(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655152
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】極地用試錐船
(51)【国際特許分類】
B63B 35/00 20060101AFI20141218BHJP
B63B 35/44 20060101ALI20141218BHJP
【FI】
B63B35/00 M
B63B35/44 D
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-536486(P2013-536486)
(86)(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公表番号】特表2013-540646(P2013-540646A)
(43)【公表日】2013年11月7日
(86)【国際出願番号】KR2011004691
(87)【国際公開番号】WO2012060531
(87)【国際公開日】20120510
【審査請求日】2013年4月26日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0107702
(32)【優先日】2010年11月1日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】510046631
【氏名又は名称】デウ シップビルディング アンド マリーン エンジニアリング カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510078540
【氏名又は名称】トランスオーシャン セドコ フォレックス ベンチャーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】リー ギ ユン
(72)【発明者】
【氏名】リー ヒュン ギ
(72)【発明者】
【氏名】ノーマル ディー ハワード
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−126589(JP,U)
【文献】
特公平05−005717(JP,B2)
【文献】
特許第3868902(JP,B2)
【文献】
特開昭59−223593(JP,A)
【文献】
米国特許第03749162(US,A)
【文献】
実公平03−005197(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00 − 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
極地で運用可能な試錐船であって、
ドリルフロアの上にデリックが固定され、
前記ドリルフロア及び試錐作業区域を外気から保護するために、ウェザータイト構造物の左側壁及び右側壁は試錐作業区域を中心に船側外板と同一平面を成すように連結され、
前記ウェザータイト構造物の前側壁及び後側壁は前記試錐作業区域の前後側で最上甲板に連結され、
前記ウェザータイト構造物に加えられるドリリングの運用荷重に対する補強のために設けられる補強部が、前記左側壁、右側壁、前側壁及び後側壁に連結され、
前記補強部は前記ドリルフロアの下部構造を形成し、
前記ドリルフロアは、両側が船体の幅に対応する位置まで延長して形成され、前記デリックの荷重が前記船側外板にかかることを特徴とする極地用試錐船。
【請求項2】
前記ウェザータイト構造物の補強部は格子桁構造を有することを特徴とする請求項1に記載の極地用試錐船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極地用試錐船に関し、より詳細には、極地での試錐作業に対する外気の影響を最小化するためのウェザータイト(weather tight)構造を経済的且つ容易に設けることができるようにし、試錐作業区域において邪魔になる構造物を最小化するように構成された極地用試錐船に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、試錐船は、原油やガスなどの海洋地下資源を探査して試錐する船舶を称するものであり、固定式プラットホーム、半潜水式試錐船、ドリルシップなどがある。
【0003】
このような試錐船は、海底面に埋め込まれている石油や天然ガスの探査及び採掘に要される技術の急速な発展により、水深200m程度の大陸棚のような浅い海域から、2,000m以上の深海や極地のような劣悪な環境の地域にまで、作業海域が拡大している。
【0004】
図1は従来の技術による試錐船を図示した横断面図である。
図1に図示されたように、従来の技術による試錐船10は、船体11のデッキ(deck)上にドリルフロア(drill floor)12が設けられ、ビーム(beam)及び各種試錐装備で構成されている複雑な形態の大型構造物であるデリック(derrick)13がドリルフロア12に固定され、試錐装備の装着のために試錐井(drill well)のような大規模のムーンプール(moon pool)14が船体11に形成される。
【0005】
このような従来の試錐船は、極地で作業する場合、外気の温度によって試錐装備及び作業空間が低温の外気に露出され試錐作業が困難になるため、試錐装備及び作業空間を外気の露出から遮断しなければならない。
【0006】
しかし、試錐船の場合、主要な試錐装備がリグフロア(rig floor)、最上甲板、及びムーンプールの区域に広範囲に配置されるため、既存のドリルシップの船体タイプに船殻化構造物で試錐作業区域を遮断するように製作することが困難であるだけでなく、非経済的である。また、試錐の運用特性を考慮すると、運用時に干渉の危険がある構造が所々に配置されることを避けることができないという問題点を有していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためのものであり、船側外板地点または船側外板に近い地点から最上甲板の上部に、一つのコンパートメント(compartment)の概念で、ウェザータイト(weather tight)構造物を形成することにより、極地での試錐作業における外気による影響を最小化し、試錐作業区域において邪魔になる構造物を最小化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を果たすための本発明の一側面によると、極地で運用可能な試錐船であって、ドリルフロア及び試錐作業区域を外気から保護するために、ウェザータイト構造物の左側壁及び右側壁は試錐作業区域を中心に船側外板に連結され、前記ウェザータイト構造物の前側壁及び後側壁は前記試錐作業区域の前後側で最上甲板に連結され、前記ウェザータイト構造物に加えられるドリリングの運用荷重に対する補強のために設けられる補強部が、前記左側壁、右側壁、前側壁及び後側壁に連結されていることを特徴とする極地用試錐船が提供される。
【0009】
前記ウェザータイト構造物の補強部は格子桁構造を有することが好ましい。
【0010】
前記補強部は前記ドリルフロアの下部構造を形成することが好ましい。
【0011】
前記ドリルフロアは、両側が船体の幅に対応する位置まで延長して形成されることが好ましい。
【0012】
前記左側壁及び右側壁の下端は、前記船側外板と同一平面を成すように互いに連結されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、極地での試錐作業に対する外気の影響を最小化するためのウェザータイト(weather tight)構造を経済的且つ容易に製作することができる。また、船側外板のみで船体縦強度部材及びウェザータイト構造物を効率的に支持することにより、試錐作業区域において邪魔になる構造物を最小化し、極地での試錐作業空間に対する構造補強材を別に設ける必要がないだけでなく、極地での試錐作業空間の確保に効果的であり、ムーンプールの上部区域の空間制約を解決することができる。
【0014】
また、本発明によると、船側外板と連結された上部構造は、ウェザータイト構造の前側壁及び後側壁とともに格子桁構造(Grillage Girder System)を形成することができるため、上部構造(例えば、ドリルフロア)に加えられるドリリングの運用荷重に対する補強が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来の技術による極地用試錐船を図示した横断面図である。
【
図2】本発明による極地用試錐船を図示した横断面図である。
【
図3】本発明による極地用試錐船を図示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施例に係る構成及び作用を詳細に説明すると次のとおりである。また、下記実施例は、様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。
【0017】
図2は本発明による極地用試錐船を図示した横断面図であり、
図3は本発明による極地用試錐船を図示した縦断面図である。
【0018】
図2及び
図3に図示されたように、本発明による極地用試錐船100は、極地で運用可能な試錐船であり、ドリルフロア(drill floor)120及び試錐作業区域140を外気から保護するウェザータイト構造物(weather tight structure)130が試錐作業区域140を中心に船側外板110に連結される。
【0019】
ウェザータイト構造物130は、ドリルフロア120及び試錐作業区域140を外気から保護するために、ドリルフロア120及び試錐作業区域140を包むように製作される。
図2に図示されたように、ウェザータイト構造物130の左右側には、下方に延長して船側外板110に連結されるための連結部、即ち、左右側壁132が形成され、
図3に図示されたように、ウェザータイト構造物130の前後側には前側壁135及び後側壁136が形成される。
【0020】
左右側壁132の下端は、例えば熔接や別の締結部材により、船側外板110と略同一平面を成すように互いに連結されることができる。一方、前側壁135及び後側壁136の下端は、例えば熔接や別の締結部材により、最上甲板150上に互いに連結されることができる。
図3には、前側壁135及び後側壁136の下端が最上甲板150と直角を成すように図示されているが、前側壁135と後側壁136のうち少なくとも一つは最上甲板150に傾斜するように連結されることができることはいうまでもない。
【0021】
従って、ウェザータイト構造物130は、ムーンプール(moon pool)160からドリルフロア120に至る区域を外気から遮断するだけでなく、船体180に容易に設けられることができる。
【0022】
ドリルフロア120の上にはデリック(derrick)170が固定され、試錐作業区域140の確保、試錐作業区域140に干渉を起こす構造物の最小化、及びウェザータイト構造物130の安定した支持のために、ドリルフロア120の両側が船体180の幅に対応する位置まで延長して形成されることができる。これにより、ウェザータイト構造物130も船体180の幅と相応する幅を有するようになる。
【0023】
ウェザータイト構造物130は、デリック170などの荷重を安定して支持するために、格子桁構造(grillage girder system)を有する補強部133を備えることができる。ここで、補強部133は、例えばドリルフロア120の下部構造を成すことができ、左右側壁132と前後側壁135、136(即ち、ウェザータイト構造物130の長さ方向の両端構造)とによって製作されることができる。これにより、ウェザータイト構造物130に加えられるドリリングの運用荷重に対する補強を可能にする。
【0024】
また、ウェザータイト構造物130は、上方に突出するデリック170を包むための遮断部131を備えることができる。これにより、デリック170を介する外気の出入りを遮断することができる。
【0025】
このような本発明による極地用試錐船の作用について説明する。
【0026】
本発明によると、ドリルフロア120及び試錐作業区域140を包むウェザータイト構造物130が船側外板110に連結されることにより、船体縦強度部材及びウェザータイト構造物130が容易に設けられることができる。これにより、ウェザータイト構造物130によってムーンプール160からドリルフロア120に至る全区域を外気から保護することができる。
【0027】
また、ウェザータイト構造物130の左右側壁132は船側外板110に連結され、ウェザータイト構造物130の前後側壁135、136は最上甲板150に連結されるため、格子桁構造を形成して、ウェザータイト構造物130の上部に加えられるドリリングの運用荷重に対する補強が可能になる。さらに、ウェザータイト構造物130の設置にかかる時間及びコストを減らすことができ、ウェザータイト構造物130の補強構造が試錐作業の運用に邪魔にならないようにすることができ、ウェザータイト構造物130の補強部133によって試錐作業時に発生する可能性のある運用荷重及び環境荷重に耐えるようにする。これにより、極地での試錐作業空間に対する別の構造補強材を設ける必要がないだけでなく、極地での試錐作業空間を効果的に確保することができ、ムーンプール160の上部区域の空間が制約されてしまうことを防止する。