(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655326
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】ビジネスプロセスの自動化のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20141225BHJP
【FI】
G06Q10/06 100
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-47843(P2010-47843)
(22)【出願日】2010年3月4日
(65)【公開番号】特開2010-211796(P2010-211796A)
(43)【公開日】2010年9月24日
【審査請求日】2013年1月24日
(31)【優先権主張番号】200901684-1
(32)【優先日】2009年3月10日
(33)【優先権主張国】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】シエニエン・ホゥ
(72)【発明者】
【氏名】レン・ジエ・ニュー
【審査官】
小太刀 慶明
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−287157(JP,A)
【文献】
特開2008−059196(JP,A)
【文献】
特表2005−502928(JP,A)
【文献】
特開平11−316780(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0158864(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0073750(US,A1)
【文献】
特開2008−293329(JP,A)
【文献】
特開2008−299646(JP,A)
【文献】
特表2005−535980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタスクから成るビジネスプロセスの自動化装置であって、
前記複数のタスクを含むビジネスプロセスダイヤグラムを生成及び編集するダイヤグラムエディタと、
前記ビジネスプロセスダイヤグラム中の前記複数のタスクのうちの少なくとも1つのタスクのインプリメンテーションを生成及び編集するインプリメンテーションエディタと
を具備し、
前記ダイヤグラムエディタは、前記ビジネスプロセスダイヤグラムを表示するダイヤグラムキャンバスを具備し、
前記インプリメンテーションエディタは、
前記ダイヤグラムキャンバス内に表示される前記ビジネスプロセスダイヤグラムが前記インプリメンテーションエディタに表示され、前記ビジネスプロセスダイヤグラムを構成するタスクが前記インプリメンテーションエディタ内で選択されると、前記インプリメンテーションエディタにさらに表示される、当該タスクのインプリメンテーションを生成又は編集するためのインプリメンテーションキャンバスと、
前記インプリメンテーションキャンバス上に前記ビジネスプロセスダイヤグラム中の前記複数のタスクのうちの少なくとも1つのタスクのインプリメンテーションを構築する選択可能なインプリメンテーション基本要素と
を具備し、
前記インプリメンテーションは、前記インプリメンテーション基本要素によってそれぞれが表される複数の処理から成り、
前記ダイヤグラムキャンバス内に表示される前記ビジネスプロセスダイヤグラムと、前記インプリメンテーションキャンバス内の前記インプリメンテーションとを同時に前記インプリメンテーションエディタに表示し、前記ビジネスプロセスダイヤグラムと前記インプリメンテーションとで実行可能なビジネスプロセス定義を形成し、
前記ダイヤグラムエディタ及び前記インプリメンテーションエディタは、必要なアクセス特権又は権利を有したユーザだけが使用できるようにそれぞれ構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ビジネスプロセス定義を格納するリポジトリをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ビジネスプロセス定義を実行する実行モジュールをさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記実行モジュールによる前記ビジネスプロセス定義の実行を監視及び制御する監視及び制御モジュールをさらに具備することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記インプリメンテーションエディタが追加的な構造の設定をさらに実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ダイヤグラムエディタが、前記ダイヤグラムキャンバス上に前記ビジネスプロセスダイヤグラムを構築する選択可能なダイヤグラム基本要素をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ダイヤグラムエディタ及び前記インプリメンテーションエディタへのアクセスを提供する少なくとも1つのユーザコンソールをさらに具備することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
複数のタスクから成るビジネスプロセスの自動化方法であって、
ビジネスプロセス自動化装置のダイヤグラムエディタを用いて、前記複数のタスクを含むビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階と、
前記ビジネスプロセス自動化装置のインプリメンテーションエディタを用いて、前記ビジネスプロセスダイヤグラム中の前記複数のタスクのうちの少なくとも1つのタスクのインプリメンテーションを生成する段階と
を有し、
前記ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階は、前記ダイヤグラムエディタのダイヤグラムキャンバス内に前記ビジネスプロセスダイヤグラムを表示する段階を含み、
前記インプリメンテーションを生成する段階は、
前記ダイヤグラムキャンバス内に表示される前記ビジネスプロセスダイヤグラムを前記インプリメンテーションエディタに表示し、前記ビジネスプロセスダイヤグラムを構成するタスクが前記インプリメンテーションエディタ内で選択されると、前記インプリメンテーションエディタに、当該タスクのインプリメンテーションを生成又は編集するためのインプリメンテーションキャンバスをさらに表示する段階と、
選択可能なインプリメンテーション基本要素を用いて、前記インプリメンテーションキャンバス上に前記ビジネスプロセスダイヤグラム中の前記複数のタスクのうちの少なくとも1つのタスクのインプリメンテーションを構築する段階と
を含み、
前記インプリメンテーションは、前記インプリメンテーション基本要素によってそれぞれが表される複数の処理から成り、
前記ダイヤグラムキャンバス内に表示される前記ビジネスプロセスダイヤグラムと、前記インプリメンテーションキャンバス内の前記インプリメンテーションとを同時に前記インプリメンテーションエディタに表示し、前記ビジネスプロセスダイヤグラムと前記インプリメンテーションとで実行可能なビジネスプロセス定義を形成し、
前記ダイヤグラムエディタ及び前記インプリメンテーションエディタは、必要なアクセス特権又は権利を有したユーザだけが使用できるようにそれぞれ構成されることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階の前に、ビジネスプロセス定義が存在しているか否かについて、前記ビジネスプロセス自動化装置のリポジトリをチェックする段階をさらに有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記実行可能なビジネスプロセス定義を前記リポジトリに格納する段階をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ビジネスプロセス自動化装置の実行モジュールを用いて、前記ビジネスプロセス定義を実行する段階をさらに有することを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビジネスプロセス自動化装置の監視及び制御モジュールを用いて、前記ビジネスプロセス定義の実行を監視及び制御する段階をさらに有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インプリメンテーションエディタを用いて、追加的な構造を設定する段階をさらに有することを特徴とする請求項8ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階が、選択可能なダイヤグラム基本要素を用いて、前記ダイヤグラムキャンバス上に前記ビジネスプロセスダイヤグラムを構築する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ビジネスプロセス自動化装置の少なくとも1つのユーザコンソールを介して、前記ダイヤグラムエディタ及び前記インプリメンテーションエディタへのアクセスを提供する段階をさらに有することを特徴とする請求項8ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビジネスプロセス管理のための装置及び方法に関し、特に、それに限定しないが、ビジネスプロセスの自動化に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスプロセス又は手続きは、現代の企業活動の基本要素である。したがって、ビジネスプロセス管理は、特にビジネスプロセスが該ビジネスプロセスの自動化を可能とするIT応用システム及びツールに関係している場合に、組織の能率及び品質についての重大な意味を持つ。
【0003】
典型的に、ビジネスプロセスの自動化は、異なる4つのフェーズ、すなわち、1)定義、設計、及びモデル化フェーズ、2)開発及び配備フェーズ、3)管理及び監視フェーズ、及び、4)分析及び最適化フェーズから成る。
【0004】
第1の定義、設計、及びモデル化フェーズでは、通常、ビジネスプロセスは、複数のタスクのワークフローとして設計及び文書化される。典型的に、ワークフローの文書化は、専用のフローチャート作成ソフトウェア(例えば、SmartDraw、Microsoft Visioなど)を用い、ビジネスロジック要件に基づいた、ブロックや矢印の形式での紙又はコンピュータ画面上へのビジネスプロセスの表現を伴う。このとき、各ブロックの機能を修飾するために、特定の記述が追加されることがある。
【0005】
通常、ワークフローの文書化は、ビジネスアナリスト、すなわち、そのようなビジネスプロセスを取り扱い、そのようなビジネスプロセスを形成する複数のタスクに精通した人々によって実施される。例えば、会社の従業員の休暇願は、その会社の人事部門の管理下にあるビジネスプロセスとみなされる。したがって、休暇願のビジネスプロセスは、通常は、人事責任者などによって文書化される。休暇願ワークフローの複数のタスクは、1)会社の従業員により申し出のあった休暇願の、彼の上司への提出、2)上司による決裁、及び、3)上司の決裁の、人事部門及び当該従業員への通知から成る。したがって、文書化された休暇願ワークフローは、先に記載した通り、複数の矢印で適切に結ばれた3つの別々のブロックとして、3つのタスクで表現される。
【0006】
第2の開発及び配備フェーズでは、文書化ワークフローは、組織のITインフラストラクチャーを構成する1つ以上のシステム間の対話によって実現されなければならない。典型的に、これは、ビジネスプロセスを形成する複数のタスクのそれぞれを実行する際に生じるさまざまな処理の部分的又は全体的な自動化に対して、実行可能なプロセスを生成することによって達成される。実行可能なプロセスは、ソフトウェアアーティファクトであってよく、また、ソフトウェアアーティファクトは、ビジネスプロセス実行モジュールによる実行のための入力としての機能を果たすために、グラフィカル表示が可能である。このように定義された実行可能なプロセスは、他のサービスに応じて新しいサービスを記述するという意味で、サービス統合(orchestration)と称される。
【0007】
上記の休暇願を例にとると、休暇願の第1タスクのサービス統合、すなわち、会社の従業員により申し出のあった休暇願の彼の上司への提出は、実行可能なプロセスの形式での複数の処理、例えば、i)休暇願ソフトウェアモジュールの起動、ii)従業員の氏名の選択、iii)休暇日の選択、iv)休暇願の保存、及びv)上司への未決裁形式での休暇願要求の転送、を伴う。
【0008】
故に、文書化されたワークフローから実行可能なプロセスを生成するためには、しばしば、プログラミングスキルと、この目的のために設計されたさまざまな専用ソフトウェア製品に採用された取り決めの広範な理解とが要求される。したがって、ワークフローの文書化を行う(人事責任者などの)ビジネスアナリストは、通常、ソフトウェアを用いてビジネスタスクを特定の処理としてプログラミング又は実装する訓練を受けていないので、これらは、通常、IT技術者によって実施される。
【0009】
また、ワークフローの文書化と実行可能なプロセスの生成とには異なる専用ソフトウェア製品が用いられるので、文書化されたワークフローから実行可能なプロセスを生成するには、文書化されたワークフローをビジネスタスクの実装のための専用ソフトウェア製品に移行させる必要がある。
【0010】
したがって、伝統的に、ビジネスプロセスの自動化は、時間を浪費し、高コストであり、かつリソースを大きく割く。それは、異なる専門分野及び部門の人員に、複数のソフトウェアプラットホーム間への彼らのノウハウの円滑な移行及び適用を確保することを強いることとなり、それによって、能力の隔たり及び/又は専門家の活用限界に起因する管理コストが上昇する。また、文書化されたワークフローから実行可能なプロセスの生成への転送又は移行の間に、コミュニケーション障害が生じるおそれがあり、それによって、ビジネスワークフロー設計と実装との間の品質適合度にずれが生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な第1態様によれば、ビジネスプロセスの自動化装置が提供される。ビジネスプロセスは複数のタスクから成る。上記装置は、ビジネスプロセスダイヤグラムを生成及び編集するためのダイヤグラムエディタを具備する。ビジネスプロセスダイヤグラムは複数のタスクを含む。また、上記装置は、ビジネスプロセスダイヤグラム中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションを生成及び編集するためのインプリメンテーションエディタを具備する。インプリメンテーションは複数の処理から成る。ビジネスプロセスダイヤグラムとインプリメンテーションとで実行可能なビジネスプロセス定義を形成する。
【0012】
上記装置は、その中にビジネスプロセス定義を格納するためのリポジトリ、ビジネスプロセス定義を実行するための実行モジュール、及び/又は、該実行モジュールによるビジネスプロセス定義の実行を監視及び制御するための監視及び制御モジュールをさらに具備する。
【0013】
好ましくは、インプリメンテーションエディタは、追加的な構造の設定をさらに行う。ダイヤグラムエディタは、ダイヤグラムキャンバスと、該ダイヤグラムキャンバス上にビジネスプロセスダイヤグラムを構築するための選択可能なダイヤグラム基本要素とを具備する。
【0014】
インプリメンテーションエディタは、インプリメンテーションキャンバスと、該インプリメンテーションキャンバス上にビジネスプロセスダイヤグラム中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションを構築するための選択可能なインプリメンテーション基本要素とを具備する。
【0015】
上記装置は、ダイヤグラムエディタ及びインプリメンテーションエディタへのアクセスを提供するための少なくとも1つのユーザコンソールを具備する。
【0016】
例示的な第2態様によれば、ビジネスプロセスの自動化方法が提供される。ビジネスプロセスは複数のタスクから成る。上記方法は、ビジネスプロセス自動化装置のダイヤグラムエディタを用いて、ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階を有する。ビジネスプロセスダイヤグラムは複数のタスクを含む。また、上記方法は、ビジネスプロセス自動化装置のインプリメンテーションエディタを用いて、ビジネスプロセスダイヤグラム中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションを生成する段階を有する。ビジネスプロセスダイヤグラムとインプリメンテーションとで実行可能なビジネスプロセス定義を形成する。
【0017】
上記方法は、ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階より前にビジネスプロセス定義が存在するか否かについてビジネスプロセス自動化装置のリポジトリをチェックする段階、実行可能なビジネスプロセス定義をリポジトリに格納する段階、ビジネスプロセス自動化装置の実行モジュールを用いて、ビジネスプロセス定義を実行する段階、ビジネスプロセス自動化装置の監視及び制御モジュールを用いて、ビジネスプロセス定義の実行を監視及び制御する段階、及び/又は、インプリメンテーションエディタを用いて、追加的な構造を設定する段階をさらに有する。
【0018】
ビジネスプロセスダイヤグラムを生成する段階は、選択可能なダイヤグラム基本要素を用いて、ダイヤグラムエディタのダイヤグラムキャンバス上にビジネスプロセスダイヤグラムを構築する段階を含む。
【0019】
インプリメンテーションを生成する段階は、選択可能なインプリメンテーション基本要素を用いて、インプリメンテーションエディタのインプリメンテーションキャンバス上にビジネスプロセスダイヤグラム中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションを構築する段階を含む。
【0020】
上記方法は、ビジネスプロセス自動化装置の少なくとも1つのユーザコンソールを介して、ダイヤグラムエディタ及びインプリメンテーションエディタへのアクセスを提供する段階をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ビジネスプロセスの自動化のための例示的な装置の構成図である。
【
図2】ビジネスプロセスの自動化の例示的な方法のフローチャートである。
【
図3】
図1の例示的な装置のダイヤグラムエディタの例示的なスクリーンショットの概略図である。
【
図4】
図1の例示的な装置のインプリメンテーションエディタの例示的なスクリーンショットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これより、発明が完全に理解され、実際の効果が容易に把握されるように、限定ではなく例示のみを目的として、本発明の例示的な実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0023】
ビジネスプロセスの自動化のための例示的な装置を
図1に示す。典型的に、ビジネスプロセスは、ビジネスプロセスワークフローとして互いにリンクした複数のタスクから成る。
【0024】
装置10は、ワークフローからビジネスプロセスダイヤグラムを生成し、編集するためのビジネスプロセスダイヤグラムエディタ12を具備する。ダイヤグラムエディタ12の例示的なスクリーンショット300を
図3に示す。好ましくは、ダイヤグラムエディタ12は、ダイヤグラムキャンバス301と、該ダイヤグラムキャンバス301上にビジネスプロセスダイヤグラム303を構築するための選択可能なダイヤグラム基本要素302とを具備する。
【0025】
好ましくは、ダイヤグラム基本要素302は、ユーザによる選択のために、ツールボックス304内に表示される。好ましくは、ダイヤグラム基本要素302は、処理を表す長方形ボックス、判断を表すひし形ボックス、待ちを表す円形ボックスなどの従来のフローチャート作成用要素を含み、各要素は、ビジネスプロセスワークフロー中の複数のタスクのそれぞれを表すために使用できる。好ましくは、BPMN2.0などの標準的な工業表記法に従う。また、好ましくは、ダイヤグラム基本要素302は、ワークフロー中の複数のタスクを表したフローチャート要素同士を互いに適切にリンクさせるための結合矢印を含む。したがって、ユーザは、マウスを用いて、適切なダイヤグラム基本要素302をダイヤグラムキャンバス301上に単に「ドラッグアンドドロップ」して、複数のタスクから成るビジネスプロセスダイヤグラム303を構築できる。
【0026】
また、ダイヤグラムエディタ12に加えて、装置10は、ビジネスプロセスダイヤグラム303中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションを生成及び編集するためのインプリメンテーションエディタを具備する。通常、タスクのインプリメンテーションは、一連のプログラム命令文のように構成される必要がある多数の処理から成る。
図4は、インプリメンテーションエディタ14の例示的なスクリーンショット400を示す。インプリメンテーションエディタ14は、グラフィカルモデルを用いて、タスク302−1の実行ロジックを表示し、そのタスク302−1のために所定の順序で実行される一連のステップを宣言又は指定する。例示的な実施形態において、インプリメンテーションエディタ14は、実装しようとするタスク302−1上でのマウスのダブルクリックによって、起動又はダイヤグラムキャンバス301上に表示(アクティブ化)される。
【0027】
好ましくは、インプリメンテーションエディタ14は、インプリメンテーションキャンバス401と、該インプリメンテーションキャンバス401上にビジネスプロセスダイヤグラム303中の複数のタスク302−1のうちの少なくとも1つのインプリメンテーション403を構築するための選択可能なインプリメンテーション基本要素402とを具備する。好ましくは、インプリメンテーション基本要素402は、ウェブサービスの起動及び電子メールを介した通知などを行う従来のアプリケーション統合ブロック、又は領域特定統合ブロックなどを含む。各要素は、ビジネスプロセスダイヤグラム303中のタスク302−1のインプリメンテーション403に関連した複数の処理のそれぞれを表すために使用される。
【0028】
また、好ましくは、インプリメンテーション基本要素402は、実行フローの決定を行う。実行フロー内において、制御の流れは、順次、if−else分岐、及びwhileループなどのインプリメンテーション基本要素の構造で定義される。故に、ユーザは、マウスを用いて、インプリメンテーションキャンバス401上で適切なインプリメンテーション基本要素402を単に「ドラッグアンドドロップ」してよい。このようにして、複数の処理から成るインプリメンテーション403は、要求に応じて複数のタスク302−1のそれぞれに対して生成される。好ましくは、VB.net及びC#のような有名かつ業界標準的な製品バージョンのプログラミング言語がインプリメンテーションエディタ14に提供される。それによって、インプリメンテーション403を生成するために要求されるスキルレベルを抑制できる。
【0029】
ビジネスプロセスダイヤグラム303は、複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーション又は好ましくは全てのインプリメンテーションと共に、実行可能なビジネスプロセス定義13を形成する。
【0030】
好ましくは、装置10は、実行可能なビジネスプロセス定義13をリポジトリ16に格納又は保存可能とするように構成される。このようにして、ビジネスプロセス定義13は、後の使用のために、又は、ダイヤグラムエディタ12又はインプリメンテーションエディタ14による編集のために取り出すことができる。
【0031】
また、好ましくは、装置10は、ビジネスプロセス定義13を実行するための実行モジュール18を具備する。実行モジュール18は、バックエンドサーバにインストールされてよく、必要なときに、実行のためにリポジトリ16からビジネスプロセス定義13を取り出すことだけが行われる。
【0032】
装置10は、実行モジュール18によるビジネスプロセス定義13の実行を監視及び制御するための監視及び制御モジュール20をさらに具備する。監視及び制御モジュール20による実行時の処理及びタスクの監視によって得られる粒度は、それらの明瞭性及び作用を向上させる。
【0033】
ビジネスプロセスの任意の対話コンポーネントにエラーが生じた場合、装置10は、それぞれに見合ったダイヤグラムエディタ12又はインプリメンテーションエディタ14を用いて、必要なアクセス特権又は権利を有したユーザがビジネスプロセスの経路を再ルーティング可能とするようにさらに構成される。
【0034】
装置10を使用する例示的な方法200を
図2に示す。開始時、好ましくは、ステップ201において、使用に適した適切なビジネスプロセス定義13がリポジトリ16に既に格納されているか否かがチェックされる。格納されていた場合、202において、適切なビジネスプロセス定義13がリポジトリ16から取り出され、207において、実行モジュール18を用いて配置又は実行される。適切なビジネスプロセス定義13がリポジトリ16内に見つからなかった場合、204において、ダイヤグラムエディタ12を用いて、ビジネスプロセスダイヤグラムが生成される。典型的に、これは1人以上のビジネスアナリストによって行われる。
【0035】
ビジネスプロセスダイヤグラムが生成された後、205において、ビジネスプロセスダイヤグラム中の複数のタスクのうちの少なくとも1つのインプリメンテーションが、インプリメンテーションエディタを用いて生成される。通常、これは1人以上のIT技術者によって実行される。通常、IT技術者は、必要に応じてビジネスプロセスダイヤグラム中の全タスクに対するインプリメンテーションを同時に生成する。206において、ビジネスプロセスダイヤグラムと(複数の)インプリメンテーションとで新たなビジネスプロセス定義13を形成する。好ましくは、新たなビジネスプロセス定義13は、リポジトリ16に格納され、続いて、207において、要求に応じて実行モジュール18によって配置又は実行される。208において、ビジネスプロセス定義の実行は、監視及び制御モジュール20によってさらに監視及び制御される。
【0036】
好ましくは、装置10は、少なくとも1つのユーザコンソール22を具備し、該ユーザコンソール22を介して、ダイヤグラムエディタ12及びインプリメンテーションエディタ14へのアクセスが提供される。また、同一のユーザコンソール22が、監視及び制御モジュール20へのアクセスを提供してもよい。
【0037】
装置10は、業務に固有のビジネスプロセステンプレートの提供によって機能強化され、ビジネスプロセスダイヤグラム及びインプリメンテーションの生成を簡素化及び高速化する。また、ビジネスプロセス効率の周期的な追跡又はその他の統計などのビジネスプロセス分析が提供される。このようにして、装置10は、ベースラインを提供し、ある期間にわたり又はある回数の実行にわたり、ビジネスプロセスの改善に関する性能評価、最適化、及び/又は測定を可能とするように使用できる。
【0038】
204で複数のタスクから成るビジネスプロセスダイヤグラムを生成するため、かつ205で複数の処理から成る各タスクのインプリメンテーションを生成するための単一の装置10を提供することによって、ビジネスアナリスト及びIT技術者の多様な要件が統合される。ビジネスプロセスの自動化の異なるフェーズにおいて、異なるユーザグループが装置10及び方法200を使用できる。装置10は、ビジネスプロセスダイヤグラム303の形式でビジネスプロセスを定義及び文書化するように、ビジネスアナリストに対してツールを提供する。また、それと同時に、IT用途に関係したビジネスタスクを実装するために、IT技術者に対してツールを提供する。故に、ビジネスプロセス定義13の形式でのビジネスアナリスト及びIT技術者の共同の出力は、実行の自動化のために装置10によって提供されるランタイムエンジン又は実行モジュール18への入力となる。
【0039】
統合された装置10が提供されることによって、ビジネスアナリストとIT技術者との間のコミュニケーションを迅速化する。また、装置10は、ダイヤグラムエディタ12を用いてビジネスプロセスダイヤグラムを生成/編集した後、ビジネスプロセスを容易に発行可能とする。
【0040】
以上の通り本発明の例示的な実施形態が記載されたが、本発明から逸脱することなく、その設計、構成、及び/又は動作の細部にさまざまな変更を加えることができるということが当業者には明らかである。例えば、ビジネスアナリスト及びIT技術者が装置10を同時に使用して1つ以上のビジネスプロセスの自動化に同時に取り組むように、複数のユーザコンソール22が提供される。
【符号の説明】
【0041】
10 ビジネスプロセス自動化装置
12 ビジネスプロセスダイヤグラムエディタ
13 ビジネスプロセス定義
14 インプリメンテーションエディタ
16 リポジトリ
18 実行モジュール
20 監視及び制御モジュール
22 ユーザコンソール
300 ビジネスプロセスダイヤグラムエディタのスクリーンショット
301 ダイヤグラムキャンバス
302 ダイヤグラム基本要素
302−1 タスク
303 ビジネスプロセスダイヤグラム
304 ツールボックス
400 インプリメンテーションエディタのスクリーンショット
401 インプリメンテーションキャンバス
402 インプリメンテーション基本要素
403 インプリメンテーション
404 ツールボックス