特許第5655212号(P5655212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655212裏面接続された半導体セルを備える光電池モジュールの製造方法および光電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655212
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】裏面接続された半導体セルを備える光電池モジュールの製造方法および光電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/05 20140101AFI20141225BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01L31/04 570
   H01L31/04 460
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-504137(P2013-504137)
(86)(22)【出願日】2010年10月26日
(65)【公表番号】特表2013-524543(P2013-524543A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2010066122
(87)【国際公開番号】WO2011128001
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2012年10月12日
(31)【優先権主張番号】102010027747.9
(32)【優先日】2010年4月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514275657
【氏名又は名称】ソーラーワールド インダストリーズ テューリンゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SolarWorld Industries Thueringen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ シャーフ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クーグラー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ツェラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ツィッペル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック シュティーラー
(72)【発明者】
【氏名】メティン コユンク
【審査官】 佐藤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−527917(JP,A)
【文献】 特表2010−506733(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/080640(WO,A1)
【文献】 特開2001−352084(JP,A)
【文献】 特開2010−062393(JP,A)
【文献】 特開平07−263733(JP,A)
【文献】 特表2011−507297(JP,A)
【文献】 特開2007−315834(JP,A)
【文献】 特開2003−093377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続側(2)にそれぞれ設けられた接続領域(3)を備える裏側接続された半導体セル(1)を有する光電池モジュールの製造方法であって、
少なくとも片側で少なくとも部分的に導電性の支持体被覆部(5)を備えるシート状の非導電性支持体(4)であって、前記支持体(4)の第1の側前記支持体被覆部(5)を準備するステップと、
前記半導体セル(1)の接続側(2)、前記支持体(4)の第2の側に載置するステップと、
前記接続側(2)を前記支持体(4)の前記第2の側に載置した後に、EVAテープにより、または、前記半導体セル(1)のラミネート化により、前記半導体セル(1)を固定するステップと、
前記半導体セル(1)の接続領域(3)において前記支持体(4)内に貫通部(10)を形成するために、前記支持体(4)と前記支持体被覆部(5)とを貫通する局所的な穿孔を実行するステップと、
前記貫通部(10)を充填し、前記第1の側上にある前記支持体被覆部(5)と前記第2の側上にある前記半導体セル(1)との接続を形成するために接続手段(11)を取り付けるステップと、
を有する製造方法。
【請求項2】
前記接続手段(11)を取り付けた後、少なくとも1つの別の接続層が形成される方法であって、
接続された前記支持体被覆部(5)が絶縁カバー層(12)によって少なくとも部分的に覆われるステップと、
前記カバー層、前記支持体(4)および/または前記導電性支持体被覆部(5)を打ち抜く局所的穿孔が、前記半導体セル()の接続領域(3)に貫通部(10)を形成するために実行されるステップと、
前記貫通部(10)を充填するために、そして前記カバー層上に延在する前記別の接続層を形成するために接続手段(13)が前記カバー層上に取り付けられるステップと、
を有する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接続手段(11,13)の取付けを、プリント、スプレーまたはハンダ付けにより行う
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ハンダ付けの場合には、ハンダ支持体によってハンダ材料が充填すべき前記貫通部(10)にもたらされ、そこで溶融の後に充填される
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ハンダ付けとしてレーザハンダ付けが実行され、選択的な溶融がレーザ光による照射によって行われる
請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記接続手段(11,13)の取付けをスプレー法によって行う
請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記スプレー法は、コールドガススプレー、プラズマジェットによるプラズマスプレー、ワイヤまたはロッドによる火炎溶射、散薬による火炎溶射、プラスチック火炎溶射、高速火炎溶射(HVOF)、デトネーションスプレー、レーザスプレー、光アークスプレーまたはPTA(Plasma Transferred Arc)によって実現される
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
局所的穿孔の実行時に、前記支持体(4)上に配置された前記半導体セル(1)の画像識別が行われ、画像処理および/または基準点設定によって、穿孔装置が前記個々の半導体セル(1)上で直接参照する
請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
画像識別のために透視装置(14,16,17)によって透視画像(18)が形成され、
画像処理の際に各透視画像で輪郭識別(19)が実行され、前記穿孔装置(8)は輪郭識別の結果においてそこから決定された位置に、それぞれの貫通部(10)を形成するために自動的に移動される
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記局所的穿孔は、レーザボーリング装置を使用したレーザ孔の形に実施される
請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
接続側(2)にそれぞれ設けられた接続領域(3)を備える裏側接続された半導体セル(1)を有する光電池モジュールであって、
シート状の非導電性の支持体(4)は、少なくとも片側で少なくとも部分的に導電性の支持体被覆部(5)を備え、前記支持体(4)の第1の側に前記支持体被覆部(5)が設けられており、
前記半導体セル(1)の接続側(2)は、前記支持体(4)の第2の側に載置されており、
前記半導体セル(1)は、EVAテープにより、または、前記半導体セル(1)のラミネート化により、固定されており、
前記半導体セル(1)の接続領域(3)において前記支持体(4)内に貫通部(10)が形成するために、前記支持体(4)と前記支持体被覆部(5)とを貫通する局所的な穿孔が設けられており、
前記貫通部(10)を充填し、前記第1の側上にある前記支持体被覆部(5)と前記第2の側上にある前記半導体セル(1)との接続を形成するための接続手段(11)が取り付けられている、
光電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裏面接続された半導体セルを備える光電池モジュールの製造方法および光電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から公知の半導体に基づく光電池モジュールは、半導体セル結合体からなる。この半導体セルでは、外部の光入射の作用の下で電圧が形成される。半導体セルは、光電池モジュールからできるだけ大きな電流強度を取り出すことができるようにするため適切に互いに接続されている。ここでは半導体セルを接続することと、光電池モジュール内での適切な電力導通が必要である。
【0003】
公知の光電池モジュールでは、電力導通のためにいわゆるテープが使用される。このテープは通例、テープ状に構成された金属、とくに銅製の導体路部分である。テープとこれに接続された半導体セルとの接続は、通例、軟質ハンダ接続によって行われる。このとき、1つの半導体セルの上側にある光活側から次の半導体セルの光とは反対側の裏側へ接続が導かれる。テープと半導体セルとの接続個所において半導体セル上には金属化接続領域があり、この接点上でハンダ接続が行われる。
【0004】
この種の光電池モジュールの光収量を高めるために、前記の接続部を光とは反対側の半導体セルの裏側に完全に配置することが試みられた。この場合、光とは反対側はそれぞれの半導体セルの接続側を形成する。ここでは共通の接続側に配置された、異なる電位を有する接続領域を接続しなければならない。実現すべき回路接続および所定の幾何形状配置の中に多数の半導体セルが存在する場合、誤接続および短絡接続を確実に回避するという必要性により接続の制度に過大な要求が課せられる。所定のセル配置に半導体セルを正確に位置決めすることに関して結び付いた困難性のため、光電池モジュールのエネルギー収量の観点で有利な裏側接続には複雑な製造プロセスが随伴し、この製造プロセスはとくにこの種のモジュールの合理的な大量生産を阻害する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
それぞれ接続側に設けられた接続領域を備える裏側接続された半導体セルを有する光電池モジュールの製造方法は以下の方法ステップを有する。
【0006】
少なくとも片側で少なくとも部分的に導電性の支持体被覆部を備えるシート状の非導電性支持体を第1の支持体側に準備する。その後、半導体セルの接続側を第2の支持体側に載置する。これに続いて、支持体と導電性支持体被覆を打ち抜く局所的穿孔が、半導体セルの接続領域に貫通部を形成するために実行される。次のステップとして、貫通部を充填し、第1の支持体側上にある支持体被覆と第2の支持体側上にある半導体セルとの間に接続を形成する接続手段を取り付ける。
【0007】
これにより少なくとも一方の側に導電性被覆を有する支持体シートが得られる。半導体セルは支持体の他方の側に載置される。したがって半導体セルの接続側は支持体の直接上になる。続いて半導体セルの導電接続すべき各接続領域が穿孔により露出される。このとき支持体に形成された貫通部は導電性に充填され、これにより接続領域と支持体被覆部との間に選択的な接続が形成される。
【0008】
半導体セルは、穿孔中にプラスチックテープ、たとえばいわゆるEVAテープにより固定することができる。好ましくは、場合により光電池モジュールまたはそれらのコンポーネントのラミネートを行うプラスチックが使用される。
【0009】
この方法の大きな利点は、大型の製造プロセスで場合により発生する半導体セルの載置時の位置不精度が問題とならないことである。半導体セルと導電性支持体被覆部との間の接続の実際の個所は、接続が行われる直前に初めて設定される。それにより半導体セルの載置過程を比較的寛大な製造公差により行うことができる。
【0010】
好ましい実施形態では、半導体セルを支持体に載置した後、半導体セルをラミネートするためのラミネートステップが実行される。これにより半導体セルは支持体と強固に結合され、以降の方法ステップでその位置を変えることがない。とりわけ、ラミネートされた半導体セルを備える支持体全体が結合体を形成し、この結合体は問題なしに中間保存することができ、後の方法ステップのために用意しておくことができる。
【0011】
その代わりに同じラミネートステップで光電池モジュールの支持体ガラスをラミネートすることもできる。
【0012】
別の接続層を使用することも問題なく可能である。好ましくは接続手段を取り付けた後、少なくとも1つの別の接続層が形成され、後続の方法ステップが実行される。
【0013】
絶縁カバー層を備える接続された支持体被覆部が少なくとも部分的に覆われる。これに続いて、カバー層、支持体および/または支持体被覆部を打ち抜く局所的穿孔が、半導体セルの接続領域に貫通部を形成するために実行される。その後、貫通部を充填するために、そしてカバー層上に延在する接続層を形成するために接続手段がカバー層上に取り付けられる。
【0014】
それぞれの接続層に接続手段を取り付けるには種々の方法を使用することができる。プリント、スプレー、またはハンダ付けが可能である。ハンダ付けを実行する際には、ハンダ支持体によってハンダ材料が充填すべき貫通部にもたらされ、そこで溶融の後に充填される。選択的なハンダ付けは、レーザハンダ付けよりも適切な実施形態で実行される。このとき溶融はレーザ光の印加によって行われる。
【0015】
好ましくは局所的穿孔の実行時に、支持体上に配置された半導体セルの画像識別が行われる。このとき画像処理および/または基準点設定によって、穿孔装置が個々の半導体セル上で直接参照される。
【0016】
これにより個々の半導体セルの真の位置が原位置で検出され、接続のために設けられた部分の露出が画像的に識別された個所で正確に行われる。このことによって、半導体セルを載置する際の大きな位置公差が本来の接続過程に不利な作用を及ぼすことはない。
【0017】
有利な実施形態では、画像識別は透視装置によって行われる。透視装置は透視画像を形成する。ここでは画像処理の際に各透視画像で輪郭識別が実行され、穿孔装置は輪郭識別の結果においてそこから決定された位置に自動的に移動され、それぞれの貫通部を形成する。
【0018】
局所的穿孔は有利な構成では、レーザボーリング装置を使用したレーザ孔の形に実施される。これにより穿孔を非常に正確かつ無接触で行うことができる。
【0019】
装置側では半導体セルの結合体を含む光電池モジュールに、裏側接続部と支持体が設けられており、支持体は本発明によればシートまたはラミネートとして構成されていることを特徴とする。支持体は、導電性材料が充填された貫通部を半導体セルの領域に有する。これにより、支持体の一方の側に配置された半導体セルと、支持体の他方の側に延在する導電性材料製の導体路との間に接続が形成される。
【0020】
導電性材料は有利には導電性ラミネート、導電性インク、導電性ペースト、またはハンダとして構成されている。
【0021】
本発明の方法および本発明の光電池モジュールを以下、実施例に基づき詳細に説明する。ここで図面は説明のための性質のみを有し、本発明をいずれかの形に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】支持体上への半導体セルの載置ステップを示す図である。
図2】支持体上に載置された半導体セルのラミネートステップを示す図である。
図3】支持体の局所的穿孔を示す図である。
図4】ハンダ塗布による接続を示す図である。
図5】局所的穿孔の別のステップでの別の層構造を示す図である。
図6】別の接続ステップを示す図である。
図7】接続領域の位置決定のための透視方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、支持体上の半導体セルの載置ステップを示す図である。ここに図示する半導体セル1はたとえば結晶質の光電池セルとして構成されている。光電池セルはシリコンまたは同等の半導体材料からなり、この種のセルのためにここに詳細に図示しないドープ領域を、太陽エネルギーを電圧にエネルギー変換するために有する。各半導体セルは、そこに配置された接続領域3を備えるそれぞれ1つの接続側2を有する。接続領域は通例、導電的に金属化されている。施与のためにここに図示しない施与装置が用いられる。
【0024】
半導体セルの裏側、とりわけその接続領域2を接続するために支持体4が設けられている。支持体は、シート状の電気絶縁材料または非導電性のシートのラミネートからなる。半導体セルを支持体上に固定することはプラスチックシート4aによって行われる。プラスチックシートはたとえば、テープの形態に取り付けられたテープ状のエチレン酢酸ビニル(EVA)からなる。
【0025】
その代わりに半導体セルを支持体と非導電性に接着することもできる。このような場合、支持体は接着性の表面を有するが、この表面はここに図示されていない。これに関する実施形態は、後の図5から7に示されている。
【0026】
支持体4には、片側に取り付けられた導電性支持体領域5が設けられている。これは蒸着された金属層として、または金属シートとして構成することができ、支持体とラミネートの形態で結合されている。支持体被覆部は全面に形成することも、部分的に形成することもできる。図示の例では、被覆部は面積の大きな領域として構成されており、トレンチ6のラインによって分割されている。被覆部はたとえば銅または同等の良導電性の材料からなり、接続すべき半導体セルの直列抵抗を小さくすることができる。半導体セルは、この実施例では支持体の電気絶縁側にある。
【0027】
半導体セルを降下させる代わりに、ここに図示しないが、適切な材料を印刷、蒸着、またはラミネートして有機セルを実現することもできる。このような製造過程では、有機半導体として機能するポリマー、とりわけ対応する電極構造を有する共役ポリマーまたは特別の合成ハイブリッド材料がシート状の支持体に取り付けられる。これにより形成された結合体はフレキシビリティが高く、十分に薄く、非常に容易に処理することができ、以下に説明する方法ステップも問題なく実施することができる。
【0028】
導電性の支持体被覆部に対しては、他の導電性材料、たとえば導電性ポリマー、または酸化インジウムスズ(ITO)のような導電性酸化物を使用することができる。しかしながらそれらの導電性は金属化と比較して一部は低い。
【0029】
図1に図示した載置過程には、ここには図2に例として示したカプセル化ステップが続く。ここでは支持体の上にある半導体セルがラミネート7によって覆われる。ラミネートするためにたとえばプラスチックシートが用いられ、真空ラミネートで取り付けられる。ラミネートにはとくにエチレン酢酸ビニル(EVA)が適する。両方の材料は半導体セル統合体に熱可塑性変形することができる。ラミネートが、半導体セルの固定に用いるプラスチックシート、たとえばテープ4aと同じ材料から形成されていると有利である。
【0030】
熱可塑性ラミネートの代わりに、反応性ラミネート材料を使用することも可能である。この反応性ラミネート材料は、「ダム&フィル」として知られている。これはとりわけ、射出可能または塗布可能な物質または混合物質であり、電磁線および/または熱の作用下で透明に硬化し、このとき半導体セル結合体を支持体上に透明にカプセル化する。有機ケイ素化合物(シリコーン)をベースとするプラスチックも使用することができる。
【0031】
図2に示されたラミネート過程およびカプセル化過程は、必要に応じて、光電池モジュールのここに図示しないガラス支持体上でのラミネートと組み合わせることができる。ガラス指示体はラミネートの上に直接載置され、このときラミネートは、半導体セルとシートの結合体のガラス支持体上での接続を同時に行う。以降の方法ステップは、裏側接続だけがさら形成される完成した光電池モジュールで実施される。
【0032】
さらなる方法ステップのために図2に示された結合体は、図3に示すように回転される。支持体4の導電性支持体被覆部5が支持体の表面を形成する。
【0033】
結合体は所定の個所で局所的に穿孔される。局所的穿孔は、ここに図示した例ではレーザボーリング装置8によって行われる。レーザボーリング装置は、半導体セル上に配置され、支持体により覆われた接続領域3に接近し、それぞれ所要の個所でレーザビーム9を結合体の方向に照射する。このときに衝突したポイントにそれぞれ貫通部10が形成され、この貫通部ではそれぞれ1つの接続領域3が露出される。貫通部は点状にも、ライン状にも、または平面状にも形成することができる。両者ともレーザボーリング装置によって非常に簡単に達成される。
【0034】
局所的穿孔のために設けられた半導体セルと支持体の結合体上の位置は、下でさらに説明する透視方法によって画像検出の枠内で前もって検出される。レーザボーリング装置は、検出された位置データに基づき、個々の位置に走行する。したがって製造プロセスの結果である半導体セルの位置偏差は何ら関与せず、完全に調整される。
【0035】
図4は、これに続く半導体セルの裏側接続を示す。この方法ステップでは、前に形成された貫通部10に導電性材料が充填される。このとき、導電性支持体被覆部5を有する半導体セルで接続領域の接続が形成される。
【0036】
図示の例では、ハンダペーストおよびハンダ球からなるハンダ滴10aの形の導電性材料が、ハンダ支持体10bによってそのために設けられた貫通部10に案内され、施与される。その後、接続領域およびハンダペーストまたはハンダ球の選択的な溶解が行われ、接続部11が接続領域3と導電性支持体被覆部5との間に形成される。このためにレーザハンダ法を使用することができる。穿孔の際に形成された支持体にある孔に、ハンダによる申し分のない濡れを補償するために前もって別個に金属化が施されていると有利である。金属化は、蒸着、プリントまたはスプレーにより実施することができる。
【0037】
ハンダ付けの代わりに、ペーストまたは導電性のインクを点ごとにまたはライン状に印刷または施与することもできる。各接続過程は画像制御で実行することができ、このときにすでに局所的穿孔のために使用された画像識別ユニットおよび/またはその際に得られた位置データを使用することができる。
【0038】
このような場合、たとえばレーザボーリング装置はそのための特定の個所で貫通部を形成することができ、この個所は走行してきたハンダ支持体の調整装置に引き渡され、レーザボーリング装置は次の個所に移行することができる。一方、ちょうど形成された貫通部には接続部が形成される。この種の方法フローでは、穿孔と接続が基本的にただ1つの作業工程内で行われる。
【0039】
基本的に貫通部10に導電性材料を充填するためには、半導体セル1の接続領域3で導電性支持体被覆部5との信頼性のある電気接続部11を保証するすべての方法を適用することができる。したがって上に述べた措置の代わりに、別の適切な方法、とりわけスプレー法を接続のために使用することができる。
【0040】
適切なスプレー法には、たとえばコールドガススプレー、プラズマジェットによるプラズマスプレー、ワイヤまたはロッドによる火炎溶射、散薬による火炎溶射、プラスチック火炎溶射、高速火炎溶射(HVOF)、デトネーションススプレー、レーザスプレー、光アークスプレーまたはPTA(Plasma Transferred Arc)があり、それらのうちのいくつかを以下で詳細に説明する。
【0041】
コールドガススプレーでは、加熱されたプロセスガスが、スプレーヘッドのラバルノズルでの膨張によって超音速まで加速され、そのときにスプレー材料としての導電性材料が冷粒子の形で注入される。粒子はこれにより自身が加速され、高い運動エネルギーで接続すべき個所に突き当たる。そして粒子は衝突の際に濃密で強固に付着する層として所望の接続部を形成する。熱的スプレー法とは異なり、この方法は前もって加熱または溶融が不要であるので有利である。プロセス温度も、スプレー材料の融点以下であり、スプレー材料すなわち導電材料の構造も有利には変化しない。その他に、支持体の熱的負荷もわずかである。とりわけ明確にコントロール可能なスプレー流の幾何形状は多くの場合、マスキングなしでの導電材料の施与を可能にする。最後にこれによっては、スプレー損失もほとんど生じない。
【0042】
その代わりに接続がプラズマスプレーによって実現される場合、プラズマ源を備えるプラズマヘッドからプラズマ流、いわゆるプラズマジェットが放射される。このプラズマジェットにはスプレー材料としての導電材料が粉末粒子の形で注入されている。プラズマジェットは粉末粒子と飛沫同伴し、これを接続すべき個所に発射する。有利にはプラズマスプレーは選択的に通常の雰囲気、不活性雰囲気、真空、または必要であれば水中でも可能である。
【0043】
2つの択一的方法「コールドガススプレー」または「火炎溶射」は以下の共通の利点を有する。2つの方法は、中程度の温度で実施することができる。「ハンダ法」ではほとんど加工できないようなアルミニウムまたは鉄のような導電材料も使用することができる。とりわけアルミニウムは銅より安価であり、接続に対して合理的潜在能力を提供する。その他に、接続すべき個所にハンダ付け可能な面を提供する必要がない。したがってハンダ付け可能な面を準備するための銀ペーストを省略することができる。そこからさらに、複数の面をいわゆるバックサーフェスフィールド(BSF)に提供することができる。
【0044】
コールドガススプレーの場合のスプレーヘッドまたは火炎溶射の場合のプラズマヘッドの位置決めは、図4のハンダ支持体10bの位置決めに対応する。すなわち図4でのハンダ滴10aを有するハンダ支持体10bがスプレーヘッドまたはプラズマヘッドによって置換される。スプレーヘッドまたはプラズマヘッドも、すでにハンダ支持体10bについて上で説明したように目下の位置から次の位置に走行される。
【0045】
少なくとも1つの別の接続路または接続面を取り付けることも基本的に可能である。これに関する例は、図5と6に示されている。それぞれ次の接続面を取り付けるために、前もって形成された接続部11が電気絶縁されたカバー層12により覆われる。カバー層はたとえばラミネート過程によって取り付けることができ、そのための通常の材料、とりわけEVAシートを使用することができる。ここで形成された結合体では、前に説明した図3の穿孔の方法ステップが繰り返し適用される。とりわけレーザボーリングによる穿孔の方法ステップで、さらなる貫通部10が半導体セルの別の接続領域3に形成される。貫通部には引き続きさらなる導電材料13が充填され、互いに接続される。これにより第2の導電路層が形成される。
【0046】
導電材料13を施与し取り付けるためには、種々の方法を使用することができる。前記のレーザハンダ法の他にプリント法を適用することができる。この場合、導電材料として良導電性のインキまたはペースト、とりわけナノAgインキまたはペーストを使用することができる。
【0047】
さらに導電材料13を施与し取り付けるために、上に述べた種々のスプレー法を使用することができる。これにより充填された貫通部10と第2の導電路層が形成される。
【0048】
同様に導電材料を蒸着またはプロットすることもできる。ここで有利には、形成された貫通部をまず導電性の滴の施与によって充填する。このために必要な位置データは、すでに述べたようにレーザボーリング装置の位置メモリまたは制御ユニットから取り出すことができる。続いて個々の接続点の間で必要な導体路が算出される。算出された経路は制御パルスに変換され、制御パルスはさらにプロットピンまたは蒸着ノズルのための走行機構に伝送される。走行機構は、プロットピンまたは蒸着ノズルをカバー層12上で移動させる。このときプロットピンまたは蒸着ノズルは、導電材料13を所定の経路に沿って取り付ける。このとき半導体セルの配置のための第2の接続面が形成される。
【0049】
図5と6を参照して説明した方法ステップは、基本的に複数回実施できることは明白である。ここでは基本的に、任意に多数の接続面を付加的に取り付けることができ、これにより半導体セルの複雑な配線が達成される。付加的な電子構成素子、とりわけダイオードを挿入することができる。これは、半導体セル間にバイパスダイオード回路を形成するためである。
【0050】
図7は、すでに説明した透視過程を示す。そのために設けられた透視装置は、結合体を透過する光線15を形成する走行可能な光線源14を有する。光線源としてX線源を使用することができる。
【0051】
光線はアレイ16により検知され、アレイは光線路中に存在する半導体セル1の透視画像を検出する。このようにして検出されたローデータが画像処理装置17、とりわけ画像処理プログラムを有する計算機に伝送される。
【0052】
画像処理装置は透視画像で構造識別を実行する。画像に含まれる形態の位置が検出され、記憶され、レーザボーリング装置および/またはハンダ支持体の制御ユニット、ならびに接続面を取り付けるための対応する装置に伝送される。
【0053】
これに加えて半導体セルの一部の概略的透視画像18が示されている。金属化された接続領域の吸収能力を高めることにより、検出可能な輪郭19およびその位置を一義的に確定することができる。
【0054】
接続領域の画像識別は、基準点の検出により置換または補完することができる。ここでは、X線画像中に明瞭に示された基準構造を含む半導体セルが支持体に載置される。ここでは基準構造を基準にする各露出すべき接続領域の位置が前もって既知となり、したがって基準点の位置から到達することができる。基準点としてとりわけ、個々の半導体セルごとに局所的座標系を定義する十字構造を使用することができる。この座標系は画像形成方法によって検出される。座標系内にある個々の接続領域の位置は、前もって各半導体セルにおいて既知である。これにより、この接続領域が透視画像中に輪郭を有していなくても、この接続領域を基準点のそれぞれの位置から決定することができる。
【0055】
本発明の方法およびその際に形成される光電池モジュールの構造を実施例に基づいて説明した。当業者の枠内でさらなる実施形態および変形形態が可能である。これらはとくに従属請求項から明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7