特許第5655250号(P5655250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655250棒状導電体用媒介部材及び棒状導電体の配設構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5655250
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】棒状導電体用媒介部材及び棒状導電体の配設構造
(51)【国際特許分類】
   H01B 17/56 20060101AFI20141225BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20141225BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20141225BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H01B17/56 Z
   H02G3/04 Z
   H02M7/48 Z
   H05K7/06 C
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-242641(P2013-242641)
(22)【出願日】2013年11月25日
【審査請求日】2013年11月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390028783
【氏名又は名称】株式会社フジックス
(74)【代理人】
【識別番号】100133411
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 龍郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】中込 佑介
【審査官】 冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−077468(JP,A)
【文献】 特開2012−209027(JP,A)
【文献】 特開2003−348740(JP,A)
【文献】 特開2013−059238(JP,A)
【文献】 特開2014−010027(JP,A)
【文献】 特開2012−069345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 17/56
H02G 3/04
H02M 7/48
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分同士の間に配設される電気絶縁性を有する媒介部材であって、互いに沿い合って延びる複数の導電体受入溝を備え、該複数の導電体受入溝が、前記複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を受け入れ可能であり、前記複数の導電体受入溝の第一の導電体受入溝と第二の導電体受入溝との間に絶縁隔壁があり、該絶縁隔壁は、前記複数の棒状導電体の第一の棒状導電体と第二の棒状導電体の互いに沿いあって延びる部分に逆向きに流れる電流から生ずる磁束同士の間で磁束打消し作用が奏される肉厚を有する、棒状導電体用媒介部材。
【請求項2】
前記第一及び第二の導電体受入溝に沿って延びる第三の導電体受入溝であって、電圧ゼロの第三の棒状導電体を受入可能な第三の導電体受入溝を備える、請求項に記載の棒状導電体用媒介部材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の媒介部材の前記複数の導電体受入溝のそれぞれに複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分のそれぞれを配置し、前記複数の棒状導電体を用いて回路を構成する、棒状導電体の配設構造。
【請求項4】
請求項に記載の媒介部材を備える棒状導電体の配設構造であって、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を前記第一及び第二の導電体受入溝内に配置し、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分に互いに逆向きに電流が流れるように前記第一及び第二の棒状導電体を回路に接続する、棒状導電体の配設構造。
【請求項5】
前記導電体受入溝内に前記棒状導電体を配置させた状態でそれらを結束する絶縁性の結束部材を備える、請求項3又は4に記載の棒状導電体の配設構造。
【請求項6】
電圧ゼロの第三の棒状導電体を備え、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分に沿わせて絶縁状態で前記第三の棒状導電体を配設する、請求項4又は5に記載の棒状導電体の配設構造。
【請求項7】
前記棒状導電体の少なくともいずれか自体について絶縁被覆が施され、前記媒介部材と合わせて二重絶縁とされている、請求項3,4,5又は6に記載の棒状導電体の配設構造。
【請求項8】
前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分が二重螺旋状である、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の棒状導電体の配設構造。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか一項に記載の棒状導電体の配設構造を含む電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒状バスバー等の棒状導電体を隣接させて配設するのに用いて好適な媒介部材と、該媒介部材を用いて構成される棒状導電体の配設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、インバータ等の制御器内において、複数枚の板状の導電体を相互間に薄い絶縁材を挟んで平行に近接配置し、隣接する板状導電体のそれぞれに電流を互いに逆向きに流すことにより、電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合うようにして、隣接する板状導電体間のインダクタンスを少なくすることが公知となっている。
【0003】
また、バスバー等の導電体の態様として、特許文献2に記載されているように、板状導電体のほかに、棒状導電体も公知となっている。特許文献2の記載によれば、棒状導電体は、板状導電体に比べて、「打抜き加工を必要とせず、高価な金型が不要になり、材料の歩留まりが向上し、コストダウンと省資源に貢献できる効果がある。」とされている(特許文献2の0012段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−289346号公報
【特許文献2】特開2003−45231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、棒状導電体の場合にも、特許文献1のもののように、絶縁材を挟んで隣接する導電体のそれぞれに電流を互いに逆向きに流すことにより、電流によって発生する磁束を互いに打ち消し合うようにさせて、隣接する棒状導電体間のインダクタンスを少なくすることが好ましい。
【0006】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたもので、複数の棒状導電体を隣接させて配設するのに用いて好適な媒介部材と、該媒介部材を用いて構成される棒状導電体の配設構造を提供しようとするものである。
【0007】
さらに、本発明は、隣接する棒状導電体間のインダクタンスを板状導電体の場合と同じ原理で少なくできる棒状導電体の媒介部材と、該媒介部材を用いて構成される棒状導電体の配設構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る棒状導電体用媒介部材は、複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分同士の間に配設される電気絶縁性を有する媒介部材であって、互いに沿い合って延びる複数の導電体受入溝を備え、該複数の導電体受入溝が、前記複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を受け入れ可能であり、前記複数の導電体受入溝の第一の導電体受入溝と第二の導電体受入溝との間に絶縁隔壁があり、該絶縁隔壁は、前記複数の棒状導電体の第一の棒状導電体と第二の棒状導電体の互いに沿いあって延びる部分に逆向きに流れる電流から生ずる磁束同士の間で磁束打消し作用が奏される肉厚を有することを特徴とする(請求項1)。
【0009】
本発明によれば、媒介部材の複数の導電体受入溝のそれぞれに複数の棒状導電体の互いに沿いあって延びる部分を嵌め込んで棒状導電体を配設することにより、複数の棒状導電体をそれらの少なくとも一部同士を互いに隣接させた状態でコンパクトに配設することができる。
【0010】
また、複数の導電体受入溝によって複数の棒状導電体の位置決めが行われるので、複数の棒状導電体を互いに沿い合って延びるように配設しやすくなり、配設作業が簡単且つ迅速に行える。
【0012】
さらに、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分に互いに逆向きに電流が流れるように前記第一及び第二の棒状導電体を回路に接続することで、これらの棒状導電体を流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合い、棒状導電体間のノイズやインダクタンスが抑制される。
【0013】
好適な実施の一形態として、前記第一及び第二の導電体受入溝に沿って延びる第三の導電体受入溝であって、電圧ゼロの第三の棒状導電体を受入可能な第三の導電体受入溝を備える態様を例示する(請求項)。この場合、第三の導電体受入溝内に電圧ゼロの第三の棒状導電体を配置することで、前記第一及び第二の棒状導電体を高電圧環境で使用する場合にも、インダクタンスの十分な軽減作用を得ることが可能となる。
【0014】
本発明に係る棒状導電体の配設構造は、前記媒介部材の前記複数の導電体受入溝のそれぞれに複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分のそれぞれを配置し、前記複数の棒状導電体を用いて回路を構成することを特徴とする(請求項)。
【0015】
本発明によれば、複数の棒状導電体をそれらの少なくとも一部同士を互いに隣接させた状態でコンパクトに配設して回路を構成することができる。
【0016】
また、複数の導電体受入溝によって複数の棒状導電体の位置決めが行われるので、複数の棒状導電体を互いに沿い合って延びるように配設しやすくなり、配設作業が簡単且つ迅速に行える。
【0017】
さらに、棒状導電体を用いるので、板状導電体を用いる場合よりも配設スペースが少なくてすむほか、配設レイアウトの自由度も高い。また、板状導電体を絶縁材を挟んで積層する場合と比べて、導電体材料及び絶縁材料のロスを大幅に抑制することができる。
【0018】
好適な実施の一形態として、前記媒介部材を備える棒状導電体の配設構造であって、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を前記第一及び第二の導電体受入溝内に配置し、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分に互いに逆向きに電流が流れるように前記第一及び第二の棒状導電体を回路に接続する態様を例示する(請求項)。この場合、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合い、棒状導電体間のノイズやインダクタンスが抑制される。
【0019】
好適な実施の一形態として、前記導電体受入溝内に前記棒状導電体を配置させた状態でそれらを結束する絶縁性の結束部材を備える態様を例示する(請求項)。このようにすれば、前記媒介部材と前記第棒状導電体とが前記結束部材で結束されるので、それらが確実に一体化された状態が得られて好適である。
【0020】
好適な実施の一形態として、電圧ゼロの第三の棒状導電体を備え、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分に沿わせて絶縁状態で前記第三の棒状導電体を配設する態様を例示する(請求項)。前記第三の棒状導電体は、前記第一及び第二の棒状導電体を高電圧環境で使用する場合にも、インダクタンスの十分な軽減作用を得ることができるようにするためのものである。
【0021】
好適な実施の一形態として、前記棒状導電体の少なくともいずれか自体について絶縁被覆が施され、前記媒介部材と合わせて二重絶縁とされている態様を例示する(請求項)。
【0022】
なお、前記第一の棒状導電体と前記第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分は、直線状且つ互いに平行である態様が普通であるが、その他の好適な実施の形態として、前記第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分が二重螺旋状である態様とすることもできる(請求項)。
【0023】
前者の場合には、棒状導電体の製造及び配設作業が容易となる利点があり、後者の場合には、棒状導電体間のノイズやインダクタンスの抑制効果がより一層大きくなる利点がある。これは、棒状導電体同士の間が直線状且つ互いに平行である場合よりも、二重螺旋状である場合の方が、単位距離当りにおける互いに沿い合って延びる部分の実質長さが長くなるので、その分だけ磁束の打ち消し作用が大きくなるからである。
【0024】
なお、本発明に係る棒状導電体の配設構造は、例えば、電力変換装置の一部として利用することができる(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の一形態に係る棒状導電体の配設構造の要部平面図である。
図2図1のII−II矢視拡大断面図である。
図3】他の態様の媒介部材を例示する、図2に対応する部分の断面図である。
図4】他の態様の棒状導電体と媒介部材の組み合わせを例示する、図2に対応する部分の断面図である。
図5】本発明の他の実施の形態に係る棒状導電体の配設構造及び媒介部材を例示する、図2に対応する部分の断面図である。
図6図5の変形例を示す断面図である。
図7】他の態様の棒状導電体と媒介部材の組み合わせを例示する斜視図である。
図8】他の態様の媒介部材の、図2に対応する部分の断面図である。
図9図2の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施の一形態に係る棒状導電体の配設構造は、回路10を構成する第一及び第二の棒状導電体1,2と、該棒状導電体1,2の互いに隣接して沿い合って延びる直線部1a,2a同士の間に配設される媒介部材3と、を備える。前記回路10としては、限定はされないが、例えば、インバータ装置の主回路が挙げられる。すなわち、直流電力を交流電力に変換する装置の回路のほか、相数、周波数、電圧等の異なる交流を得るために、単相交流、三相交流を一旦整流器で直流に変換してから再度交流にするための電力変換装置等の回路を含む。
【0028】
前記第一及び第二の棒状導電体1,2は、銅やアルミニウム等の導電性の良好な金属で形成される。各棒状導電体1,2の断面形状に限定はないが、例えば、丸、角、平角等が挙げられる。但し、回路10を構成する要素の様々な配設レイアウトに対応して三次元的に棒状導電体を屈曲させる場合の便宜を考慮すれば、丸棒状導電体を用いるのが好ましい。
【0029】
一方、前記媒介部材3は、電気絶縁性を有する適宜の材料、例えば、ゴムやプラスチック等で形成される。限定はされないが、後で述べるように、媒介部材3は、弾性又は可撓性を有することが好ましい。
【0030】
本実施の形態では、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aとを平行にして前記媒介部材3を挟んで配置し、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aに互いに逆向きに電流が流れるように第一及び第二の棒状導電体1,2を用いて回路10を構成する。回路10上、第一及び第二の棒状導電体1,2は直列に配置され、平行な前記直線部1a,2a内を同じ大きさの直流電流(図1の例では200V)が逆向きに流れる。図1において、矢印A,Bが、各棒状導電体1,2の直線部1a,2aを流れる電流の向きを例示している。
【0031】
なお、前記媒介部材3は、図1に示すように、前記棒状導電体1,2の直線部1a,2aよりも長く設定して、直線部の端部付近における絶縁性を確実なものとするのが好ましい。
【0032】
図2に示すように、前記媒介部材3は、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aとの間を隔てる薄肉の絶縁隔壁4を備える。ここで、「薄肉」とは、第一及び第二の棒状導電体1,2を確実に絶縁させるのに必要な肉厚であって、磁束相殺作用が奏されるように薄くした肉厚Tをいい、具体的には、例えば、絶縁隔壁4の肉厚Tを3mm以内、好ましくは、例えば、1.5mmとすることができる。絶縁隔壁4の肉厚が3mmを超えると、インダクタンスの軽減効果が次第に薄れてきてしまうので好ましくない。なお、第一及び第二の棒状導電体としては、例えば、直径2mm以上21mm以下のものについて使用の可能性があるが、この範囲のいずれの直径の場合でも、絶縁隔壁4の肉厚は常に3mm以下とするのが好ましく、最も好ましくは、1.5mm以下とするのがよい。磁束相殺作用の観点からは、絶縁隔壁4の肉厚は薄ければ薄いほど好ましい。
【0033】
一方、絶縁隔壁4に要求される最低肉厚値は、棒状導電体1,2自体の発熱量や絶縁隔壁4の材料の耐熱性に応じて定める。すなわち、棒状導電体の発熱に対して溶解又は溶融等しない材質及び肉厚を選定する必要がある。
【0034】
前記構成によれば、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aとの間に媒介部材3の絶縁隔壁4があるので、第一及び第二の棒状導電体1,2同士の間で短絡が生ずることがない。また、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aに互いに逆向きに電流が流れるように第一及び第二の棒状導電体1,2を回路10に接続するので、これらの棒状導電体1,2を流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合い、棒状導電体1,2間のノイズやインダクタンスが抑制される。前記絶縁隔壁4が薄肉であるので、磁束の打ち消し作用が阻害されることがない。
【0035】
また、棒状導電体を用いるので、板状導電体を用いる場合よりも配設スペースが少なくてすむほか、配設レイアウトの自由度も高い。また、板状導電体を絶縁材を挟んで積層する場合と比べて、導電体材料及び絶縁材料のロスを大幅に抑制することができる。
【0036】
本実施の形態では、前記媒介部材3が、第一の棒状導電体1の直線部1aを受け入れる第一の導電体受入溝3aと、前記第二の棒状導電体2の直線部2aを受け入れる第二の導電体受入溝3bと、を備える。これらの導電体受入溝3a,3bは互いに平行に延びており、相互間に前記絶縁隔壁4がある。第一の導電体受入溝3a内には、第一の棒状導電体1の直線部1aが配置される。同様に、第二の導電体受入溝3b内には、第二の棒状導電体2の直線部2aが配置される。このように、第一及び第二の導電体受入溝3a,3bのそれぞれに第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2aのそれぞれを配置することで、第一及び第二の棒状導電体1,2の位置決めが行われる。これにより、第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2aを平行に配置しやすくなるので、配設作業が簡単且つ迅速に行える。
【0037】
本実施の形態では、前記各導電体受入溝3a,3bが、前記各棒状導電体1,2の周面の少なくとも一部に密着するように、各棒状導電体1,2の周面に対応する断面形状を有する。図2の例では、棒状導電体1,2の断面形状が丸形であるので、これに対応して、前記各導電体受入溝3a,3bの断面形状が湾曲面となっている。前記各導電体受入溝3a,3bは、絶縁の確実性及び棒状導電体1,2に対する媒介部材3の一体性向上の観点から、各棒状導電体1,2の断面の半分以上を覆うことが好ましい。図2の媒介部材3は、断面C字状の外形を有する二つの導電体受入部5,6を背中合わせに接合したような形状である。
【0038】
前記媒介部材3の他の形態として、図3(a),(b)に示すような例も採用できる。これらの例も、断面C字状の外形を有する二つの導電体受入部5,6を背中合わせに接合したような形状であるが、図2の媒介部材に対して、導電体受入部5,6の開口の態様が異なっている。
【0039】
媒介部材3の作製法には、成形やモールド加工、押出等、様々な方法があるが、ゴム成形であれば、図3(a)のような、棒状導電体1,2の外周があまり隠れない形態の媒介部材が作製しやすくて好適である。配設状態において、近接する位置にノイズや電圧による影響を受けやすいものがある場合には、その影響を最小限に抑える観点から、図3(b)のような、棒状導電体1,2の外周の大部分が隠れてしまう態様の媒介部材とするのが好ましい。
【0040】
図2及び図3(a),(b)の例において、前記媒介部材3はゴムで形成されており、良好な弾性を有する。そして、第一及び第二の棒状導電体1,2が媒介部材3の弾性を利用して第一及び第二の導電体受入溝3a,3bに嵌め込み可能となっている。このようにすれば、前記媒介部材3が、第一及び第二の棒状導電体1,2の位置決め作用に加えて、第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2a同士を所定の位置関係に保持する作用も奏される。
【0041】
他の実施の形態として、前記媒介部材3をプラスチックで形成し、導電体受入部5,6の開口部の開口幅を棒状導電体1,2の直径よりやや小さい程度として、第一及び第二の導電体受入溝3a,3bが第一及び第二の棒状導電体1,2を圧入状に保持可能な態様とすることもできる。この場合にも、前記媒介部材3によって前記第一及び第二の棒状導電体1,2が確実に保持される。
【0042】
図2に示すように、第一及び第二の導電体受入溝3a,3b内に第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2aを配置させた状態でそれらを結束する絶縁性の結束部材7を備える態様とすることもできる。この場合、第一及び第二の導電体受入溝3a,3b内に第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2aを配置させた後に、結束部材7を用いて包囲して固定する。このようにすれば、媒介部材3と第一及び第二の棒状導電体1,2とが結束部材7で結束されるので、それらが確実に一体化された状態が得られて好適である。なお、前記結束部材7としては、絶縁性テープを用いてもよいし、樹脂でモールドすることも含むものとする。前記結束部材7は、前記媒介部材3と前記棒状導電体1,2の直線部1a,2aの長さ方向の全体を包囲するものであってもよいが、これには限らず、長さ方向に適宜の間隔をおいて部分的に結束するものであってもよい。
【0043】
他の実施の形態として、断面形状が角形の棒状導電体11,12や、断面形状が平角形の棒状導電体13,14の場合には、図4(a),(b)に例示する媒介部材8,9を採用することができる。また、単一の電子機器又は電気機器内において、第一及び第二の棒状導電体1,2と前記媒介部材3との組み合わせ体を複数体まとめて配設することで、省配設スペース化を図ることもできる。
【0044】
ところで、図1及び図2に示す実施の形態において、前記第一及び第二の棒状導電体1,2に流れる電流の電圧を400V以上に高めると、インダクタンスの十分な軽減作用が得られなくなる場合がある。このような状況への対応策として、図5に示す実施の形態を採用することができる。すなわち、図1及び図2の例に加えて、第一及び第二の棒状導電体1,2と同形同大の直線状の第三の棒状導電体15を用いる態様である。
【0045】
第三の棒状導電体15は、前記第一及び第二の棒状導電体1,2の互いに平行に配設された直線部1a,2aに対して平行に配置する。三本の棒状導電体1,2,15は、それぞれの軸心部が仮想の正三角形の頂点に位置するように配置される。第三の棒状導電体15は、前記回路10を構成するためのものではなく、前記第一及び第二の棒状導電体1,2を含む前記回路10から電気的に孤立しており、電圧ゼロの状態である。
【0046】
前記第三の棒状導電体15を設けることで、前記第一及び第二の棒状導電体1,2を高電圧環境で使用する場合にも、インダクタンスの十分な軽減作用を得ることが可能となる。
【0047】
図5に示すように、媒介部材16は、前記第一の棒状導電体1の直線部1aを受け入れる第一の導電体受入溝16aと、前記第二の棒状導電体2の直線部2aを受け入れる第二の導電体受入溝16bと、前記第三の棒状導電体15を受け入れる第三の導電体受入溝16cと、を備える。これら三つの導電体受入溝16a,16b,16cは、前記媒介部材16の中心軸線Xの周りに同一の角度間隔で配設されて互いに平行に延びており、隣接する棒状導電体間にそれらを隔てる薄肉の絶縁隔壁17がある。薄肉の意味は前記と同様である。
【0048】
第一の導電体受入溝16a内には第一の棒状導電体1の直線部1aが配置され、第二の導電体受入溝16b内には第二の棒状導電体2の直線部2aが配置され、第三の導電体受入溝16c内には第三の棒状導電体15が配置される。このように、第一、第二及び第三の導電体受入溝16a,16b,16cのそれぞれに第一、第二及び第三の棒状導電体1,2,15のそれぞれを配置することで、第一、第二及び第三の棒状導電体1,2,15の位置決めが行われる。これにより、第一、第二及び第三の棒状導電体1,2,15を平行に配置しやすくなるので、配設作業が簡単且つ迅速に行える。
【0049】
前記構成によれば、第一及び第二の棒状導電体1,2の直線部1a,2a間に媒介部材16の絶縁隔壁17があるので、第一及び第二の棒状導電体1,2同士の間で短絡が生ずることがない。また、第一の棒状導電体1の直線部1aと第二の棒状導電体2の直線部2aに互いに逆向きに電流が流れるように第一及び第二の棒状導電体1,2を回路に接続するので、これらの棒状導電体1,2を流れる電流によって発生する磁束が互いに打ち消し合い、棒状導電体間のノイズやインダクタンスが抑制される。
【0050】
さらに、回路から電気的に孤立している第三の棒状導電体16が第一及び第二の棒状導電体1,2に隣接して前記絶縁隔壁17を挟んで平行に配設されているので、400V等の高電圧で電流が流れる場合であっても、第一及び第二の棒状導電体1,2を流れる電流によって発生する磁束が互いに確実に打ち消し合い、棒状導電体1,2間のノイズやインダクタンスが確実に抑制される。
【0051】
なお、図5において、符号7は、図2のものと同様に、電気絶縁性を有する結束部材を示している。
【0052】
図5の変形例として、図6に示すように、図2の媒介部材3を用いることもできる。この場合、図2と同様に、媒介部材3の第一の導電体受入溝3a内に第一の棒状導電体1の直線部1aを配置し、第二の導電体受入溝3b内に第二の棒状導電体2の直線部2aを配置する。さらに、媒介部材3に沿わせて前記第三の棒状導電体15を配置する。第三の棒状導電体15は、媒介部材3の断面C字状の第一及び第二の導電体受入部5,6の外表面同士の間のV字状の溝3c内に配置する。すなわち、図6の例は、図2の媒介部材3の外表面に形成されたV字状の溝3cを導電体受入溝として利用するものである。図6の例では、前記第一及び第三の棒状導電体1,15間を隔てる導電体受入部5と、前記第二及び第三の棒状導電体2,15間を隔てる導電体受入部6とが、薄肉の絶縁隔壁として作用する。
【0053】
図3に示す媒介部材についても、前記第三の棒状導電体15を図6と同様に配置して使用できることは勿論である。
【0054】
以上に述べた実施の形態は、第一の棒状導電体1と第二の棒状導電体2の互いに沿い合って延びる部分1a,2aが直線であり且つ互いに平行な態様である。しかし、第一及び第二の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分は必ずしも直線でなければならないわけではなく、湾曲していても構わない。直線以外の他の実施の形態として、図7に示すように、第一の棒状導電体1と第二の棒状導電体2の互いに沿い合って延びる部分1a’,2a’が二重螺旋状(ツイスト状)となっている態様を採用することもできる。
【0055】
第一の棒状導電体1と第二の棒状導電体2の互いに沿い合って延びる部分1a,2aが直線であり且つ互いに平行な態様の場合には、棒状導電体の製造及び配設作業が容易となる利点がある。
【0056】
これに対し、図7の例の場合には、第一及び第二の棒状導電体1,2間のノイズやインダクタンスの抑制効果がより一層大きくなる利点がある。これは、第一及び第二の棒状導電体1,2同士の間が直線状且つ互いに平行である場合よりも、二重螺旋状である場合の方が、捻れている分だけ、単位距離D当りにおける互いに沿い合って延びる部分1a’,2a’の実質長さが長くなるので、その分だけ磁束の打ち消し作用が大きくなるからである。したがって、単位距離D当りにおける棒状導電体の巻数をより多くすることで、第一及び第二の棒状導電体1,2間のノイズやインダクタンスの抑制効果をより一層大きくすることができる。
【0057】
なお、図7の例の場合、第一及び第二の棒状導電体1,2の互いに沿い合って延びる部分のそれぞれを螺旋状に形成し、それらが二重螺旋状に絡み合うように配置して、図2図3と同じ媒介部材3の可撓性を利用して第一及び第二の棒状導電体1,2に媒介部材3を装着すればよい。
【0058】
他の実施の形態として、図8に示すような媒介部材18も採用可能である。この媒介部材18は、第一及び第二の棒状導電体1,2を受け入れる第一及び第二の導電体受入溝18a,18bに加えて、第一及び第二の棒状導電体1,2の互いに沿い合って延びる部分1a,2aに沿って延びる複数の付加的導電体受入溝18c,18d,18e,18f,18g,18hを有する。これらの複数の付加的導電体受入溝18c,18d,18e,18f,18g,18h内には、第一及び第二の棒状導電体1,2以外の棒状導電体が絶縁状態で受け入れられる。前記付加的導電体受入溝18c,18d,18e,18f,18g,18hに受け入れられる棒状導電体19~24は、第一及び第二の棒状導電体1,2と共に同一の回路10を構成するものであってもよいし、他の回路を構成するものであってもよい。前記媒介部材18によれば、第一及び第二の棒状導電体1,2について磁束の相殺作用が奏されることに加えて、他の多くの棒状導電体19~24について配設スペースの節約ができて好適である。
【0059】
なお、前記付加的導電体受入溝18c〜18hの本数は図示例に限定されないことは勿論である。
【0060】
以上の様々な実施の形態において、前記媒介部材3,8,9,16,18は、適宜の長さのものをユーザーに提供し、ユーザーが必要な長さにカットして使用できるようにするのが好ましい。
【0061】
また、図2の変形例である図9に示すように、前記第一及び第二の棒状導電体1,2の少なくともいずれか(図9の例では双方)自体について絶縁被覆25が施され、前記媒介部材3と合わせて二重絶縁とされる態様とすることもできる。
【0062】
なお、以上に説明した前記媒介部材3,8,9,16,18は、棒状導電体の電流の向きとは無関係のものとして利用することもできる。すなわち、複数の棒状導電体の互いに沿い合って延びる部分を前記媒介部材3,8,9,16,18の複数の導電体受入溝内に配置することにより、複数の棒状導電体の配設スペースの節約を図ることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 第一の棒状導電体
1a 第一の棒状導電体の直線部
2 第二の棒状導電体
2a 第二の棒状導電体の直線部
3 媒介部材
3a 第一の導電体受入溝
3b 第二の導電体受入溝
4 絶縁隔壁
7 結束部材
10 回路
15 第三の棒状導電体
16 媒介部材
17 絶縁隔壁
25 絶縁被覆
【要約】
【課題】 複数の棒状導電体を隣接させて配設するのに用いて好適な媒介部材を提供する。
【解決手段】 第一の棒状導電体1の少なくとも一部1aと第二の棒状導電体2の少なくとも一部2aが互いに沿い合って延びるように相互間に電気絶縁性を有する媒介部材3を挟んで配置し、該媒介部材3は、前記第一の棒状導電体1と前記第二の棒状導電体2の互いに沿い合って延びる部分1a,2a同士の間を隔てる薄肉の絶縁隔壁4を備え、前記第一の棒状導電体1と前記第二の棒状導電体2の互いに沿い合って延びる部分1a,2aに互いに逆向きに電流が流れるように前記第一及び第二の棒状導電体1,2を用いて回路10を構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9