【文献】
工藤一郎,「時価総額・利益‐YK値」に高い"正の相関",[online],知財情報&戦略システム第14号,2009年 4月22日,[2013年8月1日検索],インターネット,URL,http://www.business-i.net/event/chizai/pdf/M001404.pdf
【文献】
平成20年度産業技術調査「技術評価による資金調達円滑化調査研究」報告書,株式会社帝国データバンク,2009年 3月,p.35−40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施するための形態を説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。実施形態1にて、主として請求項1及び2に係る発明を説明する。実施形態2にて、主として請求項3及び4に係る発明を説明する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0017】
本実施形態における特許利益算出装置は、算出される合算値を名義人ごとに集計した名義人毎の集計値と、名義人毎の事業収益値との相関を算出する点に特徴がある。
【0018】
算出される合算値は、後述するように、出願番号または特許番号である特許IDにより他と区別される1つの特許等についての特許力を表す指数値である。ここで、本実施形態の特許利益算出装置によって算出される合算値が持つ意味を簡単に説明する。合算値は
特許当たりで算出される。本実施形態の特許利益算出装置は、特許の価値が独占排他力にあるとの考えに基づき、この独占排他力を直接的に測定することを主眼とした、従来にはない全く新しい手法に則って計算を行なう。ここで独占排他力とは、特許権者が如何に事業を独占しているかを示す力であり、言い換えれば、特許権が如何に競合他社の事業の障害となっているかを示す力でもある。この独占排他力は、他社との境界を作る塀や柵に例えることができる。敵のいないところや、誰も興味を持たないところに柵を作ってもあまり意味はない。つまり、無人島に柵を作ったとしても第三者の進入を防ぐ役目は果たせないので意味がない。しかし、実際に敵がいるところに柵を作ることには大きな意義がある。第三者が完全に進入できないような立派な塀であればその意義はより大きなものになる。つまり、東京の真ん中の混み合った場所に広い領地をとって塀を作り、第三者の進入を完全に防ぐことには大きな意義があるのである。この第三者の進入を防ぐ行為こそが競合他社の排除であり、広い領地をとることは広い権利範囲を意味し、立派な塀とは無効になりにくい特許を意味する。
【0019】
多数の競合他社がひしめき合う事業において広い権利範囲をもった強い特許権を持っているということは、強い独占排他力を持っているということである。市場において強い独占排他力を持つということが特許権者に利益をもたらす源泉となる。つまり、特許の独占排他力を評価することは、特許の収益力を評価することと同義であると考えられる。
【0020】
では、次に独占排他力の評価方法を説明する。独占排他力を持つ特許によって、特許権者が事業を独占するためには必ず排除すべき相手が存在する。そこで、その排除すべき相手が独占排他力を持つ障害特許に対してとる行動を考える。
【0021】
仮に、自社の事業障害となる特許権を発見した場合、どのような行動をとるだろうか。まずは、その特許権の内容を調べ、そして、ライセンス交渉をするのか、潰しにかかるのか、あるいは設計変更をするのか、といった判断が迫られるだろう。そのとき、特許権に対して何らかのアクションを起こすことになるはずである。ゆえに、本実施形態における特許力算出装置は、この特許権に対する第三者からのアクションを評価対象とすることが望ましい。
【0022】
実際に発明がなされてから出願、公開、審査、登録、そして消滅するまでには特許に対して様々なアクションが起こされる。例えば、審査請求、拒絶理由通知、特許査定または拒絶査定、閲覧請求、拒絶査定不服審判、無効審判などである。このさまざまなアクションの中で、第三者のアクションとは、特許の審査経過情報を知ることができる閲覧請求や、特許権を無効にするために請求される無効審判などである。本実施形態における特許力算出装置は、このような第三者(競合他社)からのアクションを評価することで特許権の持つ独占排他力を指数化することが可能である。
【0023】
では、なぜ評価対象を第三者のアクションのみに限定することが望ましいのかを説明する。例えば、第三者ではなく出願人(権利者)本人のアクションとしては「出願」があげられる。「出願」というアクションは我々の評価対象には入っていない。それは、多くの特許を出願した企業が特許による高い収益力を持つとは決して言えないからである。例えば、出願された特許のほとんどが審査請求をせずにみなし取下げになる場合や審査において拒絶され特許にならない場合にはたくさん出願をしても意味がないので、評価対象に入れることは妥当ではない。また、自己のアクションを評価対象に入れると恣意的に自己の評価を変えることが可能となってしまう。
【0024】
しかし、競合他社がその存在を無視することができず、調査をしなければならない特許、調査をした結果特許回避をすることが難しいと判断し無効審判を起こして無効にしたいと思うような特許などは価値が高いと言えるだろう。
【0025】
なお、合算値として算出される値は、第三者からのアクションを評価対象とする場合に限定されない。例えば、コストアプローチの考えに基づき、自社が特許に対してかけたコストを足し合わせることにより算出されても良い。
【0026】
算出される合算値は、指数化されているので、名義人ごとに集計した名義人毎の集計値と、名義人毎の事業収益値との関係を表す回帰方程式を推計可能であり、この推計を行う点に本実施形態に係る特許利益算出装置の特徴がある。
<実施形態1:構成>
【0027】
本実施形態に係る特許利益算出装置の機能ブロック図を
図1に例示する。
図1に示す特許力算出装置(0100)は、「特許取得部」(0101)と、「特許履歴データ取得部」(0102)と、「項目内容抽出部」(0103)と、「検索結果保持部」(0104)と、「コスト表保持部」(0105)と、「陳腐化関数格納部」(0106)と、「陳腐化後コスト算出部」(0107)と、「合算部」(0108)と、「集計部」(0109)と、「事業収益値取得部」(0110)と、「相関算出部」(0111)と、を有する。
【0028】
「特許取得部」(0101)は、特許IDを取得する。特許IDは、母集団となる複数の特許の出願番号または特許番号などである。
【0029】
「特許履歴データ取得部」(0102)は、取得した特許IDの特許履歴データを取得する機能を有する。特許履歴データとは、日本国においては特許庁が保有している審査経過情報等の各種情報を整理標準化して加工した整理標準化データがあげられる。特許履歴データは、審査経過情報の他に、登録後の特許権に対して起こされた無効審判などのアクションも含む。また、特許の履歴に限らず、実用新案、意匠、商標についての審査経過情報および登録後情報を含む。特許履歴データを参照することにより、出願日、出願人、発明者、権利者、IPCなどの情報や、出願審査請求の有無や審査経過の状況などを知ることが可能である。
【0030】
「項目内容抽出部」(0103)は、取得した特許履歴データに記述されている
特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理により検索し、検索された標準項目名称の組合せに応じて特許履歴データに記述されている項目内容をその手続日と関連付けて抽出する機能を有する。
【0031】
ここで、
特許に対して取られた法律的手続とは、閲覧請求や無効審判などのことである。
【0032】
特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せとは、例えば、
特許に対して無効審判という法律的手続が取られた場合には、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事の結論、などの標準項目名称の組合せである。この組合せにより、特許履歴データをパターンマッチング処理することにより無効審判という法律的手続を検索する。特許履歴データ中においては、無効審判という法律的手続を検索しその結果を知るためのデータが散在しているため、パターンマッチング処理をして項目内容等を抽出する必要がある。
【0033】
次に、検索された標準項目名称の組合せに応じて特許履歴データに記述されている項目内容を抽出する方法を説明する。
図2に特許履歴データの一部(0200)の一例を示した。左側が標準項目名称(0201)であり、右側が項目内容(0202)である。
図2の場合には、標準項目名称「審判種別」に対する項目内容は、「112(全部無効(新無効))」であり、標準項目名称「審判最終処分種別」に対する項目内容は、「02(請求不成立)」であり、標準項目名称「審決の決定記事」の「結論」に対する項目内容は、「Y(無効としない)」である。
【0034】
そして、これらの項目内容とともに手続が行なわれた日付も関連づけて抽出する。例えば、無効審判であれば「審判請求日」を抽出する。
【0035】
「検索結果保持部」(0104)は、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を検索された標準項目名称の組合せに関連付けて保持する機能を有する。つまり、
図2を例にすると、項目内容として112 (全部無効(新無効))、02 (請求不成立)、Y(無効としない)を標準項目名称の組合せに関連づけて、手続日として2004/04/01を同じく標準項目名称の組合せに関連づけて保持する。保持されている検索結果を参照すれば、
特許に対して取られた法律的手続である無効審判の審判請求日、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事の結論が分かる。
【0036】
「コスト表保持部」(0105)は、標準項目名称の組合せに関連付けて保持されている項目内容の組合せごとに予め準備されているコストを対応付けたコスト表を保持する機能を有する。コスト表の一例を
図3に示した。
図3の1行目には、標準項目名称の組合せが示されている。例えば、無効審判に対する標準項目名称の組合せは、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事、などである。そして、2行目、3行目には項目内容の組合せの例が示されている。最初に、2行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求不成立であり、さらに、審決が無効としないというものであった場合である。この場合には、第三者が無効審判にかけたコスト、例えば、1,000,000(百万)円をコストとしてコスト表に保持する。また、3行目の例は、無効審判が起きて、最終処分が請求成立であり、さらに、審決が無効とするというものであった場合である。この場合には、特許は無効となり、当該特許に価値はないものと考え、コストとしてゼロをコスト表に保持する。コスト表に記述されているコストは金銭単位であってもよいし、適当な値で割算した値や、その法律手続に対応する指数などであっても良い。
【0037】
「陳腐化関数格納部」(0106)は、技術分野ごとにその技術の陳腐化の目安となる陳腐化関数を格納した機能を有する。
【0038】
陳腐化関数は、次のようにして求める。
図4上図は、ある技術分野において、出願から何年目に特許権が消滅したかという統計をとったグラフである。縦軸は消滅した特許権の割合で、横軸は出願からの年数である。この統計データは、出願のときを起点としていることがひとつの特徴である。当たり前のことかもしれないが、技術の陳腐化は権利が登録されたときから始まるのではなく、発明がなされたときをピークに始まるものであると考えたからである。ゆえに、発明の瞬間を起点とするのが最も正しいと思われるが、その統計をとることはできないので、出願のときを起点とする。
図4上図を詳しく見てみると、出願から4年目ぐらいまでに消滅する特許権はほぼ0(ゼロ)であり、その後、徐々に消滅する特許権が増えているのが分かる。そして、出願から20年目に登録特許のうち25%〜30%にあたる特許権が消滅する。これは、特許権の存続期間が原則として出願から20年であることによる。もし、存続期間が20年よりも長い場合にはもっと長い期間維持されたであろう特許権が20年目にすべて消滅しているのである。20年目に技術の陳腐化が一気に起こったわけではない。そこで、この20年目に消滅した特許権は20年目以降の数年間に渡って徐々に消滅していくものであったとの仮説に則って、
図4下図の丸で囲んだような割合で年々消滅していくであろうとの予測をした。これが技術の陳腐化を表す大元となるグラフである。
図4下図を正規分布で近似し、「1−正規累積分布」を計算したものが
図5である。この曲線が陳腐化関数である。これは、技術価値陳腐化曲線ということもできる。ここで、消滅した特許権の割合を正規分布で近似する理由を簡単に説明する。登録されている特許同士は、それぞれについて進歩性の判断がなされて成立している。つまり、技術の進歩に伴ってある特許が陳腐化したことに起因して、他の特許が陳腐化することはない。よって、各特許は独立していると考えられ正規分布で近似することが可能である。
【0039】
図5によると、存続期間が20年という区切りがないとすれば、出願から25年程度でほとんどすべての特許が維持する価値を失う。このグラフの特徴は、最初の数年間ほとんど陳腐化しないが平均的な特許が消滅する年数に近づくにつれてその陳腐化のレートが加速し、平均消滅年数を通過するとまた、陳腐化レートが緩やかになることである。この関数を、技術分野ごとに算出し、陳腐化関数として格納している。
【0040】
「陳腐化後コスト算出部」(0107)は、各
特許の標準項目名称の組合せに応じて抽出された項目内容の組合せごとにコスト表保持部に保持されているコスト表を用いてコストを取得するとともに、算定基準日と、その項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、その
特許の出願日と、この
特許が属する技術分野の陳腐化関数とを用いて算定基準日における陳腐化後コストを算出する機能を有する。
【0041】
まず、各
特許の標準項目名称の組合せに応じて抽出された項目内容の組合せごとにコスト表保持部に保持されているコスト表を用いてコストを取得する方法を説明する。
図3に示したように、コスト表保持部には、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せに応じた項目内容の組合せごとにコストが保持されている。そこで、抽出した項目内容の組合せによりコスト表を検索し、合致する組合せのコストを取得する。
【0042】
次に、陳腐化関数を利用して陳腐化後コストを算出する方法を
図5を用いて説明する。まず、
特許が属する技術分野を取得し、それに対応する陳腐化関数を取得する。そして、算定基準日と、その項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、その
特許の出願日とを取得する。遡及出願の場合には出願日として原出願日を取得する設定であっても良い。その理由は、先述の通り、技術の陳腐化は権利が登録されたときから始まるのではなく、発明がなされたときをピークに始まるものであると考えるからである。
【0043】
ある特許権について、出願からα年目に特許無効審判が請求されたが、維持審決がでたとする。そして、コスト表によるとその一連の手続が100ポイントであったとする。さらに、算定基準日が出願からβ年目であるとする。この場合において、α年の技術価値残存係数をT(α)、β年目の技術価値残存係数をT(β)とおくと、算定基準日における陳腐化後コストは、
陳腐化後コスト=100×T(β)/T(α)
として算出することができる。
【0044】
算定基準日を現在として考えると、アクション日(α年)が出願から2年で現在(β年)が出願から3年であれば、ほとんど陳腐化はしないことになる。そして、アクション日(α年)が出願から2年で現在(β年)が出願から15年であれば、陳腐化は大きい。つまり、昔に起きた法律的手続きであるほど現在における陳腐化後コストに引き直すと小さい値となる。
【0045】
「合算部」(0108)は、算出された陳腐化後コストを
特許について全て合算する機能を有する。これにより、1つの
特許についての特許力を算出することが可能である。
【0046】
「集計部」(0109)は、合算された合算値をさらに出願人または権利者の名義毎に集計する機能を有する。
【0047】
「事業収益値取得部」(0110)は、前記名義毎の事業収益値を取得する機能を有する。事業収益値とは、営業利益や経常利益などの財務諸表上の数値だけでなく、時価総額、フリーキャッシュフロー(FCF)等を含む。また、有価証券報告書の提出を義務付けられていない企業において、営業利益や経常利益などの財務データや、時価総額等が入手できない場合には、これらに代わり、利用可能な事業収益を利用する。
【0048】
「相関算出部」(0111)は、集計した名義毎の集計値と、取得した名義毎の事業収益値との対を複数用いて母集団中における名義毎集計値と名義毎事業収益値との相関を算出する機能を有する。
【0049】
相関は、2つの変量の関係をいう。例えば、n個の対になったデータ(X1,Y1)・・・(Xn,Yn)があるとき、Xが増加すれば、Yが増加するという関係にあるとき、正の相関があるといい、Xが増加すれば、Yが減少するという関係にあるとき、負の相関があるといい、Xの変化に対して、Yがその変化に対応せず変化する場合や、一定である場合は無相関である。また、相関を示す指標として、相関係数が用いられ、1に近ければ正の相関があり、−1に近ければ負の相関があり、0に近ければ相関は弱い。
【0050】
図6は、名義毎集計値の一例であるYK値と名義毎事業収益値の一例である営業利益の対を複数含む表の一例である。YK値及び営業利益は、それぞれ5年平均した値を用いている。
【0051】
図7は、
図6の表の数値を用いた散布図の一例である。この図に示された各打点(プロット)の相関係数は、約0.85であり、相関は高い。
【0052】
また、
図8は、
図6を、名義毎集計値と名義毎事業収益値とについて、10を底とする常用対数で表示した散布図の一例である。このように、散布図の表示は、さまざまな形で行うことができる。例えば、対数表示を利用するといった具合である。対数表示を利用すれば、原点近くに打点(プロット)が密集している場合に、散布図を見やすく表示することができる。この図に示された各打点(プロット)の相関係数は、約0.81であり、相関は高い。
【0053】
相関の算出とは、回帰分析により、複数の変量間の関係を表す回帰方程式を推計することをいう。説明の対象となる変量を被説明変数、被説明変数を説明するための変量を説明変数という。
【0054】
図9は、
図7の散布図の一部を拡大した図である。この図には、
図6の表で示される被説明変数である名義毎事業収益値と説明変数である名義毎集計値とからなるデータの散らばりを代表する回帰方程式の一例が図示されている。この回帰方程式は、最小二乗法の一次近似式として推計したものである。この図に示すように説明変数が一である単回帰分析では、回帰方程式は、名義毎集計値Sと名義毎事業収益値R、定数α、βを用いて、
R=α+βS
との一次近似式で表すことができる。例えば、
図9では、
S=0.05997×R となるから、
R= S/0.05997 = 約16.67500×S
となる。
【0055】
特許とその特許が生み出す利益との相関を算出することにより、自社の特許が収益に結びついているか、どのような問題点があるか、参考となる企業はどこかなど、さまざまな分析を行うことが可能となる。すなわち、特許力を示す指数値である名義毎集計値に基づいて予測される事業収益値と、前述した事業収益値取得部で取得された実際の名義毎の事業収益値を比較することができる。例えば、
図6のG1社YK値は11169.93であるから、前述の回帰方程式を用いて、
G1社の予測営業利益R´(G1)
=16.67500×11169.93=186258.58275(百万円)
となる。これは、G1社の実際の営業利益183659(百万円)と、略同じである。一方、H1社のYK値は、11139.33であるから前述の回帰方程式を用いて、
H1社の予測営業利益R´(H1)
=16.67500×11139.33=185748.32775
となる。これは、H1社の実際の営業利益31829.4(百万円)より大きい。このことから、H1社においては、特許を収益に結びつけられていない点に問題があるとの分析が可能であり、かつ、略同水準の特許力を持つと考えられるG1社の活動が問題の解決に役立つのではないかとの分析が可能となる。
【0056】
また、相関を算出する対象は、ある特定の技術分野に限ることもできる。例えば、車載用燃料電池群などの技術分野である。この場合は、さらに詳細な分析が可能となる。例えば、名義人aとbとで、車載用燃料電池群などの技術分野でも同様の関係が見られる場合、この収益力の違いをもたらしているのは、車載用燃料電池群などの技術分野であると分析できる。
【0057】
さらに、説明変数は一つに限定されない。名義毎算出値以外にも、複数の説明変数を用いることが考えられる。例えば、従業員数、企業年齢、総資産回転率、一人当たりの有形資産、研究開発費比率など、または、時間的変動を考慮するためのトレンド変数若しくは業種別の傾向を考慮するための業種ダミー変数などをもあわせて用いるといった具合である。この場合、各説明変数相互の相関は低いことが望ましい。互いに相関が強いものを説明変数とすると結果の解釈に不都合が生じる場合があるからである。この問題は、多重共線性と呼ばれる。
【0058】
なお、名義毎集計値等の各説明変数及び名義毎事業収益値を算出する基準日は、同一でも良いし、異なっていても良い。例えば、各説明変数の算出基準日のデータから5年後の名義毎事業収益値について、相関を算出するといった具合である。このようにすれば、資本投下後、収益があがるまでには、一定のタイムラグが生じる変数についても、データの特性に応じた分析を行うことができる。
【0059】
また、相関を算出する各変量として、名義毎集計値に代えて各名義の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎集計値である規模ファクター除外名義毎集計値とし、前記名義毎事業収益値に代えて各企業の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎事業収益値である規模ファクター除外名義毎事業収益値とする構成をとっても良い。
【0060】
規模ファクターの影響とは、各変量に対して企業規模が与える影響をいう。また、除外には、影響を完全に除くのではないが、減少させる場合を含む。例えば、大企業の方が一般的に保有特許数は多い傾向にあると考えられるが、保有特許数が多ければ、集計した名義毎集計値も大きくなる場合が多いと思われる。そこで、例えば、保有特許件数で名義毎集計値を除算し、特許1件あたりの平均的な特許力を変量として利用することで、当該企業の全体的な特許力を代表させて分析を行うこととするといった具合である。あるいは、規模ファクターとして、従業員数、発明者数、出願件数、売上高、研究開発費等を用いることとしても良い。
【0061】
また、例えば、事業収益値に代えて、売上高伸び率や、利益率を規模ファクター除外名義毎事業収益値として利用することとしても良い。
<実施形態1:ハードウェア構成>
【0062】
図10は本実施形態に係る特許利益算出装置の各構成要素をハードウェアとして表現した際の構成の一例を表す概略図である。
【0063】
本実施形態の構成要素である各部の全部又は一部は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの両方のいずれかによって構成される。例えば、これらを実現する一例として、コンピュータを利用する場合には、CPU、バス、メモリ、インタフェース、周辺装置などで構成されるハードウェアと、それらハードウェア上で実行可能なソフトウェアがある。ソフトウェアとしては、メモリ上に展開されたプログラムを順次実行することで、メモリ上のデータや、インタフェースを介して入力されるデータの加工、保存、出力などにより各部の機能が実現される。
【0064】
さらに具体的には、
図10のようにコンピュータがCPU(1001)、RAM(1002)、ROM(1003)、入出力インタフェース(I/O)(1004)、HDD(1005)、等から構成されており、それらがシステムバス(1006)等のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行なう。
【0065】
また、RAM(1002)は、各種処理を行なうプログラムをCPUに実行させるために読み出すと同時にそのプログラムのワーク領域を提供する。また、RAM(1002)やROM(1003)にはそれぞれ複数のメモリアドレスが割り当てられており、CPU(1001)で実行されるプログラムは、そのメモリアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行なうことが可能になっている。
【0066】
図10を利用して本実施形態におけるハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0067】
まず、特許利益算出装置の電源が起動されると、CPU(1001)は、ROM(1003)等の記憶装置に保持されている特許取得プログラム、特許履歴データ取得プログラム、項目内容抽出プログラム、検索結果保持プログラム、陳腐化後コスト算出プログラム、合算プログラム、集計プログラム、事業収益値取得部プログラム、相関算出プログラム等の各種プログラムをRAM(1002)のワーク領域に展開する。
【0068】
そしてCPU(1001)は、特許取得プログラムを実行し、評価対象特許の特許IDを取得する。特許IDは、母集団となる複数の特許の出願番号または特許番号などである。特許IDの取得は、ユーザーが入力した特許IDを取得することも考えられるし、評価対象特許の範囲に含まれる特許IDを取得することとしても良い。評価対象特許の範囲は、あらかじめ定めておいても良いし、ユーザーにより入力させることとしても良い。例えば、保持されている整理標準化データからすべての特許IDを取得するとか、あるいは、ユーザーが入力したIPC記号と関連付けられている特許IDのみを取得するといった具合である。取得される特許IDは、例えば、前述した整理標準化データの一部である。このデータは、例えば、ROM(1003)等の記憶領域に保持されている。取得された特許IDはRAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0069】
次に、CPU(1001)は、特許履歴データ取得プログラムを実行し、取得した特許IDの特許履歴データを取得する。例えば、前述のようにROM(1003)等の記憶領域に保持されている特許履歴データから、取得した特許IDに関連付けられているものを取得する。取得した特許履歴データはRAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0070】
次に、CPU(1001)は、項目内容抽出プログラムを実行し、ROM(1003)等の記憶領域に保持されているパターンファイルをRAM(1002)の記憶データ領域に読み込む。パターンファイルには、前述のとおり
特許に対して取られた法律的手続きを示す標準項目名称の組合せが予め準備されている。そして、パターンファイルを利用したパターンマッチング処理を、RAM(1002)の記憶データ領域に保持された特許履歴データに対して行うことにより、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。そして、標準項目名称の組合せに対応する項目内容および手続日を抽出する。例えば、前述した
特許に対する無効審判という法律手続について、審判種別、審判最終処分種別、審決の決定記事の結論、などの標準項目名称の組合せを検索し、該当した場合には、各標準項目名称の項目内容及び手続日を、保持された特許履歴データから抽出するといった具合である。
【0071】
次に、CPU(1001)は、検索結果保持プログラムを実行し、抽出した項目内容と手続日を、前述のパターンファイルの標準項目名称の組合せと関連付けをして、RAM(1002)の記憶データ領域に保持する。
【0072】
次に、CPU(1001)は、陳腐化後コスト算出プログラムを実行する。このとき、CPU(1001)は、ROM(1003)等の記憶領域に保持されているコスト表、陳腐化関数をRAM(1002)の記憶データ領域に読み込む。そして、コスト表を検索することにより、記憶データ領域に保持されている検索結果に対応するコストを取得する。さらに、陳腐化関数は、例えば、IPCのサブクラスの各分類記号に対応する形で保持されており、取得された特許履歴データ中から特許IDに関連付けられたIPC分類を、
特許が属する技術分野として取得し、この取得されたIPC分類に対応する陳腐化関数を陳腐化関数取得することとすれば良い。そして、ユーザーが入力するか、または、特許利益算出現在などをあらかじめ取得するプログラムを実行するなどの方法で算定基準日を取得し、前述の保持された検索結果からその項目内容の組合せごとに関連付けられている手続日と、取得された特許履歴データ中から特許IDに関連付けられたその
特許の出願日を取得する。そして、前述のように、このコストが100であり、手続日が出願からα年目、算定基準日が出願からβ年目であるとき、これらの値を陳腐化関数に代入して得られるα年の技術価値残存係数をT(α)、β年目の技術価値残存係数をT(β)とすると、算定基準日における陳腐化後コストは、
陳腐化後コスト=100×T(β)/T(α)
として算出されることとなる。算出された陳腐化後コストはRAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0073】
そして、CPU(1001)は、合算プログラムを実行し、RAM(1002)の記憶データ領域に保持されている陳腐化後コストを
特許について全て合算する。算出された合算値は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0074】
次に、CPU(1001)は、集計プログラムを実行し、RAM(1002)の記憶データ領域に保持された合算値について、出願人または権利者の名義が同じものを抽出し、出願人または権利者の名義毎に集計する。集計された名義毎集計値は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0075】
また、CPU(1001)は、事業収益値取得プログラムを実行し、ROM(1003)等の記憶領域に保持されている事業収益値データから、前記名義毎集計値と同一の名義に対応する事業収益値を取得する。事業収益値データは、少なくとも、前述の名義毎集計値に対応する各名義人の名称と、事業収益値とからなる。取得される事業収益値は、前述のように、名義に対応する複数年分の事業収益値を平均した値や、名義に対応する営業利益と売上高を取得して、営業利益/売上高を計算することにより得られる利益率であっても良い。取得された名義毎事業収益値は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0076】
そして、CPU(1001)は、相関算出プログラムを実行し、集計した名義毎集計値と、取得した名義毎事業収益値との対を複数用いて母集団中における名義毎集計値と名義毎事業収益値との相関を算出する。例えば、前述のように最小二乗法の一次近似式として回帰方程式を算出すれば良い。具体的な手順は、市販されているプログラム等で一般的に行われているところと同様であるので、説明を省略する。算出された回帰方程式は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。
【0077】
さらに、名義毎集計値、名義毎事業収益値、算出された回帰方程式などをグラフ等の形に描画し、ディスプレイなどの入出力インタフェース(1004)を介して表示することとしても良い。このようにすれば、視覚的な分析が可能となる。
【0078】
なお、前述したとおり、相関を算出する各変量として、名義毎集計値に代えて各名義の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎集計値である規模ファクター除外名義毎集計値とする構成をとってもよい。この場合、図には示されていないが、CPUは、規模ファクター取得プログラムを実行し、名義毎に、規模ファクターとして、前述のように、例えば、保有特許件数を取得する。この保有特許件数は、例えば、前述のROM(1003)等の記憶領域に保持されている事業収益値データにおける各名義人に対応して保持されていてもよい。あるいは、CPU(1001)に、前述した整理標準化データについて、各名義人毎に特許番号がいくつ含まれるか数えさせても良い。取得された規模ファクターはRAM(1002)の記憶データ領域に保持される。そして、CPU(1001)は、集計された名義毎集計値と同一の名義に関連付けられた規模ファクターで、名義毎集計値を除算することにより、規模ファクター除外名義毎集計値を算出する。算出された規模ファクター除外名義毎集計値は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。そして、前述の相関算出プログラムでは、集計した名義毎集計値に代えて、この規模ファクター除外名義毎集計値が用いられる。
【0079】
また、前述したとおり、前記名義毎事業収益値に代えて各企業の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎事業収益値である規模ファクター除外名義毎事業収益値とする構成をとっても良い。この場合、CPU(1001)は、事業収益値取得プログラムを実行する際、名義毎の事業収益値に代えて、売上高伸び率や、利益率を規模ファクター除外名義毎事業収益値として取得することとすれば良い。取得された規模ファクター除外名義毎事業収益値は、RAM(1002)の記憶データ領域に保持される。そして、前述の相関算出プログラムでは、取得した名義毎事業収益に代えて、この規模ファクター除外名義毎事業収益値が用いられる。
【0081】
図11は、本実施形態に係る特許利益算出装置の動作方法の処理の流れを示す一例である。
【0082】
最初に、ステップS1101において、特許IDを取得する。次に、ステップS1102において、取得した特許IDの特許履歴データを取得する。次に、ステップS1103において、予め準備したパターンを利用したパターンマッチング処理により、法律的手続きを示す標準項目名称の組合せを検索する。次に、ステップS1104において、特許履歴データから検索された標準項目名称の組合せに応じて項目内容をその手続日と関連づけて抽出する。次に、ステップS1105において、抽出された項目内容およびそれに関連付けられている手続日を標準項目名称の組合せに関連付けて保持する。次に、ステップS1106において、コスト表を検索して対応するコストを取得する。次に、ステップS1107において、
特許が属する技術分野に対応する陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を取得する。次に、ステップS1108において、取得したコスト、陳腐化関数、算定基準日、手続日、出願日を利用して陳腐化後コストを算出する。次に、ステップS1109において、算出された陳腐化後コストを
特許について全て合算する。次に、ステップS1110において、合算値について、出願人または権利者の名義が同じものを抽出し、出願人または権利者の名義毎に集計する。次に、ステップS1111において、名義毎の事業収益値を取得する。次に、ステップS1112において、集計した名義毎集計値と、取得した名義毎事業収益値との対を複数用いて母集団中における名義毎集計値と名義毎事業収益値との相関を算出する。
【0083】
なお、前述したとおり、相関を算出する各変量として、名義毎集計値に代えて各名義の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎集計値である規模ファクター除外名義毎集計値とする構成をとってもよい。この場合、例えば、ステップS1110において、合算値を名義毎に集計した後、名義毎に規模ファクターを取得し、この規模ファクターで、名義毎集計値を除算するステップを加えることとすればよい。また、前述したとおり、前記名義毎事業収益値に代えて各企業の企業規模を表すファクターの影響を除外した名義毎事業収益値である規模ファクター除外名義毎事業収益値とする構成をとっても良い。この場合、例えば、ステップS1111において、名義毎の事業収益値を取得する代わりに、売上高伸び率や、利益率を規模ファクター除外名義毎事業収益値として取得することとすれば良い。
【0084】
なお、
図11のフロー図は、計算機に実行させるプログラムの処理フロー図とみなすことも可能である。さらに、このようなプログラムをCDやICメモリ等の媒体に記録することも可能である。
<実施形態1:効果>
【0085】
本実施形態の特許利益算出装置により、特許とその特許が生み出す利益との相関を知ることができる。
【0086】
また、特許を評価するにあたり、特許力を示す指標は、マクロ評価でありながら解像度の高いデータであり、かつ、恣意性を完全に排除しているという特徴を持つ。
【0087】
すなわち、これまでは、特許1件ごとの経済的価値をミクロ評価するために莫大な費用(例えば、1件当たり300万円程度)と時間を必要としていたために、特許群の経済的価値のミクロ評価は難しいとされていた。ここでいうミクロ評価とは1件の特許に対して詳細な調査を行い、その経済的価値を算出することである。本発明の特許利益算出装置では、第三者が障害特許を調査し自己の事業への障害度合いを評価した結果起こしたアクションを評価対象としているので、第三者のミクロ評価の結果を間接的に評価していることになる。第三者の感じる事業障害度合いが経過情報に散りばめられており、それを評価対象としているのでマクロ評価でありながら解像度の高いデータになっている。
【0088】
さらに、特許利益算出装置によって算出される
特許当たりの合算値は、スコアリングを利用せずに客観データのみを用いて算出されたものであるので、恣意性を完全に排除しているという特徴を持つ。
【0089】
本実施形態における特許利益算出装置は、実施形態1を基本としつつ、相関算出部にて算出された相関を利用して、事業収益値を算出する第一事業収益算出部をさらに有する点に特徴がある。
<実施形態2:構成>
【0090】
本実施形態に係る特許利益算出装置の機能ブロック図を
図12に例示する。
図12に示す特許力算出装置(1200)における、「特許取得部」(1201)と、「特許履歴データ取得部」(1202)と、「項目内容抽出部」(1203)と、「検索結果保持部」(1204)と、「コスト表保持部」(1205)と、「陳腐化関数格納部」(1206)と、「陳腐化後コスト算出部」(1207)と、「合算部」(1208)と、「集計部」(1209)と、「事業収益値取得部」(1210)と、「相関算出部」(1211)については、実施形態1で述べたところと同様であるので、説明を省略する。本実施形態に係る特許利益算出装置は、「第一事業収益算出部」(1212)を、さらに有する。
【0091】
「第一事業収益算出部」(1212)は、前記「相関算出部」(1211)にて算出された相関を利用して一または二以上の名義と対応する事業収益値を算出する。事業収益値の算出は、例えば、回帰方程式に、名義毎集計値の一例であるYK値を代入して算出すれば良い。例えば、
図6のH1社について、回帰方程式 R´= S/0.05997 = 約16.67500×Sを用いて、16.67500×11139.33=185748.32775(百万円)と算出するといった具合である。
【0092】
第一事業収益算出部で算出される事業収益値は、名義毎集計値に基づき予測される事業収益値(予測値)である。一方、事業収益値取得部で取得される事業収益値は、実際に生じた事業収益に関する数値(実測値)である。第一事業収益算出部で、予測される事業収益値を算出することにより、その企業の有する特許から生み出される収益が具体的に把握できる。また、この予測される事業収益値と実際の事業収益値を比較して分析することができる。
【0093】
予測される事業収益値と実際の事業収益値との比較に関して、予測される事業収益値と実際の事業収益値との差を格付けしても良い。例えば、差が大きい順に10段階に格付けするといった具合である。予測される事業収益値から実際の事業収益値を引いた差分は、事業収益が基準時から将来に向かって増大する可能性を示している。そこで、この差について、格付けを行うことで、基準時から将来の時点の株価に比べ、現時点の株価が割安な、割安銘柄を、名義人の中から抽出することができる。あるいは、予測される事業収益値は、回帰方程式によって定まるので、名義毎事業収益値/名義毎集計値を比較することとしても良い。この場合は、予測される事業収益値を算出する必要がない。
【0094】
なお、名義毎集計値には、次の特色があると考えられる。すなわち、各企業は、自社の事業分野に関してのみ、アクションを起こす場合が多く、ある技術分野を超えてアクションを起こす必要性は乏しいと考えられる。したがって、相関の算出は、技術分野毎の相対的比較とすることが望ましい。この場合、予測される事業収益値と実際の事業収益値との差を格付けするには、各技術分野における回帰方程式を基準として比較することが望ましい。例えば、原点と、名義毎事業収益値、名義毎集計値を示すプロットとを結ぶ直線と、回帰方程式を表す直線とが形成する角度θを、角度の大きい順に並べて格付けを行うといった具合である。
【0095】
そして、予測される事業収益値に比べて実際の事業収益値の低い割安銘柄を、推奨銘柄として、株式の売買を行うための発注画面に表示させることとしても良いし、あるランクに格付けされた名義人の株式の売買を自動的に発注するための構成をさらに有することとしても良い。
<実施形態2:ハードウェア構成>
【0096】
本実施形態の構成要素である各部の全部又は一部は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアの両方のいずれかによって構成される点、
図10のようにコンピュータがCPU(1001)、RAM(1002)、ROM(1003)、入出力インタフェース(I/O)(1004)、HDD(1005)、等から構成されており、それらがシステムバス(1006)等のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行なう点、CPUが、特許取得プログラム、特許履歴データ取得プログラム、項目内容抽出プログラム、検索結果保持プログラム、陳腐化後コスト算出プログラム、合算プログラム、集計プログラム、事業収益値取得部プログラム、相関算出プログラム等の各種プログラムを解釈して行う処理の内容については、前述したところと同様であるので、説明を省略する。そして、この図には、示されていないが、本実施形態に係る特許利益算出装置において、ROM(1003)等の記憶装置に、さらに第一事業収益算出プログラムを保持しており、特許利益算出装置の電源が起動されると、CPU(1001)は、この第一事業収益算出プログラムをもRAM(1002)のワーク領域に展開する。
【0097】
そして、CPU(1001)は、第一事業収益算出プログラムを実行し、算出対象として一又は二以上の名義の入力を受け付ける。入力は、個別の名義を選択又は直接入力により入力することとしてもよいし、ある事業分野に属する企業群を選択して入力すれば、当該事業分野に関連付けられている名義が、ROM(1003)等の記憶領域に保持されている事業収益値データから取得されることとしても良いし、IPC分類を選択すればこのIPC分類に関連付けられた名義が、特許履歴データから取得されることとしても良い。あるいは、全範囲を対象としても良い。そして、この入力された各名義に対応する名義毎集計値をRAM(1002)の記憶データ領域から取得する。そして、取得された名義毎集計値を、RAM(1002)の記憶データ領域に保持されている算出された回帰方程式に代入して、これらの各名義に対応する事業収益値を算出する。
【0098】
また、前述したとおり、予測される事業収益値と実際の事業収益値との差を格付けする場合には、CPU(1001)は、さらに、各名義に対応する実際の事業収益値である名義毎事業収益値をRAM(1002)の記憶データ領域から取得する。そして、各名義に対応する算出された事業収益値(予測される事業収益値)と、名義毎事業収益値(実際の事業収益値)との差を算出する。そして、CPUは、この差の大小関係を相互に比較して、この差が大きい順に、名義毎のデータの並べ替えを行い、格付け記号を関連付ける。格付け記号は、例えば10段階の数字で表され、ROM等の記憶領域に保持されている。
<実施形態2:効果>
【0099】
本実施形態の特許利益算出装置により、名義人が保有する特許について、基準日に対して将来の特許利益を算出することができる。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0100】
本実施形態における特許利益算出装置は、実施形態1を基本としつつ、相関算出部にて算出された相関を利用して、特許IDと対応する事業収益値を算出する第二事業収益算出部をさらに有する点に特徴がある。
<実施形態3:構成>
【0101】
本実施形態に係る特許利益算出装置は、の機能ブロック図の一例は、
図12に示す「第一事業収益算出部」(1212)を、「第二事業収益算出部」に置き換えたものとなる。すなわち、本実施形態の特許力算出装置(1200)における、「特許取得部」(1201)と、「特許履歴データ取得部」(1202)と、「項目内容抽出部」(1203)と、「検索結果保持部」(1204)と、「コスト表保持部」(1205)と、「陳腐化関数格納部」(1206)と、「陳腐化後コスト算出部」(1207)と、「合算部」(1208)と、「集計部」(1209)と、「事業収益値取得部」(1210)と、「相関算出部」(1211)については、実施形態1で述べたところと同様であるので、説明を省略する。本実施形態に係る特許利益算出装置は、「第二事業収益算出部」を、さらに有する。
【0102】
第二事業収益算出部は、前記相関算出部(1211)にて算出された相関を利用して一または二以上の特許IDと対応する事業収益値を算出する。事業収益値の算出は、例えば、回帰方程式に、名義毎集計値の一例であるYK値を代入して算出すれば良い。例えば、
図6のH1社について、回帰方程式 R´= S/0.05997 = 約16.67500×Sを用いて、16.67500×11139.33=185748.32775(百万円)を算出するといった具合である。そして、特許ID毎の予測事業収益値は、例えば、算出された名義毎予測事業収益値を、名義毎集計値に占める特許ID毎の合算値の割合で案分することにより算出される。一または二以上の特許IDと対応する事業収益値を算出するには、算出対象となる特許IDについて、各特許ID毎の予測事業収益値を加算すれば良い。
<実施形態3:効果>
【0103】
本実施形態の特許利益算出装置により、ある特許又は特許群から、基準日に対して将来の特許利益を算出することができる。