(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信ネットワーク上において、従業者の就業に関する就業規則情報、及び就業に対する報酬に関する給与情報を参照し、前記出退勤時刻情報に基づいて、従業者の給与情報を算出する給与額算出ステップをさらに有することを特徴とする請求項4又は5に記載のモバイル勤怠管理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、社内LAN等の通信ネットワークが整備された環境下のみで利用可能な技術であるため、例えば、仮設店舗や作業現場等の勤務先では、通信ネットワークが整備されていない場所もあり、そのような場所では利用できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、専用の機器を用いることなく、仮店舗及び作業現場等、通信ネットワークが整備されていないような環境下においても容易に利用することができるモバイル勤怠管理システム及びモバイル勤怠管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、無線通信を含む通信ネットワークを通じて、データ通信を行う移動端末機を用い、従業者の勤怠を管理するモバイル勤怠管理システムであって、移動端末機側において、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体を読み取る読取部と、通信ネットワーク上において、読取部から読み取られた従業者識別情報を取得し、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行する認証処理部と、認証処理部において実行された認証処理の時刻を、出退勤時刻情報として取得する計時部と、計時部において取得された出退勤時刻情報と、従業者識別情報とを関連付けて記録する記憶部と備え、移動端末機は、自機の現在位置を測定する位置情報取得部を有し、認証処理部は、認証を許可する範囲を記述した地図情報を有し、認証処理に際し、該地図情報を参照して、当該移動端末機の現在位置が所定の範囲内に属するか否かを判断する。
【0008】
また、他の発明は、無線通信を含む通信ネットワークを通じて、データ通信を行う移動端末機を用い、従業者の勤怠を管理するモバイル勤怠管理方法であって、
(1)移動端末機側において、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体を読み取る読取ステップと、
(2)通信ネットワーク上において、読取部から読み取られた従業者識別情報を取得し、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行する認証処理ステップと、
(3)認証処理部において実行された認証処理時の時刻を、出退勤時刻情報として取得する計時ステップと、
(4)計時部において取得された出退勤時刻情報と、従業者識別情報とを関連付けて記録する記録ステップと
を有する。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、上記課題を解決するために、本発明は、無線通信を含む通信ネットワークを通じて、データ通信を行う移動端末機を用い、従業者
が使用する通信端末を通じて当該従業者の勤怠を管理するモバイル勤怠管理システムであって、移動端末機側において、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体を読み取る読取部
と、通信ネットワーク上において、読取部から読み取られた従業者識別情報を取得し、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行する認証処理部と、
通信ネットワーク上において、認証処理部において実行された認証処理の時刻を、出退勤時刻情報として取得する計時部と、
通信ネットワーク上において、計時部において取得された出退勤時刻情報と、従業者識別情報とを関連付けて記録する記憶部と、
各従業者の出勤予定時刻を経過した時点で、認証処理がされていない従業者に対して、打刻未完了処理として打刻がされてない旨を確認する打刻未完了通知メールを、従業者が使用する通信端末に送信させる勤怠管理部とを備え、
従業者が使用する通信端末は、自機の現在位置を測定する位置情報取得部
と、打刻未完了メールの受信に応じて打刻修正を申請する修正申請メールを、現在位置とともに送信する送信部とを有し、
勤怠管理部は、修正申請メール及び現在位置を受信し、当該
通信端末の現在位置が所定の範囲内に属するか否かを判断
し、現在位置が所定の範囲内でない場合に、打刻修正を不可とする。
【0010】
また、他の発明は、無線通信を含む通信ネットワークを通じて、データ通信を行う移動端末機を用い、従業者
が使用する通信端末を通じて当該従業者の勤怠を管理するモバイル勤怠管理方法であって、
移動端末機側において、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体を読み取る読取ステップと、
(1)通信ネットワーク上において、読取
ステップで読み取られた従業者識別情報を取得し、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行する認証処理ステップと、
(2)認証処理
ステップにおいて実行された認証処理時の時刻を、出退勤時刻情報として取得する計時ステップと、
(3)計時
ステップにおいて取得された出退勤時刻情報と、従業者識別情報とを関連付けて記録する記録ステップと
、
(4)各従業者の出勤予定時刻を経過した時点で、認証処理がされていない従業者に対して、打刻未完了処理として打刻がされてない旨を確認する打刻未完了通知メールを、勤怠管理部が、従業者が使用する通信端末に送信させるステップと、
(5)従業者が使用する通信端末が、自機の現在位置を測定し、打刻未完了メールの受信に応じて打刻修正を申請する修正申請メールを、現在位置とともに送信するステップと、
(6)勤怠管理部が、修正申請メール及び現在位置を受信し、当該通信端末の現在位置が所定の範囲内に属するか否かを判断し、現在位置が所定の範囲内でない場合に、打刻修正を不可とするステップと
を有する
【0011】
上記発明において、記憶部は、従業者の宛先アドレスを従業者識別情報に関連付けて記憶しており、通信ネットワーク上には、計時部が取得した出退勤時刻情報を含めた勤務情報を、宛先アドレスに基づいて通信ネットワークを通じて従業者の通信端末に通知する勤務情報通知部が備えられていることが好ましい。この場合には、勤務先に設置された移動端末機が取得した出退勤時刻情報を従業者に通知するので、従業者は打刻確認をすることができ、自己の勤務記録を管理することができる。
【0012】
また、上記発明において、記憶部は、従業者に関する就業規則情報を有しており、通信ネットワーク上には、記憶部に記憶された就業規則情報を参照し、出退勤時刻情報に基づいて、従業者の給与情報を算出する給与額算出部を備え、勤務情報には、給与情報が含まれることが好ましい。この場合には、記憶部に記録された出退勤時刻情報と、就業規則情報とに基づいて、従業者毎の給与額を算出することができるとともに、その情報を勤務情報として従業者に通知することができるので、従業者は、給与情報についても確認することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、この発明によれば、従業者の勤怠を管理するにあたり、専用の機器を用いることなく、仮店舗及び作業現場等、通信ネットワークが整備されていないような環境下においても容易に利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(勤怠管理システムの全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る勤怠管理システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る勤怠管理システムの全体構成を示す概念図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る勤怠管理システムは、無線通信を含む通信ネットワーク7を通じてデータ通信を行う移動端末機2を、勤務先9におけるタイムカードの打刻機として用い、従業者の勤怠を管理するモバイル勤怠管理システムである。具体的に、本実施形態における勤怠管理システムは、通信ネットワーク7上に、勤怠管理サーバ3と、無線基地局4と、無線基地局4又は通信衛星8を通じて無線通信が可能な移動端末機2と、従業者が所有する通信端末5とを備えている。
【0017】
通信ネットワーク7は、無線通信網を含み、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワークであり、この通信ネットワーク7には、10BASE−Tや100BASE−TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。
【0018】
勤怠管理サーバ3は、通信ネットワーク7上に配置され、アプリケーション管理、デバイス管理、ユーザー管理、稼働状況管理、監視・制御管理、設定管理、リモート管理、データ収集管理など、移動端末機2を遠隔的に、管理・制御するアプリケーションサーバーである。これらの管理機能により、勤怠管理サーバ3は、遠隔地に設置されたタイムカードの打刻機としての役割を果たす移動端末機2に対して、勤怠管理アプリケーションを配布したり、勤怠管理アプリケーションのアプリケーション設定や、リモート管理における制御通知、及び移動端末機2からデータを収集したりする。
【0019】
具体的に、この勤怠管理サーバ3は、勤怠管理業務に関し、各勤務先における従業者の勤怠状況を収集し、その収集結果を用いて給与計算を行う等、従業者の勤務管理を行う雇用者側が運用するサーバ装置である。本実施形態においては、勤怠管理サーバ3は、予め従業者の識別情報や、勤務先情報を登録し、移動端末機2から送信された各情報に基づいて、各処理を実行する。
【0020】
勤務先9は、従業者が一定の時間勤務する場所であり、本実施形態においては、例えば、建設中の作業現場や特産品販売の仮店舗等である。この勤務先9では、移動端末機2が打刻機として設置されており、この移動端末機2には、従業者識別情報を読み取る読取装置1が接続されている。この勤務先9において、従業者は、出退勤時に、自己が所有する従業者識別情報が記録された記録媒体100を読取装置1に読み取らせることによってタイムカードの打刻を行う。この読取装置1が読み取った従業者識別情報は、通信ネットワーク7を通じて勤怠管理サーバへ送信される。
【0021】
無線基地局4は、中継装置6を通じて通信ネットワーク7に接続され、移動端末機2との間で無線通信接続を確立し、移動端末機2による通話やデータ通信を提供する装置である。なお、本実施形態における無線基地局4は、通信ネットワーク7上において、各移動端末がどのセルに在圏しているのかを管理する位置情報取得部としての機能を果たす。具体的には、移動端末機2から送信された位置登録の要求に基づいて、当該移動端末機2の位置を特定する。この位置登録要求は、ユーザの移動などによって在圏するセルが切り替えられた場合、移動端末機2から、新たに在圏することになったセルを管理する無線基地局に対して送信され、この位置登録要求とともにフェムトセル基地局に割り当てられている基地局識別情報に基づいて、移動端末機2の位置を把握することができる。
【0022】
中継装置6は、通信ネットワーク7に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置であり、通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局4と、通信ネットワーク7との間における中継処理を行う。
【0023】
移動端末機2は、勤務先などの現場に設置されたタイムカードの打刻機としての役割を果たすクライアント端末であり、勤怠管理サーバ3にアクセスすることにより、勤怠管理サーバ3によって、勤怠管理アプリケーションの設定情報や制御通知を受信したり、勤怠管理に関する打刻データなどのデータを送信する機能を備えている。
【0024】
具体的に、移動端末機2は、無線通信を利用した携帯電話機であり、一般的な基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。また、移動端末機2は、無線基地局4との間で無線通信を行う機能と、アプリケーションを実行する機能も備えている。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、上述した通信方式とは別の無線通信インターフェースとして、無線LANの規格等に準じたIPパケットの送受による通信方式に対応した機能も備えている。さらに、この移動端末機2は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、或いはGPS機能等の機能が搭載され、携帯情報端末(PDA)としての機能も果たす。そして本実施形態において、移動端末機2には、読取装置1が接続されている。
【0025】
この移動端末機2上で実行される勤怠管理アプリケーションは、勤怠管理サーバ3から、設定情報や制御通知を受信することにより、遠隔的に、勤怠管理サーバ3により制御され、この移動端末機2上で操作された打刻処理などのイベント発生を監視し、所定のデバイス操作やタイマーなどによりイベントが発生すると、勤怠管理サーバ3からの設定情報や制御通知に応じて、所定のアプリケーション動作やデバイス動作を実行し、収集された打刻データなどを勤怠管理サーバ3に送信する。
【0026】
読取装置1は、移動端末機2側において、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体100を読み取るリーダライタ装置である。この読取装置1としては、接触式、又は非接触式の装置であり、接触式の装置には、ICチップ等が搭載されたカードや磁気カードなどをスロットに挿入する挿入式の装置や、スリットの上から下へ通すスライド式の装置などがあり、非接触式の装置には、ICチップ搭載のカードの内部にアンテナを持ち、外部のリーダライタ装置が発信する弱い電波を利用してデータを送受信する装置などがある。
【0027】
なお、本実施形態においては、読取装置1は移動端末機2と外部接続された構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、従業者識別情報を読み取り、打刻できればよく、例えば、移動端末機2に読取装置1が内蔵された構成としてもよい。
【0028】
記録媒体100は、従業者が所有する従業者識別情報が記録された記録媒体であり、本実施形態においては、社員証、免許証、又はクレジットカードなどのカード式の記録媒体である。このカードには、
図1に示すように、例えば、磁気帯100aや、ICチップ100bを有しており、この磁気帯100aや、ICチップ100bに従業者の識別情報を記録することができる。なお、本実施形態において、記録媒体100は、カード式の記録媒体としたが、これに限定されるものではなく、従業者の識別情報が記録され、携帯することができればよく、例えば、ICチップを内蔵した携帯電話等であってもよい。
【0029】
通信端末5は、CPUによる演算処理機能、及び通信インターフェースによる通信処理機能を備えたユーザー端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータや、機能を特化させた専用装置により実現することができ、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機等も含まれる。
【0030】
(各装置の内部構造)
次いで、上述した勤怠管理システムを構成する各装置の内部構造について説明する。
図2は、本実施形態に係る勤怠管理システムを構成する読取装置1、及び移動端末機2の内部構成を示すブロック図であり、
図3は、本実施形態に係る勤怠管理システムを構成する無線基地局4の内部構成を示すブロック図であり、
図4は、本実施形態に係る勤怠管理システムを構成する通信端末5の内部構成を示すブロック図であり、
図5は、本実施形態に係る勤怠管理サーバ3の内部構成を示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0031】
(1)移動端末機2及び読取装置1
読取装置1は、移動端末機2と有線又は無線によって接続された装置であり、
図2に示すように、識別情報取得部101と、出力インターフェース102とを備えている。識別情報取得部101は、記録媒体100に記録された従業者顧客情報を読み取り、取得するモジュールであり、この情報を移動端末機2へ送信する。出力インターフェース102は、取得した識別情報を移動端末機2へ出力するモジュールである。本実施形態において、読取装置1と、移動端末機2との接続方法としては、例えば、USBケーブルを介した接続や、ブルートゥースなどの無線通信を用いてもよい。また、読取機能を備えたマイクロSD等の記憶カードを読取装置1として、直接、移動端末機2に内蔵した形態としてもよい。
【0032】
移動端末機2は、
図2に示すように、ユーザーインターフェース系のモジュールとして入力インターフェース21と、出力インターフェース22とを備えている。入力インターフェース21は、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスであり、本実施形態においては、読取装置1の出力インターフェース102から入力された情報を取得する機能も備えいている。出力インターフェース22は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース22には、液晶ディスプレイなどの表示部22aが含まれており、アプリケーションにより構築されるGUI(Graphical User Interface)がこの表示部22aに表示される。
【0033】
さらに、移動端末機2は、位置情報取得部23を備えている。位置情報取得部23は、自機の現在位置を測定するモジュールであり、例えば、衛星8からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、接続処理部27が確立した通信相手である基地局の基地局識別子や、この基地局からの信号強度などの電波状況から、移動端末機2自身で自機の位置情報を取得することが可能となっている。
【0034】
また、移動端末機2は、通信系のモジュールとして無線インターフェース26と、接続処理部27とを備えている。無線インターフェース26は、通話やデータ通信を行うための移動通信用のプロトコルによる無線通信機能と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる無線通信機能とを備えている。なお、この無線インターフェースは、モバイルコンピュータやPDAにおいては、無線LANアダプタ等により実現することができる。
【0035】
本実施形態では、アクセスポイントである無線基地局4とクライアントである移動端末機2の双方で同じ識別子が設定される。そして、この識別子を通じて、無線基地局4で、自機の無線通信範囲に存在するユーザー端末を検出し、自動的にリンクを設定して、無線LANのホットスポットを形成し、データ通信が可能となる。
【0036】
接続処理部27は、無線基地局4と無線通信を介して接続するためのモジュールであり、自機を特定するための識別子(電話番号や、IPアドレス、ユーザーID)を接続対象となる無線基地局4に送信し、認証を行う。なお、接続処理部27は、無線基地局4との間で無線LAN接続を行う場合には、データの送受信を行うためのリンクを形成するために、無線信号を監視し、無線基地局4を識別する識別子を検出するようにしてもよい。
【0037】
さらに、移動端末機2は、アプリケーション実行系のモジュールとして、制御部25と、メモリ24とを備えている。制御部25は、CPU等の演算処理装置であり、この制御部25上で各種プログラムを実行することにより、各機能モジュールを仮想的に構築する。この制御部25には、アプリケーション実行系のモジュールとして、実行処理部25cと、実行条件判定部25aと、勤怠状況通知部25bとが構築される。
【0038】
実行処理部25cは、勤怠管理に関するアプリケーションを実行し、従業者の出退勤操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築するモジュールである。
【0039】
また、実行処理部25cで実行されるアプリケーション内には、UI制御部25dが備えられている。このUI制御部25dは、表示部22a上に現在時刻と、出退勤の実行ボタン22bとを併せて表示する。この実行ボタン22bは、従業者が出退勤時に自己の出退勤時刻を入力するためのインターフェースであり、この実行ボタン22bに対する操作は、入力インターフェース21に含まれるエンターキーや、タッチパネルによるクリックなどにより実行することができる。
【0040】
また、UI制御部25dは、
図6(a)及び(b)に示すように、実行ボタン22bの有効(同図(b)の状態)及び無効(同図(a)の状態)を切り換える機能を有しており、実行条件判定部25aが、出退勤情報に関する条件が満たされたと判定した場合に、実行ボタン22bを有効化し、出退勤時刻の入力のための操作を受け付け可能とする。本実施形態では、移動端末機2が勤務先9内に在圏しているときのみ実行ボタン22bを有効化し、勤務先9から離れると実行ボタン22bが無効化されるように制御する。
【0041】
勤怠状況通知部25bは、実行ボタン22bが操作されるなど、ユーザー操作が入力された場合に、その操作に関する情報を勤怠状況通知として、勤怠管理サーバ3に通知するモジュールである。この通知の方式としては、例えば、所定の文字列を記述した電子メールを送信したり、所定のURLにアクセスして、HTTPなどのプロトコルにより所定の情報データを送受信することなどが考えられる。この勤怠状況通知には、当該移動端末機2を特定するための識別子(電話番号、端末ID)が含まれ、自動的に認証処理を行えるようになっており、送信した勤怠状況と移動端末とを関連づけて、勤怠管理サーバ3に蓄積することができる。
【0042】
実行条件判定部25aは、アプリケーションの実行に関する条件(実行条件)が満たされたか否かを判断し、各移動端末での実行処理部25cによるアプリケーションの実行を規制するモジュールである。この実行条件判定部25aで判断される条件には、ユーザー認証の可否、及び位置情報などの利用条件が含まれる。
【0043】
位置情報としては、位置情報取得部23により取得された現在位置を用いてもよく、また、接続処理部27が確立した無線通信の相手方である無線基地局4を特定する基地局識別子や電波状況(信号強度等)であってもよい。なお、この基地局識別子としては、当該基地局との通信周波数や、当該基地局が管轄するセル、確立された通信接続に関する拡散コード等を特定するため、当該基地局に固有の所謂スクランブリングコードを用いることもできる。
【0044】
そして、実行条件判定部25aは、位置情報として、移動端末機2の現在位置が従業者が勤務する勤務先9の所定エリア内となったときに、利用条件が満たされたと判定する。
【0045】
(2)中継装置6及び無線基地局4
中継装置6は、
図3に示すように、通信系モジュールとして、通信ネットワーク7に対する通信インターフェースである通信部61と、無線基地局4との接続を制御する接続管理部65と、無線基地局4に対する無線通信と、通信ネットワーク7に対するパケット通信との間で、データ変換を行うデータ変換部63とを備えている。
【0046】
また、中継装置6は、移動端末機2の現在地を特定するための位置情報管理部62を備えており、移動端末機2が通信を確立した無線基地局4を特定する基地局識別子を管理し、この基地局識別子に基づいて、移動端末機2が在圏するフェムトセルを特定し、無線基地局4における移動端末機2に対する電波強度を用いるなどして、移動端末機2の位置情報を算出する。このように基地局識別子に基づいて得られた位置情報は、勤怠管理サーバ3に通知される。なお、この基地局識別子による位置情報の特定は、移動端末機2側で行い、移動端末機2から勤怠管理サーバ3に通知することもできる。
【0047】
(3)勤怠管理サーバ3
勤怠管理サーバ3は、
図5に示すように、通信系のモジュールとして、通信部302と、接続処理部301と、勤務情報通知部303とを備えるとともに、ユーザー管理系のモジュールとして制御部310を備えている。また、この制御部310には、各種データを記録する記憶部320と、現在時刻を取得する計時部304とが接続されている。
【0048】
通信部302は、パケットデータを送受信することにより各種データを通信ネットワーク7に対して送受信する通信デバイスである。本実施形態では、この通信部302は、Webページをインターネット上に配信するWebサーバ機能や電子メール受信機能を備えており、HTTPやSMTP等のプロトコルにより、移動端末機2からのWebサイトへのアクセスや、移動端末との電子メールの送受信を実行し、これらのプロトコルを通じて、勤怠状況通知を取得することができる。接続処理部301は、無線基地局4と、無線基地局4が管轄する所定エリア内に在圏する移動端末機2との無線通信を確立させるモジュールである。
【0049】
記憶部320は、勤怠管理システムに関する情報を蓄積するデータベースであり、本実施形態においては、ユーザーに関する情報を保持する従業者DB320aと、勤務先の位置情報を保持する地
図DB320bと、勤務に関する情報を保持する勤怠管理DB320cとを備えている。
【0050】
従業者DB320aは、従業者識別番号に、従業者の氏名、住所、携帯電話番号、メールアドレス、勤務先及び就業時間等を関連付けて記憶するメモリ装置である。特に、本実施形態において、従業者DB320aは、従業者が所有する通信端末5の宛先アドレスを従業者識別情報に関連付けて記憶している。特に、従業者DB320aには、従業者が現在、勤務している勤務先情報や、その勤務先の始業時刻及び終業時刻などの出勤予定時刻についても記録されている。
【0051】
地
図DB320bは、認証を許可する勤務先の範囲を記述した地図情報が格納されたメモリ装置である。本実施形態において、地
図DB320bは、期間毎に変化する建設中の作業現場や特産品販売の仮店舗等の位置情報を随時更新する。勤怠管理DB320cは、従業者に関する就業規則情報や、給与額などの勤怠情報等を記憶するメモリ装置である。具体的に、勤怠管理DB320cは、計時部304において取得された出退勤時刻情報と、従業者識別情報とを関連付けて記録する。
【0052】
計時部304は、随時現在時刻を取得するモジュールであり、本実施形態においては、認証処理部313において実行された認証処理の時刻を、出退勤時刻情報として取得し、その取得した現在時刻を制御部310に送信する。
【0053】
制御部310は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行っている。本実施形態において、制御部310は、従業者登録部311と、認証処理部313と、勤怠管理部312とを備えている。
【0054】
認証処理部313は、識別情報取得部101から読み取られた従業者識別情報を取得し、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行するモジュールである。具体的に認証処理部313は、アクセス者の正当性を検証するコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、通信ネットワーク7を通じて従業者識別情報を取得し、従業者DB320aを照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認する。そして、認証処理部313は、認証結果情報を勤怠管理部312へ送信する。
【0055】
また、認証処理部313は、認証処理に際し、地
図DB320b内の地図情報を参照して、移動端末機2から取得した位置情報データと照合させ、移動端末機2の現在位置が所定の範囲内に属するか否かを判断する機能を有している。具体的に、認証処理部313は、地
図DB320b内の地図情報と、移動端末機2から取得した位置情報データに基づいて、各移動端末機2上に構築された実行ボタン等のユーザーインターフェースを有効とする条件を、該当する移動端末の実行条件判定部25aに対して設定又は更新する。
【0056】
この実行条件の設定又は更新は、通信部302を通じて移動端末機2にアクセスし、移動端末機2のメモリ上に保存させる。移動端末機2では、実行条件判定部25aにより実行条件の判定を行う際、メモリに記録された実行条件を読み出し、その条件の適否を判定する。この認証処理部313により設定される実行条件としては、位置情報や時間(勤務期間等)が含まれる。
【0057】
従業者登録部311は、本システムによる勤怠管理を受けるための従業者登録を受け付け、従業者DB320aに記録するモジュールである。ここで、従業者登録部311は、従業者登録の際に、従業者を特定するための識別子として、従業者識別番号であるIDを登録し、従業者の情報として、氏名、住所、携帯電話番号、メールアドレス等を登録し、及び従業者の勤務条件として、勤務先、勤務時間等を登録する。
【0058】
勤怠管理部312は、通信ネットワーク7を通じて各移動端末機2から勤怠状況通知を受信し、各従業者の勤怠状況を抽出して、管理するモジュールである。具体的に、勤怠管理部312は、認証処理部313において実行された認証処理の際における時刻を、出退勤時刻情報として計時部304から取得し、出退勤時刻情報を従業者識別番号と関連付けて、勤怠管理DB320cに記録する。また、勤怠管理部312は、各従業者の出勤予定情報を参照し、出勤予定時刻を経過した時点で、打刻処理がされていない従業者に対して、打刻未完了処理として、打刻確認や打刻修正を実行する機能も有している。
【0059】
また、勤怠管理部312には、給与額算出部312aを備えており、勤怠管理DB320cに記憶された就業規則情報を参照し、従業者DB320aに記憶された出退勤時刻情報に基づいて、従業者の給与情報を算出する機能を備えている。
【0060】
勤務情報通知部303は、計時部304が取得した出退勤時刻情報を含めた勤務情報を、宛先アドレスに基づき、通信ネットワーク7を通じて従業者の通信端末5に通知するモジュールである。具体的に、勤務情報通知部303は、出勤及び退勤の打刻を受け付けた旨の情報や、出勤予定時刻を経過した際、打刻されていない出勤予定者に対して、打刻がされてない旨を確認する打刻未完了通知メールを送信する。さらに、勤務情報通知部303は、出退勤時刻や給与額等の勤務情報を通信部302を介して、通信端末5へ送信する機能も備えている。なお、本実施形態において、勤務情報通知部303は、これらの各情報を、勤怠管理部312において蓄積された時点で、ユーザーに対して即時通知するようになっている。
【0061】
(4)通信端末5
通信端末5には、ユーザーインターフェース系のモジュールとして入力インターフェース51と、出力インターフェース52とを備えている。入力インターフェース51は、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスである。
【0062】
出力インターフェース52は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース52には、液晶ディスプレイなどの表示部52aが含まれており、アプリケーション実行部53により、給与情報、及び出退勤時刻情報を含めた勤務情報を、この表示部22aに表示する。
【0063】
アプリケーション実行部53は、一般のOSやブラウザソフト、ワープロソフトなどのオフィスソフト、画像表示ソフトなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現される。本実施形態において、アプリケーション実行部53は、例えば、電子メールアプリケーションを起動させることで、打刻確認メール等の情報が表示部52aに表示され、インターネットアプリケーションを実行された場合には、所定のURLにアクセスして、HTTPなどのプロトコルにより、これまでの労働時間や、給与額など、最新の勤務情報データを表示する。
【0064】
また、通信端末5には通信インターフェース54を備えている。通信インターフェース54は、データ通信を行うための通信インターフェースであり、無線等による非接触通信や、ケーブル,アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。本実施形態において、通信インターフェース54は、通信ネットワーク7を通じて、勤怠管理サーバ3に対して勤務情報の要求を送信するとともに、勤怠管理サーバ3から勤務情報データを受信する。
【0065】
(勤怠管理方法)
以上の構成を有する勤怠管理システムを動作させることによって、勤怠管理方法を実施することができる。
図7は、本実施形態に係る勤怠管理方法を示すフローチャート図である。なお、本実施形態においては、予め、勤務先9に読取装置1が接続された移動端末機2が設置され、この移動端末機2のメモリ24には、認証処理部313において、設定された実行条件情報が記録されているものとする。
【0066】
先ず、従業者は、勤務先9に出社又は帰社する際に、自己が所有する識別情報が記録された記録媒体100を、読取装置1に読み取らせることで、識別情報取得部101は、従業者を識別する従業者識別情報を記録した記録媒体を読み取る(S101)。
【0067】
この際、移動端末機2は、自機の現在位置を測定し(S102)、その情報をメモリ上に記憶している実行条件に基づいて、所定の勤務先か否かを判断する(S103)。移動端末機2が勤務先の所定範囲内でない場合には(S103における“N”)、
図6(a)に示すように、実行ボタン22bが操作不可の状態となり、終了となる。一方、移動端末機2が勤務先の所定範囲内である場合には(S103における“Y”)、移動端末機2が勤務先9内に在圏していると判断し、
図6(b)に示すように、実行ボタン22bを有効化し、従業者は、この実行ボタンを押下する。この押下操作に応じて、移動端末機2は、読み取った従業者識別情報を、無線インターフェース26を通じて、勤怠管理サーバ3に送信する(S104)。
【0068】
次いで、勤怠管理サーバ3の通信部302は、読取装置1から読み取られた従業者識別情報を取得し(S105)、その信号を認証処理部313に入力する。認証処理部313は、従業者識別情報に基づいて、認証処理を実行する(S106)。具体的には、従業者DB320aに記録された従業者識別情報に関連付けられた勤務先情報を参照し、その従業者が勤務先9において勤務する者か否かを判断する。認証処理が正当と判断された場合には(S107における“Y”)、計時部304から認証処理部313において実行された認証処理時の時刻を、出退勤時刻情報として取得し(S108)、出退勤情報を、従業者識別情報に関連付けて勤怠管理DB320cに記憶する(S109)。また、勤務情報通知部303は、認証が許可された旨と、その時刻情報とを、通信ネットワーク7を介して、移動端末機2に通知する(S110)。
【0069】
一方、認証処理が不当と判断された場合には(S107における“N”)、認証が許可されない旨の情報を移動端末機2に通知する(S110)。移動端末機2は、これらの情報を取得し、表示部22aにその情報を表示する(S117)。
【0070】
次いで、従業者が通信端末5を用いて、自己の出退勤情報及び給与情報を閲覧するために、勤怠管理サーバ3にアクセスする(S111)。なお、本実施形態において、この従業者のアクセスに際しては、ユーザーIDやパスワードの入力を受け付けて、ユーザー認証を行うようにしてもよい。
【0071】
勤怠管理サーバ3は、そのアクセスを受信し、従業者の操作情報を取得する(S112)。給与額算出部312aは、従業者DB320aから、従業者の就業に関する就業規則情報、及び就業に対する報酬に関する給与情報を参照し、出退勤時刻情報に基づいて、従業者の給与情報を算出する(S113)。そして、勤務情報通知部303は、給与額、及び出退勤時刻情報を含めた勤務情報を、宛先アドレスに基づいて通信ネットワーク7を通じて従業者の通信端末5に通知する(S114)。従業者の通信端末5は、勤務情報を受信し(S115)、表示部52aにその勤務情報を表示させる(S116)。
【0072】
(打刻未完了メール通知機能)
次いで、始業時刻が経過した後に打刻処理が未完了である従業者が存在している場合に、ユーザーの通信端末5にその旨を通知し、修正処理を実行する場合について説明する。
図8は、本実施形態に係る打刻未完了メール通知処理の動作を示すフローチャート図である。なお、本実施形態においても、予め、ある勤務先9に読取装置1が接続された移動端末機2が設置され、勤怠管理サーバ3側では、従業者DB320aにおいて、各従業者の出勤予定時刻が設定されているものとする。
【0073】
先ず、勤怠管理サーバ3の勤怠管理部312は、時刻情報を継続的に監視し、現在時刻が各従業者の始業時刻か否かを判断する(S201)。現在時刻が始業時刻よりも前である間は(S201における“N”)、始業開始前として、ループ処理により監視状態を維持する。一方、現在時刻が始業時刻を経過した場合には(S201における“Y”)、出勤予定の従業者の中から、打刻処理がされていない従業者の有無を判断する(S202)。
【0074】
全ての従業者が打刻処理されている場合には(S202における“N”)、全員が始業しているとして処理を終了する。一方、打刻処理がされていない従業者がいる場合には(S202における“Y”)、勤怠管理部312において打刻未完了メールを生成し、勤務情報通知部303は、従業者DB320aからその従業者のメールアドレスを取得して、その従業者の通信端末5へ打刻未完了メールを送信する(S203)。
【0075】
従業者は、打刻未完了メールを受信し(S401)、打刻を忘れている場合には、打刻修正を申請するメールを作成し、勤怠管理サーバ3へ送信する(S402)。この際、従業者の通信端末5の位置情報も同時に送信される。これを受けて、勤怠管理部312は、修正申請メール及び位置情報を受信し(S204)、その位置情報が勤務先9内か否かを判断する(S205)。位置情報が勤務先9内でない場合には(S205における“N”)、勤怠管理部312は、ユーザーが出勤していないとして、修正不可と判断し(S212)、申請結果をユーザーの通信端末5に送信して(S211)、処理を終了する。
【0076】
一方、位置情報が勤務先9内である場合には(S205における“Y”)、勤務先9の責任者に対して、承認の有無を確認するメールを通知する(S206)。なお、本実施形態において、この通知は責任者の通信端末か、勤務先9に設置されてある移動端末機2に送信され、責任者以外が閲覧することができないように暗号化されている。
【0077】
責任者は、メールを受信し(S301)、従業者が出勤していることを確認後、この承認の可否データを送信する(S302)。勤怠管理部312は、責任者の承認情報を受信し(S207)、承認の可否を判断する(S208)。責任者が従業者の出勤を承認していない場合には(S208における“N”)、修正不可と判断し(S212)、申請結果をユーザーの通信端末5及び、責任者の通信端末に送信して(S211)、処理を終了する。
【0078】
一方、責任者が従業者の出勤を承認している場合には(S208における“Y”)、勤怠管理部312は修正可能と判断し(S209)、従業者の打刻情報を修正し(S210)、その申請結果をユーザーの通信端末5及び、責任者の通信端末に送信して(S211)、処理を終了する。なお、この際、勤怠管理部312は、勤怠管理DBのデータを更新させる処理も実行する。
【0079】
従業者及び責任者は申請結果のデータを受信する(S303、及びS403)。なお、本実施形態において、修正申請の可否は、従業者の位置情報と、勤務先の責任者の承認とによって行われたが、本発明はこれに限定されるものではなく、他人が本人になりすまして不正に給与を得ることを防止することができればよく、いずれか一方によって、修正申請の可否を決定してもよい。
【0080】
(レジューム機能)
次いで、モバイル勤怠管理システムにおけるレジューム機能について説明する。
図9は、本実施形態に係るモバイル勤怠管理システムのレジューム処理の動作を示すフローチャート図である。なお、この場合においても、予め、ある勤務先9に移動端末機2が設置され、移動端末機2には複数の従業者の出退勤に関する情報が記録されているされているものとする。
【0081】
上述したように、移動端末機2上では、勤怠管理サーバ3から配布された勤怠管理アプリケーションが実行されており、勤怠管理サーバ3から、設定情報や制御通知を受信することによって、遠隔的に勤怠管理サーバ3により制御され、この移動端末機2上で操作された打刻処理などのイベント発生を監視し、所定のデバイス操作やタイマー制御などによりイベントが発生すると、勤怠管理サーバ3からの設定情報や制御通知に応じて、所定のアプリケーション動作やデバイス動作を実行し、収集された打刻データなどを勤怠管理サーバ3に送信する。
【0082】
レジューム機能は、所定の時間内における移動端末機2に対する操作の有無をデバイス制御及びタイマー制御により監視し、操作がない場合に、移動端末機2内のデータを全て消去する処理を実行する。具体的には、先ず、移動端末機2は、最後に操作終了されてから、所定期間が経過したかを継続的に監視する(S501)。所定期間が経過していない場合には(S501における“N”)、ループ処理により監視状態を維持する。
【0083】
一方、所定期間が経過した場合には(S501における“Y”)、移動端末機2に記録されている従業者の出退勤時刻などの勤務情報データを勤怠管理サーバ3へ送信し(S502)、メモリ24内のすべてのデータを消去する(S503)。このように、移動端末機2内の全てのデータを消去することによって、例えば、移動端末機2が盗難に遭ったりしても、内部のデータが漏洩するのを回避できる。
【0084】
勤怠管理サーバ3は、勤務情報データを受信し(S601)、勤怠管理DB320cのデータを更新させる(S602)。そして、次ぎの処理があるまで、待機状態となる(S603)。移動端末機2は、勤務情報データを勤怠管理サーバ3に送信した後は、待機状態となり(S504)、次ぎの操作信号を取得したか否かを判断する(S505)。操作信号が取得されていない間は(S505における“N”)、待機状態を維持する。
【0085】
一方、操作信号を取得した場合には(S505における“Y”)、実行処理部25cは、認証情報を要求する画面を表示部22aに表示させる(S506)。この認証情報は、従業者のID及びパスワードであっても、記録媒体100に記録された識別情報であってもよい。
【0086】
従業者が認証情報を入力、又は読取装置1に読み取らせることで、移動端末機2は、認証情報を取得し(S507)、実行条件判定部25aは、認証情報に基づいて、ユーザー認証の可否を決定する(S508)。認証情報が不当である場合には(S508における“N”)、その後の操作を受け付けず、終了する。
【0087】
他方、認証処理が正当と判断された場合には(S508における“Y”)、移動端末機2は、勤怠管理サーバ3に対して、直前の勤務情報データを要求する(S509)。勤怠管理サーバ3は、データの要求を受信し(S604)、記憶部320から最新の勤務情報を抽出し、復元データとして、通信部302を介して移動端末機2に送信する(S605)。移動端末機2は、復元データを受信すると(S510)、勤怠管理に関するアプリケーションを実行し、従業者の出退勤操作を受け付けるユーザーインターエースを構築させて、打刻処理を実行する(S511)。
【0088】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、読取装置1によって読み取られた、例えば、IDカード等の記録媒体に記録された従業者を識別する識別情報を、無線通信を利用して、通信ネットワーク7上に送信することができるので、仮店舗及び作業現場等の有線通信回線が配設されていない環境下においても、通信ネットワーク7上へ従業員の出退勤情報を管理することができる。その結果、タイムレコーダー等の専用機器を用いることなく、設置コスト等のコストを削減することができる。
【0089】
ここで、勤務先9に設置された移動端末機2は、持ち運び可能な移動端末機であるため、容易に勤務先から移動端末機2が持ち出された状態で認証及び打刻がされてしまう問題もあるが、本実施形態では、移動端末機2の位置情報に基づいて表示部22aに表示された実行ボタン22bを有効又は無効にするので、勤務先以外の場所での認証及び打刻を防止することができる。
【0090】
また、本実施形態において、従業者DB320aは、従業者の宛先アドレスを従業者識別情報に関連付けて記憶しており、勤怠管理サーバ3には、計時部304が取得した出退勤時刻情報を含めた勤務情報を、宛先アドレスに基づいて通信ネットワーク7を通じて従業者の通信端末5に通知する勤務情報通知部303が備えられているので、勤務先9に設置された移動端末機2が取得した出退勤時刻情報を従業者に通知することができ、従業者は日々の打刻確認をすることができ、自己の勤務記録をリアルタイムで管理することができる。これにより、例えば、本システムを給料の前払いサービスに適用することで、非正規雇用者であっても、給料の前借り制度を利用することが可能となり、企業側にとっては、勤務状況の管理、及び給与額の算出が容易になる。
【0091】
さらに、本実施形態において、勤怠管理DB320cは、従業者に関する就業規則情報を有しており、勤怠管理サーバ3には、勤怠管理DB320cに記憶された就業規則情報を参照し、出退勤時刻情報に基づいて、従業者の給与情報を算出する給与額算出部312aを備え、勤務情報には、給与情報が含まれているので、勤怠管理部312は、出退勤時刻情報と、就業規則情報とに基づいて、従業者毎の給与額を算出することができるとともに、その情報を勤務情報として従業者に通知することができるので、従業者は、給与情報についても確認することができる。
【0092】
また、本実施形態において、勤怠管理サーバ3は、始業予定時刻を経過した際、打刻処理を行っていない従業者に対し、その旨を従業者に通知するので、打刻処理を忘れていた従業者に対し、即時に確認を行えるとともに、打刻処理の修正を行うことができる。この際、本実施形態においては、従業者からの修正申請に対して、従業者の位置情報と、勤務先の責任者の承認とによって申請の可否を決定するので、他人が本人になりすまして不正に給与を得ることを防止することができる。
【0093】
さらに、本実施形態において、移動端末機2は、所定期間、操作信号を取得しなかった場合には、メモリ24内の勤怠管理に関するデータを勤怠管理サーバ3へ送信し、メモリ24内のデータを消去するので、多様な場所に設置される移動端末機2から勤務情報データが、盗難などによって漏洩することを防止することができる。