(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一部分が筒状になっていて流体が通流し得る中空部を有するとともに、上記中空部に対して上記流体を流入するための流入用開口部および上記中空部から上記流体を流出するための流出用開口部を有し、家畜の膣内に挿入されたときに上記中空部の内側から外側へ向かう方向に膣壁を押圧可能な径の大きさに形成された筒状部材と、
上記筒状部材の上記中空部を形成する内壁に配置され、上記流体が通流する方向とは異なる方向に分布するように配置された複数の検出部を有して、上記検出部に接触する上記流体から生体情報を検出する生体情報センサとを備えたことを特徴とする発情検出装置。
上記筒状部材は、両端が開放された略円筒形状をしており、一方の開放端が上記流入用開口部、他方の開放端が上記流出用開口部となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の発情検出装置。
【背景技術】
【0002】
近年、乳牛の繁殖成績が低下しており、酪農経営を悪化させる要因として全国的に問題となっている。繁殖成績を改善するためには、牛の発情を的確に発見する必要がある。ところが、発情の兆候が従来よりも微弱化しているため、発情の発見が難しくなっている。また、観察に十分な時間を当てることも困難な現状にあり、牛の発情を簡易に発見する技術が求められている。
【0003】
従来、歩数計を用いた歩数のモニタリングによる発情検出装置や、発情牛に対する他の牛の乗駕行動のモニタリングによる発情検出装置が提案され、現在では市販もされている。ところが、これらの発情検出装置は、牛の行動が制限される繋ぎ飼いでは利用できないという問題があった。
【0004】
これに対し、無線送信機能付きのセンサを牛の膣内に挿入し、センサで計測した生体情報(膣内の温度、膣内の体液の酸性度(pH)あるいは電導度など)を外部のコンピュータに無線送信してモニタリングするようにした装置(例えば、特許文献1〜3参照)が提案されている。これら特許文献1〜3に記載の技術では、センサの膣内からの脱落を防止するために、センサを牛の膣内に留め置くための構造に工夫がなされている。
【0005】
特許文献1の測温/送信モジュールは、両側に腕のあるY字形をしている。Y字形の直線部分に本体(温度センサを含む)が挿入されており、両側に広がる腕は弾力性のある物質のみで作られている。測温/送信モジュールを使用する際には、腕の部分を折り畳んで全体をI字形に近い形にして牛の膣内に挿入し、挿入後に膣内で腕が広がるようにしている。広がった腕が膣の内壁を押すことにより、測温/送信モジュールが膣内から簡単に脱落しないようになされている。
【0006】
特許文献2の膣内留置装置は、牛の膣道を通過可能な細長い筒状容器と、筒状容器の長手方向の両端領域に配置された折り畳み可能な金属製ワイヤからなる翼部とを備えている。翼部は、畳まれた状態で膣内に挿入された後、筒状容器の長手方向軸線から外方へ広げられる。翼部は環状形状をしており、適切な係留力が得られ、かつ適度に膣壁の動きにより変形することによって、膣壁への過度の刺激を抑えることができるようになされている。
【0007】
特許文献3の膣内留置式センサは、収縮/膨張の変形が可能な中空のゴム状弾性体製の膨張部と、その膨張部内に連通する内部通路を有する管状の流体通路部とを備えている。膨張部は、流体通路部の内部通路を介する流体の通流によって収縮形状と膨張形状との間で弾性変形する。牛の膣内へセンサを挿入する際は、膨張部が牛の膣道を通過可能な細長い収縮形状とされる。膣道の奥の膣内にセンサが挿入された後は、流体通路部の内部通路に通流させた流体(空気)によって膨張部が風船状の膨張形状に変形され、膨張部の外側に向かう圧力によってセンサが膣内に押し留められるようになされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術は、膣内の温度を測定するものであり、温度センサはY字形の直線部分に組み込まれた本体内に挿入されている。そのため、膣内に分泌される体液のpHなどをモニタリングして牛の発情を検出する用途には使えないという問題があった。
【0010】
一方、特許文献2,3に記載の従来技術は、膣壁に接触するセンサを備えているため、体液のpHなどをモニタリングして牛の発情を検出する用途にも使用可能である。特許文献2,3の場合は、カプセルの内部あるいは膨張部の内部にセンサを設ける例のほかに、カプセル外あるいは膨張部外の膣内に配置されて体液のpHなどを検出する外部センサを備える例が記載されている。その外部センサは、牛の姿勢に関わらず自重でぶら下がって膣内の体液に接触できる程度の重さを有している。これにより、膣内に分泌された体液に外部センサが直接的に触れてpHなどを検出することができるようになされている。
【0011】
しかしながら、特許文献2,3に記載の従来技術では、pHなどを安定的に測定することができないという問題があった。膣壁のどの部分にセンサが触れるかによって、測定値が大きく変動するからである。すなわち、牛の発情時の体液は、膣内のどの部位に貯留しているか分からない。つまり、発情時は体液の量が多くなるとはいえ、全長25〜30cm程度を有する膣内全体が一様に体液で満たされているわけではないため、センサの位置によって測定値が異なってしまう。
【0012】
また、特許文献3に記載の従来技術では、膣壁まで風船状に膨らんだ膨張部が膣道を殆ど塞いでしまうため、膣内に分泌された体液の膣外への排出が阻害されてしまう。そのため、排出されずに溜まった体液に起因して膣炎を発症させてしまう恐れがあり、牛の健康を損なわずに膣内留置式センサを膣内に長時間留置させておくことができないという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、膣内における体液の特性を安定的に測定して発情検出の精度を向上させることができ、かつ、家畜の健康を損なわずに膣内にセンサを長時間留置させておくことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するために、本発明の発情検出装置は、少なくとも一部分が筒状になっていて流体が通流し得る中空部を有する筒状部材と、当該筒状部材の中空部を形成する内壁に配置された生体情報センサとを備える。筒状部材の径は、中空部の内側から外側へ向かう方向に家畜の膣壁を押圧可能な大きさに形成する。また、生体情報センサは、流体が通流する方向とは異なる方向に分布するように配置した複数の検出部を有し、当該検出部に接触する流体から生体情報を検出するように構成している。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成した本発明の発情検出装置によれば、これを家畜の膣内に挿入して使用した場合、筒状部材が膣壁を外側へ向かって押す圧力により、発情検出装置が膣内に押し留められる。この状態で膣内に分泌された体液は、筒状部材の中空部を通流して膣外へと排出される。すなわち、膣内に留置させた発情検出装置の存在によって、体液の膣外への排出が阻害されることはない。これにより、家畜の健康を損なわずに発情検出装置を膣内に長時間留置させておくことができる。
【0016】
また、本発明によれば、筒状部材が膣壁に密着することで、発情時の体液は必ず筒状部材の内側にある中空部を通流する。そして、体液が中空部を通流する際に、中空部の内壁に配置された生体情報センサによって家畜の生体情報が検出される。生体情報センサは、中空部内を流体が通流する方向とは異なる方向に分布するように配置された複数の検出部を有しているので、家畜がどのような姿勢にあっても、中空部内を流れる体液が何れかの検出部に接触する可能性が高くなる。したがって、家畜が姿勢を変えても膣内に分泌された体液の特性を安定的に測定して、発情検出の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による発情検出装置10の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態による発情検出装置10は、筒状部材11、生体情報センサ12および送信回路部13を備えて構成されている。
【0019】
筒状部材11は、当該筒状部材11を牛の膣内に挿入したときに膣内に分泌された体液(特許請求の範囲の流体に相当する)が通流し得る中空部11aと、この中空部11aに対して体液を流入するための流入用開口部11bと、中空部11aから体液を流出するための流出用開口部11cとを有する。筒状部材11は両端が開放された略円筒形状をしており、一方の開放端が流入用開口部11b、他方の開放端が流出用開口部11cとなるように形成されている。
【0020】
筒状部材11を膣内に挿入するときは、流入用開口部11bの方を膣の奥側に向け、流出用開口部11cの方を膣口側に向ける。これにより、膣内に分泌される体液は、流入用開口部11bから流出用開口部11cの方向(矢印Aで示す)に向かって中空部11aの中を流れ、膣口から体外へと排出される。
【0021】
筒状部材11は、発情検出装置10を膣内に挿入したときに中空部11aの内側から外側へ向かう方向に膣壁を押圧可能な径の大きさに形成されている。具体的には、筒状部材11は、膣壁により囲まれた膣の空間よりも少し径が大きくなるように構成されている。このような構成により、筒状部材11が膣壁を外側に向かって押圧し(言い換えると、筒状部材11が膣壁によって内側に向かって押圧され)、この圧力によって発情検出装置10が膣内に押し留められる。
【0022】
なお、筒状部材11は、外力を加えたときに中空部11aの外側から内側に向かう方向に収縮し、外力をなくしたときに元の状態に膨張して戻るような弾性部材により構成するのが好ましい。このようにすれば、発情検出装置10を膣内に挿入するときは、発情検出装置10を持つ作業者が手に力を入れて筒状部材11に外力を与えることによって筒状部材11を内側に収縮させ、発情検出装置10を膣内に挿入しやすくすることができる。
【0023】
筒状部材11を内側に収縮させた状態で発情検出装置10を膣内に挿入した後、作業者が発情検出装置10から手を離すと、筒状部材11は外側に向かって膨張し、膣壁に密着して当該膣壁を外側に押す。その反作用で筒状部材11は膣壁から内側に向かう押圧力を受ける。この圧力によって、発情検出装置10は膣内に押し留められる。
【0024】
また、筒状部材11は、体液の表面張力で中空部11aの内壁面が濡れたままとならないような撥水性の材質により構成されている。このような撥水および上述した弾性の性質を有する部材として、例えばシリコン系樹脂あるいはシリコン系ゴムを用いることが可能である。
【0025】
生体情報センサ12は、筒状部材11の中空部11aを形成する内壁に配置された複数の検出部12aにより構成されている。複数の検出部12aは、中空部11a内を体液が通流する矢印Aの方向とは異なる方向に分布するように配置されている。このように配置された検出部12aは、ストリップ状またはピクセル状の電極を持つセンサであり、中空部11a内を体液が流れたときに検出部12aに接触する体液から生体情報を検出する。
【0026】
具体的には、隣り合う検出部12aの電極間の抵抗値をそれぞれ測定することにより、膣内に分泌された体液の電気抵抗値および体液の量を生体情報として検出する。すなわち、牛の発情期が近づくと、非発情期と比べて体液の電気抵抗値は低くなり、分泌量も多くなる。そのため、各検出部12aの電極間の抵抗値を測定することにより、抵抗値が通常より小さくなっているか否かによって、牛の発情期が近づいているか否かを判定することができる。また、牛の発情期が近づいて体液の分泌量が多くなると、その体液に触れる検出部12aの数が多くなる。そのため、隣り合う検出部12aの電極間の抵抗値をそれぞれ測定したときに、抵抗値が低くなる検出部12aの数が増える。よって、抵抗値が低くなった検出部12aの数を検出することにより、牛の発情期が近づいているか否かを判定することができる。
【0027】
図2は、中空部11aの内壁面に分布させた複数の検出部12aの配置例を示す図である。
図2は、説明を分かりやすくするために、筒状部材11を平面状に展開した状態を示している。
図2(a)に示すように、本実施形態では、複数の検出部12aを、体液が通流する矢印Aの方向と垂直な方向に対して一直線状で等間隔に分布するように配置している。
【0028】
なお、
図2(a)の例では、体液が通流する方向と垂直な方向に複数の検出部12aを分布するように配置しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図2(b)に示すように、体液が通流する方向に対して垂直ではない方向に複数の検出部12aを分布するように配置してもよい。
【0029】
また、
図2(a)の例では、円筒状の中空部11aにおける内壁面の全周(
図2(a)の上から下までの全範囲)にわたって分布するように複数の検出部12aを配置しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図2(c)や
図2(d)に示すように、内壁面の一部の周(例えば、半周)にわたってのみ分布するように複数の検出部12aを配置してもよい。
【0030】
また、
図2(a)〜(d)の例では、複数の検出部12aを一直線状で等間隔に分布するように配置しているが、必ずしも一直線状でなくてもよい。例えば、曲線状であってもよいし、ジグザグ状であってもよい。また、必ずしも等間隔に配置する必要もない。
【0031】
送信回路部13は、生体情報センサ12と配線13aにより接続されており、当該生体情報センサ12により検出された生体情報を無線送信する。この送信回路部13は、生体情報の無線送信を行うための回路基板と、当該回路基板に動作電源を供給するバッテリとを備えている。
図1の例では、回路基板は、送信アンテナを内蔵している。
【0032】
なお、
図1の例では、送信回路部13を筒状部材11と別体として、筒状部材11の外側に設ける構成を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、送信回路部13を筒状部材11と別体として、中空部11aの内側に設けるようにしてもよい。また、送信回路部13を筒状部材11と一体として、筒状部材11の肉厚部に埋め込むようにして送信回路部13を形成するようにしてもよい。
【0033】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態による発情検出装置10は、体液が通流し得る中空部11aを有する筒状部材11と、当該筒状部材11の中空部11aを形成する内壁に配置された生体情報センサ12とを備える。筒状部材11の径は、中空部11aの内側から外側へ向かう方向に膣壁を押圧可能な大きさに形成する。また、生体情報センサ12は、体液が通流する方向とは異なる方向に分布するように配置した複数の検出部12aを有し、当該検出部12aに接触する体液から生体情報を検出するように構成している。
【0034】
このような構成を有することにより、例えば発情検出装置10を牛の膣内に挿入して使用した場合、中空部11aの内側から外側へ向かう方向に筒状部材11が膣壁を押す圧力によって、発情検出装置10が膣内に押し留められる。この状態で膣内に分泌された体液は、筒状部材11の中空部11aを通流して膣外へと排出される。すなわち、膣内に留置させた発情検出装置10の存在によって、体液の膣外への排出が阻害されることはない。これにより、牛の健康を損なわずに発情検出装置10を膣内に長時間留置させておくことができる。
【0035】
また、体液が中空部11aを通流する際に、中空部11aの内壁に配置された生体情報センサ12によって牛の生体情報が検出される。生体情報センサ12は、中空部11a内を体液が通流する方向とは異なる方向に分布するように配置された複数の検出部12aを有しているので、牛がどのような姿勢にあっても、中空部11aの中を流れる体液が何れかの検出部12aに接触する可能性が高くなる。したがって、牛の姿勢によらず膣内の体液の特性(電気抵抗値および量)を安定的に測定して、発情検出の精度を向上させることができる。
【0036】
特に、
図2(a)や
図2(b)のように、中空部11aの内壁面の全周にわたって分布するように複数の検出部12aを配置した場合は、発情検出装置10をどのような向きにして膣内に挿入しても、中空部11aの中を流れる体液が何れかの検出部12aに接触する可能性が極めて高くなる。したがって、膣内に分泌された体液の検出感度をより良好にして、発情検出の精度を向上させることができる。
【0037】
さらに、複数の検出部12aを等間隔に配置することにより、発情検出の精度をより向上させることができる。すなわち、電気抵抗値は、検出部12aの間隔(距離)によって変化する。そのため、複数の検出部12aを等間隔に配置することにより、牛がどのような姿勢をとっても同じ距離条件の電気抵抗値を測定することができる。これにより、発情検出の精度を向上させることができる。
【0038】
また、第1の実施形態では、発情検出装置10を膣内に挿入した場合、筒状部材11の外壁は膣壁と密着する。そのため、膣内に分泌された体液は、筒状部材11の中空部11aを必ず通流するようになる。これにより、中空部11aの中を流れる体液が何れかの検出部12aに接触する可能性が極めて高くなるので、膣内の体液の検出感度をより良好にして、発情検出の精度を向上させることができる。
【0039】
また、第1の実施形態では、複数の検出部12aを備え、隣り合う検出部12aの電極間の抵抗値をそれぞれ測定することにより、膣内に分泌された体液の電気抵抗値および量という2つの特性を検出できるようにしている。そのため、単に体液の電気抵抗値だけで牛の発情期を判定していた従来技術に比べて、体液の電気抵抗値および量の両面から牛の発情期を判定することができる。これにより、発情検出の精度をより向上させることができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、第2の実施形態による発情検出装置20の構成例を示す図である。
図2に示すように、第2の実施形態による発情検出装置20は、筒状部材21、生体情報センサ22および送信回路部23を備えて構成されている。筒状部材21は、その内部に中空部21aを有する本体部31と、中空部21aから遮断された空間内に送信回路部23を収納して成る回路収納部32とにより構成されている。
【0041】
筒状部材21は、当該筒状部材21を牛の膣内に挿入したときに膣内に分泌された体液が通流し得る中空部21aと、この中空部21aに対して体液を流入するための流入用開口部21bと、中空部21aから体液を流出するための流出用開口部21cとを有する。
【0042】
筒状部材21を膣内に挿入するときは、流入用開口部21bの方を膣の奥側に向け、流出用開口部21cの方を膣口側に向ける。これにより、膣内に分泌される体液は、流入用開口部21bから流出用開口部21cの方向に向かって中空部21aの中を流れ、膣口から対外へと排出される。
【0043】
筒状部材21の本体部31は略円筒形状に形成し、一端側を全面開放して流入用開口部21bとする一方、他端側は全面開放しない構成とする。これにより、回路収納部32の送信回路部23を収納する空間は、中空部21aから遮断された状態となっている。
【0044】
筒状部材21を構成する本体部31は、発情検出装置20を膣内に挿入したときに中空部11aの内側から外側へ向かう方向に膣壁を押圧可能な径の大きさに形成されている。具体的には、本体部31は、膣壁により囲まれた膣の空間よりも少し径が大きくなるように構成されている。なお、本体部31は、第1の実施形態で説明した筒状部材11と同様の弾性を有する弾性部材により構成するのが好ましい。
【0045】
また、本体部31は、体液の表面張力で中空部21aの内壁面が濡れたままとならないような撥水性の材質により構成されている。このような撥水および上述した弾性の性質を有する部材として、例えばシリコン系樹脂あるいはシリコン系ゴムを用いることが可能である。
【0046】
本体部31の他端側には回路収納部32が備えられ、当該本体部31の他端側で回路収納部32が設けられていない部位に流出用開口部21cが形成されている。具体的には、本体部31の他端側には、本体部31の最大径から徐々に細くなるテーパ部が設けられ、そのテーパ面に複数の流出用開口部21cが断続的に形成されている。複数の流出用開口部21cはそれぞれ、本体部31の中空部21aと通じている。これにより、体液は流入用開口部21bから入って中空部21aの中を通流し、複数の流出用開口部21cから排出される。そして、流出用開口部21cから排出された体液は膣壁をつたって体外に排出される。
【0047】
生体情報センサ22は、筒状部材21の中空部21aを形成する内壁に配置された複数の検出部22aにより構成されている。この検出部22aは、
図1に示した検出部12aと同様に構成されており、中空部21a内を体液が流れたときに検出部22aに接触する体液から生体情報を検出する。すなわち、隣り合う検出部22aの電極間の抵抗値をそれぞれ測定することにより、膣内に分泌された体液のpHおよび量を生体情報として検出する。
【0048】
送信回路部23は、生体情報センサ22と配線(図示せず)により接続されており、当該生体情報センサ22により検出された生体情報を無線送信する。上記配線は、例えば中空部21aの中に配置してもよいし、本体部31の肉厚部に埋設してもよい。送信回路部23は、生体情報の無線送信を行うための回路基板と、当該回路基板に動作電源を供給するバッテリとを備えている。
【0049】
回路収納部32の外部には、送信回路部23と接続される送信アンテナ24が備えられている。この送信アンテナ24は、発情検出装置20を膣内から家畜の体外へ抜き去るときに引っ張る紐としても兼用することができる。
【0050】
なお、上記第2の実施形態において、回路収納部32は、本体部31のような弾性および撥水の性質を必ずしも有している必要はない。また、回路収納部32の形状は、
図3に示すような略円筒形状に限定されるものではない。例えば、
図4に示すように、テーパ部で最も径が細くなった部分から略球状あるいはボーリングのピンのヘッド状に膨らむような形状に回路収納部32を構成してもよい。
【0051】
また、
図4の例において、回路収納部32を、その最大径が本体部31の最大径よりも大きくなるように構成してもよい。この場合は、発情検出装置20を牛の膣内に挿入して使用した場合、回路収納部32が膣壁を外側に押す圧力によって発情検出装置20が膣内に押し留められる。ただし、本体部31が膣壁に密着する方が、体液が必ず中空部21aの中に入るという点で好ましい。
【0052】
また、上記第2の実施形態では、本体部31の他端側にテーパ部を設け、そのテーパ面(本体部31の他端側で回路収納部32が設けられていない部位)に複数の流出用開口部21cを形成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図5のように構成してもよい。
図5(a)は発情検出装置20を側方から見た斜視図、
図5(b)は発情検出装置20を回路収納部32の側から見た底面図である。
【0053】
図5(a)に示すように、本体部31を略円筒形状に形成し、一端側を全面開放して流入用開口部21bとし、他端側は全面開放しない構成とする。本体部31の他端側にテーパ部は設けず、本体部31の径よりも小さい径の略円筒形状からなる回路収納部32を、本体部31の他端側の面(円筒の底面に相当する部分)に設ける。そして、
図5(b)に示すように、本体部31の他端側の面で回路収納部32が設けられていない部位に複数の流出用開口部21cを形成する。
【0054】
以上のように構成した第2の実施形態による発情検出装置20においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。これに加えて、第2の実施形態によれば、送信回路部23が配線により筒状部材21に繋がれた構成ではなく、筒状部材21(具体的には回路収納部32)に内蔵された構成となっているので、発情検出装置20を膣内に挿入するときに送信回路部23が邪魔にならないというメリットを有する。
【0055】
なお、上記第1および第2の実施形態による発情検出装置10,20は、牛以外の家畜(例えば、豚、馬、羊、山羊など)にも適用することが可能である。
また、上記実施形態では、生体情報センサ12として、隣り合う検出部12aの電極間抵抗値を測定するものを用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、単独のセンサで抵抗値を測定できるものを用いてもよい。
【0056】
また、上記第1の実施形態では、回路基板が送信アンテナを内蔵する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2の実施形態と同様に、発情検出装置20を膣内から家畜の体外へ抜き去るときに引っ張る紐としても兼用することが可能な送信アンテナ24を送信回路部23に接続するようにしてもよい。
【0057】
また、上記第1および第2の実施形態では、送信回路部13,23を備え、検出した生体情報を無線送信する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、紐状の送信アンテナ24を長くし、発情検出装置10,20が膣内に留め置かれた状態でも送信アンテナ24の一部が牛の体外に出るようにする。そして、その送信アンテナ24の一部に発光ダイオードなどの照明を設け、発情が検出されたときに発光するようにしてもよい。この場合、発情検出装置10,20は、送信回路部13,23の代わりに、生体情報センサ12により検出した生体情報に基づいて発情の有無を判定するとともに、その判定結果に基づいて発光ダイオードの発光の有無を制御する処理部を備える。
【0058】
また、上記第1および第2の実施形態では、筒状部材11,21の外壁が膣壁と完全に密着する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。少なくとも筒状部材11,21の流入用開口部11b,21bの外壁が膣壁と密着していればよい。このようにすれば、膣内に分泌された体液は、筒状部材11,21の中空部11a,21aを必ず流れるようになるからである。例えば、筒状部材11,21の外壁をイボイボ形状にしたり、らせん状の切れ目を入れたりしてもよい。
【0059】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。