(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部は、先端工具外周に配設される3つのガイド部であって、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置がそれぞれ、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の80°〜100°の角度範囲内の位置となる第1のガイド部と、170°〜190°の角度範囲内の位置となる第2のガイド部と、25°〜29°の角度範囲内の位置となる第3のガイド部とを配置してなる、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置構造。
切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、
前記ガイド部は、先端工具外周に配設され、刃部の切削力の主分力を受ける第1のガイド部、当該切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部とからなり、
前記第2のガイド部は、該第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように配置され、
前記第3のガイド部は、該第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の25°〜29°の角度範囲内の位置となるように配置される、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置構造。
切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置方法において、
前記ガイド部として、先端工具外周に第1〜第3のガイド部を配設し、前記第1のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の80°〜100°の角度範囲内の位置となるように該第1のガイド部を配置し、前記第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように該第2のガイド部を配置し、
前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の1°〜89°、91°〜179°、及び、271°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となるように該第3のガイド部を配置したと仮定して、該第3のガイド部の配置角度(α3)の値を前記角度範囲内で変化させつつ、先端工具を取り付けたボーリングバーにおける定常切削状態からの変位の変動に係る運動方程式をそれぞれ立て、当該運動方程式を基に特性方程式を得て、その特性根s=σ+jNを虚部Nが所定数以下の各整数付近である場合について求めて、得られる実部σの最大値が各Nのいずれについても負となる角度(α3)の範囲を取得し、
前記取得した角度(α3)の範囲内に、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分が位置するよう、該第3のガイド部の配置角度を設定する、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置方法。
切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置方法において、
前記ガイド部として、先端工具外周に、切削力の主分力を受ける第1のガイド部、切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部の三つを配設し、
前記第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように該第2のガイド部を配置し、
前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の1°〜89°、91°〜179°、及び、271°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となるように、該第3のガイド部を配置したと仮定して、該第3のガイド部の配置角度(α3)の値を前記角度範囲内で変化させつつ、先端工具を取り付けたボーリングバーにおける定常切削状態からの変位の変動に係る運動方程式をそれぞれ立て、当該運動方程式を基に特性方程式を得て、その特性根s=σ+jNを虚部Nが所定数以下の各整数付近である場合について求めて、得られる実部σの最大値が各Nのいずれについても負となる角度(α3)の範囲を取得し、
前記取得した角度(α3)の範囲内に、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分が位置するよう、該第3のガイド部の配置角度を設定する、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の発明の先端工具は、第3のガイド部により、先端工具の挙動の不安定な状態を解消し、周期的に現れる変形や変位を無くして、加工後の穴内周の表面状態を適切なものとし、加工精度及び穴加工全体の作業効率を高めようとしたものである。
しかしながら、第3のガイド部の配置位置が、第2のガイド部の回転方向遅れ側の所定範囲内に限定されたものであったため、より広範な応用という点では、なお発展の余地があった。
【0008】
本発明は、特許文献1に記載の先端工具発明における、第3のガイド部の配置を、作用効果が安定して得られ、且つ、より自由度の高い適切な新規な位置に配置して、先端工具の切削中の姿勢及び先端の直進移動作用を安定維持させて、加工後の穴内周の表面状態を好適なものとする切削加工用先端工具のガイド部配置構造及びガイド部配置方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
即ち、本発明の第1の局面による切削加工用先端工具のガイド部配置構造は、切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、前記ガイド部は、先端工具外周に配設される3つのガイド部であって、ガイド部の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置がそれぞれ、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の80°〜100°の角度範囲内の位置となる第1のガイド部と、170°〜190°の角度範囲内の位置となる第2のガイド部と、1°〜34°、146°〜179°、及び、326°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となる第3のガイド部とを配置してなることを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置構造である。
【発明の効果】
【0010】
このような構成の切削加工用先端工具のガイド部配置構造によれば、先端工具の刃部に加わる力の分力をそれぞれ受ける第1、第2の二つのガイド部に加え、工具の不安定性を顕著に抑える第3のガイド部を前記した適切な3つの角度範囲内のいずれかに配設して、加工中の工具の自励振動に繋がる変位の変動をこの第3のガイド部を含む三つのガイド部で制限することにより、工具全体の直進切削動作を安定状態に維持して加工精度を高め、加工後の穴断面を多角形とすることなく、且つ穴内面にライフリングマーク等を発現させず、問題のない美麗な表面状態にするものである。これにより、追加工や仕上げ作業も不要となり、手間やコストの面でも有利となる。
【0011】
また、本発明の第2の局面による切削加工用先端工具のガイド部配置構造は、切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置構造において、前記ガイド部は、先端工具外周に配設され、刃部の切削力の主分力を受ける第1のガイド部、当該切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部とからなり、前記第2のガイド部は、該第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように配置され、前記第3のガイド部は、該第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の1°〜34°、146°〜179°、及び、326°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となるように配置される、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置構造である。
このような構成の切削加工用先端工具のガイド部配置構造によれば、上記した第1の局面と同様の効果を得ることができる。
【0012】
また、本発明の第3の局面による切削加工用先端工具のガイド部配置構造は、上記の第1または第2の局面のガイド部配置構造において、前記第3のガイド部は、該第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の25°〜29°の角度範囲内の位置となるように配置される、ことを特徴とする。
【0013】
このような構成の切削加工用先端工具のガイド部配置構造によれば、切削加工で発生が予想されるライフリングマーク等の穴の多角形断面形状パターンのうち、パターン形成に伴う現実的な影響の大きい角形数について不安定状態を抑えられる角度範囲に第3のガイド部を配置することにより、現実的に発生しやすい角形数の多角形断面形状パターンの形成に繋がる不安定状態を三つのガイド部で確実に抑えられ、ライフリングマーク等の形成のない高精度の穴加工が行える。
【0014】
本発明の第4の局面による切削加工用先端工具のガイド部配置方法は、切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置方法において、前記ガイド部として、先端工具外周に第1〜第3のガイド部を配設し、前記第1のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の80°〜100°の角度範囲内の位置となるように該第1のガイド部を配置し、前記第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように該第2のガイド部を配置し、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の1°〜89°、91°〜179°、及び、271°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となるように該第3のガイド部を配置したと仮定して、該第3のガイド部の配置角度(α
3)の値を前記角度範囲内で変化させつつ、先端工具を取り付けたボーリングバーにおける定常切削状態からの変位の変動に係る運動方程式をそれぞれ立て、当該運動方程式を基に特性方程式を得て、その特性根s=σ+jNを虚部Nが所定数以下の各整数付近である場合について求めて、得られる実部σの最大値が各Nのいずれについても負となる角度(α
3)の範囲を取得し、該取得した角度(α
3)の範囲内に、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分が位置するよう、該第3のガイド部の配置角度を設定する、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置方法である。
【0015】
このような構成の切削加工用先端工具のガイド部配置方法によれば、切削加工におけるライフリングマーク等の発生を、いわゆる時間遅れ系によるパターン形成現象と捉えて、加工用工具の変位変動を解析して系の安定性を検証し、特性根の実部σが負の値となって安定と判別できる角度の位置に第3のガイド部を配置することにより、三つのガイド部で切削中の工具の不安定化を防止してライフリングマーク等の形成を抑えられ、加工精度を高められると共に、追加工や仕上げ作業も不要となり、手間やコストの面でも有利となる。
【0016】
また、本発明の第5の局面による切削加工用先端工具のガイド部配置方法は、切削油を供給されつつ切削加工を行うための先端工具における、工具外周で被削材の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部の切削力を受けるガイド部の配置方法において、前記ガイド部として、先端工具外周に、切削力の主分力を受ける第1のガイド部、切削力の背分力を受ける第2のガイド部、及び第3のガイド部の三つを配設し、前記第2のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように該第2のガイド部を配置し、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部の切れ刃位置を0°として、刃部の回転方向の遅れ側の1°〜89°、91°〜179°、及び、271°〜359°の各角度範囲の少なくとも一つの角度範囲内の位置となるように、該第3のガイド部を配置したと仮定して、該第3のガイド部の配置角度(α
3)の値を前記角度範囲内で変化させつつ、先端工具を取り付けたボーリングバーにおける定常切削状態からの変位の変動に係る運動方程式をそれぞれ立て、当該運動方程式を基に特性方程式を得て、その特性根s=σ+jNを虚部Nが所定数以下の各整数付近である場合について求めて、得られる実部σの最大値が各Nのいずれについても負となる角度(α
3)の範囲を取得し、該取得した角度(α
3)の範囲内に、前記第3のガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分が位置するよう、該第3のガイド部の配置角度を設定する、ことを特徴とする切削加工用先端工具のガイド部配置方法である。
このような構成の切削加工用先端工具のガイド部配置方法によれば、上記した第4の局面と同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る切削加工用先端工具のガイド部配置構造を
図1ないし
図7に基づいて説明する。
図1は本実施形態に係るガイド部配置構造を用いた先端工具の概略構成図、
図2は本実施形態に係るガイド部配置構造でモデル化した先端工具及びボーリングバーの模式図、
図3は本実施形態に係るガイド部配置構造の模式図、
図4は本実施形態に係るガイド部配置構造の解析結果における3角形付近から5角形付近までの特性根の実部と虚部の変化説明図、
図5は本実施形態に係るガイド部配置構造の解析結果における6角形付近から8角形付近までの特性根の実部と虚部の変化説明図、
図6は本実施形態に係るガイド部配置構造の解析結果における9角形付近及び10角形付近の特性根の実部と虚部の変化説明図、
図7は本実施形態に係るガイド部配置構造の解析結果における各角形数の実部の準静的における値及び3次までの最大値の第3のガイド部の配置角度に対する各変化説明図である。
【0019】
前記各図において本実施形態に係るガイド部配置構造は、ボーリングバー40の先端に取り付けられて被削材50に対し相対回転する先端工具1における、工具外周で被削材50の穴内面と接触するガイド部が、先端工具外周に三つ配設されるものである。そして、ガイド部の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、工具回転中心まわりに、刃部10の切れ刃11の位置を0°として、刃部10の回転方向の遅れ側(即ち、刃部10が被削材50から反力を受ける向きの側)にそれぞれ所定の角度を成す位置となるように配置される第1のガイド部21と第2のガイド部22、及び、それらのガイド部21、22とは異なる位置に配置される第3のガイド部23とを備える構成である。なお、前記刃部10は、先端工具1本体と一体に固定もしくは着脱可能に配設され、端部に切れ刃11を形成されてなる公知の切削部材であり、詳細な説明は省略する。
また、刃部10は複数個に分割されているものとしても良い。換言すれば、先端工具1は、外周刃、中間刃、中心刃等の複数の刃部を備えるものであっても良い。
また、刃部10の個数(換言すれば、分割数)に関わらず、本発明において0°位置の基準となる「切れ刃」という場合、当該「切れ刃」は、先端工具1の外周付近に位置し、被削材50と干渉してこれを切削することにより穴の内周面を形成する切れ刃のことを指すものとする。
【0020】
前記各ガイド部21、22、23は、パッドとして先端工具本体外周部に取り付けられ、被削材50の穴内面と接触して切削油を通す隙間を生じさせつつ刃部10の切削力を受けるものである。第1及び第2のガイド部21、22の工具本体への取り付け構造は従来公知のものと同様であって、本例では、刃部10の切れ刃11の位置を0°として、第1のガイド部21の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部10の回転方向の遅れ側の80°〜100°の角度範囲内の位置となるように第1のガイド部21を配置し、第2のガイド部22の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、刃部10の回転方向の遅れ側の170°〜190°の角度範囲内の位置となるように第2のガイド部22を配置するものである。また、第3のガイド部23の工具本体に対する取り付け位置以外の取り付け構造については、従来公知の工具のガイド部同様であり、詳細な説明は省略する。なお、第1〜第3のガイド部21、22、23は、先端工具1本体と一体に固定もしくは着脱可能に配設されるものである。
【0021】
第3のガイド部23は、切れ刃11の位置を0°として、第3のガイド部23の、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、工具回転中心まわりに、刃部10の回転方向の遅れ側の1°〜34°の角度範囲内の位置となるように配置されるものである。このように、第3のガイド部23が、先端工具における刃部10に近い特定の範囲内に存在していることで、所定の角形数として形成されようとするパターンのうち、偶数角形の各角形数についての安定を確保しつつ、奇数角形の各角形数として形成されようとするパターン同士の打消しによる不安定状態の抑制が図れる。この第3のガイド部23については、このガイド部23の工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置が、後述する解析により安定性が認められる角度範囲である、刃部10の回転方向の遅れ側の25°〜29°の角度範囲内の位置となるように配設するのがより好ましい。
【0022】
次に、本実施形態に係るガイド部配置構造が、ライフリングマーク発生等の不安定状態を抑える性質を有する点を示すための解析過程について説明する。
BTA方式等による深穴加工を含む切削加工で、本来円断面形状であるべき切削穴が多角形化するライフリングマーク等の発生は、切削によるパターン形成現象であり、こうした現象は、切削時の変動が刃部10やガイド部21、22、23を介して時間をおいてフィードバックされる時間遅れによる不安定振動と捉えることができる。本発明では、こうした現象について、解析モデルをたて、数値解析により線形時間遅れ系の特性方程式より特性根を求めて、系の安定判別を行い、不安定振動が発生しにくいガイド部21、22、23の位置関係を検討している。
【0023】
まず、先端工具1を取り付けたボーリングバー40を梁としたモデル化について説明する。
図2に模式図を示す。先端工具1を取り付けたボーリングバー40について、座標系として、ボーリングバーの始端を原点とし、ボーリングバーに沿ってZ軸、水平方向にX軸、鉛直方向にY軸をとり、先端工具を質点として先端に質量を付加した長さLの梁としてモデル化する。このモデルにおける仮定として、ボーリングバーの始端(Z=0)は固定端とし、終端(Z=L)では先端工具の質量mと被削材側から受ける外力のみ考慮し、曲げモーメントは無視する。また、ねじりモーメントは考慮しない。
【0024】
また、工具各部にかかる力を
図3に示す。工具による切削は被削材50に下穴がある状態で行われるものとする。この切削に際しては、被削材側が時計回りに回転しているものとし、所定の回転速度ωで回転周期T=2π/ωとなる。切削に係る仮定としては、刃部の切れ刃とガイド部をなすパッドは長手方向に幅があるため、この幅の範囲で繰り返し被削材の同一位置と接触するが、切れ刃が最初に被削材にあたる部分でのみ切削が行われ、それ以降に切れ刃と被削材が接触する部分では切削は行われないものとする。この切削部分では切削力として主分力P
cと背分力Q
c=bP
cが作用し、切削力は切削面積に比例する。また、2周目以降に刃部が被削材と接触する部分では、垂直抗力N
cと摩擦力F
c=μ
cN
cが作用する。
【0025】
さらに、各ガイド部のX軸(切れ刃位置)から時計回りの角度をα
i(i=1、2、3、・・・)とする。これら各ガイド部では切削は行われず、被削材との接触は線接触(XY平面で見れば点接触)として、垂直抗力N
iと摩擦力F
i=μ
iN
iが作用する。なお、垂直抗力の特性は線形ばねでモデル化し、摩擦力はクーロン摩擦とする。これら刃部とガイド部の影響は、それぞれn
c、n
i回転後まで考慮する。一方、切削における重力の影響は考慮しない。
【0026】
これまでの仮定を考慮しつつ、モデル化したボーリングバーについて、定常切削状態からの各軸方向への変位の変動をx、yとして運動方程式を立てると、梁の曲げの運動方程式であるため、バーの縦弾性係数E、粘性減衰係数c、密度ρ、断面2次モーメントI、断面積Aを用いて、次式で表せる。
【0027】
【数1】
また、境界条件は、始端が固定端であり、先端での曲げモーメントは0であるために、工具に作用する各軸方向の外力F
X、F
Yを用いて、以下のようになる。なお、各方向の力の変動は前記記号の上側に「^」を付けて表している。
【0028】
【数2】
切削面積の変動は1回転当りの送りδからδ・x(L,t)と表すことができ、単位面積当りの切削力(比切削抵抗)K
cを用いて、主分力と背分力の変動は次のようになる。ただし、背分力は主分力に対する割合がbになると考える。
【0029】
【数3】
さらに、2周目以降に刃部が被削材と接触する部分における垂直抗力と摩擦力の変動は、刃の影響としてn
c回転分までの接触を考慮し、また刃と被削材との接触における単位送り長さ当りのばね定数k
c、動摩擦係数μ
c、回転の周期lを用いて、次のように表せる。
【0030】
【数4】
加えて、ガイド部が被削材と接触する部分における垂直抗力、摩擦力の変動は、所定のガイド部iの半径方向変位の変動r
iが次式
r
i(t)=x(L,t)cosα
i−y(L,t)sinα
i (5)
で表せることから、ガイド部の影響はn
i回転分までの接触を考慮し、また、ガイド部と被削材との接触における単位長さ当たりのばね定数k
i、動摩擦係数μ
iを用いて、
【0031】
【数5】
と表せることとなる。
これらを用いて、工具に作用するX、Y各軸方向の外力の変動はそれぞれ次のように表すことができる。
【0032】
【数6】
前記式(4)、式(6)は、l周期前までに削った分が相対的な変位となることを意味しており、それがn
c、n
i回転後まで時間遅れの項としてフィードバックされることとなり、パターン形成現象の特徴を示している。
【0033】
続いて、前記運動方程式の固有値解析を経て、特性方程式を得る過程について説明する。
運動方程式に対してτ=ωtとする変数変換を施すと次式が得られる。なお、次式におけるx、yの上のドットはτに関する微分を表す。
【0034】
【数7】
さらに上式に対して、初期値を0としてτに関するLaplace変換を行うと次式を得ることができる。ここでこれ以降の記号上側の「~」はそれぞれの変動のLaplace変換を表し、sはLaplace変換変数である。
【0035】
【数8】
X、Yの各変位の変動のLaplace変換は、いずれもZに関する特性指数が等しく、それをλ(s)とすると次のように表せる。
【0036】
ρAω
2s
2+cωs+EIλ(s)
4=0 (10)
これより、特性指数λ(s)は次のように表すことができる。
【0038】
【数10】
と表せる。また、前記各境界条件も、同様に変数変換し、Laplace変換を行うことで次式が得られる。
【0041】
【数13】
以上から、次式が得られる。
【0043】
【数15】
であり、これらの式よりマトリクス表示を行うと、
【0044】
【数16】
となる行列A(s)が求まる。これより、特性方程式
【0045】
【数17】
が得られ、その特性根sを次式で表せる。
【0046】
s=σ+jN (20)
この特性根sを求めることによって、系の安定判別を行うことができる。すなわち、特性方程式を満たす特性根sにおける実部σはパターン形成現象の不安定性を示す値となっており、特性根のうち1つでも実部σが正になるものがあれば一様な切削が不安定となる。逆に全ての特性根の実部σが負であれば系は安定となり、パターンは形成されない。特性根の虚部Nは、τ=ωtの変数変換を行ったため、再変換するとNωとなる。特性根の虚部は発生する振動の振動数(1回転当りの振動の回数)にあたるので、工具の回転速度がωのとき、発生する振動数は回転速度ωのN倍となる。したがってNは形成される多角形断面のパターンの角形数に相当する。深穴加工におけるライフリングマークは、この角形数が整数値からずれ、このずれが切削しながら進んでいくことにより発生するといえる。
【0047】
従来の工具におけるガイド部の位置関係は、第1のガイド部の角度α
1=80°〜100°の範囲内、第2のガイド部の角度α
2=170°〜190°の範囲内であるが、この場合、完全に系を安定とすることはできず、ライフリングマークが発生してしまうことから、本実施形態ではガイド部を3つとし、考慮すべき全ての角形数において実部が負となるガイド部の位置を見つける。
【0048】
具体的には、ガイド部2つの場合を基本としてこれらのガイド部の角度α
1=90°、α
2=180°を固定とし、第3のガイド部の角度α
3を1°〜89°の範囲で変化させて解析を行い、安定なガイド位置を見出す。
【0049】
解析では、第3のガイド部の角度α
3の値をその取り得る1°から89°までの角度範囲で変えながらその各値についてそれぞれ運動方程式を設定し、これから上記のように特性方程式を得、特性方程式を数値的に解いて特性根を求め、特性根の虚部Nが整数付近の場合、すなわち角形数付近の場合における実部σの工具回転数変化に対応して変化する値を計算して各Nごとのσの最大値を取得する。このσについて、正負を判定して系の安定判別を行うこととなる。なお、虚部Nについては、整数値から大きくずれるものは実際に発生するライフリングマークとの比較から現実的なものでないため、整数値に近い範囲の解のみ考慮すれば十分である。
数値解析に用いる基本的な解析条件を以下の表1に示す。
【0051】
断面積A、断面2次モーメントIはボーリングバーの内径d
1=12.0×10
-3[m]と外径d
2=17.8×10
-3[m]から計算された値である。送りδは被削材側を15[Hz]で回転させ、工具側を1.0[mm/s]で送ったときの値である。時間遅れを考慮するn
c、n
iは、実際の工具において、刃の下の部分が10[mm]、ガイドの軸方向長さが20[mm]であることから決定した。切れ刃の比切削抵抗や2周目以降の切れ刃と被削材の接触剛性は、文献やこれまでの研究を参考にして設定した値を用いている。また粘性減衰係数cについては、最も低次の固有振動数に対する減衰比が1.0%程度になるように値を設定しているため、条件によってはcの値が変化しているところもある。なお、パターン形成の安定判別を行う際に、摩擦自励振動が発生してしまう条件では、そうでない条件の場合と不安定度の大きさが全く異なり、パターン形成の安定判別を行えないが、実際の切削においては、摩擦自励振動が共存すると、その不安定の度合いの大きさから、すぐに発散振動となってしまうこともあり、実際に摩擦自励振動が発生する条件で稼動しているとは到底考えられないことから、本発明の解析では全て摩擦自励振動が発生しない条件で行っている。
【0052】
また、考慮する角形数については、従来報告されているライフリングマークの角形数が3角形や5角形であること、実際にはガイド部と被削材が線接触ではなく分布接触であることなどを踏まえて10角形付近までとする。つまり、ここでは10角形付近までの特性根の実部σ(不安定度)が負であれば、ライフリングマークは発生せず、全て安定であると考える。ここで、まずガイド部2つのみの場合について解析を行ってみると、従来同様の第1のガイド部の角度α
1=90°、第2のガイド部の角度α
2=180°の場合が、不安定性を抑える点では最適であり、角度α
2=180°となる第2のガイド部が偶数角形の角形数については安定で、偶数角形のパターン形成を抑える効果のあることがわかるが、奇数角形では不安定な領域をもち、ライフリングマークを完全に抑制することはできないことが解析からも裏付けられた。ただし、偶数角形と共に奇数角形についても、全体的に不安定度を下げるためには、α=30°近辺にガイド部が存在することが好ましい傾向が現れている。そこで、解析の例として、第3のガイド部の角度α
3=30°とした場合を説明する。この場合の工具における各方向における3次までの固有振動数を以下の表2に示す。
【0054】
この状態での、工具回転数を変化させた場合の3角形付近〜10角形付近までの特性根の実部σと虚部Nの変化を
図4ないし
図6に示す。横軸は回転数fと、対応する角形数の整数値N
0の積を表し、縦軸は上側が実部σ、下側が虚部Nの値を表している。各図中の縦方向の点線は、それぞれX方向のモードに対応した固有振動数、Y方向のモードに対応した固有振動数を表している。また、同様に横方向の点線は、特性根の実部σ=0、または虚部N=N
0を表している。
【0055】
虚部Nは整数値N
0からの所定微小範囲内のずれのみ着目している。それぞれの角形数における虚部Nの整数値N
0からのずれとライフリングマークのピッチとの関係は、ずれが大きくなると、ライフリングマークのピッチが小さくなる傾向にあり、ライフリングマークのピッチがあまり小さすぎるものは現実的ではない。そのため、虚部Nが整数値から大きくずれるものは実際に発生するライフリングマークとの関係で現実的ではないといえる。よって、解析では、Nが整数付近の場合のみ着目すれば十分であり、Nの前記範囲外の解は無視し、他のガイド角度の場合も同様に考える。
【0056】
図4ないし
図6から、偶数角形については、常にσ<0であり、刃部の対面に第2のガイド部があることからも常に安定であることが確認できる。奇数角形は、どの角形数においても固有振動数付近のピーク以外では不安定度が下がっており、特に3角形、5角形、7角形については常にσ<0で完全に安定となっている(特に、5角形、7角形については大きく安定となっている)。つまり、この条件であれば3角形、5角形や7角形のライフリングマークはどの回転数であっても発生しないといえる。これは第2のガイド部と第3のガイド部との間隔が150°となり、5角形の2波長144°および7角形の3波長154°に近いことから、パターンが2つのガイドを介して工具に与える影響が相殺されるためであると考えられる。いずれの角形数の場合も、実部σの最大値は3次の固有振動数でのピーク値となっている。
【0057】
前記と同様の手順で、第3のガイド部23の角度α
3の値を変えながらそれぞれ運動方程式を設定し、これから特性方程式を得て特性根を求め、特性根の虚部Nが10以下の整数付近の場合における実部σの工具回転数変化に対応して変化する値を計算して各Nごとのσの準静的における値及び3次固有振動数までの最大値を求める。こうしてα
3のとり得る値ごとに求めたσの準静的における値及び3次までの最大値を、横軸を角度α
3として角形数ごとにプロットしたものを
図7(A)、(B)にそれぞれ示す。なお、偶数角形についてはいずれの場合もσ<0となって全て安定のため図示を省略する。
【0058】
図7では、縦軸は特性根の実部σの大きさを、横軸は第3のガイド部23の取り得る1°から89°までの角度をそれぞれ示している。
図7より、奇数角形については、9角形までの全ての角形数で実部σが負の値となる、すなわち安定している角度範囲としては、
図7(A)の準静的においての値については1°〜34°の範囲が、
図7(A)の3次までの最大値については25°〜29°の範囲が挙げられる。偶数角形については全て安定していることから、本実施形態に係るガイド配置の場合、第3のガイド部23の角度α
3=1°〜34°、より好ましくは、α
3=25°〜29°とすることによって、不安定状態を抑えて安定化できると考えられる。
【0059】
このように、本実施形態に係る切削加工用先端工具のガイド部配置構造は、先端工具1の刃部10に加わる力の分力をそれぞれ受ける二つのガイド部21、22に加え、第3のガイド部23を配設すると共に、深穴加工を含む切削加工におけるライフリングマーク等の発生を、いわゆる時間遅れ系によるパターン形成現象と捉えて、加工用工具の変位変動を解析して系の安定性を検証し、特性根の実部σが負の値となって安定と判別できる角度の位置に第3のガイド部を配置するようにして、加工中の工具の自励振動に繋がる変位の変動をこの第3のガイド部23を含む三つのガイド部21、22、23で制限することから、工具全体を安定に動作する状態に維持して、穴断面を多角形とするような不安定状態に陥らず、加工後の穴内面にライフリングマーク等があらわれず、問題のない表面状態として加工精度を高められると共に、追加工や仕上げ作業も不要となり、手間やコストの面でも有利となる。
【0060】
(本発明の第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る切削加工用先端工具のガイド部配置構造を
図8及び
図9に基づいて説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るガイド部配置構造の模式図である。本実施形態に係るガイド部配置構造が第1の実施形態のものと異なる点は、第3のガイド部23の配置位置のみである。即ち、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置につき、第1のガイド部21の角度α
1を80°〜100°の範囲内とし、第2のガイド部22の角度α
2を170°〜190°の範囲内とすることは第1の実施形態と同じである一方、第3のガイド部23の角度α
3を第1実施形態とは異なる91°〜179°の範囲で変化させて解析を行い、安定なガイド位置を見出し、そこに配置する。
【0061】
具体的な解析例として、第1のガイド部の角度α
1=90°、及び、第2のガイド部の角度α
2=180°を固定とし、第3のガイド部の角度α
3を91°〜179°の範囲で変化させて第1の実施形態と同様の解析を行い、安定なガイド位置を見出す。なお、第3のガイド部23の配置位置以外の条件は、第1の実施形態と同じである。
偶数角形と共に奇数角形について、全体的に不安定度を下げるためには、α=150°近辺にガイド部が存在することが好ましい傾向が現れている。
【0062】
第1の実施形態の場合と同様の手順で、第3のガイド部23の角度α
3の値を変えながらそれぞれ運動方程式を設定し、これから特性方程式を得て特性根を求め、特性根の虚部Nが10以下の整数付近の場合における実部σの工具回転数変化に対応して変化する値を計算して各Nごとのσの準静的における値及び3次固有振動数までの最大値を求めた。こうしてα
3のとり得る値ごとに求めたσの準静的における値及び3次までの最大値を、横軸を角度α
3として角形数ごとにプロットしたものを
図9(A)、(B)にそれぞれ示す。なお、偶数角形については、いずれの場合もσ<0となって全て安定のため図示を省略する。
【0063】
図9では、縦軸は特性根の実部σの大きさを、横軸は第3のガイド部23の取り得る91°から179°までの角度をそれぞれ示している。
図9(A)より、奇数角形については、9角形までの全ての角形数で実部σが負の値となる、すなわち安定している角度範囲としては、146°〜179°の範囲が挙げられる。ただし、
図9(B)においては、9角形までの全ての角形数で実部σが負の値となる範囲は存在しない。偶数角形については全て安定していることから、本実施形態に係るガイド配置の場合、第3のガイド部23の角度α
3=146°〜179°とすることによって、不安定状態を相当程度抑えて、安定化できると考えられる。
【0064】
(本発明の第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る切削加工用先端工具のガイド部配置構造を
図10及び
図11に基づいて説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係るガイド部配置構造の模式図である。
本実施形態が第1及び第2実施形態と異なるのは、第3のガイド部23の配置位置のみである。即ち、工具回転中心から工具径方向に最も離れた部分の位置につき、第1のガイド部21の角度α
1を80°〜100°の範囲内、第2のガイド部の角度α
2を170°〜190°の範囲内とし、第3のガイド部の角度α
3を271°〜359°の範囲で変化させて解析を行い、安定なガイド位置を見出し、そこに配置する。
【0065】
具体的な解析例として、第1のガイド部の角度α
1=90°、及び、第2のガイド部の角度α
2=180°を固定とし、第3のガイド部の角度α
3を271°〜359°の範囲で変化させて上記の各実施形態と同様の解析を行い、安定なガイド位置を見出す。なお、第3のガイド部23の配置位置以外の条件は、第1の実施形態と同じである。
偶数角形と共に奇数角形について、全体的に不安定度を下げるためには、α=330°近辺にガイド部が存在することが好ましい傾向が現れている。
【0066】
上記の各実施形態と同様の手順で、第3のガイド部23の角度α
3の値を変えながらそれぞれ運動方程式を設定し、これから特性方程式を得て特性根を求め、特性根の虚部Nが10以下の整数付近の場合における実部σの工具回転数変化に対応して変化する値を計算して各Nごとのσの準静的における値及び3次固有振動数までの最大値を求めた。こうしてα
3のとり得る値ごとに求めたσの準静的における値及び3次までの最大値を、横軸を角度α
3として角形数ごとにプロットしたものを
図11(A)、(B)にそれぞれ示す。なお、偶数角形については、いずれの場合もσ<0となって全て安定のため図示を省略する。
【0067】
図11では、縦軸は特性根の実部σの大きさを、横軸は第3のガイド部23の取り得る271°から359°までの角度をそれぞれ示している。
図11(A)より、奇数角形については、9角形までの全ての角形数で実部σが負の値となる、すなわち安定している角度範囲としては、326°〜359°の範囲が挙げられる。ただし、
図9(B)においては、9角形までの全ての角形数で実部σが負の値となる範囲は存在しない。偶数角形については全て安定していることから、本実施形態に係るガイド配置の場合、第3のガイド部23の角度α
3=326°〜359°とすることによって、不安定状態を相当程度抑えて、安定化できると考えられる。
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。