特許第5655165号(P5655165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655165新規な有機金属化合物及びそれを用いた有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655165
(24)【登録日】2014年11月28日
(45)【発行日】2015年1月14日
(54)【発明の名称】新規な有機金属化合物及びそれを用いた有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20141218BHJP
   C07F 7/30 20060101ALI20141218BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20141218BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20141218BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20141218BHJP
   C07F 19/00 20060101ALN20141218BHJP
【FI】
   C07F15/00 ECSP
   C07F7/30 Z
   C09K11/06 660
   H05B33/14 B
   H05B33/10
   !C07F19/00
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-556560(P2013-556560)
(86)(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公表番号】特表2014-509587(P2014-509587A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】KR2012002624
(87)【国際公開番号】WO2012138172
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年9月2日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0031767
(32)【優先日】2011年4月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505386867
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティテュート オブ ケミカル テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100161115
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 智史
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジェミン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャン・ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、サン・チョル
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジョンサン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヨン・フン
(72)【発明者】
【氏名】リ、チャン・ジン
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−070488(JP,A)
【文献】 特開2007−161934(JP,A)
【文献】 特開2007−161859(JP,A)
【文献】 特開2006−117661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C07F 7/00
C09K 11/00
H01L 51/00
H05B 33/00
C07F 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表わされる有機金属化合物:
【化1】
(前記式中、
ないしR中で少なくとも一つは下記化学式2で表わされる置換体で;
ないしR中で下記化学式2の置換体ではない場合、互いに独立して水素、C−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18アリール、C−C18シクロアルキルで、ここで、前記アリールまたはシクロアルキルは非置換またはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されて;
ないしRは互いに独立して水素、C−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18アリール、C−C18シクロアルキルで、ここで、前記アリールまたはシクロアルキルは非置換またはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されて;
【化2】
は、イリジウムと配位結合して形成される二座リガンドで;
mは、2または3である)。
【化3】
(前記式中、
ないしLは互いに独立してC−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18アリール、C−C18シクロアルキルで、ここで、前記アリールまたはシクロアルキルは非置換またはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されている)。
【請求項2】
下記の化学式1Aで表わされる有機金属化合物:
【化4】
(前記式中、前記LないしL、RないしR
【化5】
及びmは、請求項1の化学式1及び2で定義したのと同様である)。
【請求項3】
前記LないしLは互いに独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシルまたはフェニルであることを特徴とする請求項2に記載の有機金属化合物。
【請求項4】
前記RないしRが、互いに独立して水素、メチル、フェニル、メチルフェニルまたはジメチルフェニルであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物。
【請求項5】
前記A及びBが、それぞれ独立してN(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)、P(リン)及びC(炭素)からなる群から選択される1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物。
【請求項6】
前記
【化6】
で表わされる二座リガンドが、下記の化学式の化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物。
【化7】
【請求項7】
前記有機金属化合物が、下記の化学式の化合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物。
【化8】
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物を含む有機発光素子。
【請求項9】
前記有機金属化合物が、発光層のドーパント物質に用いられることを特徴とする請求項8に記載の有機発光素子。
【請求項10】
第1電極と、
第2電極と、
前記第1電極及び第2電極の間に介在する1層以上の有機物層とからなる有機発光素子において、
前記有機物層が、請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物を一つ以上含むことを特徴とする有機発光素子。
【請求項11】
請求項1または請求項2に記載の有機金属化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を調整する工程(工程1)と、
前記工程1の溶液を基板の上に落として基板を回転させた後、乾燥して基板上に薄膜を形成させる工程(工程2)とを含む有機発光素子用薄膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な有機金属化合物に関するもので、より詳細には、ゲルマニウム置換体の導入によって分子間相互作用が抑制されて発光特性が改善した発光性有機金属化合物、及びそれを用いた有機電子素子、その中でも有機発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(Organic Light-Emitting Diode;OLED)は、基本的に二つの電極間に有機発光層を含む有機薄膜がサンドイッチされている構造であり、二つの電極の中で少なくとも一方の電極は透明で、二つの電極の間に適当な電圧、一般的に直流5〜10Vの間の電圧が印加されると、有機発光層から可視光領域の光が出ることを活用した有機電子素子の一種である。
【0003】
このような有機発光素子は、基本的に電極を含む実際の素子の厚さが数マイクロメートル以下と非常に薄く、素子自体で直接光が出る自発光素子であり、それによって応答速度が早くて、表示素子として視野角が広くて製造工程が簡単で、有機薄膜を用いた柔軟な素子の具現が可能で、真空工程だけではなく場合によっては溶液状態から印刷工程を通じた素子の具現が可能なので、次世代表示素子及び照明として多くの関心を集めて研究が進行されている。
【0004】
一般的に有機発光層は、一つ以上の有機及び有機金属化合物または有機/無機ハイブリッド材料からなり、その発光メカニズムによって一重項エキシトンの発光減殺に起因する蛍光方式または三重項エキシトンの発光減殺を用いる燐光方式の二つに分けることができる。
【0005】
特に三重項エキシトンを活用する燐光方式は、蛍光方式に比べて相対的に近来に有機発光素子に適用され(特許文献1参照)、蛍光方式より高い素子効率を得ることができるので関連技術に対する研究が非常に活発になされている。
【0006】
このような燐光方式有機発光素子において最も重要な核心成分が、燐光発光性材料であり、大部分有機金属化合物がよく知られていて、その中でも主にイリジウムを基本にした有機金属化合物が絶対多数を占めている。
【0007】
このようなイリジウム有機金属化合物の場合、イリジウム原子に配位結合するリガンドの化学的構造を調節することによって、最終的にイリジウム有機金属化合物の光学的、電気的特性などを調節することができて、多様な要求条件に合った有機金属化合物を合成することができるという長所がある。
【0008】
特にフェニルピリジンをリガンドの基本構造とするイリジウム有機金属化合物、例えばトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(以下、Ir(ppy))が代表的によく知られている(特許文献2参照)。
【0009】
しかし、Ir(ppy)のような既に知られたイリジウム有機金属化合物の場合、有機発光素子の発光層で用いられる時、分子間相互作用による三重項消滅のような理由によって効率向上に限界を示していて、真空蒸着方式ではない溶液工程を用いる場合には、溶媒に対する溶解度が十分ではないなど多くの短所を有している。
【0010】
したがって、溶液工程を用いることができ、発光特性が改善した発光性有機金属化合物の開発が求められている。
【0011】
それで、本発明者らは前記問題を解決するために研究中、イリジウムリガンドにゲルマニウム置換体を導入して分子が相互作用を抑制して発光効率が向上した新規な有機金属化合物を合成し、このような化合物が溶液によく溶解して溶液工程に用いることができ、発光特性が従来の有機金属化合物と比較して同等以上に向上して有機発光素子として有用に用いることができることを確認して、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献2】日本特許第3992929号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、有機発光素子に用いられる新規な有機金属化合物を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、前記新規な有機金属化合物を含む有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明は、下記の化学式1で表わされる新規な有機金属化合物を提供する。
【0016】
【化1】
【0017】
(前記化学式1で、R〜R
【0018】
【化2】
【0019】
及びmは、本明細書で定義したのと同様である。)
【0020】
また、本発明は前記新規な有機金属化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0021】
さらに、本発明は、前記新規な有機金属化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造する工程(工程1)と、
前記工程1の溶液を基板の上に落として基板を回転させた後、乾燥して基板上に薄膜を形成させる工程(工程2)とを含む有機発光素子用薄膜形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、前記イリジウム有機金属化合物母体にゲルマニウム置換体を導入することによって、固体状態での分子間相互作用が抑制されて溶液工程でも有用に用いることができ、有機発光素子の発光層の一部に用いる場合にその発光効率が顕著に改善するので、有機発光素子用材料として有用に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による有機発光素子の概略的な構造断面図である。
図2】本発明による有機発光素子の概略的な構造断面図である。
図3】本発明による有機発光素子の概略的な構造断面図である。
図4】本発明の実施例4、実施例5及び比較例1で製造された有機発光素子の発光スペクトルである。
図5】本発明の実施例4、実施例5及び比較例1で製造された有機発光素子の電流密度−発光効率グラフである。
図6】本発明の実施例4、実施例5及び比較例1で製造された有機発光素子の電圧−輝度/電圧−電流グラフである。
図7】本発明の実施例6で製造された多層有機発光素子の電流密度−発光効率グラフである。
図8】本発明の実施例6で製造された多層有機発光素子の電圧−輝度/電圧−電流グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明による有機金属化合物は、下記の化学式1で表わされることを特徴とする。
【0026】
【化3】
【0027】
(前記式中、
ないしR中で少なくとも一つは下記化学式2で表わされる置換体で;
ないしR中で下記化学式2の置換体ではない場合、互いに独立して水素、重水素、ハロゲン、シアノ、C−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18直鎖または側鎖アルコキシ、C−C18アリール、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロアリールまたは5員ないし6員のヘテロシクロアルキルで、ここで、前記アルキルまたはアルコキシは非置換またはハロゲンに置換されて、前記アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは非置換またはハロゲンまたはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されて、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは環内のN、O及びSから選択される一つ以上の原子を含み;
ないしRは互いに独立して水素、重水素、ハロゲン、シアノ、C−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18直鎖または側鎖アルコキシ、C−C18アリール、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロアリールまたは5員ないし6員のヘテロシクロアルキルで、ここで、前記アルキルまたはアルコキシは非置換またはハロゲンに置換されて、前記アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは非置換またはハロゲンまたはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されて、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは環内のN、O及びSから選択される一つ以上の原子を含み;
【0028】
【化4】
【0029】
は、イリジウムと配位結合して形成される二座リガンドで;mは、2または3である。)
【0030】
【化5】
【0031】
(前記式中、
ないしLは互いに独立して水素、重水素、ハロゲン、シアノ、C−C18直鎖または側鎖アルキル、C−C18直鎖または側鎖アルコキシ、C−C18アリール、C−C18シクロアルキル、C−C18ヘテロアリールまたは5員ないし6員のヘテロシクロアルキルで、ここで、前記アルキルまたはアルコキシは非置換またはハロゲンに置換されて、前記アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは非置換またはハロゲンまたはC−C18直鎖または側鎖アルキルに置換されて、前記ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルは環内のN、O及びSから選択される一つ以上の原子を含む)。
【0032】
好ましく、本発明による有機金属化合物は下記化学式1Aで表わされる化合物であることを特徴とする。
【0033】
【化6】
【0034】
(前記式中、前記LないしL、RないしR
【0035】
【化7】
【0036】
及びmは前記化学式1及び2で定義したのと同様である。)
【0037】
さらに好ましくは、前記LないしLは互いに独立してメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロヘキシルまたはフェニルであることを特徴とする。
【0038】
さらに好ましくは、前記RないしRは互いに独立して水素、メチル、フェニル、メチルフェニルまたはジメチルフェニルであることを特徴とする。
【0039】
さらに好ましくは、前記A及びBはそれぞれ独立してN(窒素)、O(酸素)、S(硫黄)、P(リン)及びC(炭素)からなる群から選択される1種であることを特徴とする。
【0040】
さらに好ましくは、前記化学式1の
【0041】
【化8】
【0042】
で表現される二座リガンドは、下記の化学式の化合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【0043】
【化9】
【0044】
前記化学式1による有機金属化合物の代表的な例として、下記のIr(PhGe−ppy)、Ir(MeGe−ppy)、Ir(MeGe−ppy)(acac)を例に挙げることができるが、これに制限されない。
【0045】
【化10】
【0046】
また、本発明は、前記新規な有機金属化合物の製造方法を提供する。
【0047】
製法1
本発明による新規な有機金属化合物の製造方法は、下記のスキーム1に示したように、化学式4のフェニルピリジン化合物を化学式5のゲルマニウム含有化合物及びリチウム塩と反応させて化学式6のゲルマニウム置換体が置換されたフェニルピリジン化合物を製造する工程(工程1)と、
前記工程1で製造された化学式6の化合物とイリジウム錯化合物をグリセロールに混合して還流させて、3個の化学式6の主リガンド化合物が配位された化学式1aの有機金属化合物を製造する工程(工程2)とを含む。
【0048】
【化11】
【0049】
(前記スキーム1において、前記LないしL、RないしR
【0050】
【化12】
【0051】
及びmは、前記化学式1及び2で定義したのと同様で、Xはハロゲン原子であり、化学式1aは化学式1に含まれる。)
【0052】
前記工程1は、化学式2のフェニルピリジン化合物を化学式3のゲルマニウム含有化合物及びリチウム塩と反応させて化学式4のゲルマニウム置換体が置換されたフェニルピリジン化合物を製造する工程である。
【0053】
具体的に、前記化学式2の化合物をテトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテルなどの有機溶媒に入れて、化学式3のゲルマニウム含有化合物及びリチウム塩を入れて反応させることで化学式4のゲルマニウム置換体が置換されたフェニルピリジン化合物を製造することができる。
【0054】
ここで、出発物質である化学式2の化合物及び化学式3の化合物は、市販のものを購入するか、当業界系で一般的に用いられる製造方法で製造することができる。
【0055】
前記リチウム塩では、n−BuLi、sec−BuLi、tert−BuLiなどを用いることができ、n−BuLiを用いることが好ましい。
【0056】
前記工程で、反応は−75〜−80℃の低い温度で行なうことが好ましく、反応が完了した後にはカラムクロマトグラフィーを行なって生成物を精製する工程を追加で行なうことができる。
【0057】
次に、工程2は前記工程1で製造された化学式6の化合物とイリジウム錯化合物をグリセロールに混合して還流させて、3個の化学式6の主リガンド化合物が配位された化学式1aの有機金属化合物を製造する工程である。
【0058】
具体的に、前記化学式6の化合物とイリジウム錯化合物を、2〜3:1モルの割合でグリセロールに混合して、還流温度では23〜27時間撹拌させた後、常温に冷却した後、酸を添加して3個の化学式6の主リガンド化合物が配位された化学式1aの有機金属化合物を製造することができる。以後、有機溶媒で抽出工程及びカラムクロマトグラフィーを行なって生成物を精製する工程を追加で行なうことができる。
【0059】
製法2
また、本発明による新規な有機金属化合物の製造方法は下記スキーム2に示したように、化学式4のフェニルピリジン化合物を化学式5のゲルマニウム含有化合物及びリチウム塩と反応させて化学式6のゲルマニウム置換体が置換されたフェニルピリジン化合物を製造する工程(工程A)と、
前記工程Aで製造された化学式6の化合物を三塩化イリジウム(IrCl)と溶媒に混合して還流温度で反応させて化学式7のジイリジウムダイマーを製造する工程(工程B)と、
前記工程Bで製造された化学式7のジイリジウムダイマー化合物と補助リガンド化合物(
【0060】
【化13】
【0061】
−H)を有機溶媒に入れてカップリング反応させて化学式1bの化合物を製造する工程(工程C)とを含む。
【0062】
【化14】
【0063】
(前記スキーム2で、前記LないしL、RないしR
【0064】
【化15】
【0065】
及びmは、前記化学式1及び2で定義したのと同様で、Xはハロゲン原子であり、化学式1bは化学式1に含まれる。)
【0066】
まず、前記工程Aは化学式6のゲルマニウム置換体が置換されたフェニルピリジン化合物を製造する工程であり、前記スキーム1の工程1と同一の方法で行なうことができる。
【0067】
次に、前記工程Bは前記工程Aで製造された化学式6の化合物を三塩化イリジウム(IrCl)と溶媒に混合して還流温度で反応させて化学式7のジイリジウムダイマーを製造する工程である。
【0068】
具体的に、三塩化イリジウム(IrCl)と主リガンドである化学式6の化合物を1:2〜3モルの割合で溶媒に混合して還流させた後、ジイリジウムダイマーを分離する。前記の工程での溶媒は、アルコールまたはアルコール/水混合溶媒が好ましく、その例として2−エトキシエタノール、2−エトキシエタノール/水混合溶媒を用いることができる。
【0069】
次に、前記工程Cは、前記工程Bで製造された化学式7のジイリジウムダイマー化合物と補助リガンド化合物(
【0070】
【化16】
【0071】
−H)を有機溶媒に入れて、カップリング反応させて化学式1bの化合物を製造する工程である。
【0072】
具体的に、分離したジイリジウムダイマーは、補助リガンド化合物(
【0073】
【化17】
【0074】
−H)を有機溶媒に一緒に混合して加熱して最終生成物で主リガンド:補助リガンドが、2:1の有機金属化合物を製造する。最終生成物の主リガンドと補助リガンドは、その組成比によって反応するモル比を適切に定めて使用して、ここでAgCFSO、NaCO、NaOHなどを有機溶媒である2−エトキシエタノール、2−メトキシエチルエーテル、1,2−ジクロロエタンに一緒に混合して反応させることができる。
【0075】
本発明による化学式1の有機金属化合物は、少なくとも一つの化学式2のゲルマニウム置換基を含むことで、置換されない化合物と比較すると固相で有機金属化合物分子間の相互作用が抑制されるので、有機発光素子の性能、特に発光効率を向上させることができる。
【0076】
それとともに、本発明による化学式1の有機金属化合物は、少なくとも一つの化学式2のゲルマニウム置換基を含むことで、置換されない化合物と比較すると、有機溶媒に対する溶解度が増加するようになる。それによって、前記化学式1の有機金属化合物を含む有機薄膜を溶液相から生成する際に、溶液内の前記化学式1の化合物の濃度を高めることができる。
【0077】
したがって、本発明による化学式1の有機金属化合物は、前記イリジウム有機金属化合物母体にゲルマニウム置換体を導入することで固体状態での分子間相互作用が抑制されて溶液工程でも有用に用いることができ、有機発光素子の発光層の一部に用いる場合に、その発光効率が顕著に改善するので有機発光素子用材料として有用に用いることができる。
【0078】
ここで、前記溶液工程は、スピンコーティング法、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷などを用いることができ、その他にも本発明による化学式1の化合物は、真空熱蒸着、ディップコーティングなど一般的な薄膜形成方法にも適用することができる。
【0079】
さらに、本発明は、前記化学式1の有機金属化合物を発光層に含む有機発光素子を提供する。
【0080】
本発明による有機発光素子は、陽極、陰極及び二つの電極間に前記化学式1の化合物を発光ホスト物質に含む発光層を一つの構成単位として含む単層型や、電荷輸送層とともに陽極、前記化学式1の化合物を発光物質として含む発光層及び陰極が順に積層された多層型構造を有する。
【0081】
具体的に、第1電極と、第2電極と、前記第1電極及び第2電極の間に介在する1層以上の有機物層とからなる有機発光素子において、前記有機物層は前記化学式1の有機金属化合物を一つ以上含むことができる。
【0082】
一般的に、一つの発光層だけからなる単層型素子よりは、発光層と電荷輸送層が組み合わされた多層型素子が優れた特性を示し、それは発光物質と電荷輸送材料が適切に組み合わされることで電極から電荷が注入される時にエネルギー障壁が減少され、電荷輸送層が電極から注入された正孔または電子を発光層領域に束縛させることで注入された正孔と電子の数密度が均衡を成すようになるからである。特に、燐光発光素子の場合には燐光発光物質の発光持続期間(emission duration)が長いので効率を増加させるためには、発光層に正孔を閉じこめて長期間正孔が発光層に留まるようにしてはじめて優れた燐光発光特性を示すようになるので、多層型発光素子がさらに好ましい。
【0083】
本発明の有機発光素子の概略的な構造断面図を、図1ないし図3に示した。図1に示したように、本発明の基本的な有機発光素子は、透明電極(陽極)、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び金属電極(陰極)が順次に積層された構造からなり、発光効率の向上を目的に図2に示したように発光層と電子輸送層の間に正孔遮断層を含むか、図3に示したように発光層と電子輸送層の間及び発光層と正孔輸送層の間に、それぞれ正孔遮断層及び電子遮断層を追加で含むことができる。
【0084】
本発明による有機発光素子で透明電極(陽極)及び金属電極(陰極)は、通常的な電極材料、例えば、透明電極はインジウムスズ酸化物(ITO)またはSnOで、金属電極は、Li、Mg、Ca、Ag、Al及びInなどの金属またはそれらの合金でそれぞれ形成することができ、金属電極の場合は単層または二層以上の多層構造を有することができる。
【0085】
発光層において本発明の化学式1の化合物はドーパント物質に用いることができ、単層または二層以上の多層構造を有することができる。ここで、化学式1の化合物は、燐光ドーパントをさらに含むことができ、前記燐光ドーパントは当業界で通常的に用いられるもので、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2)ルテニウム、ビス(2−フェニルピリジナト−N、C2)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2)白金、トリス(2−フェニルピリジナト−N、C2)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン、イリジウム(III)ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート(Firpic)、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2)イリジウム(Ir(ppy))、fac−Ir(ppy)、ビス−(2−フェニルピリジナト−N,C2)イリジウム(アセチルアセトネート)(Ir(ppy)(acac))及び2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィン白金(II)(PtOEP)からなる群から選択されるものを用いることができる。
【0086】
正孔輸送層は、通常的な正孔輸送物質、例えば4,4−ビス[N−(1−ナプチル)−N−フェニル−アミン]ビフェニル(α−NPD)、N,N−ジフェニル−N,N−ビス(3−メチルフェニル)−1,1−ビフェニル−4,4−ジアミン(TPD)及びポリ−(N−ビニルカルバゾール)(PVCz)などを単独または2種以上混合して含むことができ、別個の層にして二層以上積層させることもできる。
【0087】
正孔遮断層は、5.5ないし7.0の間のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)値を有し、正孔輸送能力は顕著に落ちながら電子輸送能力が優れた物質で構成されるが、このような物質としては、バソクプロイン(Bathocuproine,BCP)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)及びビス(8−ヒドロキシ−2−メチルキノリナート)−アルミニウムバイフェノキシド(BAlq)などが相応しい。また、電子遮断層では、一般的にLUMO値が大きな物質を使用し、イリジウム(III)トリス(1−フェニルピラゾール−N,C2’)(Ir(ppz))などが相応しい。
【0088】
電子輸送層(電子輸送性発光層)は、通常的な電子輸送物質、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)またはルブレン(rubrene)などを単独または2種以上混合して構成することができ、別個の二層以上の層を積層することもできる。
【0089】
また、発光効率及び寿命などの素子特性を向上させるために、陽極と正孔輸送層の間に例えば銅フタロシアニン(copper phthalocyanine,CuPc)を含む通常的な正孔注入層を挿入することができ、陰極と電子輸送層の間に例えばLiFを含む通常的な電子注入層を挿入することができる。
【0090】
前記陽極、陰極、発光層、輸送層、注入層及び遮断層などは通常的な蒸着方法によって形成することができる。
【0091】
また、本発明は、
前記化学式1の有機金属化合物を有機溶媒に溶解させて溶液を製造する工程(工程1)と、
前記工程1の溶液を基板の上に落として基板を回転させた後、乾燥して基板上に薄膜を形成させる工程(工程2)とを含む有機発光素子用薄膜形成方法を提供する。
【0092】
本発明による化学式1の有機金属化合物は、少なくとも一つの化学式2のゲルマニウム置換基を含むことで、置換されない化合物と比較すると、有機溶媒に対する溶解度が増加するようになる。それによって前記化学式1の有機金属化合物を含む有機薄膜を溶液状から生成する際に、溶液内の前記化学式1の化合物の濃度を高めることができる。
【0093】
ここで、用いられる有機溶媒には、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエンなどを用いることができるが、これに制限されない。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
【0095】
但し、下記の実施例は本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例に限定されるのではない。
【0096】
<製造例1>3−ブロモ−6−フェニルピリジンの製造
2,5−ジブロモピリジン(8g、33.77mmol)、フェニルボロン酸(5.35g、43.9mmol)、テトラキストリフェニルパラジウム(0.97g、0.84mmol)を無水テトラヒドロフラン(100ml)に溶解させた。この溶液に炭酸ナトリウム(9.33g、67.54mmol)水溶液(33.7ml)を添加して、75℃で16時間反応させた。以後、減圧下で反応物を濃縮して、水(100ml)とジクロロメタン(50ml×3回)で抽出して有機層を分離した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧濃縮した。ジクロロメタン/ヘキサン=1/1の展開液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して白い固体の目的化合物(5.18g、収得率65%)を得た。
【0097】
1H-NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.65(m, 3H), 7.80(d, 1H), 7.95(d, 1H), 8.05(d, 2H), 8.95(s, 1H).
【0098】
<実施例1>Ir(PhGe−ppy)の製造
工程1:3−(トリフェニルゲルミル)−6−フェニルピリジンの製造
前記製造例1で製造された3−ブロモ−6−フェニルピリジン(0.86g、3.67mmol)を無水テトラヒドロフラン(20ml)に溶解して−78℃で撹拌した。この溶液にノルマル−ブチルリチウム(1.76ml、4.41mmol、2.5Mヘキサン溶液)を約20分にわたって一滴一滴滴下した。追加で1時間撹拌した後、トリフェニルゲルマニュウムクロライド(1.5mg,4.41mmol)を添加して常温で一晩中反応を進行した。以後、水(100ml)を加えて水層と有機層を分離した。追加でジエチルエーテル(80ml×2回)で有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧濃縮した。ジエチルエーテル/ヘキサン=1/10の展開液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して白い固体の目的化合物(0.52g、収得率31%)を得た。
【0099】
1H-NMR(300 MHz, CDCl3)δ 7.48(m, 18H), 7.75(d, 1H), 7.89(d, 1H), 8.03(d, 2H), 8.81(s, 1H).
【0100】
工程2:Ir(PhGe−ppy)の製造
前記工程1で製造された3−(トリフェニルゲルミル)−6−フェニルピリジン(1g、2.18mmol)とイリジウム(III)アセチルアセトネート(0.305g、0.623mmol)をグリセロール(30ml)に溶解して、230℃で25時間撹拌した。常温に冷却させた後、1Nの塩酸を加えて、沈殿物をろ過した。ろ過液を水(50ml)とジクロロメタン(40ml×3回)で抽出して有機層を分離した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧濃縮した。ジクロロメタン/ヘキサン=1/1の展開液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して黄色固体の目的化合物(0.238g、収得率24%)を得た。
【0101】
1H-NMR(300 MHz, Acetone d6)δ 6.7(t, 1H), 6.85(t, 2H), 7.19(m, 12H), 7.35(m, 3H), 7.54(d, 1H), 7.62(s, 1H), 7.76(d, 1H), 7.85(d, 1H).
【0102】
<実施例2>Ir(MeGe−ppy)の製造
工程1:3−(トリメチルゲルミル)−6−フェニルピリジンの合成
前記製造例1で製造された3−ブロモ−6−フェニルピリジン(3.48g、14.88mmol)を無水テトラヒドロフラン(50ml)に溶解して−78℃で撹拌した。この溶液にノルマル−ブチルリチウム(7.14ml、17.86mmol、2.5Mヘキサン溶液)を約20分にわたって一滴一滴滴下した。追加で1時間撹拌後、クロロトリメチルゲルマニュウム(2.19g、17.86mmol)を添加して常温で一晩中反応を進行した。以後、水(100ml)を加えて水層と有機層を分離した。追加でジエチルエーテル(80ml×2回)で有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧濃縮した。ジエチルエーテル/ヘキサン=1/10の展開液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して黄色液体の目的化合物(1.24g、収得率42%)を得た。
【0103】
1H-NMR(300 MHz, CDCl3)δ 0.49(s, 9H), 7.48(m, 3H), 7.71(m, 1H), 7.81(m, 1H), 8.01(m, 2H), 8.74(m, 1H).
【0104】
工程2:Ir(MeGe−ppy)の製造
前記工程1で製造された3−(トリメチルゲルミル)−6−フェニルピリジン(2.49g、9.16mmol)とイリジウム(III)アセチルアセトネート(1.28g、2.61mmol)をグリセロール(60ml)に溶解して、230℃で25時間撹拌させた。常温に冷却させた後、1Nの塩酸を加えて、沈殿物をろ過した。ろ過液を水(50ml)とジクロロメタン(40ml×3回)で抽出して有機層を分離した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させて減圧濃縮した。ジクロロメタン/ヘキサン=1/1の展開液でシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して黄色固体の目的化合物(0.47g、収得率18%)を得た。
【0105】
1H-NMR(300 MHz, Acetone d6)δ 0.22(s, 9H), 6.80(m, 2H), 6.98(d, 1H), 7.49(s, 1H), 7.73(d, 1H), 7.88(d, 1H), 8.04(d, 1H).
【0106】
<実施例3>Ir(MeGe−ppy)(acac)の製造
工程A:3−(トリメチルゲルミル)−6−フェニルピリジンの製造
前記実施例2の工程1と同一の方法で行なった。
【0107】
工程B及びC:Ir(MeGe−ppy)(acac)の製造
前記工程Aで製造された3−(トリメチルゲルミル)−6−フェニルピリジン(1.61g、5.91mmol)とイリジウム(III)アセチルアセトネート(0.53g、1.77mmol)を2−エトキシエタノール(30ml)と水(10ml)に溶解して、125℃で12時間撹拌した。常温に冷却した後、過糧の水を加えて、沈殿物をろ過してシクロメタル化したIr(III)μ−クロロブリッジされたダイマーを得た(0.60g、収得率44%)(工程B)。
【0108】
追加の精製なしに前記工程Bで得たダイマー化合物にアセチルアセトン(0.10g、1.00mmol)と炭酸ナトリウム(0.41g、3.9mmol)を2−エトキシエタノール(10ml)に溶解して170℃で12時間還流加熱した。反応終了後に常温に冷却しながら生じた固体をろ過して水で洗浄して、ジクロロメタンを展開液にシリカゲルカラムクロマトグラフィーを通じて最終生成物を精製して黄色固体の目的化合物(0.19g、収得率30%)を得た。
【0109】
1H-NMR(300 MHz, CDCl3)δ 0.49(s, 18H), 1.77(s, 6H), 2.05(s, 6H), 5.19(s, 1H), 7.45(m, 6H), 7.67-7.85(m, 4H), 7.99(m, 4H).
【0110】
<実施例4>Ir(PhGe−ppy)を用いた有機発光素子の製作及び特性評価
パターンされたITO基板をアセトンとイソプロパノールでそれぞれ10分ずつ超音波洗浄した後、窒素を吹き付けて乾燥させ、追加で紫外線オゾン洗浄装置で20分間乾式洗浄を進行した。このように洗浄したITO基板上にPEDOT:PSS(CLEVIOSTM P VP AI4083)を4200rpmで30秒間スピンコーティングして、120℃の真空オーブンで1時間乾燥して40nmの薄膜を形成した。PVK(Sigma-Aldrichカタログ番号368350)、TPD(Sigma-Aldrichカタログ番号443263)、PBD(Sigma-Aldrichカタログ番号B8378)及び前記実施例1で合成したIr(PhGe−ppy)を50:10:31:9(質量比)の割合で混合して、総固形分濃度が1.3質量%になるように1,2−ジクロロエタンを添加して有機発光層組成物を準備した。このように調製した有機発光層組成物溶液を前記PEDOT:PSSがコーティングされたITO基板上に1500rpmで30秒間スピンコーティングして、55℃熱板で乾燥して80nmの薄膜を形成した。有機発光層組成物溶液のスピンコーティング及び乾燥は、すべて窒素雰囲気下のグローブボックスで進行した。PEDOT:PSS及び有機発光層組成物がコーティングされたITO基板を金属真空蒸着チャンバーに移して10−7トール真空下でフッ化セシウムとアルミニウムをそれぞれ1nmと120nm真空熱蒸着した。完成した有機発光素子をグローブボックス中でガラスカバーとエポキシシーラントで封止した後、PR−650スペクトルカラーリミッターとケースレー2400ソース測定ユニットを用いて有機発光素子の特性を評価した。
【0111】
<実施例5>Ir(MeGe−ppy)を用いた有機発光素子の製作及び特性評価
前記実施例4で有機発光層組成物溶液の成分中のIr(PhGe−ppy)の代わりに、前記実施例2で合成したIr(MeGe−ppy)を使用したことを除き同一の方法で有機発光素子を製作してその特性を評価した。
【0112】
<比較例1>Ir(ppy)を用いた有機発光素子の製作及び特性評価
前記実施例4で有機発光層組成物溶液の成分中のIr(PhGe−ppy)の代わりに、従来の有機発光体に用いるIr(ppy)(Lumtecカタログ番号LT-E504)を使用したことを除き同一の方法で有機発光素子を製作してその特性を評価した。
【0113】
前記実施例4、実施例5及び比較例1の有機発光素子の発光スペクトルを測定して図4に示し、電流密度−発光効率グラフを測定して図5に、電圧−輝度/電圧−電流グラフを図6に示し、それから有機発光素子の特性を整理して下記の表1に示した。
【0114】
【表1】
【0115】
図4ないし図6及び表1に示したように、比較物質であるIr(ppy)に比べて本発明のゲルマニウムが置換されたIr(PhGe−ppy)及びIr(MeGe−ppy)が有機発光素子の有機発光層発光物質としてさらに優れた性能を示すことを確認し、有機発光物質に、ゲルマニウム置換体導入を通じてそれを用いた有機発光素子の発光効率を向上させることができることを確認した。
【0116】
したがって、本発明による化合物は、有機発光素子の発光層の一部に用いられる場合にその発光効率が顕著に改善するので、有機発光素子用材料として有用に用いることができる。
【0117】
<実施例6>Ir(MeGe−ppy)を用いた多層有機発光素子の製作及び特性評価
前記実施例4と同一な過程でITO基板洗浄及びPEDOT:PSS膜を成膜した後、その上にポリ(トリフェニルアミン)溶液(0.12質量%、溶媒:クロロベンゼン)を1500rpmで30秒間スピンコーティングして100℃熱板で乾燥して10nmの正孔輸送層薄膜を形成した。PVK(Sigma-Aldrichカタログ番号368350)、TPD(Sigma-Aldrichカタログ番号443263)、PBD(Sigma-Aldrichカタログ番号B8378)及び前記実施例2で合成したIr(MeGe−ppy)を73:10:10:7(質量比)の割合で混合して、総固形分濃度が0.64質量%になるように1,2−ジクロロエタンを添加して有機発光層組成物を準備した。このように調製された有機発光層組成物溶液を前記PEDOT:PSSとポリ(トリフェニルアミン)がコーティングされたITO基板上に1800rpmで30秒間スピンコーティングして、55℃の熱板で乾燥して50nmの有機発光層薄膜を形成した。正孔輸送層及び有機発光層組成物溶液のスピンコーティング及び乾燥は、すべて窒素雰囲気下のグローブボックスで進行した。このようにPEDOT:PSS、正孔輸送層及び有機発光層組成物がコーティングされたITO基板を真空蒸着チャンバーに移して、10−7トールの真空下でTPBi(1,3,5−トリ(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル,Lumtecカタログ番号LT-E302)を57nmの真空熱蒸着して電子輸送層を形成し、その上に再び10−7トールの真空下でフッ化セシウムとアルミニウムをそれぞれ1nmと120nm真空熱蒸着した。完成した有機発光素子をグローブボックス中でガラスカバーとエポキシシーラントで封止した後、PR−650スペクトルカラーリミッターとケースレー2400ソース測定ユニットを用いて有機発光素子の特性を評価した。
【0118】
前記実施例6の有機発光素子の電流密度−発光効率グラフを測定して図7に、電圧−輝度/電圧−電流グラフを図8に示した。
【0119】
結果
図7及び図8に示したように、本発明によるゲルマニウムが置換されたIr(MeGe−ppy)を用いて製造された多層有機発光素子は、優れた特性を示していることを確認した。
【0120】
したがって、本発明によるゲルマニウムが置換されたIr(MeGe−ppy)は、有機発光素子に有用に用いることができる。
【0121】
ここまで、本発明に対してその好ましい実施例を中心に詳しく見た。本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態で具現し得ることを理解することができるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく特許請求の範囲に示されていて、それと同等な範囲内にあるすべての差異点は本発明に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8