【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
有機酸を産生するための組換え微生物を開示する。組換え微生物は、ペントースリン酸
サイクルにおいて利用される酵素の1つ以上の生化学活性を有するポリペプチドを発現す
る。1つの実施形態において、この酵素は、グルコース−6−リン酸−1−デヒドロゲナ
ーゼであり、Zwischenferment酵素またはZwfとも呼ばれる。例えば、
組換え微生物は、Zwf酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを
発現し得る。1つの実施形態において、組換え微生物は、Zwf酵素活性を有するポリペ
プチドを発現するDNA分子で形質転換された、コハク酸を産生する微生物の組換え株で
ある。
【0011】
組換え微生物は、代表的には、商業生産に適したレベルで1つ以上の有機酸を産生する
ことができる。いくつかの実施形態において、組換え微生物は、コハク酸を産生する微生
物である。例えば、その微生物は、商業生産に適した濃度でコハク酸を産生し得る。商業
生産に適した濃度とは、少なくとも約20g/L、40g/L、60g/L、80g/L
、100g/L、120g/Lおよび/または140g/Lであり得る。望ましくは、組
換え微生物は、約50g/L〜約130g/Lの濃度でコハク酸を産生することができる
。
【0012】
組換え微生物は、発酵システムにおける商業生産に適した濃度でコハク酸を産生するこ
とを促進するように、比較的高濃度のコハク酸に耐性となるように選択されてもよく、お
よび/またはそのように組換えで操作されてもよい。いくつかの実施形態において、組換
え微生物は、比較的少量の望ましくない副産物(例えば、酢酸塩、ギ酸塩および/または
ピルビン酸塩)(例えば、わずか約2.0g/Lの酢酸塩、わずか約2.0g/Lのギ酸
塩および/またはわずか約3.0g/Lのピルビン酸塩)を産生するように選択され得る
。組換え微生物は、少なくとも約1g/L、2g/L、4g/Lおよび/または8g/L
の濃度のモノフルオロ酢酸ナトリウムのレベルに耐性である株(または株の変異株)由来
であってもよい。別の実施形態において、組換え微生物の変異株は、少なくとも約1g/
L、2g/L、4g/Lおよび/または8g/Lの濃度のモノフルオロ酢酸ナトリウムの
レベルに耐性であるように選択され得る。
【0013】
1つの実施形態において、組換え微生物は、Actinobacillus succ
inogenes(すなわち、「A.succinogenes」)またはActino
bacillus succinogenesに関連する微生物の株由来である。A.s
uccinogenesの1つの適切な株は、ATCCアクセッション番号55618と
してAmerican Type Culture Collection(ATCC)
に寄託されたBacterium 130Zである。Bacterium 130Zおよ
び他の適切な株の説明については、米国特許第5,504,004号を参照のこと。
【0014】
他の適切な微生物は、組換え微生物を調製するために選択されてもよく、そして16S
rRNA内の配列同一性によって決定されるようにA.succinogenesに関
連する微生物を含んでもよい。例えば、A.succinogenesに関連する適切な
微生物は、A.succinogenes 16S rRNAに対して実質的な配列同一
性を示す16S rRNAを有し得る(すなわち、A.succinogenes 16
S rRNAに対して少なくとも約90%の配列同一性を示す16S rRNAを有する
微生物またはより適切には、A.succinogenes 16S rRNAに対して
少なくとも約95%の配列同一性を示す微生物)。Pasteurellaceae科の
多くの代表的な微生物は、A.succinogenes 16S rRNAに対して少
なくとも約90%の配列同一性を示す16S rRNAを有する。例えば、Guettl
erら,INT’L J.SYSTEMATIC BACT.(1999),49,20
7〜216の209頁、表2を参照のこと。適切な微生物としては、Bisgaard
Taxon6およびBisgaard Taxon10などの微生物を挙げることができ
る。
【0015】
いくつかの実施形態において、組換え微生物は、A.succinogenes以外の
生物体から調製することができる。例えば、組換え微生物は、有機酸を産生するための発
酵システムにおける用途に適切な任意の微生物から調製することができる。適切な微生物
としては、E.coliを挙げることができる。E.coliの適切な株は、当該分野で
公知である。
【0016】
モノフルオロ酢酸ナトリウムに耐性である微生物の変異株はまた、組換え微生物を調製
するのに適切であり得る。例えば、米国特許第5,521,075号および同第5,57
3,931号を参照のこと。1つの実施形態において、組換え微生物は、少なくとも約1
g/Lのモノフルオロ酢酸ナトリウムに耐性であるA.succinogenesの変異
株から調製される。1つの適切な変異株は、FZ45である。米国特許第5,573,9
31号を参照のこと。ATCCアクセッション番号PTA−6255として寄託された組
換え微生物は、少なくとも約1g/Lのモノフルオロ酢酸ナトリウムに耐性であるA.s
uccinogenesの変異株(すなわち、FZ45)由来である。
【0017】
組換え微生物は、代表的には、ペントースリン酸サイクルにおいて利用される酵素の1
つ以上の生化学活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換され
る。例えば、組換え微生物は、Zwf酵素の生化学活性(すなわち、グルコース−6−リ
ン酸デヒドロゲナーゼ活性および/またはNADPレダクターゼ活性)の1つ以上を有す
るポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換することができる。望ましくは
、そのポリヌクレオチドは、NADPからNADPHへの変換を促進するポリペプチドを
コードする。そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、その微生物に対して内因性で
あってもよく、またはその微生物に通常存在する遺伝子または酵素由来であってもよい。
いくつかの実施形態において、そのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、その微生物
の内因性の遺伝子または酵素に相同であり得る。他の実施形態において、そのポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドは、異種であり得る(すなわち、その微生物に通常存在しない
遺伝子または酵素由来であり得るか、またはその微生物以外の供給源由来であり得る)。
【0018】
組換え微生物は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの改変体および/または
そのポリペプチドの改変体を発現し得る。そのポリヌクレオチドが、Zwf酵素の1つ以
上の生化学活性(例えば、NADPレダクターゼ活性)を有するポリペプチドをコードす
る場合、そのポリヌクレオチドの改変体は、そのポリヌクレオチドに対して少なくとも約
90%の配列同一性または望ましくは、そのポリヌクレオチドに対して少なくとも約95
%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含み得る。そのポリペプチドがZwf酵素の
1つ以上の生化学活性(例えば、NADPレダクターゼ活性)を有する場合、改変体は、
そのポリペプチドに対して少なくとも約90%の配列同一性、または望ましくは、そのポ
リペプチドに対して少なくとも約95%の配列同一性を有するポリペプチドを含み得る。
従って、そのポリペプチドがNADPレダクターゼ活性を有する場合、適切なポリヌクレ
オチドは、選択されたZwf酵素に対して少なくとも約95%の配列同一性を有するポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み得る。
【0019】
組換え微生物が、Zwf酵素活性を有するポリペプチドを発現するポリヌクレオチドで
形質転換されない微生物よりも高いZwf酵素活性を示す場合、組換え微生物は、Zwf
酵素活性を有するポリペプチドを発現するポリヌクレオチドで形質転換されているかもし
れない。いくつかの実施形態において、組換え微生物は、Zwf酵素活性を有するポリペ
プチドを発現するポリヌクレオチドで形質転換されていない微生物よりも、少なくとも約
5倍(5×)高いZwf酵素活性(または望ましくは少なくとも約10倍(10×)高い
Zwf酵素活性、もしくはより望ましくは少なくとも約50倍(50×)高いZwf酵素
活性)を示す。Zwf酵素活性としては、NADPレダクターゼ活性を挙げることができ
る。Zwf酵素活性は、(例えば、Zwf酵素活性を有するポリペプチドを発現するポリ
ヌクレオチドで形質転換されていない微生物と比べる場合)組換え微生物に存在するNA
DPHのレベルを計測することによって測定することができる。
【0020】
組換え微生物は、Zwf遺伝子などのZwf酵素をコードするポリヌクレオチドを発現
し得る。ポリヌクレオチドの改変体は、Zwf遺伝子に対して少なくとも約90%の配列
同一性、または望ましくはZwf遺伝子に対して少なくとも約95%の配列同一性を有し
、かつZwf酵素の1つ以上の生化学活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドを含み得る。ポリヌクレオチドの改変体は、そのポリヌクレオチドの核酸フラグメ
ントを含み得る。例えば、フラグメントは、Zwf遺伝子の少なくとも約90%またはZ
wf遺伝子の少なくとも約95%を含み得る。核酸フラグメントは、任意の適切な長さで
あり得る。例えば、核酸フラグメントは、少なくとも約10、50、100、250、5
00、1000および/または1400のヌクレオチドを含み得る。フラグメントは、Z
wf酵素の1つ以上の生化学活性を有するポリペプチドをコードし得る。
【0021】
適切なZwf遺伝子は、組換え微生物の内因性または天然のZwf遺伝子(すなわち、
組換え微生物が由来する微生物に通常存在するZwf遺伝子)またはそれらの改変体を含
み得る。他の適切なZwf遺伝子は、微生物に対して異種のZwf遺伝子(すなわち、組
換え微生物を調製するために使用した微生物に通常存在しないか、またはそれ以外の供給
源から得られたZwf遺伝子)またはそれらの改変体を含み得る。適切なZwf遺伝子は
、選択されたZwf遺伝子のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約90%の配列同
一性(好ましくは、選択されたZwf遺伝子のポリヌクレオチド配列に対して少なくとも
約95%の配列同一性)を有する改変体を含み得、そしてZwf酵素の1つ以上の生化学
活性(すなわち、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ活性および/またはNADP
レダクターゼ活性)を有するポリペプチドをコードし得る。
【0022】
適切なZwf遺伝子は、E.coli Zwf遺伝子またはその改変体を含み得る。E
.coli Zwf遺伝子のポリヌクレオチド配列は、アクセッション番号NC_000
913として、ヌクレオチド1,932,863〜1,934,338(配列番号1)の
逆相補鎖およびアクセッション番号M55005としてヌクレオチド708〜2180(
配列番号2)がGenBankに寄託されている。E.coli Zwf遺伝子の適切な
改変体は、配列番号1(または配列番号2)のポリヌクレオチドに対して少なくとも約9
0%の配列同一性(望ましくは少なくとも約95%の配列同一性)を有するポリヌクレオ
チドを含み得るので、そのポリヌクレオチドは、Zwf酵素の1つ以上の生化学活性(す
なわち、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ活性および/またはNADPレダクタ
ーゼ活性)を有するポリペプチドをコードする。
【0023】
適切なZwf遺伝子は、A.succinogenes Zwf遺伝子またはその改変
体を含み得る。A.succinogenes 130Zのドラフトゲノム配列は、最近
確立され、構築された。そしてエネルギー省のウェブサイトであるJoint Geno
me Instituteで2005年9月には公的に利用可能となった。Zwf遺伝子
は、「グルコース−6−リン酸1−デヒドロゲナーゼ」と注釈をつけられており、コンテ
ィグ115、ヌクレオチド8738〜10225(すなわち、配列番号5)上に存在する
。コードされるポリペプチド(すなわち、A.succinogenes Zwf酵素)
の予測アミノ酸配列は、配列番号6として存在する。Zwf酵素は、国立バイオテクノロ
ジー情報センター(National Center for Biotechnolo
gy Information)のウェブサイトで入手可能な「BLAST」アラインメ
ントアルゴリズムバージョンBLASTP2.2.12、BLOSUM62行列を使用し
たところ、E.coli Zwf酵素に対して43%のアミノ酸配列同一性および60%
のアミノ酸相同性を示す。A.succinogenes Zwf遺伝子の適切な改変体
は、配列番号5のポリヌクレオチドに対して少なくとも約90%の配列同一性(望ましく
は少なくとも約95%の配列同一性)を有するポリヌクレオチドを含み得るので、そのポ
リヌクレオチドは、Zwf酵素の1つ以上の生化学活性(すなわち、グルコース−6−リ
ン酸デヒドロゲナーゼ活性および/またはNADPレダクターゼ活性)を有するポリペプ
チドをコードする。
【0024】
組換え微生物は、内因性Zwf酵素(すなわち、組換え微生物が由来する微生物内に存
在するZwf酵素)またはその改変体を発現し得る。他の実施形態において、組換え微生
物は、微生物に対して異種であるZwf酵素(すなわち、組換え微生物が由来する微生物
に存在しないか、または発現しないZwf酵素)またはその改変体を発現し得る。適切な
Zwf酵素は、選択されたZwf酵素のアミノ酸配列に対して少なくとも約90%アミノ
酸配列同一性(望ましくは選択されたZwf酵素に対して少なくとも約95%アミノ酸配
列同一性)を有し、そしてZwf酵素の1つ以上の生化学活性(例えば、NADPレダク
ターゼ活性および/またはグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ活性)を有する改変
体を含み得る。適切なZwf酵素は、E.coli Zwf酵素(例えば、配列番号3、
NC_000913のヌクレオチド1,932,863〜1,934,338のヌクレオ
チド配列の逆相補鎖によってコードされるポリペプチド)またはその改変体およびA.s
uccinogenes Zwf酵素(例えば、配列番号6)またはその改変体を含み得
る。
【0025】
改変体ポリペプチドは、Zwf酵素のフラグメントを含み得る。例えば、フラグメント
は、配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも約90%、またはより望ましくは配列番号3
のアミノ酸配列の少なくとも約95%を含み得る。他の実施形態において、フラグメント
は、配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも約90%、またはより望ましくは配列番号6
のアミノ酸配列の少なくとも約95%を含み得る。ポリペプチドフラグメントは、任意の
適切な長さであり得る。例えば、ポリペプチドフラグメントは、(例えば、配列番号3ま
たは配列番号6の)少なくとも約10、50、100、200および/または300のア
ミノ酸を含み得る。ポリペプチドフラグメントは、代表的にはZwf酵素の1つ以上の生
化学活性を有する。
【0026】
組換え微生物は、内因性(すなわち、天然)Zwf酵素をコードする内因性(すなわち
、天然)Zwf遺伝子を発現するポリヌクレオチドで形質転換されたコハク酸を産生する
微生物を含み得る。いくつかの実施形態において、組換え微生物は、異種Zwf酵素をコ
ードする異種Zwf遺伝子を発現するポリヌクレオチドで形質転換されたコハク酸を産生
する微生物を含み得る。ATCCアクセッション番号PTA−6255としてAmeri
can Type Culture Collection(ATCC)に寄託された組
換え微生物は、異種Zwf酵素をコードする異種Zwf遺伝子(例えば、E.coli
Zwf遺伝子)を発現するコハク酸を産生する微生物(すなわち、A.succinog
enes)の組換え株である。
【0027】
組換え微生物は、比較的高レベルのZwf酵素活性を有するポリペプチドを発現し得る
(すなわち、そのポリペプチドが「過剰発現」し得る)。例えば、組換え微生物は、非組
換え微生物と比べて比較的高レベルな内因性Zwf酵素を発現し得る。いくつかの実施形
態において、組換え微生物は、DNA分子で形質転換されていない組換え微生物と比べて
比較的高レベルな内因性Zwf酵素を発現するDNA分子(例えば、プラスミド)で形質
転換され得る。
【0028】
Zwf遺伝子などのポリヌクレオチドは、組換え微生物が由来する選択された微生物に
おける発現に最適化され得る。例えば、異種Zwf遺伝子は、非天然微生物における発現
に最適化され得る。いくつかの実施形態において、Zwf遺伝子は、A.succino
genesまたはBisgaard Taxon6もしくはBisgaard Taxo
n10などの微生物における発現に最適化され得る。他の実施形態において、Zwf遺伝
子は、E.coliにおける発現に最適化され得る。
【0029】
Zwf遺伝子などのポリヌクレオチドは、任意の適切なストラテジによって組換え微生
物における発現に最適化され得る。例えば、Zwf遺伝子は、組換え微生物におけるZw
f遺伝子の発現を促進するプロモーター配列にZwf遺伝子を作動可能に連結することに
よって組換え微生物における発現に最適化され得る。このプロモーター配列は、組換え微
生物における比較的高レベルな発現を促進するために最適化され得る(すなわち、「過剰
発現」を促進するために最適化され得る)。Zwf遺伝子は、微生物にとって内因性であ
るプロモーター配列(すなわち、微生物にとって天然なプロモーター)または微生物にと
って異種であるプロモーター配列(すなわち、微生物には通常存在しないかまたはそれ以
外の供給源由来であるプロモーター)に作動可能に連結されていてもよい。適切なプロモ
ーターは、選択されたZwf遺伝子に対して天然でないプロモーターであるプロモーター
(すなわち、微生物にとって内因性であってもよく、または微生物にとって異種であって
もよい非Zwf遺伝子プロモーター)を含み得る。適切なプロモーターとしては、誘導性
プロモーターまたは構成的プロモーターを挙げることができる。適切なプロモーターは、
コハク酸を産生する微生物のプロモーター由来であり得る。
【0030】
他の実施形態において、Zwf遺伝子の発現は、翻訳レベルで最適化され得る。例えば
、異種Zwf遺伝子は、遺伝子にとって天然ではない宿主として組換え微生物が由来する
微生物における好ましい使用頻度を証明するコドンを含むように改変され得る。
【0031】
別の実施形態において、Zwf遺伝子などのポリヌクレオチドの発現は、組換え微生物
において比較的コピー数の多いポリヌクレオチドを提供することによって最適化され得る
。例えば、Zwf遺伝子は、組換え微生物において比較的コピー数が多くなるように複製
することができる後成的エレメント(例えば、プラスミド)上に存在し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、組換え微生物は、Zwf遺伝子に作動可能に連結された
プロモーターを含むDNA分子で形質転換された、Actinobacillus su
ccinogenesまたは関連微生物などのコハク酸を産生する微生物の組換え株であ
る。Zwf遺伝子は、内因性または異種のZwf遺伝子由来であり得、例えば、A.su
ccinogenes Zwf遺伝子(例えば、配列番号5)およびE.coli Zw
f遺伝子(例えば、配列番号1および2)を含み得る。他のZwf遺伝子は、公知であり
、それらのポリヌクレオチド配列は、公開されている(例えば、GenBankを参照の
こと)。コハク酸を産生する微生物の適切な内因性または天然プロモーター配列は、例え
ば、ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼプロモーター配列を含み得
る。A.succinogenesホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナ
ーゼプロモーター配列は、ヌクレオチド1〜258(配列番号4)であるアクセッション
番号AY308832としてGenBankに寄託されている。ホスホエノールピルビン
酸(PEP)カルボキシキナーゼプロモーターは、Zwf遺伝子について適切な異種プロ
モーター(すなわち、非Zwf遺伝子プロモーター)であり得る。
【0033】
本明細書に記載するように、組換え微生物は、後成的エレメントとして組換えDNA分
子を含み得、そして/または組換えDNA分子は、(例えば、組換えの適切な方法によっ
て)微生物のゲノムに組み込まれ得る。特定の実施形態において、DNA分子は、プラス
ミド、組換えバクテリオファージ、細菌人工染色体(BAC)および/またはE.col
iP1人工染色体(PAC)である。DNA分子は、選択可能なマーカーを含み得る。適
切な選択可能なマーカーとしては、カナマイシン耐性、アンピシリン耐性、テトラサイク
リン耐性、クロラムフェニコール耐性に対するマーカーおよびこれらの選択可能なマーカ
ーの組み合わせを含み得る。1つの実施形態において、選択可能なマーカーは、カナマイ
シン耐性である。
【0034】
本明細書に記載するように、組換えDNA分子は、組換え微生物(例えば、A.suc
cinogenes)においてポリヌクレオチドを発現するための、Zwf酵素の1つ以
上の生化学活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結さ
れた適切なプロモーターを含み得る。そのプロモーターは、コハク酸を産生する微生物に
おいてポリペプチドを発現するのに適切であり得る。いくつかの実施形態において、組換
えDNA分子は、(E.coli Zwf遺伝子またはA.succinogenes
Zwf遺伝子などの異種Zwf遺伝子を含み得る)Zwf遺伝子またはその改変体に作動
可能に連結されたホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼプロモーター
(例えば、A.succinogenesホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキ
シキナーゼプロモーター)を含む。例えば、DNA分子は、GenBankアクセッショ
ン番号NC_000913として寄託されたDNA配列のヌクレオチド1,932,86
3〜1,934,338の逆相補鎖(配列番号1)に作動可能に連結されたか;またはG
enBankアクセッション番号M55005として寄託されたDNA配列(配列番号2
)に作動可能に連結されたか;または配列番号5のDNA配列に作動可能に連結された、
GenBankアクセッション番号AY308832として寄託されたDNA配列のヌク
レオチド1〜258(配列番号4)またはその改変体を含み得る。いくつかの実施形態に
おいて、そのプロモーターは、配列番号4のポリヌクレオチドに対して少なくとも約95
%の配列同一性を有し、かつ組換え微生物においてプロモーター活性を有するポリヌクレ
オチドを含み得る。
【0035】
組換えDNA分子を含む組換え微生物は、発酵システムにおいて有機酸(例えば、コハ
ク酸または乳酸)を産生するのに適切であり得る。組換えDNA分子を含む組換え微生物
は、組換えDNA分子を含まない微生物に対して、発酵システムにおいて高レベルな有機
酸(例えば、コハク酸または乳酸)を産生し得る。
【0036】
1つ以上の上述の組換えDNA分子を含むDNAプラスミドもまた開示される。このD
NAプラスミドは、選択可能なマーカーを含み得る。適切な選択可能なマーカーとしては
、適切なプロモーター(例えば、構成的プロモーター)に作動可能に連結された、アンピ
シリン耐性、ストレプトマイシン耐性、カナマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、クロ
ラムフェニコール耐性およびスルホンアミド耐性の1以上の遺伝子を挙げることができる
。1つの実施形態において、DNAプラスミドは、カナマイシン耐性についての遺伝子を
含む。
【0037】
DNAプラスミドは、1以上の適切な宿主細胞においてプラスミドを維持および/また
は複製するために必要な配列を含み得る。1つの実施形態において、DNAプラスミドは
、適切な宿主細胞間のシャトルベクターとして機能することができる。DNAプラスミド
は、A.succinogenesとE.coliとの間のシャトルベクターとして機能
することができ得る。
【0038】
1以上の上述のDNA分子を含む宿主細胞もまた開示される。例えば、その宿主細胞は
、DNA分子を含むDNAプラスミドを含み得る。宿主細胞は、DNA分子を含むDNA
プラスミドを産生および単離するのに適切であり得る。
【0039】
宿主細胞は、発酵システムにおいて1以上の有機酸を産生するのに適切であり得る。い
くつかの実施形態において、宿主細胞は、発酵システムにおいて1以上の有機酸(例えば
、コハク酸または乳酸)の産生を促進するのに適切なレベルでZwf遺伝子(およびそれ
に続いてZwf酵素)を発現する。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、宿主細胞
における還元当量(例えば、NADPH)の濃度を高めるのに適切なレベルでZwf遺伝
子(およびそれに続いてZwf酵素)を発現し得る。宿主細胞は、その株における還元当
量(例えば、NADPH)の濃度を高めるのに適切なレベルでZwf遺伝子(およびそれ
に続いてZwf酵素)を発現するA.succinogenesの組換え株を含み得る。
このような株は、発酵システムにおいて組換えDNA分子を含まない株と比べて高レベル
なコハク酸を産生するのに適切であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態において、宿主細胞は、(例えば、発酵システムにおいて)少なく
とも約20g/L、40g/L、60g/L、80g/L、100g/L、120g/L
、140g/Lおよび/または160g/Lの濃度でコハク酸を産生することができる。
特定の実施形態において、宿主細胞は、約50g/L〜約130g/Lの濃度でコハク酸
を産生することができる。望ましくは、宿主細胞は、実質的な濃度でコハク酸以外の選択
された有機酸を産生しない。宿主細胞がコハク酸以外の有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、ピ
ルビン酸およびそれらの混合物)を産生する場合、望ましくはコハク酸以外の有機酸は、
わずか約30g/L、より望ましくはわずか約20g/L、より望ましくはわずか約10
g/L、そしてなおもより望ましくはわずか約5g/Lの濃度で産生する。
【0041】
上述の組換え微生物は、1以上の有機酸を産生するために栄養培地を発酵させる工程を
含む方法において使用され得る。いくつかの実施形態において、この方法は、Zwf遺伝
子(例えば、E.coli Zwf遺伝子)を発現する組換え微生物によって栄養培地を
発酵する工程を含み得る。この方法によって産生された有機酸は、コハク酸および乳酸を
含み得る。さらなる実施形態において、この方法は、少なくとも約20g/L、40g/
L、60g/L、80g/L、100g/L、120g/Lおよび/または160g/L
の濃度でコハク酸を産生するのに適している。
【0042】
特に、この方法は、有機酸(例えば、コハク酸)の産生を促進するのに適切なレベルで
Zwf遺伝子(およびそれに続いてZwf酵素)を発現するA.succinogene
sの組換え株を用いて栄養培地を発酵させる工程を含み得る。Zwf遺伝子は、異種Zw
f遺伝子を含み得る。異種Zwf遺伝子(すなわち、E.coli Zwf遺伝子)を発
現するA.succinogenesの組換え株は、ATCCアクセッション番号PTA
−6255として寄託されている。特定の実施形態において、組換え微生物は、有機酸(
例えば、コハク酸)の産生を促進するのに適切なレベルでZwf遺伝子(異種であり得る
)を発現する、Bisgaard Taxon6またはBisgaard Taxon1
0などの微生物の組換え株である。適切な組換え微生物はまた、有機酸(例えば、乳酸)
の産生を促進するのに適切なレベルでZwf遺伝子(異種であり得る)を発現するE.c
oliの組換え株を含み得る。
【0043】
この方法において、比較的高レベルな選択された有機酸(例えば、コハク酸および/ま
たは乳酸など)を産生する組換え微生物を用いて栄養培地を発酵させることが望ましいこ
とがある。従って、選択された組換え微生物は、高レベルな有機酸(例えば、コハク酸お
よび/または乳酸)に耐性であり得る。組換え微生物はまた、比較的低レベルな他の望ま
しくない副産物を産生するように選択され得る。例えば、組換え微生物は、比較的低レベ
ルな酢酸塩、ギ酸塩、ピルビン酸塩およびそれらの混合物(例えば、わずか約2.0g/
L、わずか約2.0g/Lのギ酸塩および/またはわずか約3.0g/Lのピルビン酸塩
)を産生し得る。約1g/L、2g/L、4g/Lおよび/または8g/Lの濃度のモノ
フルオロ酢酸ナトリウムに耐性である上記の組換え微生物は、この方法に適切である。
この方法において、栄養培地は、代表的には発酵性の炭素源を含む。発酵性の炭素源は
、発酵性のバイオマスによって提供され得る。1つの実施形態において、発酵性の炭素源
は、糖作物、デンプン作物および/またはセルロース作物残渣を含む供給材料由来である
。一般に、発酵性の炭素源は、グルコースなどの糖である。発酵性の炭素源はまた、糖ア
ルコールを含み得る。適切な実施形態において、この方法によりグルコース(g)に対し
て少なくとも約100%のコハク酸収量(g)を生じる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
Zwf酵素活性を有するポリペプチドを発現するDNA分子で形質転換されたコハク酸
を産生する微生物の組換え株。
(項目2)
前記微生物の16S rRNAがActinobacillus succinoge
nesの16S rRNAと少なくとも約90%の配列同一性を有する、項目1に記載
の組換え株。
(項目3)
前記微生物が、Actinobacillus succinogenes、Bisg
aard Taxon6およびBisgaard Taxon10からなる群から選択さ
れる微生物である、項目2に記載の組換え株。
(項目4)
Zwf酵素活性が、NADPレダクターゼ活性を含む、項目1に記載の組換え株。
(項目5)
前記微生物が、異種Zwf遺伝子で形質転換される、項目1に記載の組換え株。
(項目6)
前記異種Zwf遺伝子が、前記微生物における発現に最適化されている、項目5に記
載の組換え株。
(項目7)
前記異種Zwf遺伝子が、E.coliのZwf酵素をコードする、項目5に記載の
組換え株。
(項目8)
前記Zwf遺伝子が、配列番号1と少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌク
レオチドを含む、項目5に記載の組換え株。
(項目9)
前記ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する
、項目1に記載の組換え株。
(項目10)
前記DNA分子が、Zwf酵素活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチ
ドに作動可能に連結されたホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼにつ
いての転写プロモーターを含む、項目1に記載の組換え株。
(項目11)
前記転写プロモーターが、Actinobacillus succinogenes
ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼプロモーターを含む、項目1
0に記載の組換え株。
(項目12)
前記プロモーターが、配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌク
レオチドを含み、該ポリヌクレオチドが、プロモーター活性を有する、項目10に記載
の組換え株。
(項目13)
前記DNA分子が、後成的である、項目1に記載の組換え株。
(項目14)
前記DNA分子が、プラスミド上に存在する、項目13に記載の組換え株。
(項目15)
前記組換え株が、約50g/L〜約130g/Lの濃度でコハク酸を産生することがで
きる、項目1に記載の組換え株。
(項目16)
前記組換え株が、少なくとも約1g/Lのモノフルオロ酢酸ナトリウムのレベルに耐性
である、項目1に記載の組換え株。
(項目17)
前記組換え株が、ATCCアクセッション番号PTA−6255として寄託されている
組換えActinobacillus succinogenesである、項目1に記
載の組換え株。
(項目18)
NADPレダクターゼ活性を有するポリペプチドを発現するDNA分子で形質転換され
、該ポリペプチドが、配列番号3と少なくとも約95%の配列同一性を有する、コハク酸
を産生する微生物の組換え株。
(項目19)
項目1〜18のいずれかに記載の組換え微生物を用いて栄養培地を発酵する工程を含
む、コハク酸を産生するための方法。
(項目20)
前記栄養培地が、グルコースを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記方法が、グルコース(g)に対して少なくとも約100%のコハク酸収量(g)を
生じる、項目19に記載の方法。
(項目22)
異種Zwf遺伝子に作動可能に連結されたコハク酸を産生する微生物についての転写プ
ロモーターを含むDNA分子。
(項目23)
前記コハク酸を産生する微生物が、Actinobacillus succinog
enesである、項目22に記載のDNA分子。
(項目24)
前記転写プロモーターが、ホスホエノールピルビン酸(PEP)カルボキシキナーゼプ
ロモーターを含む、項目22に記載のDNA分子。
(項目25)
前記プロモーターが、配列番号4と少なくとも約95%の配列同一性を有するポリヌク
レオチドを含み、該ポリヌクレオチドが、プロモーター活性を有する、項目22に記載
のDNA分子。
(項目26)
項目22〜25のいずれかに記載のDNA分子を含むDNAプラスミド。
(項目27)
項目26に記載のDNAプラスミドを含む宿主細胞。
(項目28)
前記宿主細胞が、約50g/L〜約130g/Lの濃度でコハク酸を産生することがで
きる、項目27に記載の宿主細胞。