特許第5655145号(P5655145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655145クリップ装置ならびに送達および配置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655145
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】クリップ装置ならびに送達および配置方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20141218BHJP
【FI】
   A61B17/12 320
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-524107(P2013-524107)
(86)(22)【出願日】2011年8月3日
(65)【公表番号】特表2013-534155(P2013-534155A)
(43)【公表日】2013年9月2日
(86)【国際出願番号】US2011046425
(87)【国際公開番号】WO2012021350
(87)【国際公開日】20120216
【審査請求日】2013年5月20日
(31)【優先権主張番号】61/372,283
(32)【優先日】2010年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511152957
【氏名又は名称】クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス, ミッシェル, ディー.
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/080386(WO,A2)
【文献】 特開2010−46258(JP,A)
【文献】 特表平5−505732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのクリップ装置を配置するシステムであって、
第1および第2のアームを有する第1のクリップ装置であって、開いた状態にあるときに、前記第1および第2のアームの遠位端が互いから離間、閉じた状態にあるときに、前記第1および第2のアームの前記遠位端が互いに隣接する、第1のクリップ装置と、
前記第1のクリップ装置が前記開いた状態にあるときの第1の位置と、前記第1のクリップ装置の前記第1および第2のアームを閉じた状態に保持する第2の位置との間で移動可能なスライドリングと、
管腔を有する内側カテーテルであって、前記第1のクリップ装置および前記スライドリングが、前記内側カテーテルの前記管腔を通って進むように構成され、内側カテーテルと、
管腔を有する外側カテーテルであって、前記内側カテーテルが、前記外側カテーテルの前記管腔に対して長手方向に移動するように構成され、外側カテーテルと、
を含み、
前記内側カテーテルの遠位領域を覆うように前記外側カテーテルを配置することで、前記内側カテーテルの前記遠位領域が半径方向内側に撓んで締め付け部が形成されるようになっており、該締め付け部が前記第1のクリップ装置の前記スライドリングと係合して該スライドリングを近位方向にも遠位方向にも動かないようにするようにされた、システム。
【請求項2】
前記開いた状態と部分的に閉じた状態との間で、前記第1および第2のアームが移動するのを可能にするために、前記内側カテーテルの前記締め付け部が前記スライドリングと係合している間、前記第1のクリップ装置の前記第1および第2のアームが、前記スライドリングに対して長手方向に移動することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内側カテーテルの前記遠位領域に配置された少なくとも1つの楔部材をさらに含み、前記外側カテーテルは、前記楔部材と係合して、前記外側カテーテルが、前記内側カテーテルの前記遠位領域を覆って配置されたときに前記締め付け部を形成するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記内側カテーテルの前記遠位領域は、前記内側カテーテルの遠位端に形成された少なくとも1つのスリットを含み、前記少なくとも1つのスリットは、前記カテーテルの前記遠位領域が半径方向内側の方向に移動するのを容易にする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
複数のクリップ装置が、連続した態様前記内側カテーテルの前記管腔内に搬入されるように構成され、さらに、前記内側カテーテルの遠位端から個別に配置されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
第1および第2のアームを有する第2のクリップ装置であって、開いた状態にあるときに、前記第1および第2のアームの遠位端が互いから離間、閉じた状態にあるときに、前記第1および第2のアームの前記遠位端が互いに隣接する、第2のクリップ装置と、
前記内側カテーテルの前記管腔内を長手方向に移動するように配置されたスタイレットと、
をさらに含み、
前記第2のクリップ装置は、送達中に前記内側カテーテルの前記管腔内で前記スタイレットよりも遠位の位置に配置されるように構成され、前記第1のクリップ装置は、送達中に前記内側カテーテルの前記管腔内で前記第2のクリップ装置よりも遠位の位置に配置されるように構成され、
前記スタイレットが遠位方向に進むことで、前記第1および第2のクリップ装置が遠位方向に進んで、前記第1のクリップ装置が配置され、続いて、前記第2のクリップ装置が配置される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のクリップ装置は、前記内側カテーテルの前記管腔内で、前記第2のクリップ装置の前記第1および第2のアームの前記遠位端と堅固に係合するように構成された近位保持器を含み、前記近位保持器は、前記第1のクリップ装置の前記第1および第2のアームの近位端によって形成された連続ループを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のクリップ装置の前記第1および第2のアームの近位端は、近位固定部材によって互いに結合され、近位保持器は、前記近位固定部材に連結され、かつ前記内側カテーテルの前記管腔内で、前記第2のクリップ装置の前記第1および第2のアームの前記遠位端と係合するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本発明は、「クリップ装置ならびに送達および配置方法」と題して、2010年8月10日に出願された米国仮特許出願第61/372,283号に対する優先権の利益を主張し、この特許の開示は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【背景技術】
【0002】
従来から、止血、マーキング、および/または結紮のために、内視鏡を通じてクリップを体腔に導入して、体腔の生体組織を把持することが可能である。さらに、クリップは、現在、消化性潰瘍、マロリーワイス裂傷、デュラフォイ潰瘍、血管腫、乳頭切開後出血、および活動性出血を伴う小静脈瘤などの消化管出血に関連するいくつかの用途で使用されている。
【0003】
消化管出血はある程度の頻度で見られ、未治療のまま放置した場合に致命的になることが多い深刻な状態である。この問題が元となって、硬化剤の注入および接触熱凝固技術などの、止血を行うための多数の内視鏡治療手法が開発されてきた。そのような手法は、多くの場合効果的であるが、出血が続く患者も多く、したがって、矯正手術が必要となる。手術は高い障害発生率および他の多くの望ましくない副作用を伴う侵襲的な技術であるため、効果が高く、侵襲性の低い手法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械式止血装置は、消化管用途を含む身体の様々な部位で使用されている。そのような装置は通常、血流を制限する、または遮断するために、十分な締め付け力を血管に加えることができるクランプ、クリップ、ステープル、および縫合糸の形態をとる。しかし、従来の止血装置に関連する問題の一つは、多くの装置には永続的に止血するほどの強度がないことである。さらに、通常、そのような機械式止血装置が少なくとも部分的に配置されると、機械式止血装置は、最終的に装置を解放する前に繰り返して開閉することができず、結果として、装置が所望しない位置に永続的に配置される可能性がある。
【0005】
さらに、機械式止血装置は通常、装置を送達および配置するために装備された導入器内に1つずつ搬入される。第1の止血装置は配置することができるが、第2の止血装置を送達および配置することが望ましくなった場合、第2の止血装置を搬入するために、通常、患者の身体から導入器を取り出さなければならない。次いで、導入器は、第2の止血装置を配置するために、導入物を積まれて患者の身体に戻され、このプロセスは、次の各装置に対して繰り返される。しかし、一度に1つだけ止血装置を配置するプロセスは、非常に時間がかかり、かつ使い勝手が悪く、出血を迅速に止めなければならない場合に、大きな遅延が生じる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態は、少なくとも1つのクリップ装置を配置するシステムおよび方法を提供する。各実施形態では、送達システムを使用して複数のクリップを順次搬入および配置することができる。各種クリップ構造および搬入シリンダも開示される。
【0007】
第1の実施形態では、システムは、第1および第2のアームを有する第1のクリップ装置を含む。第1のクリップ装置および付属するスライドリングは、内側カテーテルの管腔を選択的に進むように構成される。内側カテーテルの遠位領域を覆うように外側カテーテルを選択的に配置することで、内側カテーテルの遠位領域が半径方向内側に撓んで、第1のクリップ装置のスライドリングと堅固に係合する締め付け部を形成する。スライドリングが堅固に係合すると、第1のクリップ装置の第1および第2のアームが、スライドリングに対して長手方向に移動することができ、それにより、第1のクリップ装置を部分的に閉鎖し、再配置することが可能になる。
【0008】
有利な態様としては、内側および外側カテーテルを患者の身体から取り出し、クリップ装置を個別に再搬入する必要なしに、上記の態様で、任意の数量のクリップ装置をカテーテルの管腔に順次搬入して、1つずつ配置することができ、それにより手術時間が短縮される。さらに有利な態様としては、各クリップ装置は、最終的に配置される前に、開いた状態と閉じた状態との間を何度でも移動することができる。
【0009】
代替の実施形態では、送達システムは、近位端および遠位端を有するカテーテルと、近位端と遠位端との間に延びる管腔と、テーパの付いた遠位領域とを含む。カテーテルは、テーパの付いた遠位領域よりも近位の位置に第1の内径を有し、さらに、遠位端に第2の内径を有し、第2の内径は、第1の内径未満である。スライドリングは、カテーテルの第1の内径未満で、かつカテーテルの第2の内径を超える外径を有する。カテーテルのテーパの付いた遠位領域は可撓性であり、そのため、スライドリングにかけられた、遠位方向を向いた所定の力の作用により、スライドリングがカテーテルの遠位端から押し出される。スライドリングは、カテーテルの遠位端から押し出されたときに、カテーテルの遠位端に突き当たるような寸法とされる。この時点で、第1のクリップ装置の第1および第2のアームをスライドリングに対して近位方向に後退させることで、クリップ装置が、開いた状態と閉じた状態との間を移動する。
【0010】
添付図または以下の詳細な説明を考察したときに、本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点が、当業者にとって明らかであるか、または明らかになるであろう。そのようなさらなるシステム、方法、特徴、および利点はすべて本発明の範囲内であり、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0011】
添付の図面および以下の説明を参照することで本発明をより深く理解することができる。図中の構成要素は必ずしも一定の尺度ではなく、その代わりとして、本発明の原理を示すことに重きが置かれている。さらに、図において、同じ参照数字は、様々な図全体を通じて同じ部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1-5】例示的な送達システムと、少なくとも1つのクリップ装置を配置する一連の動作とを示す側断面図である。
図6図1〜5の送達システムの内側カテーテルの遠位領域にある特徴部を示す斜視図である。
図7-9】代替の送達システムと、少なくとも1つのクリップ装置を配置する一連の動作とを示す側断面図である。
図10図7〜9の送達システムの内側カテーテルの遠位領域にある特徴部を示す斜視図である。
図11】クリップ送達システムと併用することができる搬入シリンダの側断面図である。
図12図7〜9のクリップ装置の斜視図である。
図13】代替のクリップ装置の斜視図である。
図14】さらなる代替のクリップ装置の斜視図である。
図15】さらに別の代替クリップ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願において、「近位の」という用語は、医療処置中に概ね医者の方に向かう方向を指し、一方、「遠位の」という用語は、医療処置中に概ね患者の体内の目標部位の方に向かう方向を指す。
【0014】
ここで図1〜6を参照すると、クリップ装置の第1の実施形態が、クリップ装置の少なくとも1つを送達および配置する例示的なシステムと共に示されている。この実施形態では、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bが提示されている。第1のクリップ装置20aは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aを含む。第1のアーム30aは、近位端32aおよび遠位端34aを有し、一方、第2のアーム40aは、近位端42aおよび遠位端44aを有する。第1のアーム30aの近位端32a、および第2のアーム40aの近位端42aは、近位固定部材60aによって互いに接合され、近位固定部材60aには、接着剤、はんだ、溶着、機械式取付装置、またはアーム30a、40aの近位端32a、42aを互いに接合する他の任意の適切な機構があり得る。
【0015】
クリップ装置20aは、スライドリング50aをさらに含み、スライドリング50aは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aを合わせた外径よりも若干大きい内径を有する。近位固定部材60aは、スライドリング50aの近位方向の移動を制限する。使用時、スライドリング50aは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40a上をスライドする寸法とされて、図4で下記にさらに説明するように、アームを閉じた状態に移動させる。
【0016】
アーム30a、40aの遠位端34a、44aは、図2に最もよく示すように、半径方向内側の方向に曲がって、それぞれ先端38a、48aを形成するのが好ましい。先端38a、48aは、組織を把持し、および/または貫通するように構成されている。2つのアーム30a、40aが図1〜5の実施形態に示されているが、さらに多くのアームを使用することができると考えられる。例えば、図13〜14で下記に説明するように、代替のクリップ装置120a’、120a’’は、それぞれ3つおよび4つのアームを含む。
【0017】
第1のクリップ装置20aには、送達状態、開いた状態、および閉じた状態がある。送達状態では、第1のクリップ装置20aは、内側カテーテル70の管腔78内に配置されている。内側カテーテル70の管腔78は、図1に示すように、アーム30a、40aの遠位端34a、44aが、送達状態で互いに隣接して保持されるような寸法とされる。
【0018】
開いた状態では、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aのそれぞれの遠位端34a、44aは、図2〜3に示すように、互いから離間する傾向がある。第1のアーム30aおよび第2のアーム40aは、遠位端34a、44aがもはや内側カテーテル70によって拘束されない場合に、開いた状態をとるように偏倚している。遠位端34a、44aは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aを形成する材料の固有の弾性特性によるか、あるいは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aが、示した展開構成をとるように熱硬化することができるかのいずれかで、開いた状態をとるように偏倚することができる。第1のアーム30aおよび第2のアーム40aは、ステンレス鋼、ニチノール、プラスチックなどの任意の適切な弾性材料で形成することができる。場合により、クリップのアームは、マグネシウム合金WE43などの吸収性材料で形成することができ、吸収性材料は、患者の消化器系を通り抜ける必要がなくて、時間とともに溶解することができる。さらに、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aは、円形、正方形、長方形、三角形、パイ形状、円錐台などの断面形状を有することができる。
【0019】
閉じた状態では、スライドリング50aは、図4〜5に示し、さらに下記で説明するように、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aに対して遠位方向に並進する。この時点で、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aのそれぞれの遠位端34a、44aは互いに閉じており、先端38a、48aは組織を把持し、組織の閉鎖および止血を容易にするように構成されている。スライドリング50aは、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aのそれぞれの遠位端34a、44aとロックした形で係合することができ、閉じた状態の第1のアーム30aおよび第2のアーム40aの端部を越えて遠位方向にスライドしないような大きさとすることができる。場合によっては、はんだまたは機械式部材などの1つまたは複数の遠位ストッパ部材を第1のアーム30aおよび/または第2のアーム40aに配置して、スライドリング50aが遠位に進むのを制限することができる。
【0020】
さらに図1〜5を参照して、例示的なシステムが、少なくとも1つのクリップ装置の送達および配置について説明される。送達システムは、上記のように、管腔78を有する内側カテーテル70を含み、さらに、管腔88を有する外側カテーテル80を含む。図1〜5の実施形態では、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは連続配置用に用意され、第2のクリップ装置20bは、第1のクリップ装置20aと概ね同一である。
【0021】
内側カテーテル70は、外側カテーテル80の内径未満の外径を有し、それにより、内側カテーテル70が、外側カテーテル80の管腔88内を長手方向に進むのが可能になる。内側カテーテル70はさらに、図1に示すように、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bが、内側カテーテル70の管腔78内に搬入されるのを可能にする内径を有する。
【0022】
内側カテーテル70は、遠位端74および可撓性の遠位領域75を含む。可撓性の遠位領域75は、下記にさらに説明する目的のために、半径方向内側の方向に選択的に移動することができる。図6に示すように、遠位領域75に沿って半径方向の可撓性を有することができるように、複数のスリット77を遠位端74に形成するのが好ましい。
【0023】
少なくとも1つの楔部材92は、内側カテーテル70の可撓性遠位領域75に沿って配置することができる。示した実施形態では、先細りの形状を有する複数の楔部材92が、内側カテーテル70と外側カテーテル80との間に配置されており、図3〜4に示すように、外側カテーテル80が前進して楔部材92に接した場合に、内側カテーテル70の可撓性遠位領域75が半径方向内側に移動して、締め付け部79を形成する。楔部材92は、生体適合性接着剤、プラスチック、金属、または他の適切な材料を含むことができ、図示した先細りの形状のほかに、下記に説明する目的を達成するための他の形状を有することができる。あるいは、1つまたは複数の楔部材92は、遠位領域75に沿った、内側カテーテル70の一体化した部分として形成することができる。
【0024】
外側カテーテル80は、ステンレス鋼またはプラスチック材料などの剛性または実質的に剛性の材料を含むことができ、この剛性材料は、図3〜4に示すように、外側カテーテル80の遠位端84が、楔部材92および内側カテーテル70の可撓性遠位領域75に及んだ場合に、これらの領域が半径方向外側に移動するのを実質的に阻止する。しかし、外側カテーテル80の遠位端84が、楔部材92および内側カテーテル70の可撓性遠位領域75を越えて近位に後退した場合、図5で下記に示すように、可撓性の遠位領域75は半径方向外側に移動することができ、締め付け部79をなくすことができる。
【0025】
1つの例示的な方法では、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは、図1に示すように、第1のクリップ装置20aが、内側カテーテル70の管腔78内で第2のクリップ装置20bよりも遠位に搬入されるように順次搬入される。スタイレット90は、管腔78内で第2のクリップ装置20bよりも近位の位置に配置することができる。
【0026】
一実施形態では、各第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは、それぞれ近位保持器64a、64bを含む。近位保持器64a、64bは、内側カテーテル70の内径よりも小さい外径を有するループ部材の形態をとることができる。使用時、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは、図1〜4に示すように、内側カテーテル70が連結部を覆って配置されているときに、第2のクリップ装置20bの遠位端34b、44bが第1のクリップ装置20aの近位保持器64aと堅固に係合するように、内側カテーテル70内に搬入することができる。図5に示すように、内側カテーテル70がもはやこの連結部を覆って配置されていない場合、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは、下記に説明するように、互いから切り離すことができる。
【0027】
スタイレット90は、フック部材などの保持器92を含むことができ、保持器92は、図1〜5に示すように、内側カテーテル70がこの連結部を覆って配置されている場合に、第2のクリップ装置20bの近位端にある近位保持器64bと係合する。その結果、スタイレット90が近位方向および遠位方向に進むことで、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bが相応して移動する。
【0028】
なお、この例では2つのクリップ装置が示されているが、任意の数量が使用でき、スタイレット90よりも遠位に、隣接した態様で内側カテーテル70内に順次搬入することができると理解されたい。さらに、1つの例示的な保持器構成が、フックおよびループ連結の形態で示されているが、他の様々な保持器構成も可能である。一例として、スタイレット90を第2のクリップ装置20bに連結し、および/または第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bを互いに連結する代替の保持器構成が、米国特許出願公開第2007/0282355号明細書に記載されており、この特許の開示は、参照によりその全体を本明細書に援用するものとする。
【0029】
図1に示すように、スタイレット90、第1のクリップ装置20a、および第2のクリップ装置20bが内側カテーテル70に搬入されている。この時点で、場合によっては、図3に示す通り、締め付け部79が楔部材92によって形成されるように、外側カテーテル80を内側カテーテル70を覆うように配置することができる。締め付け部79は、送達中に、第1のクリップ装置の第1のアーム30aおよび第2のアーム40aが、内側カテーテル70よりも遠位に延びるのを防止して、誤って貫通する可能性を低くする。
【0030】
図2を参照すると、外側カテーテル80は、内側カテーテル70に対して近位に配置され、それにより、内側カテーテル70の遠位領域75が露出する。スタイレット90は、内側カテーテル70および外側カテーテル80に対して遠位方向に進んで、第2のクリップ装置20bを遠位方向に進ませ、相応して、第1のクリップ装置20aが隣接した態様で遠位方向に進む。スタイレット90は、図2に示すように、第1のクリップ装置20aのスライドリング50aが、内側カテーテル70の遠位領域75と整列するまで遠位方向に進む。この時点で、第1のクリップ装置20aの第1のアーム30aおよび第2のアーム40aのそれぞれの遠位端34a、44aは、カテーテル70の遠位端74を越えて遠位方向に進み、拘束を解かれた場合に、図2に示すように、半径方向外側の方向に曲がって互いから離間する傾向がある。
【0031】
図3を参照すると、次のステップで、外側カテーテル80は、内側カテーテル70に対して遠位方向に進み、それにより、楔部材92と係合し、内側カテーテル70の遠位端74をスライドリング50aと係合させる。摩擦嵌合がなされ、そのため、スライドリング50aが安定して保持される。この時点で、スタイレット90は近位方向および遠位方向に進むことができ、それにより、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aがスライドリング50aに対して相応して移動する。こうして、スライドリング50aは安定して保持され、一方、スライドリング内に配置された第1のアーム30aおよび第2のアーム40aは、所望する通りに前進または後退する。
【0032】
一態様によれば、医者はこの時点で第1のクリップ装置20aを配置する必要はない。むしろ、第1のクリップ装置20aは、最終的な配置の前に、図3の開いた状態と、少なくとも部分的に閉じた状態との間を何回でも移動することができる。例えば、医者は、スタイレット90、ひいては第1のアーム30aおよび第2のアーム40aをスライドリング50aに対して近位方向に後退させ、したがって、遠位端34a、44aを互いにより接近させることで、第1のクリップ装置20aを少なくとも部分的に閉じることができる。しかしながら、遠位端34a、44aが、スライドリング50a内で閉じた状態でロックされる前に、医者は、例えば、位置決め、または把持をやり直すために、スタイレット90を遠位方向に進ませ、したがって、第1のアーム30aおよび第2のアーム40aをスライドリング50aに対して遠位方向に進ませ、第1のクリップ装置20aを再度開くことができる。有利には、このようにして、第1のクリップ装置20aは、最終的に配置される前に、開いた状態と閉じた状態との間を何度でも移動することができる。
【0033】
ここで図4を参照すると、医者が、第1のクリップ装置20aをその中の組織と共に堅固に閉じたいと思った場合、スライドリング50aを保持している内側カテーテル70に対して、スタイレット90および第1のクリップ装置20aを張った状態で後退させる。あるいは、スタイレット90を安定的に保持しながら、内側カテーテル70および外側カテーテル80を遠位方向に併進させてもよい。いずれの場合も、図4に示すように、スライドリング50aが十分な力で第1のアーム30aおよび第2のアーム40aに対して遠位方向に並進し、それにより、第1のクリップ装置20aを堅固に閉じるという結果になる。
【0034】
ここで図5を参照すると、次のステップで、外側カテーテル80は、内側カテーテル70に対して近位方向に後退するので、外側カテーテル80の遠位端84が楔部材92に対して近位に配置される。この時点で、楔部材92は、図5に示すように、もはや半径方向に拘束されず、内側カテーテル70の可撓性遠位領域75は、半径方向外側に移動して、締め付け部79をなくすことができる。スライドリング50aは、もはや内側カテーテル70と摩擦嵌合で係合しない。
【0035】
次いで、スタイレット90が、内側カテーテル70に対して遠位方向に進んで、第2のクリップ装置20bの第1のアーム30bおよび第2のアーム40bのそれぞれの遠位端34b、44bが、内側カテーテル70よりも遠位に延びる。この時点で、図5に示すように、第2のクリップ装置20bの第1のアーム30bおよび第2のアーム40bと、第1のクリップ装置20aの近位保持器64aとの間の連結部がむき出しになり、それにより、第1のクリップ装置20aおよび第2のクリップ装置20bは、互いとの係合を切り離すことができる。
【0036】
第1のクリップ装置20aの配置後であるが、第2のクリップ装置20bの配置前に、第1のクリップ装置20aに関して図2で上記に説明した態様で、第2のクリップ装置20bのスライドリング50bを内側カテーテル70の遠位領域75と整列させることができる。次いで、図2〜5で説明した配置の一連の動作を第2のクリップ装置20bに対して実行することができる。有利には、内側カテーテル70および外側カテーテル80を患者の身体から取り出し、クリップ装置を個別に再搬入する必要なしに、上記の態様で、任意の数量のクリップ装置を内側カテーテル70の管腔78に順次搬入して、1つずつ配置することができ、それにより手術時間が節減される。
【0037】
図6を参照して、および上記のように、内側カテーテル70の可撓性遠位領域75は、複数のスリット77を可撓性遠位領域75に形成することで、半径方向内側の方向に選択的に移動することができる。示した実施形態では、カテーテル70の遠位端74に4つのスリット77が形成され、遠位において近位方向に先細りになった態様で延びている。4つのスリット77は、カテーテル70の円周のまわりに半径方向に離間することができる。1つまたは複数の楔部材92は、スリット77間の1つまたは複数の位置で可撓性遠位領域75に取り付けることができる。4つの例示的な先細りスリット77が図6に示されているが、それを超える、またはそれ未満の個数のスリットを採用することができ、スリットは、図示したものとは異なる形状および構成を有することができると理解される。
【0038】
ここで図7〜10を参照すると、代替の送達システムおよび少なくとも1つのクリップ装置を配置する一連の動作が示されている。図7〜10における代替の第1のクリップ装置120aは、主に、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aのそれぞれの近位端132a、142aが、ループ部材の形態で近位保持器164aに一体に形成されており、したがって、図1〜5の近位固定部材60aが削除されているということを除けば、上記の第1のクリップ装置20aと同様である。このようにして、第1のクリップ装置120aは、その近位端のまわりにループをなす1つの連続ワイヤから形成することができ、連続ワイヤは、図7に示し、図12で下記にさらに説明するように、遠位端134a、144aを形成するように曲がっている。
【0039】
ループ部材の形態の近位保持器164aは、スライドリング50aの内径よりも大きい外径を有し、それにより、スライドリング50aの近位方向の移動を制限する。図1〜5の実施形態と同様に、スライドリング50aは、若しくは、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aのそれぞれの遠位端134a、134bに向かって第1のアーム130aおよび第2のアーム140a上をスライドする大きさとされて、アームを閉じた位置に移動させる。第1のクリップ装置120aには、上記の第1のクリップ装置20aと同様に、送達状態、開いた状態、および閉じた状態がある。
【0040】
図7〜10の代替の送達システムは、管腔178を有するカテーテル170を含み、送達状態の第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bの外径よりも全体的に大きい内径を有し、それにより、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bが、図1に示すように、カテーテルの付いた遠位領域175を含む。図10に示すように、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bはカテーテル170の管腔178に収納される。この実施形態では、外側カテーテルは設けられていない。
【0041】
カテーテル170は、遠位端174とテーパの付いた遠位領域175とを有する。好ましくは、遠位領域175に沿って半径方向の可撓性を有することができるように、少なくとも1つのスリット177が、テーパの付いた遠位領域175に形成されるのが好ましい。
【0042】
1つの例示的な方法では、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bは、図7に示すように、第1のクリップ装置120aが、カテーテル170の管腔178内で第2のクリップ装置120bよりも遠位に搬入されるように順次搬入される。スタイレット90は、管腔178内で第2のクリップ装置120bよりも近位の位置に配置することができる。使用時、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bは、第2のクリップ装置120bの遠位端134b、144bが、第1のクリップ装置120aの近位保持器164aと堅固に係合するようにカテーテル170内に搬入することができる。さらに、スタイレット90の保持器92は、図7に示すように、第2のクリップ装置120bの近位端で近位保持器164bと係合している。その結果、スタイレット90が近位方向および遠位方向に進むことで、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bが相応して移動する。
【0043】
特に、カテーテル170は、図10に示すように、テーパの付いた遠位領域175よりも近位の位置で第1の内径Dを有し、遠位端174で、より小さい第2の内径Dを有しており、テーパにより、内径がDからDに縮小する。スライドリング50aは、サイズ寸法がカテーテル170の第1の内径Dと第2の内径Dとの間の大きさである外径を有する。図7に示す送達状態では、大きな力がかかることはなく、テーパの付いた遠位領域175は、第1のクリップ装置120aをカテーテル170の内部に保持するように機能し、アーム130a、140aが誤って貫通するのを防止する。
【0044】
図8を参照すると、次のステップで、スタイレット90はカテーテル170に対して遠位方向に進んで、隣接した態様で、第2のクリップ装置120bを遠位方向に進ませ、相応して、第1のクリップ装置120aを遠位方向に進ませる。スタイレット90は、第1のクリップ装置120aのスライドリング50aが、テーパの付いた遠位領域175に当接し、最終的に、十分な力でテーパの付いた遠位領域175よりも遠位に進むまで遠位方向に進む。テーパの付いた遠位領域175のスリット177は、カテーテル170の遠位端174が、スライドリング50aによってかけられた十分な力が作用したときに曲がるのを可能にし、さらに、テーパの付いた遠位領域175は、スライドリング50aが十分な力を加えたときにそのように曲がるのを容易にする、型成形されたプラスチックなどの材料で形成することができる。この時点で、第1のクリップ装置120aのアーム130a、140aのそれぞれの遠位端134a、144aは、カテーテル170の遠位端174を越えて遠位に進み、拘束を解かれた場合に、図8に示すように、半径方向外側の方向に曲がって互いから離間する傾向がある。
【0045】
図8に示すように、スライドリング50aは、カテーテル170のテーパの付いた遠位領域175のすぐ遠位に配置されているが、第1のクリップ装置120aの近位保持器164aは、カテーテル170の管腔178内に保持されている。カテーテル170のテーパの付いた遠位領域175は、第1のクリップ装置120aの近位保持器164aを取り巻く傾向にあるように偏倚することができる。この時点で、カテーテル170の遠位端174は、図8に示すように、スライドリング50aの近位縁部に突き当たっている。カテーテル170の第2の内径Dは、スライドリング50aの外径未満であるので、スライドリング50aをカテーテル170の管腔178内に引き戻すことはできない。
【0046】
スタイレット90を近位方向に後退させて、第1のクリップ装置120aを少なくとも部分的に閉じることができる。若しくは、遠位端134a、144aが、スライドリング50a内で閉じた状態でロックされる前に、医者は、スタイレット90を近位方向または遠位方向にゆるやかに進ませ、したがって、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aを部分的に閉じ、再度開くこともできる。
【0047】
図9を参照すると、医者が、第1のクリップ装置120aをその中の組織と共に堅固に閉じたいと思った場合、スタイレット90および第1のクリップ装置120aをカテーテル170に対して張った状態で後退させる。あるいは、スタイレット90を安定的に保持しながら、カテーテル170を前進させてもよい。いずれの場合も、図9に示すように、スライドリング50aが第1のアーム130aおよび第2のアーム140aに対して遠位方向に並進し、それにより、第1のクリップ装置120aを堅固に閉じるという結果になる。
【0048】
その後、次いで、スタイレット90がカテーテル170に対して遠位方向に進んで、第2のクリップ装置120bのアーム130b、140bのそれぞれの遠位端134b、144bがカテーテル170よりも遠位に延びる。この時点で、図5の実施形態と同様な態様で、第2のクリップ装置120bの第1のアーム130bおよび第2のアーム140bと、第1のクリップ装置120aの近位保持器164aとの間の連結部がむき出しになり、それにより、第1のクリップ装置120aおよび第2のクリップ装置120bは、互いとの係合を切り離すことができる。
【0049】
次いで、図7〜9で説明した配置の一連の動作を第2のクリップ装置120bに対して実行することができる。有利には、カテーテル170を患者の身体から取り出し、クリップ装置を個別に再搬入する必要なしに、上記の態様で、任意の数量のクリップ装置をカテーテル170の管腔178に順次搬入して、1つずつ配置することができ、それにより手術時間が節減される。
【0050】
ここで図11を参照して、搬入シリンダ190を図1〜6の実施形態か、または図7〜10の実施形態のいずれかと併用して、1つまたは複数のクリップ装置の迅速にかつ効率的な搬入または再搬入を容易にすることができる。図11の実施形態では、搬入シリンダ190は、近位端192および遠位端194と、その間に延びる管腔198とを含む。搬入シリンダ190は、図1〜6の内側カテーテル70または図7〜10のカテーテル170の内径および外径と同一の内径および外径を有することができる。場合によっては、搬入シリンダ190の遠位端194をカテーテル170の近位端172に選択的に連結し、それにより、搬入シリンダ190の管腔198とカテーテル170の管腔178との間の正確な位置合わせを保証する係合機構(図示せず)を設けることができる。
【0051】
図11の実施形態では、示すように、図7〜9のクリップ装置120a、120bと同一である2つの増設クリップ装置120c、120dが、搬入シリンダ190の管腔198に搬入されている。クリップ装置120dの近位保持器164dは、次に、代替のスタイレット90’の保持器92’と係合するために、図11に示すように、搬入シリンダ190の近位端192のすぐ外まで延びることができる。代替のスタイレット90’は、保持器92’が、第1のクリップ装置120aの遠位端134a、144aと構造的に同様であるアーム95、96を含むことを除いて、上記のスタイレット90と同様である。
【0052】
使用時、医者は、図7〜9で上記に説明した態様で、クリップ装置120a、120bを配置することができる。増設クリップ装置120c、120dを担持する搬入シリンダ190は、手術室に備えておくことができる。増設クリップ装置120c、120dが必要とされる場合、スタイレット90’は、カテーテル170の管腔178内から引き戻され、図11に示すように、鞘98の方に回収することができる。次いで、搬入シリンダ190の遠位端194が、カテーテル170の近位端172と並んで、搬入シリンダ190の管腔198が、カテーテル170の管腔178と並ぶ。次いで、スタイレット90’の保持器92’のアーム95、96が、クリップ装置120dの近位保持器164dに連結され、遠位方向に搬入シリンダ190に押し込まれる。スタイレット90’が遠位方向に進むことで、相応して、クリップ装置120c、120dがカテーテル170の管腔178を通って遠位方向に進み、上記の態様で、クリップ装置120c、120dを配置することができる。有利には、内視鏡およびカテーテルは、患者の身体内の所定の位置に残すことができて、出血部位への通路を維持し、より迅速な処置を容易にする。上記のカテーテル70、170は、1つまたは複数の搬入シリンダ190を使用して、必要とされる回数だけ再搬入することができる。さらに、様々な搬入シリンダ190に様々なクリップ種を供給することができる。
【0053】
ここで図12〜15を参照すると、可能な各種クリップ構造の特徴が示されている。図12では、図7〜10の実施形態のクリップ装置120aが単独で示されている。一実施形態では、クリップ装置120aは、送達状態で約10mm〜約25mmの長さを有する。開いた状態では、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aのそれぞれの遠端134a、144a間の距離は、約6mm〜約10mmとすることができる。クリップ装置120aを形成するワイヤには、幅が約0.8mm〜約1.0mmで、厚さが約0.1mm〜約0.2mmの平ワイヤが含まれ得る。図1〜6または図7〜10に示す送達システムと併用する場合、クリップ装置120aおよび付属するスライドリング50aは、直径が2.8mmまたは3.2mmの内視鏡チャネルに嵌め込むことができる。上記のように、クリップ装置120aは、ニチノール、または送達カテーテルから取り出したときに図12に示す開いた状態をとるように偏倚することができる他の材料などの任意の適切な材料で形成することができ、任意選択的に、吸収性材料で形成することができる。
【0054】
図13では、代替のクリップ装置120a’は、図7〜9および図12で上記に説明したように、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aを形成するように曲げられたワイヤで形成されているが、増設ワイヤセグメントが設けられ、近位端152aおよび遠位端154aを有する第3のアーム150aを形成している。したがって、3突起のクリップ装置120a’が形成されている。第3のアーム150aの近位端152aは、アーム130a、140aのそれぞれの近位端132a、142aによって形成されたループの一部にはんだ付けすることができ、それにより、近位保持器164a’を形成している。さらなる代替案では、クリップ装置は、クリップ装置120a’と同様とすることができるが、第4のアームを含むことができ、第4のアームは、互いから約90°だけ等間隔に離間してよいし、または互いから異なる距離だけ不定に離間してもよい。
【0055】
図14では、代替のクリップ装置120a’’は、増設ワイヤが、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aを形成するワイヤの内側に配置されていることを除いて、クリップ装置120aと実質的に同一である。増設ワイヤは、近位端132a’’、142a’’をそれぞれ有する第3のアーム130a’’および第4のアーム140a’’を形成している。図14に示すように、近位端132a’’、142a’’は、近位保持器164’’を形成するように、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aのそれぞれの近位端132a、142aによって形成されたループ部材の内側に配置されたループ部材を形成している。さらに、図14に示すように、第3のアーム130a’’および第4のアーム140a”は遠位端134a’’、144a’’を有し、遠位端134a’’、144a’’ は、第1のアーム130aおよび第2のアーム140aのそれぞれの遠位端134a、144aから若干ずらすことができる。
【0056】
図15では、代替のクリップ装置220は、近位端232、242をそれぞれ有する第1のアーム230および第2のアーム240を形成するように1つのワイヤが曲げられ、近位端が互いに連結されて、ループ部材の形態の近位保持器264を形成しているという点でクリップ装置120aと同様である。第1のアーム230および第2のアーム240は、それぞれ遠位端234、244をさらに含む。この実施形態では、第1および第2のアームを形成するワイヤは丸い断面形状を有する。組織と係合する表面領域をより大きくし、かつよりとがらせるために、把持部材250a、250bが、第1のアーム230および第2のアーム240のそれぞれの遠位端234、244の外側面に連結されている。把持部材250a、250bは、はんだ、溶接、機械式連結、または他の適切な技術を使用して、第1のアーム230および第2のアーム240に連結することができる。把持部材250a、250bは、組織と堅固に係合するために半径方向内側に曲げられた、とがった遠位先端部255を含む。当然のことながら、平ワイヤ断面が本明細書で示される場合、丸ワイヤ断面を用いることもでき、逆も同様である。
【0057】
本発明の様々な実施形態が説明されたが、本発明は、添付の請求項およびそれらの等価物を考慮した場合を除いて、限定されるものではない。さらに、本明細書で説明した利点は、必ずしも単に本発明だけの利点とは限らず、本発明のすべての実施形態が、必ずしも説明した利点のすべてを達成すると考えられるわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15