【実施例】
【0027】
略号等の説明
β-NADPH : ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸、還元型
PAPS : 3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホ硫酸
UDPGA : ウリジン二リン酸グルクロン酸
DMSO : ジメチルスルホキシド
Buffer : 0.15M KCl, 50mM リン酸緩衝液
CMC:カルボキシメチルセルロース
DCNP:2',6’−ジクロロ−4−ニトロフェノール
SCr:血清クレアチン
BUN:血中尿素窒素
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
ALT:アラニン・アミノトランスフェラーゼ
rOat1:ラット有機アニオントランスポーター1
rOat3:ラット有機アニオントランスポーター3
rOct2:ラット有機カチオントランスポーター2
β-actin:β−アクチン
【0028】
実施例1:インドキシル硫酸産生阻害剤のスクリーニング
(方法)
(1)S9画分(S9 fraction)調製
ジエチルエーテル麻酔下にて、ラット大動脈より脱血後、氷冷0.15M KCl により還流した。肝臓を採取後、0.15M KCl, 50mM リン酸緩衝液にてホモジナイズした。4℃, 9000gにて20分間遠心し、上清をS9 画分とした。BCA protein assayによりタンパク定量後、分注し、液体窒素で凍結した。実験まで-80℃で保存した。
【0029】
(2)HPLC測定条件
カラム; LiChrospher 100 RP-18 (Merck KGaA, Darmstadt, Germany)
カラム温度; 40℃
注入量; 10μL
流速; 1.0mL/min
波長; 蛍光モニター(280 nmで励起, 375 nmで発光)
移動相:A; アセテート緩衝液(0.2M, pH 4.5) B; メタノール
勾配プログラム:表1の通り
【0030】
【表1】
【0031】
(3)代謝実験 (阻害剤なし)
【0032】
【表2】
【0033】
表2に記載の成分をBuffer→S9画分→β-NADPH, PAPS, UDPGA→DMSO, Indoleの順に0.6mLチューブに添加した。混合液を湯浴37℃, 80rpmで振盪しながら30分インキュベートした。氷冷MeOHを250μL添加して反応を停止した。反応液を13000rpm, 10分, 4℃で遠心後、上清をHPLC(HPLC測定条件は上記(2)に記載の通り)にて測定した。KaleidaGraph(登録商標)にてデータの解析を行った。
【0034】
代謝実験 (阻害剤あり)
【0035】
【表3】
【0036】
表3に記載の成分をBuffer→S9画分→β-NADPH, PAPS, UDPGA→阻害剤, Indoleの順に0.6mLチューブに添加した。混合液を湯浴37℃, 80rpmで振盪しながら30分インキュベートした。氷冷MeOHを250μL添加して反応を停止した。反応液を13000rpm, 10分, 4℃で遠心後、上清をHPLC(HPLC測定条件は上記(2)に記載の通り)にて測定した。KaleidaGraph(登録商標)にてデータの解析を行った。
【0037】
(結果)
代謝実験 (Inhibitor無)の結果を
図1に示す。
図1の結果から、ラット肝S9画分を用いることによって、インドール濃度に応じてインドキシル硫酸を産生できることが分かる。
【0038】
種々の被験物質(インドキシル硫酸の産生の阻害剤の候補物質)を用いて行った代謝実験の結果を
図2に示す。試験した被験物質のうちレスベラトロール、イルガサン、クルクミン、2',6’−ジクロロ−4−ニトロフェノール、ケルセチン及び8−メトキシプソラレンが、インドキシル硫酸の産生に対して阻害作用を示すことが示された。
【0039】
また、インドキシル硫酸に及ぼす各被験物質の阻害効果の比較を
図3及び
図4に示す。
【0040】
実施例2:Cisplatin誘発急性腎障害に対するインドキシル硫酸産生阻害物質前投与による保護効果の検討
ラットを用いた投与実験によりCisplatin誘発急性腎障害に対するインドキシル硫酸産生阻害物質前投与による保護効果を検討した。
【0041】
(方法)
生理食塩水(Saline)又はシスプラチン(Cisplatin )(10mg/kg)の腹腔内を投与する時点を0時間とし、これの24時間前、1時間前、24時間後、48時間後に、0.5%CMC、又はケルセチン(50mg/kg)、クルクミン(60mg/kg)、レスベラトロール(5mg/kg)及びDCNP (10mg/kg)のいずれかをそれぞれ経口投与した(
図5)。72時間後に、サンプリングを行い、以下の(1)〜(9)の実験に用いた。実験は以下の6群で実験を行った。
saline群 : Saline投与 + CMC 投与
cisplatin 群: シスプラチン投与 + CMC 投与
+ Quercetin 群: シスプラチン投与 + ケルセチン投与
+ Curcumin 群: シスプラチン投与 + クルクミン投与
+ Resveratrol 群: シスプラチン投与 + レスベラトロール投与
+ DCNP 群: シスプラチン投与 + DCNP投与
【0042】
<各種パラメータの測定>
(1)体重変化
上記6群について、生理食塩水(Saline)又はシスプラチンを腹腔内投与した時点を0 時間とし、その時の体重を基準にした体重変化の推移を調べた 。その結果を
図6に示す。
図6のグラフの縦軸は、各時間における体重を0時間における体重で除して得られた値を示す。
Saline群においては、ほぼ直線的に体重が増加した。一方で、シスプラチンを投与した5群においては、投与翌日から体重減少が認められ、ほぼ直線的に減衰した。また、阻害物質を経口投与することによる影響は認められなかった。
【0043】
(2)血清及び臓器中IS濃度
シスプラチン及びIS肝産生阻害物質を投与することによる血清及び臓器中IS濃度への影響を調べた。
【0044】
血清サンプルの調整は、生理的食塩水又はシスプラチン投与72時間経過後、腹部大動脈より採血を行い、遠心 (3000 rpm, 10 min)し、血清を分離した。得られた血清は測定まで-80〜-30 °Cにて冷凍保存した。前処理として血清50 μLをMethanol 100 μLに加え、混和後遠心 (4 °C, 13000 rpm, 10 min)し、上清をHPLC用の試料とした。また、臓器サンプルの調製については、SalineまたはCisplatin投与72時間経過後、腹部大動脈より脱血を行い、腎臓、肝臓、小腸及び肺を摘出し、液体窒素にて凍結し、ホモジナイズまで-80〜-30 °Cにて冷凍保存した。各臓器サンプルは、PBS中でPOLYTRON PT 3000(商標)(KINEMATICA AG, Lucerne, Switzerland)を用いてホモジナイズ後、遠心 (3000 rpm, 10 min)し、ホモジネート上清を測定まで-80〜-30 °C にて冷凍保存した。前処理としてホモジネート50 μLをMethanol 100 μLに加え、混和後遠心 (4 °C, 13000 rpm, 10 min)し、上清をHPLC用の試料とした。このようにして、血清及び臓器中におけるIS濃度を、HPLC法を用いて測定した。saline群、cisplatin 群、+ Quercetin 群、+ Curcumin 群、及び+ Resveratrol 群について、血清IS濃度の測定結果を
図7に、各臓器中におけるIS濃度及びKp値の測定結果を
図8に示す。
図8において、Aは腎臓のIS濃度を、Bは腎臓のKp値を、Cは肝臓のIS濃度を、Dは肝臓のKp値を、Eは小腸のIS濃度を、Fは小腸のKp値を、Gは肺のIS濃度を、Hは肺のKp値を、それぞれ示す。Kp値は、臓器中IS濃度を血清中IS濃度で除することによって算出したものであり、臓器移行性を示す。
【0045】
Cisplatin群においてSaline群と比較し、血清及び臓器中IS濃度が有意に上昇した(
図7及び8)。血清においては約16倍の上昇が認められた。また、+ Quercetin群及び+ Resveratrol群においてCisplatin群と比較し、IS濃度が有意に減少した。一方、+ Curcumin群においては、Cisplatin群と比較し、若干の減少傾向が認められた。
【0046】
図8に示される通り、臓器中IS濃度は腎臓、肺、小腸、肝臓の順に高い値を示しており、急性腎障害においても5/6 腎摘出慢性腎不全モデルと同様の臓器分布を示した(Deguchi T, Nakamura M, Tsutsumi Y, Suenaga A, Otagiri M. Pharmacokinetics and tissue distribution of uraemic indoxyl sulphate in rats. Biopharm Drug Dispos 24: 345-355, 2003.)。シスプラチン誘発急性腎障害に伴う各組織中におけるIS蓄積の上昇が、+ Quercetin群及び+ Resveratrol群において有意に抑制された。
【0047】
また、シスプラチンを投与することでSaline群と比較し、Kp値は有意に減少した(
図8)。また、Kp値については、IS肝産生阻害物質を経口投与することによる影響は認められなかった。
【0048】
(3)血清電解質濃度及び肝機能検査値への影響
シスプラチン及びIS肝産生阻害物質を投与することによる血清電解質濃度及び肝機能検査値への影響を調べた。生理的食塩水又はシスプラチン投与72時間経過後、腹部大動脈より採血を行い、遠心 (3000 rpm, 10 min)することにより得られた血清について分析を行った。Na、K及びClは電極法により、AST及びALTはJSCC標準化対応法により測定した。
血清電解質濃度についての分析結果を表4に、肝機能検査値についての結果を表5に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
血清電解質濃度については、表4に示す通り、血清中Cl濃度が、Cisplatin群及び+ Curcumin群において、Saline群と比較して有意に減少した。しかし、絶対量としてはわずかな減少であり、検討数を重ねることでその差がなくなる可能性も考えられる。血清中Na及びK濃度は、シスプラチン及びIS肝産生阻害物質投与による影響はほとんど認められなかった。
【0052】
表5に示される通り、肝機能検査値ALTは、+ Resveratrol群を除いたシスプラチンを投与した3群においてSaline群と比較し、有意な減少が認められた。ASTは+ Quercetin群において増加傾向があったが有意差は認められず、全ての群でほとんど影響がなかった。シスプラチン及びIS肝産生阻害物質投与による肝障害は認められなかった。
【0053】
(4)血清及び腎臓中の
194Pt濃度
血清及び腎臓中
194Pt濃度を測定することで、IS肝産生阻害物質を経口投与することによるシスプラチンの体内動態に与える影響を調べた。すなわち、血清及び腎臓中におけるシスプラチン濃度を
194Pt濃度として、ICP−MS〔測定機器:ELEMENT (Thermo Fisher scientific)〕により測定を行った。測定結果を
図9に示す。
図9に示す通り、血清及び腎臓中
194Ptは両者ともに、IS肝産生阻害物質を経口投与することによる影響は認められなかった。
【0054】
(5)腎機能検査値及び血清IS濃度との相関
シスプラチン及びIS肝産生阻害物質を投与することによる腎障害発現の変化を腎機能検査値において調べた。血清クレアチン(SCr)は酵素法により、BUNはウレアーゼUV法により測定した。その結果を
図10のA及びBに示す。
Cisplatin群においてSaline群と比較し、血清クレアチン及びBUNが有意に上昇した。これは、シスプラチン誘発急性腎障害の惹起を示している。また、+ Quercetin群においてCisplatin群と比較し、血清クレアチン及びBUNが有意に減少した。+ Resveratrol群はCisplatin群と比較し、有意差は認められないものの減少傾向を示した。一方、+ Curcumin群においてはCisplatin群とほとんど変化が認められなかった。
【0055】
次に、SCr及びBUNと血清IS濃度との相関を確認した (
図10C及びD)。SCrと血清IS濃度は、相関係数r=0.91と極めて強い相関が認められ、P<0.01と相関が有意であった。また、BUNと血清IS濃度は、相関係数r=0.87と強い相関が認められ、P<0.01と相関が有意であった。
【0056】
(6)腎尿細管細胞の組織学的検査
Cisplatin及びIS肝産生阻害物質を投与することによる腎障害発現の変化を腎尿細管細胞の組織学的検査において調べた。
サリンまたはシスプラチン投与72時間経過後、腹部大動脈より脱血を行い、腎臓を摘出し、リン酸緩衝ホルマリンを用いて固定を行った。パラフィン包理、切片の作成、PAS染色を定常の方法により行った。近位尿細管S3セグメント部位のPAS染色を
図11に示す。
図11において、AはSaline群、BはCisplatin群、Cは+ Quercetin群、Dは+ Curcumin 群、Eは+ Resveratrol群、Fは+ DCNP群を示す。
また、組織の半定量的解析は、高倍率視野にて各ラット腎髄質外層のouter stripeをランダムに選択した。尿細管障害の程度を5段階にスコア化した。全ての評価は盲見的に行った。その結果を
図11のGのグラフに示す。
【0057】
図11に示される通り、Cisplatin群 (B)においてSaline群 (A)と比較し、尿細管障害が強く引き起こされ、細胞の壊死、変性、castの形成及びうっ血が強く認められた。また、+ Quercetin群 (C)において、その障害の程度が改善され、castの形成も認められなかった。+ Curcumin群 (D)及び+ Resveratrol群 (E)においてもCisplatin群と比較し、障害の程度は小さくなっていた。また、+ DCNP群 (F)において、Cisplatin群同様に細胞の壊死、変性、castの形成及びうっ血が強く認められた。
【0058】
尿細管障害の程度を5段階でスコア化した結果(
図11G)については、Cisplatin群と比較し、Quercetin群において有意に障害の程度が小さかった。
【0059】
(7)腎障害マーカーrKim-1のタンパク質発現
シスプラチン及びIS肝産生阻害物質であるQuercetinを投与することによる腎障害発現の変化を、腎組織における腎障害マーカーrKim-1のタンパク質発現において調べた。該マーカータンパク質の検出は、以下に説明の通り、ウェスタンブロット法により行った。
【0060】
生理食塩水またはシスプラチン投与72時間経過後、腹部大動脈より脱血を行い、腎臓を摘出し、液体窒素にて凍結し、ホモジナイズまで-80 °Cにて冷凍保存した。腎臓サンプルを氷冷したライシス・バッファー (0.23 M sucrose, 5 mM Tris-HCl, 2 mM EDTA, 0.1 mM PMSF, 1 μg/mL leupeptin and 1 μg/mL pepstatin A, pH 7.5)中で、ホモジナイザー用撹拌機(As one)及びホモジナイザー(As one)を用いてホモジナイズし、超音波処理後、遠心 (4 °C, 2000 rpm, 5 min)し、その上清をタンパク質抽出物とした。PVDF (Immobilon-P(商標); Millipore, Bedford, USA)膜へ転写するまで-80 °Cで保存した。BCA protein Assay Reagent Kit(商標) (Thermo Fisher scientific)を用い、BSAを標準タンパク質としてタンパク定量を行った。タンパク質抽出物をローディング・バッファー (2 w/v% SDS, 125 mM Tris-HCl, 20 v/v% glycerol and 5 v/v% 2-mercaptoethanol)と混和させ、99 °Cで2分間加熱後、SDS-PAGE (7.5 w/v%)にて分離し、PVDF(Immobilon-P(商標); Millipore)膜に転写した。転写後、TBS-T (50 mM TBS and 0.3 v/v% Tween 20, pH 7.6)で洗浄し、TBS-Tに溶解した2 v/v% ECL advance blocking agent(商標)(GE Healthcare, Little Chalfont, England)を用い4 °Cで一晩ブロッキングを行った。その後、希釈した一次抗体〔抗ラットKim-1ウサギポリクローナル抗体、抗ラットβ‐アクチン(AC-15)マウス抗体(シグマ・アルドリッチ)〕と室温で1時間反応させ、TBS-TでPVDF膜を洗浄後、続いてHRP標識した二次抗体〔ホースラディッシュ・パーオキサイド標識抗ウサギIgG抗体(GE Healthcare)、ホースラディッシュ・パーオキサイド標識抗マウスIgG抗体(GE Healthcare)〕と室温で1時間反応させた。検出はECL advance western blotting detection kit(商標)(GE Healthcare)付属のプロトコルに従い、化学発光ECL基質により発光させ、X線フィルム上に各抗体に反応を示すバンドを検出した。その結果を
図12に示す。
【0061】
KIM-1は、健常時にはほとんど発現していないが、シスプラチンや虚血再灌流等の急性時及び慢性時の様々な腎障害時に、近位尿細管上皮細胞において発現が増加するタンパク質である(Ichimura T, Bonventre JV, Bailly V, Wei H, Hession CA, Cate RL, Sanicola M. Kidney injury molecule-1 (KIM-1), a putative epithelial cell adhesion molecule containing a novel immunoglobulin domain, is up-regulated in renal cells after injury. J Biol Chem 273: 4135-4142, 1998;Ichimura T, Hung CC, Yang SA, Stevens JL, Bonventre JV. Kidney injury molecule-1: a tissue and urinary biomarker for nephrotoxicant-induced renal injury. Am J Physiol Renal Physiol 286: F552-563, 2004;Vaidya VS, Ramirez V, Ichimura T, Bobadilla NA, Bonventre JV. Urinary kidney injury molecule-1: a sensitive quantitative biomarker for early detection of kidney tubular injury. Am J Physiol Renal Physiol 290: F517-529, 2006;Nakagawa S, Masuda S, Nishihara K, Inui K. mTOR inhibitor everolimus ameliorates progressive tubular dysfunction in chronic renal failure rats. Biochem Pharmacol 79: 67-76, 2010.)。現在臨床で汎用されているSCrやBUN等よりも、早期腎障害時から検出することができるため、より鋭敏な腎障害マーカーとして考えられている(Coca SG, Yalavarthy R, Concato J, Parikh CR. Biomarkers for the diagnosis and risk stratification of acute kidney injury: a systematic review. Kidney Int 73: 1008-1016, 2008.)。
【0062】
図12に示される通り、Saline群においてrKim-1のタンパク質発現は認められず、Cisplatin群においてその発現が認められた。+ Quercetin群において、Cisplatin群と比較しrKim-1の発現量が減少することを確認した。
【0063】
(8)腎有機イオントランスポータのタンパク質発現
Cisplatin及びIS肝産生阻害物質であるQuercetinを投与することによる腎有機イオントランスポータのタンパク質発現に対する影響を調べた。各腎有機イオントランスポータのタンパク質の検出は、上記に説明のウェスタンブロット法に準じて行った。なお、一次抗体として、抗ラットOat1ウサギポリクローナル抗体、抗ラットOat3ウサギポリクローナル抗体、抗ラットOct2ウサギポリクローナル抗体をそれぞれ用い、二次抗体としてホースラディッシュ・パーオキサイド標識抗ウサギIgG抗体(GE Healthcare)を用いた。ウェスタンブロットの結果を
図13に示す。
【0064】
図13に示される通り、Cisplatin群においてSaline群と比較し、rOat1、rOat3及びrOct2のタンパク質発現量が減少することを確認した。これは過去の報告と一致する(Morisaki T, Matsuzaki T, Yokoo K, Kusumoto M, Iwata K, Hamada A, Saito H. Regulation of renal organic ion transporters in cisplatin-induced acute kidney injury and uremia in rats. Pharm Res 25: 2526-2533, 2008.)。また、+ Quercetin群において、その発現量減少が回復することが認められた。
【0065】
(9)DCNP投与によるIS濃度、腎及び肝機能への影響
シスプラチン及びIS肝産生阻害物質であるDCNPを投与することによる、血清及び腎臓中IS濃度、腎及び肝機能検査値に対する影響を調べた。各種パラメータの測定は、上記に説明の方法に基づいて行った。その結果を表6に示す。
【0066】
【表6】
【0067】
表6に示される通り、+ DCNP群においてCisplatin群と比較し、有意に血清及び腎臓中IS濃度を減少し、Saline群とほぼ同等まで阻害することができた。一方で、SCr及びBUNはCisplatin群と比較し、有意に上昇した。肝機能はCisplatin群と同様にALTの減少は見られたが、肝障害は認められなかった。