(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、半導体記憶装置には種々のタイプのものが存在し、代表的な半導体記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)が挙げられる。DRAMの多くはクロック信号に同期してデータの入出力を行うシンクロナス型であり、7ns程度のサイクルでランダムアクセスが可能である。
【0003】
しかしながら、DRAMは揮発性メモリであり、電源を切ると記憶データが失われてしまうため、プログラムや長期的に保存すべきデータの格納には適していない。また、電源投入中も、データを保持するためには定期的にリフレッシュ動作を行う必要があるため、消費電力の低減に限界があるとともに、コントローラによる複雑な制御が必要であるという課題を抱えている。
【0004】
大容量の不揮発性半導体メモリとしては、フラッシュメモリが知られている。しかしながら、フラッシュメモリは、データの書き込みやデータの消去に大電流が必要であり、しかも、書き込み時間や消去時間が非常に長いというデメリットを有している。したがって、メインメモリとしてのDRAMを代替することは不適切である。その他、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)やFRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性メモリが提案されているが、DRAMと同等の記憶容量を得ることは困難である。
【0005】
一方、DRAMに代わる半導体メモリとして、相変化材料を用いて記録を行うPRAM(Phase change Random Access Memory)が提案されている(特許文献1〜4参照)。PRAMは、記録層に含まれる相変化材料の相状態によってデータを記憶する。つまり、相変化材料は、結晶相における電気抵抗とアモルファス相における電気抵抗が大きく異なっていることから、これを利用してデータを記録することができる。
【0006】
相状態の変化は、相変化材料に書き込み電流を流し、これにより相変化材料を加熱することによって行われる。一方、データの読み出しは、相変化材料に読み出し電流を流し、その抵抗値を測定することによって行われる。読み出し電流は、相変化を生じさせないよう、書き込み電流よりも十分小さな値に設定される。このため、PRAMは、DRAMと異なり非破壊読み出しが可能である。また、相変化材料の相状態は、高熱を印加しない限り変化しないことから、電源を切ってもデータが失われることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DRAMは電圧センス型の半導体記憶装置であることから、ビット線対に生じる電位差をセンスアンプで増幅することによりデータの読み出しが行われる。これに対し、PRAMは電流センス型の半導体記憶装置であることから、データ読み出しにおいては、メモリセルに読み出し電流を流すことによって保持内容を電位差に変換し、さらに、この電位差を増幅する必要がある。
【0009】
このため、PRAMのセンスアンプは、DRAMのセンスアンプに比べて回路規模が非常に大きくなる。したがって、DRAMのようにビット線ごとにセンスアンプを設けることは現実的でなく、複数のビット線に対して1つのセンスアンプを共用する必要が生じる。より現実的には、複数のセルアレイに対して1つのセンスアンプを配置することが好適であると考えられる。
【0010】
ところが、複数のビット線に対して1つのセンスアンプを共用すると、センスアンプからみたビット線容量が非常に大きくなるため、センス動作に時間がかかるという問題が生じてしまう。このため、データの読み出しサイクルがDRAMに比べて大幅に長くなり、DRAMとの互換性を保つことができなくなる。
【0011】
このような問題は、PRAMだけでなく、センス動作に時間のかかる他のタイプの半導体記憶装置においても同様に生じる問題である。
【0012】
したがって、本発明の目的は、データの読み出しを高速に行うことが可能な半導体記憶装置及びその制御方法を提供することである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、複数のビット線に対して1つのセンスアンプが共用された半導体記憶装置であって、データの読み出しを高速に行うことが可能な半導体記憶装置、並びに、その制御方法を提供することである。
【0014】
また、本発明のさらに他の目的は、非破壊読み出しが可能なメモリセルを有する半導体記憶装置であって、データの読み出しを高速に行うことが可能な半導体記憶装置、並びに、その制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による半導体記憶装置は、非破壊読み出しが可能な複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルに接続されたビット線と、いずれも前記ビット線に割り当てられ、前記メモリセルの保持内容を電位差に変換する変換回路及び前記電位差を増幅する増幅回路を含む第1及び第2のセンスアンプと、前記第1のセンスアンプの前記増幅回路による増幅動作の実行中に、前記第2のセンスアンプの前記変換回路による変換動作を実行させる制御回路とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による半導体記憶装置の制御方法は、非破壊読み出しが可能な複数のメモリセルと、前記複数のメモリセルに接続されたビット線と、いずれも前記ビット線に割り当てられ、前記メモリセルの保持内容を電位差に変換する変換回路及び前記電位差を増幅する増幅回路を含む第1及び第2のセンスアンプとを備える半導体記憶装置の制御方法であって、前記第1のセンスアンプの前記変換回路を用いて変換動作を行う第1のステップと、前記第1のセンスアンプの前記増幅回路を用いて増幅動作を行う第2のステップと、前記第2のセンスアンプの前記変換回路を用いて変換動作を行う第3のステップとを備え、前記第2及び第3のステップを並列に実行することを特徴とする。
【0017】
メモリセルは、保持内容によって抵抗値が異なる可変抵抗素子を含んでいることが好ましい。この場合、変換回路は、選択されたメモリセルに読み出し電流を供給する読み出し電流供給部を含んでいることが好ましい。可変抵抗素子は、相変化材料を含んでいることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、同じビット線に対して複数のセンスアンプが割り当てられており、これらを並列に動作させていることから、データの読み出しを高速に行うことが可能となる。したがって、複数のビット線に対して1つのセンスアンプを共用する結果、センス動作に時間がかかる場合であっても、データの読み出しサイクルを短縮することが可能となる。このため、例えば、本発明をPRAMに適用すれば、DRAMとの互換性を確保することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施形態による半導体記憶装置の主要部の構成を示すブロック図である。本実施形態は、本発明をPRAMに適用した場合の一例を示している。
【0022】
図1に示すように、本実施形態による半導体記憶装置は、複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・と、これら複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・に対して共通に割り当てられた第1及び第2のトランスファラインTRL1,TRL2と、トランスファラインTRL1,TRL2にそれぞれ接続された第1及び第2のセンスアンプSA1,SA2とを備えている。
【0023】
セルアレイCA1,CA2,CA3・・・は、いずれも複数のワード線WL1〜WLmと、複数のビット線BL1〜BLnと、これらの交点に配置されたメモリセルMCによって構成されている。ワード線WL1〜WLmの選択は、ロウデコーダXDECによって行われ、ワード線WL1〜WLmのいずれか一つが活性状態とされる。また、ビット線BL1〜BLnは、対応するYスイッチYSWを介してグローバルビット線GBLに接続されている。
【0024】
図2は、メモリセルMCの回路図である。
【0025】
図2に示すように、メモリセルMCは相変化材料からなる相変化記憶素子PCと選択トランジスタTrによって構成され、これらがビット線BLとソース線VSSとの間に直列接続されている。
【0026】
相変化記憶素子PCを構成する相変化材料としては、2以上の相状態を取り、且つ、相状態によって電気抵抗が異なる材料であれば特に制限されないが、いわゆるカルコゲナイド材料を選択することが好ましい。カルコゲナイド材料とは、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、インジウム(In)、セレン(Se)等の元素を少なくとも一つ以上含む合金を指す。一例として、GaSb、InSb、InSe、Sb
2Te
3、GeTe等の2元系元素、Ge
2Sb
2Te
5、InSbTe、GaSeTe、SnSb
2Te
4、InSbGe等の3元系元素、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)、Te
81Ge
15Sb
2S
2等の4元系元素が挙げられる。
【0027】
カルコゲナイド材料を含む相変化材料は、アモルファス相(非晶質相)及び結晶相のいずれかの相状態をとることができ、アモルファス相では相対的に高抵抗状態、結晶相では相対的に低抵抗状態となる。
【0028】
選択トランジスタTrは、NチャンネルMOSトランジスタによって構成され、そのゲート電極は対応するワード線WLに接続されている。これにより、ワード線WLが活性化すると、ビット線BLとソース線VSSとの間に相変化記憶素子PCが接続された状態となる。
【0029】
相変化材料をアモルファス化(リセット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を融点以上の温度に加熱し、その後急速に冷却すればよい。一方、相変化材料を結晶化(セット)するためには、書き込み電流の印加によって相変化材料を結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱し、その後徐々に冷却すればよい。このような書き込み電流の印加は、図示しない書き込み回路によって供給される。但し、データの書き込み動作は本発明に直接関係しないことから、データの書き込みに関連する説明は省略する。
【0030】
一方、データの読み出しは、選択トランジスタTrをオンさせることによって相変化記憶素子PCをビット線BLに接続し、この状態で読み出し電流を流すことによって行われる。読み出し電流は、相変化を生じさせないよう、書き込み電流よりも十分小さな値に設定される。このため、メモリセルMCは、DRAMとは異なり、非破壊読み出しが可能である。また、相変化材料の相状態は、高熱を印加しない限り変化しないことから、電源を切ってもデータが失われることはない。データの読み出しに関連する回路及びその動作については、追って詳述する。
【0031】
図1に戻って、トランスファスイッチTSWは、第1のトランスファラインTRL1に接続された第1のトランスファスイッチTSW1と、第2のトランスファラインTRL2に接続された第2のトランスファスイッチTSW2によって構成されている。これらトランスファスイッチTSW1,TSW2は、制御回路CTLより供給される転送信号S30に応答して排他的にオンする。したがって、選択されたメモリセルMCは、第1のトランスファスイッチTSW1がオンすれば第1のセンスアンプSA1に接続され、第2のトランスファスイッチTSW2がオンすれば第2のセンスアンプSA2に接続されることになる。
【0032】
上述の通り、トランスファラインTRL1,TRL2は複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・に対して共通に割り当てられており、したがって、第1及び第2のセンスアンプSA1,SA2も複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・に対して共通に割り当てられる。つまり、複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・に対して読み出し回路が2系統設けられていることになる。
【0033】
DRAMのような一般的な半導体記憶装置では、センスアンプはビット線対ごとに割り当てられるため、センスアンプはセルアレイの内部に配置されることが多い。しかしながら、PRAMにおいては、データを読み出す場合、相変化記憶素子PCに読み出し電流を流すことによってメモリセルMCの保持内容を電位差に変換し、さらに、この電位差を増幅する必要がある。このため、PRAMのセンスアンプは、DRAMのセンスアンプに比べて回路規模が非常に大きくなる。このような理由から、本実施形態では、複数のセルアレイCA1,CA2,CA3・・・に対して、センスアンプSA1,SA2を共通に割り当てている。
【0034】
図3は、第1のセンスアンプSA1の回路図である。
【0035】
図3に示すように、第1のセンスアンプSA1は、変換回路100と増幅回路200によって構成されている。変換回路100は、メモリセルMCの保持内容を電位差に変換する回路であり、増幅回路200は、変換回路100によって生成された電位差を増幅する回路である。
【0036】
図3に示すように、変換回路100は、内部ノードAと電源配線との間に並列に接続された読み出しトランジスタ101及びプリチャージトランジスタ102と、内部ノードAとグランド配線との間に接続されたリセットトランジスタ103とを備えている。
【0037】
読み出しトランジスタ101は、Pチャンネル型のMOSトランジスタであり、ダイオード接続されたトランジスタ111及び電流制限回路120を介して、トランスファラインTRL1に読み出し電流を供給する役割を果たす。プリチャージトランジスタ102もPチャンネル型のMOSトランジスタであり、ダイオード接続されたトランジスタ112及び電流制限回路120を介して、トランスファラインTRL1をプリチャージする役割を果たす。これは、読み出し前の期間ではトランスファラインTRL1がグランドレベルまで低下しているため、読み出し可能なレベルまで速やかに電位を上昇させる必要があるからである。したがって、プリチャージトランジスタ102の電流供給能力は、読み出しトランジスタ101の電流供給能力よりも十分に高く設計される。
【0038】
また、リセットトランジスタ103は、Nチャンネル型のMOSトランジスタであり、読み出し終了後にトランスファラインTRL1をグランドレベルまで低下させる役割を果たす。
【0039】
プリチャージトランジスタ102のゲートには、プリチャージ信号S11が供給される。このため、プリチャージ信号S12が活性レベル(ローレベル)になると、トランスファラインTRL1は速やかにプリチャージされる。また、読み出しトランジスタ101とリセットトランジスタ103のゲートには、センス活性化信号S12が共通に供給される。このため、センス活性化信号S12が活性レベル(ローレベル)になると、トランスファラインTRL1には読み出し電流が供給され、非活性レベル(ハイレベル)になると、トランスファラインTRL1はグランドレベルに接続される。
【0040】
一方、増幅回路200は、差動回路部210とラッチ部220と出力回路230とを備えている。
【0041】
差動回路部210は、内部ノードAの電位と基準電位Vrefを比較する回路であり、センス活性化信号S11が活性レベルになると比較動作を実行し、内部ノードB,C間により大きな電位差を生じさせる。また、ラッチ部220は、差動回路部210の出力を保持する回路であり、ラッチ信号S13が活性レベル(ハイレベル)になると、ラッチ動作を実行する。さらに、出力回路230は、差動回路部210の出力に基づいてデータバスBUSを駆動する回路であり、ラッチ信号S13が活性レベルになると、出力動作を実行する。
【0042】
以上が第1のセンスアンプSA1の回路構成である。第2のセンスアンプSA2については、変換回路100が第2のトランスファラインTRL2に接続される点、並びに、信号S11〜S13の代わりに信号S21〜S23が用いられる点を除き、
図3に示した第1のセンスアンプSA1と同じ回路構成を有している。
【0043】
図4は、第1のセンスアンプSA1の動作を説明するためのタイミング図である。
【0044】
第1のセンスアンプSA1を用いたデータの読み出しを行う前の状態においては(時刻t1以前)、プリチャージ信号S11及びセンス活性化信号S12はいずれもハイレベルである。これによりリセットトランジスタ103がオンすることから、トランスファラインTRL1はグランドレベルに保たれる。
【0045】
そして、時刻t1においてプリチャージ信号S11及びセンス活性化信号S12をローレベルに活性化させると、リセットトランジスタ103がオフし、読み出しトランジスタ101及びプリチャージトランジスタ102がオンすることから、トランスファラインTRL1がプリチャージされる。これにより、内部ノードAの電位は、基準電位Vref近傍まで上昇する。
【0046】
次に、時刻t2において、所定の転送信号S30を活性化させる。これにより、読み出し対象となるセルアレイCAに対応した、第1のトランスファスイッチTSW1がオンする。その結果、センスアンプSA1からみたトランスファラインTRL1の容量が増大することから、内部ノードAの電位は急速に低下する。しかしながら、読み出しトランジスタ101及びプリチャージトランジスタ102がオンしていることから、プリチャージ動作が進行し、内部ノードAの電位は再び基準電位Vref近傍まで上昇する。
【0047】
次に、プリチャージが完了する時刻t3において、プリチャージ信号S11をハイレベルに非活性化させる。センス活性化信号S12については活性状態を維持しておく。これにより、トランスファラインTRL1に供給される電流は、読み出しトランジスタ101を介した読み出し電流のみとなる。
【0048】
このため、読み出し対象のメモリセルMCが高抵抗状態、つまり、相変化記憶素子PCがアモルファス状態(リセット状態)であれば、内部ノードAの電位は基準電位Vrefよりも高くなる。これに対し、読み出し対象のメモリセルMCが低抵抗状態、つまり、相変化記憶素子PCが結晶状態(セット状態)であれば、内部ノードAの電位は基準電位Vrefよりも低くなる。
【0049】
このように、メモリセルMCの保持内容に応じて、内部ノードAと基準電位Vrefとの間には、所定の電位差が生じることになる。これに応じ、増幅回路200に含まれる差動回路部210は、内部ノードB,Cにより大きな電位差を生じさせる。
【0050】
次に、時刻t4において、センス活性化信号S12をハイレベルに非活性化させるとともに、ラッチ信号S13をハイレベルに活性化させる。これにより、増幅回路200に含まれるラッチ部220は、内部ノードB,Cの一方を電源電位まで引き上げるとともに、他方をグランドレベルまで引き下げ、この状態を保持する。保持された情報は、出力回路230を介してデータバスBUSに出力される。
【0051】
増幅回路200に含まれるラッチ部220が活性化した後は、読み出されたデータが保持されることから、メモリセルMCとセンスアンプSA1との接続は不要である。このため、時刻t4の直後である時刻t5において、転送信号S30を非活性化させる。
【0052】
そして、データバスBUSを介したデータの読み出しが完了した後、時刻t6においてラッチ信号S13をローレベルに非活性化させる。これにより、各信号の状態は時刻t1以前の状態に戻ることから、同じセンスアンプSA1を用いた次の読み出し動作を開始することが可能となる。
【0053】
以上がセンスアンプSA1の動作である。本実施形態においては、このようなセンスアンプが2系統備えられていることから、これら2つのセンスアンプを並列動作させることが可能である。
【0054】
図5は、センスアンプSA1,SA2の並列動作を説明するための模式的なタイミング図である。
【0055】
図5に示すように、センスアンプSA1,SA2の動作期間は、いずれもプリチャージ期間T1と変換期間T2と増幅期間T3によって構成される。
【0056】
プリチャージ期間T1は、トランスファラインTRL1又はトランスファラインTRL2の電位をグランドレベルからプリチャージレベルまで引き上げる期間であり、
図4に示した時刻t1〜t3の期間に相当する。したがって、この動作は変換回路100により実行される。
【0057】
変換期間T2は、トランスファラインTRL1又はトランスファラインTRL2を介してメモリセルMCに読み出し電流を流すことによって、メモリセルの保持内容を電位差に変換する期間であり、
図4に示した時刻t3〜t4の期間に相当する。したがって、この動作も変換回路100により実行される。
【0058】
増幅期間T3は、内部ノードAの電位と基準電位Vrefとの電位差を増幅する期間であり、
図4に示した時刻t4〜t6の期間に相当する。したがって、この動作は増幅回路200により実行される。
【0059】
そして、本実施形態においては、一方のセンスアンプが増幅期間T3に入ると、他方のセンスアンプが読み出し動作を開始し、プリチャージ動作及び変換動作を実行することができる。つまり、一方のセンスアンプの読み出し動作の終了を待つことなく、並行して他方のセンスアンプを動作させることができる。
【0060】
これは、本実施形態による半導体記憶装置がPRAMであり、非破壊読み出しが可能だからである。つまり、データの読み出しによって保持内容が破壊されるタイプの半導体記憶装置(例えばDRAM)では、読み出し動作を実行した後、リストアを行う必要があり、これら一連の動作を完了するまでは、同じビット線に繋がるメモリセルに対して読み出し動作を開始することができない。これに対し、PRAMのように非破壊読み出しが可能な半導体記憶装置であれば、リストアを行う必要がないことから、センス動作が完了した後は、同じビット線に繋がるメモリセルに対して読み出し動作を開始することが可能である。この点に着目して、本実施形態では、読み出し回路を2系統設けているのである。
【0061】
これにより、読み出しサイクルは、実質的にプリチャージ期間T1と変換期間T2の和によって定義され、センスアンプを1系統しか設けない場合と比べて、増幅期間T3の分だけ読み出しサイクルを短縮することが可能となる。したがって、プリチャージ期間T1と変換期間T2の和を例えば7ns程度に抑えれば、DRAMと互換性を確保することが可能となる。
【0062】
尚、特許文献5に記載された半導体記憶装置(DRAM)では、一対のビット線に対して2つのセンスアンプを配置しているが、DRAMはデータの読み出しによって保持内容が破壊されることから、リストアを含む一連の読み出し動作が完了する前に同一ビット線に繋がる他のメモリセルに対して読み出し動作を開始することはできない。
【0063】
このように、本実施形態によれば、第1及び第2のセンスアンプSA1,SA2の並列動作が可能であることから、センスアンプからみた負荷容量が大きいためにプリチャージに時間がかかる場合であっても、読み出しサイクルを短縮することが可能となる。
【0064】
図6は、
図1に示した半導体記憶装置を単位回路として、これを複数個設けた例による半導体記憶装置のブロック図である。
【0065】
図6に示すように、
図1に示した半導体記憶装置を単位回路10とし、これを複数個設ける場合、シーケンシャルアクセス時においては、アクセスごとに異なる単位回路10が選択されるよう、構成することが好ましい。具体的には、1つの単位回路にj個のセルアレイが含まれ、これら単位回路がk個設けられているとすれば、シーケンシャルアクセス時において、
図6に示すセルアレイCA1,CA2・・・CAjkの順でアクセスが行われるよう構成すればよい。このように構成すれば、シーケンシャルにアクセスされる場合には、同じ単位回路が連続してアクセスされることはない。
【0066】
しかしながら、ランダムにアクセスされる場合には、同じ単位回路が連続してアクセスされる可能性があり、このようなケースにおいて、上述した2つのセンスアンプの並列動作が有効となる。このような観点からは、同じ単位回路が連続してアクセスされた場合に限り2つのセンスアンプを並列動作させ、それ以外の場合には、常に一方のセンスアンプ(例えば第1のセンスアンプSA1)を動作させることも可能である。
【0067】
但し、同じ単位回路が連続してアクセスされた場合とそうでない場合とで動作が異なると、かえって制御が複雑となるおそれがある。これを考慮すれば、互いに位相の異なる2つのタイミング信号を用い、第1のタイミング信号に同期して第1のセンスアンプSA1を動作させ、第2のタイミング信号に同期して第2のセンスアンプSA2を動作させることが好ましい。この場合、模式図である
図7に示すように、シーケンシャルアクセスが行われている場合であっても、隣り合う単位回路において第1及び第2のセンスアンプSA1,SA2が交互に動作することになる。
図7においては、ハッチングがされたセンスアンプが動作するセンスアンプである。
【0068】
図8は、制御回路CTLの一部分をより詳細に示すブロック図である。また、
図9は、
図8に示す制御回路CTLの動作を示すタイミング図である。
【0069】
図8に示すように、制御回路CTLは、タイミング信号生成部310と、第1のセンスアンプ制御部311と、第2のセンスアンプ制御部312とを備えている。
【0070】
タイミング信号生成部310は、一定の周期で活性化する原信号CYEと、原信号CYEが活性化するたびに反転する相補のサイクル信号CYC1,CYC2に基づいて、互いに位相の異なる第1及び第2のタイミング信号REEN1,REEN2を生成する。
【0071】
第1のタイミング信号REEN1は第1のセンスアンプ制御部311に供給され、これに同期して上述したプリチャージ信号S11、センス活性化信号S12及びラッチ信号S13を生成する。同様に、第2のタイミング信号REEN2は第2のセンスアンプ制御部312に供給され、これに同期してプリチャージ信号S21、センス活性化信号S22及びラッチ信号S23を生成する。
【0072】
このように、互いに位相の異なる第1及び第2のタイミング信号REEN1,REEN2に同期して第1及び第2のセンスアンプSA1,SA2を制御すれば、同じ単位回路が連続してアクセスされたか否かを判断する必要がなくなることから、回路構成をより簡素化することが可能となる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0074】
例えば、上記実施形態は本発明をPRAMに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用対象がこれに限定されるものではなく、他の種類の半導体記憶装置に適用することも可能である。したがって、メモリセルMCに含まれる相変化記憶素子PCの代わりに、非破壊読み出しが可能な他の可変抵抗素子を用いても構わない。また、メモリセルが不揮発性であることも必須でなく、揮発性であっても構わない。
【0075】
また、上記実施形態では、2つのセンスアンプSA1,SA2を並列動作させているが、3つ以上のセンスアンプを並列に使用することも可能である。
図10は、3つのセンスアンプSA1〜SA3を並列に使用することが好適なケースを説明するための図である。
図10に示すように、増幅期間T3がプリチャージ期間T1と変換期間T2の和よりも長い場合には、2つのセンスアンプでは、読み出しサイクルをプリチャージ期間T1と変換期間T2の和によって定義することができなくなる。このような場合には、
図10に示すように、3つ以上のセンスアンプSA1〜SA3を並列に使用すれば、読み出しサイクルをプリチャージ期間T1と変換期間T2の和によって定義することが可能となる。