特許第5655155号(P5655155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655155情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655155
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/117 20060101AFI20141218BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20141218BHJP
   G07D 9/00 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   A61B5/10 320C
   G06T1/00 400H
   A61B5/10 320Z
   !G07D9/00 461A
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-540579(P2013-540579)
(86)(22)【出願日】2011年10月27日
(86)【国際出願番号】JP2011074827
(87)【国際公開番号】WO2013061446
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2013年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092152
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 毅巖
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 英夫
(72)【発明者】
【氏名】皆川 彰孝
(72)【発明者】
【氏名】東浦 康之
(72)【発明者】
【氏名】鎹 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】井出 克美
【審査官】 後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−156936(JP,A)
【文献】 特開2008−250601(JP,A)
【文献】 特開平9−108204(JP,A)
【文献】 特開2007−159610(JP,A)
【文献】 特開昭63−4381(JP,A)
【文献】 特開2005−71118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/107
A61B 5/117
G06T 1/00
G06K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体から生体情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部に対応して前記生体を保持する保持部と、
前記保持部により保持された前記生体の姿勢を変更する姿勢変更部と、
前記情報取得部により複数の異なる姿勢毎に取得した生体情報の特徴量を評価する評価部と、
取得した複数の前記生体情報のうち前記評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した前記生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから前記生体の照合に用いる照合用情報を生成する生成部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記姿勢変更部は、所定の姿勢調整範囲を所定の調整単位で姿勢変更をおこなうことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記姿勢変更部は、前記姿勢調整範囲内に初期値を設定し、正方向または負方向のうちいずれか一方に前記調整単位で姿勢変更をおこない、前記姿勢調整範囲から外れた場合に一旦初期値に復帰してから、正方向または負方向のうちのもう一方に前記調整単位で姿勢変更をおこなうことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記姿勢変更部は、前記姿勢調整範囲内に初期値を設定し、前記姿勢変更の都度、一旦初期値に復帰することを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記姿勢変更部は、
前記生体について第1部位の姿勢を変更可能な第1姿勢変更部と、
前記生体について前記第1部位と異なる第2部位の姿勢を変更可能な第2姿勢変更部と、を備え、
前記生成部は、前記照合用情報に含まれる前記生体情報を選択する前に、前記第2部位の姿勢を固定して前記第1部位の姿勢を変更して取得した複数の生体情報の評価にもとづき選択した1以上の第1部位の姿勢と、前記第1部位の姿勢を固定して前記第2部位の姿勢を変更して取得した複数の生体情報の評価にもとづき選択した1以上の第2部位の姿勢と、の組み合わせパタンを生成し、前記組み合わせパタンとなる姿勢で取得した生体情報について前記照合用情報に含まれる前記生体情報の選択候補とする、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記照合用情報を照合対象者ごとの照合用情報記録媒体に登録する登録部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
保持部により保持された生体の姿勢を変更し、
複数の異なる姿勢毎に前記生体から生体情報を取得し、
取得した前記生体情報の特徴量を評価し、
取得した複数の前記生体情報のうち前記評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した前記生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから前記生体の照合に用いる照合用情報を生成する、
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
保持部により保持された生体の姿勢を変更し、
複数の異なる姿勢毎に前記生体から生体情報を取得し、
取得した前記生体情報の特徴量を評価し、
取得した複数の前記生体情報のうち前記評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した前記生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから前記生体の照合に用いる照合用情報を生成する、
処理を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体には、個人を識別可能な生体情報があり、それらのうちのいくつかは、個人を特定して認証するための情報として利用されている。たとえば、認証に利用可能とされる生体情報には、指紋、目の網膜や虹彩、顔、血管、DNA(Deoxyribo Nucleic Acid)などがあることが知られている。
【0003】
近年の生体認証技術の進展に伴い、このような人体の一部である生体の特徴を認識して、個人認証する装置が種々提供されている。生体認証では、登録時に採取した生体情報(登録テンプレート)と、認証時に取得した生体情報とを比較することで認証をおこなう。
【0004】
この生体情報による認証の精度向上のためには、認証の都度、一定の精度の生体情報を取得することが望ましい。しかしながら、認証対象となるユーザは、認証の際に、必ずしも適切な姿勢を取るわけではない。そのため、手のひらや指の静脈を用いて認証をおこなう場合に、指の先端や付け根を位置決めガイドに接触させて、手を適切な位置に案内する位置決め装置の提案がある。
【0005】
また、照合用の指静脈パタンを取得する際に、指置き部を駆動装置により上下方向や左右方向へ動かすことにより、複数の指姿勢の指静脈パタンを取得する生体情報読取システムの提案がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−47119号公報
【特許文献2】特開2008−250601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、個人ごとに生体の形状が異なることから、生体の特徴をよりよく取得可能な姿勢は、個人ごとに異なる場合があり、一律に最適な姿勢を案内することは困難である。また、生体情報を記録するパタン数の増大は、生体情報を記録する記録容量の増大や、認証時の認証速度の低下、他人受入率の増大などの問題を惹起する。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、個人差を考慮して、照合に用いる生体情報を取得し得る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、情報処理装置は、情報取得部と、保持部と、姿勢変更部と、評価部と、生成部と、を備える。情報取得部は、生体から生体情報を取得する。保持部は、情報取得部に対応して生体を保持する。姿勢変更部は、保持部により保持された生体の姿勢を変更する。評価部は、情報取得部により複数の異なる姿勢毎に取得した生体情報の特徴量を評価する。生成部は、取得した複数の生体情報のうち評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから生体の照合に用いる照合用情報を生成する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、コンピュータが実行する情報処理方法は、保持部により保持された生体の姿勢を変更し、複数の異なる姿勢毎に生体から生体情報を取得し、取得した生体情報の特徴量を評価し、取得した複数の生体情報のうち評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから生体の照合に用いる照合用情報を生成する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、情報処理プログラムは、保持部により保持された生体の姿勢を変更し、複数の異なる姿勢毎に生体から生体情報を取得し、取得した生体情報の特徴量を評価し、取得した複数の生体情報のうち評価にもとづいて選択した生体情報と、選択した生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから生体の照合に用いる照合用情報を生成する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムによれば、個人差を考慮して、照合に用いる生体情報を取得し得る。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は本発明の例として好ましい実施の形態を表す添付の図面と関連した以下の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の情報処理装置の構成を示す図である。
図2】第2の実施形態の認証システムの構成を示す図である。
図3】第2の実施形態のセンサユニットの外観を示す図である。
図4】第2の実施形態の三指支持部の指間隔変更の一例を示す図である。
図5】第2の実施形態の第1指/第5指支持部の第1指/第5指垂れ量変更の一例を示す図である。
図6】第2の実施形態の手首支持部の手首支持部位置変更の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態のセンサユニットの構成を示す図である。
図8】第2の実施形態の登録装置のハードウェア構成例を示す図である。
図9】第2の実施形態のテンプレート登録処理のフローチャートである。
図10】第2の実施形態の手首支持部位置調整処理のフローチャートである。
図11】第2の実施形態の姿勢調整範囲決定処理のフローチャートである。
図12】第2の実施形態の指間隔変更処理のフローチャートである。
図13】第2の実施形態の第1指/第5指垂れ量変更処理のフローチャートである。
図14】第2の実施形態の照合用生体情報抽出処理のフローチャートである。
図15】第2の実施形態の指間隔生体情報テーブルの一例を示す図である。
図16】第2の実施形態の第1指/第5指垂れ量生体情報テーブルの一例を示す図である。
図17】第2の実施形態の序列テーブルの一例を示す図である。
図18】第2の実施形態の組み合わせ生体情報テーブルの一例を示す図である。
図19】第2の実施形態の認証処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態の情報処理装置について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態の情報処理装置の構成を示す図である。
【0015】
情報処理装置1は、生体情報を用いたユーザの認証に際し、あらかじめ登録しておく照合用情報を生成する。生体情報は、ユーザの生体に固有のユーザを一意に識別可能な情報である。生体情報は、たとえば、手のひらの静脈パタンがある。
【0016】
情報処理装置1は、保持部1aと、姿勢変更部1bと、情報取得部1cと、評価部1dと、生成部1eと、を備える。保持部1aは、生体2から生体情報を取得する際に、生体2を保持する。情報取得部1cは、保持部1aにより保持された生体2から生体情報を取得する。姿勢変更部1bは、保持部1aにより保持された生体2の姿勢を変更する。これにより、情報処理装置1は、生体2からさまざまな姿勢の生体情報を取得可能である。
【0017】
評価部1dは、情報取得部1cにより複数の異なる姿勢毎に取得した生体情報の特徴量を評価する。生成部1eは、取得した複数の生体情報のうち、評価部1dがおこなった評価にもとづいて照合用の生体情報を選択する。生成部1eは、選択した生体情報に対応した姿勢を特定可能な姿勢情報とから生体の照合に用いる照合用情報を生成する。姿勢情報は、姿勢変更部1bが変更した姿勢を特定可能な情報である。
【0018】
これにより、情報処理装置1は、生体2から取得したさまざまな姿勢の生体情報から照合に用いる生体情報を取得し、照合に適した生体情報を選択する。すなわち、情報処理装置1は、個人ごとに適正姿勢が異なる場合であっても、照合に適した生体情報を選択することができる。そして、情報処理装置1は、生体情報と、生体情報に対応した姿勢情報とから照合用情報を生成することで、登録時と同様の姿勢で認証をおこなうことを可能にする。
【0019】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の認証システムについて、図2を用いて説明する。図2は、第2の実施形態の認証システムの構成を示す図である。第2の実施形態として、認証システム3が手のひらの静脈を用いて認証をおこなう情報処理システムを例示するが、これに限らず、姿勢の変化により特徴量も変化する生体のその他の特徴検出部位で認証をおこなうシステムにも適用可能である。より好ましくは、認証システム3は、ヨーイング、ピッチング、ローリング等の姿勢変化だけでなく、手のひらのように形状変化を伴う姿勢変化のある特徴検出部位で認証をおこなうシステムに適用可能である。
【0020】
認証システム3は、生体の特徴を認識して個人を特定して認証する情報処理システムの1つであり、たとえば、銀行システムなどで顧客の認証をおこなう。認証システム3は、登録装置10、複数の自動預払装置6、および認証サーバ4などの情報処理装置と、ネットワーク8を含んで構成される。
【0021】
認証サーバ4は、個人を識別するための識別情報と、生体認証前にあらかじめ登録される照合用情報(テンプレート)とを関連付けて記憶する。個人を識別するための識別情報は、利用者に直接的(たとえば、利用者番号)に、あるいは間接的(たとえば、口座番号)に付されたユニークなID(IDentification)である。
【0022】
あらかじめ登録される照合用情報は、照合用生体情報と、照合用姿勢情報とを含む。照合用生体情報は、画像情報から所定の特徴抽出アルゴリズムで特徴部を抽出した特徴情報、画像情報または特徴情報を符号化した符号化情報等である。照合用姿勢情報は、照合時の姿勢を指定する情報である。
【0023】
自動預払装置6は、金融機関の屋内にあるATM(Automated Teller Machine)コーナ5や、ATMブース7に、1台または複数台が設置される。自動預払装置6は、金融取引に先立ち、利用者を認証する際に、生体認証をおこなう認証装置の1つである。自動預払装置6は、IC(Integrated Circuit)カードリーダライタ17とセンサユニット20を備える。
【0024】
センサユニット20は、撮像装置を備え、利用者の手のひらの静脈像を撮影する。自動預払装置6は、ICカードリーダライタ17が利用者のICカード(たとえば、ICチップ内蔵型キャッシュカード)から読み取る識別情報から特定する照合用情報(照合用生体情報)と、センサユニット20から取得する利用者の生体情報とから、利用者の認証をおこなう。
【0025】
センサユニット20は、照合用姿勢情報にもとづいて利用者の手のひらの姿勢を、テンプレート登録時と同様の姿勢で保持する。センサユニット20は、テンプレート登録時と同様の姿勢で生体情報を取得する。すなわち、センサユニット20は、生体情報を取得する生体情報取得装置であり、自動預払装置6は、生体情報取得装置を備える認証装置である。
【0026】
登録装置10は、銀行の窓口などに設けられ、係員の指示または操作にしたがい、利用者のテンプレート登録をおこなう装置である。登録装置10は、処理装置11と、ディスプレイ12と、センサユニット20を含んで構成され、必要に応じてキーボード13と、マウス14と、ICカードリーダライタ15等を含んで構成される。センサユニット20は、撮像装置を内蔵し、利用者の手のひらを撮影し、処理装置11に撮影画像を出力する。ICカードリーダライタ15は、利用者のICカード16の情報を読み書きする。キーボード13と、マウス14は、入力操作を受け付ける。
【0027】
ここで、登録装置10におけるテンプレート登録(照合用情報の登録)について説明する。テンプレート登録を求める利用者は、利用者を識別するための識別情報(たとえば、ユーザID)の入力をキーボード13、マウス14、あるいはICカードリーダライタ15によりおこなう。登録装置10は、ディスプレイ12を用いた表示によりテンプレート登録を利用者に案内し、テンプレート登録するための生体情報の入力を求める。利用者は、センサユニット20に手をかざすことにより、生体情報の入力をおこなう。センサユニット20は、手の姿勢を変更しながら複数の生体情報を取得し、取得した複数の生体情報から登録する生体情報を選択する。
【0028】
登録装置10は、選択した生体情報と、選択した生体情報に対応する姿勢情報とから照合用情報を作成して、処理装置11の記憶部、認証サーバ4の記憶部、または利用者のICカード16の記憶部のうち少なくともいずれか1つに記録する。自動預払装置6は、生体認証をおこなう際に、認証サーバ4の記憶部、またはICカード16の記憶部にテンプレートを照会して、入力された生体情報の照合をおこなう。
【0029】
次に、第2の実施形態のセンサユニットについて、図3から図6を用いて説明する。図3は、第2の実施形態のセンサユニットの外観を示す図である。図4は、第2の実施形態の三指支持部の指間隔変更の一例を示す図である。図5は、第2の実施形態の第1指/第5指支持部の第1指/第5指垂れ量変更の一例を示す図である。図6は、第2の実施形態の手首支持部の手首支持部位置変更の一例を示す図である。
【0030】
センサユニット20は、手のひらを支持するガイド部40と、手のひらを撮影するセンサ26とを備える。ガイド部40は、上面を開放した箱型の形状であり、底部から開口部に向かって拡開する凹室24を有する。凹室24は、センサ26と手のひらとの距離を適正位置とする。また、凹室24は、センサ26の撮影範囲の外乱光の侵入防止や、不要な背景の写り込みを防止する。
【0031】
センサ26は、凹室24の底面に位置して開口を臨む。センサ26は、手のひらを撮影するイメージセンサ(たとえば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、CCD(Charge Coupled Device)センサなど)と、集光レンズと、被写体に照射して被写体との距離を測距するための複数の発光素子(LED:Light Emitting Diode)とを備える。
【0032】
ガイド部40は、三指支持部21と、第1指/第5指支持部25と、手首支持部27とを備える。三指支持部21は、2個の指分離リブ22を有し、2個の指分離リブ22により、三指(示指、中指、薬指)の位置を決めて支持する。2個の指分離リブ22は、位置が変更可能であって、三指支持部21に載置された指の指間隔を調整可能である。たとえば、ガイド部40は、三指支持部21に載置された指の指間隔W2を狭くして指間隔W1とすることができる。また、ガイド部40は、三指支持部21に載置された指の指間隔W2を広くして指間隔W3とすることができる。
【0033】
第1指/第5指支持部25は、凹室24の左右に配置された支持部材であり、第1指および第5指、あるいは第1指および第5指に加えて拇指丘または小指丘を支持可能である。第1指/第5指支持部25は、高さが変更可能であって、第1指/第5指支持部25に載置された第1指および第5指の垂れ量(高さ)を調整可能である。
【0034】
第1指および第5指の垂れ量の調整は、第1指の付け根部となる拇指丘または第5指の付け根部となる小指丘が、手のひらの中央部よりも隆起しているうえ、その隆起量に個人差があることから、個人ごとの姿勢を適正にするものである。たとえば、ガイド部40は、第1指/第5指支持部25に載置された第1指および第5指の第1指/第5指垂れ量H2を小さくして第1指/第5指垂れ量H1とすることができる。また、ガイド部40は、第1指/第5指支持部25に載置された第1指および第5指の第1指/第5指垂れ量H2を大きくして第1指/第5指垂れ量H3とすることができる。
【0035】
手首支持部27は、手首を支持する。手首支持部27は、手のひらの位置を前後方向(前後軸に沿う方向)に調整可能である。たとえば、ガイド部40は、手首支持部27を前進して、手首支持位置L2から手首支持位置L1に調整することができる。また、ガイド部40は、手首支持部27を後退して、手首支持位置L2から手首支持位置L3に調整することができる。
【0036】
このように、ガイド部40は、2個の指分離リブ22により、手のひらをガイド部40に置いた時に、自然に指を開かせることができ、手のひら全体が水平となるように案内することができる。また、ガイド部40は、2個の指分離リブ22により、手のひらと指との境界が明示されるので、手のひらの輪郭抽出精度の向上に貢献する。また、ガイド部40は、第1指/第5指支持部25により手のひら全体が水平となり、静脈パタンの変形を低減して認証精度の安定に貢献する。
【0037】
次に、センサユニット20の構成について図7を用いて説明する。図7は、第2の実施形態のセンサユニットの構成を示す図である。
センサユニット(生体情報取得装置)20は、センシング部30とガイド部(案内装置)40とを備える。センシング部30は、手のひらの静脈像を撮影し、撮影データを処理装置11に送信する。センシング部30は、記憶部31と、撮影部32と、制御部33と、通信部34を備える。
【0038】
制御部33は、各処理部を統括的に制御する。撮影部(センサ26)32は、被写体となる生体から画像情報を取得する。記憶部31は、撮影部32が取得した画像情報を一時的に記憶する。通信部34は、処理装置11およびガイド部40と通信をおこなう。
【0039】
撮影部32は、被写体となる生体(手のひら)からの近赤外線の反射光を撮影する。静脈に流れる赤血球の中のヘモグロビンは、酸素を失っていることから、このヘモグロビン(還元ヘモグロビン)は、700nm(ナノメートル)〜1000nm付近の近赤外線を吸収する性質がある。そのため、手のひらに近赤外線を当てると、静脈がある部分だけ反射が少なく、静脈の位置は、近赤外線の反射光の強弱により認識可能となる。撮影部32による撮影画像は、特定の光源を用いることにより特徴的な情報の抽出が容易になるが、無彩色の画像となる。
【0040】
ガイド部40は、手のひらの姿勢を変更し、変更した姿勢を特定可能な制御データを処理装置11に送信する。ガイド部40は、処理装置11への制御データの送信を、センシング部30を介しておこなうことができる。
【0041】
ガイド部40は、通信部41と、制御部42と、モータ(たとえば、ステッピングモータ)44,45,46と、位置センサ47,49,51と、負荷センサ48,50,52を備える。制御部42は、各処理部を統括的に制御する。通信部41は、センシング部30と通信をおこなう。
【0042】
モータ44は、指分離リブ22を駆動する。モータ45は、第1指/第5指支持部25を駆動する。モータ46は、手首支持部27を駆動する。位置センサ47は、指分離リブ22の位置を検出する。位置センサ47は、指分離リブ22の位置検出をモータ44の駆動量により検出してもよい。位置センサ49は、第1指/第5指支持部25の位置を検出する。位置センサ49は、第1指/第5指支持部25の位置検出をモータ45の駆動量により検出してもよい。位置センサ51は、手首支持部27の位置を検出する。位置センサ51は、手首支持部27の位置検出をモータ46の駆動量により検出してもよい。負荷センサ48は、モータ44の負荷を検出する。負荷センサ50は、モータ45の負荷を検出する。負荷センサ52は、モータ46の負荷を検出する。
【0043】
なお、モータ44,45,46が駆動部を駆動する駆動機構については、カムなどを用いた既知の駆動機構を用いることができる。
制御部42は、位置センサ47が検出する指分離リブ22の位置にしたがい、モータ44を駆動する。また、制御部42は、ユーザの安全のため、負荷センサ48の負荷検出にしたがいモータ44の駆動を停止する。制御部42は、位置センサ49が検出する第1指/第5指支持部25の位置にしたがい、モータ45を駆動する。また、制御部42は、ユーザの安全のため、負荷センサ50の負荷検出にしたがいモータ45の駆動を停止する。制御部42は、位置センサ51が検出する手首支持部27の位置にしたがい、モータ46を駆動する。また、制御部42は、ユーザの安全のため、負荷センサ52の負荷検出にしたがいモータ46の駆動を停止する。
【0044】
次に、登録装置10のハードウェア構成例について図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態の登録装置のハードウェア構成例を示す図である。
登録装置10は、処理装置11、ディスプレイ12、キーボード13、マウス14、センサユニット20、ICカードリーダライタ15を備える。
【0045】
処理装置11は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、HDD(Hard Disk Drive)103、通信インタフェース104、グラフィック処理装置105、および入出力インタフェース106が接続されている。
【0046】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。HDD103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0047】
グラフィック処理装置105には、ディスプレイ12が接続されている。グラフィック処理装置105は、CPU101からの命令にしたがって、画像をディスプレイ12の画面に表示させる。
【0048】
入出力インタフェース106には、キーボード13、マウス14、センサユニット20、ICカードリーダライタ15が接続されている。また、入出力インタフェース106は、可搬型記録媒体110への情報の書込み、および可搬型記録媒体110への情報の読出しが可能な可搬型記録媒体インタフェースと接続可能になっている。入出力インタフェース106は、キーボード13、マウス14、センサユニット20、ICカードリーダライタ15、可搬型記録媒体インタフェースから送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。
【0049】
通信インタフェース104は、ネットワーク8に接続されている。通信インタフェース104は、その他のコンピュータ(たとえば、認証サーバ4)との間でデータの送受信をおこなう。
【0050】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、認証サーバ4、自動預払装置6も同様のハードウェア構成で実現できる。
なお、処理装置11は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU101を有しない構成とすることもできる。その場合、処理装置11は、それぞれ不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、フラッシュメモリ型メモリカードなど)を備え、モジュールのファームウェアを記憶する。不揮発性メモリは、可搬型記録媒体110、あるいは通信インタフェース104を介してファームウェアを書き込むことができる。このように処理装置11は、不揮発性メモリに記憶されているファームウェアを書き換えることにより、ファームウェアの更新をすることもできる。
【0051】
次に、登録装置10が実行するテンプレート登録処理について図9を用いて説明する。図9は、第2の実施形態のテンプレート登録処理のフローチャートである。テンプレート登録処理は、たとえば、係員によるテンプレート登録の実行操作にもとづいて実行される。
【0052】
[ステップS11]処理装置11は、テンプレート登録の開始を報知する。テンプレート登録の開始の報知は、ディスプレイ12による表示や、図示しないスピーカによる音声を用いておこなうことができる。たとえば、処理装置11は、ディスプレイ12に「テンプレート登録を開始します。」と表示する。
【0053】
[ステップS12]処理装置11は、手のひらと指との境界がセンサ26の撮影範囲内となるように手首支持部位置を調整する手首支持部位置調整処理を実行する。手首支持部位置調整処理の詳細は、図10を用いて後で説明する。
【0054】
[ステップS13]処理装置11は、指間隔と、第1指/第5指垂れ量の調整範囲を決定する姿勢調整範囲決定処理を実行する。姿勢調整範囲決定処理の詳細は、図11を用いて後で説明する。
【0055】
[ステップS14]処理装置11は、指間隔を変更する指間隔変更処理を実行する。指間隔変更処理の詳細は、図12および図15を用いて後で説明する。
[ステップS15]処理装置11は、第1指/第5指垂れ量を変更する第1指/第5指垂れ量変更処理を実行する。第1指/第5指垂れ量変更処理の詳細は、図13および図16を用いて後で説明する。
【0056】
[ステップS16]処理装置11は、照合用生体情報を抽出する照合用生体情報抽出処理を実行する。照合用生体情報抽出処理の詳細は、図14図17および図18を用いて後で説明する。
【0057】
[ステップS17]処理装置11は、抽出した照合用生体情報と、抽出した照合用生体情報に対応する照合用姿勢情報とを含む照合用情報を生成する。
[ステップS18]処理装置11は、生成した照合用情報のテンプレート登録をおこなう。照合用情報のテンプレート登録は、処理装置11の記憶部、認証サーバ4の記憶部、または利用者のICカード16の記憶部のうち少なくともいずれか1つに記録することによりおこない、テンプレート登録処理を終了する。
【0058】
次に、登録装置10が実行する手首支持部位置調整処理について図10を用いて説明する。図10は、第2の実施形態の手首支持部位置調整処理のフローチャートである。手首支持部位置調整処理は、テンプレート登録処理において実行される。
【0059】
[ステップS21]処理装置11は、手首支持部位置の初期値を取得する。手首支持部位置の初期値は、対象とするユーザを所定の割合でカバーする値が設定される。手首支持部位置の初期値は、たとえば、指と手のひらの境界と、手首との間の距離である110mm(ミリメートル)を設定する。手首支持部位置の初期値110mmは、日本人の成人の95%をカバーするとされる。
【0060】
なお、あらかじめ入力される性別や年齢などの情報にもとづいて、性別や年齢などの条件ごとに異なる初期値を取得するようにしてもよい。また、センサ26に手を翳した状態を検出して撮影した画像にもとづいて手の大きさを判定し、初期値を取得するようにしてもよい。
【0061】
[ステップS22]処理装置11は、手のひらの姿勢調整をおこなう旨を報知する。手のひらの姿勢調整をおこなう旨の報知は、ディスプレイ12による表示や、図示しないスピーカによる音声を用いておこなうことができる。たとえば、処理装置11は、ディスプレイ12に「手のひらを置いてください。」と表示する。
【0062】
[ステップS23]処理装置11は、手首支持部27の位置を手首支持部位置の初期値110mmにするように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて手首支持部27の位置を手首支持部位置の初期値110mmとする。
【0063】
[ステップS24]処理装置11は、生体情報(手のひらの撮影画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0064】
[ステップS25]処理装置11は、手のひらの撮影画像から手首支持部位置が正位置か否かを判定する。処理装置11は、手のひらの撮影画像において手首が欠けている場合に、手首が後方に位置して正位置にないと判定する。また、処理装置11は、手のひらの撮影画像において腕が含まれている場合に、手首が前方に位置して正位置にないと判定する。また、処理装置11は、手のひらの撮影画像において手首が欠けず腕も含まれていなければ、手首支持部位置が正位置にあると判定する。
【0065】
処理装置11は、手首が後方に位置して正位置にないと判定した場合に、ステップS23にすすみ、手首支持部27の位置が所定量(たとえば、5mm)だけ前進するように、センサユニット20に指示する。処理装置11は、手首が前方に位置して正位置にないと判定した場合に、ステップS23にすすみ、手首支持部27の位置が所定量(たとえば、5mm)だけ後退するように、センサユニット20に指示する。処理装置11は、手首支持部位置が正位置にあると判定した場合に、手首支持部位置調整処理を終了する。
【0066】
次に、登録装置10が実行する姿勢調整範囲決定処理について図11を用いて説明する。図11は、第2の実施形態の姿勢調整範囲決定処理のフローチャートである。姿勢調整範囲決定処理は、テンプレート登録処理において実行される。
【0067】
[ステップS31]処理装置11は、生体の形態を判定する。たとえば、生体の形態の判定は、手のひらの長さ、幅などの所定の基準にもとづいて、手のひらのサイズが大きい、小さい、標準、あるいは、幅が広い、幅が狭いなどの分類分けによりおこなう。生体の形態の判定は、手首支持部位置調整処理のステップS24で取得した生体情報を用いておこなうことができる。
【0068】
[ステップS32]処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、指間隔の調整範囲、すなわち2個の指分離リブ22の距離の調整範囲を決定する。また、処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、第1指/第5指垂れ量の調整範囲、すなわち第1指/第5指支持部25の高さの調整範囲を決定する。
【0069】
たとえば、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合に指間隔の調整範囲を15mmから35mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に指間隔の調整範囲を15mmから25mmに決定し、手のひらのサイズが大きい場合に指間隔の調整範囲を25mmから35mmに決定する。また、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合に第1指/第5指垂れ量の調整範囲を0mmから10mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に第1指/第5指垂れ量の調整範囲を0mmから5mmに決定し、手のひらのサイズが大きい場合に第1指/第5指垂れ量の調整範囲を5mmから10mmに決定する。
【0070】
[ステップS33]処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、指間隔の調整初期値、すなわち2個の指分離リブ22の距離の調整初期値を決定する。また、処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、第1指/第5指垂れ量の調整初期値、すなわち第1指/第5指支持部25の高さの調整初期値を決定する。
【0071】
たとえば、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合に指間隔の調整初期値を25mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に指間隔の調整初期値を20mmに決定し、手のひらのサイズが大きい場合に指間隔の調整初期値を30mmに決定する。また、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合に第1指/第5指垂れ量の調整初期値を5mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に第1指/第5指垂れ量の調整初期値を3mmに決定し、手のひらのサイズが大きい場合に第1指/第5指垂れ量の調整初期値を7mmに決定する。
【0072】
なお、処理装置11は、指間隔の調整初期値、および第1指/第5指垂れ量の調整初期値を、ステップS24で取得した生体情報の実測値にもとづいて個々に決定するようにしてもよい。
【0073】
[ステップS34]処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、指間隔の調整単位、すなわち2個の指分離リブ22の距離の調整単位を決定する。また、処理装置11は、判定した生体の形態にもとづいて、第1指/第5指垂れ量の調整単位、すなわち第1指/第5指支持部25の高さの調整単位を決定する。
【0074】
たとえば、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合に指間隔の調整単位を1mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に指間隔の調整単位を0.5mmに決定し、手のひらのサイズが大きい場合に指間隔の調整単位を1.5mmに決定する。また、処理装置11は、手のひらのサイズが標準の場合および手のひらのサイズが大きい場合に第1指/第5指垂れ量の調整単位を1mmに決定し、手のひらのサイズが小さい場合に第1指/第5指垂れ量の調整単位を0.5mmに決定する。
【0075】
なお、調整単位は、モータの駆動量(たとえば、ステップ数、回転量など)やギヤの回転量であってもよい。
処理装置11は、調整単位を決定した後、姿勢調整範囲決定処理を終了する。
【0076】
このように、登録装置10は、生体の形態にもとづいて調整範囲、調整初期値、調整単位を決定するので、生体情報の取得を効率よくおこなうことができる。
次に、登録装置10が実行する指間隔変更処理について図12を用いて説明する。図12は、第2の実施形態の指間隔変更処理のフローチャートである。指間隔変更処理は、テンプレート登録処理において実行される。
【0077】
[ステップS41]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS33で決定した調整初期値を設定し、指間隔と第1指/第5指垂れ量を調整初期値にするように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて指間隔を調整初期値とする。
【0078】
[ステップS42]処理装置11は、生体情報(手のひらの静脈画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0079】
[ステップS43]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS34で決定した調整単位を加えて調整値を更新する。すなわち、処理装置11は、指間隔を1調整単位拡大する。
【0080】
[ステップS44]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS32で決定した調整範囲内に調整値があるか否かを判定する。処理装置11は、調整値が調整範囲内にある場合に、指間隔を更新するようにセンサユニット20に指示し、ステップS42にすすむ。処理装置11は、調整値が調整範囲を超えた場合にステップS45にすすむ。
【0081】
[ステップS45]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS33で決定した調整初期値を設定し、指間隔を調整初期値にするように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて指間隔を調整初期値とする。
【0082】
[ステップS46]処理装置11は、生体情報(手のひらの静脈画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0083】
[ステップS47]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS34で決定した調整単位を引いて調整値を更新する。すなわち、処理装置11は、指間隔を1調整単位縮小する。
【0084】
[ステップS48]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS32で決定した調整範囲内に調整値があるか否かを判定する。処理装置11は、調整値が調整範囲内にある場合に、指間隔を更新するようにセンサユニット20に指示し、ステップS46にすすむ。処理装置11は、調整値が調整範囲を超えた場合に指間隔変更処理を終了する。
【0085】
なお、処理装置11は、調整初期値から調整単位ごとに最大調整範囲まで拡大した後に、一旦調整初期値に復帰してから調整単位ごとに最小調整範囲まで縮小するようにしたが、1調整単位の拡大、縮小の都度、初期値に復帰するようにしてもよい。
【0086】
次に、登録装置10が実行する第1指/第5指垂れ量変更処理について図13を用いて説明する。図13は、第2の実施形態の第1指/第5指垂れ量変更処理のフローチャートである。第1指/第5指垂れ量変更処理は、テンプレート登録処理において実行される。
【0087】
[ステップS51]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS33で決定した調整初期値を設定し、指間隔と第1指/第5指垂れ量を調整初期値にするように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて第1指/第5指垂れ量を調整初期値とする。
【0088】
[ステップS52]処理装置11は、生体情報(手のひらの静脈画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0089】
[ステップS53]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS34で決定した調整単位を加えて調整値を更新する。すなわち、処理装置11は、第1指/第5指垂れ量を1調整単位拡大する。
【0090】
[ステップS54]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS32で決定した調整範囲内に調整値があるか否かを判定する。処理装置11は、調整値が調整範囲内にある場合に、第1指/第5指垂れ量を更新するようにセンサユニット20に指示し、ステップS52にすすむ。処理装置11は、調整値が調整範囲を超えた場合にステップS55にすすむ。
【0091】
[ステップS55]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS33で決定した調整初期値を設定し、第1指/第5指垂れ量を調整初期値にするように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて第1指/第5指垂れ量を調整初期値とする。
【0092】
[ステップS56]処理装置11は、生体情報(手のひらの静脈画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0093】
[ステップS57]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS34で決定した調整単位を引いて調整値を更新する。すなわち、処理装置11は、第1指/第5指垂れ量を1調整単位縮小する。
【0094】
[ステップS58]処理装置11は、姿勢調整範囲決定処理のステップS32で決定した調整範囲内に調整値があるか否かを判定する。処理装置11は、調整値が調整範囲内にある場合に、第1指/第5指垂れ量を更新するようにセンサユニット20に指示し、ステップS56にすすむ。処理装置11は、調整値が調整範囲を超えた場合に第1指/第5指垂れ量変更処理を終了する。
【0095】
なお、処理装置11は、調整初期値から調整単位ごとに最大調整範囲まで拡大した後に、一旦調整初期値に復帰してから調整単位ごとに最小調整範囲まで縮小するようにしたが、1調整単位の拡大、縮小の都度、初期値に復帰するようにしてもよい。
【0096】
次に、登録装置10が実行する照合用生体情報抽出処理について図14から図18を用いて説明する。図14は、第2の実施形態の照合用生体情報抽出処理のフローチャートである。図15は、第2の実施形態の指間隔生体情報テーブルの一例を示す図である。図16は、第2の実施形態の第1指/第5指垂れ量生体情報テーブルの一例を示す図である。図17は、第2の実施形態の序列テーブルの一例を示す図である。図18は、第2の実施形態の組み合わせ生体情報テーブルの一例を示す図である。照合用生体情報抽出処理は、テンプレート登録処理において実行される。
【0097】
[ステップS61]処理装置11は、指間隔変更処理のステップS42とステップS46で取得した生体情報の特徴量を計算する。これにより、処理装置11は、指間隔変更処理のステップS42とステップS46で取得した姿勢情報(初期値、調整値)と併せて、指間隔生体情報テーブル200を得る。指間隔生体情報テーブル200は、指間隔を違えて取得した複数の生体情報(d000、d001、…)について、指間隔調整時の初期値、調整値、および特徴量を関連付けて記録する。
【0098】
また、処理装置11は、第1指/第5指垂れ量変更処理のステップS52とステップS56で取得した生体情報の特徴量を計算する。これにより、処理装置11は、第1指/第5指垂れ量変更処理のステップS52とステップS56で取得した姿勢情報(初期値、調整値)と併せて、第1指/第5指垂れ量生体情報テーブル210を得る。第1指/第5指垂れ量生体情報テーブル210は、第1指/第5指垂れ量を違えて取得した複数の生体情報(d100、d101、…)について、第1指/第5指垂れ量調整時の初期値、調整値、および特徴量を関連付けて記録する。
【0099】
なお、手のひらの静脈像(静脈パタン)の特徴量は、たとえば、静脈の分岐点や、単位面積当たりの静脈の量などをそれぞれ項目評価したうえで各評価項目を重み付けして総合的に評価される。生体情報に含まれる特徴量の評価は、上記した例に限らず、任意の評価方法を採用することができる。
【0100】
[ステップS62]処理装置11は、指間隔生体情報テーブル200の特徴量を参照し、特徴量の多い上位3つの姿勢情報(初期値、調整値)を抽出する。抽出した姿勢情報(初期値、調整値)は、序列テーブル220に記録される。
【0101】
たとえば、指間隔生体情報テーブル200に記録された特徴量のうち特徴量の多い順にv003、v004、v002であるとき、処理装置11は、各特徴量に対応する姿勢情報(初期値、調整値)を序列テーブル220に記録する。
【0102】
[ステップS63]処理装置11は、第1指/第5指垂れ量生体情報テーブル210の特徴量を参照し、特徴量の多い上位3つの姿勢情報(初期値、調整値)を抽出する。抽出した姿勢情報(初期値、調整値)は、序列テーブル220に記録される。
【0103】
たとえば、第1指/第5指垂れ量生体情報テーブル210に記録された特徴量のうち特徴量の多い順にv103、v102、v101であるとき、処理装置11は、各特徴量に対応する姿勢情報(初期値、調整値)を序列テーブル220に記録する。このようにして、序列テーブル220は、指間隔を違えて取得した複数の生体情報のうち特徴量の多い上位3つの姿勢情報(初期値、調整値)と、第1指/第5指垂れ量を違えて取得した複数の生体情報のうち特徴量の多い上位3つの姿勢情報(初期値、調整値)と、を記録する。
【0104】
[ステップS64]処理装置11は、抽出した姿勢情報の組み合わせパタンを生成する。たとえば、指間隔生体情報テーブル200から3つの姿勢情報を抽出し、第1指/第5指垂れ量生体情報テーブル210から3つの姿勢情報を抽出した場合、処理装置11は、9つ(=3×3)の姿勢情報の組み合わせパタンを生成する。
【0105】
このようにして生成された姿勢情報の組み合わせパタンは、組み合わせ生体情報テーブル230に記録される。
[ステップS65]処理装置11は、組み合わせ生体情報テーブル230に記録した姿勢情報の組み合わせパタンの1つを取得する。処理装置11は、指間隔と、第1指/第5指垂れ量とを、取得した姿勢情報の組み合わせパタンで更新するようにセンサユニット20に指示する。センサユニット20は、処理装置11の指示にもとづいて、指間隔と、第1指/第5指垂れ量とを更新する。
【0106】
なお、センサユニット20が指間隔と、第1指/第5指垂れ量とを更新する場合、センサユニット20は、一度、初期値に復帰してから更新をおこなうようにしてもよい。これにより、センサユニット20は、調整値が同じであっても、調整方向が「+」でその調整値に至ったのか、あるいは調整方向が「−」でその調整値に至ったのか、で異なる手の姿勢変化に与える影響を排除する。たとえば、調整値が26mmと同じであっても、25mmから+1mmの調整で26mmに至ったのか、27mmから−1mmの調整でその調整値に至ったのかで手の姿勢が異なり得るが、一旦初期値に復帰することで姿勢変化の条件を揃えることができる。
【0107】
[ステップS66]処理装置11は、生体情報(手のひらの静脈画像)を取得するように、センサユニット20に指示する。センサユニット20は、取得した生体情報と、生体情報取得時の姿勢情報を処理装置11に応答する。
【0108】
[ステップS67]処理装置11は、組み合わせ生体情報テーブル230に記録した姿勢情報の組み合わせパタンのすべてについて、生体情報を取得したか否かを判定する。処理装置11は、姿勢情報の組み合わせパタンのすべてについて生体情報を取得した場合にステップS68にすすみ、取得していない場合にステップS65にすすむ。
【0109】
[ステップS68]処理装置11は、組み合わせ生体情報テーブル230に記録した姿勢情報の組み合わせパタンのすべてについて取得した生体情報(d200、d201、…)について、特徴量(v200、v201、…)を評価し、組み合わせ生体情報テーブル230に記録する。このようにして、組み合わせ生体情報テーブル230は、指間隔の異なる3つの姿勢情報(初期値、調整値)と、第1指/第5指垂れ量の異なる3つの姿勢情報(初期値、調整値)の各々の組み合わせパタンについて、生体情報および特徴量を関連付けて記録する。
【0110】
処理装置11は、組み合わせ生体情報テーブル230を参照し、最も特徴量の多い生体情報を照合用生体情報として抽出する。処理装置11は、抽出した照合用生体情報と、抽出した照合用生体情報に対応する姿勢情報を照合用姿勢情報として、照合用生体情報抽出処理を終了する。なお、姿勢情報には、指間隔の姿勢情報、第1指/第5指垂れ量の姿勢情報に加えて、手首支持部位置の姿勢情報を含めてもよい。
【0111】
なお、処理装置11は、上位3つを抽出候補として、抽出候補を対象にしてさらに複数回(たとえば3回)ずつ取得した生体情報について特徴量を評価してから照合用生体情報を抽出するようにしてもよい。
【0112】
このように、処理装置11は、個人差(生体取得部位の形状、大きさ、柔軟さなど)を考慮して、照合に用いるのに適した生体情報を取得し得る。
また、処理装置11は、複数ある姿勢調整要素(指間隔と、第1指/第5指垂れ量)について、要素ごとに特徴量の多い姿勢を抽出して序列テーブル220を生成し、序列テーブル220にある姿勢の組み合わせのうちから特徴量の多い姿勢を抽出する。これにより、処理装置11は、姿勢調整要素が複数あっても、照合用情報の生成にかかる処理時間を低減することができる。
【0113】
なお、第1指/第5指支持部25は、第1指と第5指とを支持する高さを同じように調整するものであったが、第1指支持部と第5指支持部とでそれぞれモータ、位置センサ、負荷センサを備えるようにして、独立に調整可能としてもよい。
【0114】
次に、認証装置である自動預払装置6が実行する認証処理について図19を用いて説明する。図19は、第2の実施形態の認証処理のフローチャートである。たとえば、認証処理は、自動預払装置6のICカードリーダライタ17がICカード16を受け付けることにより、本人認証の必要なサービスの提供前に実行される。
【0115】
[ステップS71]自動預払装置6は、ICカード16からユーザID(たとえば、口座番号)を取得する。
[ステップS72]自動預払装置6は、ICカード16から姿勢情報(指間隔の姿勢情報、第1指/第5指垂れ量の姿勢情報)を取得する。
【0116】
[ステップS73]自動預払装置6は、センサユニット20に取得した姿勢情報に対応する姿勢で手のひらを支持するように指示する。このとき、自動預払装置6は、まず、センサユニット20を各姿勢情報の初期値で手のひらを支持する姿勢としてから、利用者に手のひらを載置するように指示するとよい。そして、利用者が手のひらを載置した後に、自動預払装置6は、センサユニット20を各姿勢情報の調整値で手のひらを支持する姿勢を更新する。これにより、自動預払装置6は、登録装置10が生体情報を登録したときの姿勢の再現性を向上させることができる。
【0117】
[ステップS74]自動預払装置6は、生体情報を登録したときの手のひらの姿勢を再現して生体情報を取得する。
[ステップS75]自動預払装置6は、ICカード16に記録してある照合用生体情報と、センサユニット20から取得した生体情報を照合する。
【0118】
[ステップS76]自動預払装置6は、センサユニット20から取得した生体情報の照合に成功した場合、ステップS77にすすみ、照合に失敗した場合、ステップS78にすすむ。
【0119】
[ステップS77]自動預払装置6は、認証結果を「OK」として認証処理を終了する。
[ステップS78]自動預払装置6は、認証結果を「NG」として認証処理を終了する。
【0120】
このようにして、自動預払装置6は、利用者の生体情報取得部位である手のひらを、照合用情報の登録時と同様の姿勢に案内することができ、認証精度の向上が期待できる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0121】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0122】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0123】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。
【符号の説明】
【0124】
1 情報処理装置
1a 保持部
1b 姿勢変更部
1c 情報取得部
1d 評価部
1e 生成部
2 生体
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