特許第5655195号(P5655195)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655195
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20141225BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01L29/78 616A
   H01L29/78 616S
   H01L29/78 618F
   H01L29/78 616V
   H01L29/78 626B
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2009-189455(P2009-189455)
(22)【出願日】2009年8月18日
(65)【公開番号】特開2011-40690(P2011-40690A)
(43)【公開日】2011年2月24日
【審査請求日】2012年5月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514231273
【氏名又は名称】リコー電子デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146215
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 彰子
(72)【発明者】
【氏名】根来 宝昭
【審査官】 棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−032084(JP,A)
【文献】 特開2008−153643(JP,A)
【文献】 特開2006−253648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に設けられた埋め込み酸化膜と、その埋め込み酸化膜上に設けられたシリコン層とをもつSOI基板と、SOI基板のシリコン層の素子分離絶縁膜で分離された領域に配置されたMOSトランジスタを備えた半導体装置において、
前記MOSトランジスタは、前記シリコン層の表面から前記埋め込み酸化膜に達する深さで前記シリコン層に形成された第1導電型の低濃度ドレイン領域、ソース領域、オーミックドレイン領域、及び第2導電型のチャンネル領域、オーミックチャンネル領域、ならびに、前記チャンネル領域上から前記低濃度ドレイン領域上にまたがって前記シリコン層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を備え、
前記低濃度ドレイン領域は、比較的低濃度の第1導電型不純物濃度をもち、
前記チャンネル領域は、比較的低濃度の第2導電型不純物濃度をもち、前記低濃度ドレイン領域に隣接して配置されており、
前記ソース領域は、前記低濃度ドレイン領域よりも濃い第1導電型不純物濃度をもち、前記チャンネル領域から見て前記低濃度ドレイン領域とは反対側の位置で前記チャンネル領域に隣接して配置されており、
前記オーミックドレイン領域は、前記低濃度ドレイン領域よりも濃い第1導電型不純物濃度をもち、前記低濃度ドレイン領域から見て前記チャンネル領域とは反対側の位置で前記低濃度ドレイン領域に隣接して配置されており、
前記オーミックチャンネル領域は、前記チャンネル領域よりも濃い第2導電型不純物濃度をもち、前記チャンネル領域に隣接して配置されており、
前記ゲート電極は、前記チャンネル領域上と、前記チャンネル領域に隣接する前記低濃度ドレイン領域の一部分の上に、上方から見て前記オーミックドレイン領域とは間隔をもって配置されており、
前記チャンネル領域は、第2導電型不純物濃度が互いに異なる複数のチャンネル層をもち、それらのチャンネル層は前記シリコン層の表面側に配置されているものほど薄い第2導電型不純物濃度をもち、
前記低濃度ドレイン領域は、第1導電型不純物濃度が互いに異なる複数の低濃度ドレイン層をもち、それらの低濃度ドレイン層は前記シリコン層の表面側に配置されているものほど濃い第1導電型不純物濃度をもっており、
前記チャンネル領域において、最上層の前記チャンネル層と最下層の前記チャンネル層は1桁以上の第2導電型不純物濃度差をもっており
前記シリコン層の表面側に配置されている前記チャンネル領域の第2導電型不純物濃度と前記シリコン層の表面側に配置されている前記低濃度ドレイン領域の第1導電型不純物濃度の濃度差又は濃度比が、前記埋め込み酸化膜側に配置されている前記チャンネル領域の第2導電型不純物濃度と前記低濃度ドレイン領域の第1導電型不純物濃度の濃度差又は濃度比に比べて大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
上方から見て、前記ゲート電極が前記低濃度ドレイン領域上を覆っているオーバーラップ領域の寸法は0.5μm以上であり、かつ、前記ゲート電極と前記オーミックドレイン領域の間隔は0.5μm以上である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ソース領域は、前記低濃度ドレイン領域と同一の構造であって低濃度ソース領域及びオーミックソース領域を備えており、
前記低濃度ソース領域は、前記チャンネル領域に隣接して配置され、前記低濃度ドレイン領域と同一の第1導電型不純物濃度構成で複数の低濃度ソース層をもち、
前記オーミックソース領域は、前記低濃度ソース領域から見て前記チャンネル領域とは反対側の位置で前記低濃度ソース領域に隣接して配置され、前記オーミックドレイン領域と同一の第1導電型不純物濃度構成をもっている請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記オーミックチャンネル領域は、前記MOSトランジスタのチャンネル幅方向で前記チャンネル領域に隣接して配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
上方から見て、前記オーミックチャンネル領域は前記ゲート電極とは間隔をもって配置されている請求項4に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いた部分空乏型高耐圧MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータや携帯機器などの技術の発展にともない、機能の集約化としてマルチ電源での動作IC(Integrated Circuit)が多くなり、1チップに低耐圧から高耐圧までのMOSトランジスタを集積させる技術が重要となっている。また、同時に省電力化も達成できる技術が必要とされる。
また、素子間を絶縁分離して形成できるSOI基板を用いた半導体装置がある。SOI基板には、ラッチアップフリーや省電力対応などの利点がある。
【0003】
SOI基板を用いて数十V程度の高耐圧トランジスタを製造する従来技術としては、例えば特許文献1,2に開示されたものがある。
特許文献1に記載の半導体装置は、SOI基板の埋め込み酸化膜に接するチャンネル領域の不純物濃度を従来技術よりも高くし、支持基板に所定のバイアス電圧が印加された場合であって、埋め込み酸化膜とチャンネル領域の境界面に発生する反転層及び空乏層の延びを抑制するようにしている。この結果、埋め込み酸化膜とチャンネル領域の境界面に流れるリーク電流を防止することができる。特許文献2に記載の半導体装置は、ソース領域の下に、チャンネル領域と同じ導電型でチャンネル領域よりも不純物濃度が高い領域を配置することによって同様の効果を得ている。
【0004】
また、特許文献1では、MOSトランジスタのしきい値電圧が高くなるのを防ぐために、チャンネルドープ工程を追加してチャンネル領域の不純物濃度を調整することによって、しきい値電圧の値を適切に設定できるようにしている。特許文献2ではこの工程は必要なしとしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1及び特許文献2に記載の半導体装置の構造は、埋め込み酸化膜上に形成される寄生トランジスタのしきい値を増加させることができ、高耐圧化に有効である。
また、特許文献1では、チャンネル拡散濃度を濃くするために、本来のMOSトランジスタのしきい値が高くなる弊害を表面側のチャンネル濃度を下げるための注入工程を追加することで対策している。
また、特許文献2には、ソース領域下部のチャンネル拡散層と同じ導電型の拡散層の濃度を濃くすることで、寄生トランジスタが動作してもソースへの電流が流れないため、リーク電流を抑えることができることが記載されている。
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2に記載の半導体装置の構造では、ドレイン拡散とチャンネル拡散との濃度比を議論していないので、SOI基板においてある程度のシリコン層の厚みが必要となり、ソース領域が埋め込み酸化膜に達する構造とはなっていない。
【0007】
近年、環境問題等に配慮して半導体装置の低電力化が要求されており、アナログ回路において低消費電流で高速応答ができる回路が必要になっている。
一般的に、MOSトランジスタの動作は微小な定電流源での動作となるため、MOSトランジスタを高速動作させるためには入力容量と出力容量の低減が必要となる。ここで、薄膜SOI基板を用いて接合容量を大幅に低減することで、低消費・高速動作回路を実現させた時計用ICなどがある。
【0008】
しかし、例えば車載用ICとして用いられる60V以上の高耐圧MOSトランジスタを、ソース領域及びドレイン領域が埋め込み酸化膜まで到達できる薄いシリコン層をもつSOI基板に作り込む技術はない。
【0009】
本発明は、SOI基板に形成されたMOSトランジスタを備えた半導体装置において、MOSトランジスタの高耐圧化、低消費電流、かつ高速動作を実現できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る半導体装置は、支持基板上に設けられた埋め込み酸化膜と、その埋め込み酸化膜上に設けられたシリコン層とをもつSOI基板と、SOI基板のシリコン層の素子分離絶縁膜で分離された領域に配置されたMOSトランジスタを備えた半導体装置である。
上記MOSトランジスタは、上記シリコン層の表面から上記埋め込み酸化膜に達する深さで上記シリコン層に形成された第1導電型の低濃度ドレイン領域、ソース領域、ドレインオーミック領域、及び第2導電型のチャンネル領域、オーミックチャンネル領域、ならびに、上記チャンネル領域上から上記低濃度ドレイン領域上にまたがって上記シリコン層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極を備えている。
上記低濃度ドレイン領域は、比較的低濃度の第1導電型不純物濃度をもつ。
上記チャンネル領域は、比較的低濃度の第2導電型不純物濃度をもち、上記低濃度ドレイン領域に隣接して配置されている。
上記ソース領域は、上記低濃度ドレイン領域よりも濃い第1導電型不純物濃度をもち、上記チャンネル領域から見て上記低濃度ドレイン領域とは反対側の位置で上記チャンネル領域に隣接して配置されている。
上記オーミックドレイン領域は、上記低濃度ドレイン領域よりも濃い第1導電型不純物濃度をもち、上記低濃度ドレイン領域から見て上記チャンネル領域とは反対側の位置で上記低濃度ドレイン領域に隣接して配置されている。
上記オーミックチャンネル領域は、上記チャンネル領域よりも濃い第2導電型不純物濃度をもち、上記チャンネル領域に隣接して配置されている。
上記ゲート電極は、上記チャンネル領域上と、上記チャンネル領域に隣接する上記低濃度ドレイン領域の一部分の上に、上方から見て上記オーミックドレイン領域とは間隔をもって配置されている。
上記チャンネル領域は、第2導電型不純物濃度が互いに異なる複数のチャンネル層をもち、それらのチャンネル層は上記シリコン層の表面側に配置されているものほど薄い第2導電型不純物濃度をもつ。
上記低濃度ドレイン領域は、第1導電型不純物濃度が互いに異なる複数の低濃度ドレイン層をもち、それらの低濃度ドレイン層は上記シリコン層の表面側に配置されているものほど濃い第1導電型不純物濃度をもっている。
ここで不純物濃度は、同じ領域に反対導電型の不純物が導入されている場合には、その反対導電型の不純物濃度を差し引いた実質的な不純物濃度を意味する。
【0011】
本発明の半導体装置において、上記チャンネル領域で、最上層の上記チャンネル層と最下層の上記チャンネル層は1桁以上の第2導電型不純物濃度差をもっている例を挙げることができる。
【0012】
本発明の半導体装置において、上方から見て、上記ゲート電極が上記低濃度ドレイン領域上を覆っているオーバーラップ領域の寸法は0.5μm以上であり、かつ、上記ゲート電極と上記オーミックドレイン領域の間隔は0.5μm以上である例を挙げることができる。
【0013】
また、上記ソース領域は、ソース領域は、上記低濃度ドレイン領域と同一の構造であって低濃度ソース領域及びオーミックソース領域を備えており、上記低濃度ソース領域は、上記チャンネル領域に隣接して配置され、上記低濃度ドレイン領域と同一の第1導電型不純物濃度構成で複数の低濃度ソース層をもち、上記オーミックソース領域は、上記低濃度ソース領域から見て上記チャンネル領域とは反対側の位置で上記低濃度ソース領域に隣接して配置され、上記オーミックドレイン領域と同一の第1導電型不純物濃度構成をもっているようにしてもよい。
【0014】
また、上記オーミックチャンネル領域は、上記MOSトランジスタのチャンネル幅方向で上記チャンネル領域に隣接して配置されているようにしてもよい。
この場合、上方から見て、上記オーミックチャンネル領域は上記ゲート電極とは間隔をもって配置されている例を挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置では、MOSトランジスタについて、チャンネル領域の電位をとるためのチャンネルオーミック領域を備えている。さらに、チャンネル領域は、第2導電型不純物濃度が互いに異なる複数のチャンネル層をもち、それらのチャンネル層はシリコン層の表面側に配置されているものほど薄い第2導電型不純物濃度をもつ、すなわち、埋め込み酸化膜と接するチャンネル層の第2導電型不純物濃度を濃くすることができる。これにより、支持基板と埋め込み酸化膜とチャンネル領域とで形成される寄生MOSトランジスタのしきい値電圧を高くできるので、この部分でのリーク電流を抑制でき、MOSトランジスタの高耐圧化を図ることができる。
【0016】
さらに、ソース領域、低濃度ドレイン領域、チャンネル領域及びオーミックドレイン領域を埋め込み酸化膜まで到達させているので、薄いシリコン層内にMOSトランジスタを作ることができる。これにより、チャンネル領域−低濃度ドレイン領域間の接合容量、及びチャンネル領域−ソース領域間の接合容量を大幅に軽減できるので、MOSトランジスタを高速動作させることができる。
【0017】
また、NチャンネルMOSトランジスタの場合、MOSトランジスタをオフしているときにはゲート電極とチャンネル領域は接地され、低濃度ドレイン領域は逆方向電圧を印加される。この状態でのチャンネル領域と低濃度ドレイン領域とで形成されるPN接合に関し、従来技術のMOSトランジスタでは、図3(A)の従来例に示すように、ゲート電極15の下では垂直方向の電界が生じるので低濃度ドレイン領域101(N−)の不純物濃度を薄くしすぎると、チャンネル領域103(P−)側に対して低濃度ドレイン領域101側の空乏層19の伸びが大きくなる(破線参照)。ゲート電極15下の当該PN接合は、ゲート電極15の下に配置されていないPN接合の場合と比較して、ゲート絶縁膜13直下の低濃度ドレイン領域101とチャンネル領域103とのPN接合の空乏層19の伸びに対する曲率が変化し、一般的に電界集中によって当該PN接合の耐圧が下がる。
【0018】
これに対し、本発明の半導体装置では、チャンネル領域は、第2導電型不純物濃度が互いに異なる複数のチャンネル層をもち、それらのチャンネル層はシリコン層の表面側に配置されているものほど薄い第2導電型不純物濃度をもっているようにした。さらに、低濃度ドレイン領域は、第1導電型不純物濃度が互いに異なる複数の低濃度ドレイン層をもち、それらの低濃度ドレイン層はシリコン層の表面側に配置されているものほど濃い第1導電型不純物濃度をもっているようにした。これにより、ゲート酸化膜直下において、低濃度ドレイン領域とチャンネル領域の濃度差又は濃度比(低濃度ドレイン領域/チャンネル領域)を大きくして、低濃度ドレイン領域−チャンネル領域間のPN接合の空乏層の曲率変化を低減することができる。
【0019】
例えば図3(B)に示すように、P型のチャンネル領域9において上層側のチャンネル層9a(P−−)のP型不純物濃度を下層側のチャンネル層9b(P−)のP型不純物濃度に比べて薄くする。さらに、N型の低濃度ドレイン領域3において上層側の低濃度ドレイン層3a(N+−)のN型不純物濃度を下層側の低濃度ドレイン層3b(N−)のN型不純物濃度に比べて濃くする。これにより、ゲート絶縁膜13直下において、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9bの濃度差又は濃度比を下層側の低濃度ドレイン層3bとチャンネル層9bの濃度差又は濃度比に比べて大きくすることができる。
【0020】
これにより、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9aにおいて空乏層19がチャンネル領域9側に広がりやすくなり、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9aにおける空乏層19の伸びを、濃度差又は濃度比が比較的小さい下層側の低濃度ドレイン層3bとチャンネル層9bでの空乏層19の伸びと合わせることができ、低濃度ドレイン領域3とチャンネル領域9の間のPN接合の空乏層19の曲率の変化を低減させてオフ時の当該PN接合の耐圧の改善を図ることができる。
【0021】
また、本発明の半導体装置では、ゲート電極のドレイン側の端部は、低濃度ドレイン領域の上に配置されているので、MOSトランジスタがオンするときに、上方から見てゲート電極と低濃度ドレイン領域がオーバーラップする部分で横方向ドレイン電界が緩和されるので基板電流を抑えることができ、MOSトランジスタの動作時の耐圧を改善できる。
また、上方から見てゲート電極とオーミックドレイン領域は互いに間隔をもって配置されているので、MOSトランジスタがオフ時の横方向ドレイン電界を緩和することができる。
【0022】
以上のように、本発明の半導体装置のMOSトランジスタは、オフ耐圧とオン耐圧の両面を改善できる。さらに、チャンネル領域、ソース及びドレインを埋め込み酸化膜層に到達させて形成することにより、接合容量を大幅に低減可能なシリコン層の薄いSOI基板に作り込むことが可能となる。
【0023】
例えば、第2導電型のチャンネル領域の最上層のチャンネル層と最下層のチャンネル層に、1桁以上の第2導電型不純物濃度の差をもたせるようにすれば、埋め込み酸化膜に接する最下層のチャンネル層の第2導電型不純物濃度を濃くしたときの上記効果、及び、ゲート酸化膜直下の最上層のチャンネル層の第2導電型不純物濃度を薄くしたときの上記効果を際出させることができるので、シリコン層の厚みが薄いSOI基板に本発明の半導体装置を形成する場合に特に有効である。
【0024】
また、ソース領域は、低濃度ドレイン領域と同一の構造であって、複数層の低濃度ソース層からなる低濃度ソース領域と、オーミックドレイン領域を備えているようにすれば、MOSトランジスタをソース、ドレインに関して区別することなく使用できる。
【0025】
また、オーミックチャンネル領域は、MOSトランジスタのチャンネル幅方向で上記チャンネル領域に隣接して配置されているようにすれば、チャンネル領域の電位をソース及びドレインとは別途制御することができる。この構成は特にアナログ回路に有効である。
さらに、上方から見て、オーミックチャンネル領域はゲート電極とは間隔をもって配置されているようにすれば、MOSトランジスタのオフ時に低濃度ドレイン領域からの空乏層がオーミックチャンネル領域に到達するのを防止することができ、さらに高耐圧化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す断面図である。図2のA−A位置の断面に対応している。
図2】同実施例の概略的な平面図である。
図3】(A)は従来例のMOSトランジスタでの空乏層の伸びを説明するための断面図である。(B)は本発明でのMOSトランジスタの空乏層の伸びを説明するための断面図である。
図4図1及び図2の実施例の製造工程例の最初の工程を説明するための工程断面図である。
図5図4の続きの工程を説明するための工程断面図である。
図6図5の続きの工程を説明するための工程断面図である。
図7】他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す断面図である。図8のB−B位置の断面に対応している。
図8】同実施例の概略的な平面図である。
図9】さらに他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す断面図である。図10のC−C位置の断面に対応している。
図10】同実施例の概略的な平面図である。
図11】さらに他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す断面図である。図12のD−D位置の断面に対応している。
図12】同実施例の概略的な平面図である。
図13】さらに他の実施例の概略的な平面図である。
図14】さらに他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す断面図である。図15のE−E位置の断面に対応している。
図15】同実施例の概略的な平面図である。
図16】同実施例の製造工程例を説明するための工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1図2は、一実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す図である。図1は断面図、図2は平面図である。図1図2のA−A位置の断面に対応している。
【0028】
SOI基板1は、下層側から順にP型半導体基板1a(支持基板、Psub)、埋め込み酸化膜1b、シリコン層1cが積層されて形成されている。埋め込み酸化膜1bの膜厚は例えば1μm(マイクロメートル)である。シリコン層1cは、例えば厚みが約400nm(ナノメートル)で、P型不純物濃度が1×1015個/cm3以下の低濃度のP型シリコン層からなる。
【0029】
シリコン層1cに素子分離絶縁膜17が形成されてMOSトランジスタの形成領域が画定されている。素子分離絶縁膜17は、例えばLOCOS(local oxidation of silicon)酸化膜からなる。MOSトランジスタの形成領域は埋め込み酸化膜1b及び素子分離絶縁膜17によって他のMOSトランジスタ形成領域とは分離されている。
【0030】
MOSトランジスタは、シリコン層1cの表面から埋め込み酸化膜1bに達する深さでシリコン層1cに形成されたN型の低濃度ドレイン領域3、ソース領域5(N+)及びドレインオーミック領域7(N+)、ならびに、P型のチャンネル領域9及びオーミックチャンネル領域11(P+)を備えている。
【0031】
MOSトランジスタは、さらに、チャンネル領域9上から低濃度ドレイン領域3上にまたがってシリコン層1c上にゲート絶縁膜13を介して形成されたゲート電極15を備えている。ゲート絶縁膜13は、例えば膜厚が120nmのシリコン酸化膜からなる。ゲート電極15は、例えば膜厚が350nmのポリシリコン膜からなる。
【0032】
低濃度ドレイン領域3は、比較的低濃度のN型不純物濃度をもつ2層の低濃度ドレイン層3a,3bによって形成されている。上層側の低濃度ドレイン層3a(N+−)は下層側の低濃度ドレイン層3b(N−)よりも濃いN型不純物濃度をもっている。例えば、低濃度ドレイン層3aの実質的なN型不純物濃度は2.5×1017個/cm3程度、低濃度ドレイン層3bの実質的なN型不純物濃度は1.5×1017個/cm3程度である。
【0033】
チャンネル領域は、比較的低濃度のP型不純物濃度をもち、低濃度ドレイン領域に隣接して配置されている2つのチャンネル層9a,9bによって形成されている。上層側のチャンネル層9a(P−−)は下層側のチャンネル層9b(P−)よりも薄いP型不純物濃度をもっている。例えば、チャンネル層9a,9bは1桁以上のP型不純物濃度差をもっており、チャンネル層9aの実質的なP型不純物濃度は6×1015個/cm3程度、チャンネル層9bの実質的なP型不純物濃度は1×1017個/cm3程度である。
【0034】
ソース領域5は低濃度ドレイン領域3よりも濃いN型不純物濃度をもつ。ソース領域5は、チャンネル領域9から見て低濃度ドレイン領域3とは反対側の位置でチャンネル領域9に隣接して配置されている。例えば、ソース領域5の実質的なN型不純物濃度は2×1020個/cm3程度である。
【0035】
オーミックドレイン領域7は低濃度ドレイン領域3よりも濃いN型不純物濃度をもつ。オーミックドレイン領域7は、低濃度ドレイン領域3から見てチャンネル領域9とは反対側の位置で低濃度ドレイン領域3に隣接して配置されている。オーミックドレイン領域7の実質的なN型不純物濃度はソース領域5と同じであり、例えば2×1020個/cm3程度である。
【0036】
オーミックチャンネル領域11はチャンネル領域9よりも濃いP型不純物濃度をもつ。オーミックチャンネル領域11は、チャンネル領域9から見て低濃度ドレイン領域3とは反対側の位置でチャンネル領域9に隣接して配置されている。この実施例では、オーミックチャンネル領域11は2つ設けられている。それらのオーミックチャンネル領域11,11はソース領域9に隣接し、かつソース領域9を挟んで配置されている。例えば、オーミックチャンネル領域11の実質的なP型不純物濃度は1×1020個/cm3程度である。
【0037】
ゲート電極15は、チャンネル領域9上と、チャンネル領域9に隣接する低濃度ドレイン領域3の一部分の上に配置されている。チャンネル長方向でのゲート電極15のドレイン側の端部は、上方から見てオーミックドレイン領域7とは間隔をもって、低濃度ドレイン領域3上に配置されている。ゲート電極15のチャンネル幅方向の端部は素子分離絶縁膜17上に配置されている。
【0038】
例えば、上方から見て、ゲート電極15が低濃度ドレイン領域3上を覆っているオーバーラップ領域のチャンネル長方向での寸法は0.5μm以上である。また、ゲート電極15とオーミックドレイン領域7のチャンネル長方向での間隔は0.5μm以上である。ただし、上記オーバーラップ領域のチャンネル長方向での寸法は0.5μm未満であってもよいし、ゲート電極15とオーミックドレイン領域7のチャンネル長方向での間隔は0.5μm未満であってもよい。
【0039】
この実施例のMOSトランジスタは、チャンネル領域9の電位をとるためのチャンネルオーミック領域11を備えている。さらに、チャンネル領域9は、P型不純物濃度が互いに異なる2つのチャンネル層9a,9bをもち、それらのチャンネル層9a,9bはシリコン層1cの表面側に配置されているものほど薄いP型不純物濃度をもっている。すなわち、埋め込み酸化膜1bと接するチャンネル層9bのP型不純物濃度をチャンネル層9aのP型不純物濃度に比べて濃くすることができる。これにより、半導体基板1aと埋め込み酸化膜1bとチャンネル領域9とで形成される寄生MOSトランジスタのしきい値電圧を高くできるので、この部分でのリーク電流を抑制でき、MOSトランジスタの高耐圧化を図ることができる。
【0040】
さらに、低濃度ドレイン領域3、ソース領域5、オーミックドレイン領域7及びチャンネル領域9を埋め込み酸化膜1bまで到達させているので、薄いシリコン層1c内にMOSトランジスタを作ることができる。これにより、チャンネル領域9−低濃度ドレイン領域3間の接合容量、及びチャンネル領域9−ソース領域5間の接合容量を大幅に軽減できるので、当該MOSトランジスタを高速動作させることができる。
【0041】
さらに、チャンネル領域9において上層側のチャンネル層9aのP型不純物濃度を下層側のチャンネル層9bのP型不純物濃度に比べて薄くしている。また、低濃度ドレイン領域3において上層側の低濃度ドレイン層3aのN型不純物濃度を下層側の低濃度ドレイン層3bのN型不純物濃度に比べて濃くしている。これにより、ゲート絶縁膜13直下において、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9aの濃度差又は濃度比を、下層側の低濃度ドレイン層3bとチャンネル層9bの濃度差又は濃度比に比べて大きくすることができる。
【0042】
これにより、図3(B)に示すように、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9aにおいて空乏層19がチャンネル領域9側に広がりやすくなり、上層側の低濃度ドレイン層3aとチャンネル層9aにおける空乏層19の伸びを、濃度差又は濃度比が比較的小さい下層側の低濃度ドレイン層3bとチャンネル層9bでの空乏層19の伸びと合わせることができ、低濃度ドレイン領域3とチャンネル領域9の間のPN接合の空乏層19の曲率の変化を低減させてオフ時の当該PN接合の耐圧の改善を図ることができる。
【0043】
また、ゲート電極15のドレイン側の端部は、低濃度ドレイン領域3の上に配置されているので、MOSトランジスタがオンするときに、上方から見てゲート電極15と低濃度ドレイン領域3がオーバーラップする部分で横方向ドレイン電界が緩和されるので基板電流を抑えることができ、MOSトランジスタの動作時の耐圧を改善できる。
また、上方から見てゲート電極15とオーミックドレイン領域7は互いに間隔をもって配置されているので、MOSトランジスタがオフ時の横方向ドレイン電界を緩和することができる。
【0044】
以上のように、この実施例のMOSトランジスタは、オフ耐圧とオン耐圧の両面を改善できる。さらに、低濃度ドレイン領域3、ソース領域5及びチャンネル領域9を埋め込み酸化膜層1cに到達させて形成することにより、これらの領域間のPN接合の接合容量を大幅に低減可能なシリコン層1cの薄いSOI基板1に作り込むことが可能となる。
【0045】
さらに、チャンネル領域9で、チャンネル層9aとチャンネル層9bに、1桁以上のP型不純物濃度の差をもたせているので、埋め込み酸化膜1bに接するチャンネル層9bのP型不純物濃度を濃くしたときの上記効果、及び、ゲート絶縁膜13直下の最チャンネル層9aのP型不純物濃度を薄くしたときの上記効果を際出させることができる。
【0046】
さらに、上方から見て、ソース側のゲート電極15端部と素子分離絶縁膜17が交差する部分にはオーミックチャンネル領域11,11が配置されている。これにより、ソース側のゲート電極15端部直下の素子分離絶縁膜17端部でのリーク電流を防止できる。
【0047】
図4図5図6は、この実施例の製造工程の一例を説明するための工程断面図である。図4図5図6の断面は、図2のA−A位置に対応している。図4図5図6中のかっこ数字は以下に説明する工程(1)〜(9)に対応している。
【0048】
(1)P型半導体基板1aの上に埋め込み酸化膜1bが形成されている。埋め込み酸化膜1b上にシリコン層1cが貼り合わされて、SOI基板1が形成されている。写真製版技術により、NチャンネルMOSトランジスタの形成位置に開口をもつフォトレジスト21をシリコン層1c上にバッファ酸化膜(図示は省略)を介して形成する。イオン注入技術により、フォトレジスト21をマスクにして、ボロン不純物(+印)を注入エネルギーは50keV、ドーズ量は4×1012個/cm2の条件でシリコン層1cに注入する。
【0049】
(2)フォトレジスト21を除去する。写真製版技術により、MOSトランジスタのドレイン領域(低濃度ドレイン領域及びオーミックドレイン領域)の形成位置に開口をもつフォトレジスト23をシリコン層1c上にバッファ酸化膜(図示は省略)を介して形成する。イオン注入技術により、フォトレジスト23をマスクにして、リン不純物(−印)を注入エネルギーは150keV、ドーズ量は6×1012個/cm2の条件でシリコン層1cに注入する。ここで、リン不純物注入のドーズ量は、上記工程(1)でのボロン不純物注入のドーズ量とはあまり差をつけずに行なうことが好ましい。
【0050】
(3)フォトレジスト23を除去する。1000℃、120分の条件で熱処理を施して、シリコン層1cに低濃度ドレイン層3b(N−)及びチャンネル層9b(P−)を形成する。低濃度ドレイン層3b及びチャンネル層9bは、シリコン層1cの表面から埋め込み酸化膜1bに到達する深さで形成される。
【0051】
(4)LOCOS法によって素子分離絶縁膜を形成するために、シリコン層1c表面にバッファ酸化膜25を形成する。バッファ酸化膜25上に、MOSトランジスタの形成位置を覆い、素子分離絶縁膜の形成位置に開口をもつシリコン窒化膜27を形成する。
【0052】
(5)熱処理を施してLOCOS酸化を行なって、MOSトランジスタの形成位置の周囲にLOCOS酸化膜からなる素子分離膜17を埋め込み酸化膜1bに到達する深さで形成する。素子分離膜17により、各MOSトランジスタの形成位置を分離する。シリコン窒化膜27及びバッファ酸化膜25を除去する。熱処理を施して、シリコン層1c表面にプリゲート酸化膜29を40nm程度の膜厚で形成する。
【0053】
(6)写真製版技術により、素子分離絶縁膜17上に、MOSトランジスタの形成位置に開口をもつフォトレジスト31を形成する。イオン注入技術により、フォトレジスト31をマスクにして、リン不純物(−印)を注入エネルギーは100keV、ドーズ量は2×1012個/cm2の条件でシリコン層1c(低濃度ドレイン層3b及びチャンネル層9b)に注入する。
【0054】
(7)フォトレジスト31を除去する。プリゲート酸化膜29を除去する。熱処理を施して、シリコン層1c(低濃度ドレイン層3b及びチャンネル層9b)の表面に、ゲート絶縁膜13となるシリコン酸化膜を120nm程度の膜厚で形成する。ゲート絶縁膜13上及び素子分離絶縁膜17上にポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜をパターニングしてゲート電極15を形成する。
【0055】
(8)写真製版技術により、ソース領域の形成位置及びオーミックドレイン領域の形成位置に開口をもつフォトレジスト33を形成する。イオン注入技術により、フォトレジスト33をマスクにして、リン不純物(−印)を注入エネルギーは50keV、ドーズ量は6×1015個/cm2の条件でシリコン層1c(低濃度ドレイン層3b及びチャンネル層9b)に注入する。
【0056】
(9)フォトレジスト33を除去する。写真製版技術及びイオン注入技術により、オーミックチャンネル領域11(図2参照)を形成するために、チャンネル層9bにボロン不純物注入を行なう。層間絶縁膜35を形成する。920℃、20分程度の条件で熱処理を施して、先の工程で注入された不純物を活性化させる。これにより、低濃度ドレイン層3bの表面側に低濃度ドレイン層3aが形成され、低濃度ドレイン層3a,3bからなる低濃度ドレイン領域3が形成される。また、チャンネル層9bの表面側にチャンネル層9aが形成され、チャンネル層9a,9bからなるチャンネル領域9が形成される。また、ソース領域5、オーミックドレイン領域7及びオーミックチャンネル領域11(図2参照)が形成される。その後、配線工程フローは図示していないが一般的な配線工程を経て半導体装置の製造工程が完成する。
【0057】
図7図8は、他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す図である。図7は断面図、図8は平面図である。図7図8のB−B位置の断面に対応している。図1図2と同じ部分には同じ符号を付す。
【0058】
この実施例では、オーミックドレイン領域7が素子分離絶縁膜17とは間隔をもって配置されている点で、図1図2に示した実施例とは異なる。上方から見て、オーミックドレイン領域7の周囲は低濃度ドレイン領域3で囲まれている。
この実施例は、オーミックドレイン領域7と素子分離絶縁膜17との間でリーク電流が発生しやすい場合に特に有効である。
【0059】
図9図10は、さらに他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す図である。図9は断面図、図10は平面図である。図9図10のC−C位置の断面に対応している。図1図2と同じ部分には同じ符号を付す。
【0060】
この実施例では、図1図2に示した実施例と比較して、ソースはドレインと同じ構造をもち、オーミックチャンネル領域11は、MOSトランジスタのチャンネル幅方向でチャンネル領域9に隣接して配置されている点で異なる。
ソースは、低濃度ドレイン領域3に対応する低濃度ソース領域37と、オーミックドレイン領域7に対応するオーミックソース領域39を備えている。低濃度ソース領域37は、低濃度ドレイン層3aに対応する低濃度ソース層37aと、低濃度ドレイン層3bに対応する低濃度ソース層37bを備えている。
【0061】
オーミックチャンネル領域11は、チャンネルとなる低濃度ドレイン領域3、低濃度ソース領域37間の位置からチャンネル幅方向へ引き出されたチャンネル領域3部分で、チャンネル領域3に隣接している。
【0062】
この実施例では、ソースはドレインと同じ構造を備えているので、MOSトランジスタをソース、ドレインに関して区別することなく使用できる。
また、オーミックチャンネル領域11は、MOSトランジスタのチャンネル幅方向でチャンネル領域9に隣接して配置されているので、チャンネル領域9の電位をソース及びドレインとは別途制御することができる。この構成は特にアナログ回路に有効である。
【0063】
図9図10に示した実施例では、オーミックドレイン領域7及びオーミックソース領域39は素子分離絶縁膜17に接している。これに対し、図11図12に示すように、図7図8に示した実施例と同様に、オーミックドレイン領域7及びオーミックソース領域39は素子分離絶縁膜17とは間隔をもって配置されているようにしてもよい。
【0064】
また、図13の平面図に示すように、図9図10に示した実施例に対して、オーミックチャンネル領域11を上方から見てゲート電極15とは間隔をもって配置してもよい。チャンネル拡散9への印加電圧は、オーミックチャンネル領域11と、低濃度ドレイン領域3及び低濃度ソース領域37との間の距離に支配されるので、上方から見てオーミックチャンネル領域11とゲート電極15の間に、チャンネル領域9を配置することにより、チャンネル領域9への電圧を大きくすることが可能となる。
【0065】
図13に示した実施例において、図11図12に示した実施例と同様に、オーミックドレイン領域7及びオーミックソース領域39は素子分離絶縁膜17とは間隔をもって配置されているようにしてもよい。
また、オーミックチャンネル領域11がMOSトランジスタのチャンネル幅方向でチャンネル領域9に隣接して配置されている構造は、図1図2に示した実施例や、図7図8に示した実施例にも適用可能である。
また、図7から図13に示した各実施例は、図4から図6を参照して説明した製造工程でフォトレジストを形成するためのレチクルの開口レイアウトを変更すれば、同様にして形成できる。
【0066】
図14図15は、さらに他の実施例のMOSトランジスタ周辺を概略的に示す図である。図9は断面図、図10は平面図である。図9図10のE−E位置の断面に対応している。図1図2と同じ部分には同じ符号を付す。
【0067】
この実施例では、低濃度ドレイン領域3は3つの低濃度ドレイン層3a,3b,3cで形成され、チャンネル領域9は3つのチャンネル層9a,9b,9cで形成されている。
低濃度ドレイン層3c(N+−)は、低濃度ドレイン層3aの上層に配置され、低濃度ドレイン領域3で最上層に配置されている。低濃度ドレイン層3cは低濃度ドレイン層3aよりも濃いN型不純物濃度をもつ。この実施例では、低濃度ドレイン層3cのN型不純物濃度は、低濃度ドレイン層3aのN型不純物濃度よりもわずかに濃いが、低濃度ドレイン層3aのN型不純物濃度とほぼ同じであり、例えば、2.5×1017個/cm3程度である。
【0068】
チャンネル層9c(P−−−)は、チャンネル層9aの上層に配置され、チャンネル領域9で最上層に配置されている。チャンネル層9cはチャンネル層9aよりも薄いP型不純物濃度をもつ。チャンネル層9cのP型不純物濃度は、例えば4×1015個/cm3程度である。
この実施例は、図1、2に示した実施例と同様の作用及び効果が得られる。
【0069】
図16は、この実施例の製造工程の一例を説明するための工程断面図である。図16の断面は、図15のE−E位置に対応している。図16中のかっこ数字は以下に説明する工程(6’)〜(9’)に対応している。
工程(6’)までの工程は、図4及び図5を参照して説明した上記工程(1)〜(6)と同じである。
【0070】
(6’)図5を参照して説明した上記工程(6)の後、フォトレジスト31を除去する。900℃、20分の条件で熱処理を施す。これにより、低濃度ドレイン層3bの表面側に低濃度ドレイン層3aが形成され、チャンネル層9bの表面側にチャンネル層9aが形成される。写真製版技術により、素子分離絶縁膜17上に、MOSトランジスタの形成位置に開口をもつフォトレジスト41を形成する。イオン注入技術により、フォトレジスト41をマスクにして、リン不純物(−印)を注入エネルギーは50keV、ドーズ量は5×1011個/cm2の条件でシリコン層1c(低濃度ドレイン層3a及びチャンネル層9a)に注入する。このリン不純物注入は、シリコン層1cのなるべく表面側に注入する。
【0071】
(7’)フォトレジスト41を除去する。図6を参照して説明した上記工程(7)と同様にして、シリコン層1c(低濃度ドレイン層3a及びチャンネル層9a)の表面に、膜厚が120nm程度のシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜13と、ゲート電極15を形成する。
【0072】
(8’)図6を参照して説明した上記工程(8)と同様にして、イオン注入技術により、フォトレジスト33をマスクにして、リン不純物(−印)を注入エネルギーは50keV、ドーズ量は6×1015個/cm2の条件でシリコン層1c(低濃度ドレイン層3a又は3b、及びチャンネル層9a又は9b)に注入する。
【0073】
(9’)図6を参照して説明した上記工程(9)と同様にして、オーミックチャンネル領域11(図15参照)を形成するためのボロン不純物注入、層間絶縁膜35の形成を行なう。920℃、20分程度の条件での熱処理を施して、先の工程で注入された不純物を活性化させる。これにより、低濃度ドレイン層3aの表面側に低濃度ドレイン層3cが形成され、低濃度ドレイン層3a,3b,3cからなる低濃度ドレイン領域3が形成される。また、チャンネル層9aの表面側にチャンネル層9cが形成され、チャンネル層9a,9b,9cからなるチャンネル領域9が形成される。また、ソース領域5、オーミックドレイン領域7及びオーミックチャンネル領域11(図15参照)が形成される。その後、配線工程フローは図示していないが一般的な配線工程を経て半導体装置の製造工程が完成する。
【0074】
このように、図14図15に示した実施例は、上記工程(6’)でのイオン注入工程を追加することにより、図4図6を参照して説明した製造工程と同様にして形成できる。
この実施例は、所望した耐圧が確保できても、所望するMOSトランジスタのしきい値が得られない場合に、上述の効果を得つつ、かつ、所望のMOSトランジスタのしきい値を得ることができる。
【0075】
しきい値制御用のイオン注入は、低濃度ドレイン領域3及びチャンネル領域9の表面側の濃度変化を最小限にするために、図16を参照して説明した製造工程のように、耐圧確保のための低濃度ドレイン層3a及びチャンネル層9aを残すために熱処理をして低濃度ドレイン層3a及びチャンネル層9aを形成した後、低濃度ドレイン層3c、チャンネル層9cが低濃度ドレイン層3a、チャンネル層9aよりも上層側に形成されるように、低濃度ドレイン層3c、チャンネル層9cを形成するためのイオン注入において加速電圧をさげて注入することが好ましい。
【0076】
以上、本発明の実施例を説明したが、寸法、配置、数値、材料等は一例であり、本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0077】
例えば、上記実施例では、SOI基板のシリコン層としてP型のシリコン層1cを用いているが、シリコン層はN型又はノンドープであってもよい。
また、上記実施例では、NチャンネルMOSトランジスタを例に説明しているが、導電型を反対導電型にすれば、PチャンネルMOSトランジスタを備えた半導体装置にも本発明を適用できる。
【0078】
また、ソースが低濃度ソース領域及びオーミックソース領域を備えた態様において、ゲート電極と低濃度ソース領域のオーバーラップ寸法や、ゲート電極とオーミックソース領域の間隔の寸法は、ドレイン側と同じ寸法でなくてもよい。これらの寸法は、ドレイン側も含め、使用する電圧などにより、随時選択が可能である。
【0079】
低濃度ドレイン層3c、チャンネル層9cをさらに備えた構造は、上記で説明したいずれの実施例にも適用できる。
また、低濃度ドレイン領域、チャンネル領域は4層以上の低濃度ドレイン層、チャンネル層で形成されていてもよい。
【0080】
また、上記の製造工程において、ソース領域5又はオーミックソース領域39とオーミックドレイン領域7を形成するためのイオン注入工程と、オーミックチャンネル領域11を形成するためのイオン注入工程の順序はどちらが先でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、SOI基板にMOSトランジスタを備えた半導体装置に適用できる。この応用製品としては、例えば、車載用の高耐圧の電圧監視ICや、多セルのLi保護ICなどを挙げることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 SOI基板
1a 半導体基板(支持基板)
1b 埋め込み酸化膜
1c シリコン層
3 低濃度ドレイン領域
3a,3b,3c 低濃度ドレイン層
5 ソース領域
7 オーミックドレイン領域
9 チャンネル領域
9a,9b,9c チャンネル層
11 オーミックチャンネル層
13 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
17 素子分離絶縁膜
37 低濃度ソース領域
37a,37b 低濃度ソース層
39 オーミックソース領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0083】
【特許文献1】特開2002−134752号公報
【特許文献2】特開2001−119031号広報
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
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