(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定エリア設定手段が、前記感圧中心を含む中心エリアと、該中心エリアの周囲を囲む少なくとも1つの周辺環状エリアを含む複数の前記判定エリアを設定する請求項1に記載の姿勢判定装置。
前記姿勢判定手段が、前記複数の圧力検出部を出力値に基づいて複数のグループにグループ分けをするグループ分け手段と、各前記判定エリアにおける各前記グループに属する前記圧力検出部の個数を算出する個数算出手段を含んで構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の姿勢判定装置。
前記グループ分け手段が、予め設定された前記圧力検出部の最小出力値と、該圧力検出部により実測された最大出力値との差を複数に等分して得られた複数の圧力値範囲のグループを定義している請求項5に記載の姿勢判定装置。
前記側臥判定手段が、前記感圧中心に対して出力値が最大となる圧力検出部の行方向位置に基づき左側臥と右側臥を峻別する左右側臥峻別手段をさらに含んでいる請求項7に記載の姿勢判定装置。
前記姿勢判定工程が、前記複数の圧力検出部を出力値に基づいて複数のグループにグループ分けをするグループ分け工程と、各前記判定エリアにおける各前記グループに属する前記圧力検出部の個数を算出する個数算出工程を含んでいる請求項11に記載の姿勢判定方法。
前記側臥判定工程が、前記感圧中心に対して出力値が最大となる圧力検出部の行方向位置に基づき左側臥と右側臥を峻別する左右側臥峻別工程をさらに含んでいる請求項13に記載の姿勢判定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、寝具上での使用者の方向に影響されることなく、簡単な手段や方法により精度よく使用者の姿勢を判定することができる、新規な姿勢判定装置および姿勢判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。
【0009】
姿勢判定装置に関する本発明の第1の態様は、寝具の人体支持面にマトリックス状に配設された複数の圧力検出部を用いて使用者の姿勢を判定する姿勢判定装置において、前記圧力検出部の出力値に基づいて該圧力検出部のうち圧力が検知された感圧検出部の感圧中心を算出する感圧中心算出手段と、算出された前記圧力分布中心の周囲に複数の判定エリアを設定する判定エリア設定手段と、前記複数の判定エリア内における前記圧力検出部の前記出力値の分布状況に基づき姿勢を判定する姿勢判定手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に従う姿勢判定装置によれば、先ず、マトリックス状に配設された複数の圧力検出部の出力値に基づき、圧力が検出されている複数の圧力検出部の中心部分となる感圧中心が検出される。そして、感圧中心の周囲に判定エリアを設定して、かかる判定エリア内の圧力検出部の出力値の分布状況に基づき姿勢を判定することができる。要するに、従来の姿勢判定装置のように、使用者の姿勢判定が装置自体の固定的な方向に依存して行われることが回避されて防止されている。それ故、使用者が寝具の長手方向に対して傾斜した状態で横たわっている場合でも、所望の検出精度を維持した状態で姿勢判定を行うことができるのである。
【0011】
なお、感圧中心とは、圧力が検出されている複数の圧力検出部の中心部分が概ね特定できるものであれば、何れでもよい。例えば、感圧中心は、圧力が検出されている複数の圧力検出部の座標値および出力値から算出される重心であってもよいし、圧力が検出されている複数の圧力検出部の座標値から算出される面積中心であってもよい。また、判定エリアは感圧中心の周囲に設定されていればよく、求められる判定内容に応じて、判定エリアの数は単一でも複数でもよく、判定エリアの大きさ等も任意に設定可能である。
【0012】
さらに、本発明の姿勢判定装置によれば、感圧中心の周囲に設定した判定エリア内における圧力検出部の出力値の分布状況から姿勢を判定することが可能となる。従って、従来の如き多数の寝姿モデルを予め準備したり、その相関関係を算出するといった複雑な作業を要することなく、簡便に姿勢の判定を行うことができる。しかも、かかる簡便な判定手法にもかかわらず、使用者の寝具上の方向により判定精度がばらつくことも有利に防止されているのである。
【0013】
姿勢判定装置に関する本発明の第2の態様は、前記第1の態様に記載のものにおいて、前記判定エリア設定手段が、前記感圧中心を含む中心エリアと、該中心エリアの周囲を囲む少なくとも1つの周辺環状エリアを含む複数の前記判定エリアを設定するものである。本態様によれば、感圧中心を中央に配置した形態で複数の判定エリアを設定することができる。使用者の姿勢判定において、感圧中心を中央に配置した周辺領域において、姿勢毎の特徴が把握し易いことから、本態様の判定エリア設定により、姿勢判定の精度を有利に高めることができるのである。
【0014】
姿勢判定装置に関する本発明の第3の態様は、前記第2の態様に記載のものにおいて、前記中心エリアと、前記周辺環状エリアが同心円状に配設されているものである。本態様によれば、中心エリアと周辺環状エリアが同心円状とされていることから、使用者が寝具上の何れの方向に向いて横たわっていても、姿勢判定の精度を有利に維持することができるのである。
【0015】
姿勢判定装置に関する本発明の第4の態様は、前記第2又は第3の態様に記載のものにおいて、前記中心エリアと、前記周辺環状エリアの面積が同一とされている。本態様によれば、中心エリアと周辺環状エリアの面積を同一に設定することで、判定エリアにおける圧力検出部の出力値の分布状況に基づく姿勢判定の精度を有利に向上させることができるのである。
【0016】
姿勢判定装置に関する本発明の第5の態様は、前記第1〜第4の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記姿勢判定手段が、前記複数の圧力検出部を出力値に基づいて複数のグループにグループ分けをするグループ分け手段と、各前記判定エリアにおける各前記グループに属する前記圧力検出部の個数を算出する個数算出手段を含んで構成されているものである。
【0017】
本態様によれば、グループ分け手段により複数の圧力検出部を出力値に基づいて複数のグループにグループ分けする一方、個数算出手段により各判定エリアにおける各グループに属する圧力検出部の個数を算出することができる。これにより、判定エリア内における前記圧力検出部の前記出力値の分布状況を速やかに把握することができ、姿勢判定を効率的に行うことができる。
【0018】
姿勢判定装置に関する本発明の第6の態様は、前記第5の態様に記載のものにおいて、前記グループ分け手段が、予め設定された前記圧力検出部の最小出力値と、該圧力検出部により実測された最大出力値との差を複数に等分して得られた複数の圧力値範囲のグループを定義しているものである。本態様によれば、グループ分けに使用される圧力値範囲のグループが、予め設定された最小出力値と実測値のうちの最大出力値との間を等分することで設定されることから、使用者の体重等に応じた適切なグループ分けが適宜可能となり、使用者の個体差等の条件により姿勢検出精度がばらつくことを有利に防止することができる。
【0019】
姿勢判定装置に関する本発明の第7の態様は、前記第6の態様に記載のものにおいて、前記グループ分け手段により、前記圧力検出部が3つ以上の前記グループに分類される一方、前記判定エリア設定手段により、前記感圧中心を含む前記中心エリアと、該中心エリアの周囲を同心状に囲む2つ以上の前記周辺環状エリアを含む複数の前記判定エリアが設定され、前記姿勢判定手段が、最も出力値の大きい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数が最も出力値の小さい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数よりも大きい場合に側臥と判定する側臥判定手段と、全ての前記グループで前記圧力検出部が検出され、且つ最も出力値の大きい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数が他の各前記グループに属する前記圧力検出部の総個数と対比して最小である場合に仰臥と判定する仰臥判定手段と、前記中心エリア内に属する前記圧力検出部の個数が、全ての前記グループに属する前記圧力検出部の総個数の60%以上である場合に座位と判定する座位判定手段と、各前記判定エリアにおいて最も出力値の小さいグループと2番目に出力値の小さいグループに属する前記圧力検出部のそれぞれの個数が、前記人体支持面に配設された全ての前記圧力検出部の総個数の0.875%以上の個数となる場合に伏臥と判定する伏臥判定手段と、前記感圧中心が、複数の前記圧力検出部の前記マトリックス状の配置において、端部から30%以内の列に位置している場合に端位と判定する端位判定手段と、のうちの少なくとも1つの判定手段を含んでいるものである。
【0020】
本態様によれば、圧力検出部が3つ以上のグループに分類されると共に、判定エリアも中心エリアとそれを同心状に囲む2つ以上の周辺環状エリアに分けられていることから、使用者の姿勢判定をより細やかに行うことができ、判定精度を向上させることができる。なお、圧力検出部のグループ数や判定エリアの総数は、圧力検出部の配設ピッチ等を考慮して3つ以上の範囲で任意に設定可能であるが、好ましくは3〜7つであり、より好ましくは5つ程度である。
【0021】
また、姿勢判定手段には、必要に応じて任意に選択される具体的な姿勢の判定手段を含むことができる。従って、圧力検出部の前記出力値の分布状況が、側臥判定手段の上記の判定条件に適合すると、側臥判定手段により側臥を判定することができる。また、圧力検出部の前記出力値の分布状況が、仰臥判定手段の上記の判定条件に適合すると、仰臥判定手段により仰臥を判定することができる。加えて、圧力検出部の前記出力値の分布状況が、伏臥判定手段の上記の判定条件に適合すると、伏臥判定手段により伏臥を判定することができる。これにより、従来の姿勢判定装置では、認定が難しかった伏臥を安定して且つ簡便なシステムで認定することが可能となるのである。また、端位判定手段では、予め得られた感圧中心を巧く利用して、使用者が寝具の端部に寄っている状態である端位を効率よく検出することができる。これにより、端位が検出された際に警告音等を発するようにすれば、使用者のベッド等からの転落を未然に防止することが可能となる。要するに、本態様では、必要に応じて任意の判定手段を選択して、姿勢判定を効率的に行うことができるのである。
【0022】
姿勢判定装置に関する本発明の第8の態様は、前記第7の態様に記載のものにおいて、前記側臥判定手段が、前記感圧中心に対して出力値が最大となる圧力検出部の行方向位置に基づき左側臥と右側臥を峻別する左右側臥峻別手段をさらに含んでいるものである。
【0023】
本態様によれば、圧力検出部の前記出力値の分布状況が、側臥判定手段により側臥と判定されたものについて、予め得られた感圧中心を巧く利用して、左側臥と右側臥に確実に峻別でき、より細かい姿勢判定を効率的に行うことができる。
【0024】
姿勢判定装置に関する本発明の第9の態様は、前記第1〜8の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記感圧中心が、所定値以上の出力値が検出された複数の前記圧力検出部の出力値から求められる重心であるものである。本態様によれば、感圧中心に重心を採用することで、所定値以上の出力値が検出された複数の圧力検出部の中心部分をより正確に特定でき、姿勢判定手段における判定精度を向上させることができる。
【0025】
姿勢判定装置に関する本発明の第10の態様は、前記第1〜8の何れか1つの態様に記載のものにおいて、前記感圧中心が、前記感圧中心が、所定値以上の出力値が検出された複数の前記圧力検出部の面積中心であるものである。本態様によれば、感圧中心に面積中心を採用することで、所定値以上の出力値が検出された複数の圧力検出部の中心部分をより効率的に特定することができる。
【0026】
姿勢判定方法に関する本発明の第1の態様は、寝具の人体支持面にマトリックス状に配設された複数の圧力検出部を用いて使用者の姿勢を判定する姿勢判定方法において、前記圧力検出部の出力値に基づいて該圧力検出部の感圧中心を算出する感圧中心算出工程と、算出された前記感圧中心の周囲に複数の判定エリアを設定する判定エリア設定工程と、前記判定エリア内における前記圧力検出部の前記出力値の分布状況に基づき姿勢を判定する姿勢判定工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0027】
本発明に従う姿勢判定方法によれば、上述の本発明の姿勢判定装置の場合と同様に、使用者の寝具上の方向により判定精度がばらつくことを有利に防止して、簡便な判定手法により確実に姿勢判定を行うことができるのである。
【0028】
姿勢判定方法に関する本発明の第2の態様は、前記第1の態様に記載のものにおいて、前記姿勢判定工程が、前記複数の圧力検出部を出力値に基づいて複数のグループにグループ分けをするグループ分け工程と、各前記判定エリアにおける前記グループに属する前記圧力検出部の個数を算出する個数算出工程を含んでいるものである。
【0029】
本態様によれば、グループ分け工程と個数算出工程により、判定エリア内における前記圧力検出部の前記出力値の分布状況を速やかに把握することができ、姿勢判定を効率的に行うことができる。
【0030】
姿勢判定方法に関する本発明の第3の態様は、前記第2の態様に記載のものにおいて、前記グループ分け工程により、前記圧力検出部が3つ以上の前記グループに分類される一方、前記判定エリア設定工程により、前記感圧中心を含む前記中心エリアと、該中心エリアの周囲を同心状に囲む2つ以上の前記周辺環状エリアを含む複数の前記判定エリアが設定され、前記姿勢判定工程が、最も出力値の大きい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数が最も出力値の小さい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数よりも大きい場合に側臥と判定する側臥判定工程と、全ての前記グループで前記圧力検出部が検出され、且つ最も出力値の大きい前記グループに属する前記圧力検出部の総個数が他の各前記グループに属する前記圧力検出部の総個数と対比して最小である場合に仰臥と判定する仰臥判定工程と、前記中心エリア内に属する前記圧力検出部の個数が、全ての前記グループに属する前記圧力検出部の総個数の60%以上である場合に座位と判定する座位判定工程と、各前記判定エリアにおいて最も出力値の小さいグループと2番目に出力値の小さいグループに属する前記圧力検出部のそれぞれの個数が、前記人体支持面に配設された全ての前記圧力検出部の総個数の0.875%以上の個数となる場合に伏臥と判定する伏臥判定工程と、前記感圧中心が、複数の前記圧力検出部の前記マトリックス状の配置において、端部から30%以内の列に位置している場合に端位と判定する端位判定工程と、のうちの少なくとも1つの判定工程を含んでいるものである。
【0031】
本態様によれば、上述の姿勢判定装置の場合と同様、判定エリア内における前記圧力検出部の前記出力値の分布状況を速やかに把握することができ、必要に応じて選択される任意の姿勢判定工程により所望の姿勢判定を効率的に行うことができる。
【0032】
姿勢判定方法に関する本発明の第4の態様は、前記第3の態様に記載のものにおいて、 前記側臥判定工程が、前記感圧中心に対して出力値が最大となる圧力検出部の行方向位置に基づき左側臥と右側臥を峻別する左右側臥峻別工程をさらに含んでいるものである。本態様によれば、予め得られた感圧中心を巧く利用して、左側臥と右側臥に確実に峻別でき、より細かい姿勢判定を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に従う姿勢判定装置および姿勢判定方法によれば、圧力が検出されている複数の圧力検出部の中心部分となる感圧中心を検出し、感圧中心の周囲に複数の判定エリアを設定して、判定エリア内の圧力検出部の出力値の分布状況に基づき姿勢を判定するようにした。これにより、使用者の寝具上の方向により判定精度がばらつくことを有利に防止して、簡便な判定手法により確実に姿勢判定を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
先ず、
図1および
図2に、本発明に従う構造とされた姿勢判定装置10を備えた寝具としてのベッド12を示す。ベッド12は、ベッド本体14における人体支持面としての床板16の上面に、ウレタンフォーム等で形成されたマットレス18が載置された構造とされている。そして、マットレス18の上面には、本発明の姿勢判定装置10の一部を構成する天部マット20が載置されている。なお、以下の説明において、特に断りの無い限り、縦方向とは、
図1中のベッド12の長手方向を言い、上下方向、横方向とは、
図2中の上下方向および左右方向を言うものとする。
【0037】
図2に示すように、天部マット20は、上下方向視の形状がマットレス18と略同一とされると共に、マットレス18よりも薄肉の矩形板状を呈している。天部マット20は、それぞれが多孔質のウレタンフォームで形成された表層部22と裏層部24とを有する積層構造とされている。天部マット20において、表層部22と裏層部24の間には、後述する複数の圧力検出部100を有する体圧センサ26が設けられている。体圧センサ26としては、歪ゲージや磁歪体を用いたロードセル等を用いることも可能であるが、本実施形態においては、体圧センサ26として、シート状の静電容量型センサが用いられている。このような静電容量型センサとしては、従来公知のものが適宜に採用可能である。
【0038】
図3に概念的に示すように、姿勢判定装置10は、天部マット20内に収容配置された体圧センサ26と、データ処理装置28と、表示装置30を含んで構成されている。そして、ベッド12に配設された天部マット20上に図示しない使用者が横たわると、天部マット20内の体圧センサ26が体圧を感知して出力信号がデータ処理装置28に送信される。データ処理装置28が受信した出力信号に基づき姿勢判定を実行すると、判定結果が表示装置30に表示されるようになっている。
【0039】
次に、
図4および
図5に体圧センサ26を概略的に示す。なお、
図4においては、理解を容易とするために、後述する誘電層32および表側基材34を透視して図示すると共に、圧力検出部100黒塗りで示している。
【0040】
体圧センサ26は、誘電層32と、表側電極01X〜32Xと、裏側電極01Y〜25Yと、表側配線01x〜32xと、裏側配線01y〜25yと、表側基材34と、裏側基材36と、表側配線用コネクタ38と、裏側配線用コネクタ40と、を備えており、これら表側配線用コネクタ38と裏側配線用コネクタ40が、データ処理装置28に電気的に接続されている。なお、表側配線01x〜32x、裏側配線01y〜25y、表側配線用コネクタ38および裏側配線用コネクタ40は、何れも体圧センサ26内に配設されるものであるが、
図4においては、視認を容易とするために、体圧センサ26の外に概略的に示している。
【0041】
誘電層32は、エラストマーとしてのウレタン発泡体製であって、四角形板状のシート状を呈し、弾性変形可能とされている。誘電層32は、マットレス18の上面と略等しい大きさとされている。
【0042】
表側基材34は、ゴム製であって、四角形板状を呈している。表側基材34は、誘電層32の上方(表側)に積層されている。裏側基材36は、ゴム製であって、四角板形状を呈している。裏側基材36は、誘電層32の下方(裏側)に積層されている。
【0043】
図5に示すように、表側基材34の外縁と裏側基材36の外縁とは接合されており、表側基材34と裏側基材36が、袋状に貼り合わされている。誘電層32は、当該袋内に収容されている。誘電層32の上面四隅は、表側基材34の下面四隅に、スポット的に接着されている。また、誘電層32の下面四隅は、裏側基材36の上面四隅に、スポット的に接着されている。このように、誘電層32は、表側基材34および裏側基材36に、使用時にシワがよらないように、位置決めされている。ただし、誘電層32は、四隅が接着された状態で、表側基材34および裏側基材36に対して、水平方向(前後左右方向)に弾性変形可能である。
【0044】
表側電極01X〜32Xは、誘電層32の上面に、合計32本配置されている。表側電極01X〜32Xは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。表側電極01X〜32Xは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。表側電極01X〜32Xは、各々、横方向(
図4中、左右方向)に延在している。表側電極01X〜32Xは、縦方向(
図4中、上下方向)に所定間隔を隔てて離間して、互いに略平行になるように配置されている。
【0045】
表側配線01x〜32xは、誘電層32の上面に、合計32本配置されている。表側配線01x〜32xは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。表側配線01x〜32xは、各々、線状を呈している。表側配線用コネクタ38は、表側基材34および裏側基材36の隅部に配置されている。表側配線01x〜32xは、各々、表側電極01X〜32Xの端部と表側配線用コネクタ38と、を接続している。
【0046】
裏側電極01Y〜25Yは、誘電層32の下面に、合計25本配置されている。裏側電極01Y〜25Yは、各々、アクリルゴムと、導電性カーボンブラックと、を含んで形成されている。裏側電極01Y〜25Yは、各々、帯状を呈しており、柔軟に伸縮可能に形成されている。裏側電極01Y〜25Yは、各々、縦方向(
図4中、上下方向)に延在している。裏側電極01Y〜25Yは、横方向(
図4中、左右方向)に所定間隔を隔てて離間して、互いに略平行になるように配置されている。このように、表側電極01X〜32Xと裏側電極01Y〜25Yとは、上方または下方から見て、互いに直交するマトリックス状に配置されている。
【0047】
裏側配線01y〜25yは、誘電層32の下面に、合計32本配置されている。裏側配線01y〜25yは、各々、アクリルゴムと、銀粉と、を含んで形成されている。裏側配線01y〜25yは、各々、線状を呈している。裏側配線用コネクタ40は、表側基材34および裏側基材36の隅部に配置されている。裏側配線01y〜25yは、各々、裏側電極01Y〜25Yの端部と裏側配線用コネクタ40と、を接続している。
【0048】
体圧センサ26が備える複数の圧力検出部100は、
図4に黒塗りの四角で示すように、表側電極01X〜32Xと、裏側電極01Y〜25Yと、が上下方向に交差する部分(重複する部分)に配置されて、誘電層32の略全面に亘って、縦横に略均等に配置されている。圧力検出部100は、各々、表側電極01X〜32Xの一部と、裏側電極01Y〜25Yの一部と、誘電層32の一部と、を備えている。圧力検出部100は、合計800個(=32個×25個)配置されている。なお、姿勢判定装置10において実行される後述する姿勢判定方法では、各圧力検出部100が、表側電極01X〜32Xをx座標値、裏側電極01Y〜25Yをy座標値として用いて、圧力検出部100(x、y)として認識される。例えば、表側電極01Xと裏側電極01Yの交差部分に配置されている、
図4中左上隅に位置する圧力検出部100を圧力検出部100(01,01)と認識し、表側電極32Xと裏側電極25Yの交差部分に配置されている、
図4中右下隅に位置する検出部100を検出部100(32,25)と認識する。
【0049】
図4に示すように、データ処理装置28は、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)46と、RAM(Random Access Memory)48と、電源回路52を備えている。ROM46には後述する姿勢判定方法に基づく
図6,
図7,
図16に示す判定プログラムや、圧力検出部100に構成されたコンデンサの静電容量と体圧(荷重)との対応を示すマップ等が記憶されている。RAM48には、判定プログラムの演算値や、表側配線用コネクタ38、裏側配線用コネクタ40から入力される検出部100の静電容量としての出力値が一時的に格納される。また、電源回路50は、圧力検出部100に、周期的な矩形波電圧を走査的に順番に印加する。そして、CPU44がROM46に記憶された圧力検出部100の静電容量から、ROM46に記憶されたマップに基づいて圧力検出部100に作用している体圧を検出するようになっている。さらに、判定プログラムに基づいて演算した判定結果を、表示装置30に送信することによって、姿勢判定方法に基づく判定結果が表示装置30に表示されるようになっている。
【0050】
このような構造とされた姿勢判定装置10は、
図1に示したように、ベッド本体14の床板16上に重ね合わされている。そして、天部マット20上に使用者が横たわると、天部マット20とマットレス18に使用者の体圧が作用して、使用者の身体が、人体支持面を構成するベッド本体14の床板16で支持されるようになっている。そして、床板16(人体支持面)上の天部マット20内にマトリックス状に配設された複数の圧力検出部100に、使用者に作用する重力に基づいた体荷重(体圧)が及ぼされるのである。
【0051】
続いて、姿勢判定装置10の複数の圧力検出部100を用いてベッド12上の使用者の姿勢を判定する姿勢判定方法に関する、第一の実施形態について説明する。
図6に、姿勢判定装置10のデータ処理装置28において実行される処理内容を示す。本処理は、例えば0.05秒〜1秒程度の所定間隔毎に繰り返して実行される。
【0052】
データ処理装置28のCPU44は、先ず、S1において体圧センサ26の合計800個の圧力検出部100が出力する荷重信号としての出力値を取得する。その後、S2において、使用者が天部マット20から離床しているか、天部マット20上に存在するかを確認する。具体的には、S1で取得した各圧力検出部100の出力値が予めROMに記憶されていた接触閾値を超えている(接触閾値<出力値)と認定される圧力検出部100の個数が、全圧力検出部100の総個数の0.5%未満であるか否かが判定される。そして、0.5%未満の場合は、使用者が離床していると判定し(YES)、後続の姿勢判定処理をスキップして本処理を終了する。0.5%以上の場合は、天部マット20上に使用者が存在していると判定し(NO)ステップS3に進む。なお、接触閾値とは、圧力検出部100に何かが有意に接触していると認定し得る値であって、姿勢判定に有意に用いられる圧力検出部100を識別するために任意に設定可能な値である。例えば、本実施形態では、20.0mmHgに設定されている。
【0053】
S3では、CPU44は感圧中心算出工程を実行する。ここで、感圧中心とは、圧力が検出されている複数の感圧状態の圧力検出部100の中心部分が特定できるものであればよいが、本実施形態では、感圧中心として、接触閾値以上の出力値を有する複数の圧力検出部100の重心を算出するようになっている。具体的には、S1で得られた各圧力検出部100の出力値を用い、下式に基づいて重心位置(Cpx,Cpy)を圧力検出部100の座標値(x,y)として算出し、RAM48に記憶する。なお、下式において、任意の圧力検出部100(x,y)をiとした場合、当該圧力検出部100の出力値をpi、x座標値をxi、y座標値をyiと表す。また、全圧力検出部100(x,y)の総数をN、接触閾値をtと表す。
【0055】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S3を含んで、姿勢判定装置10における感圧中心算出手段が構成されている。
【0056】
S4では、CPU44は、天部マット20上の使用者が、体位を変換中であるか、体位変換後の安静状態であるかを判定する。具体的には、RAM48に記憶された過去3秒間のサンプリングで得られた重心位置の中で、最も座標値の差が大きくなる(離隔距離が大きくなる)2つを選択し、これら2つの重心の座標値(x,y)の値を対比する。そして、x,yの何れの座標値もその差が1以下であれば、重心の移動がなく体位変換後である(YES)と判定し、S5以下の姿勢判定工程に進む。一方、x,yの少なくとも一方の座標値の差が1より大きい場合は、重心が移動し体位変換中である(NO)と判定し、S5以下の姿勢判定工程をスキップして本処理を終了する。
【0057】
S5では、CPU44は、判定エリア設定工程を実行する。本実施形態では、
図8に示すように、先ず、S4で得られた重心(
図8中、*)を中心として、重心を含む半径α,半径α* 1.414,半径α* 1.743,半径α* 2(αは定数)の同心円が形成される。そして、中央の円によって画成される中心エリア1と、中心エリア1の周囲に同心円により順次画成される周辺環状エリア2,3,4と、周辺環状エリア4の周囲のエリア5とから構成される5つの判定エリアが設定される。特に、本実施形態では、中心エリア1と周辺環状エリア2〜4の面積が等しくなるようにされている。なお、半径αは、体圧センサ26の全体の大きさや圧力検出部100の配設ピッチ等を考慮して任意に設定可能であるが、本実施形態では、圧力検出部100の座標値で「6」とされている。また、以下の説明において、中心エリア1と周辺環状エリア2,3,4は、適宜エリア1,2,3,4と言及する。
【0058】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S5により、姿勢判定装置10における判定エリア設定手段が構成されている。
【0059】
続くS6では、CPU44は、後述するS7のグループ分け工程で用いる圧力値範囲のグループを定義する。具体的には、予めROM46に記憶された圧力検出部100の最小出力値としての接触閾値と、S1において得られた圧力検出部100の実測値の中の最大出力値との差を5つに等分して、得られた複数の圧力値範囲のグループを、値の小さい方から昇順に、グループ1,グループ2,グループ3,グループ4,グループ5と定義する。このように、本実施形態では、圧力値範囲のグループが、接触閾値と最大出力値との間を等分することで設定されていることから、使用者の体重等に応じて適切な圧力値範囲のグループ分けが可能となり、使用者の体重等の違いにより姿勢判定装置10の姿勢検出精度がばらつく不具合が有利に回避されているのである。
【0060】
続くS7では、CPU44は、S1で得られた各圧力検出部100の出力値に基づき、複数の圧力検出部100をS6で定義された圧力値範囲のグループ1〜5にグループ分けをするグループ分け工程を実行する。さらに、続くS8では、S6で設定された各判定エリア1〜5における各グループ1〜5に属する圧力検出部100の個数を算出する、個数算出工程を実行する。要するに、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S7〜S8を含んで、姿勢判定装置10におけるグループ分け手段と、個数算出手段が構成されている。
【0061】
続くS9では、CPU44は、天部マット20上の使用者の姿勢を判定する姿勢判定工程を実行する。すなわち、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S5〜S9を含んで、姿勢判定装置10における姿勢判定手段が構成されている。
【0062】
より詳しくは、この姿勢判定工程は、ROM46に記憶された
図7に示す処理内容に従い実行される。先ず、CPU44は、S21において、伏臥判定工程を実行する。具体的には、全ての判定エリア1〜5において、最も出力値の小さいグループ1と次に出力値の小さいグループ2に属する圧力検出部100のそれぞれの個数が、ベッド12の床板16に配設された全ての圧力検出部100の総個数(本実施形態では800個)の0.875%以上の個数(本実施形態では7個以上)となるか否かが判定される。総個数の0.875%以上の個数となる場合(YES)には、CPU44は、S22において伏臥フラグをONにして後述するS30に進む。総個数の0.875%未満の個数となる場合(NO)には、CPU44は、S23に進む。
【0063】
図9(a)に、実際に天部マット20上に使用者が伏臥の姿勢で横たわった際の圧力分布図を示す。この図では、圧力検出部100の出力値が低いほど色が黒く、出力値が高いほど白く表示される。
図9(a)の縦軸は圧力検出部100のx座標値を示し、横軸はy座標値を示している。また、
図9(b)〜(f)は、
図9(a)に示す圧力分布状態を、判定エリア1〜5毎にグループ1〜5に属する圧力検出部100の個数として棒グラフに表したものであり、縦軸が個数、横軸がグループの番号を示している。さらに、
図9(g)は、
図9(a)に示す圧力分布状態を、判定エリア1〜5別に、全グループ1〜5に属する圧力検出部100の総個数として示したものであり、縦軸が個数、横軸が判定エリアの番号を示している。
図9(a)〜(g)から明らかなように、使用者が伏臥の姿勢で天部マット20上に横たわっている場合に、全ての判定エリア1〜5において、グループ1とグループ2に属する圧力検出部100のそれぞれの個数が、総個数0.875%以上の個数(本実施形態では7個以上)となっており、上記S22の判定条件を充足していることが確認できる。
【0064】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S21〜22を含んで、姿勢判定手段に含まれる伏臥判定手段が構成されている。
【0065】
次に、S23では、CPU44は、側臥判定工程を実行する。具体的には、最も出力値の大きいグループ5に属する圧力検出部100の総個数が最も出力値の小さいグループ1に属する圧力検出部100の総個数よりも大きい否かが判定される。グループ5の総個数がグループ1の総個数よりも大きい場合(YES)には、CPU44は、S24に進む。S24では、側臥判定の条件を満たしたものについて、左側臥と右側臥を峻別する左右側臥峻別工程を実行する。具体的には、S4で算出された重心のy座標値より、最も出力値が大きい圧力検出部100のy座標値が小さいか大きいかが判定され、小さい場合(YES)には、CPU44は、S25に進み左側臥フラグをONにしてS30に進む。一方、重心のy座標値より、最も出力値が大きい圧力検出部100のy座標値が大きい場合(NO)には、CPU44は、S26に進み、右側臥フラグをONにしてS30に進む。
【0066】
図10(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が左側臥の姿勢で横たわった際の、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。また、
図11(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が右側臥の姿勢で横たわった際の、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。
図10(a)〜(g)および
図11(a)〜(g)から明らかなように、使用者が側臥の姿勢で天部マット20上に横たわっている場合に、グループ5の総個数がグループ1の総個数よりも大きくなっており、上記S23の判定条件を充足していることが確認できる。また、
図10の左側臥の場合は、重心(*)のy座標値が最大出力値の圧力検出部100のy座標値よりも小さく、
図11の右側臥の場合は、重心(*)のy座標値が最大出力値の圧力検出部100のy座標値よりも大きくなっており、S24の判定結果と合致していることが確認できる。
【0067】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S23〜S26を含んで、姿勢判定手段に含まれる側臥判定手段と、左右側臥峻別手段が構成されている。
【0068】
次に、CPU44は、S27において、座位判定工程を実行する。具体的には、中心エリアとしてのエリア1内に属する圧力検出部100の個数が、全てのグループ1〜5に属する圧力検出部100の総個数の60%以上であるか否かが判定される。60%以上である場合(YES)には、CPU44はS28に進み座位フラグをONにしてS30に進む。60%未満である場合(NO)には、CPU44はS29に進み仰臥フラグをONにしてS30に進む。
【0069】
図12(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が座位の姿勢で鎮座した際の、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。
図12(a)〜(g)から明らかなように、使用者が座位の姿勢で天部マット20上に鎮座している場合には、エリア1内の圧力検出部100の個数が、全グループ1〜5の圧力検出部100の総個数の60%以上となっており、上記S27の判定条件を充足していることが確認できる。なお、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S27〜S28を含んで、姿勢判定手段に含まれる座位判定手段が構成されている。
【0070】
ここで、本実施形態では、S29において仰臥判定工程を実行することなく仰臥フラグをONにしている。これは、S21の伏臥判定工程と、S23の側臥判定工程と、S27の座位判定工程の何れにも該当しない場合は、残された姿勢は仰臥しかなく、仰臥判定工程を省略しても仰臥と判定できるからである。これにより、姿勢判定工程の効率化を図ることができる。なお、S29において、後述する
図16のS43に示す如き仰臥判定工程を確認的に行うことは、勿論可能である。
【0071】
図13(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が仰臥の姿勢で横たわった際の、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。仰臥の圧力分布の特徴については、後述の第2の実施形態において詳述する。
【0072】
続いて、CPU44は、S30において、端位判定工程を実行する。具体的には、S4で算出された重心が、複数の圧力検出部100のマトリックス状の配置において、端部から30%以内の列に位置しているか否かが判定される。即ち、重心のy座標値が、端部から30%以内の列に該当するy座標値に該当すれば、天部マット20の端部に使用者が位置する端位であることが確認できる。本実施形態においては、圧力検出部100のマトリックス状の配列において、y座標値は1〜25であることから、重心のy座標値が1〜7および19〜25の範囲に該当する場合に、端位である(YES)と判定され、S31に進む。一方、重心のy座標値が1〜7および19〜25の範囲にない場合は、端位でない(NO)と判定され、姿勢判定工程を終了する。
【0073】
S30で端位と判定されS31に進むと、CPU44は、座位フラグがONになっているかどうかを確認する。すなわち、使用者が天部マット20の端部に位置している場合に、使用者が座位である場合は、天部マット20の端部に腰掛けていると考えられるからである。この場合、使用者が就寝中で天部マット20の端部からベッド12の下方に転落する危険はないと判定できる。従って、CPU44は、S31で座位フラグがONの場合(YES)は、座位フラグをOFFにして変わりに端座位フラグをONにして姿勢判定工程を終了する。一方、S31で座位フラグがOFFの場合(NO)は、使用者が仰臥、伏臥、右側臥、左側臥の何れかの姿勢で天部マット20に横たわった状態であり、使用者が天部マット20の端部からベッド12の下方に転落する危険があると判断できる。従って、この場合は、CPU44は、S33に進んで転落危険フラグをONにして姿勢判定工程を終了する。
【0074】
図14(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が左側臥の姿勢で、且つ重心(*)が天部マット20の端部に寄っている端位の状態における、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。この状態では、姿勢判定工程において、左側臥フラグと転落危険フラグがONにされる。一方、
図15(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が座位の姿勢で、且つ重心(*)が天部マット20の端部に寄っている端位の状態における、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。この状態では、姿勢判定工程において、端座位フラグがONにされる。
【0075】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S30〜S33を含んで、姿勢判定手段に含まれる端位判定手段が構成されている。
【0076】
上述のとおり、
図7のフローに従い姿勢判定工程が終了すると、CPU44は、
図6のフローにおけるS10に進んで、ONになっているフラグ情報を判定結果信号として表示装置に送信する。これにより、表示装置30に、「仰臥」「伏臥」「左側臥」「右側臥」「座位」「端座位」の何れか姿勢判定結果として表示され、「仰臥」「伏臥」「左側臥」「右側臥」の場合は、「転落危険」も併せて表示されるケースがある。その後、CPU44は、S11に進んでフラグをリセットし、本処理を終了する。
【0077】
本実施形態に従う姿勢判定装置10および姿勢判定方法によれば、感圧中心算出手段(工程)において複数の圧力検出部100の感圧中心である重心を検出し、判定エリア設定手段(工程)により重心の周囲に判定エリア1〜5を設定し、姿勢判定手段(工程)においてかかる判定エリア1〜5内における圧力検出部100の出力値の分布状況に基づき姿勢を判定するという、従来にない全く新しい手法が採用されている。これにより、従来の姿勢判定装置のように、姿勢判定が装置自体の固定的な方向に依存して行われることがなく、使用者が天部マット20の長手方向に対して傾斜した状態で横たわっている場合でも、所望の検出精度を維持した状態で姿勢判定を行うことができるのである。
【0078】
しかも、重心の周囲に設定された圧力検出部100の出力値の分布状況が、各姿勢の判定基準に合致するか否かを判定する簡潔な方法により、「仰臥」「伏臥」「左側臥」「右側臥」「座位」「端座位」の各姿勢を判別することができる。従って、予め準備した多数の姿勢モデルを記憶しておき、実測の圧力分布と姿勢モデルとの相関関数で判断する従来の姿勢判定方法に比して、簡便且つ明確に姿勢を区別することができるのである。
【0079】
特に、本実施形態では、重心を中央に配置した形態で複数の判定エリア1〜5を設定している。使用者の姿勢判定において、感圧中心となる重心を中央に配置した周辺領域において、姿勢毎の特徴が把握し易いことから、本実施形態の判定エリア1〜5の設定により、姿勢判定の精度をより有利に高めることができるのである。しかも、本実施形態では、判定エリア1〜5が同心円状であり、判定エリア1〜4が同じ面積を有するように設定されていることから、使用者の天部マット20上での方向に関わりなく、圧力検出部100の出力値の分布状況による姿勢毎の特徴の把握を、一層精度よく行うことができるのである。
【0080】
加えて、グループ分け手段(工程)により、多数の圧力検出部100の出力値の分布状況を速やかに把握することができ、姿勢判定を効率的に行うことができるのである。
【0081】
さらに、左右側臥峻別手段(工程)や、端位判定手段(工程)を、判定エリア手段(工程)で必要となる重心を利用して、効率的に行うことができ、装置および方法の一層の簡素化、効率化を図ることができるのである。
【0082】
次に、
図16に従い、本発明の第2の実施形態としての姿勢判定装置および姿勢判定工程において採用される姿勢判定工程を説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる部分は、
図16に示す姿勢判定工程の具体的手順のみであり、その他の構成等は第1実施形態と同じであるので、その説明を省略する。
【0083】
要するに、第2の実施形態では、
図6に示すS9において、
図16に示す姿勢判定手順を実行する。本実施形態の姿勢判定工程は、「仰臥」「側臥」のみを判定する簡易な形式のものである。先ず、S41において、CPU44は、側臥判定工程を実行する。具体的には、第1の実施形態におけるS23と同様、CPU44は、グループ5の総個数がグループ1の総個数よりも大きい場合(YES)には、側臥と判定してS42に進み側臥フラグをONにして姿勢判定工程を終了する。
【0084】
グループ5の総個数がグループ1の総個数以下の場合(NO)には、CPU44はS43に進み、仰臥判定工程を実行する。具体的には、S43では、全てのグループ1〜5において圧力検出部100が検出され、且つ最も出力値の大きいグループ5に属する圧力検出部100の総個数が他の各グループ1〜4に属する圧力検出部100の総個数と対比して最小であるか否かが判断される。この条件を充足する場合(YES)には、CPU44はS44に進み、仰臥フラグをONにして姿勢判定工程を終了する。また、この条件を充足する場合(NO)には、CPU44は、圧力検出部100の出力値の分布状況が、仰臥にも側臥にも該当しないと認定し、何れのフラグもOFFにした状態で姿勢判定工程を終了する。
【0085】
図13(a)〜(g)には、実際に天部マット20上に使用者が仰臥の姿勢で横たわった際の、
図9(a)〜(g)に対応する図が示されている。
図13(g)から明らかなように、使用者が仰臥の姿勢で天部マット20上に横たわっている場合には、全グループ1〜5で圧力検出部100が検出されており、グループ5の圧力検出部100の総個数がグループ1〜4の各グループに属する圧力検出部100の総個数と対比して最小となっており、上記S43の判定条件を充足していることが確認できる。なお、本実施形態では、データ処理装置28のCPU44,ROM46,RAM48,S43〜S44を含んで、姿勢判定手段に含まれる仰臥判定手段が構成されている。
【0086】
以上、本発明の姿勢判定装置10および姿勢判定方法の複数の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、上記実施形態では、感圧中心として、重心を採用したが、これに代えて、圧力が検出されている複数の圧力検出部100の座標値(x,y)から算出される面積中心であってもよい。その場合でも、圧力が検出されている複数の圧力検出部の中心部分が概ね特定でき、姿勢判定において、上記実施形態と同様の効果が発揮される。
【0087】
なお、感圧中心としての面積中心(Cax,Cay)は、圧力検出部100の座標値(x,y)として、下式に基づき算出される。なお、下式において、任意の圧力検出部100(x,y)をiとした場合、当該圧力検出部100の出力値をpi、x座標値をxi、y座標値をyiと表す。また、全圧力検出部100(x,y)の総数をN、接触閾値をt、接触閾値以上の出力値を有する圧力検出部100(x,y)の個数をn、として表す。
【0089】
また、判定エリア設定手段(工程)において設定される判定エリアの数や大きさ、形状等は、上記実施形態のものに限定されず、姿勢判定の内容や圧力検出部100の個数や配設形態等に応じて任意に設定可能である。例えば、判定エリアは1つあってもよいし、複数であってもよい。また、中心エリア1や周辺環状エリア2〜4の形状は同心円形状に限らず、同心矩形状等であってもよい。さらに、判定エリアの面積も、必要に応じて互いに異ならせることは勿論可能である。
【0090】
加えて、姿勢判定手段(工程)には、少なくとも1つの姿勢の判定手段(工程)が含まれていればよく、要求に応じて任意に構成することができる。例えば、第1実施形態のように、仰臥判定、伏臥判定、左側臥判定、右側臥判定、座位判定、端位判定の何れをも含むように構成してもよいし、第2実施形態のように、仰臥判定と側臥判定のみを含むようにしてもよい。さらに、乳幼児の窒息等の危険を防止するために、伏臥判定のみを含むようにすることも勿論可能である。
【0091】
また、複数の圧力検出部は、本実施形態の如き体圧センサ26が有する圧力検出部100を利用して設けてもよいし、それぞれ単独の圧力センサ等を複数個マトリックス状に配設することによって構成してもよい。また、圧力検出部の構造は、接触圧が計測されるものであれば、静電容量型の他、歪ゲージやロードセル等の任意の構造が採用可能である。
寝具(12)の人体支持面(16)にマトリックス状に配設された複数の圧力検出部(100)を用い、圧力検出部の出力値に基づいて圧力検出部の感圧中心を算出する感圧中心算出手段(S3)と、算出された感圧中心の周囲に判定エリアを設定する判定エリア設定手段(S5)と、判定エリア内における圧力検出部の出力値の分布状況に基づき姿勢を判定する姿勢判定手段(S9)とを設けた。