【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従前においても、配線器具の取付枠(又はサポート)に、バネ板や係止体などの弾性変形可能な部材を使用し、これらを使用して配線器具を固定することは提案されている。しかしながら、弾性変形可能な部材で保持されるのは、配線器具の一端側だけであり、これらバネ板や係止体等で固定されていない方の端部は、未だ表面処理を施した鋼板などを用いて形成された、厚手の金属からなる枠体(本明細書中では「配線器具取付枠本体」とも言う。)に、直接、係合されているのが実情である。
【0009】
かかる厚手の金属からなる枠体は、通常、金型プレスにより打ち抜いて成型されているが、成型する材料が厚手の金属であるが故に、当該枠体の製造に際してはプレス金型の磨耗が生じやすいものとなっていた。それにも拘らず、従前では、この枠体に配線器具を保持する機能を持たせていたことから、その精度を確保する為に、変形したプレス金型を頻繁に補修しなければならなかった。
【0010】
そこで本発明は、この様な厚手の金属を用いて形成される枠体の製造に際して、枠体に要求される精度を減じ、プレス金型の金型寿命を伸ばし、製造容易性を向上させ、また製造コストを削減することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第一の課題とする。
【0011】
また精度良く製造した枠体であっても、壁面乃至は配線ボックスに固定する際に、意図しない負荷がかかってしまい、当該枠体自体が変形してしまうこともあり、その結果、当該枠体による配線器具の保持の確実性が減じられてしまうこともあった。
【0012】
そこで本発明は、仮に意図しない変形が生じてしまっても、確実に配線器具を保持することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造の提供を第二の課題とする。
【0013】
更に前述のように、厚手の金属をプレス成型する場合には、プレス成型する材料の厚さに起因して複雑な形状に形成することは困難である。この為、限られた領域内で配線器具を保持・固定しなければならない枠体であっても、これを複雑な形状に成型することはできないものとなっていた。
【0014】
そこで本発明では、複雑な形状であっても困難なく製造できるようにし、様々な配線器具をガタつきなく確実に保持できるようにする、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第三の課題とする。
【0015】
更に、従前においても、配線器具における枠体への取付構造は、必ずしも一定ではなく2種以上の構造のものが提供されており、それに応じて枠体も種々提供されているのが実情である。
【0016】
そこで本発明では、様々な取付構造を具備する配線器具に対応することができ、厚手の金属を用いて形成される枠体を共通にして使用することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第四の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、配線器具を保持する為に、別途、薄手の金属等を用いて形成した部品を使用し、当該部品を壁面や配線ボックスに固定する配線器具取付枠本体に取り付けることで、前記課題を解決したものである。
【0018】
即ち本発明では、中央に配線器具を露出させる開口を備えて壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体に対して係合可能な組付け部と、係合する配線器具取付枠本体の側縁部分に沿って背面側に延出し、相互に対向する一対の保持壁を具備しており、当該一対の保持壁は、当該保持壁間への配線器具の差込みにより弾性変形すると共に、当該一対の保持壁を構成するそれぞれの保持壁には、差込まれる配線器具の側面に形成された係止部に係合して当該配線器具を保持する保持部が設けられている、配線器具取付枠に使用される配線器具保持金具を提供する。
【0019】
本発明における「配線器具保持金具」は、後述する「配線器具取付枠本体」と組み合わさって「配線器具取付枠」を構成するものであり、この配線器具取付枠の状態で、スイッチやコンセントなどの配線器具を、造営面、即ち家屋の壁面・天井面・床面、或いは家具の壁面・上面など、配線器具を設けることができるように形成された面に取り付けることができる。
【0020】
また上記配線器具取付枠本体は、長さ方向に沿う側縁部分に、背面側に伸びる背面側壁を備えており、上記配線器具保持金具はこの背面側壁の内側に対向して存在する保持壁を備えている。この保持壁には、配線器具取付枠本体に係合するための「組付け部」が設けられ、更にこの保持壁間に配線器具を保持するための「保持部」が設けられている。これら「組付け部」および「保持部」は、前記保持壁に形成した突起乃至は窪み(開口を含む)として具体化することができる。
【0021】
また、上記配線器具の保持金具は、薄手の金属を用いて形成することができ、例えば厚さ0.2〜0.5mmのステンレス(SUS)、ニッケル、亜鉛、銅等、弾性変形可能な金属を用いて形成することができる。
【0022】
かかる配線器具保持金具では、一対の保持壁に形成された保持部で、スイッチやコンセントなどの配線器具を保持することができる為、厚手の配線器具取付枠本体に配線器具の取り付け部を設ける必要は無くなる。よって、上記した厚手の金属からなる取付枠本体に配線器具の取り付け部を設ける事に起因する課題を解決することができる。
【0023】
また上記配線器具保持金具は、一対の保持壁の内、何れか一方の保持壁が他方の保持壁よりも広い幅で延出する様に形成することができる。広い幅で延出している保持壁は、配線器具の挿入により弾性変形すると共に、復元して、その保持部で配線器具の係止部を保持するものとして形成することができる。また、短い幅で延出している保持壁は、必ずしも弾性変形が要求されるものではないが、少なくとも配線器具の係止部を保持する保持部が形成されている必要がある。
【0024】
配線器具保持金具をこのように形成した場合において、当該保持金具に対する配線器具の設置は、先ず配線器具の一方の側面に形成された係止部を、延出幅の狭い方の保持壁に形成された保持部に嵌め合せると共に、当該配線器具の他方の側面で、延出幅の広い方の保持壁を押し広げて弾性変形させながら差し込み、そして弾性変形した保持壁の復元により、その保持壁に形成された保持部で、差込んだ配線器具の他方の側面に形成されている係止部を保持する。これにより、ドライバーなどの工具を要することなく、簡易に配線器具を固定することができる。
【0025】
また上記配線器具保持金具において、一対の保持壁同士は、それぞれ別個独立のものとして形成することもできるが、望ましくは当該一対の保持壁同士を取付枠本体の背面に沿って延在する連結部材で一体化して形成し、全体として配線器具取付枠本体の背面に設けられる枠状に形成する事が望ましい。一対の保持壁同士を連結部材で一体化することにより、各保持壁同士の間隔を一定に保つ事ができ、また取付枠本体に対する固定に際しても、一方の保持壁における係合が他方の保持壁の係合を補助し、当該取付枠本体に対する組付けをより確実に行うことができる為である。
【0026】
また、上記配線器具保持金具は、保持・固定する配線器具に応じて、より具体的には配線器具に形成される係合部の形状乃至は構造に応じて、保持壁に形成される係合部が異なる複数の種類の配線器具保持金具を形成することができる。また夫々の保持壁に形成される保持部として、様々な配線器具が備える係止部の形状乃至は構造に対応可能な、複数の種類の形状乃至は構造の係止構造を組み合わせて形成することもできる。特に保持部として、様々な配線器具を保持できる形状とする場合には、前記一対の保持壁に形成される保持部は、各種配線器具ごとに異なっている様々な構造に形成された係止部を保持できるように、当該係止部に対応する複数の係止構造を組み合わせた保持部が形成されている配線器具保持金具として具体化することができる。
【0027】
そしてかかる配線器具保持金具では、保持する配線器具の設置領域ごとに、複数の種類の保持部が形成される事が望ましい。配線器具が設置される領域は限られており、このような限られた領域に複数の種類の保持部を形成する場合には、当然に複雑な構造にならざるを得ない。この点、本発明では配線器具保持金具が配線器具を保持する役割を担い、そしてこの配線器具保持金具は、厚さ約0.2〜0.5mmの金属材を用いて形成し得ることから、このような配線器具を保持するための複雑な構造でも実現可能になっている。
【0028】
上記保持部は、配線器具に形成された係止部と係合できるものであれば良く、例えば配線器具に形成されている係止部が爪状の突起であれば、此れを保持する溝、凹み或いは孔として形成することができ、また配線器具に形成されている係止部が窪みや孔であれば、当該窪みや孔に入り込んで押さえられる突起として形成することができる。
【0029】
そして上記保持金具は、厚手の金属からなる取付枠本体に対する係合を実現する為に、組付け部を備えている。この組付け部は、取付枠本体の構成に応じて適宜調整することができ、現在市販されている取付枠本体に対して係合可能な形状に形成することもできる。この組付け部は、例えば、取付枠本体に形成された凹みや孔に入り込んで係合する突起や爪として、または取付枠本体に形成された突起や爪を保持する凹みや孔として形成することができる。
【0030】
また、この配線器具取付枠本体は、上記した配線器具保持金具を組付けるのに適した形状および構造に形成することもできる。即ち、壁面のような造営面に取り付けて使用される配線器具取付枠本体であって、背面側から差込まれた配線器具を表面に露出させる器具取付開口部と、この器具取付開口部の側方から背面側に延出する相互に対向する背面側壁とを具備する配線器具取付枠本体として形成することができる。
【0031】
そしてかかる配線器具取付枠本体に対して、上記の配線器具保持金具をその組付け部で組み付けることにより、前記課題の少なくとも何れかを解決する配線器具取付枠とすることができる。
【0032】
特に配線器具取付枠本体に形成される対向する背面側壁は、少なくとも一方が他方よりも広い幅で延出しており、当該広い幅で延出している背面側壁には、設置される配線器具の側面に対応する位置毎に開口部を形成することができる。
【0033】
そして、配線器具保持金具に形成される組付け部としては、それぞれの保持壁に、その外側に突出する突起として形成することができる。この突起は、爪状に突出するような突起として形成する他、4等分した球状に突出する突起等、様々な形状に形成することができる。そしてこの突起状に形成された組み付け部は、前記配線器具取付枠本体の開口部の内縁部で支持されて、両者が組み合わされることになる。
【0034】
このように形成した配線器具取付枠では、厚手の金属からなる配線器具取付枠本体に対しては、組付け部で配線器具保持金具が係合し、配線器具は、この配線器具保持金具に対して固定することができる。よって、配線器具は、壁面への取り付けの際に変形するおそれがある金属枠(本明細書における「配線器具取付枠本体」)に直接組み込まれることはなく、緩衝用部品としても機能する保持金具で保持することから、当該金属枠が変形した際の不具合を抑制することができる。
【0035】
同様に、配線器具取付枠本体の製造上のバラつき(寸法やバリ等によるバラつき)にも対応可能であるため、結果的に比較的金型寿命の短い配線器具取付枠本体製造用の金型寿命を伸ばすことができる。
【0036】
また、本発明では前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体と
配線器具保持金具を係合し、当該
配線器具保持金具と配線器具を係合する取付枠の配線器具取付構造であって、配線器具取付枠本体は、配線器具を表側に露出させる開口が中央に形成されると共に、その両側縁に、裏面側に向かって延出する、相互に対向する背面側壁が設けられており、前記
配線器具保持金具は、配線器具取付枠本体の背面側壁に沿って延在すると共に、配線器具の挿入により弾性変形可能な保持壁が設けられており、当該
配線器具保持金具の保持壁には、前記配線器具取付枠本体の背面側壁に係合する、突起するか又は窪んだ形状の組み付け部と、前記配線器具に形成されている係止部を保持する、突起するか又は窪んだ形状の保持部が形成されており、前記配線器具取付枠本体と
配線器具保持金具の係合は、前記組み付け部が配線器具取付枠本体の両側縁に係合することにより行われ、前記
配線器具保持金具と配線器具の係合は、配線器具の挿入により弾性変形した保持壁の復元により、対向する両保持壁間で、保持部により配線器具の係止部を保持することにより行われている、取付枠の配線器具取付構造を提供する。
【0037】
かかる取付枠の器具取付構は、前記した配線器具保持金具や此れを用いた配線器具取付枠等によって具体的に実施することができる。
【発明の効果】
【0038】
上記本発明にかかる配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造によれば、従来、表面処理を施した鋼板などで形成されていた厚手の金属からなる枠体に直接配線器具を保持させることはなくなり、よって厚手の金属を用いて形成される枠体の製造に際して、枠体に要求される精度を減じ、プレス金型の金型寿命を伸ばし、製造容易性を向上させ、また製造コストを削減することができる。
【0039】
また、厚手の金属を用いて形成される枠体(配線器具取付枠本体)は、これを壁面乃至は配線ボックスに固定する際に、意図しない負荷がかかって変形してしまうこともあるが、このような変形が生じてしまっても、確実に配線器具を保持することのできる配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造とすることができる。
【0040】
そして本発明で使用する配線器具保持金具は、薄手の金属を用いて形成できることから、限られた領域内で配線器具を保持する為の複雑な形状であっても困難なく製造できることから、此れまで以上に、保持された配線器具にがたつきを生じさせること無く、確実に保持・固定することができる。
【0041】
更に本発明では、保持金具で配線器具を保持するように構成していることから、保持形状・構造の異なる複数の配線器具保持金具を準備すれば、厚手の金属を用いて形成される取付枠本体の変更を伴うことなく、共通した取付枠本体を使用することができる。また、前記の通り、配線器具保持金具は薄手の金属で形成され、プレス加工における加工容易性が高められていることから、様々な取付構造を具備する配線器具に対応できるような複雑な保持構造にも形成可能であり、よって1つの配線器具取付枠で、取付構造乃至は係合構造が異なる複数の配線器具を保持することが出来る。