【発明が解決しようとする課題】
【0036】
現在、最も一般的に普及する住宅形式はnLDK式住宅であるが、その間仕切りは固定間仕切りが基本である。しかし、固定間仕切りには「間仕切り替えが難しい」という問題がある。
固定間仕切りは間仕切壁と建具枠を内装工事の前に、柱・間柱・筋違い・まぐさなど建物の躯体に固定して「先付け」するため、建物と一体に固定される。そのため、間仕切り替えで間仕切壁や建具枠を撤去する場合は、それと接する周囲の床壁天井の仕上と下地を傷めることになる。家族構成の変化などで間仕切り替えをする際に、例えば内装仕上げが異なる2室の境の間仕切壁を撤去する場合、2室分の内装を替える工事が必要になり、その分の廃棄物も出る。このように、固定間仕切りは間仕切り替えの際に工事及び廃棄物処理とそれに伴なう費用の負担が大きい。そのため、間仕明り替えを巡る「4択の悪循環」という課題がある。
【0037】
4択の悪循環について簡単に説明する。
間仕切り替えが必要になった場合、一般的に次の4つから選択する。それら4つの選択肢と各々の問題を合わせて次に示す。
1.そのままで間仕切り替えはしない―多少不便でも我慢する。
2.間仕切り替えをする―既存間仕切りの撤去工事及び新設工事と廃棄物処理、並びにそ れらに伴なう費用など環境負荷を含めて負担が大きい。
3.住み替える―物件探し、引越し作業、新しい環境への順応など負担が大きい。
4.住宅の寿命以前に建て替える―日本では住宅の寿命が短いため、間仕切り替えをせず に住宅の寿命以前に建て替えてしまうという風潮も根強い。既存住宅の解体工事及び 新築工事と廃棄物処理、工事中の住み替えと引越し作業、並びにそれらに伴なう費用 と共に、寿命以前の建て替えは実質的な住宅の低寿命化を促し、環境負荷を含めて負 担は更に大きい。
以上の4つのいずれかを選択しても、再び、間仕切り替えが必要になれば、再び、同じ4選択をすることになり、4択の悪循環が続くことになる。
【0038】
固定間仕切りによるnLDK式住宅では、間仕切り替えを巡るこの4択の悪循環によって、上記のような我慢や負担を余儀なくされ、「住宅の快適性(アメニティ)」という点に対しても、また、寿命以前の建て替えによる“住宅の低寿命化”や建て替えや間仕切り替えに伴なう“廃棄物処理”という「環境負荷」に対しても問題がある。
【0039】
固定間仕切りは間仕切り替えが難しいこと自体問題であるが、この間仕切り替えを巡る「4択の悪循環」は住生活の快適性全般や環境負荷に与える影響が広く、より大きな課題である。従って、固定間仕切りは間仕切り替えが難しいという問題は、この「4択の悪循環」を断つために解決する必要がある。
【0040】
次に、固定間仕切りの間仕切り替えが難しい原因を挙げる。
▲1▼間仕り壁と建具枠を建物に先付けするため、それらを転用し難い。
▲2▼戸が細分化しているため、それを転用し難い。
▲3▼家具が間仕切りから独立している。
▲4▼設置に釘やビスなどの金物を必要とする。
【0041】
以下に、▲1▼〜▲4▼の原因について各々、説明すると共に、それに対する対処の方向性を述ベる。
【0042】
▲1▼間仕切壁と建具枠を建物に先付けするため、それらを転用し難い。
固定間仕切りは間仕切壁と建具枠を柱・間柱・筋違い・まぐさなど建物の躯体に「先付け」する。そのため、建物と一体に固定されるため、間仕切り替えの際に転用し難い。
それに対して事務所建築で一般的に使用される「後付け」の間仕切りは転用し易い。
しかし、後付け間仕切りの天井高タイプの場合、天井レールと床レールをビスやアンカーボルトなどで各々天井固定及び床固定して、それらに支柱を取り付けるため、高さ方向と幅方向に規制がある。そのため、高さ方向では天井高が異なる居室への転用が難しい。既存の天井高より天井高が低い居室に転用する場合は、垂直方向で部材の切断が必要になり、逆に、天井高が高い居室に転用する場合は、垂直方向で足りない分を補うために部材の入替えが必要になる。そして、幅方向では既存と異なる場合、パネルの調整の他に天井レールと床レールの切断や入替えが必要になる。
【0043】
後付け間仕切りの鴨居高タイプの場合、天井固定をしないため、地震対策は安定脚または固定金物による床固定と、L・T・コ・H型レイアウトの併用が必要になる。そして、直線のレイアウトもできない。そのため、レイアウト及び形が限定的になる。
【0044】
後付け間仕切りの上記の問題に対処するためには、天井レールと床レール以外で天井と床を固定する地震対策が必要になる。そして、その手段としては突っ張り材による天井及び床間を固定する方法がある。
従って、上記の、▲1▼間仕切壁と建具枠を建物に先付けするため、それらを転用し難い、という原因に対する対処の方向性としては、間仕切り壁と建具枠を後付けにして、地震対策は突っ張り材を使用することである。
【0045】
▲2▼戸が細分化しているため、それを転用し難い。
次に、どのように戸が細分化しているかを簡単に説明する。
1.戸は用途が分かれる。具体的には、室内扉、収納扉、可動間仕切りに分かれる。
2.用途毎に戸の種類が分かれる。具体的には、室内扉は開戸・引戸・折戸、収納扉は開戸・引戸・折戸、可動間仕切りは引戸・折戸に分かれる。
3.戸の種類毎に戸と建具枠とのジョイナーが分かれる。具体的には、開戸は丁番・ピポットヒンジに分かれ、引戸は襖のようなレールのみ・レールとローラーを組み合わせたローラー仕様に分かれるが、後者は更に上吊り式と下荷重式に分かれ、折戸はレールとローラーを組み合わせたローラー仕様があり、上吊り式と下荷重式に分かれる。
4.上記3の戸は建具枠が分かれる。具体的には、上枠と縦枠による三方枠・上枠のみ・枠なしに分かれる。
5.後付け間仕切りの天井高タイプ及び鴨居高タイプでは、戸は工業製品であるが、固定間仕切りでは戸は工業製品と建具職制作によるものに分かれる。そのため、固定間仕切りでは上記の分類は更に分かれる。
6.建具職制作の場合は工業製品と異なり、量産ではなく注文制作になるため工業製品に比べて種類ははるかに多くなり細分化が進む。
【0046】
戸が細分化していると転用する際に応用が難しい。戸の細分化に対して、戸を万能化できれば応用性が広がるため転用し易くなる。
【0047】
上記▲1▼の原因に対する対処の方向性として、間仕切壁を後付けにするとしたが、間仕切り壁を後付けにするということは、後付け間仕切りの「間仕切りパネル」になることである。そして、後付け間仕切りの天井高タイプと鴨居高タイプではどちらも、間仕切りパネルの取り付け方と戸の取り付け方は仕組みが異なる。
【0048】
天井高タイプの場合、間仕切りパネルは天井レールと床レール及び支柱による四周枠に取り付ける。
それに対して、引戸や折戸を取り付ける場合は、上枠になる天井レールはローラーが走行できるように加工されたもので、間仕切りパネルとは異なる天井レールになる。また、開戸を取り付ける場合は天井レールと支柱に各々上枠と縦枠からなる三方枠を取り付け、一方の縦枠と戸を丁番で結合する。
【0049】
鴨居高タイプの場合、間仕切りパネルは隣り合うパネル間の角度が180°の場合はパネル同士を突き付けで結合し、それ以外の角度ではパネルと同じ高さのコーナーポストを介してパネルを結合する。
鴨居高タイプは天井固定されないため、戸を取り付ける場合は強度を保つために、戸はコーナー或いは端に設置する。引戸を取り付ける場合は、引戸用の三方枠のうち、一方の縦枠をコーナーポストに結合し、もう一方の縦枠は戸を取り付けた後に隣り合うパネルの端部に直接結合する。そして、上枠は引き戸用にレールが加工されている。因みに、鴨居タイプでは強度上、間口の大きい戸の設置が難しいためと考えられるが、折戸は見当たらない。また、開戸を取り付ける場合は、開き戸用の三方枠を引戸と同様に、三方枠のうち一方の縦枠をコーナーポストに結合し、もう一方の縦枠は戸を取り付けた後に隣り合うパネルの端部に直接結合し、一方の縦枠と戸を丁番で結合する。
【0050】
以上のように、後付け間仕切りの天井高タイプと鴨居高タイプでは各々、間仕切りパネルと戸を取り付ける仕組みが異なる。しかし、異なる仕組みではなく同一の仕組みで取り付けることができれば、応用性は高くなる。つまり、「戸」だけが万能化するのではなく、「戸」と「間仕切りパネル」が同一の仕組みで万能化して、「戸」と「間仕切りパネル」の2通りの使い方ができるものであれば、応用性が高くなり間仕切り替えはし易くなる。
【0051】
「戸」と「間仕切りパネル」を合わせたものを「建具」として扱うと、「建具を万能化する」ことになる。
従って、上記の、▲2▼戸が細分化しているため、それを転用し難い、という原因に対する対処の方向性としては、「建具を万能化する」ことである。
【0052】
▲3▼家具が間仕切りから独立している。
固定間仕切りでは家具は間仕切りから独立して、一般的に置き家具、壁面家具、間仕切り家具が使用されるが、次のような問題がある。
【0053】
置き家具は最も一般的に使用される家具で、家具の背面を壁面に接して置くため家具が壁面から出っ張る。そのため、家具の存在感が強くなりインテリアを合わせるのが難しい。せっかくインテリアを合わせても、間仕切り替えをしたり、住み替えると再び合わせるのに苦労する。
【0054】
壁面家具は片面使いで背面を建物に壁固定し、家具の上部と両脇も建物と隙間が生じないように設置するため、壁面に埋め込む形式である。そのため、インテリアはすっきりするが転用し難い。また、背面を壁固定するため壁面に接しないで置く中置きができず、レイアウトが限定的になる。
【0055】
間仕切り家具は両面使いで側面を壁固定して間仕切りとして使用できる。しかし、間仕切り家具は開戸などの建具と連結できないため、間仕切り家具の脇に出入口を設ける場合は出入りできるスペースを確保するだけで、出入り口を建具によって閉じることができない。そのため、プライバシーを保つことは難しくなりレイアウトが限定的になる。
【0056】
以上、家具が間仕切りから独立していることによる問題を挙げたが、固定間仕切りだけではなく、後付け間仕切りでも家具は間仕切りから独立している。
【0057】
固定間仕切りで家具が間仕切りから独立していることによる、上記の置き家具・壁面家具・間仕切り家具の問題に対処するためには、家具を間仕切りのシステムに組み込み、組み込まれた家具は埋め込み式の壁面家具になり、転用し易く、レイアウトが自由で、かつ、家具と建具の連結が可能になるものである必要がある。
【0058】
これらの条件を満たす家具を間仕切りのシステムに組み込むためには、「建具」を万能化するだけではなく、「建具」と「家具」の両方を一つの仕組みで万能化する必要がある。
従って、上記の、▲3▼家具が間仕切りから独立している、という原因に対する対処の方向性としては、「建具」と「家具」を一つの仕組みで万能化することである。
【0059】
▲4▼設置に釘やビスなどの金物を必要とする。
固定間仕切りの設置には釘やビスなどの金物を必要とするため専門業者が必要になり、また、金物の使用に規制がある賃貸物件では設置が難しい。地震対策は突っ張り材を採用すればノンビス式になる。
従って、上記の、▲4▼設置に釘やビスなどの金物を必要とする、という原因に対する対処の方向性としては、地震対策は突っ張り材を採用することである。
【0060】
以上、固定間仕切りの間仕切り替えが難しい原因及びその対処の方向性を挙げたが、これらをまとめると次のようになる。
「間仕切りを後付けにして、地震対策は突っ張り材を採用し、建具と家具を一つの仕組みで万能化する。」
従って、「間仕切りを後付けにして、地震対策は突っ張り材を採用し、建具と家具を一つの仕組みで万能化することにより、間仕切り替えをし易くする」ことを課題とする。
【0061】
以上、固定間仕切りは間仕切り替えが難しいという問題を指摘したが、固定間仕切りはフレキシビリティに欠けるため、この他に次のような問題がある。
【0062】
間取りが定式化している。
固定間仕切りによるnLDK式住宅は1LDK、2LDK…であるため、住み替えるときは「希望に近い間取り」の物件を探すことになり、「希望の間取り」にするためには注文住宅で建てる必要がある。
【0063】
個室が閉鎖的である。
固定間仕切りの間仕切壁は、床から天井まで隙間がない天井高タイプであるため遮音性が高い。そのため、固定間仕切りによる個室は家族間のプライバシーを尊重するという長所があるが、一方で、閉鎖的で家族が個室にこもりバラバラになりがちになるという短所を併せ持つ。
【0064】
以上、固定間仕切りの問題を挙げた。
固定間仕切りは間仕切りを建物に固定して使用する。電話機の固定電話も電話機を建物に固定して使用する。
一方、携帯電話は固定電話に対して、「どこでも使える」というメリットがある。そして、携帯電話は更に機能性を高めたスマートフォンに現在は移行している。しかし、住宅では固定間仕切りによるnLDK式住宅が、固定電話と同じく高度経済成長期に普及し始めたが、電話機がこのように進化しているのに対して、住宅の間仕切りは現在も固定間仕切りが基本である。
【0065】
固定間仕切りはフレキシビリティに欠ける。それに対して、屏風及びそれから発展した襖や障子という日本の伝統的な障屏具はフレキシビリティという特性を持つ。屏風及びそれから発展した襖や障子が持つ特性であるフレキシビリティを発展させて、フレキシビリティに欠ける固定間仕切りの上記の問題に対処し、更に今日の生活に対応し易い間仕切りとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0066】
固定間仕切りの間仕切り替えが難しいという問題に対する対処の方向性の一つとして、「建具を万能化する」ことを挙げた。建具を万能化するための一つの条件として、形が自在になる必要がある。そのためには360°回転する丁番を使用する必要がある。
【0067】
360°回転する丁番には屏風に用いられる伝統的な紙丁番がある。伝統的な紙丁番はパネル間に隙間や出っ張りを作らずに360°回転することができる特長がある。伝統的な紙丁番は「羽根」と「くるみがけ」から構成される。隙間や出っ張りを作らずに360°回転する機能は羽根によって実現する。昔は紙丁番は和紙で作られたため、羽根だけでは丁番としては強度的に弱いため、羽根の表側と裏側をくるみがけによって補う必要があった。
しかし、現代ではアラミド繊維のような化学繊維など強度が強く柔軟性がある素材がある。強度が和紙より強く柔軟性がある素材を使用した、「羽根」だけで構成される、「現代の紙丁番」にすることができる。それにより、くるみがけの分の材料と手間を省くことができ、丁番としての構造は至極単純になる。材料と手間が省ける分、コストを下げることができる。そうすれば、パネルの枚数は使い易くなる。
【0068】
伝統的な紙丁番は隣り合うパネルに直張りされたが、現代の紙丁番を一対の溝形部材に接着して、着脱可能な丁番装置である着脱式紙丁番装置にする。
前記着脱式紙丁番装置は一対の溝形部材と、現代の紙丁番とを備え、
前記各溝形部材の溝部は、前記各パネルの縦端部を嵌め合わせて着脱可能に連結する、ウェブと、ウェブの両側に設けられた1対のフランジとを有し、
前記現代の紙丁番は前記一対の溝形部材に交互に接着され、隣り合うパネル間で一方のパネルに対して、他方のパネルを360度回転できるように前記一対の溝形部材を連結し、前記着脱式紙丁番装置により複数枚のパネルを一連に連結した、屏風式建具を構成する。
【0069】
着脱式紙丁番装置を構成する溝形部材の溝内に、フック部が高さ方向に一定の間隔をあけて設けられ、パネルの縦端部には、前記フック部に対応する位置にフック受け部が設けられており、
前記溝形部材のフック部をパネルのフック受け部へ掛け留めて、前記着脱式紙丁番装置と前記パネルとが結合される。
【0070】
着脱式紙丁番装置にすることにより、建具を万能化する上で必要なパネルの連結及び取り外しが簡単になる。それによりパネルの増減がし易くなり、また、部分交換も容易になる。
【0071】
パネルの下端部には、キャスター付きの下枠材が取り付けられており、
前記下枠材は、上向きコ字形状の溝形部材で構成され、前記溝形部材の溝内に、フック部が水平方向に一定の間隔をあけて設けられ、ウェブの外面にキャスターが取り付けられており、
前記パネルの下端部には、前記フック部に対応する位置にフック受け部が設けられ、前記溝形部材の前記フック部をパネルの前記フック受け部へ掛け留めて前記下枠材が前記パネルへ取り付けられる。
このように、屏風式建具はキャスターによりスムーズに動く。
【0072】
しかし、屏風式建具だけでは室内に固定することだできないため、固定する方法が必要になる。地震対策は上記のように突っ張り材を採用するため、屏風式建具を連結する支柱は突っ張り材の形式とする。
【0073】
そして、突っ張り材の形式としては免震突っ張り機構を採用する。
免震突っ張り機構は免震突っ張り機構上部構造と免震突っ張り機構下部構造とで構成される。
前記免震突っ張り機構上部構造は、中空構造の外側筒体と、上下方向へのスライドが可能な中空構造の内側筒体と、前記内側筒体の上端部に設けられた免震部材から構成され、
前記免震突っ張り機構上部構造は、前記内側筒体の上端部に設けられたボール支承と、前記内側筒体の内端部に設けられ、同内側筒体の上端部に設けたボール支承へ当接する弾性体と、前記弾性体へ突き当たる軸部材と、前記ボール支承のボール材を保持するホルダーとで構成され、
地震などの揺れに対して、水平方向へ変位し易くして揺れの吸収を行ないながら突っ張る。
前記免震突っ張り機構下部構造は、下端部に設けられた免震部材から構成され、
前記免震突っ張り機構下部構造は、ボール支承及び前記ボール支承のボール材を保持するホルダー、ばね付きキャスター、積層ゴム付きキャスター、ばね支承、積層ゴム支承、転がり支承、滑り支承などのいずれかを取り付けて構成され、
地震などの揺れに対して、上部の本体を水平方向へ変位し易くして揺れの吸収の効果を高める。
【0074】
従って、支柱は免震突っ張り機構を装着した支柱、つまり、免震突っ張り支柱とする。
前記免震突っ張り支柱は、免震突っ張り機構を装着しており、
前記免震突っ張り支柱は、前記免震突っ張り機構上部構造と前記免震突っ張り機構下部構造とで構成されており、
前記免震突っ張り機構上部構造は、中空構造の外側筒体と、上下方向へのスライドが可能な中空構造の内側筒体と、前記内側筒体の上端部に設けられた免震部材から構成され、 前記免震突っ張り機構下部構造は、前記外側筒体の下端部に設けられた免震部材から構成されており、
前記免震突っ張り機構上部構造は、前記内側筒体の上端部に設けられたボール支承と、前記内側筒体の内端部に設けられ、同内側筒体の上端部に設けたボール支承へ当接する弾性体と、前記弾性体へ突き当たる軸部材と、前記ボール支承のボール材を保持するホルダーとで構成され、
前記免震突っ張り機構下部構造は、ボール支承と、前記ボール支承のボール材を保持するホルダーとで構成されていることを特徴とする。
【0075】
屏風式建具と免震突っ張り支柱の連結も、屏風式建具のパネル間と同様に着脱式紙丁番装置を使用すれば、ジョイナーは1種類で済むため応用性は広くなる。
屏風式建具と免震突っ張り支柱を着脱式紙丁番装置で連結することにより、屏風式建具は室内に固定される。
【0076】
一方、戸と間仕切りパネルから成る「建具」を万能化するということは、戸と間仕切りパネルの2通りの使い方ができる必要がある。屏風式建具と免震突っ張り支柱を着脱式紙丁番装置で連結する場合は、屏風式建具の一端を免震突っ張り支柱に連結する使い方と、両端を免震突っ張り支柱に連結する2通りの使い方ができる。一端を固定する場合は、折畳んだり引き伸ばして好みの形にすることができる、「一端固定自在折戸」になり、室内扉、収納扉、可動間仕切りとして使用でき、かつ、それらの形が自在になる。両端を固定する場合は、「両端固定自在間仕切りパネル」になり、間仕切りパネルとして使用でき、かつ、その形が自在になる。従って、屏風式建具は1種類で、形が自在になり、かつ、室内扉、収納扉、可動間仕切り、間仕切りパネルの4つの用途に対応することができるため、「建具を万能化する」することができる。
【0077】
また、「建具と家具を一つの仕組みで万能化する」課題がある。そのため、家具の地震対策も免震突っ張り機構を採用する。従って、家具は免震突っ張り機構を装着した家具、つまり、免震突っ張り家具とする。
前記免震突っ張り家具は、免震突っ張り機構を装着しており、
前記免震突っ張り家具は、前記免震突っ張り機構上部構造と家具材及び前記免震突っ張り機構下部構造とで構成されており、
前記免震突っ張り機構上部構造は、家具材の上面に設けられ、中空構造の外側筒体と、上下方向へのスライドが可能な中空構造の内側筒体と、前記内側筒体の上端部に設けられた免震部材から構成され、
前記免震突っ張り機構下部構造は、前記家具材の下面に設けられた免震部材から構成されており、
前記免震突っ張り機構上部構造は、前記外側筒体の下端部を前記家具材の上面に固定することで、前記家具材の上面に固定され、
前記免震突っ張り機構上部構造は、前記内側筒体の上端部に設けられたボール支承と、前記内側筒体の内端部に設けられ、同内側筒体の上端部に設けたボール支承へ当接する弾性体と、前記弾性体へ突き当たる軸部材と、前記ボール支承のボール材を保持するホルダーとで構成され、
前記免震突っ張り機構下部構造は、ばね付きキャスター、積層ゴム付きキャスター、ばね支承、積層ゴム支承、転がり支承、滑り支承などのいずれかを取り付けて構成されていることを特徴とする
前記免震突っ張り家具は前記震突っ張り機構上部構造を前記家具材の上面に2ヶ所設け、また、前記家具材を構成するパネルのうち、前記免震突っ張り機構上部構造を支えるパネルの下部に前記免震突っ張り機構下部構造を適宜取り付ける。
【0078】
屏風式建具と免震突っ張り支柱の連結は屏風式建具のパネル間と同じ着脱式紙丁番装置を使用するが、屏風式建具と免震突っ張り家具の連結も同様に着脱式紙丁番装置を使用すれば、ジョイナーは1種類で済むため応用性が広がり、「建具と家具を一つの仕組みで万能化する」ことができる。
【0079】
免震突っ張り機構は免震部材により、地震などの揺れを吸収しながら突っ張ることが可能になる仕組みである。前記免震突っ張り機構を装着した突っ張り材は免震型になる。揺れを吸収するため、揺れに対して安定性が高くなり柱頭を小型化できる。換言すると、柱頭を小型化しても揺れに対して転倒し難い。免震突っ張り機構の柱頭(ホルダー)は支柱(外側筒体)の直径と同じか、それより若干小さい直径の円柱にすることができるため小さく、かつ、方向性がない。
それに対して、市販の家具転倒防止用の突っ張り材など耐震型の突っ張り材は、柱頭を柱身より大きくしないと揺れに対応し難い。柱頭が大きいと目障りである。また、柱頭の平面が円形ではなく、方向性のある形状である場合は、設置する際に向きを気にする必要があるため面倒であり、揺れなどで向きがずれると更に目障りになる。同形の突っ張り材が一つの室内に複数ある場合は、前記の支障は増幅する。そして、柱頭が柱身より大きい支柱は部屋の隅に設置すると隙間ができるため、設置し難い
【0080】
以上、固定間仕切りは間仕切り替えが難しいという問題を解決するために、「間仕切りを後付けにして、地震対策は突っ張り材を採用し、建具と家具を一つの仕組みで万能化する」という課題に対しては、
「着脱式紙丁番装置」と「免震突っ張り機構」を根幹技術として採用し、前記根幹技術により、「屏風式建具」と「免震突っ張り支柱」及び「免震突っ張り家具」とで構成される「基本的3アイテム」を形成し、前記基本的3アイテムを様々に組み合わせる又は組み替えることで建具と家具の万能化を図ることが可能になることを特徴とする携行間仕切りによって対処することができる。携行間仕切りは間仕切り替えの他、間仕切りを携行して住み替えに対しても対応する間仕切りである。
【発明の効果】
【0081】
本発明の携行間仕切りは、「建具と家具の万能化」を根本原理とし、それを実現するための根幹技術として「着脱式紙丁番装置」及び「免震突っ張り機構」を採用することにより、「屏風式建具」と「免震突っ張り支柱」及び「免震突っ張り家具」とで構成される「基本的3アイテム」により成り立つ。そして、前記基本的3アイテムの次の6つの効果により、前記基本的3アイテムを組み合わせる又は組み替えることで建具と家具の万能化を図ることが可能になる。
【0082】
▲1▼着脱式紙丁番装置により連結及び取り外しが容易になる。
ジョイナーは着脱式紙丁番装置1種類で済み、パネルとパネル、パネルと免震突っ張り支柱、パネルと免震突っ張り家具との連結及び取り外しが容易になる。そのため、転用・追加・部分交換が容易に可能になる。
【0083】
▲2▼屏風式建具には、免震突っ張り支柱又は免震突っ張り家具と連結することにより、「一端固定自在折戸」と「両端固定自在間仕切りパネル」の2つの使用法がある。
「一端固定自在折戸」は室内扉、収納扉、可動間仕切りの用途に使用することができ、かつ、それらの形が自在になる。「両端固定自在間仕切りパネル」は間仕切りパネルとして使用することができ、かつ、その形が自在になる。従って、屏風式建具は1種類で戸と間仕切りパネルに対応し、形が自在になり、かつ、室内扉、収納扉、可動間仕切り、間仕切りパネルの4つの用途に対応が可能になる。つまり、建具として万能化する。
【0084】
▲3▼基本的3アイテムにより、間仕切りの豊富なバリエーションが可能になる。
上記のように、屏風式建具は形が自在になり、かつ、4つの用途に対応するが、屏風式建具を室内に固定する固定元には免震突っ張り支柱と免震突っ張り家具の2アイテムがあるため、組み合わせのバリエーションは広がる。更に、免震突っ張り家具は棚、机、クローゼットなど様々な用途と意匠のものを製作できる。そのため、屏風式建具、免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具の3つという少ない基本的アイテムで、それらを様々に組み合わせることで豊富なバリエーションの間仕切りを構成することができる。
【0085】
▲4▼着脱式紙丁番装置及び免震突っ張り機構によりレイアウトが自由になる。
着脱式紙丁番装置は360°回転する現代の紙丁番を付着しているため、レイアウトの際、形が自在になる。また、室内の固定は免震震突っ張り機構によるため、レイアウトの際、位置が自由になる。
【0086】
▲5▼免震突っ張り機構のアジャスターにより高さ調整が可能になる。
そのため、天井高が異なる居室への間仕切り替え及び住み替えにも対応し易い。
【0087】
▲6▼免震突っ張り機構によりノンビス式で室内への固定が可能になる。
そのため、間仕切りの設置及び取り外しが簡単であり、また、ビス使用が難しい賃貸物件でも設置し易い。
【0088】
以上の基本的3アイテムの効果により、前記基本的3アイテムを組み合せる又は組み替えることで建具と家具の万能化を図ることができる。また、上記の効果により本発明の携行間仕切りは次の3つの性能を持つ。
【0089】
A.転用性が高い。
そのため、応用性が広く、間仕切り替えや住み替えをしても対応し易い。
【0090】
B.家具と建具の連結が可能になる。
屏風式建具は収納扉や室内扉、可動間仕切りの用途に対応できるため、免震突っ張り家具と屏風式建具を連結して、屏風式建具を前記の用途として使用することができる。
例えば、免震突っ張り家具に収納扉或いは室内扉を連結した例として、
図16(A)、(B)、(C)を示す。屏風式建具10,10’は各々2枚のパネル2を着脱式紙丁番装置3で連結し、同一面上に設置されている。前記屏風式建具10の右端に位置するパネル2の右端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り支柱5を取り付け、前記屏風式建具10’の左端に位置するパネル2の左端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り家具6を取り付けた構成を示している。前記屏風式建具10,10’は各々一端固定自在折戸として開閉することができ、
図16(B)は前記屏風式建具10,10’を各々閉じた状態を示している。
前記免震突っ張り家具6を壁面置きにして、前記屏風式建具10,10’をクローゼットの収納扉として使用することができる。前記免震突っ張り家具6の面と前記屏風式建具10,10’の面が略同一面上になるため、免震突っ張り家具6を埋め込み式の壁面家具にすることができ、かつ、パネルの幅の調整だけで全体の幅を部屋幅に合わせることが容易にできるため、インテリアがすっきりする。
また、前記免震突っ張り家具6を中置きにして間仕切り家具として使用し、前記屏風式建具10,10’を室内扉として使用して、プライバシーを保つ利用も可能になる。
そして、上記の例の他、免震突っ張り家具に連結した屏風式建具を可動間仕切りとして使用することも可能である。普段は前記免震突っ張り家具の脇に前記可動間仕切りを折畳み、必要な時に引き伸ばして好みの形にして間仕切る。
このように、免震突っ張り家具と屏風式建具の連結が可能になると、インテリア性が優れると共に、レイアウトの応用性が広がりニーズに対応し易くなる。
【0091】
C.単一的用途から複合的用途まで組み合わせが可能である。
単一的用途の組み合わせの例として、
図7(A)、(B)、(C)を示す。
屏風式建具10、10’は各々、3枚のパネル2を着脱式紙丁番装置3で連結し、同一面上に設置されている。前記屏風式建具10の右端に位置するパネル2の右端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り支柱5を取り付け、前記屏風式建具10’の左端に位置するパネル2の左端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り支柱5’を取り付けた構成を示している。前記屏風式建具10、10’は各々一端固定自在折戸として開閉することができ、
図7(B)は前記屏風式建具10、10’を各々閉じた状態を示している。前記屏風式建具10、10’はクローゼットの収納扉或いは室内扉として使用することができる。
【0092】
複合的用途の組み合わせの例として、
図19(A1)、(A2)、(B)、
図20(A1)、(A2)を示す。
屏風式建具10は6枚のパネル2を着脱式紙丁番装置3で連結し、右端に位置するパネル2の右端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り家具6を取り付け、屏風式建具10’は9枚のパネル2を着脱式紙丁番装置3で連結し、左端に位置するパネル2の左端部に取り付けた着脱式紙丁番装置3に、免震突っ張り家具6’を取り付けた構成を示している。前記屏風式建具10、10’は各々一端固定自在折戸として開閉することができ、
図19(B)は前記屏風式建具10を閉じた状態を示している。
一方、前記屏風式建具10’は
図19(A1)、
図20(A1)で示すように、普段は前記免震突っ張り家具6’の右側に折畳んである。前記屏風式建具10の裏側のスペースはクローゼットとして使用し、前記屏風式建具10は該クローゼットの収納扉として使用できる。従って、前記屏風式建具10’は普段はクローゼットに収納されている。
そして、前記免震突っ張り家具6’の前面のスペースと前記免震突っ張り家具6の前面のスペースを一時的に仕切りたい場合は、クローゼットの収納扉である前記屏風式建具10を開いて、中の前記屏風式建具10’を引き伸ばして、
図19(A2)、
図20(A2)に示したように、前記屏風式建具10’を可動間仕切りとして好みの形に整えて、前記屏風式建具10を再び閉じて使用する。例えば、来客用の寝室コーナーなどとして使用することができる。この場合、全体の用途の組み合わせは2種類の家具と収納扉及び可動間仕切りになる。
【0093】
以上の例のように、本発明の携行間仕切りは用途が単一のもから複合的なものまで組み合わせが可能になる。親元を離れてから生涯に何度か経験する住み替えに伴なって間仕切りを携行して使うためには、若くて単身で家具を殆んど持たない生活から、やがて家族が増えてそれに伴ない住いの床面積が広くなり、必要なクローゼットや家具も増えて、来客時の寝室コーナーや雑然としたスペースの目隠しなど一時的な間仕切りとして対応できる必要がある場合もある。そして、本発明の携行間仕切りはこれら単一的用途から複合的用途まで、転用・追加・部分交換しながら容易に対応できるため、間仕切り替えや住み替え毎にニーズに合わせた間仕切りのレイアウトがし易い。
【0094】
以上、本発明の携行間仕切りの3つの性能を挙げた。間仕切り替えや住み替えをした場合、ニーズに対応し難かったりインテリアが落着きのないものであれば、長期的な継続使用は難しい。本発明の携行間仕切りはインテリアのバランスをとりながらニーズに合わせた間仕切りのレイアウトがし易いため、長期的に継続使用し易くなる。
従って、本発明の携行間仕切りの全体的な特徴としては、学業・生業・家族構成の変化などによるライフステージの変化などで、間仕切り替えや住み替えが必要になった場合、転用・追加・部分交換が容易に可能であり、様々な居室に対して適応多能性を持つ、長期的な継続使用が可能な間仕切りであるということが言える。
【0095】
固定間仕切りは間仕切壁と建具枠を建物の躯体に先付けするため、設置や取り壊しに大きな手間が掛かり、また、間仕切り替えや住み替え先での転用はできない。そして、家具は間仕切りから独立しているため、家具と建具の連結はできない。
後付け間仕切りのうち天井高タイプは間仕切りを後付けするため、設置や取り外しは固定間仕切りに比べると簡単であり、間仕切り替えや住み替え先での転用に対応することは可能だが、特に垂直方向で天井高が異なる居室に対しては転用し難い。また、幅方向でもパネルの他に、天井レールや床レールの調整が必要になる。そして、新設の場合はパネル間の角度は受注生産すれば希望通りにできるが、転用する際は角度の調整はできないため形やレイアウトが限定的になる。また、間仕切りのシステムに家具は組み込まれていないため、家具と建具の連結はできない。
後付け間仕切りのうち鴨居高タイプは天井固定しないため、間仕切りの設置や取り外しは簡単であり、間仕切り替えや住み替え先での転用に対応することは可能だが、新設時及び転用先に於いてもレイアウト及び形が限定的になるため、ニーズに合わせることは難しい。そして、間仕切りのシステムに家具は組み込まれていないため、家具と建具の連結はできない。
【0096】
それに対して、本発明の携行間仕切りは、室内の固定方法、つまり地震対策として免震突っ張り機構を採用するため、間仕切りの設置や取り外しが簡単であり、着脱式紙丁番装置と合わせて、間仕切り替えや住み替え先で転用し易い。また、形が自在になりレイアウトも自由であり、これは新設時及び転用先に於いても同様である。そして、家具が間仕切りのシステムに組み込まれ、家具と建具の連結が可能であり、新設時及び転用先に於いても間仕切りの単一的組合せから、家具を含めた複合的組合せまで可能になる。
従って、本発明の携行間仕切りは、学業・生業・家族構成の変化などによるライフステージの変化などで、間仕切り替えや住み替えが必要になった場合、転用・追加・部分交換が容易に可能であり、様々な居室に対して適応多能性を持つ、長期的な継続使用が可能な間仕切りであるという特徴は、固定間仕切りや後付け間仕切りの天井高タイプ及び鴨居高タイプにはない、本発明の携行間仕切りに固有の特徴であると言える。
【0097】
固定間仕切りには上記のように、間仕切り替えが難しい、間取りが定式化している、個室が閉鎖的であるという問題があった。これらに対する、本発明の携行間仕切りの効果を以下に記載する。
【0098】
固定間仕切りは間仕切り替えが難しいため、間仕切り替えが必要になった場合に「4択の悪循環」が続き、住宅の快適性(アメニティ)や環境負荷に与える影響が大きい。固定間仕切りは間仕切り替えが難しいこと自体問題だが、この間仕切り替えを巡る「4択の悪循環」を断つことがより大きな課題であった。4つの選択肢と各々の問題は次の通りであった。
1.そのままで間仕切り替えはしない―多少不便でも我慢する。
2.間仕切り替えをする―既存間仕切りの撤去工事及び新設工事と廃棄物処理、並びにそれらに伴なう費用など環境負荷を含めて負担が大きい。
3.住み替える―物件探し、引越し作業、新しい環境への順応など負担が大きい。
4.住宅の寿命以前に建て替える―日本では住宅の寿命が短いため、間仕切り替えをせずに住宅の寿命以前に建て替えてしまうという風潮も根強い。既存住宅の解体工事及び新築工事と廃棄物処理、工事中の住み替えと引越し作業、並びにそれらに伴なう費用と共に、寿命以前の建て替えは実質的な住宅の低寿命化を促し、環境負荷を含めて負担は更に大きい。
しかし、本発明の携行間仕切りは間仕切り替えがし易いため、上記の4択の悪循環を断つことができる。そして、住宅を寿命以前に建て替える必要性が小さくなるため、住宅を長寿命化し易くなる。また、間仕切りが建物から独立して、長期的な継続使用が可能になるため、間仕切り替えや住宅の解体の際の廃棄物を削減する。
【0099】
固定間仕切りによるnLDK式住宅は間取りが定式化しているため、住み替える時は「希望に近い間取り」の物件を探し、「希望の間取り」にするためには注文住宅で建てる必要がある。しかし、本発明の携行間仕切りを使用すると間仕切りの設置や間仕切り替えが容易にできるため、住宅の居室部分をフリースペースにすることができる。居室部分をフリースペースにして本発明の携行間仕切りを使用するフリースペース式住宅であれば、希望の間取りにし易い。
【0100】
固定間仕切りは遮音性が高いため、それによる個室は家族間のプライバシーを尊重するという長所がある。しかし、その一方、閉鎖的で家族が個室にこもりバラバラになりがちになるという短所も併せ持つ。それに対して、本発明の携行間仕切りは鴨居高タイプであるため遮音性が低いという短所がある。しかし、例えば、吹き抜けを介して親子の寝室を上下に分けるなどレイアウトで対処することができる。そして、本発明の携行間仕切りでは屏風式建具の一端固定自在折戸という使い方ができる。この使い方は屏風式建具の一端を免震突っ張り支柱或いは免震突っ張り家具に連結して、折り畳んだり引き伸ばすことができ、かつ、形が自在になる。そのため、各寝室の吹き抜けに面した側に屏風式建具を設置して、一端固定自在折戸として全面を開閉することができる。夜間就寝時には閉じて、日中はフルオープンにして、「家族間のプライバシーと開放性の両立」を図る使い方ができる。
【0101】
以上、本発明の携行間仕切りの効果をまとめると、次の2つになる。「住生活の快適性(アメニティ)の向上」及び「環境負荷の軽減」である。
【0102】
本発明の携行間仕切りは現代性と歴史性の両側面を併わせ持つ。
電話機の携帯電話は固定電話に対して「どこでも使える」という利点がある。本発明の携行間仕切りは固定間仕切りに対して、同様に「どこでも使える」という利点があり、携行間仕切りと携帯電話は「固定に対してどこでも使える」という共通性を持ち、その点で携行間仕切りは携帯電話に匹敵する現代性を持つ。
しかし、その一方、この携帯電話と共通する「固定に対してどこでも使える」という性能は、携行間仕切りの場合は、建具と家具の万能化により、様々な居室に適応できる万能性によって可能になり、この場合の万能性にはフレキシビリティという意味が包含される。そして、日本家屋のフレキシビリティの歴史は古くなる。
【0103】
日本家屋のフレキシビリティの歴史については既に説明したので、ここでは要約を記載する。
古代日本で成立した屏風は、平安時代の貴族の邸宅である寝殿造に於いて、開放的な大空間である儀式空間の中で、日常の生活空間を仕切る上で不可欠の障屏具であった。当時、大空間と小空間の可変が屏風によって行われ、屏風によるフレキシビリティを既に手に入れていた。そして、仕切る場所が固定されてくると、屏風から襖が発展し、襖は寝殿造の中で成立した。
鎌倉時代になると公家に代わって武士が台頭する。公家の経済力は衰退し、寝殿造の規模は縮小簡略化され、武士の住宅も同じ系列であった。寝殿造では天井板は張られず、柱は丸柱であり、また、大空間であったため畳は板床の上に必要な場所に置く「置畳」であったが、中世になると天井板が普及し、広間にすることも小室に仕切ることもできる襖と共に、外回りの建具として明かり障子が発達し、柱は角柱になり、また、小室に仕切られたため畳は敷き詰めた「敷き詰め畳」になった。そして、この住宅形式はやがて座敷奥の上段の間に床の間、違い棚、付書院、帳台構えという座敷飾を設けることを特色とする「書院造」として桃山時代に完成し、長い歴史を持つ日本家屋を代表する住宅形式として定着する。
屏風の丁番は通し紐や鋲打ちした革であったものから、伝統的な紙丁番が成立するのは鎌倉時代から室町時代とされる。伝統的な紙丁番を使用した屏風は通し絵を描くことができ、表裏どちらにも折り曲げが可能で、隙間風を防ぐ効果が従来の屏風より増した。また、それらの効果を生かして、豪華絢爛な紺碧障壁画が描かれた他、茶席の風炉を囲む簡素な風炉先屏風や、貧乏長屋の破れ布団を隠す枕屏風もある。
金屏風や障壁画を描いた屏風は室町時代から幕府の贈り物として、中国や朝鮮に贈られた他、桃山時代には幕府の輸出品としてポルトガルにも渡り、ヨーロッパへ伝えられた。
一方、江戸時代の押入れのない裏長屋では、枕屏風で日中は部屋の隅に畳んだ夜具を隠し、夜は寝姿を訪問者に隠したり、隙間風を防ぐために使われ、庶民にも屏風が日常的に使われた。
このように、日本家屋のフレキシビリティは、古代日本から始まる屏風及びそれから発展した襖や障子という伝統的な障屏具によってもたらされた。従って、日本家屋のフレキシビリティの源泉は襖や障子という引違い建具の元になった屏風であった。
しかし、近代化で住宅様式が様変わりした。従来の日本家屋では難しかったプライバシーを確保するために、固定間仕切りによるnLDK式住宅がアルミサッシと共に普及すると、人目や風を遮るための屏風は一般的には使われなくなった。それに対して、nLDK式住宅になっても和室は残り、襖や障子は現在も一般的に使われ、屏風とは対照的である。そのような状況の中で、屏風は量産化やめぼしい開発が行なわれず閉塞的な状況に陥り、一般の人は屏風は知っているが、ジグザグ形に置かれるというイメージがあるだけで、屏風に手を触れてパネルを回転する機会も少なく、屏風のパネルが360°回転することや伝統的な紙丁番を知らないという状況が生じ、伝統的な紙丁番は「埋もれた伝統技術」になっている。
【0104】
屏風の閉塞的状況は先願の特許文献からも読み取ることができる。
特許文献3記載の発明と特許文献1、2記載の発明を対比すると、次の点で相違した。
相違点1:特許文献3では伝統的な紙丁番を溝形部材に付着して着脱可能な丁番にしている。これにより、量産化やパネルの増減及び部分交換がし易くなる。それに対して、特許文献1、2記載の発明は伝統的な紙丁番をパネルに直張りしている。
相違点2:特許文献3記載の発明では室内への固定方法として、パネルの上部に折り曲げ式可動フックを設けて、天井に設けた角パイプなどに引っ掛けて固定する方法が開示されている。それに対して、特許文献2記載の発明では室内への固定方法は開示されておらず、複数枚のパネル部材を直線的に並べて使用する場合に、安定脚である自立補助具を使用する方法が開示されているだけであり、特許文献1記載の発明でも室内への固定方法は開示されていない。
相違点3:特許文献3記載の発明では移動を楽にするための手段として、パネルの下部にコロを設けている。それに対して、特許文献1、2記載の発明は移動を楽にするための手段は開示されていない。
【0105】
次に、本発明と特許文献3記載の発明を対比すると、次の点で異なる。
相違点1:本発明では、羽根だけで構成される現代の紙丁番を、一対の溝形部材に付着して着脱式紙丁番装置を形成している。くるみがけが省略される分、材料及び手間が省けるためコストを下げ易くなり、パネルの枚数は使い易くなる。それに対して、特許文献3記載の発明では、羽根とくるみがけで構成される伝統的な紙丁番を、一対の溝形部材に付着して着脱可能な丁番を形成している。
相違点2:本発明では、室内への固定方法として免震突っ張り機構を採用している。前記免震突っ張り機構を装着した、免震突っ張り支柱又は免震突っ張り家具に屏風式建具を連結することにより、屏風式建具を室内に固定する。そのため、設置がノンビス式になるため容易であり、ビス使用の規制がある賃貸物件でも設置し易い。また、前記免震突っ張り機構はアジャスターの機能により高さ調整が可能になるため、天井高が異なる居室での設置がし易くなる。
それに対して、特許文献3記載の発明では、室内への固定方法として、パネルの上部に設けた折り曲げ式可動フックを、天井に設けた角パイプに引っ掛けて室内に固定する方法が開示されている。この方法で屏風式製品の形を自在に変化させて使うためには、天井全体にある程度の間隔で角パイプを張り巡らせる必要があり、そうなると、その分の施工が必要になりコストも高くなる。また、天井にそのような角パイプを設けた居室でしか固定できない。そして、天井高が異なる居室での間仕切り替えや住み替えには対応し難い。
相違点3:本発明では、屏風式建具は一端固定自在折戸と両端固定自在間仕切りパネルの2つの使用法がある。一端固定自在折戸は室内扉、収納扉、可動間仕切りの用途に使用することができ、かつ、それらの形が自在になる。両端固定自在間仕切りパネルは間仕切りパネルとして使用することができ、かつ、その形が自在になる。従って、屏風式建具は1種類で戸と間仕切りパネルに対応し、形が自在になりながら室内扉、収納扉、可動間仕切り、間仕切りパネルの4つの用途に対応が可能になり、建具の万能化を図ることができる。
それに対して、特許文献3記載の発明では、一端固定自在折戸の使い方をする場合、屏風式製品の端に位置するパネルの上部一点を、折り曲げ式可動フックで天井の角パイプに固定して、屏風式製品全体を動かすことになるため、動きが不安定になり、一端固定自在折戸の使用は適さない。そうなると、建具の万能化は成立しない。
相違点4:本発明では、屏風式建具と免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具を基本的3アイテムとして、前記基本的3アイテムを組み合せることで、建具と家具の万能化を図る。それにより、転用性が高い、建具と家具の連結が可能になる、単一的用途から複合的用途まで組み合わせが可能であるという3つの性能が得られ、学業・生業・家族構成の変化などによるライフステージの変化などで、間仕切り替えや住み替えが必要になった場合、転用・追加・部分交換が容易に可能であり、様々な居室に対して適応多能性を持つ、長期的な継続使用が可能な間仕切りであるという全体的特徴を持つ。
それに対して、特許文献3記載の発明では、上記のように、建具の万能化は成立せず、また、家具との関係も開示されておらず、建具と家具の万能化は成立しない。
【0106】
特許文献1〜3の各々の出願年度は、特許文献1が1987年、特許文献2が2009年、特許文献3が2004年である。
特許文献3記載の発明は、屏風を量産化し、間仕切りの形を自在に変化させ、設置や間仕切り替え及び移動が容易にできることを目的としている。伝統的な紙丁番を使用した従来の屏風では行なわれなかった、屏風の量産化に対する発明及び伝統的な紙丁番でパネルを連ねると形が自在になるという屏風の特性を生かした発明は、特許文献3による2004年の出願までなかった。これらの先願は上記の屏風の閉塞的状況を裏付けるものである。
【0107】
以上、日本家屋のフレキシビリティは古代日本から始まる屏風及びそれから発展した襖や障子という障屏具によってもたらされ、屏風は近代化により閉塞的状況に陥り、伝統的な紙丁番は「埋もれた伝統技術」になっている状況を明らかにした。
では、本発明の携行間仕切りと屏風及び襖や障子はどのような関係なのか、次にそれを明確にする。
障子は襖と同じ引違い建具であるため、対比を行うに当たっては襖に含める。従って、対比は本発明の携行間仕切り、屏風、襖に対して行なう。しかし、携行間仕切りは屏風式建具と免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具の基本的3アイテムから構成されている。そのため、屏風、襖と対比する上では、携行間仕切りのうち屏風式建具とこれらの対比を行い、免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具については、屏風式建具との関係性で明らかにする方が明快になるため、対比は屏風式建具、屏風、襖の対して行なう。この場合の「屏風」は伝統的な紙丁番をパネルに直張りした屏風を指す。
【0108】
[室内の固定、形、長さ、位置]について
「室内の固定」については、屏風式建具は免震突っ張り支柱に連結して室内に固定できる。それに対して、屏風は室内に固定できない。そして、襖は鴨居と敷居により室内に固定できる。
「形」については、屏風式建具は免震突っ張り支柱に連結することで、一端固定自在折戸と両端固定自在間仕切りパネルの2通りの使い方が可能になり、形は自在になる。それに対して、屏風は伝統的な紙丁番で連結されているため本来は形が自在になるが、室内に固定できないため、倒れ難い形としてジグザグ形に置かれるのが基本である。そして、襖は基本的に直線で使用される。
「長さ」については、屏風式建具は着脱式紙丁番装置で連結されているため、パネルの増減が容易にできる。それに対して、屏風は、伝統的な紙丁番をパネルに直張りしているためパネルの増減は難しい。そして、襖は鴨居と敷居により長さが限定される。
「位置」については、屏風式建具は自由に移動できる。それと同様に、屏風も自由に移動できる。それに対して、襖は鴨居と敷居により限定される。
以上のように、室内の固定、形、長さ、位置について、屏風式建具は屏風や襖と比べてよりフレキシブルである。
【0109】
[家具との連結]について
屏風式建具は免震突っ張り家具と連結できる。屏風式建具は収納扉や室内扉、可動間仕切りの用途に対応できるため、屏風式建具と免震突っ張り家具を連結して、屏風式建具を前記用途として使用することができる。
免震突っ張り家具を壁面置きにして、それに屏風式建具を連結してクローゼットの収納扉として使用すると、免震突っ張り家具を埋め込み式の壁面家具にすることができ、かつ、パネルの幅の調整だけで全体の幅を部屋幅に合わせることが容易にできるため、インテリアがすっきりする。また、免震突っ張り家具を中置きにして間仕切り家具として使用し、それに屏風式建具を連結して室内扉として使用し、プライバシーを保つ利用も可能になる。そして、免震突っ張り家具に連結した屏風式建具を可動間仕切りとして使用することも可能である。普段は免震突っ張り家具の脇に可動間仕切りを折畳み、必要な時に引き伸ばして好みの形にして間仕切る。このように、屏風式建具と免震突っ張り家具の連結が可能になると、インテリア性が優れると共に、レイアウトの応用性が広がりニーズに対応し易くなる。
それに対して、屏風と襖は家具と連結できない。
以上のように、家具との連結について、屏風式建具は屏風や襖と比べて、より一層フレキシブルである。
【0110】
[転用]について
屏風式建具は以下により、室内に固定が可能で、かつ、転用し易い。
・着脱式紙丁番装置によりジョイナーは1種類で済み、パネルとパネル、パネルと免震突っ張り支柱、パネルと免震突っ張り家具との連結及び取り外しが容易にできるため、転用し易い他、追加や部分交換もし易くなるため、様々な間仕切りを再構成できる。
・着脱式紙丁番装置に360°回転する現代の紙丁番を付着しているため、形が自在になる。
・免震突っ張り支柱又は免震突っ張り家具と連結することにより、一端固定自在折戸と両端固定自在間仕切りパネルの2つの使用法があり、屏風式建具1種類で形が自在になり、かつ、室内扉、収納扉、可動間仕切り、間仕切りパネルの4つの用途に対応が可能で、建具として万能化する。
・免震突っ張り機構を装着した免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具と連結することにより、室内に固定されるが、免震突っ張り機構は、アジャスターにより高さ調整が可能になるため、天井高が異なる居室へ対応し易く、レイアウトの際、位置が自由になり、ノンビス式で固定が可能になるため、設置及び取り外しが簡単で、ビス使用が難しい賃貸物件でも設置し易い。
それに対して、屏風は、室内に固定できず、かつ、伝統的な紙丁番をパネルに直張りしているため転用し難い。また、転用したとしても、パネルの枚数はそのままか、或いは、増減をしてパネルの仕上げを替える程度である。
そして、襖は、室内に固定が可能であるが、転用し難い。襖のパネルは鴨居と敷居間の高さ及び鴨居と敷居の長さである現場寸法に合わせて製作されるため、パネルの高さと幅が規制される。襖を転用するには転用先の鴨居や敷居に合わせてパネルの高さ及び幅の調整が必要になる。
以上のように、転用について、屏風式建具は屏風や襖と比べて、より一層更にフレキシブルになる。
【0111】
このように、屏風式建具は免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具と組み合せることで、屏風や襖に対して、より一層更にフレキシブルになる。そして、屏風式建具と免震突っ張り支柱及び免震突っ張り家具を合わせたものが携行間仕切りであるため、本発明の携行間仕切りは、屏風や襖と比べてより一層更にフレキシブルであるということになり、本発明の携行間仕切りは、屏風や襖という日本の伝統的な障屏具が持つフレキシビリティという特性をより一層更に発展させた形式であると言える。
【0112】
本発明の携行間仕切りは、
古代日本から始まる屏風及びそれから発展した襖や障子という日本の伝統的な障屏具が持つ、フレキシビリティという特性をより一層更に発展させて、
建具と家具の万能化を図り、
フレキシビリティに欠ける固定間仕切りの問題である、間仕切り替えが難しい、間取りが定式化している、個室が閉鎖的であるという問題に対して対処すると共に、
学業・生業・家族構成の変化などによるライフステージの変化などで、住み替えや間仕切り替えが必要になった場合、転用・追加・部分交換が容易に可能であり、様々な居室に対して適応多能性を持ち、長期的な継続使用が可能になり、
「住生活の快適性(アメニティ)の向上」及び「環境負荷の軽減」という2つの効果をもたらして、
今日の生活に対応し易くした間仕切りである。
【0113】
本発明の携行間仕切りを使用すれば、間仕切りの設置や間仕切り替えを簡単に行なうことができるため、住宅の居室部分をフリースペースにしたフリースペース式住宅にすることができる。
従って、携行間仕切りを使用するフリースペース式住宅は、日本家屋のフレキシビリティをより一層更に発展させた住宅形式であり、フレキシビリティに欠ける固定間仕切りによるnLDK式住宅の上記の問題に対して対処すると共に、「住生活の快適性(アメニティ)の向上」及び「環境負荷の軽減」という2つの効果をもたらす。
【0114】
固定間仕切りによるnLDK式住宅は特に先進国を中心に普及している。日本では住宅の寿命が短く、住宅は「スクラップ アンド ビルド型」であるが、ヨーロッパでは寿命が長く「ストック型」である。そのため、間仕切り替えが必要になった場合、ヨーロッパでは住宅の寿命以前に建て替えるということは少ないが、間仕切り替えが難しいのは日本と同様であり、間仕切り替えが必要になった場合は建て替え以外の、間仕切り替えを巡る4つの選択肢のうち3つの選択肢である、間仕切り替えはしないで多少不便でも我慢する、或いは大きな負担を掛けて間仕切り替えをする、或いは大きな負担を掛けて住み替える、という「3択の悪循環」は続き、間仕切り替えを巡る3択の悪循環という固定間仕切りの課題がある。
【0115】
携行間仕切りを使用するフリースペース式住宅が効果を発揮する地域は国内外の広域に渡る。近代化により屏風の進歩的な開発が行なわれず、そして、nLDK式住宅が普及している日本国内の他、住宅に於けるフレキシビリティの伝統を持たず、そして、nLDK式住宅が普及している欧米などの国々や地域、更に、これからの発展に向けて「住生活の快適性(アメニティ)の向上」と「環境負荷の軽減」の両立を目指そうとする国々や地域である。
そのため、本発明の携行間仕切りは汎用性の効果が大きい。
【0116】
本発明の携行間仕切りは、近代化により一般的に使用されずに閉塞的状況に陥っている、伝統文化である屏風を発展させるという歴史的価値、及び、現在、世界の広域に普及する近代化様式の住宅の問題に対処して、今日の生活に対応し易い間仕切りとするという新規性の2つの価値を併せ持つ。
【0117】
従って、本発明の携行間仕切りは上記の歴史的価値及び新規性により、日本の伝統文化の発展及び世界の文化の発展の双方に効果をもたらす。
【0118】
屏風の開発としては、平安時代に屏風から襖が成立し、鎌倉時代から室町時代に伝統的な紙丁番が成立したとされるが、本発明の携行間仕切りはそれ以来の進歩的発明になる。