特許第5655328号(P5655328)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5655328配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに配線器具取付構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5655328
(24)【登録日】2014年12月5日
(45)【発行日】2015年1月21日
(54)【発明の名称】配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに配線器具取付構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/02 20060101AFI20141225BHJP
【FI】
   H02G3/02 301C
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-53671(P2010-53671)
(22)【出願日】2010年3月10日
(65)【公開番号】特開2011-188692(P2011-188692A)
(43)【公開日】2011年9月22日
【審査請求日】2013年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005038
【氏名又は名称】神保電器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】福 井 清
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−153911(JP,A)
【文献】 実開平02−060417(JP,U)
【文献】 特開2009−261224(JP,A)
【文献】 実開昭55−173221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に配線器具を露出させる開口を備えて壁面のような造営面に設けられると共に、配線器具取付開口部の側方から背面側に延出する相互に対向する背面側壁とを具備する、金属プレスによって形成された配線器具取付枠本体に対して係合可能な組付け部と、
係合する配線器具取付枠本体の側縁部分に沿って背面側に延出し、相互に対向する一対の保持壁を具備しており、
当該一対の保持壁は、当該保持壁間への配線器具の差込みにより弾性変形すると共に、
当該一対の保持壁を構成するそれぞれの保持壁には、差込まれる配線器具の側面に形成された係止部に係合して当該配線器具を保持する保持部が設けられており、
当該一対の保持壁の内、何れか一方の保持壁は他方の保持壁よりも幅広く延出して形成されており、幅広く延出する保持壁には、前記配線器具取付枠本体における背面側壁に形成された矩形に開口する側壁開口部に対して、弾性変形後の復元によって係合する組付け部が設けられていることを特徴とする、配線器具取付枠に使用される配線器具保持金具。
【請求項2】
前記一対の保持壁の内、何れか一方の保持壁は他方の保持壁よりも幅広く延出して形成されており、
幅広く延出する保持壁は、配線器具の挿入により弾性変形すると共に、復元して、その保持部で配線器具が具備する係止部を保持し、
他方の保持壁は、配線器具の挿入時に当該配線器具の一端部を保持する、請求項1に記載の配線器具保持金具。
【請求項3】
前記一対の保持壁同士は、取付枠本体の背面に沿って延在する連結部材で一体化されており、前記配線器具取付枠本体の背面に設けられる枠状に形成されている、請求項1又は2に記載の配線器具保持金具。
【請求項4】
前記一対の保持壁に形成される保持部は、差込まれる配線器具の設置領域ごとに、異なる配線器具を設置可能とする2種以上の係止構造で構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の配線器具保持金具。
【請求項5】
背面側から差込まれた配線器具を表面に露出させる配線器具取付開口部と、この配線器具取付開口部の側方から背面側に延出する相互に対向する背面側壁とを具備し、壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体と、
請求項1〜4の何れか一項に記載の配線器具保持金具とからなり、
当該配線器具保持金具は、前記組付け部で配線器具取付枠本体に係合して組み付けられていることを特徴とする配線器具取付枠。
【請求項6】
前記配線器具取付枠本体に形成される対向する背面側壁は、少なくとも一方が他方よりも長く延出しており、当該長く延出している背面側壁には、配線器具が設置される領域ごとに開口が形成されており、
前記配線器具保持金具に形成される組付け部は、それぞれの保持壁に、外側に突出する突起として形成されており、
当該突起状の組付け部が前記配線器具取付枠本体の開口の内縁部に当接している請求項5に記載の配線器具取付枠。
【請求項7】
壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体と配線器具保持金具を係合し、当該配線器具保持金具と配線器具を係合する取付枠の配線器具取付構造であって、
配線器具取付枠本体は、配線器具を表側に露出させる開口が中央に形成されると共に、その両側縁に、裏面側に向かって延出する、相互に対向する背面側壁が設けられており、前記配線器具保持金具は、配線器具取付枠本体の背面側壁に沿って延在すると共に、配線器具の挿入により弾性変形可能な保持壁が設けられており、
当該配線器具保持金具の保持壁には、前記配線器具取付枠本体の背面側壁に係合する、突起するか又は窪んだ形状の組み付け部と、前記配線器具に形成されている係止部を保持する、突起するか又は窪んだ形状の保持部が形成されており、
前記配線器具取付枠本体と配線器具保持金具の係合は、前記組み付け部が配線器具取付枠本体の両側縁に係合することにより行われ、
前記配線器具保持金具と配線器具の係合は、配線器具の挿入により弾性変形した保持壁の復元により、対向する両保持壁間で、保持部により配線器具の係止部を保持することにより行われていることを特徴とする、取付枠の配線器具取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチやコンセントなどの配線器具を、家屋や家具の壁面等のような造営面に設けるために使用する配線器具取付枠と、それに使用する保持金具、並びに構造に関し、特に製造効率の向上を図ることができると共に、配線器具取り付け時における施工性を高めた配線器具取付枠と、それに使用する保持金具、並びに構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からスイッチやコンセントなどの配線器具を壁面などの造営面に設置する場合には、これら配線器具を保持するものとして金属製の取付枠が使用されている。即ち、配線器具を金属製の取付枠に取り付け、これを壁面などの造営面に埋め込んだ配線ボックスに螺子などで螺着する事が行われている。
【0003】
また従来から使用されている金属性の取付枠は、表面処理を施した鋼板などを用いて、厚手(厚さ約1.4mm)に形成されたプレート状であり、配線器具が差し込まれる領域の周囲には、差込んだ配線器具を保持する為に任意に突出可能な突起が形成されている。
【0004】
そして、かかる配線器具取付枠に関しては、当該取付枠に対する配線器具の取付を簡易に行い得るようにするべく、種々の工夫がなされている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開2006−246697号公報)では、配線器具が一面としての背面側から他面としての正面側に向かって挿入される開口部を設けた枠部と、背面側に向かって傾斜するように枠部の一側に設けられ、配線器具の一側を係止する爪状に突設された固定係止部と、枠部の他側に設けられた取付受部と、取付受部に取り付けられ、配線器具の他側を係止する弾性変形可能な可動係止部を設けた係止体とを具備するサポートが提案されている。
【0006】
また、特許文献2(特開平6−76679号公報)では、金属取付枠に形成しスイッチの整数倍の大きさの長方形の取付け開口の長辺側の口縁部に対向して長い取付け片が立設され、取付け片に金属取付枠に対向して抜止め係止端面が形成され、スイッチ側にはその両端部から外方に爪が延出され、長くて略逆U字型のばね板の一方の脚片に一方の取付け片の抜止め係止端面に当接してばね板の抜止めを図る抜止め片が形成され、他方の脚片にスイッチ側の爪の通過を弾性変形にて許容するとともにこの爪の抜出しを阻止する抜出し阻止片が形成され、略逆U字型のばね板が一方の取付け片に外挿されて、その抜止め片にてばね板が取付け片に取付けられ、スイッチ側の他方の爪が他方の取付け片の抜止め係止端面に係止され、スイッチ側の他方の爪がばね板の抜出し阻止片に係止されて成るスイッチの取付枠への取付け構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−246697号公報
【特許文献2】特開平6−76679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従前においても、配線器具の取付枠(又はサポート)に、バネ板や係止体などの弾性変形可能な部材を使用し、これらを使用して配線器具を固定することは提案されている。しかしながら、弾性変形可能な部材で保持されるのは、配線器具の一端側だけであり、これらバネ板や係止体等で固定されていない方の端部は、未だ表面処理を施した鋼板などを用いて形成された、厚手の金属からなる枠体(本明細書中では「配線器具取付枠本体」とも言う。)に、直接、係合されているのが実情である。
【0009】
かかる厚手の金属からなる枠体は、通常、金型プレスにより打ち抜いて成型されているが、成型する材料が厚手の金属であるが故に、当該枠体の製造に際してはプレス金型の磨耗が生じやすいものとなっていた。それにも拘らず、従前では、この枠体に配線器具を保持する機能を持たせていたことから、その精度を確保する為に、変形したプレス金型を頻繁に補修しなければならなかった。
【0010】
そこで本発明は、この様な厚手の金属を用いて形成される枠体の製造に際して、枠体に要求される精度を減じ、プレス金型の金型寿命を伸ばし、製造容易性を向上させ、また製造コストを削減することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第一の課題とする。
【0011】
また精度良く製造した枠体であっても、壁面乃至は配線ボックスに固定する際に、意図しない負荷がかかってしまい、当該枠体自体が変形してしまうこともあり、その結果、当該枠体による配線器具の保持の確実性が減じられてしまうこともあった。
【0012】
そこで本発明は、仮に意図しない変形が生じてしまっても、確実に配線器具を保持することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造の提供を第二の課題とする。
【0013】
更に前述のように、厚手の金属をプレス成型する場合には、プレス成型する材料の厚さに起因して複雑な形状に形成することは困難である。この為、限られた領域内で配線器具を保持・固定しなければならない枠体であっても、これを複雑な形状に成型することはできないものとなっていた。
【0014】
そこで本発明では、複雑な形状であっても困難なく製造できるようにし、様々な配線器具をガタつきなく確実に保持できるようにする、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第三の課題とする。
【0015】
更に、従前においても、配線器具における枠体への取付構造は、必ずしも一定ではなく2種以上の構造のものが提供されており、それに応じて枠体も種々提供されているのが実情である。
【0016】
そこで本発明では、様々な取付構造を具備する配線器具に対応することができ、厚手の金属を用いて形成される枠体を共通にして使用することのできるようにした、新たな配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造を提供することを第四の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、配線器具を保持する為に、別途、薄手の金属等を用いて形成した部品を使用し、当該部品を壁面や配線ボックスに固定する配線器具取付枠本体に取り付けることで、前記課題を解決したものである。
【0018】
即ち本発明では、中央に配線器具を露出させる開口を備えて壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体に対して係合可能な組付け部と、係合する配線器具取付枠本体の側縁部分に沿って背面側に延出し、相互に対向する一対の保持壁を具備しており、当該一対の保持壁は、当該保持壁間への配線器具の差込みにより弾性変形すると共に、当該一対の保持壁を構成するそれぞれの保持壁には、差込まれる配線器具の側面に形成された係止部に係合して当該配線器具を保持する保持部が設けられている、配線器具取付枠に使用される配線器具保持金具を提供する。
【0019】
本発明における「配線器具保持金具」は、後述する「配線器具取付枠本体」と組み合わさって「配線器具取付枠」を構成するものであり、この配線器具取付枠の状態で、スイッチやコンセントなどの配線器具を、造営面、即ち家屋の壁面・天井面・床面、或いは家具の壁面・上面など、配線器具を設けることができるように形成された面に取り付けることができる。
【0020】
また上記配線器具取付枠本体は、長さ方向に沿う側縁部分に、背面側に伸びる背面側壁を備えており、上記配線器具保持金具はこの背面側壁の内側に対向して存在する保持壁を備えている。この保持壁には、配線器具取付枠本体に係合するための「組付け部」が設けられ、更にこの保持壁間に配線器具を保持するための「保持部」が設けられている。これら「組付け部」および「保持部」は、前記保持壁に形成した突起乃至は窪み(開口を含む)として具体化することができる。
【0021】
また、上記配線器具の保持金具は、薄手の金属を用いて形成することができ、例えば厚さ0.2〜0.5mmのステンレス(SUS)、ニッケル、亜鉛、銅等、弾性変形可能な金属を用いて形成することができる。
【0022】
かかる配線器具保持金具では、一対の保持壁に形成された保持部で、スイッチやコンセントなどの配線器具を保持することができる為、厚手の配線器具取付枠本体に配線器具の取り付け部を設ける必要は無くなる。よって、上記した厚手の金属からなる取付枠本体に配線器具の取り付け部を設ける事に起因する課題を解決することができる。
【0023】
また上記配線器具保持金具は、一対の保持壁の内、何れか一方の保持壁が他方の保持壁よりも広い幅で延出する様に形成することができる。広い幅で延出している保持壁は、配線器具の挿入により弾性変形すると共に、復元して、その保持部で配線器具の係止部を保持するものとして形成することができる。また、短い幅で延出している保持壁は、必ずしも弾性変形が要求されるものではないが、少なくとも配線器具の係止部を保持する保持部が形成されている必要がある。
【0024】
配線器具保持金具をこのように形成した場合において、当該保持金具に対する配線器具の設置は、先ず配線器具の一方の側面に形成された係止部を、延出幅の狭い方の保持壁に形成された保持部に嵌め合せると共に、当該配線器具の他方の側面で、延出幅の広い方の保持壁を押し広げて弾性変形させながら差し込み、そして弾性変形した保持壁の復元により、その保持壁に形成された保持部で、差込んだ配線器具の他方の側面に形成されている係止部を保持する。これにより、ドライバーなどの工具を要することなく、簡易に配線器具を固定することができる。
【0025】
また上記配線器具保持金具において、一対の保持壁同士は、それぞれ別個独立のものとして形成することもできるが、望ましくは当該一対の保持壁同士を取付枠本体の背面に沿って延在する連結部材で一体化して形成し、全体として配線器具取付枠本体の背面に設けられる枠状に形成する事が望ましい。一対の保持壁同士を連結部材で一体化することにより、各保持壁同士の間隔を一定に保つ事ができ、また取付枠本体に対する固定に際しても、一方の保持壁における係合が他方の保持壁の係合を補助し、当該取付枠本体に対する組付けをより確実に行うことができる為である。
【0026】
また、上記配線器具保持金具は、保持・固定する配線器具に応じて、より具体的には配線器具に形成される係合部の形状乃至は構造に応じて、保持壁に形成される係合部が異なる複数の種類の配線器具保持金具を形成することができる。また夫々の保持壁に形成される保持部として、様々な配線器具が備える係止部の形状乃至は構造に対応可能な、複数の種類の形状乃至は構造の係止構造を組み合わせて形成することもできる。特に保持部として、様々な配線器具を保持できる形状とする場合には、前記一対の保持壁に形成される保持部は、各種配線器具ごとに異なっている様々な構造に形成された係止部を保持できるように、当該係止部に対応する複数の係止構造を組み合わせた保持部が形成されている配線器具保持金具として具体化することができる。
【0027】
そしてかかる配線器具保持金具では、保持する配線器具の設置領域ごとに、複数の種類の保持部が形成される事が望ましい。配線器具が設置される領域は限られており、このような限られた領域に複数の種類の保持部を形成する場合には、当然に複雑な構造にならざるを得ない。この点、本発明では配線器具保持金具が配線器具を保持する役割を担い、そしてこの配線器具保持金具は、厚さ約0.2〜0.5mmの金属材を用いて形成し得ることから、このような配線器具を保持するための複雑な構造でも実現可能になっている。
【0028】
上記保持部は、配線器具に形成された係止部と係合できるものであれば良く、例えば配線器具に形成されている係止部が爪状の突起であれば、此れを保持する溝、凹み或いは孔として形成することができ、また配線器具に形成されている係止部が窪みや孔であれば、当該窪みや孔に入り込んで押さえられる突起として形成することができる。
【0029】
そして上記保持金具は、厚手の金属からなる取付枠本体に対する係合を実現する為に、組付け部を備えている。この組付け部は、取付枠本体の構成に応じて適宜調整することができ、現在市販されている取付枠本体に対して係合可能な形状に形成することもできる。この組付け部は、例えば、取付枠本体に形成された凹みや孔に入り込んで係合する突起や爪として、または取付枠本体に形成された突起や爪を保持する凹みや孔として形成することができる。
【0030】
また、この配線器具取付枠本体は、上記した配線器具保持金具を組付けるのに適した形状および構造に形成することもできる。即ち、壁面のような造営面に取り付けて使用される配線器具取付枠本体であって、背面側から差込まれた配線器具を表面に露出させる器具取付開口部と、この器具取付開口部の側方から背面側に延出する相互に対向する背面側壁とを具備する配線器具取付枠本体として形成することができる。
【0031】
そしてかかる配線器具取付枠本体に対して、上記の配線器具保持金具をその組付け部で組み付けることにより、前記課題の少なくとも何れかを解決する配線器具取付枠とすることができる。
【0032】
特に配線器具取付枠本体に形成される対向する背面側壁は、少なくとも一方が他方よりも広い幅で延出しており、当該広い幅で延出している背面側壁には、設置される配線器具の側面に対応する位置毎に開口部を形成することができる。
【0033】
そして、配線器具保持金具に形成される組付け部としては、それぞれの保持壁に、その外側に突出する突起として形成することができる。この突起は、爪状に突出するような突起として形成する他、4等分した球状に突出する突起等、様々な形状に形成することができる。そしてこの突起状に形成された組み付け部は、前記配線器具取付枠本体の開口部の内縁部で支持されて、両者が組み合わされることになる。
【0034】
このように形成した配線器具取付枠では、厚手の金属からなる配線器具取付枠本体に対しては、組付け部で配線器具保持金具が係合し、配線器具は、この配線器具保持金具に対して固定することができる。よって、配線器具は、壁面への取り付けの際に変形するおそれがある金属枠(本明細書における「配線器具取付枠本体」)に直接組み込まれることはなく、緩衝用部品としても機能する保持金具で保持することから、当該金属枠が変形した際の不具合を抑制することができる。
【0035】
同様に、配線器具取付枠本体の製造上のバラつき(寸法やバリ等によるバラつき)にも対応可能であるため、結果的に比較的金型寿命の短い配線器具取付枠本体製造用の金型寿命を伸ばすことができる。
【0036】
また、本発明では前記課題の少なくとも何れかを解決する為に、壁面のような造営面に設けられる配線器具取付枠本体と配線器具保持金具を係合し、当該配線器具保持金具と配線器具を係合する取付枠の配線器具取付構造であって、配線器具取付枠本体は、配線器具を表側に露出させる開口が中央に形成されると共に、その両側縁に、裏面側に向かって延出する、相互に対向する背面側壁が設けられており、前記配線器具保持金具は、配線器具取付枠本体の背面側壁に沿って延在すると共に、配線器具の挿入により弾性変形可能な保持壁が設けられており、当該配線器具保持金具の保持壁には、前記配線器具取付枠本体の背面側壁に係合する、突起するか又は窪んだ形状の組み付け部と、前記配線器具に形成されている係止部を保持する、突起するか又は窪んだ形状の保持部が形成されており、前記配線器具取付枠本体と配線器具保持金具の係合は、前記組み付け部が配線器具取付枠本体の両側縁に係合することにより行われ、前記配線器具保持金具と配線器具の係合は、配線器具の挿入により弾性変形した保持壁の復元により、対向する両保持壁間で、保持部により配線器具の係止部を保持することにより行われている、取付枠の配線器具取付構造を提供する。

【0037】
かかる取付枠の器具取付構は、前記した配線器具保持金具や此れを用いた配線器具取付枠等によって具体的に実施することができる。
【発明の効果】
【0038】
上記本発明にかかる配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造によれば、従来、表面処理を施した鋼板などで形成されていた厚手の金属からなる枠体に直接配線器具を保持させることはなくなり、よって厚手の金属を用いて形成される枠体の製造に際して、枠体に要求される精度を減じ、プレス金型の金型寿命を伸ばし、製造容易性を向上させ、また製造コストを削減することができる。
【0039】
また、厚手の金属を用いて形成される枠体(配線器具取付枠本体)は、これを壁面乃至は配線ボックスに固定する際に、意図しない負荷がかかって変形してしまうこともあるが、このような変形が生じてしまっても、確実に配線器具を保持することのできる配線器具保持金具およびそれを使用した取付枠、並びに構造とすることができる。
【0040】
そして本発明で使用する配線器具保持金具は、薄手の金属を用いて形成できることから、限られた領域内で配線器具を保持する為の複雑な形状であっても困難なく製造できることから、此れまで以上に、保持された配線器具にがたつきを生じさせること無く、確実に保持・固定することができる。
【0041】
更に本発明では、保持金具で配線器具を保持するように構成していることから、保持形状・構造の異なる複数の配線器具保持金具を準備すれば、厚手の金属を用いて形成される取付枠本体の変更を伴うことなく、共通した取付枠本体を使用することができる。また、前記の通り、配線器具保持金具は薄手の金属で形成され、プレス加工における加工容易性が高められていることから、様々な取付構造を具備する配線器具に対応できるような複雑な保持構造にも形成可能であり、よって1つの配線器具取付枠で、取付構造乃至は係合構造が異なる複数の配線器具を保持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本実施の形態にかかる配線器具保持金具と、配線器具および配線器具取付枠本体の組み合わせ状態を示す分解斜視図
図2】組み付け手順を示す工程図
図3】配線器具取付枠本体に配線器具保持金具を組み合わせて構成した配線器具取付枠を示す6面図
図4】配線器具保持金具に形成した複数の保持部を示す斜視図
図5】異なる係止部を有する配線器具を組付ける状態を示す工程図
図6】配線器具を保持する工程を示す工程図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面に基づいて本実施の形態にかかる配線器具保持金具10およびそれを使用した取付枠50、並びに構造を具体的に説明する。
【0044】
図1は、本実施の形態にかかる配線器具保持金具10と、配線器具30および配線器具取付枠本体20の組み合わせ状態を示す分解斜視図であり、図2はこの組み付け手順を示す工程図であり、図3は配線器具取付枠本体20に配線器具保持金具10を組み合わせて構成した配線器具取付枠50を示す6面図であり、図4は配線器具保持金具10に形成した複数の保持部12を示す斜視図であり、図5は異なる係止部32を有する配線器具30を組付ける状態を示す工程図であり、図6は配線器具30を保持する工程を示す工程図である。
【0045】
先ず、この実施の形態に示す配線器具保持金具10は、図1に示すように、約1.4mm程度の厚さを有する厚手の金属からなる取付枠本体20に組み付けられて配線器具取付枠50を構成するものであり、配線器具取付枠50を構成する配線器具保持金具10で、コンセントやスイッチなどの配線器具30を保持・固定するものとして形成されている。
【0046】
図1〜3に示すように、配線器具取付枠本体20には、その中央に配線器具30を正面側に出現させる為の矩形に開いた中央開口23が形成されており、当該中央開口23の長さ方向に沿う両側には、背面側に折り曲げたかの如く延出している背面側壁21が形成されている。この背面側壁21は、相互に対向状に設けられ、一方が他方よりも幅広く、即ち広い幅で延出して形成されている。本実施の形態では、図1中の奥側に表している背面側壁21(以下では「第一背面側壁21a」とする)を、図1中の手前側に表している背面側壁21(以下では「第二背面側壁21b」とする)よりも広い幅で延出させている。
【0047】
この第一背面側壁21aには、配線器具30が設置される箇所乃至は領域に対応する位置に、矩形に開口する側壁開口部24が形成されており、本実施の形態では3個の配線器具30を設置するように、3個の側壁開口部24が形成されている。また、この側壁開口部24内の縁部分であって、背面側壁21の延出方向先端側には窪み25が形成されており、この窪み25に、後述する配線器具保持金具10の保持壁11に形成された組付け部15が係合することになる。
【0048】
また第二背面側壁21bにも、配線器具30の設置位置に対応する位置に側壁開口部24が形成されており、この側壁開口部24にも、後述の配線器具保持金具10を保持する為の窪み15が形成されている。
【0049】
上記第一背面側壁21aと第二背面側壁21bとは、共に同じような幅で背面側に延出させることも考えられるが、金属材料の無駄を省くと共に、背面側に余分に突出することを無くす為に、本実施の形態では第二背面側壁21bの延出する幅を狭くしている。
【0050】
なお、第一背面側壁21aおよび第二背面側壁21bに形成される側壁開口部24の数などは、当該配線器具取付枠50で規格化されている範囲内で適宜変更することもでき、例えば設置する配線器具30の数量に応じて適宜変更することも可能である。即ち、1個の配線器具30を設置する場合には、1つの側壁開口部24を形成すること等も考えられる。また、当該配線器具取付枠50で規格化されている範囲外、例えば4個の配線器具30を設置する等の特殊な用途では、中央に形成される矩形の中央開口23を長くした上で、側壁開口部24をもう1つ増やすことも考えられる。なお、この側壁開口部24の大きさは、設置する配線器具30の大きさ等に応じて適宜変更することができる。
【0051】
この配線器具取付枠本体20の両背面側壁21間には、配線器具保持金具10が配置・固定され、組み込まれ、両者で配線器具取付枠50を形成している。
【0052】
配線器具保持金具10は、図1〜5に示すように、配線器具取付枠本体20の背面側壁21に対向する保持壁11を具備しており、即ち第一背面側壁21aの内面側に対向する第一保持壁11aと、第二背面側壁21bの内面側に対向する第二保持壁11bとを備えている。この第一保持壁11aと第二保持壁11bとは、連結部16で上下端部が連結され大凡枠状に形成されている。
【0053】
第一保持壁11aには、その延出した先端側であって、少し凹んだ位置に、半月状に切り起こして外側に膨出させた組付け部15が設けられている。この組付け部15が、前記した第一背面側壁21aの側壁開口24に形成された窪み25に嵌り、配線器具取付枠本体20に対して配線器具保持金具10が組み付けられる事になる。なお、この組付け部の突出幅は、配線器具取付枠本体20よりも突出しない程度に調整されることが望ましく、本実施の形態では1.4mm以下に形成することが望ましい。またこの第一保持壁11aの配線器具取付枠本体20側には、前記第一背面側壁21aの側壁開口24に対応し、外側に弾性変形可能な弾性片14が形成されており、この弾性片14に配線器具30を保持する保持部12が形成されている。かかる弾性片14は第一保持壁11aに切込みを入れることにより外側に弾性変形可能なように形成されており、配線器具30の差込により弾性変形して第一背面側壁21aの側壁開口24内に入り込む事ができる大きさに形成されている。
【0054】
一方、第二保持壁11bにも、前記第二背面側壁21bに係合する4等分した球状(半月状に切り起こした形状)で外側に突起する組付け部15が設けられており、当該組付け部15は第二保持壁の弾性変形により第二背面側壁21bの側壁開口部24まで進入し、第二保持壁の復元により側壁開口部24内に突出して引っ掛かり、当該配線器具保持金具10の脱落を阻止している。また、この第二保持壁11bにも配線器具30を保持するための保持部12が形成される。即ち本実施の形態にかかる配線器具保持金具10は、両保持壁における広がり勝手の弾性によって配線器具取付枠本体20内に保持されている。
【0055】
上記第一保持壁11aおよび第二保持壁11bに形成された夫々の組付け部15は、配線器具取付枠本体20が変形等した場合でも、配線器具取付枠本体20と配線器具保持金具10との組み合わせを確実にする為に、配線器具30の保持構造(後述する爪など)と同じか、それよりも長く形成する事が望ましい。組付け部15を配線器具30の保持構造よりも長く形成した場合には、配線器具取付枠本体20が変形しても、組み付け部の結合状態は維持され、確実に配線器具保持金具10を保持できるようになる。
【0056】
そして、配線器具取付枠本体20に配線器具保持金具10を組み込んで形成した配線器具取付枠50には、図1および図2に示すように配線器具30が組み込まれる。図2はこの組み込み状態を段階的に示しており、図2(A1)正面図、(A2)平面図に示すような配線器具取付枠本体の背面側に、図2(A3)正面図、(A3)平面図に示すような配線器具保持金具を組み込み、図2(B1)正面図、図2(B2)平面図に示すような配線器具取付枠を構成する。そしてこの配線器具取付枠の中央開口23に配線器具30を差込、図2(C)の正面図に示すように、配線器具を配線器具取付枠に保持する。
【0057】
この配線器具30の組み込みに際しては、図6に示すように、最初に第二保持壁11bに形成された保持部12に、当該配線器具30の係止部32を組み合わせ、そして第一保持壁11aを弾性変形させながら差込み、当該第一保持壁の復元により、第一保持壁に形成された保持部12で配線器具30の係止部32を保持することができる。此れにより、特段の工具を必要とせず、単に配線器具30を差込むだけで、ガタつきを生じさせることなく配線器具取付枠本体20に設けることができる。
【0058】
次に、図1〜5、特に図4および5を参照しながら、各保持壁11a,bに形成される係止部32の構造を説明する。
【0059】
本実施の形態にかかる配線器具保持金具10では、図1および図4に表しているように、配線器具30の側面から外側に延在する爪(係止部32)を受け入れる開口と、受け入れた爪を保持するように形成した支持片として形成されている第1保持部12xと、配線器具30の側面に形成された凹みに入り込んでその縁部分を保持する突起として形成した第2保持部12yとを備えている。即ち、本実施の形態にかかる配線器具保持金具では、第二保持壁部にも配線器具30を保持する保持部12を形成しており、形成している保持部が、配線器具の係止構造の異なる第1保持部12xと第2保持部12yとの2種類の係止構造で構成されている。特に、本実施の形態にかかる配線器具保持金具において、延出幅が狭い第二保持壁11bに形成される第二保持部12yは、配線器具の保持位置ごとに内側に突出するように折り曲げた爪として形成しており、即ち、第二保持壁11bを無駄に幅広く形成する必要がないように工夫されている。
【0060】
配線器具30が設置される領域ごとに、開口及び支持片として形成されている第一保持部12と、突起として形成されている第二保持部12とを形成していることから、図5(A)に示すように側面に凹状の係止部32を備える配線器具30を保持することも、また図5(B)に示すように、側面に爪状の係止部32を供える配線器具30を保持することもできる。即ち本実施の形態にかかる配線器具保持金具では、係合構造が異なる2種類の配線器具を保持することの出来る配線器具保持金具となっている。
【0061】
図3は、配線器具取付枠本体20に配線器具保持金具10を組み付けて形成した配線器具取付枠50を示す6面図であり、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は左側面図、(D)は背面図、(E)は平面図、(F)は底面図、(G)はG−G’断面図である。特に、幅広く延出している第一保持壁11aに形成される組付け部15は、前記の通り僅かに窪んだ位置に形成されているが、これは当該組付け部15の両脇部分を、配線器具取付枠本体20の第1背面側壁21に形成される開口部の周りに当接させる為であり、その結果、第一保持壁11aと第一背面側壁21aとの係合を確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
10 配線器具保持金具
11a 第一保持壁
11b 第二保持壁
12x 第一保持部
12y 第二保持部
14 弾性片
15 組付け部
20 配線器具取付枠本体
21a 第一背面側壁
21b 第二背面側壁
23 中央開口
24 側壁開口部
30 配線器具
32 係止部
50 配線器具取付枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6