特許第5655251号(P5655251)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655251位相誤差補正構成および位相誤差補正方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655251
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】位相誤差補正構成および位相誤差補正方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/38 20060101AFI20141225BHJP
   H04L 27/22 20060101ALI20141225BHJP
【FI】
   H04L27/00 G
   H04L27/22 Z
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-510487(P2013-510487)
(86)(22)【出願日】2011年4月21日
(65)【公表番号】特表2013-531414(P2013-531414A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】CN2011073109
(87)【国際公開番号】WO2012142760
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2012年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・マズッコ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・ビアンキ
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−506716(JP,A)
【文献】 特開平08−335899(JP,A)
【文献】 特表2008−521281(JP,A)
【文献】 特表2008−507197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/38
H04L 27/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号の位相誤差を補正する位相誤差補正構成(300、400)であって、第1位相誤差補正器(305)および前記第1位相誤差補正器(305)の下流に配置された第2位相誤差補正器(200)を含み、前記第1位相誤差補正器(305)は、前記受信信号の値および所定のパイロット値に基づき前記受信信号の第1推定位相誤差(φPS)を取得し、前記第1推定位相誤差(φPS)により前記受信信号の位相をシフトさせ、前記位相シフト受信信号を前記第2位相誤差補正器(200)に提供するように構成され、前記第1位相誤差補正器(305)は、パイロット値が前記受信信号に存在しない時間に、前記受信信号の前記第1推定位相誤差(φPS)の時間変動推定を提供するように構成された位相誤差補間器(350)を備え、
前記第2位相誤差補正器(200)は、
前記位相シフト受信信号を遅らせる遅延要素(210)と、
前記位相シフト受信信号の第2推定位相誤差(φFF)を提供する位相誤差推定器(100)と、
前記第2推定位相誤差(φFF)により前記遅延位相シフト受信信号の位相をシフトさせる位相シフト器(220)とを含み、前記位相誤差推定器(100)は
前記位相シフト受信信号の値をマップ値にマップするスライサ(110)と、
前記マップ値および前記位相シフト受信信号の前記値の1つを共役させて共役出力および未処理出力を取得する共役器(120)と、
前記共役器(120)の前記共役出力および前記未処理出力を乗算して固有値を取得する乗算器(130)と、
前記固有値の位相を判断して前記第2推定位相誤差(φFF)を取得する位相判断器(140)とを含み
さらに、前記第2位相誤差補正器(200)の後段に設けられ、前記位相シフト器(220)によって位相がシフトされた受信信号をマップ値にマップする追加スライサ(410)と、
前記追加スライサ(410)の入力信号の値と、前記追加スライサ(410)が出力する前記マップ値との差分値を求めることによってフィードバック位相誤差(φPLL)を取得するフィードバック位相誤差補正器(420、430)とを具備し
前記位相シフト器(220)は、前記第2推定位相誤差(φFF)のみならず、前記フィードバック位相誤差(φPLL)にも基づいて受信信号の位相をシフトさせる機能を有することを特徴とする位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項2】
前記位相誤差推定器(100)は、前記位相判断器(140)の出力値(φF)をフィルタ処理して前記第2推定位相誤差(φFF)を取得するフィルタ(150)をさらに含む、請求項1に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項3】
前記フィルタ(150)は低域通過フィルタ、具体的には移動平均フィルタを含む、請求項2に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項4】
前記フィルタ(150)は前記位相判断器(140)の前記出力値に対する等しい重みを含む、請求項2および3の一項に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項5】
前記位相シフト器(220)は前記遅延位相シフト受信信号の値と誤差値とを乗算する複素乗算器を含み、前記誤差値は前記第2推定位相誤差(φFF)の複素指数関数によって割り出される、請求項1から4の一項に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項6】
前記位相誤差推定器(100)の処理時間に前記遅延要素(210)の遅延時間を適合させるようにさらに構成される、請求項1から5の一項に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項7】
前記第1位相誤差補正器(305)は、前記受信信号の前記値および所与の時間における前記所定のパイロット値に基づき位相誤差値を割り出し、前記位相誤差値の間で補間することによって前記第1推定位相誤差(φPS)を取得するように構成される、請求項1から6の一項に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項8】
前記フィードバック位相誤差補正器(420、430)は、位相検出器(510)および前記フィードバック位相誤差を取得するために前記差分値を提供されるループフィルタ(520)を含む、請求項7に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項9】
前記第2位相誤差補正器(200)とカスケードに配置される別の位相誤差補正器(610、620)を含み、前記別の位相誤差補正器(610、620)は請求項1から8の一項で定義したような別の位相誤差推定器(630、640)を含む、請求項1から8の一項に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項10】
前記別の位相誤差補正器(610、620)は、
前記別の位相誤差補正器(610、620)の入力信号を遅らせる遅延要素と、
前記入力信号の別の推定位相誤差(φFF2、φFFn)を提供する前記別の位相誤差推定器(630、640)と、
前記別の推定位相誤差(φFF2、φFFn)により前記遅延入力信号の位相をシフトさせる位相シフト器(220)と
を含む、請求項9に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項11】
前記別の位相誤差推定器(630、640)は、
前記入力信号の値をマップ値にマップする別のスライサと、
前記マップ値および前記入力信号の前記値の1つを共役させて、別の共役出力および別の未処理出力を取得する別の共役器と、
前記別の共役器の前記別の共役出力および前記別の未処理出力を乗算して別の固有値を取得する別の乗算器と、
前記別の固有値の位相を判断して前記別の推定位相誤差(φFF2、φFFn)を取得する別の位相判断器(140)と
を含む、請求項10に記載の位相誤差補正構成(300、400)。
【請求項12】
受信信号の位相誤差を補正する位相誤差補正方法であって、
前記受信信号の値および所定のパイロット値に基づき前記受信信号の第1推定位相誤差(φPS)を取得する段階と、
前記第1推定位相誤差(φPS)により前記受信信号の位相をシフトさせる段階と、
前記位相シフト受信信号の値をマップ値にマップする段階と、
前記マップ値および前記位相シフト受信信号の前記値の1つを共役させて、共役出力値および未処理出力値を取得する段階と、
前記共役出力値および前記未処理出力値を乗算して固有値を取得する段階と、
前記固有値の位相を判断して、第2推定位相誤差(φFF)を取得する段階と、
前記位相シフト受信信号を遅らせる段階と、
前記遅延位相シフト受信信号の位相を前記第2推定位相誤差(φFF)によってシフトさせる段階と、
前記遅延位相シフト受信信号の位相を前記第2推定位相誤差(φFF)によってシフトさせた信号と、前記シフトさせた信号のマップ値の差分値を計算する段階と、
前記差分値に基づいてフィードバック位相誤差(φPLL)を取得する段階と、
前記フィードバック位相誤差(φPLL)と前記第2推定位相誤差(φFF)を加算して前記受信信号の位相をシフトする段階と、
を含み、
前記受信信号の第1推定位相誤差(φPS)を取得する段階は、パイロット値が前記受信信号に存在しない時間に、前記受信信号の前記第1推定位相誤差(φPS)の時間変動推定を提供する段階を含む、
位相誤差補正方法。
【請求項13】
前記第2推定位相誤差(φFF)を取得する段階は前記固有値をフィルタ処理する段階を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信の分野に関し、具体的には受信信号の位相誤差補正に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信システムでは、送信機から受信機へ送信される信号は、様々な変調方式の1つにより変調されることが多い。受信機の復調器が受信信号のキャリアを回復する必要がある場合、送信機の局部発振器と受信機の局部発振器との間における周波数障害が考慮されうる。例えば、受信信号の再構成の効率性を高めるために、受信機が周波数の障害および発振器の位相雑音を推定し、低減することがある。
【0003】
障害および雑音を推定し低減するために、様々なデジタル技法を活用することができる。例えば、送信においてデータシンボルの中から既知のシンボルを挿入することが可能であり、これを受信機側で使用して位相および周波数の誤差を推定する。例えば、かかる既知のシンボルはパイロットシンボルと呼ばれる。しかし、例えば発振器が位相雑音の増加の影響を受けている場合、かかる技法のパフォーマンスは低下する。さらに、高次の変調形式が使用される場合、かかる技法のパフォーマンスは不十分なこともある。説明する技法のパフォーマンスを改善するため、パイロットシンボルの数が増えることがある。しかし、これはスペクトル効率を低下させかねない。
【0004】
もう1つの考えうる技法は閉ループ回路を用い、これはデータシンボルの推定を改良するために位相ロックループを含むことができる。しかし、かかる閉ループ回路は、位相雑音の増加に対するパフォーマンスの悪化を示すことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、受信信号の位相誤差を補正するための効率的な概念を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。さらなる実施形態は、従属請求項から明らかである。
【0007】
本発明は、判定指向型フィードフォワード(decision-directed feed-forward)構造を使用して受信信号の位相誤差を効率的に判断できるという発見に基づく。例えば値、具体的には受信信号の複素値を、マップ値、例えば直交振幅変調(QAM)などの変調方式の複素コンスタレーションポイントにマップできる。受信信号に位相誤差がある場合、受信信号の値とマップ値とが異なり、一緒になって、位相誤差に関する情報を送る。この値とマップ値とを組み合わせることによって、例えば複素乗算によって、位相誤差を組み合わせ結果から推定するか引き出すことができる。この推定位相誤差を使用して、受信信号を是正または補正することができる。
【0008】
第1態様によると、本発明は、受信信号の位相誤差を補正する位相誤差補正構成に関する。位相誤差補正構成は、第1位相誤差補正器および第1位相誤差補正器の下流に配置された第2位相誤差補正器を含む。第1位相誤差補正器は、受信信号の値および所定のパイロット値に基づき受信信号の第1推定位相誤差を取得し、第1推定位相誤差により受信信号の位相をシフトさせ、位相シフト受信信号を第2位相誤差補正器に提供するように構成される。第2位相誤差補正器は、位相シフト受信信号を遅らせる遅延要素、位相シフト受信信号の第2推定位相誤差を提供する位相誤差推定器、および第2推定位相誤差により遅延位相シフト受信信号の位相をシフトさせる位相シフト器を含む。位相誤差推定器は、位相シフト受信信号をマップ値にマップするスライサ、マップ値および位相シフト受信信号の値の1つを共役させて共役出力および未処理出力を取得する共役器、共役器の共役出力および未処理出力を乗算して固有値(distinction value)を取得する乗算器、ならびに固有値の位相を判断して第2推定位相誤差を取得する位相判断器を含む。
【0009】
したがって、本発明の第1態様による位相誤差補正構成では、第2位相誤差補正器は、例えば、第1位相誤差補正器と直列に接続される。例えば、受信信号の位相誤差を、最初に、第1推定位相誤差だけ受信信号、具体的には受信信号の値を回転させることによって補正し、その後、位相誤差推定器の第2推定位相誤差だけ回転させる。具体的には、第2位相誤差補正器の位相誤差推定が、第1位相誤差補正器の位相シフト出力信号に対して実行される。
【0010】
共役器において、値の1つの複素共役が実行される一方、残余値は変更されない。受信信号の値の位相およびマップ値の位相が等しい場合、乗算結果すなわち固有値は、虚部のない実数である。したがって、位相誤差はゼロであると、位相判断器によって判断できる。しかし、受信信号の値とマップ値とが位相の点で異なる場合、乗算結果としての固有値が虚部を有することになる。受信信号の位相誤差、具体的には瞬間的な位相誤差は、固有値の位相を計算することによって判断できる。したがって、第2位相誤差はほとんど努力なしに判断できる。
【0011】
こうした位相誤差補正構成により、例えば、受信信号に含まれるデータシンボルのより優れた判断を可能にするために、受信信号の位相誤差を是正または少なくとも部分的に是正することができる。本発明の第1態様に含まれる位相誤差推定器を使用することにより、第2位相誤差を効率的に推定することができる。位相シフト器により、特に複素平面における受信信号の回転が、位相誤差を補正するために実現する。第2位相誤差補正器は、フィードフォワード位相誤差補正器と呼ばれることもある。
【0012】
第1態様の第1実施形式によると、本発明は、位相誤差補正構成に関し、位相誤差推定器は、位相判断器の出力値をフィルタ処理して推定位相誤差を取得するフィルタをさらに含む。したがって、位相判断器の過去の出力値を重み付けして推定位相誤差を取得することができる。
【0013】
フィルタは例えば低域通過フィルタを含むことができる。したがって、推定位相誤差内で出力値の厳密な偏差(punctual deviation)の平均を出すことができる。フィルタは例えば移動平均フィルタを含むことができる。移動平均フィルタにより、固有数(distinct number)の過去の出力値の平均を計算して、推定位相誤差を取得することができ、ここで過去の出力値を別個に重み付けすることができる。一部の実施形式によると、フィルタは位相判断器の出力値に対する等しい重みを含むことができる。これらの場合、推定位相誤差は過去の出力値の平均値に対応する。フィルタは有限インパルス応答(FIR)フィルタとして実装できる。
【0014】
第1態様の第2実施形式によると、本発明は位相誤差補正構成に関し、位相シフト器は遅延位相シフト受信信号の値と誤差値とを乗算する複素乗算器を含み、誤差値は第2推定位相誤差の複素指数関数によって割り出される。誤差値は例えばexp(jφFF(t))の式に従って割り出すことができ、ここでφFF(t)は、時間tにおける第2推定位相誤差の瞬間値である。
【0015】
第1態様の第3実施形式によると、本発明は位相誤差補正構成に関し、これは、位相誤差推定器の処理時間に遅延要素の遅延時間を適合させるようにさらに構成される。遅延要素の遅延時間は、例えば、第2位相誤差が受信信号の瞬間値に関して推定されるまで、受信信号が遅延するように選択できる。
【0016】
第1態様の第4実施形式によると、本発明は位相誤差補正構成に関し、第1位相誤差補正器は、受信信号の値および所与の時間における所定のパイロット値に基づき位相誤差値を割り出し、位相誤差値の間で補間することによって第1推定位相誤差を取得するすように構成される。受信信号は、例えば、所定の1つまたは複数のパイロットシンボル、および複数のペイロードデータシンボルを含むことができる。次いで、受信信号内でパイロットシンボルが送信される時間に割り出された位相誤差値の間で補間することによって、受信信号内でペイロードシンボルが送信される時間に第1位相誤差補正器の推定位相誤差を補間することができる。補間は、例えば、線形補間または高次補間でありうる。
【0017】
第1態様の第5実施形式によると、本発明は、追加スライサの入力における信号の値を追加スライサの出力におけるマップ値にマップする第2位相誤差補正器の下流に配置された追加スライサ、およびフィードバック位相誤差補正器を含む位相誤差補正構成に関する。フィードバック位相誤差補正器は、追加スライサの入力における値と追加スライサの出力におけるマップ値との差分値に基づきフィードバック位相誤差を取得し、フィードバック位相誤差により受信信号の位相をシフトさせて追加スライサの入力における信号を取得するように構成される。したがって、追加スライサにおけるマッピング誤差をフィードバック経路で評価して、位相誤差、すなわち受信信号を追加スライサに提供する前に回転させるために使用されるフィードバック位相誤差を割り出す。
【0018】
フィードバック位相誤差補正器のフィードバック部は、例えば、位相ロックループ(PLL)方式に基づいてよく、この方式では、PLLの位相情報が受信信号を補正するために使用される。フィードバック位相誤差補正器は、例えば、位相検出器、およびフィードバック位相誤差を取得するために差分値を提供されるループフィルタを含むことができる。ループフィルタの出力を電圧制御発振器(VCO)に提供することができ、VCOは、積分器として、またはデジタル回路については累算器として作動することができる。VCOの出力は、フィードバック位相誤差として使用される位相値でありうる。
【0019】
第1態様の第6実施形式によると、本発明は第2位相誤差補正器とカスケードに配置される別の位相誤差補正器を含む位相誤差補正構成に関する。別の位相誤差補正器は、第2位相誤差補正器の位相誤差推定器に関して前述したような別の位相誤差推定器を含む。したがって、受信信号の位相誤差は数段階、すなわち、第1位相誤差補正器、第2位相誤差補正器、および別の位相誤差補正器で減らすことができる。
【0020】
別の位相誤差補正器は、例えば、別の位相誤差補正器の入力信号を遅らせる遅延要素、前記入力信号の別の推定位相誤差を提供する別の位相誤差推定器、および別の推定位相誤差だけ遅延入力信号の位相をシフトさせる位相シフト器を含むことができる。
【0021】
したがって、別の位相誤差推定器は、前記入力信号の値をマップ値にマップする別のスライサ、マップ値および前記入力信号の値の1つを共役させて別の共役出力および別の未処理出力を取得する別の共役器、別の共役器の別の共役出力および別の未処理出力を乗算して別の固有値を取得する別の乗算器、ならびに別の固有値の位相を判断して別の推定位相誤差を取得する別の位相判断器を含むことができる。
【0022】
第2態様によると、本発明は受信信号の位相誤差を補正する位相誤差補正方法に関する。位相誤差補正方法において、受信信号の第1推定位相誤差が、受信信号の値および所定のパイロット値に基づき取得され、受信信号の位相が第1推定位相誤差だけシフトする。さらに、位相シフト受信信号の値がマップ値にマップされる。マップ値および位相シフト受信信号の値の1つが共役して、共役出力値および未処理出力値を取得する。共役出力値および未処理出力値を乗算して固有値を取得する。固有値の位相を判断して、第2推定位相誤差を取得する。位相シフト受信信号が遅延する。遅延位相シフト受信信号の位相は、第2推定位相誤差だけシフトする。
【0023】
第2態様の一部の実施形式によると、推定位相誤差を取得することは、固有値のフィルタ処理を含む。さらに、第2態様の実施形式は、本発明の第1態様の様々な実施形式から生じる。
【0024】
本発明のさらなる実施形態については、以下の図を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形式による位相誤差推定器を示す図である。
図2】一実施形式による位相誤差補正器を示す図である。
図3】一実施形式による位相誤差補正構成を示す図である。
図4】一実施形式による位相誤差補正構成を示す図である。
図5】一実施形式による詳細フィードバック位相誤差補正器を示す図である。
図6】一実施形式による位相誤差補正構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、位相誤差推定器100の実施形式を示している。位相誤差推定器100は、位相誤差推定器の入力に接続されたスライサ110、および入力側でスライサ110の出力に接続され、さらに位相誤差推定器の入力に接続された共役器120を含む。共役器120は、入力信号の複素共役を実行する共役ブロック121を含む。共役器120の出力は複素乗算器130に接続される。乗算器130の出力は、下流に配置されたフィルタ150を有する位相判断器140に結合される。
【0027】
スライサ110は、入力における受信信号の値を出力におけるマップ値にマップするように構成される。受信信号は、変調シンボル、例えば直交振幅変調(QAM)シンボルから構成可能な、デジタル的にサンプリングされ、ダウンコンバートされた無線周波信号であってよい。
【0028】
例えば、スライサ110は、受信信号を複数のしきい値と比較し、比較結果に基づきマップ値へのマッピングを実行する。例えば、スライサ110は、複素平面で2次元処理を実行して、受信信号の値を変調方式の所定数のコンスタレーションポイントの1つにマップする。
【0029】
マップ値を有するスライサ110の出力信号および未処理値を有する未処理受信信号が共役器120に提供され、共役器120は2つの入力信号のうち1つの複素共役を実行する。図1の実施形式では、マップ値は共役要素121によって共役し、受信信号は未処理のままである。しかし、他の実施形式によると、受信信号の共役を実行し、スライサ110の出力信号を未処理のままにすることも可能である。
【0030】
共役器120の出力、すなわち共役出力および未処理出力が乗算器130に提供されて、複素乗算を実行し、その結果、固有値が位相判断器140に提供される。位相判断器140は、例えば以下によって固有値の複素位相φFを判断する。
φF=tan-1(Im[H]/Re[H])
ここでHは、乗算器130によって提供される複素固有値である。
【0031】
位相値φFがフィルタ150に提供されて受信信号の推定位相誤差φFFを取得する。フィルタ150は移動平均フィルタであってよく、例えばFIRフィルタは低域通過伝達関数を有する。フィルタ150のフィルタ長は約10個のフィルタタップでありうる。こうしたFIRフィルタの係数は、位相値φFの標準平均値を達成するにあたりすべて等しいことがあり、またはFIRフィルタは所望のフィルタ伝達関数に適合した係数を有することがある。等しい重み付けフィルタは、より少ない努力で実施できる。例えば、最後のN個の位相値φFを合計し、Nで割って推定位相誤差φFFを取得することができる。
【0032】
一部の実施形式によると、フィルタ150は位相誤差推定器100で省略できる。したがって、位相値φFは推定位相誤差φFFとして直接使用できる。
【0033】
図2は、位相誤差補正器200の実施態様を示しており、これは遅延要素210、位相シフト器220、および図1の実施形式による位相誤差推定器100を含む。位相誤差補正器200では、受信信号は受信信号を遅らせる遅延要素210に提供される。受信信号は、フィードフォワード位相誤差推定器(FFPE)とも呼ばれうる位相誤差推定器100にさらに提供されて、受信信号の推定位相誤差φFFを取得する。位相シフト器220は、受信信号における位相誤差を補正するために推定位相誤差によって遅延受信信号、すなわち遅延要素210の出力の位相をシフトさせるように構成される。例えば、位相シフト器220は遅延受信信号の値と誤差値とを乗算する複素乗算器を含む。誤差値は、推定位相誤差φFFの複素指数関数、例えば式exp(jφFF(t))によって割り出すことができ、ここでφFF(t)は、推定位相誤差の瞬間値である。
【0034】
図3は、図2の位相誤差補正器200、および位相誤差補正器200の上流に配置された追加位相誤差補正器305を含む位相誤差補正構成300の実施形式を示している。追加位相誤差補正器305は、遅延要素310、位相シフト器320、およびパイロットシンボルに基づく位相誤差推定器330を含む。パイロットシンボルに基づく位相誤差推定器(PSPE)330は、パイロットシンボル誤差計算(PSEC)ブロック340およびパイロットシンボル誤差補間(PSEI)ブロック350を含む。パイロットシンボル誤差計算ブロック340は、ペイロードシンボル間の所与の時間に受信信号に挿入される、受信信号内の所定のパイロットシンボルを検出し、受信信号の値と所定のパイロットシンボルの値との間の位相偏移を計算することができる。例えば、所与の時間に、パイロットシンボルに基づく位相誤差補間器350に提供される位相誤差値が割り出される。補間器350は、パイロットシンボルが受信信号に存在しない時間に位相誤差値の間の補間を実行する。したがって、位相誤差φPSの時間変動する推定が補間器350によって計算され、機能が位相シフト器220の機能と類似するか同一である位相シフト器320に提供される。よって、遅延要素310によって遅延する受信信号は、推定位相誤差φPSによって位相がシフトするか、回転し、第1位相誤差補正器200に提供される。
【0035】
図4は、例えば図3の構成300に基づく位相誤差補正構成400の追加実施形式を示している。図4の構成は、位相シフト器220の下流に配置される追加スライサ410をさらに含む。追加スライサ410の入力および追加スライサ410の出力が差分ブロック420に提供され、これはフィードバック位相誤差推定器(FBPE)430に結合される。具体的には、差分ブロック420の出力はフィードバック位相誤差推定器430の入力431に結合される。フィードバック位相誤差推定器430の出力432は加算ブロック440に結合され、その出力は位相シフト器220に結合される。
【0036】
追加スライサ410の機能は、スライサ110の機能と類似したもの、すなわち、スライサ410の入力における値を出力におけるマップ値にマップすることであり、これは例えば複数のしきい値に基づき実行される。差分ブロック420は入力値とマップ値との差分を計算し、それを例えばPLL方式に基づくフィードバック位相誤差推定器430に提供する。フィードバック位相値φPLLが、位相誤差推定器100の推定位相誤差φFFとともに加算ブロック440に提供される。位相シフト器220は、2つの位相誤差値φFFおよびφPLLの加算結果に基づき受信信号の回転を実行する。ブロック420および430はフィードバック位相誤差補正器の一部であり、前述の位相誤差補正のパフォーマンスをさらに改善することができる。
【0037】
図5を参照すると、フィードバック位相誤差推定器320は位相検出器510、位相検出器510の出力に接続されたループフィルタ520、およびループフィルタ520の出力によって制御されるVCO530を含むことができる。具体的には、VCO530の出力の位相値を、位相シフト器220における位相シフトの基準となるフィードバック位相誤差φPLLとして使用できる。
【0038】
一部の実施形式によると、図2または図3の位相誤差補正器200は、2つ以上の同一であるか類似する補正器段階のカスケード接続によって置換または拡張できる。
【0039】
例えば、図6は、位相誤差補正器200が追加位相誤差補正器610のほか、場合によっては別の位相誤差補正器620とカスケード接続された位相誤差補正構成の実施形式を示している。位相誤差補正器610、620は、位相誤差補正器200と同一であるか類似する形で具現化できる。具体的には、補正器610、620は、位相誤差推定器100と同じ機能を実行する位相誤差推定器630、640を含むことができる。したがって、位相誤差推定器630は別の推定位相誤差φFF2を提供し、位相誤差推定器640はさらに別の推定位相誤差φFFnを提供する。位相誤差の補正のために、補正器610、620は遅延要素650、660および位相シフト器670、680を含む。
【0040】
複数の類似する位相誤差補正器を特にフィードフォワード位相誤差推定器とカスケード接続することによって、受信信号の残余位相誤差を、補正器段階から補正器段階へと進む中で減らすことができる。
【0041】
一部の実施形式によると、位相誤差補正器200の実施形式による2つ以上の位相誤差補正器のカスケードを、上流で接続された図3のパイロットシンボルに基づく位相誤差補正器およびカスケードの下流で接続された図4のフィードバック位相誤差補正器と組み合わせることができる。
【0042】
しかしながら、判定指向型フィードフォワード位相誤差補正器のカスケード接続と組み合わせたパイロットシンボルに基づく位相誤差補正器の組み合わせは、様々な実施形式で十分なパフォーマンスを実現できる。
【0043】
説明した構成は、様々な無線周波受信機または光受信機で使用できる。
【符号の説明】
【0044】
100 位相誤差推定器
110 スライサ
120 共役器
121 共役ブロック
130 複素乗算器
140 位相判断器
150 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6