、第1実施例のローラと同一の部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0036】
第2実施例においては、
図5に示すように、ラバー11の外周部に外筒13を備えている。すなわち、水平固定軸8が挿通される金属製の内筒12と、軸受9の内部に嵌合される金属製の外筒13と、を有し、これらの内筒12と外筒13との間にラバー11が介在している。一つの例では、内筒12と外筒13との間にラバー11を成形(加硫接着)することで中間部品15が構成されており、該中間部品15が、軸受9つまり内輪9aの内周側に圧入されている。ラバー11を円環状に成形し、これを内筒12と外筒13との間に圧入して中間部品15としてもよい。
【0037】
この実施例によれば、中間部品15は内周側および外周側の双方が金属により覆われた構成となるので、その取り扱いが容易となり、かつローラの製造工程が簡略化する。
【0038】
次に、
図6〜
図8に基づいて、ローラ5a,5b,5cの第3実施例を説明する。
【0039】
この第3実施例は、ラバー11の半径方向の最大変位を機械的に制限するようにしたものである。
図6に示すように、軸受9の内輪9aが軸方向の両側へ延長されており、外輪9bに比較して側方へ突出した突起部9dが両端に形成されている。ローラ5aの軸方向両側には、軸受9部分の側面を覆うように円盤状をなす一対のストッパ16が設けられている。このストッパ16は、中央の孔に前記水平固定軸8が挿通されることで、ローラ5aとともに水平固定軸8に支持される。ストッパ16におけるローラ5a(軸受9)との対向面の外周部には、突起部9dと係合するストッパ部16aが軸方向の内側へ突出して形成されている。このストッパ部16aは、ラバー11が所定量変位したときに突起部9dと係合し、該突起部9dが半径方向外側へ移動するのを規制する。そして、一対のストッパ16をローラ5aに対して軸方向の所定位置に位置決めする位置決め手段として、内筒12が軸方向の両側へ延長して形成されており、ラバー11側面から所定量突出している。これにより、一対のストッパ16が突起部9dに軸方向に当接しないように位置決めされている。
【0040】
この第3実施例によれば、ガイドレール2からローラ5a,5b,5cに水平方向の力が作用すると、水平固定軸8に対して軸受9とローラ外周部10が水平方向へ移動するので、ラバー11のガイドレール2側が圧縮されて変形する。ここで、ラバー11の変形量が所定量に達すると、
図7に示すように、前記ローラ5a,5b,5cに形成した突起部9dの外周面がストッパ部16aの内周面に当接してラバー11の変形が規制される。ガイドレール2からの水平方向の力がさらに大きくなると、硬度の大きい弾性材料からなるローラ外周部10のみに荷重が作用し、該ローラ外周部10が圧縮される。
【0041】
すなわち、
図6に示すように軸受9の内輪9aの外周面とストッパ部16aの内周面との間隔は、初期状態では、全周に亘って間隔「A」である。
図7に矢印で示すように水平方向の大きな荷重を受けてラバー11が圧縮されて距離「A」だけ半径方向に変位すると、内輪9aの突起部9dがストッパ部16aに当接し、それ以上の変位が規制される。つまりラバー11が半径方向に圧縮量「A」だけ圧縮されると、ラバー11はこれ以上に圧縮されることはない。従って、荷重が更に大きくなると、ローラ外周部10が圧縮されてローラ外周部10の変形のみが増加する。
【0042】
このような圧縮量の変化を図示したものが
図8である。かご1の通常昇降時やかご1に偏荷重が作用したときは、圧縮量が「0」〜「A」までの範囲では硬度の小さなラバー11が圧縮される。従って、良好な乗り心地が得られる。そして、非常停止装置が作動してローラ5a,5b,5cに大きな荷重が作用したときは、ラバー11が圧縮量「A」以上に圧縮されることはなく、相対的に硬度が大きなローラ外周部10が圧縮されることになる。従って、ローラ外周部10の弾性により、かご1に加わる衝撃を緩和できる一方で、非常停止装置の作動が安定して行われる。つまり、非常停止装置の作動時に、安定した状態でかご1を停止させることができる。
【0043】
なお、上記各実施例では、ラバー11が金属製の内筒12や外筒13を備えているが、軸受9の内輪9aの内周側にラバー11のみを設けるようにしてもよい。
【0044】
また、図示した第3実施例では、内輪9aの両端部に突起部9dを形成してあるが、これに代えて、外輪9bを軸方向に延長してその両端部に突起部を形成することもできる。更に、第2実施例のように外筒13を備えた構成では、内輪9aに代えて外筒13を軸方向に延長して、その両端部に突起部を形成することもできる。また更に、内筒12を設けないで、軸受9と水平固定軸8との間にラバー11のみを介在させてローラを構成する場合は、水平固定軸8とラバー11との間に、位置決め手段として
図6の内筒12と同様の長さを有する別体のスリーブを配置すればよい。
【0045】
次に、
図9および
図10は、ローラ5a,5b,5cの予圧設定のために水平固定軸8の固定位置を調整する調整機構の一例を示している。この例では、水平固定軸8として、
図10に示す偏心型水平固定軸8Aが用いられる。この偏心型水平固定軸8Aは、ローラ5a,5b,5cの中心孔(例えば内筒12)が挿通されるローラ支持軸部21と、その先端のねじ軸部22と、このねじ軸部22とは反対側となる取付軸部23と、この取付軸部23とローラ支持軸部21との間に位置する六角部24と、を有する。取付軸部23の端面には、六角レンチ用の六角孔25が形成されている。また、前記取付軸部23は、その外周面にねじ部23aを備えている。ここで、取付軸部23および六角部24の中心軸C1は、ローラ支持軸部21およびねじ軸部22の中心軸C2に対し、所定量(例えば1mm程度)偏心している。
【0046】
ローラガイドアッセンブリ3のベース部材6に立設された軸支持部材7には、前記取付軸部23が挿通される円形の孔が開口しており、
図9に示すように、前記ねじ部23aに螺合するナット26と前記六角部24とによって、偏心型水平固定軸8Aが軸支持部材7にそれぞれ固定されている。ローラ5a,5b,5cは、ローラ支持軸部21上に支持され、かつ前記ねじ軸部22に螺合するナット27に保持されている。
【0047】
ここで、上記のように、ローラ支持軸部21と取付軸部23とは、互いに偏心しているので、取付軸部23の角度位置を変えることで、ガイドレール2に対するローラ5a,5b,5cの回転中心の位置が変化する。具体的には、ナット26によって偏心型水平固定軸8Aを軸支持部材7に固定する際に、六角孔25に係合した六角レンチ(図示せず)を用いて偏心型水平固定軸8Aを回すことで、ガイドレール2に対する予圧を適宜に調整し、最適な回転位置となったところで、ナット26によって偏心型水平固定軸8Aを固定する。
【0048】
次に、
図11〜
図13に基づいて、水平固定軸8の固定位置を調整する調整機構の他の例を説明する。この例では、ローラ5a,5b,5cは、ベース部材6に個々に取り付けられたブラケット31によって支持されており、ベース部材6に対するブラケット31の位置が調整可能となっている。なお、水平固定軸8は、各ブラケット31に固定的に支持されている。前記ブラケット31は、金属板を略U字形に折り曲げた構成であって、一端の第1フランジ32が、一対のボルト33および位置調整用ボルト34によってベース部材6に固定されている。また、他端の第2フランジ35は、長円形をなす一対のガイド孔36を有し、ベース部材6に固定されたガイドピン37が前記ガイド孔36に係合している。なお、ガイドレール2の両側面に対応した一対のローラ5a,5b用のブラケット31では、第2フランジ35は、ベース部材6の端面に沿うように直線状に延びており、ベース部材6端面に設けられたガイドピン37に係合している。
【0049】
前記第1フランジ32には、ボルト33用の一対の孔(図示せず)および位置調整用ボルト34用の孔39が開口しているが、これらの孔は、ローラ5a,5b,5cの半径方向に延びた長円形をなしている。前記位置調整用ボルト34は、
図14に示すように、孔39の開口縁に接するテーパ部34aを有する。従って、ボルト33を緩めた状態において位置調整用ボルト34を締め付けていくことによって、ブラケット31全体がローラ5a,5b,5cの半径方向に移動する。ブラケット31は、ローラ5a,5b,5cに適当な予圧を与えた状態で一対のボルト33によって固定される。