特許第5655209号(P5655209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5655209-トンネルの天井構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655209
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】トンネルの天井構造
(51)【国際特許分類】
   E21F 17/00 20060101AFI20141225BHJP
   E21F 1/00 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   E21F17/00
   E21F1/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-274715(P2012-274715)
(22)【出願日】2012年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-118742(P2014-118742A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2012年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174389
【氏名又は名称】坂野 房夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】坂野 房夫
【審査官】 ▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−080700(JP,A)
【文献】 実開昭57−137700(JP,U)
【文献】 特開平10−184289(JP,A)
【文献】 特開平11−022400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/00 − 17/18
E21D 11/00 − 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの上部に天井板を設けて換気洞を形成するトンネルの天井構造において、トンネルの側壁に下側の基端を固定し、中央に向って上向き傾斜される左右の天井板の上部先端を連結したことを特徴とするトンネルの天井構造。
【請求項2】
天井板の先端を突き合わせたことを特徴とする請求項1に記載のトンネルの天井構造。
【請求項3】
天井板の連結部とトンネルの頂壁とを吊金具により連繋したことを特徴とする請求項1または2に記載のトンネルの天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル内の自動車排ガスを排気することができる換気洞を形成したトンネルの天井構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルの上部を天井板で仕切り、トンネル上部と天井板間に換気洞を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の天井板は波形に折り曲げて強度を高めた金属製のものとして、トンネルの上部に水平に張設し、天井板の両端をトンネルの側壁に固定している。
【0004】
しかし、天井板は普通コンクリートで製作され、天井板を2枚連結したものを水平に張設している。しかし、天井板に要求される強度上、極めて厚く重量が1トンを超えるものとなる。このため、側壁に基端を固定した天井板の先端連結部をトンネル頂部と吊金具で繋いで荷重を受けるようにしている。ところが、経年変化によりコンクリートが劣化して吊金具のボルトが抜け落ちたり、地下水によりボルトが腐食して強度が低下したりすると、天井板の荷重を支えることができず天井板が落下するという問題がある。また、吊金具の点検作業は、暗く排ガスが充満する換気洞内で行わねばならず、点検が不十分となりやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−36459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は天井板の落下を確実に防止することができるうえに、点検が容易なトンネルの天井構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トンネルの上部に天井板を設けて換気洞を形成するトンネルの天井構造において、トンネルの側壁に下側の基端を固定し、中央に向って上向き傾斜される左右の天井板の上部先端を連結したことを特徴とするトンネルの天井構造である。
【0008】
なお、天井板の先端を突き合わせたり、天井板の連結部とトンネルの頂壁とを吊金具により連繋したりしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、トンネルの上部に天井板を設けて換気洞を形成するトンネルの天井構造において、トンネルの側壁に下側の基端を固定し、中央に向って上向き傾斜される左右の天井板の上部先端を連結したことにより、天井板の荷重は略天井板の下側の基端とトンネル側壁との取付部に加わることとなる。このため、従来のコンクリート製の天井板のように、先端連結部をトンネルの頂壁に吊金具などを用いて連繋する必要がない。このため狭い換気洞内での作業が不要となり、施工期間を短縮できるうえに、施工費用も低減できることとなる。しかも、最も荷重がかかる重要な点検個所は低所で目視ができるうえに照明もあるトンネルの側壁であるため、り、点検作業が容易、且つ確実に点検を実施できる。さらに、天井板の連結箇所は高所であるがかかる荷重が小さいので点検タイミングを長くすることができるうえに、点検をトンネル内からできるので作業も容易となる。
【0010】
請求項2のように、天井板の先端を突き合わせたことにより、荷重は左右の天井板の連結箇所だけでなく、天井板の突き合わせ面でも受けることとなるので、耐震性が増しより的確に天井板の落下事故を防止することができる。
【0011】
請求項3のように、天井板の突き合わせ連結部とトンネルの頂壁とを吊金具により連繋したことにより、地震等により、左右の天井板が中間部で折損した場合でも、天井板全体が落下することを防止できるので安全性がより高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
図2】同じく要部の拡大断面図である。
図3】第2の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
図4】第3の実施形態を示す要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の第1の実施形態を図1、2に基づいて詳細に説明する。
1はトンネルであり、該トンネル1の上部には左右の天井板2で仕切られた換気洞3が形成されている。4は土台5に形成される排水管、6は路面である。
【0014】
7は天井板2、2の下側の基端をトンネル側壁に固定する取付金具、8は左右の天井板2の上部先端を連結する連結金具である。なお、第1の実施形態では図2に示すように、天井板2の先端は突き合わせ状態として、連結金具8だけではなく天井板2の先端突き合わせ面を密接させて天井板2の荷重を受けるようにして、連結金具8にかかる荷重を低減しているが、図3に示す第2の実施形態のように、天井板2の先端を突き合わせず間隙2aを有するものとしてもよい。こうすることにより、地震等による振動により天井板2同士がぶつかり合って天井板2に圧縮応力が繰り返し作用して疲労破壊を起こすことを防止できる。
【0015】
このようなトンネル1は、トラス構造状に組み合わされた左右の天井板2を並設してゆくことにより上部を仕切り換気洞3を形成し、該換気洞3を通じて通行する自動車の排ガスは排気され、新鮮な外気を取り込むことができる。
【0016】
また、左右の天井板2は中央に向って上向き傾斜されて、上部先端を突き合わせた連結したものとしているので、天井板2の荷重の大半は天井板2の基端とトンネル1の側壁とを固定する取付金具7に加わることとなるので、左右一対の天井板2の中央を支える必要はない。
【0017】
このため、トンネル1の側壁の取付金具7のボルトを重点的に目視や打音検査を行えばよい。しかもこの点検作業は、トンネル1内の低所で、照明された環境下で行うため作業員の負担が少なく、確実に点検を行うことができる。また、比較的荷重のかからない連結金具8の通常の検査は遠望目視検査を行い。一定期間ごと目視または打音検査を行うものとする。
【0018】
第3の実施形態は図4に示すように、天井板2の上部先端を連結する連結金具8を吊金具9を介してトンネル1の頂壁に連繋するものである。吊金具9は連結金具8に固着される支柱9aと、トンネル1の頂壁に取付けた2本のIボルト9bと、支柱9aとIボルト9bとを結ぶワイヤ9cとからなる。吊金具9により、天井板2の中央を吊下げることにより、天井板2が折損した場合、天井板2の全面的な落下を防止でき、より安全なものとなる。
【符号の説明】
【0019】
1 トンネル
2 天井板
2a 間隙
3 換気洞
4 排水管
5 土台
6 路面
7 取付金具
8 連結金具
9 吊金具
9a 支柱
9b Iボルト
9c ワイヤ
図1
図2
図3
図4